堕天使に愛された言霊少女   作:ひきがやもとまち

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後半はバトル回にしたかったのに、又しても文字数が多すぎて次回に持ち越してしまいました。思想系の話が好きすぎる作者はこれだから・・・。

次回こそは本格バトルを目標に!(達成できるとは断言してない)


追記:予定を達成できたので一旦アホエロ作執筆に戻ります。
他の連載作も無理しない程度に更新しますので、お楽しみに!


19話「混沌帝国皇帝令三〇六六号。『神様暗殺計画』発動ス」

「ううぅぅぅ・・・ひっく、ひっく・・・・・・」

 

 駒王町の・・・まぁ、どっかしらその辺の裏路地に北欧から来日してこられた戦乙女さんの泣き声が響きわたってます。

 その声はどこかしらではなく、どう聞いても明瞭に物悲しさと悲哀に満ちていて・・・「殺されるかと思ったよ~、怖かったよ~怖かったよ~」と言う泣き言にも満ち満ちていたために私たち加害者一同は、そろって気まずい思いを味あわいながら歩を進めておりました。

 

「いやー、ごめんごめん。悪気はなかったんだけどねぇー。ただ、悪ふざけしてただけで」

「それのどこに悪気がないと!?」

「いやいや、ないでしょ悪気。だって危害を加えようなんて少しも思ってなかったし。

 結果として死んじゃったとしても、所詮は小間使いの従者みたいだったから別にいいやと思っただけだし」

「悪気あるよりも性質の悪い理由で弄ばれたんですか私!?」

 

 ーー訂正。紫藤さんの辞書に『気まずい』という単語は載っていないようです。

 

慶弔

 

 軽い調子で矛を収めた紫藤さんに、私たち三人は揃って肩の荷を降ろして一息つきましたが。

 

「でも、あれくらいで事案になるんだったらイゼルローンて、本当に魔窟ですよね。

 人攫い同然の誘拐で友達を飲みにいこうと誘いに来るぐらいですから」

 

 うん。私もそれはいつも思ってます。――つか、思ってたんだったら改めろよ、お前らも。

 こっちはアレ見るたびに毎日毎日胃の痛い思いを味わってるんですから・・・。

 

 

 混沌帝国首都星イゼルローン要塞の名物『黒服サングラスの男たちに友人を誘拐させて友達の家に遊びに行こう』イベント。・・・菓子折りもって、普通にいけよ。

 

 わざわざお父さんの知り合いが経営している人材派遣会社と契約し、人材を常に確保してまで行い続けている意味のない悪ふざけ。何にでも姿を変えられるニャルラトホテプ星人の方に依頼して、毎回別の人間に姿形を変えてから友達を誘拐してきてもらう。

 その後は互いにとって共通の友人である人の家へGO。・・・訳が分からないし必要性も理解できない。いったい何がしたいんでしょうかね彼女たちは。

 ノリで行う悪ふざけに、収入を定期的につぎ込んでくれるなよ、いやマジで。

 

 

「・・・まぁ、そんな訳なんで私たちの地元では初めてお会いした方を喫茶店に誘ってお茶をご馳走したい時などに、ああいった誘い方をするのです。

 馴染みのない方には面食らって当然の風習かもしれませんが、そこは文明人らしく海のように大きくて広い器量を持って許してください、お願いします。

 ・・・具体的には、瀬戸内海ぐらいの広さで構いませんので。ね?」

「内海って、そんなに広くありませんよね!? むしろ狭かったですよね確か!?

