堕天使に愛された言霊少女   作:ひきがやもとまち

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最近のシリアス展開で鬱憤が堪ってたのか、急激にギャグアイデアがぶり返してきました。
なので書いてみました。原作とも本編とも全然関係ないペルソナ(無印)とのコラボギャグ作品です。しょうもないギャグ一色の作品ですのできらくにどうぞ。時間軸とかは存在しておりません。

尚、ニャル子さんが久々に出てますのでサブタイトルも「這い寄れ!スーパーニャル子ちゃんタイム」から取っております。


堕天使に愛された言霊少女ちゃん

 

「いや~、親子三人そろってショッピングなんて何年ぶりでしょうかねー! 単身赴任から帰ってきたばかりのお父さん、嬉しすぎちゃってもうSAN値ピンチ! SAN値ピンチ!」

「ちなみにだが、お父さん。ハシャぎたい気持ちは分かるから一定量までは許すけど、それ以上いったら刺すからな?」

「・・・・・・はい、心臓の奥深くまで刻み込んでおきますですフェリシアさん・・・」

 

 相変わらず仲のいい二人、お父さんとお母さんの二人とウィンドウショッピング中の私です。今日は休日でしたので、たまの休みを利用して家族水入らずで過ごすと言われたからイヤイヤ来たのですが・・・・・・。

 

 

「なぜ、貴女がついてきてるんですか? 天野さん・・・。貴女うちの家族って訳ではなかったような気がするのですけれど・・・・・・?」

「イヤですわセレニア様ったら♪ 私はもう立派に異住家の家族として迎え入れられていますのに☆」

「いつから? どのような形で誰に認められた末に?」

「異住家で養われることが決まったときから扶養家族という形でお母様に」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 今の日本は『ペットだって家族の一員だろ!』と言う意見が支持を集められてしまう困った国になってます。

 

「おや? なにやら珍しい生き物が町中を闊歩していやがりますねぇ~」

「?? 何かおかしな物でもいたのですか? お父さん」

「ええ。なんちゃってメイド服着たコウモリの操り人形が。日本の伝統芸能ぶち壊されてる気がするんでビリビリにしちゃっていいでしょうかセレニアさん?」

「・・・・・・ダメです」

 

 明らかにグレモリーさん所の使い魔かなにかでしょうからね・・・・・・。

 

「お願いしま~す♪ うふ☆」

 

 なんかチラシだけ渡して勝手に去っていっちゃいましたね。私、受け取るの了承した覚えないんですけども。書かれている内容は・・・『あなたの願いを叶えます』?

 

「ああ、それはリアス・グレモリーがエネルギー供給のため下っ端を使って配布している物ですわね。

 基本的に悪魔は人の欲望を糧に生きていく寄生虫ですから、人間たちには定期的に己が欲望へと走ってもらわなくては存在を維持することさえ難しくなるんですよ。

 だからと言って餌をとりすぎて絶滅させてしまえば自分たちも自滅する・・・手加減することで自分たちも長生きして恩も売れる一石二鳥の政策として行ってるのが、それら簡易版の召喚用魔法陣を記したチラシなんですよ」

「なるほど」

 

 持ちつ持たれつ・・・と言うのはいささか図々しい気がしますけど、宿り木としての理屈としては間違ってはいません。誰しも自分たちの生存していく為に必要な過程は正当化したいものですからね。

 

「ほほぅ・・・面白そうなオモチャが地球では流行るようになってたんですね・・・。セレニアさん、何か適当な願いごとをお願いしてみてもらえませんか? 悪魔とやらが出てくるところを見てみたいんですよ」

「・・・見るだけですか?」

「ダーイジョーブですよ! そんな心配そうな目をして睨まなくても! 私だって邪神の端くれ、悪魔へのお願い系儀式におけるお約束事ぐらい把握しちゃってますから!」

「・・・・・・たとえば?」

「願いを叶えてくれるために出てきた悪魔をふんじばって取っ捕まえて拷問して、願いを叶えてくれてる間だけ生かしておいてやるのが、正しい悪魔の使い方なんでしょ?」

「・・・・・・・・・」

 

 びりりっ。

 

