堕天使に愛された言霊少女   作:ひきがやもとまち

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セレニアの中に誰かいる?回&完全なるギャグ回です。
最近戦争続きでしたので偶にはこういうのを書いてバランス取りたくなりました。
バカやって笑って楽しむためだけの回ですが、良ければ読んでやってください。

ただし、前回以上に原作尊重派の方々はご遠慮した方が良いかもな内容ですが・・・。

*ご指摘を受けた箇所を一部修正しました。


22話「大決戦前までです」

 ーー天から降り注ぐ光の雨。

 それは一本一本が優美さと神々しさに満ちていて、清浄を謳う天界の神が不浄と罵る悪魔の住まう大地に落とすのに相応しい破壊力を持ってはいたけれど。

 

 どこまでも無慈悲で残酷に圧倒的に蹂躙し尽くす在り方は高潔な『裁き』ではなく、悪意ある計算で彩られた『威嚇』を印象づけられるものだった。

 

「・・・・・・死だ。俺たちの死が、俺たちを浚いにくる・・・」

 

 現に、私を狙って襲いかかろうとしていたカオス・ブリゲードへと鞍替えした上級悪魔たちが震える声で呆然としながらつぶやくのを先ほどから何度耳にさせられていることか。

 仮にこれが降伏を促す威嚇射撃だとしたら・・・・・・

 

「・・・やりすぎだわ。これじゃあ敵どころか味方さえ敵に回してしまいかねない」

 

 悪魔は力を尊重する。強いこと、力あることは彼らにとっては崇敬の対象になる条件であり、遺憾ながら私でさえ弱いよりは強い方がいいと感じてしまう時があるのは悪魔の性質として否定しきれない。

 

 でも、だからと言って過ぎた力が破滅を招くのは悪魔でさえ知っている事実。

 それを越えた力を示してしまった彼女たちはもう、悪魔たちに存在を受け入れられる存在ではなくなってしまった。

 天から降る光の雨が悪魔たちすべての心に、強大なる力を持った『脅威』として永遠に刻み込まれてしまったのだから。

 

「この状況を造って、いったいどうするつもりなの異住セレニア・・・? もしもの場合それしか方法がないのであれば・・・」

 

 消すしかない。

 私の命、全生命を使って存在そのものを捨て石にしてでも冥界最大の脅威を取り除けるチャンスを物にしてみせる!

 

 暗い決意を胸に秘めながら、私は紫藤イリナに抱き抱えられながら天を見上げる彼女の背中を凝視し続け、汗が滴り震える拳を堅く握りしめていた。

 

 これが私の人生で、最後の一撃になる攻撃かもしれないと不安におびえながらーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーー天から降り注ぎまくる光。

 最初はアプサラスⅢの拡散メガ粒子砲を(SDガンダムGジェネレーション風味にデフォルメして)想定してたのに・・・。

 

 

 ーーめっさ凄まじい事になっちゃってます。はっきり言ってありえねぇ。原爆ドームなんて子供のオモチャかよってぐらいの惨状が展開されている目前の光景に、私は冷や汗だらけの顔を空を見上げることで他人には見られないようにしていました。

 

 い、いやだってだってトゥールハンマーの放つ光の柱って、もっと細くて頼りないのを連想してましたし! アニメ版だとそうでしたし! 細分してさえビルよりデカくなるとか聞いてない! 詐欺だインチキだ過小広告だ!責任者出てこい! はーい、私です。死ねっ!

 

 

 ・・・・・・などと一人芝居やって現実逃避している場合じゃないですよね、どう考えても。この状況・・・どうやって収めよう・・・。

 想定してない事態を前に私の頭が完全にフリーズしてしまっているとゼノヴィアさんが――

 

「見よ! これが我々の戦果だ!」

 

 ――なんかデラーズ中将みたいなこと言い出したーーーーっ!!!!!!

 

「聞け! 混沌帝国皇帝陛下の名代ゼノヴィアの言葉である!

