遅れましたが、お気に入り160突破ありがとうございます!
後どのくらい続くかは分かりませんが(今年の夏くらいまで続くかも?)これからもよろしくお願いします!
それでは今回も、のんびりしていってね!
「おーい、霊夢ー」
私は声を飛ばし霊夢を呼び出した。
すると今までの騒ぎは急速に静まり、視線が次々と私に注がれる。
釘付けと言う言葉が正しいだろう。皆は私を見つめたまま、まるで時間が止まってしまっているかのように動かない。
そんな空気に呑まれ、私はただ突っ立っている事しか出来ない。
今この空間には、さっきまでの賑やかな雰囲気ではなく、気まずい緊張感が漂っていた。
「えっと、霊夢に用があるんだけど……」
このまま黙っていたらいつまでも続きそうな沈黙に耐え兼ね、私は笑い掛けながら言った。
すると、酔って顔が赤い霊夢が私に歩み寄る。そして私のすぐ目の前で止まると一言。
「……あんた誰? 何で琥珀を担いでんの?」
そんな霊夢の言葉に、他数人も頷き興味深そうにこちらを見ていた。
確かに、一応皆とは初対面だしその疑問はもっともだろう。
「でも、あんたの妖気……どっかで……」
一方霊夢は、顎に指を当ててそんな事をぽつりと呟いた。流石は博麗の巫女と言った所か。このままだと私が異変の主犯だとバレるのも遠くはないだろう。
「あっ、そうよ。最近こんな妖気を感じてたのよね。それも宴会の度に。そもそもおかしいと思ったわよ、こんな頻繁に宴会って。つまり今までの出来事は異変! そしてあんたはその主犯ね!」
いや、確かに遠くないとは言ったけど……早すぎるでしょ。てか逆に何で今まで気付かなかったのよ。
「えー。ゴホン、その通りさ。私は伊吹萃香。よろしくね」
と、バレてしまっては仕方無い。自己紹介くらいしておこう。
「……ふーん。で、萃香。用件は? わざわざ退治されに来たの?」
霊夢は笑いながら、しかし鋭い目付きで言った。どうやらかなり警戒されてしまったらしい。
これ以上ここにいるのは得策ではない。そう思った私は、さっさと用を済ませて帰ろうと思い、琥珀を下ろし霊夢に告げた。
「私の用は対した事じゃないよ。琥珀が倒れちゃってね、それを運んで来ただけさ」
私が言うと、霊夢は貼り付けていた笑みを消し、先程よりも警戒を強め尋ねてきた。
「……あんたが倒したの?」
その質問に対し、私は頭を巡らせる。まあ確かに、原因は私が勧めた酒にあるんだし、私がやったと言う事になるんだろう。
そんな結論に至った私は、霊夢に応える。
「そうだね、私がやった。いやぁ、まさかあの程度で倒れるとは思わなくてさ」
あまり量はなかったのだが。琥珀は本当に酒に弱いと言う事を再確認させられた。
ふと霊夢に目をやると、その顔は驚愕と言うに相応しかった。目を見開き、口はポカーンと開けっぱなし。次に辺りを見回すと、やはり皆も霊夢同様に驚愕の表情をしている。
そんなに驚く事だろうか? 皆も琥珀が酒に弱いのは承知の筈だし。
「……どうしてわざわざ琥珀を運んで来たの?」
恐る恐ると言う感じで、霊夢は口を開いた。
妙な質問をするものだ、と思ったけど一応答えておく。
「そりゃ、放っておくのも悪いし。……あっ」
言ってる途中で、私は琥珀から何かを頼まれた事を思い出す。
……何だっけ? 度忘れしちゃった。
確か三文字で……くから始まって……りで終わるものだった気がする。
――分かった!
「後さ、鎖持ってきてくんない?」
「く、鎖?」
霊夢は訝しげに私を見つめ、確認するかのように言った。
私は頷くと、もう一度霊夢に催促する。
「そう、鎖。持ってきてよ」
「……何に使うの?」
霊夢に言われ、私にも疑問が沸いた。そう言えば、琥珀は鎖何て何に使う気だったのか。
「霊夢、そいつ怪し過ぎるぜ」
ここで、話を聞いていた魔理沙が動いた。
「話すだけ無駄だろ。そいつは異変の主犯で、私達の目的は異変解決。簡単だろ?」
「まあ、それもそうね」
話は決まったらしく、霊夢は札を、魔理沙は八卦炉を構え私を見据えた。
何故だろう。何だか壮絶なすれ違いをしてる気がするけど、そんな事はどうでも良い! 鬼として、売られた喧嘩は買うしかないじゃない!
「やろうってかい。良いよ、大歓迎さ。鬼の力ってのを魅せてやるよ!」
そうして、戦いの幕は切っておとされた。
「……どうしてこうなった」
俺の目の前に広がる光景に、そんな事を言ってしまった。
何故だか知らんが、萃香を始めとした皆が、ボロボロになりながら倒れていた。いや、寝ているのか。
にしても頭が痛い。くっ、早く薬を……!
俺は薬を求め、痛む頭を押さえながら台所へと向かった。
はい、お疲れ様でした!
勘違いって難しいですね!
それでは次回も、のんびりしていってね!