「ああ!? セレニアさんが問答無用でチラシを真っ二つに!? ヒドい! ヒドすぎますよセレニアさーん!!!」

「ヒドくないです。私は友人・・・だかなんだかよく分かんない関係性の人たちを守ってあげただけです」

 

 正当なる防衛戦を終えて、守り抜いたグレモリーさんの命綱を適当なゴミ箱へとダストシュートしてから家族の元へと戻ってきて合流した私。

 

 そうしただけの所ーーーーー

 

 

 

 ・・・ごごごごごごごごごごごご・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

 

 ・・・・・・?? なんか遠くの方から地響きが聞こえてきたような・・・。

 

 

「おーい、セレニアー? なんか半魚人っぽい兵士さんがお前を迎えにきたって言ってるぞー?」

「ども! わたくし『デヴァ・ユガ』から皇帝陛下をお迎えするよう仰せつかりました母方の血筋が『マーシュ家』に関係していた『深きものども』の一人でっす! デヴァ・ユガはいつ何時でも陛下をお出迎えする準備は出来ておりますが、如何が致しましょう!?」

「・・・・・・とりあえず今は帰ってもらっていいですか? ちょっと町を観光してから行きたいので・・・」

「了解ッス! その旨は俺の方から上に説明しておきますんで、ごゆっくりどうぞ!」

 

 ぺたぺたぺたぺたぺたたたーーーー!!!

 

 ・・・・・・半魚人なのに地面の上はしるの早いなー。鰓呼吸なのかなー?

 

「あら、駒王朝全体が虹色の壁に包まれて出られなくなってしまいましたね。悪魔とかも出現してるっぽいですけど、どう致しましょうかセレニア様。

 ーーあ、言葉不足でしたけど出現した悪魔はリアス・グレモリーの同類とは似て非なる変な奴らだけみたいですわよ?」

「・・・ひとまずは学校へ。定番展開ですのでね」

「了解です」

「うーい」

「行け行けゴーゴー!殺っつけろーーっ!!!」

 

 お父さん、最後の字違う。お願いですから意図的に間違えないでください、死人は出なくても死悪魔が出ちゃいそうなので・・・。

 

 

 

「すいません、駒王学園の生徒に知り合いがいる者なんですけど、学内に残っているかもしれない彼らと会うため門を開けてもらえませんでしょうか?」

「ダメだ! 合言葉を言わないと入れるわけにはいかないぞ!」

 

 さすがは悪魔のお姫様が拠点に使っている学校。緊急事態に対処するため一早く警備体制を整えたようです。この人たちもきっとグレモリーさんかシトリーさんところの番兵かなにかなんでしょうねー。

 

 

 ・・・・・・けれど。

 

 

「てい」

 

 ド・・・・・・・・・ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッン!!!!!!!!

 

 

 歩く正義と根性のゴリ押し天野さんの前では余りにも無力すぎる形式的な警備体制でしかありませんでした。

 可愛らしい声とともに放たれた回し蹴りは鋼鉄の門扉を吹き飛ばし、校舎に当たってめり込んでからようやく動きを止め、門番さんたちを揃って青ざめさせてしまいましたとさ。

 

「通れないようでしたので、通れるようにしました」

「・・・なんですか、その戦国DQN思考は・・・」

「緊急事態でしたので」

「・・・・・・」

 

 言ってることは間違いだらけじゃないんだけどなぁ~。

 

「ま、いいです。壊しちゃってから壊したことの理由説明なんて言い訳にしかなりませんからね。謝るべき対象がいない現状でやっても意味ないでしょうし先を急ぎましょう。

 ーーでは、見張り番さん。私たちはこれで」

「お役目しっかり果たしてくださいね☆」

『『はっ! お嬢さん方もお気をつけて!!』』

 

 自分で言っておいてなんですけど、いいんかい通しちまっても。

 怪しい不審者を入れないために配置されてるはずの門番が、門をぶち破って進入していく怪しさなら誰にも負けないレベルの超級侵入者が入っていくのを敬礼しながら見送っちゃってるんですけども・・・。

 