 あなた方、ちょっとばかし北欧神話バカにしすぎだと思うんですけど、何か恨みでもあったりするのですか!?」

『『『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・べつに』』』

「・・・・・・あれ?」

 

 勢い込んで尋ねてみたら、思いの外に重くて暗い沈みきったような声で返答されちゃって困っている戦乙女の図。詩的ですね~(現実逃避)

 

 

 

 ――ご存じのように我らが混沌帝国は銀河帝国にモロ影響受けまくってる国家ですから、あっちの帝国でも信仰されてる北欧神話には妙に拘りがあるというか・・・自分の理想とかけ離れてたら許さないと言いますか・・・。(ちなみにですが、許“せ”ないじゃなくて、許“さ”ないという部分がキモです)

 

 冗談でカモフラージュしてオブラードに包み込みながらでないと、ついつい殺しそうになってしまうとの事でしたので、地上にいる間は必要がない限り『不殺』を厳命しておきました。

 なので(彼女たちとしてはですが)比較的友好的な態度を保ち続けているので精一杯な精神状態にあるらしくて、軽々と口を差し挟むわけにはいかないのが帝国軍最高幹部三人と北欧神話関連の方々との関係性です。

 

「ーーそれで? 紫藤さん、本当にこっちの道であっているのですよね? その・・・北欧神話の大神オーディンさんだかなんだかがいる場所は。

 ・・・見た限りでは、さっきからどんどん如何わしくてケバケバシい装飾に溢れかえった店が増えてきてるんですけども・・・」

 

 なので、結果として私が緩衝材の役割を果たさなくてはならなくなります。うん、面倒くさい。

 

 現在、私たちはロスヴァイセさん(そう言うお名前なんだそうです、正式名称は)が探しているという外国から来日したばかりのお爺さんを捜して歓楽街を彷徨ってる最中です。日本に来たら、まず最初に歓楽街。ススキノにカブキチョウ、スシ、テンプーラなのは神様も外国人もたいして代わり映えしないようですね。

 ・・・ギリシャ神話もそうでしたけど「愚かな人間どもめ」とか言ってる割にやること成すこと人間と大差ないんですよねー神様って。子供の投げた石が頭に当たって死にますし。

 

 本当の意味で絶対的な超越者として存在している神様って神話世界広しといえどもクトゥル・・・やめましょう、この話題。自分で考えてて背筋が寒くなるネタなんてゴミ箱へポイでいいです。

 

 情緒不安定になりかけてる私の前で、紫藤さんが自信満々に自分の頭の頭頂部を指さしながら、

 

「ーーご安心くださいセレニア様! 私が義父様(お父様)より直々にお教えいただいた技の応用。ほら、この『大神レーダー』にビビっと反応しまくってますから!」

 

 ・・・妖怪アンテナか何かなのかなー。頭の上でピコピコ揺れてる、その触覚みたいなアホ毛は。あと、途中でなんか変な表現が混ざっていたような気がするのは気のせいですか?

 

「私の大神レーダーに探知できない大神など、この宇宙に存在しません!」

「いや、たぶんですが大神自体の総数が少なそうなので、ある意味では当然なのではないかなーと」

 

 てゆーか、対象人数少なすぎね? 大神だけなの? ギリシャ神話の主神とかは?

 北欧神話に拘り持つのも程々にしていただきたいのですが?

 

「むっ、どうやら向こうもこちらを察知したようですね。こちらに向かって歩み寄って来ているみたいです」

「なに? それは本当かイリナ?」

「ええ、ゼノヴィア。間違いないわ、私には分かるもの。

 なぜなら私は全ての生物の接近を臭いで感知し嗅ぎ分けられる、戦場の猟犬なんだから!」

 

 ・・・・・・レーダーは?

