堕天使に愛された言霊少女   作:ひきがやもとまち

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お待たせしました。この前「IS学園の言霊少女」で大失敗した反省を踏まえて、今話でバトルは一切なしです。
尚、今話の内容に関してもしかしたら色々抵触しているのかもしれません。その時にはお教えいただけると助かります。
正直その辺りよく分かんないものですから・・・。

あと今回は内容が暗いです。


13話「冷静なる蒼眼」

「失態ですね。

 敵に首都まで潜入された挙げ句、要人複数が出席しているパーティーでの爆破テロ。冥界側の警備網の甘さと警戒心の有無を問わざるを得ない程の大失態です。

 今回の責任については、どうお考えなのですか? 魔王サーゼクス・ルシファー陛下?」

「・・・おいおい、ほどほどにしておけよ?」

 

 三勢力の首脳たちが一同に会して茶をしばいてる、魔王領にある会談ルーム。

 その場においてうちの副総督シェムハザが、開口一番にそれを言ったのだが・・・今回は些かおまけが手厳しい。いつもならこれほど攻撃的な言動をする奴じゃないんだがな・・・。

 

「先日行われた魔王主催のパーティーで悪魔たちが、『カオス・ブリゲード』の襲来を受けたのは紛れもない事実だ。

 だがあれは正確に言うなら、『結果的にそうなった』というべき事態だろう?

 冥界指名手配中のSS級はぐれ悪魔『黒歌』がパーティを、使い魔使って見に来ていたなどと、誰も予想だにしていなかったじゃねぇか。

 その点においては俺たちにだって、悪魔側の責任のみを追及する道理はないと思うが?」

「では、もし仮に爆破被害にあった中に御自分の同族が居て、そのご遺族たちに対するときにも同じ内容のことが言えますか? 堕天使総督アザゼルさん?」

 

 氷のように冷めた印象を与える幼い少女の声が議題の場を一打ちし、会談ルームは途端に静まりかえって重苦しい沈黙に包まれた。

 

 平然としたまま茶をすすっているのは、発言者である人間の小娘異住・セレニア・ショートだけ。

 一応は人間勢力の代表として呼んでいる手前、出席させないわけにはいかないというサーゼクスたっての要望だったが・・・まさかこれを狙っていたんじゃあるまいなサーゼクス。だとしたら俺はおまえの評価を改めなきゃならんぞ?

 

 今の一言だけで急激に悪化した状況の変化を、俺は肌で感じ取っていた。

 刺すような視線、責めるような視線、誠意あふれる返答を期待する視線。

 様々な感情が入り交じった視線の嵐。

 その渦中に叩き込まれた俺としては、正直辟易させられる。

 

 ーーやれやれ、なんだってこんな面倒くせぇことを・・・。こういうのこそ、お前の役割のはずなんだがね? シェムハザくん?

 

 俺が心中でつぶやいた声が届いたのか、シェムハザではない別の人物が議場に新たな爆弾を投じて俺の問題を棚上げにしてくれる。

 

 ーーたく、こいつには平地に乱を起こしたがる趣味でもありやがるのか? いい加減にしてくれよ本当に・・・。

 

 心の底からウンザリさせられながらも俺は周りに合わせ、再びの発言で議場の視線を一手に引き受けた銀髪の少女に視線と意識を向けた。

 

「と言うか、今回の件は予想できうる事態だったはずなのに『結果的にそうなった』等という有り触れた表現で逃げの姿勢を見せるのはフェアじゃないと思います。

 冥界指名手配中のSS級はぐれ悪魔と、三大勢力のはみ出し者たちにとって今一番安全な場所である、各勢力全てに牙を剥いた兵力的には乏しいはずの反乱軍カオス・ブリゲード。

 合流しないと考える方が脳に蛆でも沸いてるんじゃないかと疑いたくなりますけどね、私としては」

『・・・・・・』

 

 再び場を包み込む沈黙。だが今度のは、先ほどのモノより更に重たい。

 

