堕天使に愛された言霊少女   作:ひきがやもとまち

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本当は今日中に「俺ガイル」原作の言霊少女作品を始めるつもりでしたが、
完成直後に大幅な改造案が浮かび、今日の完成を諦めてこちらを書きました。

基本的に「IS学園の言霊少女」以上にギャグ要素が強くなっている作品なので、
原作を求めている方にはまったく向いておりません。ご承知おき下さい。

ノリで出しましたが今後も使いそうなのでタグにクトゥルーを入れておきました。
あと、オリ種族も。

ゼノヴィアの呼び方を「クァルタさん」から「ゼノヴィアさん」に替えました。
セレニアは基本名字呼びなので忘れてましたが、この時点でゼノヴィアに名字はありませんでしたね。失礼しました。


2話「これよりセレニア教は原作への武力介入を開始する」

 どしゃ降りのなか、私たち三人は深夜デートを楽しんでいます。

 ・・・少なくとも、“二人は”楽しめているみたいですね。言うまでもなく、私は仲間外れの三人目ですが。一生仲間に入りたくないのですが。

 

 ーー衝撃のと言うには無理が有りすぎる、驚天動地の出会いのあと、私の自宅へと拠点を移したゼノヴィアさん、紫藤さんペアを我が母はあっさりと受け入れました。

 曰く、「嫁候補はいくら居ても困らない。最終的には愛人でもいいと言わせれば済む」との事です。・・・本当になにを娘に教えてくれてるんですかね、あの合法ロリ母は・・・。

 

 ーーその後の家での生活は思い出したくないので言いたくありません。

 とりあえず、私のプライバシーがこの世から消え去ったとだけ言っておきます。残りはお察し下さい。

 

「雨の中での散歩も良いものね。・・・とくに人気がないところが」

「ああ、それに深夜という時間帯も良い。・・・とくに人目がないところが」

 

 お巡りさ~ん。助けてぇ~。

 ここに自分が変態であることを隠していない変質者が居ます。襲われそうなのですが、撃退しても自宅で待ちかまえてます。どうすればいいですか? ーー諦めろ?・・・ですよねぇ~。

 

 はぁ・・・今日は天野さんが夕飯の準備で居ないことだけが不幸中の幸いですよ。あの格好の三人に囲まれながら歩くのは、一般人のノミの心臓にはキツすぎるのです。胃に悪いし痛いです。

 

「・・・ん?」

「あれ?」

「・・・? どうかされましたか、お二人とーー」

「ヒャハハハハハ!」

 

 私の台詞が終わる前に響いてくる可笑しな笑い声。

 

 ・・・こんな笑い方する人って実在したんですね。どう聞いてもわざとやってる様にしか聞こえないんですけど・・・。ーー厨二さん?

 

「これはアレだな。いわゆる変質者だな。即刻通報しなくては。日本の深夜に変態が彷徨いているのは教育上よろしくない」

「だね。夜中にあんな奇声を上げるような奴は変質者で間違いないからね。良い子のみんなに悪い影響がでる前に刑法で裁いてもらわなきゃ」

「・・・・・・呼んだら貴女達もまとめて職質されるんですが・・・」

 

 その後、問答無用で警察署へと補導されて留置所で一泊です。

 だって、今着てるのローブの下にはあのボンテージですよ? もともと着ていた戦闘衣とかいうのよりも露出度上昇しすぎの。

 完全な変態さんです。貴女達こそ通報されるべきでしょう。

 

「バッチコーイ!ナイスタイミーング! 以前のお返しついでに試させてくんねぇかなぁ? どっちが強いかぁ、オマエんとこのクソ魔剣とぉ、この聖剣エークスカーリバー、とさぁぁ!」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

「変態確定だな」

「変態確定だね」

「変態確定ですね」

 

 本当に酷い変態も居たものです。

 完全に厨二です。妄想と現実をごっちゃにしすぎです。

 この世界『ハイスクールD×D』には聖剣エクスカリバーが実在しているようですが、どうやら原典である「アーサー王伝説」とは無縁のようですね。

 だって、間違いなく使い手を選んでいませんもん。選んでおいてアレなら聖剣自体がナマクラなんでしょう、確実に間違いようがないほどに。

 