 

 と言うよりも、野生の勘で戦い、仕止めるのが得意な戦場の狂犬である紫藤さんにレーダーは必要なのか否か、甚だ疑問の限りではあるのですが・・・。

 

 まぁ、お父さんが教えた技だそうですし、何の意味もないんでしょう。「なんか面白そうだったんで教えてみました!」とか良い笑顔で宣いそうです。帰ったらフォークを補充しておくといたしましょう。

 

 

「まったく・・・昼間から女だらけでラブホテルの前で騒ぎ立てるとは、赤龍帝の小僧ともども銀髪の魔王もやりおるわい」

「オーディン様!? ここにいらしゃったのですか!」

「ですから、オーディン様。勝手に歩かれては困る案内役の私の身にもなっていただきたいと、今し方お願い申したばかりなのですが・・・」

 

 なにやら訳ありな様子をお持ちで三者三様それぞれに登場してこられたお三方の外国人(神&たぶですが天界関係者)を前にして、私たち四人はそろって同じ感想を口に出しました。

 

 

 

『・・・うわー・・・・・・これは痛いなー・・・・・・』

 

 

 

「「え、なにその薄い反応!? ワシら(我々は)なにか可笑しな事したかの!?(しましたかな!?)」」

 

 

 

 ・・・・・・黒服に髭面マッチョなゴリラさんと、見た感じ浮浪者にしか見えない格好のモロクルかけたお爺さん。これは・・・さすがにちょっと・・・・・・

 

「現代人には受け入れがたいフッァションセンスをしてらっしゃいますね・・・なんと言えばいいのか・・・えっと・・・・・・ふ、復古的で良いと思いますよ? 私はね?

 すごく古事記な感じがして日本人好みしそうだなーと・・・」

「気を使って漢字を変えても、フリガナでコジキと読める字を当ててどうすんじゃい!?」

「これは酷いな・・・なんと言うか、来日直後の私たちを彷彿させる残念ぶり・・・。例えるなら『日本を勘違いしている外国人を勘違いした日本人が、来日直後の外国人をコスプレしてみたような』、凄まじい『なんちゃってオーラ』が・・・」

「なんちゃってオーラって、それこそ何じゃい!?」

「・・・夢とは遠くに有りて想う物・・・かつて憧れて目指した対象も、蓋を開けてみればゴリラ同然の頭とファッションセンスしか持たない脳筋でしたか・・・。

 ――ちっ、これだから原始生活のままで生きてるカラスどもは・・・」

「おい!レイナーレ! かつての上司に向かって、流石に今のは無いと思うぞ!

 特に最後の一言が微妙な棘となって突き刺さり、心から抜けてくれないのだが!?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ダッセー・・・・・・・・・・・・」

「「最後の奴が一番短くて一番心にグサリと来たーーーーーーーっ!!!!!」」

 

 

 阿鼻叫喚の地獄絵図再び現界。固有結界です(嘘です)。

 

「「・・・・・・・・・」」

 

 彼らの後ろで置いてけぼりにされてる兵藤さんと姫神さんにはご愁傷様でしたと、後で菓子折り持参して謝罪しに行っときましょう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「日本神話の皆さんへのご挨拶・・・ですか?」

「挨拶じゃなくて会合な、会合。

 前々から日本の神々にたいして北欧神話の主神から今回の顛末について説明しておきたいと思っておったのでな。それが今回ワシが日本まできた主目的じゃよ。ゲシャガールとかも目当てではあったが、本命はこちらじゃな」

 

 またしても場所を変え、今の私たちがいる場所は人気の少ない市民公園の噴水前です。適当に屋台で買ってきた鯛焼きを頬張りながら北欧の神様とお茶するのは思ってたより乙な気分でした。

 

「神界の統治者が公園で鯛焼き、神界の統治者が公園で鯛焼き、神界の統治者が公園で鯛焼き、神界の統治者が公園で鯛焼き・・・・・・・・・」

 

 なんか向こうでブツブツ言ってる銀髪美人さんが見えてたりしますが、とりあえずは無視という進め方で。

 

 ーーああ、兵藤さんたちはバラ、バラ・・・バララントさん? だかなんだか言うマッチョゴリラさんと一緒に姫神さんのご実家へ先に向かわれましたよ。彼本人は案内役としての役目がどうのと渋っていましたが、オーディンさんお口添えと、諸事情あって(お父さんがかつて犯した大失敗タイムトラベルです)姫神家の事情を知る私が連携して口八丁手八丁で言いくるめました。

