堕天使に愛された言霊少女   作:ひきがやもとまち

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バトル回です。そのはずでした・・・。
なのに、何故こうなった・・・? 訳がワカラナイよ・・・。

所詮はバトル描写の素人がいきなり凝った物書こうとしたのが間違いだったのです。まずは王道からで良かったのです。要反省点です。

なので、次回までに一旦「ロードス」書いて、剣劇の練習しておきますね。バトルの基本は殺陣だと信じるひきがやでした。


注:話の途中で「這いニャル」時空から「あの御方」が降臨されますが、これと言って意味はないので無視してください。単なる使い捨てのネタですので。


20話「言霊少女は悪神の悪意を弄ぶことを良しとする」

「・・・・・・これは、どう言うことだオーディン」

 

 あ、本当にきましたよロキさん。

 よくこんな見え透いた手に引っかかれましたねぇ~。変な方向に感心しきりですよ。案外、素直な人なんですかね? 直情型ですし。

 

「いや、どうと聞かれてものぉ」

 

 私の隣に立って白いお髭をしごきながらオーディンさんが惚けたような口調と表情で適当に返すのを聞いて、ロキさんの額に浮かんでいた血管が一気に数を増して狂顔具合にも更なる磨きがかかりました。

 本当に乗せやすい人で助かりますね、嫌みでも何でもなく心の底から感謝したくなりますよ。毎回これぐらい楽に勝てる敵ばかりなら良いのですが・・・。

 

 私たちが今いる場所は海の上であり、お空の上でもあります。ちなみにですが、時間帯は昼日中です。

 悪魔でも天使でも神様でもない私たちには戦う時間を限定する理由も必要もありませんからね。一般人を戦いに巻き込んで犠牲を出したくないのであれば、一般人がこれない場所を戦場に指定して敵を誘い出せば良いだけです。城内に立て籠もる敵を城外へと引き摺り出してから決戦に及ぶのは戦術の基本でしょう?

 

 私の傍らではオーディンさんがリラックスした様子でパイプを燻らせながら飛んでいて、対する北欧の悪神ロキさんは真っ赤なお顔で息急き切ながらの登場です。

 

 そして平凡な一般人に過ぎない私が空飛べるわけ無いので代わりに用意していただきました、フライングプラットホームです。二つのプロペラが回転する“ブーン”と言う虫の羽音みたいなのが場違いすぎてめっちゃ迷惑。本当になんでこんなの用意したんだ、混沌帝国科学技術省は・・・。

 

 

 

「ワシにはお主がなにを怒っておるのかサッパリであるからして、分からぬものは答える言葉を持たぬよ。

 如何なミーミルの瞳とはいえ所詮は時代遅れの骨董品。何でも見通せて理解も出来る万能道具ではないんじゃぞ?

 なにしろ数千年前に手に入れて以来、一度も手を加えぬまま使い続けてきた故な。錆つい取るかもしれんし、機能不全に陥っているやもしれん。

 あるいは経年劣化と言う可能性も・・・」

「やめよっ!!」

 

 鋭い怒声に遮られて台詞を中断されたオーディンさんですが、特に不快そうな顔をしてはおられません。

 それもそのはず、脚本通り順調に進んでいく茶番劇に出演していて不愉快がる道理がないからです。もしかしたら失笑なり苦笑なりを浮かべそうになるのを我慢しているのかもしれませんね。本当に楽が出来て良い相手ですねぇロキさんは。

 

「仮にも北欧神話を司る神々の長が口にして良い単語では無かろう。今のは聞かなかったことにしておいてやる故、もう二度と我が前で斯様に無様な言葉を口に出すな。さもなくばーー」

「ならば、アップロードしなかったから型落ちしたとでも言えば良かったのかな? それとも、売れ残りのの不良在庫を押しつけられたの方がお主好みかの?」

「~~~~~!!!!!」

 

 独りでにボルデージを上げまくっていってくれる北欧神話のトリックスターさん。これは流石にカルシウム足り無すぎてる様な気が・・・ああ、それでゲルマン系なのに色素が白いんですね。納得です。遺伝子的に劣悪なお生まれなのですよね、分かりますよ。

 

「・・・・・・オーディンよ。我の目が曇っていたとは言え、一度は義兄弟の杯を交わしあった仲だ。古き友誼を恩情として、殺す前に一度だけ聞いておいてやる。

 この此度のことについて申し開きたい事があるならば、聞くだけ聞いてから殺してやる故に疾く囀るがよかろう」

 

 必死に尊大さを保とうと振る舞いながら、震える語調が彼の内心を分かり易すぎるほどハッキリと表現してくれていました。

 曰く、今すぐおまえ等を皆殺しにしないよう我慢するのは、とても難しい・・・と。

 

「そう言われてものぅ・・・」

 

