東方転生録   作:のんびり+

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はい、どうものんびり+です。
今回も、のんびりしていってね。


第36話 幻想郷巡り

今の時刻は朝の七時程。俺は霊陽に淹れてもらったお茶を啜りながら思った。

暇だな。

まあ、俺は平穏で暇がある生活を送りたい人だから別に良いけど……やっぱり暇だ。何かやること無いかな。何時もだったらぶらぶら旅をするけど……そう言えば俺って幻想郷の事あんまり知らないな。

……やること決定!

俺はお茶を飲み干し、霊陽に言う。

 

「霊陽、俺は旅に出るぜ!」

 

 

――そして、今は適当に森の中をぶらついている。

いやー、旅って良いな!

まあ自分の神社ほったらかしにしてふらつく神もどうかと思うが。

でも神って名だけで俺はれっきとした人間なんだよな。

霊陽に俺は人間って言ったときは目を点にして驚いたけど。

俺、人間だもん。

そして暫く歩いていたら、木がどんどん少なくなっていき、気付くと人々が賑わう町のような所に出た。確か紫が人里と言ってたな。

そして、俺は何かにとり憑かれたようにある場所を探し始める。

数十分歩き回ってようやく見つけた。

俺はベンチに腰掛け店主に言う。

 

「おっちゃん、みたらし三本と緑茶くれ」

 

やはりこういった所に来たときは団子を食べなくては。

団子が旨い町は良い町と決まっているのだからな!

 

「お待ちどう!」

 

おっちゃんはみたらし団子が乗った皿を俺の横に置き、遅れてお茶を置いた。

 

「ほう……」

 

俺は団子を観察する。団子は綺麗な球体で、もちもち感を見事に演出している。

そしてその団子をやさしく包み込む、光沢を放つみたらし。

今まで俺が食べた団子で一番だったのは、輝夜の所の都で食べた団子だ。

もう数千年も前の事だがあの味は忘れない。

だが目の前の団子……これはひょっとするかも。

俺は串を掴み、ゆっくりと団子を口に運ぶ。

先端の団子をパクりと口に入れ、咀嚼(そしゃく)する。

――瞬間、琥珀の中に潜む団子愛が、とてつも無い冒険を生んだ!

 

「ッ!トレッビアァァン!

何だこの味は!?舌の上で深く絡み合うハーモニーィ!」

 

この団子、想像以上に旨い!

これは都の団子よりも……或いは……。

 

「お母さん、あの人面白いよ!」

 

「こら!目を会わせちゃ駄目よ!」

 

俺を見た親子連れの人が足早に去って行った。

近くの通行人も俺を見ながらコショコショと何かを話しながら通り過ぎて行く。

そして俺は気付く。自分が何をしたのかを。

白昼堂々、急に大声を上げながら立ち上がって叫んでたら変人だと思われるのが普通だろう。

……恥ずかしい。

俺は顔を真っ赤にしながら黙々と団子を食べた。

 

――気を取り直して、俺はこの町を観光する為に町を歩いていた。

 

「キャァァ!」

 

すると突如として聞こえた女性の悲鳴。

俺は声の方向を見る。そこには何やら人だかりが出来ていた。

 

「何だ?」

 

俺は事態を知る為に人だかりへ向かう。

人と人の間を掻い潜って先頭へ行くと、そこには黒い着物を着た中年の男が数人と、刀を首元に当てられて身動きが取れない女性。

どうやら強盗のようだ。

やれやれ、幻想郷が出来て最初の事件は人間の強盗。

妖怪絡みじゃ無いくても人が人を襲ってちゃ意味がないよ。全く……。

俺はこの事件解決の為に男達に歩み寄る。

 

「ん?何だテメーは!?動くんじゃねぇ!」

 

女性に刀を突きつけた男が、人質が見えないのか?と言わんばかりに刀を強調して言う。

 

「お前達、こんな馬鹿な事さっさとやめるんだ。今なら痛い目見ずにすむぞ?」

 

俺が呆れ半分で言うと、男達は笑いながら言った。

 

「何だ?コイツは、正義のヒーロー気取りかよ!」

 

そして男の一人が大げさに歩いて近付いて来た。

 

「お前みたいなひょろい奴に何が出来るんだ?」

 

男達は見た目は大柄で筋肉もついている。

(はた)から見れば、一般人がプロレスラーに挑むようなものだろう。

すると人だかりから声がする。

 

「兄ちゃん!無理するな!」

 

「そうよ!危ないわ!」

 

どうやら皆俺を心配してくれているようだ。

やはり此処は良い町だった。

そんな様子を見て、男は腕を上げながら言った。

 

「おいおい、無傷で帰れると思うなよ?」

 

そして男の拳が俺の顔面に叩き込まれた。

人だかりからは悲鳴が聞こえた。

これから俺が男のサンドバックにされると思っているのだろうか。

実際の所痛くも痒くも無いのだが。

そして男がもう一発拳を繰り出して来たので、俺は男の腹に右手の小指で突きを入れる。そして男はそのまま崩れ落ちる。

 