 いやまぁ、下手に抵抗したところで鎧袖一触でアリのごとく踏みつぶされて終わるだけなので正しい判断なのですが、何となくこう心の中にモヤモヤとしたものが・・・う~ん・・・。

 

 

 

 

駒王学園校舎内

 

「どうやら校舎内の構造に町の変化は及んでいないらしいな」

「はい、義母様。ですが、一部だけですが異界化している建造物があるようです。変異の現況がいるとしたら間違いなくそこでしょう」

「ちなみにですが一応、形式として確認したいだけなんですけれど。・・・ドコですか? その異界化している建物というのは・・・」

「オカルト研究会の部室です」

「やっぱり・・・・・・」

「おっしゃーーっ!! 久しぶりに狩りまくりますよナイトゴーンド共を!」

 

 お父さん? 悪魔とナイトゴーンドは別の生き物ですからね? 一緒くたにしないであげてくださいね?

 

 

 

 

オカルト研究会部室前

 

「あー・・・こりゃ完全に異界化しちゃってますね間違いなく。誰の目から見ても明らかに」

 

 だって、炎に包まれちゃってますもんね。部室に使ってた建物全体が。

 やれやれ、一体なにをどうしたらこんな事態に陥ってしまうものなのやら・・・。

 

 

 

 

 キィィィィィィィッ・・・・・・・・・(部室の扉を開ける音)

 

 

 

 

・・・ある所に とても悪い悪魔がいました・・・

ある日 悪魔は『鏡』を造りました

美しいものは よく映らず

醜いものは はっきりと映る『悪魔の鏡』です。

 

悪魔は この『鏡』で 神様に悪さをしようと 天に昇りましたが

途中で『鏡』は割れてしまいました

 

『悪魔の鏡』は 無数の破片となり 地上にばらまかれました

それが 全ての 始まりでした

 

ある所に ヒョードーと アーシアという仲の良い 少年と少女がいました

しかし ある日 あの『悪魔の鏡』の破片がヒョードーの心臓と目に入りました

 

『鏡の破片』のせいで ヒョードーの心はすさみ

瞳は ものの 悪い所ばかりを 見るようになり

ついに ヒョードーのことを 大好きなアーシアまでも からかうような少年になってしまいました

 

水着がまぶしい ある夏の日

砂浜で おっぱいが大きくて可愛い『彼好み』な女の子を探していたヒョードーの前に

赤い髪色をした絶世の美女が現れました

ヒョードーは アーシアを捨てて 赤い髪をした美しい女の人に連いていくことを決めました

 

実は この女の人こそ『炎の女王様』その人だったのです!

 

こうして ヒョードーは はるか 東の島国にある『炎の女王様』の『炎の城』で公女様と一緒に 二人で手を取り合いながら国を治め いつまでも仲良く暮らしました

 

 

 

 

「ああ! イッセー! あなたもヒョードーの様にわたしだけを見て! 私だけを愛して頂戴! お願いだから、他の女の処女なんかに目を奪われないで!

 私はいつあなたに襲われてもいいように、毎日毎日『OK!』を示すエッチなパンツを履き続けているのに!」

 

 

「ーーってぇ、なにやってんですかグレモリーさん! ここって貴女が根城にしている部室でしょうが!? なに自分のお城に灯を灯して燃やしちまってんですか貴女は!」

「私以外の女とイッセーがイチャラブするのにも使われてる部室なんて、ラブホ以下よ! ビッチ達のたむろしている部室なんか、燃えてしまえばいいんだわ!」

「・・・・・・ダメだ。完全にトチ狂っちまってますよ、この人・・・・・・」

 

 

 いったい、何があったんでしょうかね、この人に・・・。ああいや、思い当たる節なら幾らでもありますから逆にどれも同じレベルか・・・。ハーレム系主人公も大変そうだなー兵藤さん。

 

「ふむ・・・。どうやら自身のエネルギーにするためチラシから取り込んでいた人の欲望がセレニア様のものだったせいで、逆に彼女自身の欲望が増幅され加速してしまったようですわね。

