堕天使に愛された言霊少女   作:ひきがやもとまち

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前回までのディオドラとのバトルを一回リセットさせて頂き、原作6巻を大真面目に最初から読み直して最初から書き始めた始まりの回です。ご迷惑をおかけして申し訳ございません。

実を言うと私は原作6巻はアニメ版の方が好きで、原作の方は一二度しか読んでなかったことに後から気付いたんですよね。ですので今日は読み返すのに使い、夕方ごろから書き始めてました。

ただ、初めて大真面目に読んで大真面目に書いたせいで話が大筋と一切関係しなくなってしまいました・・・ただ単にアーシアについて甘粕夕麻ちゃんが語っているだけ。読んでも意味ないし詰まらないだろうなぁーとは思いましたが、折角書いたので出しときます。要らなかったらごめんなさい。


尚、今話からしばらくは作者の思想話に突き合わせてしまう事になるだろうと予想しておりますので、そう言うのがお嫌いな方は原作7巻目の話になるまでお控えください。自分はこういうのが好きだったんだと自覚してし待った今、後戻りはできそうにないものですから・・・。



17話「まじめに書いた原作6巻の言霊解釈編『序章』」

「おいっちにーさんしー、おいっちにーさんしー」

 

 駒王学園体育館裏。

 この場所で今日も俺はアーシアと二人三脚で朝練をしていた。付き添いはいない、二人だけだ。練習を始めた日に比べればだいぶマシになったと思うし、深夜の悪魔家業の際に使ってるチャリ移動も苦痛に感じなくなった。

 俺もすっかり修行根性が身についたもんだと、自分で自分を褒めてやりたくなるな。

 

「あぅ! いち、に! はぅぅ! さん、し!」

 

 以前はスタミナ不足から遅れがちだったアーシアも、今では必死についてこれるようになった。やっぱり日々の練習ってスゴいと思う。コツコツと努力を重ねることが上級悪魔になる最短の近道なんだよな。山籠もりの成果は出てるぜおっさーん!

 

「・・・あら? 誰かと思えばイッセー君たちじゃないですか。こんな朝早くに会うなんて珍しいですね」

「え・・・? ゆ、夕麻ちゃん!?」

 

 ふとグラウンドの方から走ってきた女生徒がいると思ったら、なんと驚いたことに俺の元カノ夕麻ちゃんが体操着姿でジョキングしているところに出くわしてしまった!

 こ、これは眼福だ・・・! むしろめちゃくちゃレア映像なんじゃないか!? えっと、カメラはどこだ永久保存用に撮影する高性能カメラは・・・。

 

 不純な動機でキョドり始める俺に対して夕麻ちゃんは、爽やか笑顔を浮かべて見せる。それはまるで天使のように邪心のない無垢な笑顔で、彼女が本当は堕天使なんだという事実を一瞬忘れてしまいそうになるほど魅力的な微笑みだった。

 

「あなたたちも朝練ですか? 早朝の清々しい空気の中で行うジョキングは、気分もすっきりして気持ちがいいですよね」

「分かるなぁ~俺もその気持ち。朝ってなんか意味もなく清々しく感じられて、無性に体を動かしたくなるんだよな」

「はい、私もそう思います。今日も思わず皇居の周りを三周して、今さっき戻ってきたばかりなんですよ。最近ではジョキングがブームになってるみたいで素晴らしいことだと感心させられますね」

「「・・・・・・・・・」」

 

 俺(と、追いついてきたばかりのアーシアも)完全に沈黙。脳が機能を一時停止しました。再起動するまでの間しばらくお待ちください。

 

「ーーはっ!?」

 

 ・・・いかん! あまりにも有り得ない現実を前に一瞬だけ別の世界に旅立ちそうになっちまったぜ! あっぶなー!

 本気で気をつけないと今の夕麻ちゃんはマジで危ないな! 常識はずれを常識としてやるからな! て言うか普通、女子高生はどんなにブームになっても朝練に皇居までジョキングしたりはしないと思うんだが!? むしろ行けるのか!? 駒王町から日帰りで!?

 どんだけ距離あるのか知らんけど、少なくとも俺の使ってる自転車で行ける距離ではないと思うんだが!

