今回も、のんびりしていってね。
此処はある屋敷の地下。そこには、激しい爆発音のような轟音と、少女の笑い声が響いていた。
「キャハハ、楽しいねぇ!琥珀!」
「いや、全然」
俺はフランから繰り出される激しい弾幕の群れを、右へ左へと移動しながら躱す。
「フフ、ならこれはどう?」
フランの手には、ねじ曲がった杖のような物が握られている。
すると、その杖のような物は炎を帯び大きな剣の様になる。
そしてフランは、その剣を振り回しながら俺へと飛び掛かって来た。
俺は即座に
ガキン!と金属がぶつかり合う音が響き渡る。
俺はそのまま右足を隙だらけのフランのボディに叩き込む。
グエッ!と苦しそうな声を上げながらフランは上へと吹っ飛んで行き、あまりの勢いに天井の壁にめり込んだ。
ガラガラと天井の壁が一部崩れ、フランは壁達と一緒に地に落ちる。
「おっと、いけないいけない」
俺は能力で、壁の破壊を
泊めてもらっている屋敷を壊す訳にはいかない。
俺が壁を直すと、フランはゆっくりと立ち上がり、鋭く紅い眼差しで俺を見据え言った。
「もう頭きた!お前何か要らない!壊してやる!」
すると右手を前に差し出した。
あの構えは、先程俺を一瞬にしてボロ雑巾に変えた技だ。恐らくフランの能力だろう。能力には能力で対応だ。俺はフランよりも早く能力を使った。
【あらゆる現象、事象、概念に干渉されない】嘘を【本当】に。
これは俺が西行妖の時にも使った
これで俺には、如何なる現象だろうが事象、概念だろうが干渉されない。まあ、無敵状態という事だ。
基本的に一度
今回のような事が起きない為にもこの効果は持続させるべきだな。
俺がそう決心し終わると、フランの右手は握りしめられた。
――が、俺に異状は無い。
するとフランは目を見開いて言う。
「……何で壊れないの?」
「“防いだ”からな」
俺が言うと、フランは口を尖らせ、不機嫌そうに言った。
「……あっそ。……気に入らないわね、貴方」
正直、今俺は滅茶苦茶傷付いた。
だって気に入らないって……。
だが、今は
フランは異常だ。
狂気に満ちていると言っても過言では無い。
元々こんな感じなのか、普段は違うのか。
どっちにしろ、今のフランには少々“教育”が必要だ。
俺はフランに問いてみた。
「なあフラン、お前はさっきから“壊す”と頻繁に言っているが……壊すって何だ?」
俺が言うと、フランは変わらぬ面持ちで言った。
「別に、壊したいから壊すのよ。普通の事でしょ?」
「……お前は壊す事に罪悪感を感じるか?」
するとフランは不思議そうな顔をして言った。
「何で?感じた事なんて無いわ」
……これは難しいな。
俺が思うにフランは、純粋で無知、それでいて情緒不安定。
さて、どうしたものか……。
俺がどうしようか迷っていると、突如として声が聞こえてきた。
「琥珀……これはどういう事かしら?」
……やっべぇ。レミリアの事忘れてた。
俺がゆっくりと後ろを見ると、そこには明らかに怒った様子のレミリアの姿があった。
「えっと……これはだな……」
何て言えば良いんだ?
俺は必死に言葉を探す。
「あっ!お姉様!」
するとフランは、俺の事など忘れた様に嬉しそうにレミリアに駆け寄る――が、「駄目よ、フラン」
レミリアの言葉でフランは停止する。
「……ごめんなさい、お姉様」
そう言ってフランはベッドに戻って座ってしまった。
俺はレミリアに「行きましょう」と言われ、地下を後にした。
――此処は紅魔館のリビング。
長方形のテーブルの左右の背もたれ付きの椅子に美鈴やパチュリー、小悪魔といった紅魔館メンバーに琥珀、そして奥にはレミリアが座っていた。
「こうなってしまっては仕方ないわね……」
レミリアが口を開いた。
「貴方にも話しておくわ、私達姉妹の過去を」
そしてレミリアは語り出した。
はい、お疲れ様です。
次回ものんびりしていってね!