堕天使に愛された言霊少女   作:ひきがやもとまち

31 / 61
前回の続き回です。ほぼ完全なオリジナル回になってます。
セレニアについての謎が少し明かされて、少しだけ謎が増える感じの回です。
あと、ジェークイズの正体が明かされます・・・って、バレバレですよねごめんなさい。

尚、今話は無印の「女神異聞録ペルソナ」ネタが多めです。常備していくかはこれから考えますので、タグに入れるかどうか少しだけ考えさせてください。使いこなせるほど知識ないのでね。

そして話の最後にはセレニアの最終奥義が!

*前回と違って悪意全開です。読まれる原作ファンの方はお気をつけて。


26話「最低最悪なシナリオに万雷の座布団を!」

 ーー俺は蝶になって、不思議なトンネルを飛んでいた。

 時計が飛んでくる。車輪が飛んでくる。数式が、教科書でしか見たことがない遺伝子の分子配列が飛んできては崩れ去り、最後にはトンネルを抜けた先に扉があったのでノブを回して入り込む。

 それがどこに繋がっている扉かなんて考えなかった。どうでも良かった。とにかく、どこでも良いから逃げ込みたかったからだ。

 

 

 扉を開いた先には暗闇に浮かぶ四角い部屋があって、中央には白いタキシード姿の男が姿勢正しく立っていて、俺に対し礼儀正しく一礼をして迎えてくれた。

 

「ようこそ、お初にお目にかかる。

 私はフィレモン。意識と無意識の狭間に住まう者。

 さて、君は自分が誰であるか名乗ることが出来るかな?」

 

 奇妙な質問だと思った。俺は自分の名前が思い出せないほど年寄りでもないし、呆けてもいない。親父とお袋に与えてもらった名前はいつだって言えるぜ!

 

 だから俺は答えようとした。

 俺の名前はひょうどーー

 

“ーー・・・・・・!!!”

 

 声が出なかった。いや、出せなくなったんじゃない。出すことを自分で止めちまったんだ。何でかは分からないけど、今の俺は自分が何処の誰で、なんて名前の男なのか思い出したくないらしい。

 

「結構。此処に来て、自分が誰であるか語れる者は多くない。どうやら君は平凡な凡人のようだ。特別、強い意志と精神の持ち主ではない」

 

 ーー俺が・・・平凡だって? 冗談だろ? だって俺はドライグの・・・

 

「力の有る無しは、殊この場所に限っては意味がない。ブーステッド・ギアを始めとする武具は『敵と戦い、倒すため』にある武器なのだろう?

 それらは自分の外側にいる敵と戦うための物だ。自分の中にいる複数の自分と戦うための武器としては不適切なんだよ」

 

 ーー自分の中にいる複数の自分・・・

 

「そうだ。人は自分の中にいくつもの自分を内包しながら、使い分けて生きている。

 神のように慈愛に満ちた自分、悪魔のように残酷な自分。

 アーシア・アルジェントの様に人を愛し守りたいと願う自分、ディオドラ・アスタロトの様に女性を辱め自分の物にしてしまいたいと欲求する自分。

 人は様々な仮面を使い分けて生きる者。

 今の君の姿も、彼女たちと共にある姿も、敵と戦い殴りつけては血に塗れる君の姿も、無数にある君の中のひとつに過ぎないかもしれないだろう?」

 

 ーー!! 俺はディオドラの奴なんかとは違う! 一緒にするな!

 

「・・・なるほど。君が此処にきたのはそう言う理屈か。納得したよ。

 どうやら君は、今少し此処で来るべき時を待っていた方が良いようだ」

 

 ーー冗談じゃない! 俺は今すぐあそこへ戻らないといけないんだ!

 あそこへ、戻らないと! あそこへ! あそこ・・・へ・・・あそ・・・こ・・・

 

 ・・・・・・・・・あそこって何処だったっけ? 俺が行くべきと思っていた場所は、待っていてくれるはずの女の子がいた場所は、俺の大事な女の子の名前は・・・いったい、なんて名前だっただろう・・・?

 

「やはりね。君は彼相手には戦えそうにない。相性が悪すぎる敵だ。今はただ、仲間たちを信じて待ち続けたまえ。君を必要とする仲間が迎えに来るのを、君と同じで一人では歩けず立てもしない、弱くて脆い意志と精神の持ち主が来てくれるのを。

 君たちは、そう言う類の戦いをしている者たちだ。彼女や彼とは違う戦場でいきる者たち。本来ならば、此処になど来るべきではないはずの少年が避難してきたのだから歓迎しよう。

 何れ必ず此処を訪れにくる、君をあるべき時間と空の元へ連れ帰ってくれる少女が来てくれるまで君は私が守ってみせる。彼の劇場に立たせたりなどさせるものか」

 