 その事実を知ってか知らずか(こうなるように仕向けたのが私たちの側ですので、知らなかったら大問題なのですが)オーディンさんの反応は素っ気ないです。

 

「さっきも言ったが、ワシにはお主がなにを怒っておるのかがサッパリ分からん。いったい、なにが問題だというのじゃ? なにが原因で、それほどまでに猛っておる?」

 

 肩をすくめるような仕草をして見せてからオーディンさんは、それまでよりも一層芝居がかった態度と口調で(つまりは見ていてムカつかれるような表現で)相手が求めていた答えを、こちらが与えられるのを待ち望んでいた言葉をようやく放たれました。

 ふぅー、長かった。ようやく半分ですかー。先は長いなぁ~。

 

「だいたい、申し開きもなにも此度の件に関しての説明は先ほどお主に送った手紙にすべて書いておいたであろうに。いったい、なにが不満だったというのじゃ。つくづく頭のおかしな奴だのう」

「~~~!!!!!!!!!

 それだ! その手紙の内容・・・あまりにも破廉恥で恥知らずな戯れ言ばかりを書き連ねた薄汚い紙の束。

 語れば口が、聞けば耳が腐るは確実な沼気に満ち満ちた忌々しい言語の数々。北欧神話の一柱として看過できぬ。

 あの様な、あの様な、あの様な・・・あの様な冒涜的な記述に満ちた書分などこの時の中で在ってはならないもの! 我が炭すら残さぬほど徹底的に焼却処置を施した故、安堵して召されるが良い!」

 

 

「『拝啓、吹く風もどこか冷たくなって参りましたね。悪神ロキ殿におかれましては益々ご清勝のことと、お喜び申し上げます。

 さて、この度わたくし不祥なる大神オーディンは真に偉大なる至高の絶対者を見つけ、矢尽き、弓折れるまで力の続く限り精一杯彼の御方の元で戦い続け思う存分に暴れる所存であります。

 何分にも未熟きわまる北欧神話の大神風情で御座いますが、偉大なるカイザーの御許で今後とも宜しくご指導ご鞭撻くださいますお願い申しあげたところ、一兵卒としての参陣を許可していただける運びとなりました。

 ですので、ぶっちゃけ北欧とかラグナロクとかスケールの小さすぎる戦争はどうでもよくなっちゃったんで、北欧の大神辞めます。後のことは宜しく。敬具』

 

「・・・・・・・・・黙れ」

 

「『PS、そんなにラグナロクが待ち遠しいんだったら自分で早めちゃわないのー?

 大昔に予言された戦争を再現して世界最後の日とか、ダッサ。80年代過ぎない? 現代世界滅ぼしたいなら、少しは現代のことも学びなよ中世蛮族、プッスー』

 

「・・・・・・・・・・・・黙れと言うに」

 

「『PSのPS、悔しかったらワシを倒しにおいで? 神話大好き夢見がちな坊やへ。

 偉大なる絶対者に仕えて宇宙戦争を行う、元北欧の大神オーディン様より。』」

 

 

 

 

 言い終えた瞬間、既に私たちは辺境銀河の片田舎に浮かぶ水の星に愛を込める必要が無くなっていました。何故なら、この地上から消滅させられていたからですーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な・・・こ、此処はいったい何処なのだ!? 我は何故このように禍々しい形をした冒涜的な決闘場の中央にいる!?」

 

 慌てふためく北欧の悪神さん。

 うん、急拵えにしては良く出来てますね、このナザリック地下代墳墓の円形闘技場をモチーフにしてデザインされた仮設戦場。

 ドリームランドの北方、『伝説の神々』が居城としている巨大な縞瑪瑙の城カダス城内に造らせては見たのですが・・・意外と細かいところまで凝った意匠を施されてるなぁ・・・原作ファンでありアニメ版のファンでもあるのですが、お土産に彫像のどれか一つだけでも持って帰っていい?

 

 

 ま、とりあえずはイゼルローンへ通信をと。

 

「こちらは転移を完了しました。そちらの案配は如何なものです?」

『こちら機器制御室、全ての状態はオールグリーン。良好です。その場の座標軸に存在していた全ての有機物の転移を確認できました。身体及び子宮ともに異常は見受けれません』

「うん、最後に余計なのを付け加えなければ完璧ま報告内容で終わったのに、どうして貴女たち混沌帝国軍人は不要な一文を付け足さなければ人との会話ができないのでしょうね?」

『性分であります。社会不適合者でしたので混沌帝国に身を寄せた次第であります。御陰を持ちまして、今では充実しまくった面白おかしい毎日を送れております』

 

 

 あっそ。

 

 ま、いいです。わざわざ遮蔽物のない空の上に陣取って待ってた甲斐はあったわけですからね。正直、お空の上は寒かったですよ・・・。

 