「うらぁぁぁぁぁぁ!」

「てやぁぁぁぁぁぁ!」

 

 なにやら叫び声がしたと思ったら、道路に二人の少年が飛び出してきました。

 一人は、天野さんが通うことになっている駒王学園の男子用制服を着た美少年。

 もう一人は・・・コスプレイヤーですね。改造神父服を着て舌を出しながら剣を振るっている、見間違いようのない厨二さんです。

 

「・・・ん?」

 

 片割れのコスプレイヤーさんがこちらに気付きました。

 ニヤァと、まさにザ・厨二の笑い方で笑顔を作り、話しかけてきます。口調までもが厨二でした。

 

「これこれは、教会所属の聖剣使い様じゃあ~りません、か! こんな所で奇遇ですねぇ~。もしかしてぇ~、俺様ちゃんを殺しにきたのかなぁ~? そ・れ・と・も~、そこに転がってるお仲間ちゃんの敵討ちでちゅかぁ~?」

「「「・・・うわ・・・」」」

 

 私たち三人の声が重なります。

 厨二です。ものすごいレベルの厨二です。鳳凰院凶魔もビックリです。

 

 まさか、外国にもここまでハイレベルな厨二病患者がいたとは・・・やはり世界は広かったのですね。

 

「お前達は・・・そうか、教会の手先か」

 

 もう一人の金髪イケメンさんが敵意むき出しの口調で私たちを睨みつけながら吐き捨てるように言い放ってきます。

 

「悪いが、これは僕の戦いであり復讐だ。手出しはしないでもらおう。邪魔立てするならお前達から始末する」

「別にかまいませんよ。勝ち残って生き残ったほうに奇襲をかければそれで済みますし、そのほうが楽です。できれば手の内をさらけ出しまくって戦ってくれると、もっと楽ができるんですが」

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

 ぴたっ、と音が聞こえるほどに鮮やかな一時停止。

 どちらも剣を振りかぶったままの姿勢で止まってしまいましたが・・・リモコンでも押し間違えたかな?

 

「・・・おい、聖剣使いさん。おたくら何時からそんなキッタネェ手を使うように成り下がりやがったんですかねぇ~?」

「ごく当たり前の戦術的判断ですが?」

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

 再び黙り込むお二方。

 なにか不思議なことを言いましたかね私?

 ああ、民間人が変質者の喧嘩に介入するのは可笑しいですね、確かに。

 ただ、この二人はあきらかな危険人物なので放置するわけもいきません。

 

 いえ、私一人なら何もできないので放置という大義名分のもと隠れてやり過ごしますが、ここには一応のエクソシスト(自称)が二人もいるので不意打ちぐらいはできるだろうなと思いました。

 

「敵か味方かも分からない相手が交戦中なのです。投降するならよし、さもなくば撃破するのは安全政策上の常識です。誰が居住区で剣を振り回す犯罪者をそのまま放置しますか。まして、犯罪者に戦士としての礼儀を守る必要はありません。あらゆる手段を用いて殲滅あるのみです」

 

 若干ナチズムが入ってしまいました。

 昨日みた「HELLSING」の影響ですね。少佐の真似は日常生活では控えましょう。友達どころか社会的地位をなくします。

 

「ーーああ、思い出した。確かアレだ、えーと・・・はぐれエクソシストの・・・プリーズ・キルミー、だったかな。なんか、そんな感じの名前で、以前は正統派の少年神父でしたが、今では教会から身分を剥奪、ヴァチカンから追放されて堕天使達の下部組織に雇われて、悪魔を召喚した民間人を殺して回る始末屋にまで身を落としたとか・・・」

「ちょっと待ってくれませんかねぇ~。だーれが、プリーズ・キルミーなんですか~? 俺は殺す方で殺される方じゃないんですけどもぉ~」

 

 プリーズ・キルミーさんが何か言ってるのを聞き流しながら、私は今し方ゼノヴィアさんが言っていた内容を吟味します。

 

 身分剥奪、国外追放、テロリストの下部組織に雇われた鉄砲玉、民間人を殺して回る犯罪者・・・・・・つまり、

 