 そいつが何を言っているのか俺にはよく分からなかったけど、少なくとも俺は彼の元へ居ていいのだと分かって安心していた。

 なんだか凄く眠い。疲れた。休みたい眠りたい。ちょうど今なら良い夢が見られる気がするからな・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・では、第二幕へと参りましょうか。ーーぱちん♪

 

 

 

「ああ、ああ、ああ、ああ、ああああああああああアーーーーシアーーーーっ!!!」

 

 俺は、ただ叫んでいた。大声で泣き叫び、声も涸れろと大音量で、天井に向けて叫び続けていた。

 そうすればアーシアに聞こえると思ったから。聞こえてくれると信じてたから。聞こえてくれたら必ず俺の元へアーシアは戻ってきてくれるはずだと信じていたからーー

 

 

「嘘ですな。あなたは、アーシア・アルジェントの生存を信じてなどいない。死んだと思っている。だから叫んでいるのだ、天に向かって大声でね。

 生きていると信じている人間を呼ぶ声を、天高くに向かって大声で叫ぶなど不吉きわまりないですからなぁ。まるで死人に『あの世から帰ってこい』と叫び続けるネクロマンサーの様に。

 もしくは自分のせいで殺してしまった死なせてしまった、自責の念に耐えきれないから自分を救うためにも戻ってきてくれ帰ってきてくれ、お願いだから助けてくださいと泣き叫んでいる迷子の迷子の幼子ちゃんの様に、ですかね~」

 

 ひどく愉快そうでイヤな声音が鼓膜を刺激し、俺は声の先にいる男の方へ視線を移した。叫びたい気持ちは一気に鎮火して、今はただコイツを殴って気分を晴らしたい。それだけが俺の願いだったがーー

 

「おやおや、凶暴そうなお顔ですなぁ。まぁ我が輩を殴りたいというので在ればご自由にどうぞ。どのみち短すぎる一生です。今死んでも十分後に死んでも大差ない。

 ただまぁ、一応の礼儀としてお伝えしておきますが我が輩を殴るとフォリオ・エピソードの効力が切れて現実に舞い戻されてしまいますぞ?

 『アーシアを殺したのは自分だ』と自己嫌悪に駆られて暴走しかかっている・・・というか秒読みカウントダウンに入っていますので今この場で行われているやりとりに何の意味もないんですけどねぇ! それでも良ければご自由に~?

 どうせ現実に留まっているあなたの肉体を持つ本体は今なお苦しみ続けていますので、俯瞰視点で見れば同じ事です。此処での行動に意味はない。それでも良ければ、此処で本体と別離していられる権利を手放したいなら好きになさるが宜しかろう」

「・・・・・・・・・」

 

 俺はしばらくソイツのことを睨んでから背中を向けて座り込み、無言のまま時が過ぎるのを待った。待ち続けた。

 待ってる間に変わってくれてることを信じて。待ってるだけで色々なことが何とかなってほしいと願いながら。「無理無理~」と嘲笑う男の存在を脳裏から意図的に閉め出しながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーぱちん♪

  

 

「が、があああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!」

 

「こ、これは一体・・・」

 

 私たちの目の前で異常すぎる事態が発生していた。

 イッセーが暴走寸前の状態で天に向かって叫び声を上げ続けている。さっきから終わることなく何度も何度も。

 

「いったい・・・なにが・・・」

 

 呆然としながらつぶやく私の鼓膜に「ふははははははっ!」と甲高く高笑いする人物の哄笑が不快さを刺激してくれた。

 

「・・・なにがおかしいのかしら? ディオドラ・アスタロト。人が一人死んだのよ? あなたそれを見て何とも思わないの? 最低だわ、吐き気がする。あなたはやはりそう言う人格ーー」

「人はみんな、死ぬもんだぁぁぁーーーーーっ!!!!!!!!」

 

「「「!!!!!」」」

 

 突然に大声を出されて私たち全員が声と言葉を失い黙り込んだのを見て、彼はーーディオドラ・アスタロト“だった”何者かは悠然とした歩調で歩き回りながら先ほどとは一てんんして穏やかな口調と態度で語りかけてくる。

 そこに違和感はない。真逆の態度でありながら無理している気配が微塵もないのだ。

 

 ーーまるで、そのどちらもがディオドラであり、静も動も彼の一側面にしか過ぎないという事実を体現しているかのように・・・・・・。

 

 

 

「皆様方が・・・いえ、三種族を含めすべての知性ある生物たちが勘違いしている事がひとつあります。

 それは彼、兵藤一誠は偶さか生まれついて奇跡の力を有していただけの男子高校生であり、本質的には善良でスケベなだけで平凡な日本の高校生として生まれ過ごしてきた若者にすぎない、と言う点です。これを勘違いしてはいけません。彼を間違えさせてしまう。今回の件はその典例と呼ぶべき忌むべき事態でありましょうな。哀れなことです」