「……何!?」

 

男達は目の前の光景が信じられないと言う顔をしている。

そんな男達に、優しい俺は再び忠告をする。

 

「もう一度言う。コイツを連れてさっさと帰るんだ」

 

すると男達は苦い顔をしつつも言う。

 

「フン、いい気になるなよ?」

 

「そいつは我ら四天王の中でも最弱よ!」

 

……何コイツ等。

 

「次は俺が行くぜ!」

 

そう言って、一番背が高い男が出て来た。

て言うか、何でトーナメント戦みたいになってんだよ。

 

「俺は四天王最速の男、ハイブリッドだ!行くぜ!」

 

男は俺に猛ダッシュで接近して来る。

かかと落としが来たので、俺は脚を掴んで、そのまま後ろに叩き付ける。

 

「ひでぶっ」

 

男はそのまま気絶した。

 

「何!?まさかハイブリッドがやられるとはッ!」

 

「くっ!こうなったら二人で行け!」

 

その声と共に、少し太った男と、頭に緑のハートマークのハチマキをした金髪の男が立ちはだかる。

 

「四天王一の力持ち、ミニバン!」

 

太った男が言う。

 

「四天王一の格闘家、セダン!」

 

続いて金髪の男。

 

「「行くぞッ!」」

 

二人が同時に飛び掛かって来た。

だから何なの?この鉄板ヒーローものみたいなノリ。

 

「喰らえッ!高速突風蹴り(ハイスピードハリケーンキック)!」

 

と、金髪の男が何か叫びながら俺に飛び蹴りを放つ。

俺は横に飛び蹴りを躱して、金髪男の首に手刀を打っておく。

そのまま男は背中から地面へと着地し、白目を剥いて気絶した。

 

WRYYYYYY(ウリィィィィィ)!」

 

すると太った男が両手を前に出しながら突進して来た。

俺は男と両手を掴み合い、男のでこに頭突きをかます。

 

「うげぇぇ!」

 

男はそのまま仰向けで地面に倒れ込んだ。

俺は残った最後の一人を睨みつける。

 

「ひぃっ!お助けーー!」

 

男は刀を放り投げて、一目散に逃げて行った。

 

「凄いな!アンタ!」

 

人だかりから歓声が上がった。

 

「あの、ありがとうございました!」

 

すると、人質にされていた女性が駆け寄って来て、お辞儀をして言う。

 

「いや、たいしたこと無いさ」

 

一件落着だな。

俺は男達を能力で自宅に帰して、この場を去ろうとした。

 

「待てッ!強盗!」

 

すると後ろから怒鳴られる。

振り返ると、白髪のロングヘアーに赤いもんぺのような物を履いた少女と、青のメッシュが入った銀髪ロングに変わった青い帽子、上下が一体になっている青い服を着た少女がいた。

 

「強盗め!今なら痛い目見ずにすむぞ!さっさと降参しろ!」

 

白髪の少女が言う。

あ、これあれだ。誤解パターンだ。

俺は誤解を解くために言った。

 

「お嬢さん達、何か勘違いしてないか?強盗ならもう片付けたぜ?」

 

すると銀髪少女が俺を指差して言った。

 

「とぼけるな!強盗は黒い着物を着た男だと情報が入っている!」

 

そう言えばそうだった。

……俺って良く理不尽なめに合うよな。

 

「えっとだな、俺は本当にちが――」

 

「問答無用!」

 

俺が言うより早く、白髪少女が迫り来る。

少女の蹴りや拳を避けながら俺は釈明(しゃくめい)を続ける。

 

「強盗は俺が追っ払ったの!俺は何年間もこの着物で統一してんの!あ、ずっとこの着物じゃなくてちゃんと一日ずつ新しいからな!」

 

「五月蝿い!そしてどうでも良い!」

 

少女は攻撃を止める気配無しだ。

俺は一度距離を取って、どうするべきか考える。

……仕方ない。少し眠ってもらうか。

白髪の少女が再度飛び掛かって来る。

 

――すると、さっきの人質の女性が大の字になって俺の前に現れた。

白髪少女は驚き、攻撃を止めた。

 

「妹紅さん!落ち着いて下さい!この人が言ってる事は本当です!」

 

女性は言う。俺を庇ってくれたようだ。ありがとう!

――そして、聞き間違いじゃ無ければ、さっき妹紅って聞こえたんだが。

 

「え?そうなのか?」

 

「はい!私はこの人に助けられたんです!」

 

「あの、ちょっと良いか?白髪ちゃん」

 

「ん?何だ?私はまだお前を信用して無いぞ!」

 

「いや、あの、君の名前は?」

 

俺が聞くと、少女は言った。

 

「……藤原妹紅だが?」

 

――――マジかよ。

 

 




はい、お疲れ様です。
それでは次回も、のんびりしていってね。

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