24話の途中当たりまで話が飛んでますが、基本的には32話の続きです。
敵を蹴散らしながら進んで、24話のディドラ会話の途中まで来てから分岐したと解釈してください。
ディオドラ編を私なりに面白く書こうとすると、どうしてもこうなってしまうんですよね・・・いい加減ギャグかシリアスか自分の中で作風を一定させたいと願うばかりですよ本当に・・・。
*書き忘れてた分を書き足しておきました。
*書き足す部分を間違えてましたので、位置を変更いたしました。
「無論、死ぬまで! オッパイは不滅だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」
ーーん?
・・・あれ、なんか私、立ったまま寝ていましたか? それとも白昼夢でも見ていたんでしょうかね・・・。妙に長い時間の経過を体が感じている気がするのですが・・・。
「そうかい? でもそれは、果たして人間のままだったら続けて行かれた拘りなのかな?」
「??? どういう意味だよ?」
「言葉通りの意味さ。今の君は学生で少年という、地域にも親にも国にも法律にも守ってもらえて養ってもらいながら生きてる立場の人間だ。今なら言える言葉はいくらでもあるだろう。
だが、それらは本当に死ぬまで続けていけるものなのかな? 周りに理解を得られないまま、何の力も持たない人間として生きていく未来は、本当に今の君が信じて貫くと決めた信念を持ち続けているのだろうか?
僕には人生の敗者として落ちぶれていく、いい年したおっさんの君の姿しか想像できないのだけど?」
「縁起でもないこと言うんじゃねぇ!」
・・・なんだか、いつかどこかで見た記憶があるような無いような・・・? デジャヴュにしては似かよるどころか、記憶に残ってるのと同じすぎてて逆に疑問を感じちゃうレベルですし・・・これは一体どういう現象ーーって、私の頭上からアスタロトさんところに戻っていく金色の蝶なんか描写してんじゃねぇ! 隠せ! 丸わかりすぎてる犯罪トリックの真相を!
古畑任三郎の番組始まった直後に犯行が描かれる展開で、後半に主人公が小五郎のおじさん眠らせてまで推理してるの見せられたらバラエティになっちまうじゃねぇか!
「そうだね。未来の事なんて誰にも分からないんだし、成らなかった仮定の話に意味はないか。
とはいえ兵藤一誠。もし君に、今の君になる切っ掛けになった人物が居るとしたら、その人のことをよく調べてみた方がいいと僕は思うね。
その人は本当に孤独の中で信念を貫いて言っていたのか。その人は本当にそれしかなかったのか。その人は本当に自分の思い描いてる妄想上の人物と同じなのかどうかを調べてから参考にした方がいい。
ーー丁度その一件については思い当たる方が来られているみたいだし、参考になると僕は信じて進言させてもらうとするよ」
チラリと、兵藤さんの背後に偶然にも位置していた私に視線をやりながら“にんまり”と良い笑顔を浮かべたアスタロトさんは残っていたお酒を飲み終えて「さて、と」と言って立ち上がると、両手をあげて投降する意志を示されました。
・・・・・・って、あれ? ここから記憶と違ってる・・・。もしやこれが巷で噂のIF展開!?
「降伏しよう、リアス・グレモリー。ボクには君たちと抗戦する意志はない」
「・・・そんな言葉を鵜呑みにするとでも思っているのかしら? だって、貴方はさっき私の差し伸べた手を一度振り払っているのだから。今更の変心に疑いを抱いてしまうのは当然の心理というものでしょう?」
「誠に以てご尤も。ただね、グレモリー。さっきも言ったけど君はただの王妹だ。現場責任者として一定の裁量権は与えられていたとしても、降伏してきた敵将を許すか否かは君如きが決められる範疇を越えすぎている。極めて高度で政治的な問題なんだよ。
頭の中が赤竜帝と自分のお色気で占められているオッパイ脳の君たちには、一生かかったって判断することが出来ない次元にある問題さ。悪いことは言わないから、早急に兄上様に泣きついて判断を仰ぐといい。君ではどのみち何も出来ない。絶対にね」
「・・・・・・」
怒りと屈辱に震えているらしいグレモリーさんですが・・・妙ですね。アスタロトさんの言葉から、先程まで感じられなかった『確信』が見え隠れしているような・・・?