 

『こちら索敵班。陛下方が転移を行った直後の空間に、カオス・ブリゲード所属と思われるアンノウンが複数出現したのを目視で確認しました。どうやら悪神ロキを追尾してきて我が軍との戦闘終了後、陛下の読み通りに漁夫の利を得る算段だったと推測いたします』

「結構ですね。これで茶番を演じた目的の半分は達成できたわけですから、良いことです。・・・後のことはお任せしてしまっても?」

『御意。混沌帝国皇帝陛下の永遠の忠誠を。反逆者に死を。ジーク・カイザー!』

 

 ・・・・・・・・・うん、やっぱり一言よけいだわ、この人たち。

 

 ーーさて、と。

 

「さっきはありがとう御座いましたね、ミルたんさん。御陰で助かりましたよ。正直、貴女が最高のタイミングで転移の術式を起動させてくれなかったら消し炭になったことにも気付かずに殺されてたところでしたので」

「にょっ♪ にょっ♪ にょにょ~♪」

 

 きゃっきゃ、きゃっきゃっと楽しそうに嬉しそうに踊りながら、先っぽに星のついたバールのような物を魔法のステッキ代わりにして振り回す魔法少女(幼女?)のコスプレした邪心召喚術師。・・・シュールレアリズムすぎる光景だなぁー・・・。

 

「今のはワシでも危なかったかもしれん攻撃じゃったな。さすがに北欧の悪神の名は伊達ではないか」

 

 隣ではオーディンさんが、お髭をしごき続けながらも真面目な顔して敵将を称えておられます。さすがは軍神、威風堂々たる武人な感じで格好良いですよね。

 

「・・・ところで今の攻撃についてなんじゃが、どう考えても躱せるタイミングでは無かった上に、呪文の詠唱も技を発動させる兆候すら感知できなかったのじゃが、あれはいったいどういう手品を使えばできる代物なのかな? 後学のため、是非にも拝聴させてもらいたい」

「さぁ? 私は科学関係の成績悪いので理屈とかはサッパリなものでして。今使えて、望んだ結果が出せる物であるなら今の時点ではそれで良いと考えてますからねぇ。後で問題が起きたなら、問題が起きた時に対処を考え始めれば良いのだと」

「・・・それは、問題を先送りしているだけではないのかな・・・?」

「どのみち今の時点では分からないから、対処できていないのでしょう?

 原因不明、理屈も不明で理由も不明、副作用の有無さえ分からないと言うならば不安に思ったところで自分を追いつめるだけです。何の意義も意味もない。

 漠然とした不安を抱えてるだけで何もしていない、あるいは実質的には何もできていない人間に、不安を覚えず日々を悠々と生きてる人たちを嗤う資格などありはしませんよ。

 行動して結果を出していないなら社会的には同じことです。何もしていない人たちと変わらないから、私は何もしてない人たちと同じ事しかしませんし言いません。それだけです」

 

 ・・・と、言い切ってはみたものの。気になるものは気になるので出来るならば聞いてみたいとは思ってしまうのが人の性です。普段は聞きたくても聞けないから気にしてませんが、実際に使える人がそばにいる時に聞いてみるのも悪くはないでしょう。

 

「ねぇ、ミルたんさん。さっきのアレってどうすれば出来るーー」

「にょー?」

「・・・・・・やっぱいいです、ごめんなさい。愚問でした。愚問過ぎました。私のバカバカバカ・・・!!!」

 

 なんで今さっき見聞きしたばかりの言語障害もちな幼女さんに理屈の説明お願いしてんですかね私というアホ女は!? バカですか!?バカじゃないですか!?本当の本気で大バカ者なんじゃありませんかね!? あー、穴があったら入りたーーーっい!!!

 

「ま、まぁ過ちは誰にでもあるのだから、そう気を落とさずとも良かろう。なんと言ったか・・・そう、『ディ・モールトすごい科学力』と言う奴なのだと、あそこにいるツインテール娘が言うておったからそう解釈しておいてやるでな。

 だから早く立ち直らんかい。そろそろ彼奴めが正気を取り戻す頃合いじゃぞ」

「・・・・・・そうですね」

 

 ヨロヨロとふらつきながらも立ち上がった私の視線とロキさんの視線が交差しました(そんな様な気がします。正直そう言うの、よく分からないんで)。

 

 相手は怒りに顔を歪めながら(今更過ぎる表現ですが)殺意も露わにオーディンさんを睨みつけ、

 

「オーディン・・・この我を謀りおったな!!」

「この程度の策で騙されてくれるなよ、悪神。

 仮にも一度は義兄弟の杯を交わしあった仲として、情けない限りじゃぞ?」

「~~~~!!!!!!!!」

 

 もはや怒髪天を突くなんてレベルじゃないですね彼。まぁ、もともとから逆立って箒か鶏みたいな髪型している人ではありますが。

 

「殺す! 貴様は、この俺が手ずから殺してやる! そこな銀髪の小娘もだ!

