堕天使に愛された言霊少女   作:ひきがやもとまち

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書き直しました。原作崩壊系の完全なギャグ回です。
やっぱり以前の頭で考えて作って書いた物より、こう言った思いついた時に思いついた内容を書いた方が私は楽ですね。
ただ思い付きで書いてるぶん誤字脱字が多いのはご勘弁を。かなり間違えてると思いますからご了承のうえでお読みください。


12話「戦闘に武力介入して、戦争を始めます!」

「ーー陛下、セレニア陛下。宜しいですか?」

「・・・んぁ?」

 

 ーーいけません。退屈のあまり居眠りしていた所に声をかけられたせいで、変な声を出してしまいました。・・・ちょっと恥ずかしい・・・。

 

「どうしました紫藤さん。パーティーはまだ・・・終わっていないみたいですね」

「はい。先ほど魔王が来賓として北欧神オーディンを紹介し始めましたばかりであります。それと赤龍帝と魔王妹がパーティー会場を離脱して周囲の森へと向かいました。どうやら塔城小猫と接触していた黒歌殿との間で交戦を開始したようです」

「・・・はぁ。なるほど・・・」

 

 ダメですね、寝起きで頭が働かない。

 パーティーは魔王陛下主催で行われている盛大なものでしたが、想像していたものとは違ってカオスブリゲードとの全面戦争を前にしての士気高揚パーティーではなく、本当にただ名門若手悪魔たち同士を顔合わせさせるためだけのモノだったようで、部外者の私は心の底から退屈させられていました。

 

「・・・それで? 別段その程度のことを報告してくる貴女ではないでしょう?

 端的にお聞きします。ーーなにをお望みなのですか?」

「戦争を」

 

 良い感じの笑顔で言い切った紫藤さんの顔を見つめ、私は反射的に「ダメ」と言いそうになったのをギリギリで堪えて咳で誤魔化し、彼女に詳しい説明を求めました。

 

「この場にも招かれざる客人が向かっているのは察知していますが、この程度の輩は天野元帥閣下お一人だけで対処可能です。であればこの場に後必要なのは陛下の護衛役を務めるゼノヴィアだけでも充分。

 私にも愉快で愉しい戦場を与えては頂けませんでしょか?」

「・・・・・・」

 

 私は相手の顔を見つめ、沈黙で返しました。

 本心を言えば否と即答したいのですが、そう言う訳にはいかない理由が私たちにはあります。

 それはーー私が税金で養われている皇帝という名の無駄飯ぐらいだという事。

 

 本来であれば国家主権者はそれなり以上に忙しく、国務で多忙を極めているべき責任ある立場のはずなのですが混沌帝国ではさにあらず、むしろ完全な御輿状態です。傀儡ですらない、崇め奉られて本心から祈られてるだけの神像。御輿より質悪い気がしてきましたね・・・。

 

 逆に彼女たち帝国軍三長官は、高位の地位にあるだけあって高額納税者。税金免除で贅沢な暮らしをさせてもらっている身としては強く出られる相手では絶対にありません。門閥貴族の暮らしは私にとって拷問なのです。自由が減るのです。誰かタステケ・・・。

 

「・・・死人は出さないよう気を付けてくださいね?」

「お任せください。必ずやセレニア様から拝命した任務を完遂してご覧に入れます。

 どうか心安らかに、吉報をお待ち頂きたい」

 

 ーー任せられないし心安らかになんて絶対無理な返答をして紫藤さんはパーティー会場をお後にしました。見送ることしかできない私は、肩身の狭い居候の気分を満喫中です。

 

 こうなればせめて祈りだけでも天に捧げましょう。どうか兵藤さんとグレモリーさんが生きて帰ってこれますように・・・と。

 

「おお、流石ですセレニア様! まさか天体望遠鏡もなしに、天に浮かぶ新たなる空中要塞「天の城(ウラニボルグ)」の位置を正確に割り出して祈りを捧げられるとは!」

「これぞ奇跡。いえ、人の御業と言うものですよゼノヴィア。

 きっと陛下の戦争を愛する想いが天に届いた故でしょう。すべては祖国と勝利のために。

 プロージット、『戦争に乾杯』」

「プロージット、『戦争に乾杯』」

 

 ーーどう言うわけか家臣に理解されない忠誠の対象(私です)である混沌帝国皇帝の許可をもぎ取ると、混沌帝国第四独立武装親衛旅団の指揮官、紫藤イリナ大将は出撃してしまいました。

 

 またしても世界(原作)は、歪みを加速させたのですーー。

 

 

 

 

 

 

「ブーステッド・ギア!」

 

 俺は左腕に赤い籠手を出現させるがーーいつもの音が聞こえてこない!?

 見れば宝玉に赤い光が灯っておらず、薄黒くなっていた! なんだこれ!?

 

『・・・相棒、セイクリッド・ギアが動かん。どうやら曖昧な状態になっているみたいだ』

 

 曖昧って! 何がどうしてそうなった?