 なにしろ今回の発言は、ここに集っている全員にとって他人事じゃない。誰もが皆、『あの黒歌がカオス・ブリゲードに参入していてほしくない』と言う願望に突き動かされて、無意識のうちに候補から外していた事実に思い至らせられたからだ。

 

 ーーまぁ、その気持ちは分からなくもないがね。

 

 内心で俺は肩をすくめて上級悪魔たちを弁護してやる。

 

 ーー誰だって自分に都合の悪い事実からは目を背けたがるものさ。それは別に心の弱い人間だけの専売特許じゃない。心という名の弱さを持っていさえすれば、誰でも持ち得る生まれつきの弱さなのだから悪魔も天使も堕天使も、その点に関しては例外が存在していないだろう。

 

 だがーー

 

(だが、誰もが弱さを持ち、悪魔も天使も堕天使でさえ嫌なことからは目を背けたいと言う欲求に縛られている現状にあって、この場の誰よりも弱い人間の小娘が平然と自分の弱さに向き合ってるってのはどう言うことなんだ?)

 

 そう。それがこの場における、一番の大問題だった。

 

 このガキには現実逃避の概念がない。自己の行いを正当化すると言う発想がない。自らの過ちに対し責任をとるのが当然だと言う信仰を抱いてさえいる。

 

 ある意味では理想的な指導者の資質ではあるのだろう。誇っていいし、手放しで誉めてやってもいい。

 だがそれは、心という弱さを持った脆弱な生き物の在り方に反している。強い弱いの概念から逸脱しすぎている。些か以上にーーまともじゃない。

 

 

「折角ですし、この場をお借りして聞いておきたい事があるのですが、よろしいですか魔王陛下?」

「構わない。議題も滞ってしまったし、なにか意見があるのであれば言ってみてほしい。遠慮は入らない」

「では、お言葉に甘えてーーこの場に集っている皆さんは、カオス・ブリゲードとの戦いについて、どう定義なされているのでしょうか?

 あるいは、カオス・ブリゲードについてどうお考えなのですか?

 是非ともお伺いしておきたいのです。できますならお聞かせ願えませんか?」

「・・・?? 質問の意図がよく判らないのだが・・・それはこの場で考えなければいけない議題なのかね?」

「きわめて重要度の高い質問だと解釈していただいて結構ですよ。

 悪くすれば冥界ごと、アッサリ滅びます」

 

 大袈裟すぎる表現に失笑を浮かべるものも居たがセレニアは意に介する風もなく、平然と答えが返ってくるのを気長に待ち続けていた。

 

 やがて会談に出席している多数の名門悪魔たちが物知らずな子供にモノを教えてでもやるかのような態度と横柄な口調で言ってのける。

 

「カオス・ブリゲードは、三大勢力の異分子たちが集まって徒党を組んでいるだけの犯罪者集団だ。烏合の衆だよ。いくつかの拠点と頭目を務めているであろう何名かの大物を倒せば支柱を失って離散する、その程度の存在だ。

 我ら三大勢力が総力を結集できさえすれば、卵の殻でも割るように粉砕できるだろう。違うかね?」

「全然違います。そんなんじゃ、何の意味もありません。むしろ敵を利するだけです。

 と言うか、その様に粗雑で原始的な戦略構想でもってテロとの戦いに勝とうとしてたんですか貴方たちは?

 平和ボケした戦争童貞が本気で戦争し掛けてくる相手との戦いを主導するとか、マジで勘弁願いたいですね。国民と兵士の皆さんが気の毒すぎますから」

「な・・・っ!?」

 

 ザワッ・・・!!!

 

 先ほどとは違った意味合いで議場がザワツく。

 正直俺も、これは予想していなかっただけに行動を躊躇してしまう。

 

 ーーまさかこいつ、悪魔の名門お歴々に対して童貞呼ばわりするとは・・・! こりゃ最悪の場合、外交問題にもなりかねないぞ!

 

 サーゼクスを見やると俺と同じく焦ったような表情で議場を見渡しながら、行動を起こすそぶりはまるで見せていない。非常時にリアクションが遅れるのはこいつの悪い癖だ。決断を下すのが毎回遅すぎる!