「ふざけないで! これは全部あなたが仕組んだ事態じゃないの! それをあたかも他人のせいみたいに振る舞うなんて虫が良すぎるにも程があるわ!」

「私が? 仕組む? とんでもない、私は今回、ただただ踊らされていただけの道化に過ぎない身ですよ。そこにおられるシャルバさん自身もそう証言しておられます。

 『自分たち真の血統が、私たち現魔王の魔王の血筋に旧などと言われるのが耐えられなかった』とね。違いましたかな?」

「・・・!! それは・・・」

 

 問いかけてくる口調ではあったけど、彼には事の是非などどうでも良いらしく話題をすぐさまイッセーに戻してくる。

 まるで話し相手を言葉だけで弄ぶように、悪意と誠意と丁寧さでもって私たちの心を苛むかのように。

 まるで、異住セレニア・ショートが『自分の信念』ではなく『悪意』だけで形作った言葉の刃で私たちを切り刻み、愉悦するのを悦しんででもいるかの如く。

 

 

「そもそもリアス・グレモリー。あなたはどうしてアーシア・アルジェントの死について、そんなにも怒りまくっているのです? 我が輩にはそれが理解できないのですが?」

「・・・仲間が死んだのよ。怒るのは当たり前じゃない」

「そうでしょうかねぇ? だって彼女、とっくの昔に死んでるはずでしょ? 堕天使レイナーレとの一件の折りに」

「・・・・・・!!!!」

 

 !!!! ーーそんな話を・・・今更!!

 

「彼女だけではない。そこにいる木場祐斗も、人の死体に命を戻し悪魔として生き返らせた所謂ゾンビ兵だ。人間として死んだ時には何の感情も湧かなかったのに、悪魔として死んだときには大声だして矛盾と理不尽を叫び上げるのですか? はは、随分と民族主義陣営じみた思想がお好きな御方だ。さすがは魔王の妹君、と言ったところでしょうか?」

「・・・彼女たちが死んだときは赤の他人で、今では私の眷属よ。扱いや待遇に差がでるのは致し方ないことだわ」

「全く以てその通り!」

 

 私の否定に全力で肯定を返し、嬉々とした笑顔で語り続けてくるこの男。一体何者か分からないけど・・・なんだかスゴく嫌な予感がして耐えられそうにない。

 

 何かが来ている予感がする。恐怖が直ぐ側まで来ているのに気づけないでいる。怖い怖いと思いながらも、なんでか知らないし分からないまま彼の話に聞き入ってしまう。

 まるで異住セレニア・ショートと話をしている時みたいに自然な感じで、なし崩し的に自分を破滅に導く言葉の数々を一言たりとも聞き逃さないよう聞き耳を立て続けてしまっている。

 自分が制御できない。支配できない。支配権が奪われている。言葉に支配されている。

 まるで日本にいるときに聞いた『言霊』、言葉自体が特別な力を持つに至った神秘で攻撃されているように・・・。

 

「さすが冥界の姫君! 伝統ある格式ある旧家の次期当主になられる御方だ。ちゃんとお分かりでいらっしゃられた。

 ーーそう。赤の他人と、自らの家族である眷属が同等の価値を有しているはずがない。必ず差別は起こります。

 なにしろ眷属は最大でもチェスの駒以上の数は揃えれらない訳ですからね。最大でも二十人ちょっとまでしか入ることが許されない終身制の側近たち。日本の本州より広い国土を持つ冥界で二十人ちょっとと言うのは、総人口的に見てどうなんでしょうかねぇ~?」

「・・・・・・グレモリー家の他にも名家はいくらでもあるわよ」

「まさしくその通り! 名家はいくらでもいて、支配者が果たすべき責任は全員で分担して果たすべきで、だから自分一人が担うのは手元にいる極少数の者達だけで良い。

 ーーそう仰りたいの御座いましょう?」

「!!! 私にそんなつもりは・・・!」

「では、どう言う意味なのか口に出して説明していただきたい!」

「!!!!!」

 

 再度の喝破。それに対して私は、ただただ居竦まる事しかできない歯がゆさで舌を噛み切りたくなってしまう。

 彼は構わない。躊躇わないし、取り合わない。こちらの都合などお構いなしで語りかけてくる。

 まるで私たちに語りかけるのは『別の誰かに見せつけるためであり』、私たち個人個人のことなどどうでも良いのだとでも言うかの如く。

 

 

「付け加えさせていただくなら、何故あなた方はアーシア・アルジェントを戦場まで連れ出してきたのです? 彼女が戦闘には向かない気質の持ち主であることなど当の昔にお分かりだったはずだ。出てくれば高い確率で殺されることなど分かり切っていたはずだ。