 

「日々のたゆまぬ修練こそが、健全な肉体と精神を鍛え上げる・・・。

 昔の人はやはり偉大ですね。人の本質を捉えた言葉を簡明に書き記して後世に伝え残す。難解で分かり難く、極めなければ使い物にならない極意書などより余程スゴくて尊い人類の至宝です。後の世に生きる人たちのためにも、出来るだけ多く残したい本たちですよね」

「お、おう?」

 

 なんかよく分からんこと言われたけど、とりあえず健康第一、修行は大切って言いたいことだけは分かったから良しとしとこう。

 

「ところで・・・」

 

 夕麻ちゃんはタオルで軽く汗を拭き、スポーツドリンクの入っていると思しきペットボトルを一口飲んでからアーシアの方へと振り返ると、不思議そうな表情で声をかける。そこに悪意はまるで感じられない。ただ本当に彼女を気にしているらしい気遣いが見て取れる。

 う~ん・・・こう言うときには正直、複雑な心境にさせられるんだよなー。

 セレニアたちとは敵対はしていなくても味方って訳じゃないし、夕麻ちゃんは完全にセレニア派な上に時々常識はずれの力を発揮して理不尽なこと強制してくるし、良い奴なのか悪い奴なのかよく分からん。

 少なくともこう言うときには、敵に見えなくなるんだけどな~。

 

「アーシア。何を思い詰めているのですか?」

「・・・・・・」

「言いたいことが有るならば、口に出して相手に伝えなさい。言わなくても分かる、通じ合うと言う事もあるのでしょうが、それを最初から期待して事を進めるのは怠慢ですよ。

 人が自分の気持ちを分かってくれるかどうかなど、相手次第です。相手に伝えようと努力することこそが自分の成すべき問題であり、考えて工夫すべき課題と言うもの。

 まずは言葉として口に出し、相手に伝えてから二人で考え始めなさい。一人きりで成り立つ人間関係など存在しないのですからね」

 

 ・・・あいっかわらず、最近の夕麻ちゃんはカッコいいなぁー。カッコヨすぎて最近食われがちなんですけど俺? クラスの話題を夕麻ちゃんが独占してて話についてけないんですけど! おっぱいの話に誰も乗ってきてくれないんですけど! 誰も相手にしてくれないんですけど!

 超人女子高生伝説は聞いててスゴく面白いけど、たまには別の話題についても話そうよクラスのみんな! ヒマラヤ登頂とか太平洋横断とかはテレビネタだけで話そうぜ!

 

「・・・・・・あのとき、彼を救ったこと、後悔してません」

 

 アーシアのつぶやきに夕麻ちゃんは両目を細めて黙り込み、俺は少し前に聞いたアーシアの過去話について思い出す。

 

 アーシアは協会にいたころ傷ついた悪魔を救った。それによって異端扱いを受けて居場所を失い、悲しい思いをした。

 その助けた悪魔こそーーディオドラ・アスタロト。俺たちが次のレーディングゲームで戦うことになった対戦相手の名門若手悪魔だったんだ。

 

 けど、アーシアがディオドラを救ったのはアーシアが優しかったからだ。それを俺は責めない。責められるはずがないさ。アーシアは良い子なんだから。

 

「・・・解せませんね」

 

 ――だけど、夕麻ちゃんにはご不満らしい。

 

 いや、どちらかと言えば不可解だと言いたげな表情を浮かべながら、じっとアーシアの眼を片時も眼を逸らすことなく見つめ続けている。

 

 道理が通らない、筋が通らない、道筋が見えず物語が破綻している、主人公の人間性が理解できずに感情移入することがまるで出来ない。そう言いたげな表情でアーシアを見つめたまましばらくの間黙り込み、ため息をついてから頭を振って静かに、だが苛烈な言葉で先を促す。

 

「かつての私はあなたを道具として利用しているだけだった。道具の話などまともに聞いてはいなかったし、理解しようとも思っていなかった。

 その点に関して私のあなたへの理解度がイッセー君のそれより大きく劣っていることは自覚していますが・・・それでも、これだけは断言できます。

 堕天使レイナーレから見ても、人間の少女天野夕麻の視点から見たとしても。アーシア、あなたの悲しむ心はどこに向けて誰に抱く感情なのかが全く見えてきません。

 人々が自分をどう見ているか分かった上で聖女を演じ、自らの本音を誰にも語らず聖女と言う名の「人を癒すための機械」として生きる道を選んだあなたが、どうして捨てられたことを悲しみ、誰かに何かに縋りたいと、救って欲しいと今更ながらに願うのかが。

