東方転生録   作:のんびり+

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はい、どうものんびり+です。
予定よりだいぶ……というかものっそい遅れてしまいすみませんでした!
今回は茶番回です。遅れた分を早く取り戻そうと思い、とりあえず更新しようという魂胆でございます。
それでは今回も、のんびりしていってね!


【茶番】ドッキリ仕掛けてみた②

俺は今、霊夢にドッキリを仕掛けるべく思考を巡らせていた。

何故ドッキリをやろうと思ったのか。理由は簡単。暇だから。

さて、どうしたものか。一応三つ程アイデアがあるのだが……。

暫く考えた(のち)に、俺はある一つのプランを決行することにした。

 

 

「……暑い」

 

私はもう何度目か分からない単語を口にして、ふと空を見上げた。

青い空に、もこもこと大きな入道雲。太陽の日射しは容赦なく地上に降り注いでいる。

私はもうこれ以上、こんな炎天の(もと)で庭掃除などやる気にはならなかった。

こうなったらみたらし団子で琥珀を買収して、琥珀に庭掃除をやらせようかな……。よし、そうしよう。

私は持っていた竹箒(たけぼうき)を玄関前に立て掛け、琥珀のいる居間へ向かった。

 

「琥珀ー! あんたに良いお仕事があるの……よ……え?」

 

居間にいた筈の琥珀の姿はなく、代わりに見慣れない少年の姿があった。

黒の半袖半ズボンの格好をした少年は、どことなく琥珀に似ている。

……迷子? だとしたらこのまま放っておく訳にもいかないし……。

考えていても仕方ないので、とりあえず少年に質問する事にした。

 

「あなたの名前は?」

 

「僕は雨宮一(あめみやはじめ)です」

 

少年は微笑みながら言った。……なんだろう。なにか引っ掛かる。

私は得体の知れない違和感を覚えつつも、質問を続ける。

 

「一はどうしてここにいるの?」

 

「はい、兄に用があって来たんですが……留守のようですね」

 

一はまだ何か言っているが、もう私には聞こえなかった。

雨宮という苗字に、兄。私の中ではある一つの仮定が出来上がっていた。

そして私は、その仮定を証明するべく一に尋ねた。

 

「ねえ、あなたのお兄さんってひょっとして……」

 

私が言い終わるより先に、一は答えた。

 

「はい、僕の兄は雨宮琥珀です」

 

……やっぱりね。全く、琥珀のやつ弟がいるなら教えてくれても良いのに。

 

「驚きましたか?」

 

不意に、一が笑顔のまま聞いてきた。本当に琥珀に似てる。

 

「そりゃ驚いたわよ。琥珀のやつ何にも言わないんだもの」

 

「はは、兄さんらしいです」

 

「じゃあちょっと待ってて、麦茶持ってくるわ」

 

私は台所から麦茶とコップを持って居間に戻る。

私が麦茶を注いだコップを一に渡すと、一は笑みを崩さずに言った。

 

「やっぱり霊夢さんは優しいですね。聞いていた通りです」

 

「え? そう? 普通だと思うけど。ってか聞いていたってまさか……」

 

一は頷いて続ける。

 

「はい、兄から。霊夢さん、普段は突っ張ってるけど本当は優しくて良い人なんだって」

 

「琥珀が?」

 

「えぇ」

 

自分が影で褒められていると知って、素直に嬉しかった。が、その反面凄く恥ずかしかった。恐らく今の私の顔は、

 

「霊夢さんの顔、耳まで真っ赤ですよ」

 

「う、うっさいわね! 今日は暑いから、そのせいよ!」

 

思わずそっぽを向いて、私はただ(まく)し立てる。

 

「はは、じゃあ僕はそろそろ帰りますね」

 

その言葉に振り返ると、一は立ち上がり、伸びをしながら縁側へと向かっていた。

 

「待たなくても良いの?」

 

「はい。急ぎの用でもありませんし、ツンデ霊夢も見れましたし」

 

「そう……って! ツンデ霊夢って何よ!?」

 

「はは、お達者で!」

 

私の問いに答える事なく、一は夏空に飛び立って行った。

……全く、とんだ来客だったわね。

そうして空のコップを片そうとした直後、玄関の戸が開く音と共に聞き慣れた声が響く。

 

「ただいまー」

 

「おかえり。あんたに客が来てたわよ」

 

すると何故か、琥珀が吹き出した。今の会話のどこに笑う要素があったのか。……可哀想に、最近暑かったから。

 

「っふふ、ツンデ霊夢」

 

――私は確かに聞いた。今、ツンデ霊夢って……。本日二度目の衝撃が、私を襲う。まさか……ね。

 

「今お前はこう思っただろ、「まさかね」と!」

 

「なっ!?」

 

「ふふ、青ざめたな。さあネタばらしだ! さっきの一ってやつな、あれ実は俺なんだよ」

 

くっ! 一つのドッキリで二度も私を驚かすなんて……!

 

「はは、いやー面白かった」

 

「全く、今回限りにしてよね」

 

「分かったって……多分」

 

「あっ、そうそう。琥珀、ちょっと庭掃除代わってくれない?」

 

「いやだ」

 

ここで即答するのが琥珀。まさに外道。しかし私にはとっておきがある。さあ、私の掌の上で踊ると良いわ!

 

「みたらし団子を三本つけるわよ?」

 

さあ、イエスと言うのよ!

 

「だが断る」

 

意外にも、返答は明らかな拒絶だった。

 

「な、なんで……」

 

「この雨宮琥珀の好きな事の一つは、絶対的確信を持った相手の予想を覆すことだ。五本ならやる」

 

やはり琥珀は琥珀。チョロかった。

 

その後、私達は人里の甘味処で、午後の優雅な一時を過ごしたのだった。

 




はい、お疲れ様でした。
ちょっと変な感じでしたが大目にみて下さいお願いします。
ここで、前置きで言えなかった朗報を。
評価バーに色がついてました! ありがとうございます!
転生録が始まって半年以上経過です! ここまでやってこれたのも皆さんのお陰です!本当にありがとうございましす!
以上報告でした!
それでは次回も、のんびりしていってね!

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