堕天使に愛された言霊少女   作:ひきがやもとまち

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久々の更新です。正直、自信はありませんが、割り切って書かせていただきました。楽しんで読んで頂けら嬉しく思います。

*挨拶し忘れておりました。
『令和元年』おめでとうございます!
…何かしら関連した話を書こうとは思たのですが…なにも思いつきませんでした!(ToT)


47話「異住セレニアの家臣として生きるとはこういうことだ」

 そんなこんなで始まった、グレモリーさんチーム対サイラオーグさんチームによるレーディングゲーム。

 第1戦目は、互いのナイトが登場です。

 

『第1試合! グレモリー眷属から選ばれたのは木場選手! 対するバアル眷属は・・・』

「私は主君、サイラオーグ・バアル様に仕えるナイトの一人。ベルーガ・フールカス!

 私の愛馬、アルトブラウンの足は神速。木場殿、いざ尋常に勝負願いたい」

 

 木場さんVS・・・ベルフラウ?さん? 馬に乗って鎧を着ていてランスを持った文字通りの騎士さんとのバトルです。

 

 速さと速さ、分裂と分身、長剣と馬上槍のぶつかり合いという王道中の王道を行く騎士同士らしい勝負でしたが、結果的には危うげも無く木場さんの勝利で幕を閉じました。

 

 

「ま、順当な結果と呼ぶべきでしょうな」

「そうなんですか? ゼノヴィアさん」

 

 私は傍らに座って高々と足を組んで観戦している黒く染まった聖剣使いさんに問いかけました。

 なにしろ私ゃあ、バトルに関しての才能も経験も完全に皆無なド素人なので偉そうな評論はなんも出来ないんですよね。いやマジでマジで。

 

「ええ。木場はかなり余裕を持って勝利したのに対して、敵は全力を出し切っていましたから。おそらく止めのバランス・ブレイカーを使わずとも問題なく勝てる相手だったと私は見ています。相手の意気に応じて礼儀で答えた・・・そんなところでしょう」

「ふむ。では、彼は甘いと思われますか?」

「どうでしょう。剣士は自らの信念を貫き、剣で己の全てを体現する者。甘さがヤツの本質だとするならば、甘さを捨てたらヤツは却って弱くなるような気もします。

 そもそも結果として勝利した後で、やり方が甘いだのなんだのとイチャモンを付ける必要がどこにあると? 戦いは結果こそが全てでしょうに」

「そりゃそうですね。失言でした、愚かな質問を撤回しましょう。私こそまだまだ甘いようです・・・」

 

 ゼノビアさんの言葉でハッとさせられて、私は反省。

 まさしく彼女の言うとおりであり、戦い方は結果を出すための手段でしかなく、甘さも現実論も勝利するために選ぶべき方向性の一つに過ぎません。

 

 甘いやり方であろうとも、求めた結果を出せたら正しい戦い方であり。

 戦場のリアリズムで戦って負けた人が、勝った人のことを『甘い』だのなんだのと貶すのは、負け犬の遠吠えに過ぎないのですから。

 

 勝つために戦うのなら、勝った方が正しくて負けた方が間違っている。・・・あくまで『勝つための手段』に限定した議題ではありますけど、これもまた戦場のリアリズムです。敗者は甘んじて受け入れるしかないんでしょうな・・・。

 

『サイラオーグ・バアル選手のナイト一名リタイアです! 初戦を制したのはグレモリー・チーム!

 さぁ、次の試合はどうなるのでしょうか!? ダイスシュートです!』

 

 そして振られるサイコロ。出てきた目は・・・うん、読めませんね。冥界の文字はムダに凝りすぎていて読み辛いッス・・・。これ本当に学校造ったくらいで普及できるんでしょうかね?

 胡散臭い黒魔術儀式マニアでもない非知識階層にしてみれば『カッコいい気がするだけの象形文字っぽいナニカ』にしか見えないような気がするんですけれども・・・。

 

『今度の合計は10! 両陣営、合計10までの選手を出させることになります』

「ロスヴァイセ、それに小猫。お願いね」

「頼むぜ二人とも!」

『ええ(・・・はい)』

「・・・応援よろしくです」

 

 固い決意を秘めてそうな声のロスヴァイセさんと、淡々としながらも明らかに兵藤さんを意識してるんだろうなーな塔城さんが選ばれました。

 

「そんじゃまぁ、が~んばってね~ン」

 

 紫藤さんが椅子に座ったままヒラヒラと手を振って、文字通り『応援だけはしてあげる』感を出しまくって真面目そうな二人を「イラッ」とさせてました。・・・紫藤さん、わざわざ相手を苛立たせるようなこと言わんでもいいでしょうに・・・。

 まぁ、この人の場合趣味でしかないのでなんともしようがないのですが。

 

「ああ、でも一つだけ忠告。アンタたち二人はいつも気負いすぎてるのが弱点になってるから、もう少し気を抜いてリラックスしながら戦った方がたぶん勝てると思うわよ?