 さすがは脳筋。チョロいぜ。

 

「日本の神々というと、京都に住んでいらっしゃる八坂さんとお会いになるので?」

「その通り・・・って、なんでお主が八坂のことを知っとるんじゃ? 普通の人間の身には余る力の持ち主たちのはずじゃが?」

「なんでもなにも・・・」

 

 パクリと、一切れちぎって小さくした鯛焼きを口に放り込むながら(一度やってみたかったのです。マナー違反ですけどね?)私はふつうにお答えしーー、

 

「『この前今回の件で被害を被られた皆様方に、加害者たる二勢力に所属していた過去を持つ三人に事情説明と謝罪を行わせることをお許しいただきたいのですが、入国許可をお出し願えませんでしょうか?』といった趣旨の内容を手紙に書いていくつかの伝手を通して届けてもらい続けていたら先日ようやく了承のお返事をいただけたばかりでしたのでね。

 届いたばかりの手紙の内容を、昨日の今日で忘れるほどには呆けちゃいませんて」

 

 

 ブーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!

 

 

 ーー北欧神話の主神様が飲んでたコーラをぶっかけられました。・・・キチャない・・・。

 

「げほ、ごほ、げほ・・・お、お主いったいなんて事を・・・! 今がどういう状況か分かっておらぬのとは言わさぬぞ! この危険きわまる情勢下で身勝手に行動して全体を巻き込むなど断じて許される事ではない!」

「許していただかなくても構いません。私たちが勝手にやっていることですから、敵対するならどうぞご自由に。

 別段、私たちはあなたがたと同盟関係を結んだわけでもありませんしね。気にくわないなら攻めてきてくれても構いませんよ? あなたの愛する祖国の思想もそんな感じなのでしょう?」

「・・・・・・っ!」

 

 まさか、こういう形で反論されるとは思ってなかったと言った表情のオーディンさんに私は前々から思っていたことをぶつけてみることにしました。幸い彼は三大勢力に加盟しただけで北欧神話は正式に円卓に入ったわけではなさそうですしね、「三大」になったままですから。

 

「三大勢力連合・・・いいえ。現魔王、堕天使総督、天使長、それぞれの直轄部隊しか手駒として押さえていない少数勢力同士の寄せ集めが三大勢力連合の実体であると私は仮定しています。権威だけは最高位の方々が集まってる分だけ見た目は派手ですけどね。

 いざ蓋を開けてみれば、中身はボロボロのズタズタで継ぎ接ぎだらけで数だけは多い寄り合い所帯。

 おまけに参加している全ての勢力が内輪のゴタゴタを解決し得ないままに手を取り合って未来へと進もうなどと、思わず笑い出してしまいそうになりましたよ」

 

 わざとらしいぐらいに悪意あるよう悪し様に罵りながら、私はこの世界で行われようとしている戦争の根底的矛盾について北欧の大神殿に意見を伺うため、敢えて言葉を選ばず遠慮もせずにズバズバ言わせて頂きました。

 

「政治の腐敗、差別社会、貧富の格差、法律の改正、守旧勢力から新勢力への権力移譲、技術革新に人権保障問題。他にもいくらでもあるのでしょうが、これら長年続けてきた伝統そのものが膿となって国家の癌と化してしまっている状況を、自分たちの世代で抜本的に解決しようと言うのが魔王陛下たち三大勢力の考え方です。

 三大勢力が抱える病の病状は抜本的な治療を必要とする段階に達しており、今までと違って痛みを伴わない対処療法ではダメだ、身体が傷つくのを承知で手術台にあがり大規模な外科手術を行わせる必要がある。・・・彼らが抱いているであろうこの懸念は、おそらく正しい。