「住所不定無職の逃亡者ですか・・・・・・可哀想に・・・」

「ぶぅぅぅぅぅっ!?」

 

 私のごく普通の解釈を聞いたプリーズ・キルミーさんが、なぜか盛大に吹き出しました。

 なにか面白いことでもあったんですかね? 見れば、もう一人の制服の方も口元を押さえて笑いを堪えていますが・・・。

 

「お、おおおお前、なななな何言ってくれちゃってますか、このガキはぁぁぁぁっ!! お、おおお俺は人を殺すのが好きな快楽殺人者だしぃ~、法の裁きなんて剣一本でどうとでもなりますしぃ~、住所なんか無くたって生きていくのに不便ないですしぃ~。問題ナッシングですけどぉ?」

「では、今はどこで寝起きをしてらっしゃるので?」

「く、朽ちた教会の中だけど・・・」

「寝心地は良いですか? もしくは雨の中でも快適ですか? ご飯は何を食べてらっしゃいますか? コンビニに行くにもその格好では売ってくれないのでは? むしろ、通報されたことはありませんか?」

「え、ええと・・・た、多少は? うん、いや、全部で一度・・・いや二度くらい・・・? もしかしたら三度か四度くらいはそんな事があったりなかったり・・・?」

「・・・・・・いま、幸せですか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 黙り込んで俯いてしまいました。

 見れば手元がプルプル震えています。・・・よっぽど厳しい生活だったんでしょうねぇ。さすがに、哀れみしか感じられません。

 

「う、ううううううううるせぇぇぇ!! こうなったらお前らを殺して金を奪う! 奪って豪遊だ、コーラを飲んでハンバーガー食べてフィレオフィッシュ食ってやる!」

「マックが豪遊・・・」

「哀れな・・・」

「私、涙が出てきたよ・・・」

 

 一気に同情ムードに包まれた私たちに、プリーズ・キルミーさんが「だぁぁぁぁぁぁ!!」と地団駄を踏み始めます。

 ヴァチカンにもあったんですね、地団駄。日本文化がイタリアにも根付いていて嬉しい限りです。

 

「ふむ・・・。転生愛天使としての力を実戦で試したかったのだが・・・さすがに、アレを斬るのは忍びないな」

「だよねぇ・・・。完全に苛めになっちゃうし。・・・ここは“彼女”に任せたら? せっかくセレニア様に拝謁する機会だし、先輩として見せ場を譲ってあげましょうよ」

「なるほど、アイツか。確かに適任だな。

 よし。ではーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「忠勇なるセレニア教徒よーー愛女神セレニア様の威を示せ!」

 

 

『御心のままに』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおぉぉぉぉ!? て、どこから出てきやがりましたか、てめぇわぁ!?」

 

 プリーズ・キルミーさんは、突如として背後に現れた白いゴスロリ服を着た魔法少女っぽい小さな女の子に驚いて一気に距離をあけます。

 かなり警戒しているみたいですけど・・・魔法少女を警戒する快楽殺人者っていったい・・・やはり“自称”を頭に付けるべきなのでは?

 

 

「マジカル☆ミルたん、参上だにょ♪」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はっ、すいません。魔法少女の名乗りがあまりにお約束すぎて硬直してました。

 

 だって・・・ここまで空気を読まない人がまだいたなんて・・・・・・世界が広いにもほどがあるでしょう、いくらなんでもこれは無理ですよ。

 

「なにフザケやがってますかぁぁぁぁ!!」

 

 ほら、やっぱりプリーズ・キルミーさんが怒っちゃいました。

 彼は持ってる剣ーー聖剣でしたっけ?ーーを振りかぶって振り下ろします。

 

 相手は小学生くらいの小さい女の子、これで決まりかと思いきやーー

 

「ピンチに召喚、『マジカル☆名状しがたきバールのようなもの~♪』」

 

 がきぃん!

 

「なにぃ!?」

 

 ーー受け止めましたね、バールで。・・・おかしくないですか、それ?

 

「今度はこっちの番だにょ♪ 『マジカル☆冒涜的な手榴弾~♪』」

 

 どごぉん!

 

「うおわぁぁっ!?」

 

 ーー敵が吹き飛びましたね、手榴弾の爆発で。・・・やっぱりおかしいですよね、これ?

