いやぁ、最近忙しくて中々投稿出来ませんでした。
こんな私ですが、これからもお願いします!
それでは今回も、のんびりしていってね!
私の目の前では、妹紅さんとルーミアさんの激闘が既に始まっていた。
私はルーミアさん封印の為に準備を始める。
頭に手を伸ばし、リボンをほどく。
私が今から行う封印は、ルーミアさんの力の封印だ。
その為には、ルーミアさんの力を封印する依代が必要となる。
今の私に残された物は、このリボンくらいだ。
私は急いで術式をリボンに組み込んでいく。
ルーミアさん程の力を封印となると、私もそれ相応の力を使う。
でも、今はそんな事言ってる場合じゃ無い。
妹紅さんが闘ってくれている今の内に。
「あんた、そこで何をしているの?」
ルーミアさんが持っていた大剣が、私に向かって飛んで来た。
「――ッ!?」
術式に集中していたので、私は反応が遅れてしまった。
もう間に合わない!
「危ない!」
大剣が目と鼻の先に来た所で、私は妹紅さんに弾かれて何とか助かった。
「ありがとうございます、妹紅さん」
「気にするな、霊陽はそれに集中してくれ」
そう言って妹紅さんは再びルーミアさんに向かって行った。
私も作業を再会する。
もう少しだ!
もう少し……。
……出来た!
待っていて下さい!妹紅さん!
――肌寒い風にざわめく木々達、外から聞こえる鈴虫達のうるさい程の鳴き声は、まるで俺に何かを必死に伝えようとしている様だった。
先程から妙な胸騒ぎがする。
霊陽は朝に出掛けてから帰って来ない。
ここ最近では珍しい事では無い。
だが、俺は何故だか急に不安になって、霊陽を探す事にした。
まあ大丈夫だとは思うが、念には念をだ。
それに俺も霊陽を手伝ってやりたいしな。
そうして俺は霊陽を探す為に神社を後にした。
「妹紅さん!出来ました!」
霊陽の声が聞こえた。
どうやらルーミア封印の準備が整った様だ。
「良し、やっちまえ霊陽!」
私は後ろに飛んでルーミアから距離をとる。
私が飛んだ瞬間、霊陽がリボンを投げつける。
リボンはルーミア目掛けて飛んでいき、リボンから展開された魔方陣がルーミアを取り囲んだ。
「この私が、こんな奴等に遅れをとるとはね」
ルーミアは歯をくいしばって悔しがっている。
ざまあ見ろってんだ。
「――でもね、私はただで敗けるつもりは無いわ」
ルーミアは魔方陣に拘束されつつも、霊陽に向かって手を伸ばした。
ただの悪あがきに過ぎない。
私はそう思った。
その時、気付くべきだったのだ。
先程ルーミアが放った大剣が、霊陽のすぐ後ろにあった事に。
ルーミアが手を伸ばした瞬間、大剣が宙に浮いた事に。
そして――
「霊陽ぃ!後ろだぁぁ!」
私は全力で叫んだ。
でも、間に合わなかった。
大剣は意思を持った様に霊陽に突進して、その刃は霊陽の体を貫いた。
霊陽はそのまま、その場に倒れた。
霊陽の傷口からは、霊陽の血が流れ続けていた。
「フフ、ざまあ見なさい。霊陽だったかしら」
そのままルーミアは、眩い光に包まれていった。
光が収まると、ルーミアがいた場所には小さな少女が眠っていた。
「……霊陽……霊陽!」
私は霊陽に駆け寄って霊陽の上体を起こす。
霊陽に刺さっていた大剣はいつの間にか無くなっていた。
恐らくルーミアが封印されたからだろう。
霊陽を起こす時、私の手には温かい液体の感触があった。
その感触が私の不安を煽る。
「……霊陽?」
不安と混乱の混じったか細い声で霊陽の名を呼ぶ。
「も……こ……さん」
力無い目で私を見つめて、力無い声で私の名を呼ぶ。
そんな霊陽の姿に、私の目には知らず知らずの内に涙が溜まっていた。
霊陽は続けた。
「私……もう……すぐ……死ぬと……思い……ます」
何でそんな事言うんだよ?
声に出したいが声が出せない。
「伝言……頼め……ますか?」
「……あぁ、何だ?」
涙ぐんだ声で霊陽に聞くと、霊陽は最後の力を振り絞った様に笑って言った。
「こ……さんに……だい……っきて…………」
そうして、霊陽は目を閉じた。
霊陽の体がだんだんと冷たくなっていく。
私の視界は涙で歪んでぐにゃぐにゃだ。
私は霊陽を抱き締める。
力一杯抱き締める。
そして、私はとうとう耐えきれずに泣き叫んだ。
その泣き声は、夜の静かな森の中に響き渡った。
肌寒い風にざわめく木々達、辺りから聞こえる鈴虫達のうるさい程の鳴き声は、まるで霊陽の死をひたすらに嘆いている様だった。
森を歩いていると気配がしたので行って見ると、そこには血塗れの霊陽を抱き締めて涙を流す妹紅の姿。
俺は直感的に分かってしまった。
胸騒ぎの正体を、妹紅の涙の理由を。
「妹紅……霊陽は……」
俺が言うと、妹紅は涙を啜りながら言った。
「琥珀、霊陽からの伝言だ」
「……何だ?」
「「大好き」だってさ」
「……そうか」
気が付くと、俺の目からも涙が流れていた。
すると、うなり声が聞こえた。
「う……うぅん……ここは、どこなのだー?」
声の方向を見ると、金髪の髪に赤い瞳、黒いロングスカートを着た少女がいた。
すると妹紅は、霊陽を優しく寝かせた後、怒りに満ちた様子で少女に迫った。
「テメェ、よくも霊陽をッ!」
「おい妹紅!落ち着けって」
俺は大の字になって少女の前に立った。
「どいてくれ琥珀!そいつが、そいつが霊陽をッ!」
「お姉さんは誰なのだー?」
妹紅が言うと、少女は腕を広げ首を傾げながら言った。
「とぼけるなッ!妹紅だ!状況が悪いからしらばっくれようとしても無駄だぞ!」
「本当に知らないのだ。お姉さんは私の事を知ってるのかー?」
少女の言葉を聞いた妹紅はその場に膝をついた。
「そうか……お前、記憶が……」
妹紅の目からは再び涙が流れていた。
「……妹紅」
俺はそっと妹紅を抱き締めた。
妹紅の手は力強く俺の背中を掴む。
俺はただ、妹紅の頭を撫で続けた。
霊陽が死んでから一ヶ月が経った。
あの異変は「宵闇異変」と名付けられ、霊陽が解決したと伝えられた。
あの後すぐに紫も来て、あの場は泣き声に包まれた。
あれから今日まで、特に目立った事も無く、平和に時は流れていった。
紫は今、二代目の巫女を探すのに奮闘中だ。
まあ、こんなもんかな。
俺はその場に立ち上がり、笑顔で言う。
「じゃあな、霊陽」
そして、俺は霊陽の墓を後にした。
はい、お疲れ様でした!
これでこの章も終わりですね。
それでは次回も、のんびりしていってね!