 今のまま進んだところで未来がないのは分かり切っていることですからね。停滞し続けていた時計の針を前に進ませようとしているだけ、そう考えればあながち悪い考えという訳でもありませんしね」

 

 長広舌を終えて喉が渇いたのでジュースを買いに行こうとしたら、天野さんに紙パックに入ったジュースを差し出されました。

 礼を言って受け取ってしまいましたが・・・天野さん。できたら次からは「いちごミルク」以外をお願いできませんでしょうか? この歳でこれを飲むのは些か辛いと言うか、痛すぎるんですけども・・・。

 

「・・・では、何故じゃ? なにが気に食わん? 正しき世になり過ちが淘汰され、失政が購われるのは民たちにとっても良き事じゃろう?」

「良いことですよ? 急ぎすぎさえしなければ、ですがね」

 

 今度こそ絶句したオーディンさんの顔を横目で見ながら「いちごミルク」を頂く私。

 ・・・すごく悔しいのですが・・・・・・おいしく感じてしまう自分が憎らしいです・・・。

 

「急速すぎる変化は歪みを生みます。何千年も降り積もらせ続けた膿を洗い流すには大河の如く悠久の時間と、穏やかながらも絶え間なく流れ続ける正常な清水が必要不可欠です。

 が、彼らは今を生きる自分たちで過去の全てを精算しようとしてしまっている。後に続く若い世代の未来を考えるあまりに、先を見すぎてしまって足下が疎かな状態だ。

 誰もが焦り、急激な変化と改善を求めて問題の『抜本的な解決』とやらを最良の手段であると信じて疑っていない。それが国民と支配者層との間に埋めがたい巨大な亀裂を入れているのではないかと、私は推測しているのです」

「・・・それは?」

「今を平和に生きたい普通の人々と、未来の子供たちのために明日を戦ってでも勝ち取りたい普通の人々を導く立場の人々。即ち、支配する側とされる側との認識の差。これに尽きるのではないかなーと」

 

 普通のことを言ってるつもりの私ですが、いつものようにいつもの如くファンタジー世界の住人たちは驚愕の表情を浮かべてきます。

 知識面では私の方が圧倒的に下のはずなんだけどなぁ~。これがジェネレーションギャップと言う奴なんですかねー。若い内に経験するとは思っていませんでしたよ、あっはっは。・・・むなしい。

 

「時間と伝統によって降り積もった社会の歪みは、なによりも人の心を浸食しているモノです。時間をかけて癒すしか解決手段のないこの問題をヒーローの娯楽番組で誤魔化しながら進めることで何とかなると思っているからカオス・ブリゲードの台頭を生む。

 彼らはテロリストです。三種族による戦争を続けたいという『思想』の元に集った思想テロの集団に過ぎないのですよ。それを恰も一大勢力と全面的な戦争に突入するかのように捉えている彼ら三大勢力の首脳陣は頭がおかしいとしか私には思えません。

 テロとの戦いとはテロ組織を潰すことを目的にしたものではない。テロ思想を根絶しない限りは解決し得ない、社会の歪みからくる政府当局の内側との戦いなのです。外部だけに目を向けていれば減らした敵が補充されて復活を果たすのも道理でしょう。

 彼ら戦争を知らない世代の支配者層は、根本的に敵を見誤ったまま戦争に突入しようとしています。

 これを指して『敗北の条件』と、人類史では言うんですけどね・・・どうやら神様、天使様、堕天使様、悪魔様方のファウル・ラインは下等な人間などの其れとは、大きくズレがあるようですね」

 

 私が話し終えた後、しばしの間沈黙がながれます。

 

 サワサワと言う噴水の音と、季節柄故に虫の声が聞こえないごく普通の秋の公園で銀髪ロリ巨乳と、浮浪者の格好したモロクルお祖父さんと、制服着ている女子高生の戦争狂二人と、勇者と書いてバカと読む魔王な女子高生さん一人が暢気な顔してお茶を飲んでる麗らかな午後・・・風流ですね~・・・・・・。

 

 あ、巻き込まれただけの銀髪戦乙女さんを数に入れ忘れてました。反省。

 

「・・・・・・・・・ふむ、やはりな。思っていたとおり、お主だけはワシ等すべての種族の認識は一切通用せぬようじゃ。・・・まさに適任という奴じゃな」

「・・・??」

 

 今、何か仰っていましたかね、この人?