 

「さぁ、今度は決め技で魅せるにょ♪『マジカル☆宇宙CQC~♪』 おらおらおらおらおらーっ!!!!」

 

 どごどごどごどごどごどごどご!!

 

「ひでぶあでぶおでぶ!?」

 

 ーー殴られてますね、拳で・・・って、もうコレ魔法でもなんでもないじゃん。ただの腕力じゃん。どこに魔法少女の要素がある!

 

「彼女はもともと“彼”だったのですが、魔法少女になりたいという夢を叶えるためにセレニア教に入信し、望みを叶えるために必死に祈り、願い、捧げ続けて誰よりも速く願いを具現化しました。今の彼は彼女です。『魔法少女ミルたん』、それが彼女の本名となったのです」

「・・・・・・願っただけでTS出来てしまう私ってなんですか? 何者ですか? むしろ、『名状しがたきナニカ』じゃないんですか?」

「神です」

「それ絶対に善神じゃないですよね? どちらかと言えばーーいえ、完全に旧支配者グレート・オールド・ワンですよね? 世界を救うことなんてないでしょ? 滅ぼすだけでしょ? 人の願いを叶える振りして世界に災厄をまき散らす存在でしょ?」

 

 縋りつきたい気持ちでゼノヴィアさんの袖をつかみ詰め寄りながら問いつめますが、まるで効果がありません。

 彼女の精神力こそが神の金属オリハルコン製だと思います。

 

「クソがぁ! こうなったら持ってるエクスカリバー全部をつかーーー」

「さぁ~て、みんなが待ってるこの時間、必殺技での決着だぁ~♪

 行っくよ~『マジカル☆

 

 

 ニャルラトホテプしょうか~ん♪』

 

 

 だにょ♪」

 

「おい」

 

 ちょっと待ーー

 

「うぎゃああぁぁぁぁぁ!?」

 

 ーー見たくないし表現したくもない『ナニカ』に食われていくプリーズ・キルミーさん。あとには血溜まりも血生臭さも残りません。全部食べられています。

 

 ・・・やっぱり名前が良くなかったんでしょうね。次に生まれ変わったら『イエス・ウィ・キャン』と名付けてもらってください。

 

「・・・・・・本当に、何をどうしたら『あんなモノ』を喚べるんですか? ・・・いえ、それよりも『何処』から喚んだんですか? あんなのがこの世界にいたら崩壊するどころじゃないんですけど」

 

 崩壊以前に食われます。地上どころか天界も冥界も例外なくこの世の全てが、です。・・・もう原作どうこうどころじゃねぇ・・・。

 

 間近で目撃している制服姿の彼なんて、恐怖のあまり現実逃避して蝶々の数を数えてます。精神が崩壊しても治せる魔法とか有るといいですね。

 

 その様子を見定める視線でゼノヴィアさんが評価を下します。

 

「未熟で未完成だが、二日でコレなら及第点といったところか」

「及第点・・・?」

 

 ・・・アレが?

 邪神呼び出しておきながら及第点あげてすませるって、貴女どんだけですか。ここまで傲慢で尊大な人、クトゥルー作品にも出ませんよ。・・・人間に限っては、ですけど。

 

「なにはともあれ、ご苦労だったミルたん。さぁ、こちらがセレニア様だ。頭が高い、控え居ろぉ!」

「ははぁ!」

「・・・え?」

 

 なんで私頭下げられてる? なんで跪かれてる? 私何かしましたっけ? むしろ、何かしてしまいましたっけーー?

 

「初めて御意を得ますセレニア様。わたくしめはセレニア教徒ナンバー1054番ミルたんともうします。以後、お見知り置き願えれば光栄です」

「あ、はい。よろしくお願いします・・・?」

 

 返答が疑問系になってしまったのは、彼女の言動が戦闘時と比べて変わりすぎている以上に発言内容に見過ごせない部分があったためです。

 

 今彼女は、『ナンバー1054番』って言ったような気が・・・

 

「あ、私が頑張って信者を集めましたぁ! 誉めて貶してぇ貶めてぇ♪」

「死ね」

「はぁふうんっ♪」

 

 くそぅ、罵声が通じない。これだから変態は・・・。

 