 私には今も昔もまるで理解することが出来ないのです」

 

 両目を見開き大粒の涙を瞳一杯に溜め込みながら、アーシアはそれでも手で目に浮かんだ涙を拭って夕麻ちゃんの瞳を睨み返そうとする。

 夕麻ちゃんは不動だ。ほんの僅かな身じろぎすらしない。ただ悠然と立ちはだかってアーシアを見つめ、話の続きを求め続ける。

 

 

 睨み合うだけでは何も変わらない、そう決意したらしいアーシアが語り出したのは彼女の過ごした過去の話。教会で聖女だったころにディオドラと出会い、破滅するまでのいきさつを丁寧に、礼儀正しく細かいところまで、聞くのは二度目になる俺にも退屈しないように工夫しながら話してくれた。

 

 夕麻ちゃんは何も言わない。ただ聞き役に徹し続けている。

 

 やがて捨てられるときに一番ショックだったこと、自分を聖女として担ぎ上げたカトリック教会の誰一人として捨てられる自分を庇ってくれなかったことまでも。

 

「あのころの私は自分の祈りが足りなかったんだと思っていました。これも主の試練なんだと、私がダメなシスターなので、こうやって修行を与えてくれているんだと。頑張り続ければいつかきっと、お友達もたくさん出来てお花を買ったり本を買ったり・・・・・・」

「・・・・・・」

「でも、誰も現れなくて。そんなときイッセーさんに出会って救われて、こんなダメな私のことを友達だって言ってくれて!

 だから私は今いるここが好きです。駒王学園が好きです。ここで始めた新しい生活は私にとって本当に大切で大事で大好きなことばかりでとっても素敵なんです」

「・・・・・・」

「・・・だから今回の件で、またダメな私のせいで素敵な皆さんに迷惑をかけるのが怖いんです。駒王学園にも、オカルト研究会にもイッセーさんのおうちの方々にも迷惑なんてかけたくありません。だからーー!」

 

 

 

「だから、なんですか?」

 

 

 

 明確な否定の意志を込めて、夕麻ちゃんはアーシアの決意を打ち砕く。

 

 

 怯んだように後ずさりするアーシアに近づこうとはせずに、ただ呆れ果てたと言いたげな態度と表情で盛大に嘆息する。

 そして、時間を無駄にしてしまったとでも言いたげな口調で吐き捨てるように語り出すのはアーシア・アルジェントと言う少女の『不誠実さ』と『楽な生き方』。双方への侮蔑と否定と断罪の言葉。

 

「あなたは私の元にいたころと、何も変わっていませんね。今も昔も他人にしてもらうことしか考えていない。他人に縋って、救ってもらうことしか考えていない。

 主の試練とうそぶきながらも、結局のところは痛みをおそれて他者と関わろうとしない自分の臆病さを正当化しているだけ。

 ダメだダメだと罵ることで自分を罰し、哀れでいたいけな救われることしかできない自分の立場を肯定しているだけの楽な生き方です。ハッキリ言いましょうか? 反吐がでる思いですよ」

「・・・・・・わたしの主への祈りと信仰心が、自己保身のためだったとでも仰りたいのですか?」

 

 このとき初めてアーシアは顔中に怒りを満ちあふれさせて夕麻ちゃんを睨みつけたが、睨まれてる方は微風かなにかと解釈しているのか長い黒髪を梳きながら平然としたままアーシアへの否定の言葉を放ち続ける。

 

「違うというのであれば、何故あなたは試練を乗り越えようと努力しなかったんです?

 ただ耐えるだけ、ただ続けるだけ、ただ言われたことを言われたとおりにやって毎日の仕事をこなすことが神の与えた試練の越え方だとでも主張したいのですかあなたは?」

「そ、それは・・・その、違くてーーっ!」

「アーシア、あなたは友達が欲しかったと言いましたね。

 その言葉を、願いを、希望を、自分という一人の人間が持つ当然の権利の主張を、誰か一人に対してだけでも分かってもらおうと努力しましたか?