ーーいえ、これは少し違いますね。
証拠もなければ信じるに足る根拠もないのに『きっとこうだ』と直感だけで感じられる、似たもの同士だからこそ理由もなく信じられてしまう妙ちきりんなシンパシー。
それが今回伝えてきてるのは『彼の確信は、知っている事実を語っているだけなので中身空っぽ』と言う、微妙に否定的な感情。
攻略本を読んで得た正しき知識は、レベルを上げて冒険して経験則から得られた正しき知識と“自信”との二つ合わせたものに比べて著しく態度に現れるはず。
知識だけの場合は、やや高圧的な場合が多く、自信が付属すると余裕がでる。私の経験則ではそう言う結果がでています。
人と人とのやりとりを眺めつつ考え事しながらボンヤリしていた時に思いついた理論でしかないので、信憑性は0以下ですけどね・・・。
「んな事はどうだっていいんだよ! それよりもディオドラ! お前から降伏してきたんだから、とっととアーシアを解放しやがれ!」
「ああ、悪いけど赤竜帝。それは無理だし不可能だ。なぜならボクにはそれをする権限が与えられていないから」
「なに!?」
「どう言うことなのディオドラ? 今回の一件、首謀者はあなたのはずではなかったと言うの?」
「君たちはバカなのかい? グレモリーと頭の愉快な仲間たちよ。ボクの家系アスタロトは現ベルゼブブを排出したとは言え所詮は72家の一家門にすぎない。
君の所属する学校で行われていた三代勢力首脳会談を襲撃したカオス・ブリゲードの部隊を指揮していたカティア・レヴァイアタンと家柄だけ見たら同格だけど、旧き血を尊しとする旧魔王派にしてみれば旧魔王レヴァイアタンの血統と、現魔王アジュカ・ベルゼブブの実家じゃ相対的に各落ちしすぎているよ。到底、後釜になんか座らせてもらえる訳ないじゃないか?」
「でも、72家でさえ前の大戦で数を激減させていて中級悪魔から見たら十分すぎるほど高見に当たる存在のはずだけど・・・」
「おいおい、君がそれを言うのかいグレモリー?
純血のルシファーが絶えたことでカティアと跡目を競い合った末に統治者としての資質から選ばれたサーゼクス・ルシファーを兄に持つ君でさえ、問答無用で降伏勧告を無視されて上級悪魔どころか中級どもにさえ刃を向けられた事実があるのに、それを無視するのは統治者である貴族としてどうかと思うけどなー」
「・・・・・・」
再び歯噛みするグレモリーさんでしたが、私は他のことが気になってしまってそれどころではありません。申し訳なく思いますけど、今だけは無視させていただきますグレモリーさん、ごめんなさいでした!
・・・とりあえず、それは置いといて。
なんだかアスタロトさんの主張が妙に歴史に偏っているのは何故なのでしょうか? まるでどこぞの銀色の髪した生意気なだけの屁理屈小娘みたいで鼻につきますよね。言うまでもなく同族嫌悪であり自己嫌悪も兼ねてます。
私とよく似た思考を持ち、微妙に私と似た過去を過ごしたことのある彼。
果たしてこれは偶然なのでしょうか? もし仮に偶然ではないとしたら、誰がどういう意図で仕組んだカラクリなのか・・・さっぱりです。今しばらく様子見に徹させてもらいましょう。
「おまけに君はともかく兄君様の奥方様のご実家はバアル家だ。魔王に次ぐ権力を持つ大王家の姫君だよ?