 イッセー君への想いというか執念というか、怨念めいた情念の炎に体を支配されてしまっているようです」

「だから、あんな風に変なお面つけて、エロすぎるコスチュームを身に纏っていると・・・?」

「はい、おそらくは。・・・・・・しかしエロいですね、あの服。私が堕天使時代に着ていたのよりも露出度は低いはずなのに、どう言うわけだかエロ印象がアップして見えます。

 ・・・やっぱり色なんでしょうかねぇ・・・。赤と言うより、ピンクに近い赤が彼女のエロ戦闘力の高さを表しているとしか思えませんので・・・」

 

 ヒッドイ言われ様だな、オイ。

 

 

「(ヒソヒソ)ところで母さんや、先ほどのお伽噺っぽいのに出てきた1シーンについてなんじゃが、鏡の破片が目に入った少年はどうして失明しなかったんじゃろうか?」

「(ヒソヒソ)空から落ちてきた破片が心臓に入るというのもスゴいですよね、父さんや。口を開けながら空を見上げてポカーンとしていたんじゃろうか?」

 

 

 ・・・両親二人による昔話風コントに、私はツッコまないツッコまない・・・。

 

「セレニア様の思念を吸ってしまったリアス・グレモリーの願望は成就され、彼女の望んでいた世界がオカルト研究会の部室内に再現されてしまったようです。クトゥルー的に」

「・・・クトゥルー的に?」

「はい。クトゥルー的に」

「・・・・・・・・・どこが?」

 

 一片たりともクトゥルー要素のないこの状況に、一体どの辺がクトゥルー風味なのか気になったので天野さんに尋ねてみたところ、彼女は「フッ」と笑って右手の平を握り拳を作ると顔の高さまで持ち上げてからーー断言しました。

 

 

「ダーレス氏によって開かれたクトゥルーは・・・・・・自由です!!」

 

 ガンプラかよ。そしてアンタはメイジンかよ。アホに熱血すぎるところがピッタシ過ぎてヤだから止めれ。

 

 

 

「ーーあなたたちも人間らしく永遠の命が欲しくて悪魔に願った類なんでしょう・・・?

 いいわよ、与えてあげる。私とイッセーが支配する炎の城に住み続ける限り、一生歳を取らないですむようにしてあげる。

 未来永劫、老いさらばえることなく美しいままでいられる魔法を掛けてあげるわ・・・。さぁ、こっちへいらっしゃい」

 

「・・・いや、そんな可笑しなお面つけて、エロすぎる恰好した人から『美容を維持する魔法』と言われましてもねぇ・・・」

 

 大変失礼なたとえの具体例に使わせていただきますけど、マイケル・ジャク○○SANを彷彿させるとしか表現できない私がいます。

 

「あるいはカ○ウ姉妹?」

「オカマのファッション評論家?」

「デラックス?」

 

 ・・・私の家族はそろいも揃って、みんな口悪いなー・・・。

 

「うふふ、威勢だけはいいお嬢さん達ね。でもいいわ、許してあげる。私の炎が世界を覆い尽くすまでの短い間だけ・・・ね? 

 イヤだと思うなら、せいぜい足掻きなさい! 悪魔にとって人間があがいた末の絶望ほど美味なご馳走はないのだから! あははは、オーーーホホホホ!!!」

 

 

 ・・・消えてしまわれましたね。

 

「さて、皆さん。どうしましょうか?」

 

 一応、背後に揃っているチート連中に確認を取ってみましたが。

 

「ああ、それなら普通にこれで入りましょう。封じられた地へと至る鍵《キー・オブ・ザ・ランドルフ》!」

「《銀の鍵》ですか? それって、そんな機能ありましたっけ?」

「めちゃんこスゲー科学力で改造しましたからね。今なら《黄昏の目》だって問答無用で開けます」

「・・・そうですか」

「まぁ、ようするに世界最高のハッキングキーってだけなんですけどね」

 

 言わんでいいです、そういう雰囲気ぶちこわしになりそうな表現は。ただでさえ雰囲気もへったくれも無いような状況なんですから。

 

「では、レッツダ・ゴンですよフェリシアさん!セレニアさん!夕麻ちゃん!」

「「はーい」」

「・・・うぇ~い・・・」

 

 

 

 

 

 第一階層。いきなりボス部屋。『ヒュプノスの間』

 

「あ、あの、あの。み、みなさん初めまして。初めましてじゃない人もいるかもしれないですけど初めまして! ぼぼ、僕は炎の女王さまから第一階層の守りを任されているギャスパーって言います・・・。

 さ、さっそくですけど僕、女王様からあなたたちのこと殺せって言われてます・・・。でも、僕はそんな怖い事したくありませんし、あなた達だって怖いのはイヤですよね? ね?

