今回も、のんびりしていってね。
「……藤原妹紅だが?」
白髪の少女が、何で名前なんか聞くんだよって感じの目をして言う。
だが問題は彼女の名前だ。
藤原妹紅――それはさっきの団子屋での回想に出てきた、輝夜がいた都で俺が知り合った黒髪の少女の名前だ。しっかりと覚えている。だが、彼女は黒髪で人間なのだ。此処にいる筈が無い。……彼女が人間ならだけども。
俺は考えても仕方ないと思い、聞いてみた。
「なあ、妹紅ってさ、人間?」
すると妹紅は面倒臭そうに言う。
「私は蓬莱人だ」
その説明は一般人には分から無いだろうが、俺には充分だ。
蓬莱人……つまりは不老不死。もしも俺が知ってる妹紅が何らかの原因で蓬莱人に成ったのだとしたら。
俺は妹紅が俺を覚えているか聞いてみた。
「妹紅、俺を覚えているか?俺だ、雨宮琥珀だ」
俺が言うと、妹紅は少し顔をしかめて、その後で驚愕の表情しながら言った。
「……琥珀って、あの、団子好きの、あの琥珀?」
「ああ、俺だ。覚えてたか……にしても大きくなったなぁお前!あの頃はまだ小学生くらいだったのに」
俺が懐かしそうに言うと、妹紅は嬉しそうに俺に抱きついて来た。
「琥珀ー!久しぶり!会えて嬉しいよ!」
「ちょ、急に抱きつくなっての!」
俺と妹紅が騒いでいると、銀髪の少女が困ったように言う。
「えっと、これはどういう状況だ?」
すると妹紅が俺から離れて、興奮気味で少女に言う。
「慧音!この前言っただろ?私の初めての友達の事!」
すると少女が思い出したように相槌を打つ。
「あぁ、琥珀と言う人物の事か、……その人が?」
「ああ、間違い無い」
「……強盗は?」
「琥珀はそんな事しないさ、嘘つきだけど」
妹紅が言った後、慧音と呼ばれる少女が俺に近付いて言った。
「琥珀さん、私の早とちりで誤解してしまった。申し訳無い」
「いや、良いさ、誤解が解けて良かった」
俺が言うと妹紅が続けざまに言った。
「取りあえず、慧音の家に行こう!良いだろ?慧音」
「まあ、私は良いが――」
「よし、なら決定だな。行こう琥珀、あっちだ」
慧音と言う少女の言葉を遮って妹紅が言う。
そして俺は、妹紅に手を引かれて慧音の家に向かう事になった。
――そして俺、妹紅と慧音の三人は、居間でちゃぶ台を囲むように座っていた。
最初に口を開いたのは、慧音と言う少女だ。
「改めて、私は
「俺は雨宮琥珀、よろしくな。馴れ馴れしくしてくれて結構だ」
俺も自己紹介する。
それから始まる雑談タイム。
妹紅の昔話し、慧音と妹紅の関係、俺の旅の事。
そして時間はあっと言う間に過ぎて、俺はそのまま此処に泊まる事になった。
俺から言ったんじゃなくて、妹紅が泊まれば良いと押しきったのだ。
そうして俺は慧音宅に一晩お世話になり、翌朝、朝食を食べてまた旅に出た。
まだ旅の途中だからね。仕方ないね。
まあ幻想郷にいる限り、また何時でも会えるから大丈夫だ。
そして暫く森を歩いていると、前方に大きな縦穴を発見した。
「え?何ここ、危ないなぁ」
俺は縦穴を覗いて見るが、底は見えない。相当深いようだ。
此処で俺のイ〇ディアナ・ジョーンズ宜しく!冒険心が騒ぐ。
「よし、行くぜ!」
そして俺は穴にダイブする。
あの独特の浮遊感を味わいながら暫く落下して、地面へと着地。
それなりの高さ故か、俺の着地地点は軽くへこんでいる。
辺りは真っ暗で良く見えない。
俺は能力で見える事にして歩き始める。
「待って、貴方って人間よね?」
暫く歩いた所で、後ろから声を掛けられる。
後ろを向くと、金髪のポニテに茶色のリボンをした少女が立っていた。
「ああ、人間だぞ。君は?」
俺が聞くと少女は
「私は
と言った。
俺も自己紹介をする。
「俺は雨宮琥珀だ、宜しくな、ヤマメ」
俺が手を差し出すとヤマメは少し驚いたように言う。
「琥珀は私が怖く無いの?人間でしょ?私は妖怪だよ?」
そんなヤマメに笑って答える。
「別に怖く無いさ。怖がる理由が無い」
するとヤマメも笑って言った。
「琥珀は面白いね、宜しく!」
俺とヤマメは握手をする。
そしてヤマメに聞かれる。
「琥珀は何で此処に居るの?」
「面白そうだったから」
するとヤマメは大笑いして言う。
「琥珀は本当に面白いね!じゃあ此処がどういう場所か知らないの?」
「知らんな」
「じゃあ、私が案内してあげるよ」
そして、俺は此処をヤマメに案内してもらう事になった。
お疲れ様でした。
今回から名前の紹介の雰囲気を変えて見ました。
それでは次回も、のんびりしていってね。