 自分は聖女などと言う「人を治療できる生物」ではない。ちゃんと意志を持って好き嫌いもする、ただの平凡な少女にすぎないのだと、たまたま主に選ばれて奇跡の力を与えられただけで機械でもなければ化け物でもない。決して魔女ではないし、人々に癒しを与えるだけで心を持たない願望器なんかであるはずがない。

 私は人間です。人間として生まれて生きてきた、アーシア・アルジェントという名の一人の少女。ただそれだけなんです。――そう断言して見せた事が一度でもありますか? アーシア・アルジェント。聖女としての機能に自らを貶め、受け入れてきた少女よ」

 

 夕麻ちゃんの言葉が終わるころにはアーシアの表情は真っ青を通り越して真っ白になりかけていた。顔中脂汗まみれになって足をブルブル震わせて。今にも倒れそうなアーシアを見ていられなくなった俺は思わず彼女たちのと間に割って入って、レイナーレの視界からアーシアを見えないよう背中に庇う!

 

「おい、やめろレイナーレ! アーシアを虐めてなにが面白いんだ!

 アーシアは良い子なんだぞ! すっげぇすっげぇ良い子なんだぞ! 良い子なのに周りの連中に裏切られて傷ついたんだからアーシアは悪くねぇだろうがよ!」

「なぜ? 言われたことには素直に従い、嫌なことでも笑顔で引き受け、相手の立場も人種も地位も身分も年齢も性別も見た目も一切考慮せずに分け隔てなく癒しを与える『誰にとっても都合がいいだけの良い子』であり続けた彼女を、周囲の人間たちの過半が『人の心を持たない機械』として扱ったことの一体なにが悪いというのかしら? 教えてくれない? イッセー君」

「そ、それは・・・」

 

 まっすぐ俺の目を見つめて問いかけてくる夕麻ちゃんの言葉に、俺は即答できなかった。弁護はしたい。守ってやりたい。アーシアと他の連中のどっちが悪いと聞かれたら迷わずアーシア以外を選ぶけど、でも。確かに少しだけ思ってしまったんだ。

 『流石にそれは都合がよすぎる』って・・・。

 

「アーシアの抱く、救済への祈りに嘘偽りはなかった。信仰心に陰りは見えず、人々の役に立ててうれしく思う気持ちは純粋そのもの。まさに絵に描いたような聖女と言えるでしょう。

 理想的で理想的で理想的で・・・理想的なだけだった。

 その絵には彼女の個性がまったく見出せない。聖女というモチーフを描けば、モデルがアーシアでなくとも聖女アーシアを描いた聖画が出来てしまうほどに。

 アーシアの思いは間違っていない。ただし、思いを他人に伝える方法を徹底的に間違え続けた。彼女が見せなければならなかったのは『聖女としてのアーシア・アルジェント』ではなくて『アーシア・アルジェント』と言う一人の人間として生きる少女の生の姿だった」

 

「願望器という機械に意志があるなどと誰が思う? 誰が信じる? 誰が理解してやれる? 誰が機械に意志が有るか無いかについて真剣に考えてやろうなどと考えるのか。

 誰もを分け隔てなく癒す願望器が、敵を癒す機能までもを持っていた。これを恐れない人間などいない。そこまで人は強くないから。

 願望器が自分たちのことを見ないままで誰しも平等に接して特別扱いしようとしない、『人類すべてを同じ生き物としか見ていない化け物にしか見えない』から人々は恐れた。化け物が化け物と手を携える可能性を。今まで自分たちを守ってきた便利な道具が、今度は自分たちに脅威となって襲いかかってくる可能性を。『人の心を持たない機械に人の気持ちが分かるはずはないから』怖くなって放り捨てた。ただ、それだけのことだったのではありませんか? アーシア」

 

 つまらなそうに、本当に本心からつまらなそうに言い切った夕麻ちゃんの言葉にアーシアは間違いなく顔色を回復できないまま必死の反撃を試みる。

 

「・・・聖女としての役割をこなせなくなれば、教会に私の居場所はなくなります。人が居場所を守りたいと願うのは、そんなにいけないことだとお考えですか?」

「別に。むしろ居場所を守るためなら敵と戦ってでも守り通すべきだと私は考えていますから、その考え方には心底から賛成できますね」

「でしたら・・・!!」

「もっとも、無償で与えられた奇跡の力を何ら負担も負わないままに、求められれば誰にでも無償で散蒔いてるだけの行為が『居場所を守る』と言う、尊い行いとして認定されうるのならと言う前提条件付きでの賛成ですが」