 

『あの修行で次の分岐点に立ち、嬢ちゃんの手伝いだか処刑だかでセイクリッド・ギアが変わるところまでは漕ぎ着けている。

 だが、あれは所詮火事場の馬鹿力だ。糞度胸を見せつけないと確実に死んでいたから出来ただけで、今のが単なるパワーアップに過ぎないのか、それともバランス・ブレイカーなのか今一判然としない』

 

 俺のセイクリッド・ギアが普通にパワーアップをしたいのか、バランスブレイカーに成るかで迷ってるってことか?

 

『簡単に言うならその通りだ。あまりにも急激に選択肢が増やされたせいでブーステッド・ギアのシステム自体が混乱しているのだ。・・・まぁ、目の前でいきなり水素爆弾落とされたら誰だって混乱するだろうしな』

 

 ・・・うん、まぁそれには同感するけど今はそれどころじゃない。小猫ちゃんと部長の命が掛かっているんだ。迷ってる場合じゃない。

 

「ーー部長。俺、自分に何が足りなくてバランス・ブレイカーに至れないのか、少し分かった気がします。俺がバランス・ブレイカーに至るには部長の力が必要です。

 だからーーおっぱいをつつかせてください!」

「ーーッ! ・・・わかったわ。それであなたの想いが成就できるのなら・・・」

 

 

 

 途中経過は無用なので省略します。

 

 

 

『至ったッ! 本当に至りやがったぞォッ!

 ウェルシュドラゴンブレイカー!!!!!!』

 

 宝玉に光が戻り、今までにない質量の赤い膨大なオーラを解き放ち始めた! そのオーラは俺の全身を包み込んでいく!

 

「ヒャハハハハハハハ! こりゃおもしろいや! ドラゴンの親玉が二匹も!

 これを楽しまなきゃ嘘ってもんだぜぃ!」

 

 如意棒をくるくる回して美候が戦闘継続の意志を見せる。

 こいつもヴァーリ同様の戦闘好きか! 本当、どうして俺の敵ってこういうのばかりなんだ? もっと戦い以外に楽しいことあるだろうよ。女の子にモテたいとか思わないのか?

 価値観が違うから俺にはこいつらの考えがひとつもわからねぇ!

 

 

 

 

 

 

「ーーだったら・・・・・・戦争するっきゃないでしょうが!」

 

 

 

 

 

「ぐへはぁっ!?」

「イッセー!?」

「イッセー先輩!?」

『相棒!?』

「赤龍帝!?」

「にゃに!? にゃにがおこったの!?」

 

 横合いから跳び蹴り食らって吹き飛び俺に部長と小猫ちゃん、それにドライグと・・・なぜだか美候と小猫ちゃんのお姉さんまで心配そうな声を上げてくれた。俺たちは案外、わかりあえる可能性があるかもしれない。

 

「ーーって、誰だよ! 俺がせっかくバランス・ブレイカーに至ってこれから活躍しようとしてたのを邪魔した奴は誰だー!」

「私は私だーーーーっ!!」

「!? い、イリナ!? どうしてお前がここに居んの!?」

 

 なんと驚いたことに横やり入れ跳び蹴りかましてきたのは、俺の幼馴染みの少女、紫藤イリナだった。・・・つーか、本当に何でこいつが邪魔しに来てるんだ!? え? 俺なにかしちゃいましたっけ? さっぱり分からん!

 

 価値観がどうのこうのというレベルじゃなくて、こいつらセレニア一派だけは死んでも分かりあえないし分かりたくない! なんかそんな気がするんだ!本能的に!

 

「価値観が違うから、分かり合えないから戦うしかない・・・面白い! 面白いねぇウェルシュなんちゃら! とっても私好みな良い思想よ!素敵!濡れる!感じちゃ~う!」

「キモッ!」

 

 幼馴染みの変貌ぶりに、思わず俺もドン引きしちゃう。

 なに、この子怖キモい・・・。なに言ってるのか全然分からない・・・。

 

 見ると、さっきまで戦っていた美候たちまで唖然とした表情のままイリナを見つめてポカンとしている。・・・やっぱり俺たち気が合うかもな。機会があったら俺お勧めのエロゲを貸してやるとしよう。 

 

「戦争には、ご大層な理屈も思想もお題目さえ必要ないわ! だって要らないんだもの!

 戦いは戦いよ。それ以上でも、それ以下でもない。

 死ぬか、死なせるか。

 殺すか、殺されるか。

 ただそれだけのシンプルで分かりやすい答えでしょうが!

 さぁ、戦争しましょう! あなたたちの力もそのために与えられたモノなんでしょう!?

 だったら戦争よ戦争! 殺したり殺されたりしましょう! 死んだり死なされたりしましょう!