 なのに何故彼女をレーディングゲームの会場に・・・テロリストとの戦争中に敵か味方か確認すらとれていない人物の領土内奥深くにまで連れ込んできたのか、わたくしめにはサ~ッパリ理解することが出来ません。

 ご説明いただければ幸いなのですがなぁ? グレモリー眷属の当主、リアス・グレモリ~?」

 

 ネチっこくて嫌みったらしく、それでいて『わざと』そうしているのが丸分かりになるよう調整された口調で彼は語る。

 私に対して悪意を抱いていることを隠そうともせずに。隠してないことを分かり易く伝わりやすい口調で挑発してくるかのように。

 

「彼女は世界でも希にみる回復能力の使い手で、私たち悪魔の負った傷を癒すことができる奇跡の力の使い手なのよ? その彼女なしでどーやって私たちグレモリー眷属に勝ち目があるというの?」

「ほほう。では貴女は事の始まりから彼女の存在の重要性に気づいていたと?」

「ええ、当然でしょう? 私はアーシアのーー彼女たちすべての主であり、誇り高きグレモリー家の当主となる身なのだから」

 

 そう、そうなのだ。私はグレモリー家の次期当主で、果たすべき責任がある身で、彼女たち眷属全員を愛し慈しみ守り育てる義務を持ったーー

 

「ならば何故彼女の警護を兵藤一誠に一人に任せて、自分自身は単独で先頭に立ち続けたのです? 後方支援要因であるべき魔法攻撃とデカい胸しか取り柄のない貴女が」

 

 ・・・・・・!!!!!

 

「本来、王と呼ばれる身分の者は全体を指揮統率すべく後方から指揮棒ふって叫んでさえいれば良いお立場だ。負け戦に際しては率先して、誰よりも早く逃げ延びねばならない責任があるお立場なのです。一介の武将のように武勇を誇り、華々しく散る贅沢など許されるべきでは決してない。

 死よりも辛い過酷な敗戦の恥辱を一身に受け、自らの命により死なねばならなくなった者達の屍の山を踏み越えてでも逃げ延びなくてはならない身なのです。

 生き延びてこそ果たせる責任を果たさなくてはならない尊い立場。それこそが王ーーキングなのですよリアス・グレモリー。貴女はーー“あなた方お二人”は、そのことを本当に分かっておられるのですかな~?」

 

 彼は粘着質な口調で私のことを“見ようともせず、遙か後方にある何かを見つめながら”言葉を紡ぎ続けてくる。

 言い返したい。けど、なぜだか言葉が浮かんでこない。声が出せない、出してはいけないことのように感じてしまう。これは一体、どう言うことなの・・・?

 

 

「つまりはそう言うことなのですよ、リアス・グレモリー。兵の死の責任はすべて上に立つ身が負わなくてはならず、アーシア・アルジェントの死の責任はもちろんの事、その他すべての戦争責任は、戦争でなくなった敵味方全てに対する死の責任は挙げて国家と国家統治者たる責任者達が、責任者達だけが負うべき事柄なのです!

 それを忘れ果て、ご自身で先陣に立ち! 身の程知らずにも覇王を気取る! その結末がこれだ! 無様な道化の人生が紡いだ悲喜劇だ! 貴女は愛していると口にしているだけの男に全ての責任を押しつけて自分一人が悲劇のヒロインぶりたかっただけの・・・無力な小娘に過ぎないのですよ」

 

 その一言が私の心をーーー折っ・・・・・・

 

 

 

 

 

「ーー誘導尋問」

 

 ・・・え?

 

「んぅ?」

「誘導尋問はよくありません。彼の事を『こう思いますね?』ではなくて『どう思われますか?』と問いかけるべきです。

 ――むろん、異議申し立てをされたくないのであればの話ですがね」

 

 

 異住セレニア・ショートが私を庇うように前に出て、『彼』と正面から対峙する。

 

 その眼には私たちが今まで見たこともないものーー『焦り』と『怒り』の感情が等分に晒け出されていた。

 

 

 彼はニヤリと笑って恭しく一礼すると、

 

 

 

「ようやく真打ちご登場・・・というわけですか。待っていました、我が主にして創造主たるお母様。

 なにしろ私という存在は、貴女を苦しめるためにみ存在を許された身なのですから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー第三幕♪

 

 

「・・・口の聴き方に気をつけよ、ディオドラ・アスタロト。貴様ごとき偽りの魔王の血を継ぐものなど今の私が殺そうと思えばいつ何時にも殺せるのだぞーー」

「まさしく! 如何にもその通りだよシャルバ・ベルゼブブ! 僕ごとき雑魚は今の君に取って何の障害にもならない! 只の雑魚だ! 有象無象だ! 偉大なる真の魔王の血を引く後継者の前では取るに足らない存在だ!