 

 いつもなら並外れた自身の力で途中からでも強引に解決できるが、今回に限ってそれは不可能だ。人間の身体じゃ、悪魔の攻撃一発食らっただけで確実に死んでしまう!

 

 人間界に領土を持つリアス嬢の心情にも配慮した行動が求められる中で、まだしも冷静さを残していたらしい大柄な名門悪魔の一人が苛立ちを隠せない口調でセレニアに詰め寄り詰問する。

 

「・・・脆弱な人間の小娘風情が我々を、戦争の素人と呼ぶか。おもしろい。

 ならば貴様の見識を聞かせてもらおうではないか。

 むろん、侮辱を受けておきながら黙って放置するような我々ではない。大言壮語に相応しい内容を見せつけられなかった時はどうなるか分かってーー」

「武力は万能薬ではないのですよ? 内乱が発生したから鎮圧しよう、反乱が起きたから討伐しようでは、根本的に何の解決にも貢献できていません。

 戦争で勝ちたいのであれば、まず何でもかんでも力づくでブッ叩いて解決しようと言う脳筋思考を捨ててください。原始人ですか貴方は。筋肉だけで戦争に勝てるなら苦労はしませんよ。

 人間みたいに頭を使うのは苦手だから自慢の筋肉育てましたと大声で叫びたいのであれば、路上道端にしてください。自分から恥をさらす自由も、当然憲法は保証してくれておりますよ」

「・・・・・・」

 

 思いもかけぬ返しだった為か、思わず若手の悪魔が鼻白んで口ごもる。

 

 そんな小物のことなど端から眼中にないらしく、セレニアはまっすぐ俺たちを見つめ返すと、よく通る声で演説もどきを開始する

 

 

 

「あなた方はカオス・ブリゲードを三大勢力かあぶれた異分子たちが集まって徒党を組んでいるだけの烏合の衆と表現されましたが、それはあなた方三大勢力にも同じ事が言えます。

 先日のコカインさんの一件を見ても分かるとおり各勢力は決して一枚岩ではなく、また三大勢力による同盟も形式だけが先行しすぎていて実務面における諸々は仮のものに止まっている。

 先日まで種族の存亡を掛けて戦い、殺し合っていた相手と満足のいく終戦条約も締結しないまま済し崩し的に次の戦いへ、それも先日までの味方に刃を向けろと命じられて、はいそうですかと黙って従える兵士の方が少ないのは自明の理でしょう。

 対する敵側カオス・ブリゲードは、明確に敵意と殺意を剥き出しにしている。彼らに与したからには既に覚悟は済ませた後でしょう。かつての同胞だろうと友だろうと躊躇わずに切る覚悟をです。この時点であなた方三大勢力は、兵士の心理面で大きなハンディキャップを被ってるんですよ」

「・・・・・・」

「敵は恐らく、各勢力に忍び込ませてあるスリーパーを用いて少数部隊ごとに主力と分断、各個撃破するゲリラ戦術を基幹とした戦略を練ってくるものと私は予想します。

 個人技に優れながらも統一性を欠き、それぞれの能力に癖があり過ぎるが故にはみ出さざるを得なかった者たちが多数参加しているのであれば、それが一番効率的ですからね」

 

「通常の軍隊は部隊ごとに分かれて部隊長が直接指揮し、上からの上意下達によって組織の秩序と軍律を維持しますが、テロ組織であり法を犯す側である彼らにこれは必要ありません。

 力と恐怖で独裁的に支配するのも、皆の代表としてカリスマによって導くのも、呪いと脅しによって無理矢理に従わざるを得ない状況にしてしまうのも、彼ら個々人の自由であり裁量次第です。どれほど横暴に振る舞おうと、敵が目の前まで攻めて来ない限り、国の法律に裁かれる心配はないのですから」

 

「それからこれは直接戦闘に影響を与えるものではないのですが、戦後の復興問題に関してです。

 戦時中は軽視されがちな問題ですが実のところ、戦争を始める前の段階から何を置いても一番に考えなければいけないのは、実はこれなのです」

 

「たとえば敵の横暴な領主が治める土地を、領主を倒すことで解放したとします。当然、解放した軍は民間人に食料その他を供与しますよね?