 今やアスタロス領の半分近くが、我がイゼルローン要塞の主砲によって砂漠と化した。この神なる裁きこそ我が混沌帝国皇帝陛下の偉大さの証である。

 決定的な力の差を思い知らされた貴君等カオス・ブリゲードの雑魚どもに如何ほどの抵抗ができようとも、それは既に形骸である。

 敢えて言おう。カス以下の虫けらであると!

 貴様たちは仰ぐ旗を間違えたことで滅びに瀕している。

 我らが皇帝陛下に降伏し、従属し、陛下が成さんとする大事業に参画せよ!

 転生愛天使として生まれ変わり、次の戦争のために、その次の戦争のために、再び1からやり直すのだ!

 かつて神が人間を生み出した奇跡の力と業を陛下は手に入れられた。

 陛下に従う者には今より遥かに優れた力と、もはやディオドラ如き無能に偉そうな顔をすることを許さないで済むパワーを約束しよう。

 投降兵よ!

 怒りと憎しみを熱き血潮に変え、前へと進む力と成して、再び立ち上がるのだ投降兵よ! 我ら帝国軍は、諸君等の参陣を望んでいる!

 帝国万歳! 皇帝陛下万歳! ジーク・マインカイザー・セレニアーーー!!!」

 

『クリーク! クリーク! クリーク! クリーク! クリーク! クリーク!』

 

 

 

 

 ーーーーうおおおおおっい!!!! お前らプライドと名門の誇り捨てるの速すぎるぞぉぉぉっ!!! そんなにアッサリ捨てられるなら守るなよ! 戦争してまで! さっさと捨てて魔王様に降参してろい! 私の元にくるんじゃねぇ! あっち行けあっち!

 こっちはとっくに昔に心のキャパシティー超えとるんじゃクソボケぇぇぇっ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・あの悪魔たち、裏切ったとは言え一応冥界の名門出身者ばかりなんだけど・・・」

「い、いや部長。仮に彼らが改めて魔王陛下に忠誠を誓ったとしても、陛下はお信じになられますでしょうか? ・・・その・・・卑猥な格好とかが問題かなと・・・」

「確かにアレはちょっとだけですが、恥じらいを感じてしまう色ですわよねぇ~。

 うーん。ピンクのボンデージですか・・・。イッセー君の目の前で着てみたらわたくしを襲ってくれますかしら?」

「はぁ、はぁ・・・。Tバックボンデージ美女のお姉ちゃんが千人以上・・・混沌帝国ってところは天国かなにかなのか!?」

「先輩・・・えっちです。・・・そんなに見たいなら私に言ってくれれば(ひっそり声で)」

 

 

 

 

 

 ・・・うん、原作主人公勢も混沌ぶりはなかなかのもので安心しましたよ。赤信号、皆で渡れば怖くないの精神で前へと進みましょう前へ! 当面は試合会場奥にある神殿へむけて全速前進ですよ! おーーーっ!!!

 

 

 

 

「ーーでも、さすがに人員多くなりすぎましたので、適当な宇宙船でお空の上に送っといてくださいね?」

「御意。もうじき迎えのHLVが到着しますので彼女らへの引継が終わってから我らは兵藤一誠たちの後を追いかけると致しましょう」

 

 

 まぁ、そう言うことになりましたので、彼らがやってたオーディンさんとの会話とかは省略します。私たちがいっさい関わってないから、あんまり言うことないんですよ。

 逆に私たちがやってた内容は事務手続きオンリーでしたので面白くもなんともないですからねぇー。意外と世の中難しいのです。

 

 

 

 

 

 ――いや、中々に興味深い物を見させてもらって嬉しいよ。やはり、この世界の君も人の縁には恵まれているようだね。

 ――だからこそ彼女らに、壊れていく君を見せてあげたいと願っているのが私なのだが――

 

 

 

 

 

 

「・・・? 紫藤さん。今なにかおっしゃいましたか?」

「え? ひょっとして聞こえちゃってましたか? おっかしいなー? 最近のはローター音小さいはずなんだけどなぁ」

「ごめんなさい、なにも聞こえていませんでしたから流してください私が恥ずかしい」

 

 赤裸々な赤面告白を普通の表情で言われてしまうと私の方が赤面するという不条理な事態になるから困りますよね。

 こう言うときはさっさと済ませるためにも先を急ぐのが吉です。レッツ・ゴーですよ。

 

 

 

 

 

 

「まずは俺もプロモーション!」

『ブースト! エクスプロージョン!』

「煩悩解放! イメージマックス! しかも今さっき見た映像が目に焼き付いてるからさらにパワーアップして広がる、俺の快適夢空間!