彼女を妻に迎えたサーゼクス・ルシファーの妹君でさえ『忌々しき偽りの魔王の血縁者』呼ばわりするカオス・ブリゲードの旧魔王派に、本当の意味で尊き純血を尊重している悪魔が在籍しているとは少なくともボクは思っていない。だからボクに何かを期待するのは無駄だ。諦めたまえよ、純血の72家のひとつグレモリー家の次期当主リアス・グレモリー」
「・・・それなら・・・」
歯噛みをやめたらしいグレモリーさんは、大きく一歩を踏み出してアスタロトさんと相対すると、キッとした視線で彼の瞳を睨みつけて二つの異なる内容の問いを発しました。
「じゃあ、旧魔王は一体なにを信奉しているの? それから、あなたが役に立たないのなら誰を問いつめればアーシアを救い出せるのかしら? この二つの質問にだけ答えなさい。それによってこの場におけるあなたへの処罰は保留とすることを現魔王サーゼクス・ルシファーの妹として宣言します。
これは決定であり命令よ、ディオドラ・アスタロト。あなたが今この場で選べる選択肢は、この二つだけ。よく考えて選びなさい」
「なるほど・・・名代でも権限を一時的に委託された代理でもなく“現魔王の妹”ときたか。存外に君も歪んでいるんだねリアス・グレモリー。身の程だけは弁えているようで何よりだ」
「・・・・・・」
「おっと、そう怒らないでくれ。別に答えないとは言っていないんだから」
おどけた感じでヘラヘラと笑って流そうとするアスタロトさんに、ただでさえ短い兵藤さんの忍耐心は早くも断裂寸前にあり、毛細血管破裂しまくりそうで血みどろになったりしないか少しだけ心配になる顔色ですね、本当に。
「それで、旧魔王派がなにを信奉しているのかだっけ? そんなの考えるまでもないだろう? 何も、だよ。
何もできないし、何も信じてやしない。何かを信じたところで命を懸けれるほど情熱燃やした事なんて今まで生きてきた中で一度も存在していない、家柄と生まれを誇る以外には何もできない、したことない臆病きわまるゴミどもにいったい何を信奉しろと言うつもりかなグレモリー?」
「・・・・・・」
「アイツ等には何もない。何もしてこなかった。だから時代が変わり始めた今になっても、何もしなくて良くするために旧時代の秩序に戻したくて仕方がないのさ。
時代の流れについて行くことも、時代の流れに逆らうことも、時代の流れの隙間を見つけて泳ぐことも、それらをしようとする『努力』でさえ彼らは放棄し、今にしがみつこうとしている。だから「変われ変われ」と今までしてこなかったことを強制してくる君たちを『偽りだ』と呼んで蔑み殺そうとするんだよ。
自分たちがメソメソ泣きながら同類あい哀れみあう場所を、貴族たちの集う宮殿を守り抜きたくて努力してでも前に行こうとする君たちを否定してくる。ただそれだけさ。
泣く資格もない奴らには、自分たちが辛いと言って泣く資格を持たない屑であることを認める努力をするよりも、おそろいの仮面かぶって血の血統による正当性を叫びながらテロリストと世間からは非難されながら自分なりの信念に殉じて死んでいったエセ殉教者ごっこをしている方が楽でいい。ーーとまぁ、そういうことなんだろうねぇ多分。
ははっ、自分自身が歩んできた思考をトレースするだけで済む相手の考えを予測する方が、僕にとってはよっぽど都合よく楽ができそうだ」
「・・・・・・腐ってる・・・」
なんだか心が痛くなるお言葉の数々をどうもありがとうございましたアスタロトさん。現代日本人を代表する資格を持たない屑ですけど、お礼だけは言わせていただきますからね? 正直きつかったッス、と。
「いいから早く答えろよ! 誰に聞けばアーシアを助け出せるんだよ! いい加減ぶっ飛ばされたいのか、このニヤケ薄ら笑い野郎!」
「お、正解。凄いじゃないか赤竜帝。大正解だよ。確かにそうするのが彼女を救い出す最善の選択肢だ」
「「「「・・・は?」」」」
彼の意外すぎる答えに皆さんが唖然となり、私たち帝国軍には「やっぱりか~」な雰囲気が蔓延いたします。
御輿として担ぐ価値のない名門の当主が組織を率いるフリをさせられていた場合、真の黒幕がどのポジションにいて、どのような目で傀儡を見ているのか。
そして傀儡に最後に与える役割とは何なのか? ・・・考えるまでもありませんよね。
「そう、そっちの銀髪のお嬢さんは分かっているとおり、ボクを殺すことがアーシアを戒めから救い出す方法であり、そして同時にアーシアを使ってそこいら一体にいる異種族全てを吹き飛ばす爆弾に早変わりする条件まで兼ね備えちゃってるんだよねぇこれが」
『なっ!?』