 民間人は大喜びで解放軍を迎え入れて、魔王陛下万歳を叫ぶでしょう。暴虐な支配者から自分たちを解放してくれた名君として、皆が褒め讃えることでしょう」

 

「さて、ここで問題です。

 彼ら解放された民間人を養うお金と食料は誰が用意し、誰が提供すると思われます?

 答えはーーあなた方ですよ、名門出身の貴族の皆様方。貴方たちが身銭を切って解放された民間人たちを養わなければならなくなるのです。当然でしょう?

 ーーえ? なんで自分たち上級悪魔が下等な下級悪魔どもを食わせるために金を払わなきゃいかんのかって?

 解放地域の住人がカオス・ブリゲード側に与さない様にするためですよ。決まってるじゃないですか」

 

「暴虐な支配者が居なくなったからって、壊された家屋が元に戻ることはありません。戦闘で費消された水も食料も戻っては来ないのです。

 なのに自分たちを解放してくれたはずの魔王軍は、悪い領主様を倒してくれただけで自分たちには何の保証も与えてくれない。最初は与えてくれてても戦争が長期化して物がなくなり見栄を張る余裕まで無くなってくると、途端に支給される物資の質と量が悪化し始める。

 物流が滞りはじめ、必然的に経済状況は悪化の一途を辿ることになり、首都から遠い地域ほど配給は届きづらくなって、辺境部に至ってはほとんど野ざらし状態で放置される事態に陥ってしまう」

 

「そうなれば、どんなに下等と蔑まれている民衆たちでも気づくことでしょう。

 『自分たちは、魔王に見捨てられたのだ』と。

 戦争が長期化し続ければ確実にそうなるでしょうし、そうならざるをえません。

 そして飢えた民衆が行き着く先は、反動的なテロ行為です。

 政府要人を狙い、『自分たちを見捨てた悪い領主の同類』と口汚く罵りながら正義の刃であなた方を御家族諸共殺しに掛かってくる事でしょう。

 もう安全な家族旅行は戦争が終結するまで楽しめそうにありませんね。ご心労、お察ししますよ上級悪魔で支配者層の皆様方」

 

「ああ、言っておきますがグレモリー家とシトリー家がいかに豊かで広大な領地を有していたとしても、彼らの財力だけでは全く足りませんので御了承の程を。

 は? そんなバカなって、貴方こそなにバカ言ってんですか? 足りるわけ無いでしょうが、そんな端金だけで。

 戦争にはお金が掛かるのです。そりゃもう膨大に。時には勝ちを収めた後、国家財政の破綻を招いてしまうほどに。

 だから言ったでしょう? 戦後の復興問題こそ一番最初に考えておくべき問題ですよーーってね」

 

 

 

 

 

 

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

 ーー会談ルームが重い重い沈黙に包まれる。

 並んでいるどの顔にも生気がない。青ざめた表情でうつむいたり、窓の外に目を向けたり、高い天井を見上げたり、何事かをつぶやきながら両手の指を何度も組み替えている奴も居た。

 

 俺は似たような光景を人間界の映画で見たことがある。

 敗戦が間近に迫った国家の首脳陣が一堂に会し、対策会議とは名ばかりの沈黙に包まれた無駄な時間を費やすシーンだ。そのとき見た光景と今目の前で実在している光景がすべて重なり、現実なのに非現実感あふれる悲壮な空気を醸し出していた。

 

 そして俺もサーゼクスも、今ようやく分かった。正しく理解した。

 こいつらは誰一人として、戦争を主導して敵と戦い国家と国民を守ると言う支配者の責任について真剣に考えたことなど、ただの一度としてなかったのだと言う動かしがたい事実を。

 

 ただ甘い汁を吸いたい。支配者としての特権だけを得たい。責任を取りたくはないが責任ある役職には就きたい。権限は欲しいが地位に伴う責任は負いたくない。

 