 俺自身の楽園創世のために使う奥義! 『おっパイリンガル!(乳語翻訳自己解釈)』

 

「「「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」」」

 

「・・・・・・どう考えても悪魔側の態度」

「いやまぁ、悪魔同士の戦いな訳ですからね。致し方ないのではかなと」

 

 敵味方ともに本来の規定にあったレーディングゲームの員数通りに成立した今となっては、私たち帝国軍はゲームを尊重して見ているだけにするのが礼儀かなと思いましたので見物しているだけとなってます。楽でいいのですが、目のやり場に困りますよね色々と。

 

 

 

 その後もバカやりながらも快勝を続けるグレモリーさんたちの後に付いてってるだけの私たちが足を止めたのは、相手チームのナイトが待っているらしい神殿に入った時。

 

 

 どこかで見たことがあるような無いような微妙すぎる白髪の男性が待っていた時のことでした。

 

 

「や、おひさ~」

「クリードッ! てめぇ!」

「まだ生きていたんだなって、思ったっしょ、イッセーくん? イエスイエス。僕ちん、しぶといからキッチリ生きてござんすよ?」

「だから俺の思考を読むなって!」

 

 兵藤さんと仲良く戯れだした神父の少年さんですが・・・確かこの人・・・えっと確か・・・。

 

「おんや~、もしかしてナイトのお二人をお探しで? 彼女たちなら俺さまが食ったよ。僕ちん、人間やめさせられちゃっていますから~」

「ーーっ! 何を言ってんだ、おまえ・・・って、指!?」

「先輩。・・・・・・その人、人間を辞めてます」

「ヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!

 そこのお姉ちゃん方に嬲り殺しされたあと、ゴミ溜めに打ち捨てられてた俺はヴァーリのクソ野郎に回収されてなぁぁぁぁぁあっ! 腐れアザゼルにリストラ食らってよぉぉおおっ!

 行き場無くした俺を拾ったのがカオス・ブリゲードの連中さ! 奴ら! 俺に力をくれるいうから何事かと思えばよぉぉおおおっ! きゅはははははっはははっ! キメラだとよっ! ふはははははっははははっはっ!」

 

 ひとしきり笑った後で人外へと変貌を遂げた少年神父さん。

 その後、聖女好きがどうとかエロゲーみたいな話題に変わっていく話の内容には興味が薄くて兵藤さん方が熱心そうだったのもあり私たちは自分たちなりに重要な思考に没入してしまいました。

 

 

 ・・・ううむ。これはひょっとしなくても・・・。

 

「「「思い出す前に見覚えのない形状に変わられると、思い出しようがなくなるな(ますよね(るわよねー))」」」

 

 

 

「ちょーーーーっと、待ったーーーーーーっ!!!!」

 

 怒濤の勢いで笑っていた少年神父さんもとい怪物神父さんの顔が、急に人が変わったように変貌して怒りに染まり私たちを激しく睨みつけてきたようなのですが・・・この方になにかしましたっけ私たち? ていうか誰なのかが未だに思い出せないのですが。

 

「アンタたち今、人としてやってはいけない事をしている自覚あったりしますぅ!?

 自分たちが生き地獄を味あわせてから本当に殺してゴミ溜めなのかドブ川なのかも判然としない場所に放棄して、挙げ句の果てには復活を果たして復讐しに戻ってきてみれば覚えてさえもらって無いという絶望感!

 謝れ! オレサマっちに全力で謝って土下座しろぉ! このままだと死んだのに死にきれーー」

「「「ごめんなさい。こればっかりは本当の本気で思い出せなくてごめんなさい」」」

「マジで謝らないでぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!!」

 

 なぜか謝れと言われて謝ったら、謝らないでと言われました。・・・ツンデレさん?