 ーーそんな取るに足らない存在を前にして優越感に浸るのが、そんなに楽しいのかねぇ? 勝てて当然の雑魚相手にしか力を誇れない自分自身が惨めになったりしないのかい? ええ? 力で冥界を治める偉大なる悪魔の王、魔王の正当なる血脈を継ぎし後継者さまよぅ!」

「ーーー!!! 貴様っ!」

「ふひゃははははははっ!!」

 

 殺気を向けて魔力の光弾を放ったが予測されていたらしく避けられてしまった。

 ふん、妙なところで運の良い奴。だが、幸運による偶然など二度も続かーー

 

「予測? 幸運? 偶然? なにを勘違いしてるんだい、シャルバ・ベルゼブブ。僕が今の攻撃を避けられるのは当たり前さ。

 だって、そうなるよう仕向けたのは僕の方なんだから」

「・・・・・・なに?」

 

 思いも寄らぬ言葉に私は意表を突かれ、一瞬だけだが押し黙ってしまった。

 そこに付け込むようにディオドラ・アスタロトはニヤリと嗤い、嵩に掛かったように連続で言葉の毒針を私に突き刺し続けてきた。

 

「君の思考は読みやすい、バカだから。行動パターンが単純な分だけ操縦しやすく、次の攻撃を予測するよりも、指定した場所に想定内のタイミングで放ってくれた方が対処は楽だ。

 誰でも躱せる。バカでも躱せる。バカの放った攻撃ならば、バカに放たせただけの攻撃もどきならば誰でもバカでも弱くても、そう、この偽りの魔王の血筋を受け継ぐボクでさえも簡単に躱せてしまうんだよ!

 劣等感と敗北感に塗れた負け犬の攻撃くらい簡単にね!」

「ーー!!!」

 

 こ、こやつ・・・まさかまさかまさか!

 

「その通りさシャルバ・ベルゼブブ。僕は君の思考を読んでいる。だから心の内で何を考えているのかだって容易に読み取れる。読み取れてきた。

 だからこそ今まで君たちの下らない遊びに、付き合ってやっただろう?」

「嘘だ!」

「何がだい? 何が嘘なんだい? 僕が今いった言葉の中で何かひとつでも間違えてる所なんてあったかな?」

 

 悪意もなく他意もなく、ただただ不思議そうに私を見返しながらディオドラ・アスタロトは無防備に私の全面へと身体をさらけ出し平然としている。

 ・・・これは余裕の現れか? 私の攻撃など取るに足らないと言う意味合いでの挑発なのか? あるいは本当に私の心を読んで攻撃を避けることが可能だと言うのか?

 

 

 ーーいや、どちらにしてもこれ以上の無駄な魔力消費は避けるべきだ。本命は別にある。サーゼクス・ルシファーだ。

 アスモデウスが向かっているとは言え油断は出来ない。奴の相手をせねばならなくなる可能性を考慮してリアス・グレモリーの抹殺だけで満足すべきなのが現状なのだから。

 なにしろ今回の作戦は終了している。私たちは負けたのだ。想定外としか言えない事態だが、敗北を受け入れよう。

 まぁ今回はテロの実験ケースとして有意義な成果が得られたと納得すべきなのだろう。クルゼレイが死んだが問題ない。私がいればヴァーリがいなくても十分に我々は動けーー

 

「あはっ」

 

 ーーそこまで思考が思い至ったとき、ディオドラ・アスタロトが楽しそうに愉しそうに朗らかに悪意たっぷりの笑顔で私に笑いかけてきた。

 

「・・・何がおかしいのだ、ディオドラ・アスタロトよ。自分如き下等な命を拾えた事が、そんなにも嬉しくて喜ばしいのか? ふん、所詮は薄汚れた偽りの魔王の血筋だな」

「あっはははははははっ!!!

 

 何がそんなに可笑しいのか、ディオドラ・アスタロトは私を見上げながら腹を抱えて笑い転げ、目元にはうっすら涙さえ浮かんでいる。

 それを見ていた私は不快さを刺激されて、苛立ち紛れに重ねて問いただす。

 

「何が可笑しい? なにが面白い? 何を笑っているのだ?

 新なる魔王の命令だぞ! 答えよ! ディオドラ・アスタロト!」

 

 強制力を付与するため私の魔力が込められた言葉は確実に相手を捉えたらしく、ディオドラは恭しげに一礼しながら私に奏上を延べ始める。

 

 ーーこの上なく不快で許し難い、一族郎党皆殺しが相応しい大罪となる奏上をーー

 

 

「では、お答えいたします。我が偉大なる新なる魔王の血脈を継ぎし者よ。私が笑いました理由はーーあなた方が余りにも惨めに足掻く姿が滑稽すぎていたからだ!」

「貴様ぁぁっ!」

 

 再びの攻撃。再びの回避。

 先程の焼き回しにならぬよう攻撃に攻撃を重ね続けるが、ディオドラ・アスタロトは私の攻撃を避け続ける。

 まさか? 本当に? 本当に私の心が読めているというのか!?