 

「異住・セレニア・ショートよ。ひとつ、お主を見込んで頼みがある。引き受けてはもらえまいか?」

「内容次第ですね。無理そうなら断りますし、出来そうで我々にもメリットがありそうだったら引き受けるかもしれません」

「慎重じゃな。まぁ、よかろう。隠し立てする内容でも無いことだしのう」

 

 そこまで言ってからオーディンさんは居住まいを正し、先ほどとは打って変わって真剣な表情で私に個人的なお願いをしてきます。

 

「北欧神話の主神として、お主に個人的に頼みごとがしたい。

 他の者たちには気取られぬ内にロキを、北欧神話の悪神を討伐してもらいたい。

 ーー要するに、会合を前にして奴さんが出張ってきたところを迎え撃つのではなくて、事前に問題の火種を消化して欲しいのじゃよ。

 蛇は卵の内に殺せ、政の基本じゃろう?」

「・・・さすがは北欧神話内で人間をたぶらかして利用しまくる知恵の神様。エゲツない」

「何とでも言うがよいわ。戦争が終わった後でなら幾らでも聞いてやるし、責任も取ってやろう。

 じゃが、負債を抱え込んだ身でありながら子供たちに任せるだけなのは心が痛む。ひとつ、ワシにも悪事の片棒ぐらいは担がせい。三大勢力首脳と日本神話の神々との会合する場所と時間を教えておくでな」

「はい、了解です。この日時でしたら私の予約よりも前に事が済ませられますね。その時までに発生した事件は、すべて説明の際に事情を説明する事案の中の出来事のひとつに含めていいのでしょうから楽なものです」

「お主も悪よのぅ」

「いえいえ、北欧の大神様こそ。ーーそれでは、細かい日時とタイミング、敵戦力等の確認に入らせていただきたいのですが・・・・・・」

 

 こうして私と北欧神話の大神様との間に密約が結ばれて、北欧神話の悪神退治が今回の私たちがこなすべき役目となったようでした。

 

 鬼退治ならぬ悪神退治。いえ、むしろ日本神話の方々には妖怪さんが多いそうですから鬼を守るために神様退治といったところでしょうか?

 

 そして神を殺す使命を負った選ばれし人間たち。

 さしづめ「神を殺す物語」とでも名付けるべき悲劇の主役たちの名はーー。

 

 

 天野夕麻。勇者と書いてバカ。「神なんて人が作った道具です」

 紫藤イリナ。戦場の猟犬にして戦争屋。「人をブッ殺すための戦場に神はいない!」

 ゼノヴィア。軍人を天職と言い切る猛将。「私の辞書に神の教えとか信仰心とか、まどろっこしい言葉は載っていない」

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?

 

次回こそバトルです!




次回は悪神ロキVS混沌帝国軍三長官+皇帝一人のバトルです。セレニアも(一応)戦う予定なので、100万(もっと多いかも)と一人の軍隊です。

主人公なのに不正規戦です。
しかも、殺したモン勝ちの生き残りをかけたサバイバル戦です。
本当に碌でもない主人公勢だなぁ~。やっぱり戦争いくないと思いました。


圧倒的な数の差ですが、負けるなロキ!原典の方では好きだぞ!原典の方ではな!

注:ロキ戦だけ早めましたがディオドラ戦は普通にやります。イッセーたちがテレビ収録している間に戦ってたと解釈してください。
尚、テレビ化の話だけは聞かされてる設定です。(内容は知らされておりません)

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