 誰もがそうなのだ。サーゼクスが見いだした下級悪魔出身の若手にしても、戦争の脅威について知った途端逃げ腰になっちまいやがった。あれじゃ物の役には立ちそうにねぇなぁ。

 

 

(こりゃあ・・・・・・道を誤っちまったかもな・・・)

 

 俺は終始無言無表情を貫き通しながら、内心で忸怩たる思いに捕らわれていた。

 あんまりにもイッセーたちが眩しすぎて見てこなかったが、これが今の悪魔社会における支配者層の実体だ。上級悪魔の家に生まれたからと言う、ただそれだけの理由で特権と地位を欲しいままにしてきた連中の化けの皮が剥がれた姿だ。

 

 魔王様とともに新しい冥界を築いていきます等とほざいていた、若きインテリたちの醜悪きわまる無様な本性だ。

 

(こうなってむしろ幸いだったのかもしれんな。敵と戦ってる最中にこいつ等がこうなっていたら、イッセーたちばかりか俺たちだってヤバかったかもしれん。

 戦う前に切り捨てるべき人材を発見できただけでも良しとしておくか)

 

 俺が心の中で前向きな結論を出した頃、俺よりも更に前向きな意見が議場に投じられていた。

 

「ーーカオス・ブリゲードもよろしいのですが、私としては近日中に開かれるレーディングゲームの方が気になりますな。

 私見ながら私としましては、リアス様を応援させていただこうと思っております」

「ーーおお、そう言えばそうでしたな。私としたことがウッカリしておりましたよ。

 いやはや歳をとると物忘れが激しくなるものでして・・・」

「ハハハ、これは然り。貴公は未だ200歳にも達していないではありませんか。

 まだまだご壮健のまま、後三百年間は冥界の秩序維持に貢献していただかなくては成りません。軽々しく歳などを言い訳に使っていただいては困りますぞ?」

「おや、これは失言を。かたじけない事です。

 ーーさて、私としましても今回のレーディングゲームには並々ならぬ期待と関心を寄せておりまして。なにしろ、ここ十数年もの間トップ十名に変化が無かったものですから。

 これでおもしろいゲームが拝めそうで安心しておりますよ」

 

 

 誰か一人が言い出した言葉に、その他にいる全員が追従する。

 それによって自然と議題の内容は間近に迫った戦争への現実的対処策から、もうすぐ開かれる予定のリアスとソーナ・シトリーによるレーディングゲームへと移り、そのまま完全に忘れ去ったフリを貫徹されてしまう。

 

 

 目前に迫った戦争への恐怖を、戦争とはどう言うものかを語ってくれた人間の少女によって呼び起こされた本格的な戦争を知らない世代の大人たちによって無かったことにされてしまう。

 

 あまりにも余りな光景に俺たち数名は声もなく、セレニアに至っては当然の結果だとでも言いたげな普通の仕草でメイドの一人に、長広舌を振っている間に冷めてしまった紅茶のお代わりを求めていた。

 

 

 

 果てしてこれでカオス・ブリゲードに勝てるのか?

 仮に勝ったとして、その後にくるのは本当にサーゼクスの望んでいる未来なのか?

 イッセーたちが幸せに暮らしていける世界なのか?

 

 

 疑問の霧は晴れず、光明が差し込む兆しはない。

 

 冥界を包む無色の濃霧は、どこまでも重く悪魔たち全員の背中にのし掛かかっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ・・・・・・我が眼を持ってしても見通せぬ『混沌の渦』か。凄まじく興味を引かれるな。どれ、明日にでもさっそく・・・」

「やめてください、オーディン様。あんな小さい子にセクハラなんて・・・可哀想です」

「・・・・・・ロスヴァイセ・・・・・・お主いったい、わしをどのような眼で・・・・・・」

 

 

「あ、これ美味しい。もう一杯ください。

 もしあるのでしたら、アルーシャ葉のティーバックで淹れたのをお願いしたいです」

「その様な銘柄は御座いませんし、聞いたこと自体ありません」

「ですよねー・・・(ちょっとだけガッカリ。同じフィクションだから有るかもと思ってた)」

 

つづく


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