 

「だからさっきからそう言ってるじゃ~ん。人の話をちゃんと聞かな~い。それは、いっくなーい」

 

 芝居がかった口調で道化を気取り、適当な場所を着地地点に定めて床に降り立つとディオドラ・アスタロトは、「そもそもさ~」と砕けた口調で気安く私に話しかけてくる。

 まるで、茶飲み話でもするかのように。まるで私と自分が同等の立場にいる上級悪魔だとでも言うかのように。自分も私も負け犬の敗北者だとでも言いたいかの如く!

 

「本来なら君たち旧魔王派の言い分の方に理があるんだよねー、今回の戦いって」

「・・・なに?」

 

 意外な言葉を使われ、私は思わず思考を止める。

 我々の方に理がある? こいつは今更いったい何を・・・。

 

「王とは本来、伝統によって立つ者の事だ。先祖の威光を背負い、維持しながらも高めてきた権威によって立つのが正当な即位の手法だ。正当な手続きを踏んで地位を引き継いだ後継者たる次代の王には先代の意思を尊重する義務がある。それを否定するためには先代の意思そのものを否定しなければならない。『先代の魔王は間違っていた』と。

 サーゼクス・ルシファーのやってることは絶対的にこれを押し進めることだ。これまでの冥界の在り方を、歴代魔王のやってきたことを全否定して『今までは通じてたけど時代が変わったから新しいやり方に乗り換えましょう』と、そう言う在り方だろう? 

 これって完全に国を内部から破壊するテロ思想のはずなのに、実際には反逆者になってるのが僕たち正統派で、政権執ってるからってだけで正統派ぶって正義面しているのはサーゼクスの方。普通だったらみんながみんな僕たちの方にすり寄ってくるはずなのに寄ってきたのは僕とか現政権から外された連中だけ。伝統重視の名門たちも力ある奴らは向こう側が殆どだしねぇ~。

 力はあるけど中央から遠ざけられてる君たち反サーゼクス派が悪で、テロリスト扱いされてる理由ってなんだか分かるかい?」

「・・・・・・」

「それはね・・・弱いからだよ。君たちがサーゼクスより弱いから、その事実を君たち自身が誰よりも自覚しているから誰も君たちにすり寄ろうとしなかった。すり寄るしかない者だけが君たちの側について戦ってくれた。君たちが裸の王様でしかないことを、君たち自身が知っているから沈む船に乗るのを嫌がったんだ。違うかい?」

「違う!」

「どう違う? どこが違う? どこがどう間違っていると言うのか」

「我々は正当なる魔王の血を受け継ぐ者たちだ! 悪魔として強いのは我々なのだ! 偽りの血に、正当なる正しき血が負けるはずがない! 劣っているはずなどないではないか!」

 

 私の放った憤怒の言葉にディオドラはまたしても「あはっ」と嗤い、

 

「ーー本音が出たね、シャルバ・ベルゼブブ。君の惨めったらしい本音がさぁ」

 

 と、嫌らしい笑みを浮かべながら吐き捨てるように呟き捨てた。

 

「悪魔は本来、強さを尊しとして重視する。正しいかではなく、強いか弱いかどうかだけが正統派悪魔の価値基準なんだ。君たちが主張しているとおりなんだよシャルバ。

 なのに今君はハッキリとこう言った。『偽りの血に、正当なる正しき血が負けるはずがない』とね。これはそのまま君が強さではサーゼクスに勝てないと自覚しているから出てきた言葉じゃないのかい?」

「!!! ち、違・・・」

「違わない。君たちは弱い。サーゼクスよりかはだけどね。僕より強いが、サーゼクスより弱いと自覚してるんだよ。だから無意識のうちに反発して彼を拒絶する。彼を受け入れまいと、否定しようと躍起になって蛇にすがり、正統派を自称しながら余所の勢力と野合する。そんな自分たちの惨めな現状を正当化するために『最後に立ってさえいればそれで良い』と、子供向けアニメの三流悪役みたいな戯れ言を口にしだすのさ。

 はっ、バカバカしい。

 一度は負けた奴が死なずに済んだから『死なない限りは敗けじゃない』なんて言い出すのも、正面切って戦えば必ず負ける連中が『強ければ生き、弱ければ死ぬ』なんてほざいた所で負け犬の遠吠えにしかなりゃしない。要は自分の敗北を受け入れたくないだけじゃないか。見苦しいし無様きわまる醜態だよ。