 これ、ゲームなんだからさぁ~。『絶対に勝たなくちゃいけないー』なんてマスト・ビーは思考を限定して、視界を狭めて、選べる選択肢を少なくするだけ。

 殺すための殺し合いじゃない勝負は、楽しんでやった方が勝つのがお決まりよン♪」

「・・・・・・ご忠告をどうも。でも、私は私の出来ることをやるだけです」

 

 そう言い残して試合会場へと向かう塔城さんとロスヴァイセさん。

 そんな二人を見つめるためグレモリーさんたち全員が画面の方に寄っていて、椅子には紫藤さんだけが残っているのをいいことに私は彼女に近づいて。

 

「ダメですか?」

 

 と、質問をします。

 何がダメなのかといえば、言うまでもなく今出撃していったお二人、塔城さんとロスヴァイセさんの勝敗について『勝てないのか?』と言う意味でのダメのことです。

 

「ダメでしょうね。あの子たちは1試合1試合に全力を出すことばかりに囚われすぎです。あれじゃあ結果的にチーム総合で勝てればいいと思っている相手には思わぬ隙を突かれて余計な損害を出しかねない。

 『一回こっきりの殺し合い』と、『次があること前提で戦う決闘ゲーム』の違いが正しく理解し切れていません。『戦場で勝って、戦略で敗北していた』典型例になる可能性が高いと思いますよ~。私はですけどね~?」

「ふぅむ・・・」

「それに、彼女たちに限らずグレモリーたちは一人残らず『自分たちが格上の挑戦される方なんだ』っていう自覚がなさ過ぎます。

 格上相手に挑むチャレンジャーと、格下を迎え撃つチャンピオンとでは当然戦い方も作戦目標にも違いが出るのが当たり前・・・グレモリーたちの謙虚さは今まで武器でしたけど、今となっては盲点にしかなってない。そこん所いい加減気づいても良さそうなもんだと思うんですけどね~。

 人類より格上の存在たる悪魔様とす・る・な・ら・ば☆」

 

 ニカッと意地悪く嗤って、スタッカートをつけながら皮肉を口にする彼女は性格悪いなーと思いますけど、おそらくグレモリーさんたちへの評価は正しいのでしょう。

 

 兵藤さんをはじめとして今までのグレモリーさんたちは冥界主流から見た異端であり、格下の存在でしたが、旧魔王派の壊滅と度重なる武勲によって地位と立場は大きく向上し、今では『見上げられて』『打倒を目指される』『チャレンジャーを迎え撃つ側』に回ってしまっている。

 挑まされる側から、挑まれる上位者へと立ち位置が変化したのです。これまでは奢らずに成果を出しても『挑戦者としての意思を保ち続けること』が強さの秘訣になってきましたが、これからはそれが戦況の誤認にも直結してしまいかねなくなったのです。

 

 格上相手ならば、『一人失って二人倒せれば上等な戦果』の方法論が成立しましたが、それは挑んでくる格下の敵にとっても同じこと。

 むしろ、『自分たち程度では二人で一人を道連れに出来れば大金星』・・・そういう風に自己評価してきている相手も出てくる可能性だってあるでしょう。

 

 ゲーム開始前に審査委員会が決めた評価だとサイオラーグさんが12で、グレモリーさんが8となってましたけど、所詮は他人の評価。本人が『いや、自分の方が下で敵の方が上だ』と言い切り信じ切ってしまえるなら試合に参加するわけでもない部外者のヤジに価値などなくなるのは当然のことです。

 

 敵と味方の強弱関係は、自分たちの側だけで完結するものではなくて敵あっての代物です。主観ではなく、主観と主観がぶつかり合った末に結果として出るのが勝敗という答え。自分と相手が信じる『どっちが上か』への回答は最後になるまで誰にも分かりようがない。

 