「・・・・・・っ!!!」

 

 アーシアは再び黙り込んで唇をかみ、今度こそ何も言えなくなって下を向いたまま沈黙の底に沈んでしまう。

 

 そんな彼女の反応など意に介してない元堕天使は、堂々と胸を張って世界に対し、俺たちに対して自分の信じる思想を声高に断言してみせる。

 

「教会側が用意した聖女の地位。それはアーシア・アルジェントの人格を必要としていない物だった。むしろ邪魔ですらあったのではないでしょうか? 奇跡を起こす願望器に人格など必要ないと、ただ奇跡さえ起こせればそれでよいのだと。『道具は道具としての機能だけを持ち、必要な間だけ使い続けられればそれでよいのだ』と。

 だから教会はアーシアを道具として扱い、優遇し、厚遇した。

 そして願望器としての機能に欠陥が生じたから、壊れた機械として用済みの道具を捨て去った。すべてとは言いませんが、教会幹部の大半の認識としてはその程度のものだったのではありませんか?

 良い子なだけで個性のない、よくできたお人形さんみたいな女の子だったからこそ『道具としてのみ』可愛がることができた。同じ人間として見ることがどうしても出来なかった。良い子だけど、良い子なだけの顔のない願望器アーシア・アルジェント。

 その生き方は、私の求める試練の有り様と異なりますね。まったく人の意志が感じ取れない。ただただ怠惰な臆病さと狡猾な卑屈さだけが鼻につく」

「・・・・・・」

「ひとつだけ、最後に助言を残しておきましょう。

 何かを手に入れたいと思うなら、あるいはそれが人の心であるとするならば。

 好きな人を傷つけることを恐れてはならない。それは相手をおもんぱかっての精神作用などでは断じてないから。

 自分が傷つけた相手に嫌われたくない、只それだけの臆病な利己心だけが根底にある、浅ましくて醜い醜悪きわまる唾棄すべき感情ですよ。

 人を愛し、その人のことを本気で考えるのならば、傷つけることも嫌われることも恐れてはいけない。只ひたすらに相手を思い、相手のことを考えて自分なりに最善と信じた道を行きなさい。例え先に待つのが失敗と後悔一択しかなかったとしてもです。

 そうすれば、何も選ばないで見ていただけの自分が結果だけを見てあざけ嗤うクズになる可能性だけは完全に潰せますよ。

 まぁ、好きだ愛してると言っていた人物に「おまえは失敗したから選ばなくてよかった。成功して後悔してない未来を掴んだ私の方が偉い~」と自慢したいのなら止めませんけどね。

 どちらでも、どちらかでなくても自分の好きな道を選んで進みなさい。道は常にいくつも前に広がっているものなのだから」

「「・・・・・・・・・」」

 

 堕天使が語る人間論。それを前にして悪魔になって日の浅い元々は人間だった俺たちは一言も返すことが出来なかった。

 

 そうして言う内にチャイムが鳴って校舎へと戻る。

 俺たちの一日が始まる。

 元気のないアーシアが、精一杯虚勢を張って元気があるように見せかけている姿が、今日なんだかヒドく痛々しく見えて仕方がなかった。

 

 

なんの起承転結もないままに続く。




追加補足:
先ほど感想を読み、自身が書き忘れていたことに気付きましたので、遅まきながら補足説明させて頂きます。

今話から始まった『真面目に書いた原作の言霊解釈編』は歪んだ物語です。
主人公はもちろんの事、彼女に影響されて変質した原作キャラクターも含めて主人公側は偏りまくった思想を持つ人格破綻者の集団と言うのが大前提としてあります。

サイコパスみたいな連中がメインを張ってる作品なんて正直どうかなーと思わなくもないですが、主人公=正義=正しいと言う図式が嫌いな私としては主人公側の歪みも描きたいんですよね。「他人をどうこう言ってるお前はどうなのよ?」的な事を言われる作品にこそ惹かれる性質なので。

歪んだ趣味趣向を持つ作者でごめんなさい。原作でのディオドラ編(勝手に命名)が終わるころには落ち着くと思いますんで何卒ご容赦の程を。

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