東方転生録   作:のんびり+

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はい、のんびり+です
キャラ紹介と本編を分けました
どうでしょうか?
この章はこの話で終わりです
では今回ものんびりしていってね


第13話 眠った神子と旅立つ俺

 

神子が道教の研究を始めて二ヶ月程が経った。

国では見事に仏教が広まり信者は多い。

 

そんな中神子は、道教に従い超人的な能力の発揮に成功していた。

主に超回復等だ。常人なら回復に時間が掛かる病気や怪我も一日もすれば元通り。

そして、神子が特に力を入れているのは不老不死についてだ。

 

「お疲れ様、神子」

 

「ありがとうございます、琥珀」

 

「研究もいいがあまり躍起になるなよ?」

 

「分かってますって」

 

神子の話によると布都も道教を研究しているらしい。

 

何だろう、置いてけぼり感がヤバい。

皆がワイワイ新しいゲームやってて、俺だけ古いゲームやってる並みだぜ。

俺もやってみるか……いや、俺には関係ないか。

それに、俺まで道教を始めたら屠自古が孤立してしまう!

 

俺がいく訳にはいかねぇ(使命感)。

 

そんな感じで、神子達が道教の研究をして、俺は団子屋に行く。

そんな日々が淡々と続いていた。

 

 

因みに、琥珀は約二ヶ月ずっと団子屋に通ったので、店のおじさんとはとても仲が良くなった。

琥珀が「いつもの」と言ったのなら、みたらし団子三本と温かいお茶が運ばれる。

都の人達からは親しみを込めて“団子キラー琥珀”、“団子愛好家”の名で呼ばれている(本人は知らない)。

 

 

 

 

 

だがそんなある日。

 

俺が神子の様子を見に行くと、神子は気分が悪そうに倒れていた。

 

「おい、神子、意識はあるか?」

 

俺は神子に駆け寄る。

 

「ぅぅ、琥珀」

 

よし、意識はある。

俺は急いで人を呼んだ。

 

 

 

 

 

 

 

――我が廊下を歩いていると琥珀の声が聞こえた。

 

部屋に行くと、布団に寝かされた太子様が目に入った。何やら気分が悪そうじゃ。

 

「琥珀、太子様はどうしたのじゃ?」

 

「これだよ」

 

そう言って琥珀が見せたのは、

 

「それは……丹砂(たんさ)か!」

 

丹砂(硫化水銀、猛毒)、道教では不老不死をもたらすと言われていたものじゃ。

 

 

 

 

 

 

 

太子様が倒れてから数日が経過した。

日に日にやつれていく太子様を見るのは辛かった。

そんなある日、太子様が言った

 

「布都……このままでは私の身体がもたないでしょう……だから私は尸解仙(しかいせん)になろうと思います……」

 

尸解仙……。つまり太子様は、一度死んだ上で仙人になる事を決めたようじゃ。

 

「太子様が逝くというなら、我も御供するのじゃ!」

 

「布都……良いのですか? 貴女も一度死ぬのですよ?」

 

「……確かに死ぬのは怖いが、でも我は太子様を信じてるのじゃ!」

 

「――話は聞かせてもらいました」

 

そんな声と共に、屠自古が部屋に入って来た。

 

「太子様、私もご一緒させて頂きます」

 

「ですが屠自古……」

 

「大丈夫です。それとも太子様は私一人を残して逝ってしまうのですか?」

 

「屠自古……すみません……」

 

「太子様が謝る必要はありません」

 

予想外じゃ……まさか屠自古も来るとは。

 

………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は神子達が尸解仙になるために一度死ぬ日だ。

 

いくら仙人になって復活すると言っても、人が死ぬ所は見たくないな……、しかも知り合いのは尚更だ。

 

俺は三人から依代を預かっている。

 

尸解仙は一度死んで、依代に仙人として復活する。

 

その後の依代が真の肉体となり、肉体は依代の物質になる。

 

簡単に言うと、依代と肉体が入れ替わる。

 

そして、依代は腐敗しない物が望まれる。

 

神子からは宝剣、布都からは皿、屠自古からは壺を預かっている。

 

「琥珀、すみません……」

 

神子が弱々しく言う。

 

「気にするな」

 

「屠自古、布都、準備は良いですか?」

 

「はい、いつでも」

 

「我も大丈夫じゃ」

 

二人の返事を聞くと、神子は深く呼吸をして、微笑むように言った。

 

「それでは琥珀、またいつか会いましょう」

 

「あぁ。またな神子、布都、屠自古」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――こうして豊聡耳神子、物部布都、蘇我屠自古の三人は眠りについた。

 

だが、琥珀は知らなかった。

 

布都が屠自古の壺にある()()をした事を。その細工の所為で、屠自古は尸解仙として蘇る事が出来ずに亡霊になる事を。

物部一族は蘇我氏に滅ぼされており、布都が屠自古を恨んでいた事を。

神子達が蘇った時は布都と屠自古の関係は良好になっているが、それはまた先の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺もそろそろ旅を再開するか……。

 

思い立ったが吉日、早速都を後にしようとする。

 

「おっと、あそこ寄っとくか」

 

俺は思い出したように呟き、向かう……団子屋へ。

 

「おっちゃん、俺は旅に出るぜ」

 

「そうかい、旦那が居なくなるのは寂しいね……よっしゃ団子持ってきな!」

 

「え?良いのか?」

 

「あぁ、俺からの細やかな贈り物よぉ」

 

「おっちゃん……ありがとう!世話になったな!」

 

「あぁ、気をつけててな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして俺は都を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした
以上で太子編終了です
次回は特に決めてませんね
次回ものんびりしていってね

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