 互いが互いを否定しあって殺し合う戦場と言う名の地獄でしか私は生きられない、地獄にしか行きたくない。

 前線豚同士、始めましょう。戦争を!」

 

 

 

 

「「「『キッモ! マジでキッモ!!』」」」

 

 

 

 思わず敵味方入り乱れて全員総出でキモがってしまった。それぐっらい気持ち悪い価値観だったんだから仕方がない。

 向こうではヴァーリ同様に戦闘好きなはずの美候が「おえぇぇぇっ・・・は、吐き気が止まらねぇ・・・」と喘いでおり、隣の色っぽい格好したお姉さん黒歌さんに「大丈夫にゃん? 美候、しっかりするにゃん」と優しく介抱されていた。・・・羨ましい。

 

「「じー・・・」」

「・・・うっ! ち、違いますからね部長と小猫ちゃん! これはあくまで男としての生理現象でって、決して邪な欲情とは違くて一線を画した崇高な思想に基づいた脳内置換がですね・・・!」

「ふーんだ、どうだか。イッセーのことだから、どうせオッパイが大きければ誰にでも欲情するんでしょう? 私だって男の人の身体的特徴くらい知ってるんだから」

「部長ーーーーっ!!」

「! 先輩! 危ないです!」

「え? なにが危ないって小猫ちゃーーふげほぁっ!?」

「「イッセー!?(先輩!?)」」

「戦場で余所見してると、死んじゃうよーーっ!」

 

 げほっごほっ・・・ちくしょう! お約束の仲間内会話すらさせてくれないのかよ! どんだけガチなんだこいつらは!

 

「仕方ねぇ。ぶっつけ本番だがバランス・ブレイカーの力を試してやるぜ!

 ブース・・・」

「遅いっ!」

「ほげぇっ!?」

 

 またまた跳び蹴りで吹っ飛ぶ俺。

 え? うそ、この子本当に待ってくれないの!? 俺のブーステッド・ギア、持ち主の力を倍加するタイプの一撃必殺一発逆転狙い、いかにもなヒーローが使ってるピンチからの大脱出用なんで、あちらこちらを縦横無尽に動き回って死角からの一撃離脱に専念されちゃうとなんも出来ないんですけど!?

 

「おいドライグ! こういう時にはどう戦うか、戦いの歴史に詳しいお前からアドバイスを!」

『・・・すまん相棒。こういうガチで戦争してる奴の戦いって、殺し合いでしかないから見てこなかった』

「こんの役立たずドラゴンがぁぁぁぁぁっ!!!」

『し、仕方ねぇだろうが! 俺を宿すような奴は例外なく強い! 一人でも正々堂々真っ向勝負が挑めて勝てるような奴に戦場のリアリズムなんか分からんて! 無理だって!

 人類の近代史戦争の悲惨さ舐めんな! あんなモン、百年戦争が子供の遊びと思えるくらいだ! 悲惨すぎて見ていられるか!』

「知るかボケェッ! なんとかしろぉ! って言うより、なんとかして下さいお願いしますドライグさん! こいつ俺と相性悪すぎぃぃぃっ!!!!」

『俺とだって相性最悪すぎるわボケぇっ!

 とにかく逃げろ! 逃げて逃げて逃げまくれ!

 要は死なずに逃げ延びられりゃあ、敗けじゃねぇ!』

「それ、ヒーローの戦い方でも、伝説のドラゴンの言うことでもないんだけど!?」

「そらそらそら! 行くぞ宇宙CQC百式!

 精神感応型無線誘導式機動鉤爪砲台『ファング』!

 ネトゲで知り合った仲間から教わった近接格闘術のお味はどうおぉ~?」

「近接でも格闘でもない! あと、出来れば近接格闘戦してください! 近づかないと俺、戦えませんから!」

「私が宇宙CQCだと思うものが私の宇宙CQCだオラぁ!

 他人の同意なんて戦時中には要らーんっ!」

「おがあぢゃーーーーっん!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、置いてけぼりにされた塔城小猫は黒歌によって一度は連れて行かれましたが翌日には戻されてきました。

 シトリー一派とのレーディングゲームが近かったお陰もあり、俺の醜態は誰の目にも触れることなく魔王様の権力によって闇に葬られ、俺はおっぱい丸出しのまま放置して逃げ帰ってしまった為に部長にきつーくお仕置きされ、イリナたちは何事もなかったかのように朝食談義に花を咲かせています。

 

「・・・・・・納得いかない・・・・・・」

 

 ぴしっ!

 

「なにか言ったイッセー? いえ、下僕1号。椅子が言葉を発しちゃだめじゃないの。

 私の綺麗で形のいいお尻に敷かれる光栄さを味わいながら、グレモリー家の娘に恥をかかせたことを後悔しなさい」

「・・・・・・はい・・・・・・海より深く反省させていただきます・・・・・・」

 

 ああ、クソぅ! なんか主人公っぽくないな俺! でもリアス部長のお尻の感触が背中に当たって気持ちよすぎるなこれ!

 

 

 ーー下僕悪魔辞めて、魔王陛下の妹の椅子として生きていくのも悪くはないと思った今日この頃の明け方頃でした。

 

 

 

 

原作主人公が変な性癖に目覚めたところで続く


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