 だから今のままこの部屋で一緒に、世界が終わるまで過ごしていましょう・・・?

 一人で眠って幸せな夢の中にさえいれば怖い思いをすることもなく、いつまでもいつまでも平和で幸せに生きていけるのですから・・・・・・」

 

 

 

 

「・・・偽りの楽園にしかパライゾを見いだせない怠惰な利己心・・・。気に食いませんねぇ。少しだけ痛い思いをするぐらいの活を入れてあげましょう。

 《リトル・ボーーーーーーーッイ》!!!!!!!!!」

 

 

 

 ちゅどぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっん!!!!

 

 

 

 

「・・・お仕置きは終わりましたセレニア様。さ、次の階層へ急ぎましょう。先はまだまだ長そうですから」

「・・・・・・お仕置きで部屋が消し飛んでしまっておりますけど・・・?」

「大丈夫です。手加減しましたから」

「手加減・・・?」

 

 どのように力を抜けば水素爆弾による核爆発で手加減できるのか理解不能ですが、説明されても理解不能なことだけは解ります。なので言われたとおり先を急ぎましょう。ディ・モールト凄い科学力でも使ったんですよ、きっと。

 

 

第2階層、ボス部屋『タナトスの間』。

 

「あらあら、炎の公女様にたてつくおバカさん達がまだいらしたというのは本当だったのですか。まったく、これだから醜い見た目の方々は愚かで困ります。

 わたくしのように身も心も服装も、そしてバインバインな巨乳さえもが美しくて完璧な女性にさえ生まれていれば、そうはならなかったものを・・・。

 ですが、そうですわね・・・わたくしも女王様から第二階層の支配権を与えられている高貴なる者、貴族の端くれ。あなたがた醜くて下賤な平民達にも一度ぐらい慈悲を恵んであげるのも高貴なる者が果たすべき義務と言うもの・・・。

 どうでしょう? もし、わたくしの前に這い蹲って足を舐めるというのなら特別にわたくしの高貴な巨乳を触らせてあげてもよろしくてよ? うふふん♪」

 

 

 

 

「ぐぉらぁぁぁぁっ!!!! なに人様の妻と娘に色目使っとんじゃい、このエロビッチめが! 死ね! 死んで詫びなさい! 死んで詫びて土下座しなさい!

 この処女ビッチ! ファッションエロビッチ! ビッチビッチ体だけビッチ! 悔しかったら処女損失して見せろやーーーーーーーっ!!!!」

 

 

 ボゴドゴズガドゴボカスカドゴンドゴン!!!!

 

 

 

「さて、ニャル子がボスを片し終えたみたいだから先いくか。まだ先は続きそうだしな」

「そうですね。先は長いのですから、敗北の確定した負け犬ボスの最期を見届けてやる理由も必要性も義理さえ皆無なのですから先を急ぐと致しましょう」

「・・・・・・いいですけどね、別に。でも、このダンジョン攻略に私がついてく意味ってあるんでしょうかねぇー・・・?」

 

 ボスと名の付く相手をパーティーメンバーの一人が一撃で一殺していくチートパーティーに同行者枠で付いてきてるだけの私。はっきり言ってお邪魔虫以外の何者でもないような気がします・・・・・・。

 

「セレニア様が悪くて起きた事件ではありませんが、セレニア様がいなければ起きなかった事件でもありますけどね、今回のコレは」

「・・・・・・・・・・・・」

 

 ついていく意味はなくとも、ついて行かなきゃいけない義務と責任はあるようです・・・。

 

 

 

 

最上階、ラスボス部屋『次元の狭間』

 

「・・・まさか本当にここまで着てしまえるなんて・・・!!

