東方転生録   作:のんびり+

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はい、どうものんびり+です。
頭痛が引きました!
訂正。フラン達の歳を百では無く二百にしました。特に意味は無いですが。
と言う事で、今回ものんびりしていってね。


第32話 小さな姉妹

紅魔館の一室で、レミリアが語り出した。

 

「先ず、簡単にあの子の紹介をするわね」

 

レミリアは一息置いて言う。

 

「あの子の名はフランドール・スカーレット。私の妹よ」

 

そして、レミリアは顔つきを変えて言った。

 

「まあ、簡潔に言うわ……先ずあの子の能力は「あらゆるものを破壊する程度の能力」。そしてあの異常性は生まれ持ってのもの。それがあの子を地下へ閉じ込めた理由よ」

 

レミリアが言うと、琥珀は少し考える仕草をした後に、レミリアに続けるように促した。

 

「それじゃ、あの子を閉じ込めるに至った経緯でも話しましょうか」

 

 

そして、私は話す。過去にあった私達の物語りを。

 

 

――今から二百と数年前。私は当時五歳程だった。

私達が住むこの屋敷は紅魔館と呼ばれ、ここら一帯の人間や妖怪に恐れられていた。と言うのも、私のお父様ノーブル・スカーレットはその強さとカリスマ性から紅い王(スカーレットキング)として名を知らしめていた。

私はお父様から、スカーレット家の者は皆強く気高くなければならない、とよく教えられた。そしてお母様であるローズ・スカーレットからは、美しくおしとやかであるようにと言われ育てられた。私もいつかお父様とお母様のように、強く美しい存在になりたいと思っていた。そんなある時、私に妹ができた。

名はフランドール・スカーレット。お母様そっくりの金髪に、背中の宝石のような羽が綺麗な子だった。私は自分に妹ができた事が嬉しかった。

フランはすくすくと育っていき五歳になる頃、私は十歳になっていた。

だが、私には一つ心配な事があった。それはフランの異常性だった。

フランは情緒不安定で、普段からその片鱗が見て伺えた。

例えば、ある三日月の夜、妖怪が三匹紅魔館に侵入した事があった。

妖怪達はこの紅魔館に、肝試し感覚で侵入したのだろう。

私とフランが庭を散歩していると、妖怪達は急に襲いかかって来た。

するとフランが開いた右手を前に出して握りしめる仕草をする。

すると妖怪の一匹が、まるで水を限界以上に入れられた水風船の様に破裂した。

フランは返り血を全身に浴びて真っ赤に染まる。

そしてもう一度右手を前に出して言った。

 

玩具(オモチャ)は一つでいいよ」

 

妖怪は叫ぶ暇も無く、爆発四散した。

残った妖怪はへなへなと座り込んでしまった。その顔に絶望を宿して。

そこからは見てられなかった。

拷問なんてものが可愛く見えた。フランはあらゆる手段で妖怪を弄って叫ばせた。

妖怪の指を折る。腕を、脚を。目を片方だけ抜き取る。

その抜き取った目を妖怪自身に食べさせたりもしていた。

フランが遊び終わる頃には、妖怪は原型を留めておらず、バラバラの肉片と赤い血だけがその場に残っていた。そしてフランは私に、血塗れの笑顔で言った。

 

「面白い玩具だったね、お姉様」

 

その時私はフランを再認識した。その残酷な異常性を。

 

 

――そして事件は起こる。

事の始まりは些細な事だ。

フランのお母様への反抗。

どこの家庭でもあるような痴話喧嘩。

だが、違うのはその家庭が家だった事だ。

フランの勉強部屋にお母様が行ったきり帰って来ない。

私は様子見の為にフランの部屋に行った。

そしてドアを開けて私が見たものは、

血溜まりに倒れるお母様と、退屈そうにベッドに座るフランの姿だった。

 

「あ、お姉様!」

 

フランは私を見ると、私に駆け寄って来た。

目の前の光景にまともな思考が出来ない私だったが、私は一つフランに聞いてみた。

 

「……ねえ、フラン。お母様は……どうしたの?」

 

するとフランは、一度お母様を見て言った。

 

「えっとね、邪魔だったから殺しちゃった」

 

私はどういう事態か理解した。

その時私がフランに初めて恐怖を覚えた。

 

すると、異状に気付いたお父様がやって来た。

お父様は部屋の光景を見て驚きの表情を見せた。

そして、暫く考え込んだ後言った。

 

「……フラン、これはお前がやったのか?」

 

「うん」

 

「……何故だ?」

 

「邪魔だったから」

 

瞬間、乾いた破裂音が響く。

お父様の掌がフランの頬を叩いた音だ。

そして、お父様はゆっくりと言った。

 

「フラン、自分が何をしたか理解出来るか?」

 

するとフランは、お父様を睨み付けて言った。

 

「――お前も要らない」

 

するとフランは右手を前に出す。

危ない!と私が言うより早く聞こえた爆発音。

そこを見ると、左腕を無くしたお父様と、壊れた床、不機嫌そうなフラン。

私はもう何が何だかついていけなかった。

そこから、フランとお父様の“戦闘”が始まった。

親子喧嘩なんて生温(なまぬる)いものじゃ無い。

正真正銘の殺し合いだ。

殺意の籠った弾幕。蹴り。殴り合い。

私は唯呆然と、その様子を傍観する事しか出来なかった。

 

 

 

 

そして聞こえる大きな爆発音。

そこには煙が充満していて、何がどうなっているのかは確認出来ない。

暫くすると煙が晴れて、私が見たのは、ボロボロに倒れるフランとそれを見下すお父様の姿。

 

「すまないローズ、フラン。こうなったのは私の責任だな」

 

お父様は悲しそうに言う。

 

「フラン、本当にすまない」

 

お父様がフランにとどめを刺そうとする。

このままだとフランが死んでしまう。

それを悟った私の体は、私の意思とは関係無しに動いた。

 

 

 

――温かい液体の感触。

気が付くと私は……、私の腕は、お父様の胴体を貫いていた。

 

「あれ?……何これ……?」

 

血。お父様の。何で私の腕はお父様のお腹を貫通してるの?

何で?どうして?

 

私はお父様から腕を抜いて、ふらふらと後ずさる。

お父様は寂しそうな顔で私の瞳を覗いて、そのまま倒れて行った。

 

それっきり、お父様は動く事は無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――それから数ヵ月後。

私はフランと相談し、フランを地下へと幽閉した。

フランは反対せずに地下へと行った。

 

私は誓った、必ず強くなると。

 

それから私は紅魔館の主として、強く気高い吸血鬼になるために努力を重ねた。

 

そして数年もすれば、私は紅い悪魔(スカーレットデビル)と呼ばれる様になる。

そして、私に挑んできた妖怪を門番にしたり、紅魔館の一部を魔女に提供したりした。

 

 

そして月日は流れて行き、現在。

 

 

 

「これが大まかな私達の過去よ」

 

そう言って私は、紅茶を少しだけ(すす)った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。
最近、1話から頑張って編集中です。疲れました。良かったら見直してみて下さい。
アドバイス、ご意見、ご要望あればおねがいします!
それでは次回も、のんびりしていってね。

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