まず一言、遅れてすみません!
にしても、仕様が新しくなりましたね。慣れない。
注意
独自解釈。自己設定。
それでは今回も、のんびりしていってね!
第53話 冬が長いよ
俺は今現在、こたつに籠城中である。
と言うのも、もうとっくに春が来て良い時期なのに、外は未だに白い粉雪がしんしんと降って止まない。この事実から言える事は一つ。
「霊夢、そろそろ異変解決行って来てよ」
「嫌よ。私は
数日前から霊夢に異変解決を促すも、霊夢は何かと理由つけて動かない。
でも、そろそろ活動しないとまずいのも確かだ。実際、冬が長いせいで迷惑しているのは俺達だけじゃ無い。
「霊夢、気持ちは分かる。だがな、お前が異変を解決しない限りこの冬は続くんだ。それは嫌だろ?」
何とか霊夢の説得を続行。だが、お茶を啜り終えた霊夢から返って来たのは、
「じゃあ、あんたがやれば良いじゃない」
と言う、何とも冷めた返答だった。
仕方無い。
「宜しい。ならば勝負に負けた方が行く……と言うのはどうだ?」
「良いわよ」
霊夢は即答し、構える。
その鋭い瞳は俺の目を見据えて動かない。気合い充分。行くぜっ!!
「「最初はグー、じゃんけん――」」
俺の攻撃はパー。それに対し、霊夢が自信満々で出した手は……チョキだった……。
「なん……だと……!?」
敗北に打ち
「ハアァ~」
深い溜め息を吐かずにはいられなかった。白くなった息が流れていく。
まさか負けるとは思わなかった……雨宮琥珀、渾身の失敗!
しかし、負けは負け。俺がやるしか無い訳で、俺は今、人里にやって来た所だ。
手がかりがあれば良い……と言うのは建前で、本当の目的は……
「おっちゃん、甘酒とみたらし団子」
「おお!琥珀の兄ちゃんじゃねえか、最近来なかったから嫌われたと思ったよ」
「ふっ、そんな事はありえん。ただの杞憂だぜ」
注文から程なくして、俺の元に湯気を立てる甘酒とみたらし団子が三本運ばれる。
甘酒の入った湯飲みを持つと、俺の手全体にじんわりと温もりが伝わる。
そして、ゆっくりと甘酒を啜り、含み、飲み干す。
「うめぇ~」
冬の甘酒はうまいと改めて実感する。
次にみたらしの串を手に取る。
「……おっちゃん、タレはどうした?」
「前回の要望通り、少し甘めに」
「団子は?」
「それも要望通り、もっちり感を少し上げてある」
一口、団子を口に入れ、
「パーフェクトだおっちゃん」
「感謝の極み」
そうして、俺が団子に
「あら、琥珀じゃない」
そんな声がしたので視線を向けるとそこには一人の少女が佇んでいた。
「何だアリスか」
少女の名はアリス・マーガトロイド。
金髪に赤いリボンがヘアバンドのように巻かれていて、青のワンピースのようなノースリーブにロングスカートを着用、その肩にはケープのようなものを羽織っている。……と言うのがいつもの姿だが、今は青のロングコートに白いマフラーと言った服装だ。
「何だとは失礼ね」
アリスの青い瞳が不満そうに俺を見つめる。
「悪気は無いって、団子食うか?」
「頂くわ」
アリスは満足そうに微笑み、俺の隣に座った。
「アリスは何でここにいんだ?」
「ただの買い物よ。全く、こうも寒いと何をするにも面倒臭いわ」
「激しく同意」
「で、琥珀は?」
「異変解決に駆り出されました」
「あら、じゃあこの冬も今日で終わりね」
「何その俺への信頼感!?」
アリスが当たり前の顔して言うので俺は驚いた。
と言うか、軽くプレッシャーが掛かった。
アリスは俺を無視して話を進める。
「何か当てはあるの?」
「ん~今の所は無いな。アリスは何か知ってるか?」
アリスはう~んと唸ってから言った。
「琥珀は春度って知ってる?」
「あぁ、春度が足りないと春が来ない」
「で、何者かがその春度を奪っている……てとこかしら」
「そうだな……」
言いつつ俺は、もう一度今回の異変について考えてみた。
春を奪う。どこのどいつが何の目的でそんな事をするんだ?
暫く考えてみたが、やはり分からなかった。
「じゃあ、私は行くわ。団子ご馳走さま」
「おう、じゃあの」
アリスが去った後も少し考えてみたが、結果は変わらず。
俺はとりあえずぶらぶらと歩き始めた。
聞き込みをしながらぶらつく事一時間程。
収穫は無い。お家帰りたい。
「あぁ!琥珀しゃまだぁ!」
そんな声がしたと思ったら、急に誰かに抱き着かれる。
「うぉ!?って、橙じゃないか」
抱き着いて来たのは橙だった。
橙は、茶髪に猫耳、上は赤いノースリーブの下に白いシャツを、下にフリルの赤いスカートを着て、黒く先端部分が白い尻尾を二本携えた少女いや……幼女である。
藍の式神で、普段はマヨヒガに暮らしている。
因みに、俺や藍に対しては甘えん坊モードで接して来る。
「琥珀しゃま~♪」
橙は嬉しそうに俺の腹辺りに頬擦りをしている。
……可愛いなあ。
頭を撫でてあげる。髪がサラサラだ。
――っていかん!自分を失うな!
グイッと、優しく橙を引き離す。
「すまんな橙。俺は異変調査中何だ。また後でな」
「チッ、琥珀しゃま悩殺失敗。もっと撫でて欲しかった……」
「……?橙、何か言ったか?」
「いえ、何でもないでしゅよ。琥珀しゃま、頑張って下しゃい!」
「おう、ありがとうな」
橙から元気をもらって、俺は再び異変解決に勤しむのだった。
はい、お疲れ様でした。
それでは次回も、のんびりしていってね!