「付け加えるなら爆弾として用いた場合の効果範囲は、このフィールドと観客席にいる者たち全員にまで及ぶ。
装置に使われている結界系セイクリッド・ギアの最高峰『ディメンション・ロスト』である事と、アーシアの持つトワイライト・ヒーリングの合わせ技で、アーシアの回復能力を反転させて防御不可能な内側から崩壊させてしまおうって寸法らしいね」
「アーシアの回復をリバースさせて・・・はっ! それはまさかソーナたちとの一戦で起きた現象を観測されて・・・!!!」
「いや、前々から研究だけはされていたらしいけど、誰一人実現するとは思っていなくて半ば以上頓挫されていたそうだ。けど、君たちの一戦から計画は見直されて予算は倍増どころか激増。
金目当てで飛びついてきた連中の数と質から見ても政権側に裏切り者が紛れ込んでて、ソーナ・シトリーにリバースを貸すことで餌に使うデータを採集させてた可能性は誰も否定できないだろうね」
彼は両手を上げたままの姿勢で器用に肩をすくめて見せながら、
「要するに君たちは足下が疎かなまま、種族の存亡やら子供たちの未来を守るための戦いやらとデカい声出して騒いでただけの、勘違いヒーローに過ぎなかったって事だね。
実際に敵を殺す戦争と、勧善懲悪のヒーロー番組とを混同してたんじゃ、そりゃ犠牲者の数は半端ないことになるだろうよ。あれらはいつの時代も無力な民間人が犠牲になってナンボの世界を描いた、戦争万歳作品ばっかりなんだから」
『く・・・!!!』
悪魔なのにヒーロー大好きな一部の方々が悔しそうな表情をしてらっしゃいますけど・・・もういっそのこと『悪魔』って名前改名しちゃったらどうなんでしょうかね? 古い伝統からの解放を謳うなら名称の変更は必然だと思うんですけども・・・。
もし変えるとしたら・・・『善聖』? 訳わかんないって言うか意味不明になっちゃいましたね・・・。だとしたら兵藤さんらしく『おっぱい族』、もしくはグレモリーさん流に『メイモングレモリー族』。
あるいは、二つを掛け合わせて『乳揉みぞ・・・失礼、前世の思い出しちゃいけない記憶が復活してしまいました。興味本位とはいえ高校生がやっていいタイトルではなかったです。反省。・・・でも、内容自体は超おもしろかったんだよなぁー・・・『巨乳ファンタジー』・・・。
「ちなみにだけど、その装置はロンギヌス所有者が作り出した固有結界のひとつ。所有者を中心にフィールド全体を包みこんでる霧の結界は中に入った全ての物体を封じ込めることも、異次元に送ることすら可能らしい。
元の持ち主がバランス・ブレイカーに至ったときに所有者の好きな結界装置を霧から作り出せる能力に変化した物らしいんだけど、持ち主が殺されて中身だけ持ち出された今じゃ機能を限定することでやっと使い物になると言った程度のガラクタだよ。
おまけに、僕か他の関係者が合図を出すか、僕が倒されたらが起動条件になってるお約束付き。挙げ句、中に入ってるアーシアの能力が発動しない限り停止しないとか使いタイミング限定されすぎだよね。今しか使えないじゃん。どうすんだよ本当にコレさぁ」
はぁ~あ、とやる気0な事この上ない態度でため息を付きながらアスタロトさんは、せめてもの『楽しみ』を求めてる時の紫藤さんみたいな表情をしてグレモリーさんたちに笑顔を向けられます。・・・こういう表情する人は、人間だろうと悪魔だろうと性質悪いんだよなぁ・・・。たとえば前世の私とか。
「二律背反。あっちを立てれば、こっちが立たず。ーーさて、この場合に選びうる君たちにとっての最適解を聞かせてほしいなリアス・グレモリーと、頭の愉快なグレモリー眷属の諸君。
君たちにとって大切なのはどっちなのか? あるいは、両方を選ぶとして手法はどれを選択するのか? それをボクに見せてほしい。それさえ見せてくれたらボクはここから一歩も動かないし邪魔もしない。なんだったらボクの中に埋め込まれてる装置の起爆スイッチも破棄するけど、どうするかい?」
「!? ディオドラあなた、今までそんな物を隠し持っていたの!?」
「持ってましたとも。そうでもなければアーシアなしだと満足な起動実験もおこなえない試作品でさえ誉めすぎな爆弾の側で酒なんか飲んでいられるものか。
そこまでボクは勇敢じゃないし、その勇気があるなら親の呪縛なんかとっくの昔に振り払って新境地に至っているよ」
「くっ! つくづく偉そうなだけで肝心なところでは役に立たない名門貴族のどら息子めぇぇ・・・!!!」
グレモリーさん、グレモリーさん。それ多分、ブーメランになってますから言わない方がいいですって。多分ですけどね?