 なるほど、多少は賢しい知恵が回るようだが神の相手にはほど遠い」

「ふぁ~あ・・・・・・退屈だな~・・・。ん? 今何かおっしゃいましたか?」

「~~~!!!! ーーふっ、所詮は下劣で下品で品もなければ色気もない人間の小娘か。ラグナロクの前座にしては余りに貧弱。いでよ! 我が子らよ!」

 

 ガオオオオオオオオオオンッ!!!

 

 ギャオオオオオオオオオッス!!!

 

 ・・・蛇さんと狼さんが一匹ずつ。それに子狼が二匹ですか。

 

「ふむ。どうやらフェンリルの子ハティとスコル、そして五大竜王の一角ミドガズルオルムの模造品を召還させたようじゃな」

「なんだ。ようするにコピー品ですか。見た目だけ完コピしても中身がスカスカじゃ意味ないですよね。パチモン商法は時代遅れですし」

「~~~~~~!!!!!!

 神を相手にしたことを後悔せよ!」

「すみません。航海して欲しいのであれば転移する前に言ってもらえませんかね? 海から地上に移った後で航海なんてしたくても出来ないのですが?」

「~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!」

「とはいえ折角の好機です。伝説の魔物の出来損ないコピー品なら試作品の性能テストに申し分ありません。丁度良い機会ですので、あなたで試して上げますよ。

 ーー蕃神を起動させなさい」

 

 

 パチン。

 

 

 ガチャン、ゴチャン、ギチョン・・・・・・。

 

 

 本来はドリームランドに住む地球の神々を守るために存在する蕃神ですが、あいにくとこの世界のクトゥルー神話は「這いニャル」時空でのクトゥルー。

 神ではなくてドリームランドを防衛するために配備されている巨大ロボットの姿をしています。

 

 ーーで? 個体としての蕃神の名称は?

 

 

 

 

『RXー02号機改、蕃神ノルンです』

「あなた本当に禄な物造りませんね。惑星保護機構から出向しているドリームランド管理者で、なんかフォースの扱いが上手そうな、良い声してるノーデンスさん」

『はっはっは。決められた役割を演じるというのは、難しいものなのですよ』

 

 うん、分かった。お前はとっとと女たちの待ってるところへ戻るんだっ!

 

『実はわたくしは一時期、ロボット工学をかじっていた事がありまして。木星の辺りに自前のファクトリーを持っておりました。主に可変メカを嗜みます。

 完成予定が五百年後のドリームランド防衛用の完成型は間に合いませんでしたので、僭越ながら私が個人的に設計開発していた簡易量産型を実戦投入させていただきました。

 さすがに悪夢の世界を防衛するほどの性能はありませんが、犬の先祖と蛇を倒す程度の雑務なら十分にこなせましょう』

 

 あ・・・うん。もう、なんでもいいや。

 蕃神でもジ・Oでも勝手に使わせて早くこのギャグ時空からの離脱をはかりましょう。

 

「・・・では、あの模造品たちの相手はあなたの造った玩具にお任せします。適当に遊んで上げてください」

『はっ! お心遣い、忝く。

 さぁ、行け蕃神よ! 青く眠る水の星に生命の火を灯すため、地球に住む人々に刻の涙を見せないため、そして何より想定外に素晴らしい性能をお見せすることで、この企画のオリジナリティとユニバーサリティを存分にご理解いただき更なる予算追加を承諾してもらうためにこそ貴様は大地に立ったのだ! 混沌帝国の威を示せぇぇぇっ!!』

 

 ウッオオオオオオオ、ココカライナクナレーーー!

 

 ・・・・・・ジュビガガガガアアアアアアアアアアアッン!!!!!

 

 

 こうして始まった番外戦闘、北欧の神の作り出した模造品軍団VS神と誤解された宇宙人の作り出した人型巨大神造ロボットの戦いはーー無視して先に話を進めてしまいましょう。仮にこれが小説世界だったら相当数の文字数を消費しましたからね、今の余計すぎるのだけで。

 

 

『・・・む? 妙だな・・・量産型の蕃神はガードロボットであって侵入者との遭遇戦では極力相手を殺してしまわないよう、殺傷力の高い武器を装備させていないはずなのだが・・・。

 だというのに、何故ビームランチャーを放っているのだ? ・・・まさか私の知らない武器が内蔵されているのか・・・? だとしたら想定我の被害が発生する可能性も・・・』

 

 あー、聞こえなーい聞こえなーい。私は何にも聞こえていなーい。

 

 

 

 

「我が愛する息子フェンリルよ! 有象無象を間引いておけ! 父のために露払いをしてみせるのだ!」

「ゼノヴィアさん、フェンリルさんの相手をお願いできますか? どうやら主戦力は狼さんで、飼い主さんは安全な後方から指揮棒振っていたいだけの臆病者に過ぎないみたいですし紫藤さんだけで十分そうです。

 ああ、天野さんは後方に控えていてください。念のためにね? ザコ相手だと思って甘く見るのは小物の成す愚行ですからね。私たちがコウモリ連合に破れた終末思想の小物神様を模倣してやる義理も必要もないですから」

「~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!