 『自分の方が格下のチャレンジャーだ』と一方的に信じ込みすぎるのは、『敵の自己評価なんか関係ねぇ。俺がお前は格上だと言ってんだから格上なんだよ、テメェの評価は過小評価だボケ』――と相手の意思と、格上相手に勝つため積んできた努力の程を否定することにもなりかねない厄介すぎる、相手と自分の心の問題。

 

 自分の主観だけで相手との戦力対比を決めつけすぎているならば・・・まぁ、負けるでしょうね順当に。戦術レベルで勝って、戦略レベルで敗北していた負け方で。

 

 

「・・・よかった・・・ロスヴァイセさんが残っていれば、グレモリーはまだ戦えます・・・」

「ごめんなさい・・・小猫さん・・・」

「謝らないでください・・・。わたし嬉しいです・・・二人も倒せたんですから・・・」

 

 ・・・ほら、やっぱりねぇ・・・・・・。

 

『サイラオーグ・バアル選手のナイト、ルーク、各一名。リアス・グレモリー選手のルーク一名。リタイアです!

 第2試合を終えて、バール・チームは眷属が三名。グレモリー・チームは1名リタイア』

 

 

 アナウンスを聞きながら私は思います。

 

 ――負けてますねぇ~・・・。

 

 と。私の経験上、この世界の戦いにおいて必ずしも数は問題ではなく、質の方が重要となる場合がほとんどでした。換えが訊かない一点特化型のメンバーばかりが在籍しているグレモリー眷属の皆さん方は他の勢力よりもその傾向が強い。

 第一、数の差を個々人の個性と質で補って一人も欠けることなく勝ち続けてこられたのは彼女たち自身。「一人減る」という心理的影響は実数よりも遙かに大きく出るのは予想に難くない。

 

 ・・・さて。こういう時一番影響でまくりそうな人は今どうなっているんでしょうかね・・・?

 

「冷静だね。小猫ちゃんがやられても、感情をあまり表に出さなかった」

「・・・悔しいさ。だけど、溜めようかなって思って。こういうのは後で爆発させた方がいいだろう・・・」

 

 木場さんと兵藤さんとの会話が漏れ聞こえてきました。

 なるほど、確かに道理であり冷静さを保てていると言えばそうなのかもしれませんが・・・しかしですね兵藤さん?

 

「とは言えこれ、ゲームですからねぇ。試合会場に行ったら敵を倒すために戦うしかありませんし、勝とうと思ったら相手をボコるしかない試合方式でもあります。

 味方が敵にやられない状況ともなると、相手が一方的にやられまくってボコられるか降伏するかしろって言ってるのとあまり変わらないんですけども・・・。

 てゆーか、戦争ではないスポーツの試合で味方がやられて『後で倍返しだ!』とか言い出す人、初めて見ましたよ私・・・」

「仕方ないでしょーっ!? 俺男の子なんだから女の子の味方がやられたら悔しいの! わかってよ男の気持ちと、ちょっとした下心!」

「今のように口に出して言ってくれた時にはわかりますが?」

「ぐぬぬ・・・男のロマンがわからない女の子なんて大っ嫌いだー!!!」

「・・・イッセーくん・・・(T-T)」

 

 実態は、まぁこんな感じです。

 所詮は女性の胸触ってパワーアップする、欲望の強さが強さの源な主人公さ、です。

 

『現状ではグレモリー・チーム優勢ですが、まだまだゲームは始まったばかりです』

 

 アナウンスさんが言ってますけど・・・そもそもにおいて選手一人の価値が選手によって異なる試合形式の大会で二人や三人の違いって差と呼べるんでしょうかね? 正直、たった一人の大金星で覆せる程度の優勢を優勢と呼ぶのは無理があるのではいかなと私は思う。

 

『では、ダイスシュートをお願いします。 ――出ました! 今度の合計は8!

 今回の数も選手選びの選択肢がいくつかありますが、誰が出てくるのでしょうk――」

「先に宣誓する。ビショップのコリアナ・アンドレ・アルプスを出す」

 

 アナウンスが終わる前にサイオラーグさんが出場させる自陣営の選手を指名して、スーツ姿の綺麗な女の人が出ることになりました。

 対するグレモリー眷属は誰を出すのでしょうかね?

