今回も、のんびりしていってね。
俺と霊陽の同居生活が始まって早三ヶ月。
俺は霊陽に出来る限りの事を教えた。
霊力の使い方、戦闘の基礎、美味しい団子の作り方等々。
霊陽は非常に飲み込みが早く、戦闘は大妖怪と互角くらい、団子はそこらの団子屋を軽く
そして、俺と霊陽の関係も深まった。
変な意味じゃ無いぞ?あれだぞ?家族的なあれだぞ?
それに霊陽が俺に惚れる訳無いじゃん。
「琥珀さーん、そろそろですよ!」
「ああ、今行くよ」
俺は霊陽に声を掛けられて外に向かう。
何故なら今日は、ついに博麗大結界を張る日だ。
もう少しで紫達がやって来る。
「私達は此処にいます♪」
「知ってた。はよ来いや」
何故かハイなテンションで、紫と籃がスキマから現れる。
「それじゃ、早速やっていきましょう!」
紫が張り切った様子で言う。
あれ?紫ってこんなキャラだっけ?
……まあそれは置いとこう。
今回の主役は霊陽と紫なので、俺と籃は軽くサポート役だ。
「それじゃ霊陽、準備は良い?」
「はい、いつでも!」
博麗大結界の展開が始まった。
――あれから数時間。
空が茜色になる頃、ようやく結界が完成したらしい。
紫と霊陽は額から汗を垂れ流し、軽く背伸びをした後に、安堵の溜め息を溢した。
「やっっと終わったわぁぁ」
紫が解放感に溢れて言った。
「疲れましたぁぁ」
霊陽もくたくたになって言う。
二人の気持ちは察せる。
何時間も此処で結界を組んで霊力、妖力を注ぎ続けたのだ。そりゃ疲れるわ。
さて、今度は俺の出番だ。
約束を果たさないとな。
「俺はちょっと出掛けるぞ」
そう皆に告げて、俺は能力を使ってその場所に向かった。
――こちらはもう夜で、俺は紅色の月を見上げた後、屋敷へと歩を進める。
門の前には、何時も通り突っ立ったまま動かない門番の姿。
全く、全然変わらないな。
俺はその緑のチャイナドレスの門番まで近付き、耳元で叫んだ。
「美鈴!起きないと定規で滅多刺しにすんぞ!」
「――ひゃい!?それだけは勘弁を!ってあれ?」
間抜けな声と共に美鈴は顔を勢い良く上げる。
実は俺が紅魔館にいた頃、小妖怪共が襲って来た事があり、俺と美鈴で応戦したのだが、その時に俺が投げた数本の定規が誤って美鈴に刺さってしまった事がある。
美鈴
「あれ?琥珀さんじゃないですか、何でまた……」
「何寝惚けてるんだ?俺が此処に来る理由は一つだろ?」
「……あ!幻想郷の事ですね!」
美鈴はしてやった顔をして言う。
一体何をドヤッているのか。
「ささ、どうぞ琥珀さん中へ」
「おう」
俺は紅魔館の中へと向かった。
俺はレミリアの部屋の前に行って、ドアをノックする。
中から返事があったので、ドアを開けて中に入ると、レミリアとフランがお茶会をしていた。
「あぁ!お兄様だ!」
フランは俺を見るや否や、嬉しそうに俺に抱きついて来る。
「元気にしてたか?フラン」
「うん!」
俺はフランの頭を撫でながら言う。
甘い少女の香りがする。癒されるわぁ。
「琥珀、此処に来たのは幻想郷の事でしょ?」
俺が癒されているとレミリアが紅茶を啜った後に言った。
「ああそうだ。もうやって良いのか?」
「ええ、私達の生活には何ら変わり無いもの」
「じゃ、いくぞ」
俺は能力で、紅魔館ごと幻想郷の一部へと移動する。
美鈴はいきなり光景が変わって驚いている事だろう。
「お兄様、折角だから一緒にお茶しましょう?」
「……それもそうだな」
俺はソファーに腰を掛けて、そのまま朝まで紅魔館で談笑していた。
お疲れ様でした。
皆さんに楽しんで見て頂けるように頑張ってはいるものの、難しいですね。
もっと頑張らなくては……。
それでは次回も、のんびりしていってね。