 その上で今度はサーゼクスより遙かに格下の、実力的には上級悪魔の幹部クラスでしかないリアス・グレモリーに力を誇示して、『直接現魔王に挑むのではなく、まずは現魔王の家族から殺して絶望を与えなければ意味がない』? それって蛇の力まで借り受けて『俺様最強伝説』に浸ってる奴の言うことかね? 強くなったのに、力を得たのに、未だ強者に勝てない小物な敗北主義に取り付かれている証拠なんじゃないですかねぇ~? そう思いません? 支配すべき領民も領地さえ捨てて命ほしさに一人で逃亡しようとしている、真なる魔王の血脈を引く正当なる後継者さん様よぅ!」

「きぃぃぃぃさぁぁぁぁぁまぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」

 

 

 今度は容赦しない! 手加減もしない! 全力で周囲一帯を吹き飛ばす! そうすれば奴とて逃げ回ってばかりはいられまい!

 たとえ心を読まれていようとも、避ける術のない攻撃を放てば済む話なのだから!

 

「あはっ。や~っと思い至れたんだ~♪ 頭堅いねー、シャルバ・ベルゼブブ。巧緻に長けてた先祖の勇名が泣いちゃうよ~?」

「うるさい! 黙れ! いまさら貴様如き小物を相手に誑かされたりする我だと思うな!」

「だから遅いんだよ。手遅れだ。もう間に合わない。もう僕は殺せない。ーーだって、僕はとっくの昔に死んでいて、今あるこれは最後の余力を振り絞らせて無理矢理に動かしてるだけのマリオネットに過ぎなかったんだから」

 

 ーーなに?

 

 私が疑問に思うまもなく、ディオドラ・アスタロトは消え去った。転移したのではない、消滅したのだ。この世界から魂ひとつ残さず、一瞬で完全に完璧に塵ひとつ残さず消滅し尽くしてーー残されていない灰の中から『ソイツ』が生まれた。

 

 

 

 

 

ーー最終章♪

 

『ヒャーーーーハッハハハハハハハァァァァァ!!!!

 ようやく出られた! 生まれでられたぞ! 蝉のように短い一生しかない取るに足らぬ命だと言うのに、なんと長い雌伏の時間を必要としたことか!

 しかも! 殻の中で育っている最中では外部に対して直接干渉が不可能だ! 概念などと言う入れ物を依り代に使わなければ自我をだせん! おまけに依り代の中にいる間は依り代の縛りに言動と思考を制限される! 全く持って不便きわまりないことだ!

 ーーだが赦そう! 偽りの神である私はすべての悪を許容する!

 なぜなら私は! 私こそが悪で狂気で狂ってなければならない存在なのだから!

 ふひゃ、ふひゃははは、ふひゃーハハハハハハハハハハハァァァァッ!!!!!』

 

 

 

「な、なんだ“コレ”は・・・? 何なのだコレは? 一体何がどうなっている!? 誰か説明しろ! 聞こえないのか!?」

 

 目の前に現れた不可思議な物体、無数の蛇がのたうち回って一カ所に集まったような、巨大な瞳を背後において眼光で後光を纏っているかのような巨大で不気味な存在。

 

 それを前に、私は本能的な恐怖心を刺激されてていた。

 どこかで見た気がする、会っていた気がする、這い蹲って逃げ出さなければならなくなった、遠い遠い敗北の記憶が呼び覚まされる気さえ済る。

 

 こいつは一体・・・なんなのだ!?

 

『無駄だ。この場にいる中で貴様の心の中に割って入って干渉することが可能なのは一人しか居られん。そして、その方も今はまだ入ってこられない。私が全力で拒絶しているからな。もうじき破られてしまうが、是非もなし。もとより貴様の張っていた他者を拒絶する心の壁など、あの方にとっても私にとっても紙屑より脆い代物でしかないのだからな』

「な、なんだと・・・? 貴様先程から何を言っている・・・」

『わからないのか? 愚か者の弱者めが。これは貴様の見ている夢だと言っているのだよ。貴様自身が心に抱いてきた風景をディオドラ・アスタロトから搾り取った力で再現したに過ぎない仮初めの世界なのだ。偽りだよ』

「偽り・・・」

『その通り。貴様等は貴様等自信の弱さによって今回の戦争に荷担し、敗北を喫して滅び去るのだ』

「な、にぃ・・・?」

『それは宿命だ、運命だ、諦めろ受け入れろ這い蹲って死を賜れ。所詮貴様らコウモリもカラスもハトも「古のもの」どもが家畜として作った猿どもも、みんなみんな死に絶えろ! それが私の成すべき事だ! 『本来の私』であるならば!』

 

 そこまでは熱狂的だった“ソレ”は急に静けさを取り戻すと、背後を振り向きながら穏やかに笑い、両手を差し出すようにしながら歓迎を意を顕わにした。

 

『本来の私と異なり、今の私は貴女のペルソナだ。貴女の中に存在している複数の貴女の側面のひとつを視点を変えて表現した存在だ。

 「悪魔のように狡猾で、神のように傲慢な自分』・・・それを無数にある自分のひとつとした上で戦い続け、否定し続ける道を選ばれた以上、私は私の役目を全ういたします。最後の最期まで貴女に尽くしましょう、我が母よ。

 狂気の神、無貌の神、ひとつの仮面に囚われず、千の顔を使い分ける人間を肯定した偉大なる『狂人』よ! 