 

『おぉーっと!? これは出場選手の予告宣言でしょうか!? サイオラーグ選手、その理由は!』

「兵藤一誠のスケベな技に対抗する術を彼女が持っているとしたら、どう答える!?」

「俺のスケベ技に対抗!?」

 

 ・・・とか思ってたら、選択権そのものを奪われちゃいましたね。流石はサイオラーグさん、こういう場に慣れておられます。

 

 もともと冥界のプリンセスと添い遂げることを夢見てて、成り上がりによる立身出世を目指してる現在人気沸騰中の『おっぱいドラゴン』が兵藤一誠さんです。挑戦されて受けないことは自分の夢が許してくれません。たとえ彼自身が許しても、世間が許してくれないでしょうからね。

 今やヒーローになってしまった彼には、ヒーローとしての役割をこなすことが求められてしまってる。堅実に夢を叶えるため挑戦を受けても戦略的優先順位から拒否するという選択肢を取ることはヒーローの役割を拒絶して、民衆からの失望を買ってしまうことにもなりかねません。

 

 特に今回の人は『最強の赤龍帝おっぱいドラゴン』が、おっぱいドラゴンたり得ている力の源『スケベ技』に対抗する術を持っていると宣言してきてる訳ですから、これで拒否すれば『おっぱいドラゴンには弱点がある。その力は最強でも何でもない』ことを自らの行動によって認めているのも同義となるでしょう。一体どれほど彼の夢から遠ざかるのか・・・見当もつきませんからねぇ。

 

 今までの戦いだったら公に出来ない政治的事情が多く絡んでいて断っても問題なかったんですが・・・公式戦な上に衆人環視の中ですからねぇ~。

 負けても死なない、ショーとしての戦いだからこそ断るわけにもいかないという、なんか色々と矛盾を孕みくった状況下ですけど。ま、いっか。私関係ないですのでね。

 他人の夢は他人が頑張って叶えてください。私は知らん。

 

『ほう? 面白い宣言じゃねぇか。イッセー選手は女に対しては無類の強さを発揮する。

 対抗する術があるなら、見てみたいもんだ』

「先生・・・いいッスよ。俺、その挑戦受けます!」

 

 オオオオオオオォォォォッ!?

 湧き上がる観客。まぁ、この前「おっぱいドラゴン」放送されたばかりですからねぇ。実写で見れるのはそりゃ喜ぶでしょ普通なら。

 庶民がテレビ好きなのは人も悪魔も変わらない~♪

 

「・・・わかったわ、イッセー。行って来なさい!」

「はい! 兵藤一誠、行って参ります!」

 

 敬礼して、やる気十分で試合場へと向かっていこうとする兵藤さん。

 『相手が誰だろうと負ける気がしない!』そう言いたげな自信が漲っているのはいいことなのですが。

 

「とは言え、事実上のグレモリー・チームが持つ最高戦力が、たかがビショップごときに負けたりしたら恥でしかないんですけどね。

 むしろ、パワーアップ前の悪魔化するときに使用した駒の数が同じなだけで、普通に弱い悪魔が修行して強くなっただけの相手と同格扱いしてしまうゲームシステムに不平等さを感じてなりません。ゲームなら今少し公平性を担保して正々堂々スポーツマンシップに則っておこなうべきなのでは?

 勝って当然の相手に伝説のドラゴンぶつけて勝ち誇るのは、権威を誇示することにしかならなそうで好みじゃないんですけども・・・」

「ですわね。初陣の私は下っ端でしたから別としても、私以降は名門と格上、聖書にも載ってる上級堕天使相手に連覇し続けた赤龍帝が相性的には有利な相手に少しでも遅れを取ろうものなら物笑いの種になるのが本来ならば当然のところ。

 もしイッセーくんが不覚を取るようなことがあった場合には、私は二度とあなたを「おっぱいドラゴン」とは呼びません。『おっぱいドラゴン(笑)』と呼ぶことにします」

「やめて夕麻ちゃん! お願いだからそれマジでやめて!?

 ただでさえ恥ずかしすぎる渾名が、これ以上なく最高最悪に恥ずかしい名前に改名しちゃうの本気でやめてください! 俺、お外に出歩けなくなっちゃうからね!?」

 

 飛び出し掛けて、慌てて戻ってくる兵藤さん。

 気持ちはわかりますけど、仕方がありません。――事実ですから。受け入れなさい。

 

「恥ずかしいなら、恥ずかしさを超えなさい! 人から後ろ指さされる自らの恥部でさえ力に変えて更にパワーアップしなさい!

 あらゆる戦士たちにとって最強の敵は、常に己の内にあるもの! 己自身の弱さこそ最強最大の敵! それに打ち勝てずして何が英雄なのですか!!