 右も左もわからない、左右も上下も判然としない次元の狭間に辿り着いて道に迷わない者が存在するはずないのに!」

 

 最上階に誰もいなかったので、適当なところに次元トンネル開けてもらってカラフルな無重力空間へと進入を果たした私たちでしたが、穴に入って隠れてらしたグレモリーさん(エロコス装着状態)を見つけだしたところ、何故だか彼女に驚愕の悲鳴を上げられてしまいました。何故なのでしょう? 理由が解りません。

 

「あなた達、一体どうやってこの空間を迷うことなく私の元までたどり着けたの!?」

 

 グレモリーさん(エロ)に聞かれてしまいました。

 

 何故ってそりゃあ・・・・・・

 

 

 

「「「慣れてますからね」」」

 

 

 惑星保護機構に職員として配属されてる邪神。平たく言うと宇宙人なお父さん。

 星間国家と化してしまったイゼルローンの実質的宰相を務めてらっしゃる天野さん。

 そして、形だけとはいえ宇宙要塞と宇宙艦隊の総司令官を兼ねている私。

 

 右左上下左右すべて意味をなさない宇宙空間での索敵ぐらい、別にどうと言うほどでもないんですよねー。

 

 

「くっ・・・! でも、私を攻撃してしまって本当にいいのかしら? この身体の持ち主は今回の件を必ずしも望んでいたわけじゃない。私の力で憎しみの方向にねじ曲げられただけ。

 それでも私は私、リアス・グレモリー。私を攻撃すればダメージはそのままリアス・グレモリーにも届いてしまう。

 私を倒さない限り町の異変は収まらないけど、私を倒すためには私もろともリアスを殺すか、魔力を奪い尽くすしか道はない! 魔王の妹ルイン・プリンセスが持つ膨大な魔力を吸い尽くすなんて真似が人間ごときに出来るわけが・・・・・・っ!!!!」

 

 

 

「じゃあ、殺さない程度に殴って気絶させましょう。刃物で切りつけさえしなければ死なないはずです。強靱な生命力が自慢の悪魔ですから」

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 一時停止ボタンを押した状態で固まるグレモリーさん(エロ)。

 ですが、気を取り直したのか直ぐに復帰されてこられました。

 

 

「・・・それでも、想いの強さが能力を左右するこの空間内においては私の方が有利であることにかわりないはず!

 身体を乗っ取っている身である以上、不完全にしか発揮できないけど、リアス・グレモリーが持つ滅びの力を見せてあげる!」

 

 グオオオオオオオオオオオオオオオオオッン!!!!!

 

 

「誰かを好きになると言うことは、誰かを妬み、嫉妬もすると言うこと! 好きという想いが強ければ強いほど、想いが反転した時に攻撃に向かう意志は強くなる!

 誰よりもイッセーが好きなリアスから生まれた私は、イッセーを愛する想いだけで編まれた存在! 彼を好きなことにかけては全宇宙で私に勝る者など存在しているわけがない!

 つまり! 想いの強さで攻撃力が決まるこの空間にいつづける限り、私は最強! 最強にして至高の大悪魔ルイン・プリンセス・リアス・グレモリー!!

 とー、いうわけで! 食らいなさい! 私の愛のこもった一撃を!

 はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!!!

 愛してるわ、イッセーーーーーーーーーーーーーーッッ!!!!!!!」

 

 

 グレモリーさんの両手から放たれてくる紫色の滅びの光(なんでしょう、たぶん。さっき自分で言ってましたから)。

 

 どういう理屈で何故こうなったのかはいざ知らず、私たちはグレモリーさんが叫ぶ、他人への愛の告白を聞かされながら攻撃されるという大変貴重な経験を味あわさせていただいております。

 

 ・・・・・・なんだ、このヘンテコリンな拷問は。リア充モゲロ。

 

 

「私の愛を受けてみなさぁぁぁぁぁぁぁぁっっい!!!!!」

 

 いや、だから。そういうことは本人に言いなさいって、赤の他人まで混ざってる私たちじゃなく。

 

 そんなツッコミを心の中で入れてる間に紫の光は私たちの間近まで迫ってきていて

 

 

 

「ん」

 

 

 ぱこん、と。

 