「まっ、眷属さえ無事なら何でも良い君にとっては問題ないんじゃないのかいグレモリー? 少なくともアーシア自身が死ぬ訳じゃないんだし」
「いい訳ないでしょ! あなたも少しは何とかする方法考えなさいよ! このままだと私たちと一緒にあなたも死ぬことになるんだから!」
「・・・みんなの命を救うために、かつて愛した少女を手に掛ける王侯貴族の次期当主な美男子って・・・王道だよね」
「やめて! 本気でやめてお願いだから! いつもは小説やテレビで「これこそ王侯貴族のあるべき姿だわ!」って大賛成してた私だけど、みんなのために犠牲になるのが身内のかわいがってた女の子になった途端に間違っていたことに気づいたからガチで止めて、お願いしますディオドラ様やめてください土下座でも何でもしますから!」
「・・・テンパってるねぇ・・・君、相変わらず逆境に弱すぎるでしょ。直しなよ、その性格。一勢力を率いる盟主の義務としてさぁ・・・」
「すいません、ディオドラ様。うちのリアスは時々ちょっとアレなものでして・・・」
「いや、知ってるからいいんだけどね? ーーあ、それとお茶をありがとうございます姫神さん」
「いえいえ、この状況だと役に立てないのは私も同じ身ですから~」
・・・ノンキだな~・・・。
「イッセーさん、こうなったら私ごとーー」
「バカなこと言うんじゃねぇッ! 次にそんなこと言ったら怒るからな! アーシアでも許さない!」
「で、でも、このままでは、先生やミカエル様が私の力で・・・。そんなことになるくらいなら、私はーー」
諦め気味なアルジェントさんが自分ごと爆破する提案をし、兵藤さんが大声で一蹴されます。
そして、締めとなるオチを勤められるのはこのお方。
「じゃあ、ボクが爆破して終わらせて上げようか? 彼女自身が望むのがダメで、みんなを救えて、終わった後にボクを殴り殺せばとりあえず君の中では解決すると思うけど?」
「やめい危険思想! マジで殴り殺すぞ本当に!」
「敗者な上に降伏した身の、生殺与奪件はサーゼクスが持ってる今のボク的には構わないんだけど・・・いいのかい?
本当に殺されちゃっても? ボクが死ぬと問答無用でアーシアがサーゼクスたち皆殺しマシーンになってドッカーンと・・・」
「やめてくださいディオドラ様! 土下座でも何でもしますから!」
「・・・仲良い主従だね、君たちって・・・」
呆れ気味になってきたアスタロトさん。つか、この装置って今壊さないとダメなんでしょうかね? 起爆スイッチ持ってるアスタロトさんが投降してきたんだから時間をかけても良い気がしてきましたが・・・。ああ、それで今のタイミングに投降してきたわけですか。背後から首筋にナイフを押し当てられてる現状なら最適なタイミング・・・なのかな?