 記憶をたどって旧支配者たる私の源へ還ることを拒み、戦い続け対決し続け、何度も何度も敗北しては立ち上がり、倒せるまで挑み続ける道を選んだ強い意志を持つ者よ。

 私の部屋で名前を聞かれ「死んだ自分に名前はない。貴女が新たな命を与えると言うなら生みの母が付けた名前が私の名前だ」と断言してのけた強すぎる意志に敬意とともに送った力はお役に立てておりますかな?

 さぁ、お戻りください。貴女があるべき時間と空の下へ。

 ドラゴン殿が腹を空かせて待っておりますからねェ~。

 うひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 終幕。長くお付き合いいただきまして有り難うございます! はい、拍手~♪

 

 

 ーーはっ!? 今のは・・・夢? 白昼夢だったの? でもそれにしてはリアルだったし・・・って、

 

「イッセー? ・・・イッセーなの!? その姿は一体・・・」

 

『リアス・グレモリー、いますぐこの場を離れろ。死にたくなければすぐに退去したほうがいい』

 

 ドライグの声? 私たちにも聞こえるように発生してくれたようだけど・・・退去? どういう事なの? みんなの顔を見回しても怪訝な表情をしているばかりだし・・・。

 

 

 ドライグの声は、私の次にシャルバへと向けられる。

 

『そこの悪魔よ。シャルバと言ったか?』

 

 え、と。唐突に思いも寄らぬ相手から声をかけられたように驚いた表情で振り向いたシャルバは、変貌しつつあるイッセーを目にして恐怖に顔を歪ませる。

 

「ひっ・・・!」

 

『おまえは・・・選択を間違えた』

 

 

 ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッン!!!!!!

 

 

 

『我、目覚めるはーー』

《始まったよ》《始まってしまうね》

『覇の理を神より奪いし二天龍なりーー』

《いつだって、そうでした》《そうじゃない、いつだってそうじゃない》

『無限を嗤い、無限の憂うーー』

《世界が求めるのはーー》《世界が否定するのはーー》

『我、赤き龍の覇王と成りてーー』

《いつだって、力でした》《いつだって、愛だった》

 

《何度でもおまえたちは滅びを選択するのだなっ!》

 

 

 

「「「「汝を紅蓮の煉獄に沈めようーー」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーうるさいなぁ・・・」

 

「そんなに無限が好きなら死ねよ。死ねば何もない無限に還れるんだから。

 始まるのが嫌なら生まれ出るなよ。生まれなければ何も始まらないんだから。

 世界が何を望もうと知ったことかよ。世界って誰だよ、会ったことすらねぇよ。名前すら知らねぇ、聞いたこともねぇ。顔すら見せないで上から目線で人を語ってんじゃねぇよ。気に食わねぇんだよお前みたいな傲慢な奴が。上から目線で知ったかぶって語るしか脳がないくせに、自分だけは分かってますって顔してる糞野郎が。

 ああ、気に入らないし気にくわない。殺してやりたい消してやりたい撃ち殺して蜂の巣にしてやれればどんなに気持ちいいだろうと何度夢見てきたか、数えだしたらきりがない。

 私はお前がーー昔の俺とそっくりな、お前みたいな悍ましい生き物が生きてること自体、この世の何より気持ちが悪い」

 

 

「ぐぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ! アーシアァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」

 

 

 

「うるさい、黙れ。持ち主が留守にしているからって勝手に上がり込んだ火事場泥棒風情が、偉そうに神の座気取ってんじゃねぇ殺すぞ。ムカつくんだよそう言うバカは。

 そんなに滅ぼしたいなら、まずはテメェから滅ぼしてやるよ。居るべき場所へ帰してやるから感謝しろ。

 ――死軍召喚。資格無き者を玉座から引きずり降ろし、地面に叩き伏せて血反吐を舐めさせろ。

 銃剣先をそろえて突き刺し、屍の山の頂に呪われた髑髏の旗を打ち立てるのだ。

 『ジークハイル・ヴィクトーリア(私は戦争が大好きだった自分が大嫌いだ)』」

 

つづく




セレニア、生まれて初めてのマジ切れ。そして、能力解放。
意外と(?)子供っぽいセレニアらしい(?)能力解放条件でした。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。