 我の相手が雑魚の雑魚とはな!」

「・・・・・・・・・・・・・・・弱い犬ほどよく吠える(ぼそっ)」

「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 際限なくヒートアップし続けるロキさんに対して私の仲間たちはノリが良く、愉しそうに嗤いながら応じてくれます。

 

 

「御意。私としても望むところのご命令ですので、謹んで拝命いたします。

 ーー命の重みに優劣はないなどと、道徳屋が如き妄言は口にするまい。くびり殺すなら、小鼠よりも虎の首の方が心地よい。悪行を成すが剣士の生き様。まだまだ私も背負った業から抜け出せてはいないな」

「えぇー? じゃあ私の相手は出涸らしな青ガキなのー? つまんなーい、私も殺し甲斐のある相手の首が欲しいし、殺し合う価値のある相手と殺し合いたーい。勝って当然の戦争なんて虐殺であって、私たちの求める戦争じゃなーいー」

「・・・・・・ぐ、ぐおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!!(大激怒!)」

「・・・ヒソヒソ(めっちゃ怒り顔してますけど、あの人って本当に北欧神話におけるトリックスターなんですか? 怒り耐性引く過ぎるんですけど?)」

「・・・コソコソ(いや、実はアヤツ、昔と比べて物すっごいプライド高くなっておってな?

 なにしろ平和な世じゃから奴の存在をありがたがるのはネタキャラみたいな扱い方している人間たちだけで、ワシら他の北欧神たちと違って扱い微妙すぎるから逆に意固地になってしまってなー。「我は我一人の道を行く」とか言い出して家臣たちも付けないから手下として自分から狼作るしかなかったという残念な青年に・・・)」

「・・・時の流れって、残酷なんですね・・・」

「まったくなぁー。あれでも神話時代には結構すごい奴じゃったんじゃが・・・・・・」

「小賢しいだけのガキどもが!」

 

 おい、それ別キャラ別キャラ。さっき出てたよその台詞の元の人。

 お前はいったいなんなんだ?

 

 

 グオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!

 

 

 空間歪曲させて呼び出したフェンリルを伴い、猛スピードで突進してくるロキさんたちを私たち二人は棒立ちしながら待ちかまえます。

 防御はしません、ていうか出来ません。少なくとも私には不可能ですので、逆撃による反撃でダメージ与える方を狙わせていただきます。

 

 ロキさんはオーディンさんを、狼さんは私を。宣言通りの標的に襲いかかってきてくれた敵と、端から動く気をまったく持たない餌という名の囮二人。

 

 ロキさんたちと私たちの初期配置は真っ正面に座標指定済み。

 友軍の配置は、ゼノヴィアさんが狼さんの左斜め前方。紫藤さんがロキさんの右斜め前方。彼らの後方には天野さん。

 溜めを必要とする詠唱は隙が大きく、邪魔な外野に余計な横やりを入れられる事なく勝負を決めるなら、最短距離を選んで真っ正面から最高速度での全力突撃こそが最善手。

 

 敵の狙いと標的の位置と進軍方向。後は進軍速度ですが、こればかりは今は分かりませんし、今この時に全力突撃を選択したとて最高速度でと決まったわけではない。

 

 ーーただし、敵の速度を測る上で基準として使うだけなら十分すぎる検証データでもあります。

 

 ならば・・・・・・

 

 

 

「はぁぁぁぁぁぁっ!!! 神の力ではなく、我の拳で生き絶えるがいいオーディン!」

 

 ガオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!!!

 

 

 初撃は敵の性能チェックが主目的。引きつけながら受け流すのが理想的ではありますが、敵の性能が想定を上回りすぎている恐れは常に付きまといますからね。余計なリスクを負う趣味はありません。

 

 ただ棒立ちしながら待っていれば良いだけなのですから、大人しく待ち続けますよ。敵の刃が私たちの喉元まで迫り来る瞬間をね。

 

 

 シュッ!!

 

 ガァァッ!!

 

 手刀と牙。それぞれ必殺と信じて放たれる一撃が、私たちの直ぐ目の前まで来ていたみたいなので私は目を瞑りました。

 

 ーー眩しさに目がくらんで、失明しては困りますからね・・・・・・。

 

 

 

 

 バチィィィィィィィッ!!!!!