「ど、どどどどうしよう子猫ちゃん!? なんだかいつもと違って力付くの解決ができない危機が戦闘もなく訪れたせいで、いつもより激しく慌てふためいているボクなんだけれども!?」
「にゃっ! にゃっ! ーー落ち着いてください、木場先輩。私より上級生なのに、見苦しいです」
「そ、そうだね子猫ちゃん。年上の先輩なのに、後輩の君に縋ってしまって申し訳なかった。次からは気をつけるよ」
「まったくです。爆弾が爆発して大勢の人たちが危険な目に遭いそうになってるときに情けない・・・こう言うときには焦らず騒がず教室の外の廊下に出席番号順で並んでから校庭に避難するのが常識的対応です」
「子猫ちゃん!? それ平和な日本の学校での常識だからね!? あと、爆弾って言うのは比喩であり喩えに使ってただけで本当はセイクリッド・ギアだからね!? ロンギヌスだからね!? 緊急時に災害対策の避難訓練マニュアルを鵜呑みにして行動したら被害続出するよ確実に!」
「あわわ! あわわわわーーーーーーっ!!! ・・・・・・きゅ~~~~・・・・・・ぱたん(なんか知りませんが慌てふためいた後に気絶してしまった男の娘。どうでもいいので無視で放置です)」
・・・他の人たちもヒッドイ状態にありますね・・・戦い以外に役に立たない人が多すぎる・・・。何でこの人たちカオス・ブリゲードに所属しないで和平派に組みしてんの? 逆じゃない、この能力と適正的に。
「俺は・・・・・・俺は! 二度と、アーシアに悲しい思いをさせないって誓ったんだ! だから絶対にそんなことはさせない! 俺が守る! ああ、守るさ! 俺がアーシアを絶対に守ってやる!」
「イッセーさん・・・・・・」
「だから、一緒に帰ろう。家で父さんと母さんが待ってる。俺たちの家に帰るんだ!」
なにやら感動的な展開の1シーン。
そして、ぶち壊しにするのはこの御方。
「いやまぁ、そもそも君が彼女を守り抜く事を優先してボクなんかに意識を割かずに浚われたりしなければ、今の状態そのものが起きていないのだけれどね」
「それ言っちゃうと終わりだろう!? もっと夢を見ろよ男の夢を! ドリームを!」
「夢て。他人の命を賭け皿に乗せてまで見る夢ってなんだい? 倫敦を死者の軍勢が襲って焼き尽くして地獄を創る悪夢かなにかかい?」
「怖すぎる展開! いや、そう言うんじゃなくて! たとえば世界の危機に立ち向かう選ばれし勇者とお姫様のラブでエッチな大冒険活劇とかさ!」
「危機に陥ってる世界の住人たち放っといて二人だけのラブ空間構成するのかい・・・?
人でなしだなぁ~、その勇者。選んだのは絶対神様じゃないよねその人。間違いなく邪神か魔王だよ」
「男の夢がブロークン・ファンタズム!」
こっちも賑やかだな~。
「くっ! こうなったらぁ・・・・・・!! ーードライグ、俺はお前を信じるぞ」
『どういうことだ、相棒』
なんか兵藤さんが思い付いたっぽいです。ーーただなぁ・・・、こっち系のこういう主人公が危機的状況下で思いつくアイデアって、大抵は『すっぽんぽん魔術』系統なんですよね、トリニティセブンのアラタさんとかみたいに。
兵藤さんもあれくらいアグレッシブな爽やか変態さんになればあるいは・・・・・・ダメか。アラタさんはイケメンでしたねごめんなさい。ブサイクじゃないんですけど、兵藤さんはなんと言いますかその・・・相良良晴さんっぽいんですよね、『織田信奈の野望』に出てくる主人公の。顔とか髪型とか髪色とかが超にてる気がしているのですよ。
いや、嫌いじゃないんですよ? 良晴さんも信奈のも。ーーただ、顔に関しては作中で『サルサル』呼ばれ続けてて、気が付いたら兵藤さんまで猿顔に見えて仕方なくなってきてる今日この頃です。前世の記憶と一致するラノベが手に入ってしまう時空への転生も考えものだなぁと思いました。まる。
「アーシア、先に謝っておく」
「え?」
「高まれ、俺の性欲! 俺の煩悩! ーードレス・ブレイクッ! バランス・ブレイカーブーステッドバージョン!」
ああ、やっぱりこの展開だ。性欲全開で脱がして解決パターンだ。
ま、コレで解決するなら越したことはないのでしょうね。誰が損するわけでもなし、アルジェントさんに限らずヒロイン勢が兵藤さんに脱がされるのは『ハイスクールD×D』世界では日常茶飯事。放っておきましょう。被害受けない程度に距離置きながら見物でもしてね。
そんな風に気楽に構えていた私は忘れていました。
はじめの頃に感じたデジャヴゥと違和感を。
この時間軸は微妙に違っているような気がする不可解さを。
まるで自分が違う時空に迷い込んだときのような、まるで自分だけが異なる世界線で過ごした記憶を僅かながら持ち越せてきているような不思議感覚。
それがもたらす今まで起きた変化の数々を思い出しておければーー避けられたのかなぁ、この後に起きるアホ惨劇を・・・・・・。
『ブースト!ブースト!ブースト!ブースト!ブースト!ブースtーー』
兵藤さんが力と書いて性欲と読む変態力を徐々に徐々に上昇させていく仲で、遂に真打ちが帰還を果たします!