 あっさりお母さんの右手ではたかれて、ハエのように落ちていってしまいましたとさ・・・。

 

 

「ーーなんでよ!? 今のって本来のリアス・グレモリーがボイーン!となってる世界観になってから、ようやく発動できる現段階最強レベルの一撃なのに!!」

「いや、何故と言われてもな・・・」

 

 困ったように後頭部をかくお母さん。

 やがて、言う決心がついたのか顔を上げてグレモリーさんの目をしっかり見据えながらこう告げられます。

 

 

 

 

「普通に考えて想いの強さで実力が変わる世界でならーー片思いより既婚者の方が強いだろ?」

 

 

 

「ーーぐっはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!!!!」

 

 

 膨大な量の血を吐血されたことで、魔力が一番こもっていると言われる体液と共に彼女の魔力も急激に失われていき、そのまま消えてなくなるかと思われたまさにその時!

 

 

「ま、ま。まだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!!!!!!」

 

 

 ルイン・プリンセスが地獄の底から復活! さらに邪悪なオーラを身にまとってパワーアップしてるっぽいです!

 

 

「うふふふ・・・・・・り、リア充に恨みを抱いて死んでいった女の子達の嫉妬をすべて集めて復活してやったわ・・・。

 さらには嫉妬の想いに導かれて臨死体験中に降臨してくれた『M78星雲にある嫉妬の星』の支配者『嫉妬クイーン』からパワーアップアイテムまで渡された今の私は真の最強よ!」

「どこのパッパラ隊に所属している伍長さんですか? あなたは・・・・・・」

「はああああっ!!! 嫉妬の心は女心! 揉めば命の母乳吹く!

 消えなさい! そして死になさい! 世の中で想いが通じて両思いになった私とイッセー以外のアベックは滅びるべきなのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!!!!

 嫉妬レディ・ドラゴン! 炎の中から爆!たんぶぅふぅっ!?」

 

 

 

 

「にょーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっ!!!!!!!!!!」

 

 

 あ、ミルたんさんです。今日もドコからかいらっしゃいましたね、ドコからか。

 

 

「・・・で、ドコから着たんですか? あの人は・・・。ここって一応、入るのが極端に難しい次元の狭間なんじゃ・・・」

「ドコからか、です。セレニア様」

「そうですか・・・・・・」

 

 物理法則どころか邪神達の理屈でさえ彼女の行動範囲は解らなくなってるみたいですね・・・・・・。

 

 

 

「にょっ!(どすん!) にょっ!(どすん!) にょーーっ!!(どどどすん!!)」

「ちょっ、やめ、穴から出られな・・・・・・誰か助けてーーーーっ!!!!

 地獄から舞い戻ってきたばかりで門が閉じきってなからハンマーで殴られると落ちちゃうの! 脱出するために穴から這い上がろうとするとチッコい女の子にモグラ叩きされちゃーーーーっう!!! 誰でもいいから私を地獄から救い出しておねがーーーい!!! 何でも願い事叶えてあげちゃうからーーーーーっ!!!!!」

 

「じゃあ、早くグレモリーさんの身体を返してご自分だけ地獄にお帰りください。そしたら救い出してあげます。グレモリーさんの身体と意識だけは確実に」

 

「そ、そんな殺生な、ひでぶっ!? 私だってリアス・グレモリーなんだから一緒に助けてくれたっていいじゃない、あべし!?

 私だって、私だって、普通の女の子みたいに嫉妬に狂って友達を恋の敗北者に突き落としたくなるときだってあるわよーーーーっひでぶぶぶぅ!?」

 

 結局、今回の顛末は夢オチじゃないですけど、一人の女の醜い嫉妬に振り回されただけだった訳ですか・・・。やれやれですね。

 

 

 

 

「我が人生に一片の悔い無し! なんて言う人間が実在するはずないのよーーーーーーーーっ!!!!」

 

 

 断末魔の叫び(?)を残して地獄の底へと落下してゆくグレモリーさん(エロ偽)。

 町が元通りになっていく中で人々も今起きてたことの記憶を失っていき、今回の戦いで倒した敵は彼女一人だけ。

 

 本当に・・・・・・やれやれでしたねぇ・・・。


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