 ・・・あれ? 待てよ・・・。

 

「・・・貴女達と出会ってからまだ三日しかたってないんですけど、何時の間に布教を?」

「私たちセレニア教徒は、愛女神セレニア様のご加護により時間を自由に操れるのです」

「・・・・・・完全に神を超えてるじゃないですか・・・」

 

 勘弁してください。今度こそ、本気で勘弁してください。

 これは、無理です。原作がどうのじゃないです。完全になにか別のモノです。誰か助けてぇー。

 

「ーーところでミルたん。愛幻郷の建設は順調か?」

「はっ! 一両日中には新世界『愛幻郷』が完成し、我らセレニア教にとっての拠点及び聖地として機能します。そして、その中央に聳えるカダス大神殿にはセレニア様の居室と、その美巨乳を忠実に再現した高さ100メートルの巨大神像がーー」

「止めてください。ホントそれだけは止めて、お願いだから」

 

 黒歴史が具現化するよりも辛い。辛すぎる。二度と転生しないように地獄の奥底に堕とされたくなってしまいます。

 

 あと、愛幻郷って完全に幻夢郷じゃないですか、ドリームランドじゃないですか。これ以上世界を増やさないでもらえません?

 

 舞台が増えると物語が破綻とかいうレベルで収まりません。完全に別世界になってしまいます。もう、これ以上壊れたら戻れなくなる寸前でしょう。・・・寸前のはずです。いえ、そうであって下さい。手遅れなんて事態には責任持てませんって。

 

「・・・・・・そう言えば、セレニア教徒っていま何人くらーー」

「今日の時点で10万人を超えました」

「・・・・・・宗教法人が作れそうですね」

「お望みとあらば直ぐにでも」

「謹んで辞退します」

 

 これ以上変なことに巻き込まれたくないです。

 

 ・・・完全に手遅れになり始めていることは分かってますが、それでも受け入れたくない現実だって有るんですよ。

 それが、生きている証です。私は生きている限りは諦めません。

 

 ・・・・・・あれ、そう言えばセレニア教徒って願ったら叶うんですよね? しかも、TSとかみたいなことでも。そして、転生愛天使・・・・・・

 

「・・・一応聞いておきますね。新しい教徒の中に転生愛天使はーー」

「覚醒が遅れていますが、それでも実戦に耐えうる者は十数名。とくに、松田、元浜、森沢の三名の転生愛天使はミルたんに次ぐ実力者たち。たかが上級悪魔ごとき敵ではありません。もちろん三名とも、TSと性装の装着は済ませております」

「あ、そう・・・」

 

 見たくないし知りたくないからいいです、その報告。

 

 ーーなぜ、私に祈るだけでTSしたり天使化したり時間を操れるようになったりするんですか。私ホントに何者ですか、ただの転生者じゃないんですか、特典与えてもらってたんですか、訳がわからなすぎます。

 

「はぁ・・・、もういいです。今日は帰って寝ます。疲れたので一刻も早く寝たいです」

 

 寝て起きた時には、世界はもう少しマシな物になってたりーー

 

「では、私が全裸で添い寝を」

「なら、私はお目覚めになられたときに口づけの準備を」

「まだ子供が寝る時間です。もう少しだけ起きてます」

 

 寝ても起きてもやっぱり逃げられそうにありません。

 

 いったい、この世界はどうなってしまうんでしょうか・・・?

 私のせいで原作どころか世界まで崩壊するなんて事だけは無しに願いたいです。

 

 ああ、胃が痛い・・・私が願ってもいっこうに治らない胃の痛みを誰か和らげてくれたりしませんかねぇ・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、おい木場! どうした、なにがあったんだ!?」

「・・・・・・うへへ・・・・・・壁の中にネズミが・・・・・・あはは・・・窓に、窓に・・・・・・」

「木場ぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

つづく




セレニアの転生特典:
心から祈り願われると自動的にクトゥルーな叶え方で叶えてくれる。
セレニア自身には何の効果もない。
当然、彼女自身が何を願っても無駄で無意味。
セレニアはこの特典について正しく理解できていない。これからも理解する日はこない。


次回でようやく原作主人公を出せそうです。

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