兵藤さんが性欲を高める為と聞いて黙って放置できる人じゃありません! メインヒロインは伊達じゃない!
「イッセー! 性欲ね! 煩悩を高めて性欲全開エロおっぱいパワーで勝利する私たちの定番完全勝利の法則を狙うつもりなのね! だったら私に任せておきなさい!
乳ヒロインは伊達じゃない! 行くわよーーーーーっ・・・・・・ふんっ! 服、脱ぐ!」
『どえええええええええええええええええっ!?
部長がかけ声と共に一瞬で全裸に脱皮したぁぁぁぁぁぁぁっ!?』
「失礼ね! 私は名門グレモリー家の次期当主! 貴族らしく、貴族パンティは穿いたままよ! 変態露出狂の恥女と一緒にしないで頂戴!」
「いや、グレモリー。眷属たちのまえでリオのカーニバルに出てくる衣装みたいなのを着て姿を現す名門貴族は、冥界広しといえども君だけだと思うよ? 変な意味で尊敬してしまいそうだ、変な意味でだけれども」
「だから失礼だと言っているでしょう!? 私は別に脱ぎたかったわけじゃないの! ただ、私はイッセーが他の女のオッパイでパワーアップするのが許せないだけよ!
愛する殿方には自分の自慢のオッパイでこそパワーアップしてもらいたいという恋する乙女の純粋すぎる想いは、モブ女たちと性行為しまくって穢れきったあなたには決して理解することはできない!」
「理解できないままの方がいいなぁー。その変態思想を理解できたとき、僕は君たちのいる側に立っているんだろうねぇ」
ちゃ~らら~♪ ちゃっちゃ、ちゃらら~♪ ちゃ~ららららら~♪
「ああ、神殿だからと設置しておいた音響システムが乗っ取られてる・・・」
「エロに関係している物事で、わたくしの右にでる者はおりませんわ! ディオドラ様!」
「君って確か日本の神社で神様に祈ってたりしなかったっけ?」
「ハァ~ん、アアァ~ん、あっふ~ん・・・」
「踊り慣れしすぎてるねリアス・グレモリー・・・。冥界を治める魔王の妹で、名門中の名門グレモリー家の次期当主よ・・・」
「おっぱーーーーーーーっい! ブレイカーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!」
「きゃあああああっ!?」
「・・・ああ、魔術の法則ガン無視して昔愛した少女が大勢の見ている前で全裸に剥かれて恥ずかしがってる・・・。
つか、涙目でうずくまってるように見えるんだけど、泣かせないんじゃなかったのかい赤竜帝・・・・・・」
・・・うん。これはもう・・・どうしようもない程にヒドすぎる・・・・・・。
「きぃぃぃぃぃぃさぁぁぁぁぁぁぁぁぁまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!
裏切ったのかディィィィィオォォォォドォォォォラァァァァ・・・・・・(ぶつん)」
「悪いけど、もう少しだけ出番は待っていてくれ、シャベルなんたら。“この時間軸”での彼らに聞いてみたい事が残っているんだから」
・・・・・・“時間軸”・・・?
ーーデジュヴゥの記憶の仲では死んでる人、客観的に物事をとらえていて、過去と未来の知識を持っていて、自分たちが最終的に多種族との戦争によって滅ぼされることを知っている・・・・・・。
ーーーーーーあっ。
つづく