先ず一言、遅れてすみませんでしたぁ!
謝罪しときます!
それでは気を取り直していきましょう。
設定はオリジナル、良いですね?
今回も、のんびりしていってね!
第46話 スペルカードルール
宵闇異変から数百年後。
季節は夏。
俺は博麗神社の縁側にいた。
ここは俺のお気に入りの場所だ。
神社周辺から響くセミの鳴き声、風が吹く度に揺れる風鈴の音、俺が今食べているスイカ、俺は今夏を満喫している所だ。
「満喫するのは良いけど、後にしてくれる?」
「えぇ……ケチだなぁ」
「もうすぐ紫も来るわよ」
「じゃあ皆でスイカ食べようぜ」
「それもそうね、麦茶でも持って来るか……」
少女はそう言って台所へ向かった。
少女の名は
六代目博麗の巫女だ。
代が交代したのは丁度十年程前。
当時まだ七歳だった霊夢に、俺は歴代の巫女達と同じように色んな事を教えた。
霊夢は飲み込みが早く、戦闘面では申し分無い。
まあちょっとサボり癖が強いが。
料理も意外と出来る。
意外と言うのは、霊夢は結構がさつで大雑把だから料理は苦手だと思っていたからだ。
「あんた今失礼な事考えてたでしょ?」
「滅相もございませんよ、霊夢様」
キリッとした決め顔で言う。
危ない危ない、霊夢は怒らせると怖いからな。
勘が鋭いのも霊夢の特徴だ。
この前トランプのババ抜きで七連敗して、罰ゲームで一日メイド服を着せられてこき使われたのは良い思い出だ。
「じゃあ紫も来たし、始めましょうか」
「はぁ、貴方達二人は何で分かるのかしらねぇ」
「気配で分かる」「勘で分かるわよ」
「そうだったわね」
スキマから紫が呆れ顔して出てきた。
俺も最初は霊夢が紫の気配を察知出来るのには驚いた。
紫の存在を認識出来る奴なんて滅多にいないからな。
「あ、琥珀。スイカ頂戴」
「はいはい」
「じゃあ前回の続きね」
「そうねぇ、決闘で勝敗を着けるのは良いけど」
「その決闘の内容が問題だよなぁ」
俺達が何の話をしているか……簡単に言うと、最近何かと物騒なんだ。
妖怪は年々凶暴化していて、幻想郷で許される範囲を越えて人間を襲うようになった。
逆に人間も、退治屋だと言い張って害の無い小妖怪を無闇に退治したりしている。
それについ半年くらい前には、吸血鬼が妖怪を引き連れて幻想郷を攻め落としに来た事もあった。
そいつらは俺が全員まとめてお灸をすえて故郷に返してやったがな。
そこで、何とかこの状況を改善しようと、紫と霊夢、俺で話し合っている最中だ。
その中で出てきた案が、決闘で勝敗を着け、敗者が勝者の言うことを聞くと言う者だ。
決闘の役目は、幻想郷内で起こる揉め事の解決、人間と妖怪が対等に戦える事、強い妖怪同士が闘う時に必要以上の力を出さないようにする事、などなどだ。
だが、それに当てはまる決闘のルールをどうすれば良いか……それを今考えている。
「うぅん……決闘と言えば
「確かにテンプレだけど、皆が皆刀や銃を持っている訳じゃ無いわ。それにこの決闘ルールは貴方が一番の鍵になると言っても過言じゃ無いのよ?霊夢」
「だよなぁ、博麗の巫女である霊夢が率先してやらなきゃなぁ」
「えぇ……私の武器って言ったらお札とかお祓い棒とか陰陽玉とかよ?」
「お札と陰陽玉は飛び道具じゃねーか」
「そうねぇ。早撃ち対決には出来ないわね、それよりも避け合う闘いになりそうだわ」
紫は扇子で顔を隠しながら笑って言った。
……避け合う……ねぇ……。
「あら、もうこんな時間ね。また明日来るわ」
そう言って、紫はスキマの中に消えていった。
周辺からはカナカナとひぐらしの鳴き声が聞こえる。
時間はもう夕暮れ時だ。
「あ、そうだ琥珀、ちょっと野菜とお肉買って来てくれる?」
「ん?あぁ、良いぜ」
霊夢にお使いを頼まれたので、俺は人里に瞬間移動する。
俺が里に着いた瞬間、俺の顔目掛けてボールが飛んで来た。
「――うお!?っぶねぇ」
俺はすぐにボールを躱す。
「あ!すみません!」
すると一人の少年が走って近付いて来た。
少年が来た方には、七人程の少年少女がいる。
恐らくドッジボールか何かで遊んでいたのだろう。
「ほら、ボール」
俺は少年にボールを拾ってあげる。
「ありがとう!」
少年は嬉しそうにボールを持って走っていった。
やはりドッジボールのようだ。
皆でボールを避け合っている。
その笑顔から、とても楽しいと言う事が伝わって来る。
「楽しいか?ドッジボール」
「うん!楽しいよ!お兄さんもやる?」
「え?」
「皆!お兄さんもやるってー!」
「「うぇーーい!」」
それから俺は、半ば無理矢理ドッジボールに参加。
俺一人vs子供達でも見事に勝利。
容赦が無いって?当たり前だ。だって俺だぞ?