 

 

 

「そうだ! そこの堕天使レイナーレ様! アンタだったら俺様ちゃんのこと覚えてらっしゃいますよねぇ? だって見捨てちゃうほど世話してあげた恩人ですしぃ。忘れられるはずがないでゴザンすよねぇ~え?」

「・・・・・・・・・ええ、はいもちろんですよ神父様。その節は大変なお世話を賜りましたことを、深く御礼申し上げます」

「欠片ほども覚えてないですよねアンタ俺のことを!? かんっぜんに忘却の彼方へ置き忘れて、どっか別の恒星系に行っちゃったレベルで忘れ果ててらっしゃいますよね俺様ちゃんのことをぉ!?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・すみません」

「だから! 本気で謝るなっていってんだろうがよぉぉぉぉぉぉおおおっ!!!!」

 

 さっきから叫び声をあげまくっている人外さん。

 なんと言いますかこう・・・。

 

「楽しそうな方で羨ましくなりますよね」

「まったくですな。私もあれくらい悩み無く笑って日々を生きたいと常日頃から思っております」

「考えなしの脳天気ってリアル人生ゲームだと最強キャラだしねぇ~。あーあ、生きてるって素晴らしいわー本当に」

「だーかーらー。生きてないって言ったばかりだろうが! 聞けよ人の話をよぉ! マイペースすぎるのにも程があんぞぅ!」

 

 テンションの上がり下がりが激しすぎる人外さん。骨粗鬆症かなにかなのでしょうかね? カルシウム不足は病気の元です。きちんと毎日牛乳くらいは飲みましょう。

 ・・・決して私の胸がデカいのは牛乳飲んでるせいだとは思いたくない私です。

 

 

「えっと・・・クリードさん、でしたか?

 名前を思い出すことさえ出来ない部外者の私が言うのもなんなのですが・・・」

「なんだよ!? 今取り込んでんだよ! 急がない用事なら後にしれくれませんっ!?」

「では、今がよろしいかと。

 ーーそこに立っていると危ないですよ?」

 

 へっ? そう答えが返ってきたのと、ドゴーーーーーーーーッン!と爆音が響いて人外さんが押しつぶされるのを見たのは時間的にほぼ同時でした。

 

 トゥールハンマーに関連づけたのかどうかは不明ですが、今回のミルたんさんの使う武器はバカでっかいハンマーみたいですね。

 人より大きいと言うか、本体だけで十メートル以上ありそうな化け物ハンマーに押しつぶされちゃいましたけど大丈夫でしたかねクリードさん。

 

「どうしたミルたん、こんな所まで何用だ? ーーなに? 『以前に一度、燃えるゴミと萌えないゴミとを分別し忘れて出してしまったのを思い出したから回収しにきました』だと?

 まったくお前は、おっちょこちょいな奴だな。次からは気をつけるのだぞ?」

「にゅっ(片手をあげてクリークの意)」

「ん。では、帰ってよし。忘れ物をしないように気をつけるのだぞー」

 

 ーーこうして捨て間違えたゴミを回収し終えたミルたんさんがイゼルローンへ帰還の途につき、先方の大ボスさんが待ってる場所まで何の障害もなく来れちゃった私たちと原作主人公勢の皆様方なのですが。

 

 

 

 ・・・・・・この辺りって原作でもこんなユルゲーイベントなの? 楽勝すぎて何もするべき事がないんですけども。

 

 あと、私の中にいるっぽい人うるさいです。少しだけでも黙りなさい。

 笑い死にかけてお腹苦しいんだったら速く死んでくださいよ、本当にまったくもう。

 

 

 と言うわけで次はボス戦です(たぶん)

 

つづき




*フリードを“ク”リードと表記したのはセレニア特有の言い間違いです。字面的に分かり難くて申し訳ございません。

*2途中にあったゴミの分別を「生ゴミと粗大ゴミ」から「燃えるゴミと『萌え』ないゴミ」と言う表現に変更いたしました。

*3意味合いは読んで字の如く、異能バトルとラブコメを間違えて購入しちゃった感じです。ラノベを表紙で選んで買うとよくある事です。

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