 

「ぬ、ぬおぉぉっ!? ば、バカなこれは・・・まさか!?」

 

 驚愕している北欧の悪神さんと、

 

「ほう、天地を返したか。噂でしか聞いたことはないが、陰陽自在の八卦炉という奴じゃな。

 なんじゃい、お主等の知己には天仙までおるのか?」

 

 感心したように笑っている北欧の大神さん。

 この差は戦局の差であると同時に、戦力の差をも意味していました。

 

「ええ、まあ。昔親と飼い主に捨てられてヒネクレた野良猫さんですけどね。

 私は素人なので分かりませんけど、ドリームランドで天野さんに鍛えられてからは随分と強くなられたそうですよ?」

『頑張りましたし、頑張らせました』

 

 インカムから聞こえてくるのは、律儀な天野さんからの肯定的な評価でした。

 ーーが、前半分はともかく、台詞の後ろ半分はヤバくありませんか? 貴女の場合は加減できないんですからお手柔らかにしといてくださいね? 出ないと本気で死にますよ?彼女だけが。

 

 とはいえーー

 

「せっかく稼いだ突進力も、ちょっとした障害で足止めされてしまった後では良い的になるより他に手はありませねぇ」

「しまっ・・・ぐはぁぁぁっ!!!!」

「イリナちゃーーーん、顔面にキーーーーーーーック!!!!!!

 いけすかないイケメン野郎は、デコボコの顔した貧弱野郎に成り下がった! ざまぁッ!」

 

 ガオオオオオオッ!!!!

 

「飼い主に気を取られすぎだぞ飼い狼!

 ただでさえ狩りの成功率が低く、単独で行動する一匹狼では成功率など無きに等しかろうよ!

 群れでしか生きられない社会的動物の分際で個で生きる道を選んだならば、せめて意地ぐらいは見せてから死ねよ!」

 

 ギャオオオオオオオオオオオッ!!!!!

 

 

 

「・・・・・・・・・意外じゃな」

「ーーはい?」

 

 終始、私たちに有利な状況で戦いが推移していくのを見守りながら、オーディンさんがポツリと零した独白が聞こえましたので、暇つぶしに言葉の意図を尋ねる意味合いで反問してみました。

 

 彼は軽く肩をすくめながら、

 

「今だから正直に言わせてもらうが、今回の作戦をお主に聞かされたとき、ワシは失敗すると確信していた。アヤツの狡猾さはワシのよく知るところだったのでな。この程度の策略に乗るはずがあるまいと」

「ああ・・・なるほど」

「結果的には杞憂となったが、当初ワシが立てた計画では、お主等の策が失敗に終わって窮地に立たされたときにワシが助けに入れば恩に着せられる。その後は確実に奴を仕止められる策を、ワシがお主等の戦力を把握した上で立案する予定でおった。

 今のところではあるが、赤龍帝の小僧よりもお主等の方が戦力は強大なのじゃから、即戦力として頼るのであればこちらじゃろうと見越した故での決断よ」

「向こうは魔王陛下を筆頭に最高戦力ほぼ全てが奥の院に引きこもって、出し惜しみされまくってますからねー。あれじゃあ才能はあっても精神的には素人同然の兵藤さんたちに主力を任せざるを得ないでしょう。

 責任者が果たすべき責任の取り方を間違えまくっている。亡国の兆しと言うべきでしょうね」

 

 私の言葉にオーディンさんは深く、何度もうなずきながら、

 

「然り然り。ーーされどロキに奴も存外に情けない。今少し北欧神の意地を見せるなり、巨人族の血を引く巧緻さを見せるなりなんなりしてくれても良さそうなものじゃが、はじまりから終わりまで終始おちょくられ続けては突進しようとするばかり。

 普段使っているブリザードすら使ってこないとは、いったいどういう了見なんじゃ?」

 

 彼の疑問は私の疑問でもありましたから、深く同意するところでもありました。

 映像でみた兵藤さんたちとシトリー眷属たちとの戦いにおいて、悪心ロキとの戦いでは吹雪攻撃を多用していたはずなのですが・・・。

 

 それを考えながら私はフェンリルさんの方をチラリと見て、おそらくは、そうなのだろうなと作戦立案時に考えていた敵の心理状態が当たらずとも遠からずであったことに確信を強めます。

 

「今の彼はおそらく、自縄自縛な精神状態に陥ってます。それが本来であれば選び得る有効な選択肢を選びづらくしているのでしょう」

「自縄自縛? あの北欧神話のトリックスターがか?」

 

 私はオーディンさんの問いかけに深くうなずいてから暇つぶしも兼ねて、北欧の悪神ロキさんの心理分析の結果を開陳してみたいと思います。

 

 