「お兄さん強いなぁ!」
「まあな」
「慧音先生にも負けちゃったしなぁ」
「お前達は慧音の所の生徒か?」
「うん!今日も慧音先生とドッジボールやったんだけど負けちゃったんだ」
「……なあ、俺も一緒に闘ってやろうか?」
「え?良いの!?」
「ああ、ただし俺は外野だが」
「いや、良いよ!お兄さんがいれば百人力だ!」
「じゃあお兄さん!明日寺子屋でね!」
「あいよ」
子供達と別れた俺は、神社に帰ると霊夢に遅いとぶっ叩かれた。
―翌日―
俺は約束通りに寺子屋に行った。
寺子屋前では、子供達と慧音が既に準備を終わらせて待っていた。
「……助っ人って琥珀だったのか」
「フッフッフ、覚悟しろよ慧音?」
「くっ、上等だ!」
そして、俺と子供達vs慧音のドッジボール対決が始まった。
試合開始から数分、慧音の容赦ない攻撃により子供達の半分が外野送りになった。
「やい慧音!大人気無いぞ!」
「えぇ!?特大ブーメランじゃないか!」
そして、内野が三人になった時だ。
「後三人……行ける」
「――と、思うじゃん?」
「何!?しまった!」
慧音が気を抜いた瞬間、少年の絶妙なパスが俺に回って来た。
慧音はワンテンポ遅れている為、俺が投げたボールに当たる
「――と、思うだろ?」
「何!?てか俺のパクんな!」
慧音は間一髪の所で上に飛んで回避した。
俺が投げたボールはそのまま飛んで行き、その先には内野の少年がいた。
手加減はしてあるので当たってもケガはしないと思うが、かなりのスピードで飛んでいるボールは少年からしたら怖い筈だ。
「ひっ!」
「大丈夫だ!ボールは味方だ!怖れるな、少年!」
「で、でも」
「勇気を出せ!」
「っ!」
俺が言うと、少年は両手を前に突き出した。
ボールは少年の手に当たり跳ね返る。
ボールが飛んだ先にはまだ空中にいる慧音。
――勝った、計画通り。
「くっ、ここまでか」
ボールは慧音に当たって、見事子供達の勝利になった。
「やったー!慧音先生に勝ったー!」
子供達は嬉しそうにバンザイしたりガッツポーズをとったりしている。
「負けたよ、皆良い動きだったぞ」
「そうだな、良くやったぞ少年」
「あ、ありがとうお兄さん!」
「良いって事よ……そろそろ帰らないと不味いな」
「また何時でも来てくれて構わないぞ、琥珀」
「ああ、サンキュー。……なあ慧音、楽しかったか?」
「え?ああ、楽しかった。こんなに動いたのは久々だったよ」
「……もし、もっとボールが増えたらどうだ?」
「ボールが?」
「ああ、互いに無数のボールを投げ合って当たったら負け」
「うぅん……難しそうだがそれも楽しそうだな」
「そうか、ありがとうな」
俺は皆に別れを告げて神社に戻る。
神社には既に紫がいた。
「琥珀、遅刻よ?」
「許してヒヤシンス」
「琥珀、あんた一週間団子抜きにされたいの?」
「遅れて大変申し訳ありませんでした」
「分かれば良いのよ」
……霊夢、恐ろしい子。
「それじゃ、前回の決闘の続きね」
紫が麦茶を飲んで言う。
俺の頭の中には、決闘の大体のルールが出来上がっていた。
「なあ、提案良いか?」
「良いわよ、何か良い案が出たの?」
「まあな。先ず霊夢、お前昨日言ったよな?武器はお札とかだって」
「ええ、そうよ?あんたが教えたんでしょうが」
「それもそうだった。紫、お前妖力を飛ばして攻撃は出来るよな?」
「ええ、出来るわよ。妖力を使った攻撃は基本中の基本だもの。幻想郷中の妖怪でも出来ない方が珍しいわ」
「だよな。そこでだ!俺は霊力や妖力を使った弾幕戦を提案する!」
「弾幕戦?」
「そうだ。ルールは単純明快、弾を撃ち合って力尽きた方の負け」
「……成る程。悪く無いわね」
「……もう少し細かいルールを付け加えれば……いけるかもね」
「……弾幕なら技って言うのもありね。
「お、良いなそれ。その必殺技っての、回数制限あっても良いかもな」
こうして、俺達が出せる限りのアイディアを並べ、決闘のルールは以下の通りになった。
一、決闘の美しさに意味を持たせる。
一、意味の無い攻撃はしない。
一、
一、カードを使う回数を宣言する。
一、カードを使う際にはカード宣言をする。
一、体力が尽きるか、全ての技を攻略された場合負けとする。
一、このルールで闘い負けたら
大まかなルールは以上。
また、この決闘の名を“スペルカードルール”と名付ける。
はい、お疲れ様でした!
スペルカードルールまで来ました。
何か気になる事があればお願いしますです。
それでは次回も、のんびりして行ってね!