 おっぱい突いてパワーアップする『おっぱいドラゴン』として天下を取りたいと望むのであるならば! その恥ずかしささえ超えて征けぇぇぇぇぇぇぇっっ!!!!!」

「無理だよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!!???? 

 俺自身に勝てても、社会的に死んじゃうよぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!!!!」

「一度や二度ぐらい社会的に抹殺されたぐらいで諦めるな! 夢を捨てるな! 諦めなければ夢は必ず叶うと信じて走り続けるのです!

 社会が自分を殺し、自分の夢すら抹殺しようというのなら!

 世界を壊し! 世界を新生するぐらいの偉業は果てして見せろぉぉぉぉぉっっ!!!!」

「夕麻ちゃんの要求基準が高くなりすぎてるだけといい加減気づいてくれよ!?

 悪魔にも人間にもドラゴンにだって出来ないことぐらいあるんだよぉぉぉぉっっ!!!」

 

 向かい合って怒鳴り合う最強ドラゴンと、堕天使やめて人間になった変な美少女。

 ・・・兵藤さん、今回ばかりは貴方が正しいと私も思います。

 天野さんの要求基準はちょっと・・・・・・生物の限界を超えすぎています。悪魔とか龍とかに転生したぐらいでどうにかなるレベルとは思えねぇー・・・。

 

 

『おおぉぉっ! サイラオーグ選手の挑戦を受け、ここで遂に『おっぱいドラゴン』が出陣です!』

 

『おっぱい! おっぱい! おっぱい!! おっぱい!!! おっぱい!!!!』

 

 

「やめて!? 今はやめて!? 普段だったら嬉しい応援だけど今だけはやめて! おっぱい連呼しないで! 戦う前から俺のHPは0にされそうになってるよ!?」

 

 観客の中にいた子供たちと実況による精神攻撃の一斉砲撃を受け、兵藤さんは逃げるようにして試合場へと転移。画面ないに映し出されたフィールドへと移動します。

 

 そして彼と相手選手の試合内容と結果なのですが・・・・・・これはヒドい・・・。

 ヒドすぎて言葉にならないとは、まさにこの事ですか・・・。

 

 どれほどヒドかったとか言いますと。

 

 

「・・・なんだか、ヒドい試合だったね・・・」

 

 と、兵藤さんの親友である木場さんさえヒドい試合と評するほどのヒドさでした。

 

「・・・俺だって悲しみに暮れてるんだ・・・。

 絶対に、ブラジャーからのパンツなんだよ・・・っ!!」

 

 俯きながら顔を暗くして、熱のこもった口調で呟かれる兵藤さん。

 なんと言いますか・・・なんと言ってもいいのでしょうか・・・。ええっと、そのあのえ~とぉ・・・・・・。

 

 

「ないわー、今の止めの差し方はさすがにないわー。エゲツなさ過ぎるわー。

 男の子の身体の中から飛び出た白いエネルギー源を、右ストレートで女のお尻の穴にぶち込んで喘ぎ声で啼かせながらフィニッシュとか流石にないわー。私でもやらないし、出来ないわー。

 兵藤さん、マジパナいっス! 今日から『おっぱいドラゴン』やめて『おっぱいドラゴン(ルビは変態)』と呼ばせて頂きまッス! いや~、イッセー君マジリスペクト!

 いよっ! この女の敵! ヒトデナシの女泣かせ! 恋人いるのに好きでも何でもない出会ったばかりの女に美人だったら欲情できる最低最悪のクズ男! イカしてる~☆ 女の子を♡」

 

「やめて! お願いだからもうやめて! 責めないで!  下ネタで弄るのやめて! 死ぬ死ぬ俺死んじゃう! 

 これ以上イジメられたら俺、自己嫌悪で自殺しちゃいそうな心境に陥っちゃってるよ!? ドライグ化する寸前にまで追い詰められちゃってるよ!?

 おっぱいへの愛しさと切なさと恥ずかしさで俺自殺したくなっちゃうっ!?

 俺これでも女の子を泣かせないために戦ってるおっぱいドラゴンなんだよぉぉぉぉっ!!」

 

 

 ・・・そして、空気を読んで相手が言われたくない時に言われたくない言葉を直裁的な表現で言ってくることを好む紫藤さんは、他の誰よりもヒトデナシ。悪魔以上に人でなしです。

 

 

 そんな感じで、サイオラーグ・チームVSグレモリー勢&混沌帝国混合チームによるレーディングゲームは始まったのでした。まる。

 

つづく


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