「まず、根本的な大前提としてなのですが・・・彼とカオス・ブリゲードの思想は合いません。完全に真逆です。それ故に彼は組織内では完全に孤立状態にあって、隙あらば殺されかねない立ち位置にあると推測されます」

「ち、ちょっと待たんかい。何故ヤツの終末戦争ラグナロクがカオス・ブリゲードの戦争継続と一致せぬのじゃ? どちらも戦争をしたいと思っておるから手を組んだのじゃろ?」

「その通りです。戦争をしたいから手を組みました。

 三代勢力での戦争を続けていきたいカオス・ブリゲードと、世界最後の戦争ラグナロクで世界を終わらせたい北欧の悪神ロキさんたちがね。

 今までやってきたことをこれからも続けたいカオス・ブリゲードと、終わり時は決まっているんだから大人しく待ってろよ有象無象どもな悪神ロキさん。致命的にまでに相容れません。

 この二つが野合したところで互いが互いを煙たがり、隙を見せたら背中からでも襲いかかってくるのは自明の理でしょう。ナイフを隠し持ったまま左手で行う握手は人間のお家芸であって神様方は苦手みたいですしね」

 

 唖然としているらしいオーディンさんに、私はついでとして「仮説ですよ?」と付け加えた上で、もう一段階進めてみた推測を披露してみます。

 

「これは完全に私の妄想に過ぎませんが・・・カオス・ブリゲードは反動的なテロ組織ではないと思うんですよね。どちらかと言えば守旧派、長く続けてきたそれぞれの伝統を守る側であり、本来的には彼らの方こそ政府勢力に位置しているはずの存在なのではないかと」

「・・・そう思う根拠は?」

「思想です。彼らの掲げている思想。変わるよう促してくる圧力に対抗する形で生まれた変わりたくない、変えるべきではないとする勢力。これを既得権益層と人類史では呼び習わしております」

 

 完全に言葉を失ったらしいオーディンさんに視線を向けぬまま、私は手元に抱き寄せたミルたんさんを良い子良い子してあげてます。

 

「にょ~♪」

 

 ラブリー♪

 

「掲げている思想だけを比べてみた場合、明らかにカオス・ブリゲードは守る側であって壊す側には立っていません。むしろ魔王様をはじめとする三大勢力のトップ連合こそが古き時代を壊して新しき世を築くのだ!な、織田信長思想に取り付かれている革命軍側と見るのが正しくはありませんかね?」

「そ、それはそうかもしれんが・・・」

「壊させない、今を守りたいが個々人では力が足りない各勢力の既得権益層と、今のままではダメだ、壊して新しい世を築かなければ我らすべての種族に明日はないと唱えている国家主権者連合。

 肩書きの立派さは、そのまま国家権力の中枢を押さえていることをも意味しています。各所に散らばる諸勢力が武力蜂起したところで権力の中枢を揺るがせるかどうかは微妙なところですからね。

 各個撃破されなければ別として、中央にいる側の方が敵を寸断するのにも、各地の地理情報にも精通している以上は正規軍同士でぶつかるのは無謀の度が過ぎると言うもの。まともに戦っても勝てない側がテロに走るのは歴史の必然です。私にしてみれば彼らの行動に疑問点を抱く方がどうかしているとしか思えませんがね」

 

 長広舌を終えてオーディンさんの顔を見つめながら、「あなたのご意見は?」と視線だけで問いかけてみると、

 

「・・・国民を犠牲に戦争をすることは為政者として、決して良い執政ではあるまい?」

「国民を犠牲にしないで自らが守るべき国と伝統を壊されずに済むのであれば、彼ら既得権益層、即ち門閥貴族や中央から遠ざけられた王族たちも戦争などという手段で魔王様と対決する道を選ばなかったかもしれませんが?」

「・・・・・・」

 

 再び黙り込まれたオーディン様。

 話が少し脱線しすぎていたことに気づいた私は微かに赤面した後、ロキさんの心理分析の結果発表に立ち返ることに致しました。

 

「彼の強さは特定の何かに縛られていない自由度にこそあると私は考えています。自分自身が出来ないことでも他人を利用すれば可能であるなら、利用することを躊躇わない。それによって生じた自らの危機でさえも他人に縋って利用することで生き延びる。

 神々という役割に自らを封じ込め、振るえる力と権能を制限している存在にとって彼は正真正銘嘘偽りなく天敵と呼びうる存在です。

 皆が守らなければならないと信じて揺るがぬルールを、最初から尊重する気が欠片もないからこそ強いのです。

 彼に勝ちたいのであれば、彼の強さの源である自由を奪うより他に手はありませんが、それを実行して失敗した等のご本人の前で言っても意味はないでしょうねぇ」

「・・・・・・」

「科学神秘を問わず、彼を物理的に縛って永遠に拘束しておくことは不可能であると私は断定しています。何故なら神とは生まれたときから、「そう在れかし」と己が運命を背負って生きていくのですから、その運命に逆らうことも逆らわせることも事実上の不可能なのではありませんか?」

 

 私が問いかけるとオーディンさんは苦虫を噛み潰したような表情で、

 

「・・・・・・・・・では、どうする? どうやって奔放で節操のないヤツの自由を縛るというのじゃ? その方法があるというならワシの前で示してみせい」

 

 この詰問は私にとって些かバカバカしいものではありましたが、彼らにとっては重大なことなのは間違いなさそうでしたし尊重して然るべき疑問でもあります。

 なので私は答えます。厳かに、丁寧に、分かり易い簡明さを心がけながら。

 

「人の持つ自由なる意志を縛るもの。そんなもの、大昔からたった1つしか存在してはいないでしょう?」

「・・・そのひとつとは?」

「“人の自由意志”です。

 自らの心で自らを縛り付けてしまえば、解放する為の手段として自らを縛り付けている拘りなり執着なりを捨てなければならず、それが出来るなら縛り付けられる理由そのものが消滅してしまう。彼の自由は今、彼自身の心によって縛り付けられ雁字搦めになっている。

 何者にも捕らわれない自由さが売りの悪神が『勘違いも甚だしい、私が貴様たちの過ちを正している』? はっ、そんなバカげた思想に取り付かれるから私如き小物の小細工に引っかかる無様をさらす羽目になるのですよ。

 間違いを犯すべきなのはいつだって彼の方で、間違いを正そうとして失敗して彼に謀るのが貴方がたアース神族のお偉方でしょうに。自分の存在意義を否定するような行動に出ながら気づかずにいる」

 

「私という“同類”を目にした事で無意識のうちに自分の矛盾を自覚して、それでもラグナロクに対する拘りと北欧神話への執着を捨てられない。縛られてはいけない存在が、自らで自らを縛り上げる。

 永劫不変な神様が自己矛盾を抱えてしまったのでは破綻の末に自滅するのが自然の道理。自然信仰を基調とする北欧神話の神なら尚の事です」

 

「実際、先ほどから頻りにフェンリルさんが主に対する警告の雄叫びらしき叫びを発していますが、全く耳に届いている気配がありません。おそらく聞こえてはいても、頭が理解する余裕を残していないのでしょう。自壊が始まっているのを無理矢理に目を逸らして今まで来るから、こんなくだらない結末を迎えるのです。バカバカしい」

 

「ラグナロク? 終末戦争? 世界最後の日? くだらない、そんな物は日常的に転がっている平凡な代物ですよ。何故なら人にとって世界とは、自分が『世界と規定している』自分自身の生活空間とそれを支える周囲に限定された狭すぎる世界観のことなのですから。

 自分の中の世界が終われば、その人にとっての世界は終わりです。新たな世界を見つけたなら、それは新世界の創世ですね。人一人がもてる世界観など、その程度のちっぽけな物に過ぎないのだと理解しながら消えなさい、北欧の『元』悪神ロキ閣下」

 

 私はそろそろ決着だなと思い、最後に温存していた決戦戦力に出撃を指示することに致しました。

 

「ーー貴女の出番です、ミルたんさん。貴女の持つ名状しがたきバールのような物の先っぽに敵将の御首をかかげて私のところへ持ってきてください」

「にょーーっ!!!」

 

 一声かわいらしく吠えた後、ミルたんさんは先と同じく空間転移。満身創痍のロキさんの目前に姿を現します。

 そして、小さくて愛らしい両方のお手手で、どこから拾ってきたのか大の大人の握り拳ほどもあるような大きさの石が握られていてーーって、あれ? み、ミルたんさん?

 

 にやり、と。

 

 這い寄る混沌なお父さんが如く口の端を歪めて笑ってくれたなら、どんなに心穏やかに過ごせていたことでしょう。

 

 彼女は無表情でした。感情が残らず削り落ちたような『虚無』の表情で拳を振り上げ、握った小石を相手の顔面に叩きつけました。

 

 

 何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度もーーーーーー

 

 ごき、めきょ、等の打撃音が響き続ける中、音は徐々に変化し始め、ぐちょ、びしゃ、という水音みたいになってきました。

 

 そして最後にひときわ大きな水音がしたと思うと、

 

「にょ~♪」

 

 ミルたんさん、勝利の雄叫びで戦いは幕を閉じたのでした。

 

 これは・・・その・・・うん、あれだ。えっと・・・・・・。

 

「すまん。トイレを貸してもらえぬか? 既に吐きそうなんじゃ」

「そこの角を曲がって直ぐの所です。

 その・・・・・・ごめんなさい、色々と・・・・・・」

 

 最後はやっぱり締まらない。

 それが私たち混沌帝国なんだと自覚させられまくった一日でした。

 

つづく


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