やはり俺がポケモントレーナーになるのは間違っている。 作:トロイア
一色いろはを生徒会長にした負い目でクリスマスイベントを単独で手伝うことを決めた俺だったが海浜総合高校と実際一緒にクリスマスイベントで何をやるか会議をしたところ覚えたばかりの言葉を使った会議の真似事だとわかりなんとかしようと動いたが全て否定されてしまった。自分一人では何も出来ないと思った俺は奉仕部の部室に行き雪ノ下と由比ヶ浜に一色いろはから独断で俺が受けた依頼を2人に対して依頼をした。その際に後々悶絶したくなるような事が起きたがそれは省略する。なんとか2人に依頼を受けてもらう事が出来た俺はもう1度海浜総合高校と会議をした。話はなんとか纏まり本番を向かえる事が出来、一色いろはの依頼を達成することが出来た俺は、翌日の放課後平塚先生に呼び出しをくらい遅れて奉仕部の部室に来たのだが…。
「誰もいないってのはどうゆう事なんだ?」
いつもなら雪ノ下と由比ヶ浜がいるはずの部室には誰もいなかったのだ。部室の鍵が空いている以上は雪ノ下が部室を1度開けたことは確かなので依頼があって何処かに行っているのだと思い部室の中に入って椅子に座り小説を読むことにした。
ガラッ。
俺が部室に来て間も無く雪ノ下と由比ヶ浜が部室に戻ってきた。
「あ!ヒッキー来るの遅いし!」
「平塚先生に呼ばれていたんだよ。そっちは何してたんだ?」
「ふふふ。じゃーん!」
由比ヶ浜はデコり過ぎじゃないかとツッコミたいくらいデコってある携帯の画面を俺に向かって見せてくる。
「・・・で?」
「いやいやその反応はおかしいでしょ!ヒッキー今話題のポケモンGO知らないの!?」
「いや知ってるけどやってないな。携帯の容量食われるし」
「もう!ユキノンと同じこと言ってるし!」
「その男と同じ扱いはやめてくれるかしら由比ヶ浜さん?それに私も始めたのだしもう違うわ」
「へえ。珍しいな、雪ノ下がゲームだなんて」
「由比ヶ浜さんが無理矢理ダウンロードしたのよ」
「えー。でもユキノン、ポケモン捕まえる時楽しそうだったよ!」
「つまりポケモンGOをしに行っていたと?」
「うん!そう」
「そうだけれど」
「・・・そうですか」
「あ!そうだヒッキーもやろうよ!」
「いや、だからやらないって容量勿体無いだろうが」
「えー。でもユキノンとポケモン探すために今度の日曜日に出掛けようって話になってるしヒッキーも行こうよ!」
「いや。それこそお前ら2人で行けよ、俺は忙しい」
「どうせプリキュア見てるだけでしょ!」
くそ何故バレた。由比ヶ浜恐ろしい子!
トントンと扉をノックする音が聞こえて誰かが入ってくる。
「お邪魔します♪」
「あ!いろはちゃん。どうしたの?」
「実はですね、今度の生徒会主催のイベントなんですけど〜今ポケモンGOって流行ってるじゃないですか?」
「うん!あたしもやってるよ!」
「そこでなんですけど〜全校生徒によるポケモンゲット収穫祭なんてものをやろうと思いまして〜」
「でも、いろはちゃん。このゲームって捕まえるくらいしかないよ?ジム戦はレベル5以上にならないと挑めないしどうするの?」
「だからこそですよ!時間内に何体のポケモンをGET出来るかを争うんです!」
「へえ。なんか面白そうだね!」
「結衣先輩なら分かってくれると思いました♪」
「でも先生達から受理されないだろ?」
「そうなんですよ〜携帯を使うのは駄目だって言われちゃいました」
それはそうだろう。学校はあくまでも勉強をするところだ、それにうちは仮にも進学高いくら生徒会の提案でも授業時間を使って携帯ゲームをするなんて認めるはずがない。
「てか教師はポケモンGOを知ってるのか?」
「あ!それは問題ないですよ。さっきここに来る前に平塚先生を見かけたんですけど、しゃー!見たか私の華麗なるテクを!ポケモンなんざすぐに制覇してやる!ははは…はあ男もこれだけ簡単に捕まえられることが出来れば…て言ってたので♪」
もう本当になにやってるんだよ…もう誰かもらってやれよ、じゃないと俺がもらっちゃうから。
「あ、ははは。そうなんだ」
「はあ…何をやっているのかしら」
「そこで!先輩達には教師の説得を手伝って欲しいんです!」
「あまりに無謀な気がするが」
「あ、あと先輩もポケモンGOダウンロードしてくださいね?」
「え?何で?」
「当たり前じゃないですか〜中心で動いてもらうんですから〜」
「いや、まだ依頼を受けるとは決まって…」
今まで気が付かなかったが由比ヶ浜が雪ノ下にお願いユキノンと連呼していた。俺は知っていた、雪ノ下は由比ヶ浜に甘いことを。
「・・・分かったわ」
「わーい♪ありがとうユキノン」
由比ヶ浜が雪ノ下に抱きついているどうやら依頼を受ける事になりそうだと俺は諦めてポケモンGOをダウンロードするのだった。
俺がポケモンGOをダウンロードして1番最初に捕まえたのはピカチュウだった。本当はヒトカゲ。ゼニガメ。フシギダネのどれからしいが何故かピカチュウしかおらず捕まえたのだ。
「ちょ!なんでピカチュウなんてレアなポケモン持ってるんですか!」
「え!ヒッキー、どこで捕まえたの!?」
「ここだけど?」
一色と由比ヶ浜は慌てて携帯を取り出して辺りをというか俺に近ずいてくる。なんでもポケモンGOはGPS機能を使っているのでポケモンの出現場所はある程度同じらしい。それにしても…先程から一色の女の子特有の匂いと由比ヶ浜の柔らかいものが俺の肩に当たって色々限界だった。
「はあ、いませんね」
「だねー。でも最初からピカチュウなんてね」
「ていうか何で先輩のだけピカチュウ大量にいるんですか!てかピカチュウしか先程から出てませんけどおかしくないですか!?先輩なんてズバットがお似合いですよ!」
ズバットがどんなポケモンかは知らないが馬鹿にされている事だけは分かった。
その後、一色に「ではでは〜ヨロシクです♪」と言われ部活の時間も終わったので帰ることになった。
家に着くと小町が夜ご飯を作っておいてくれた。
「いつもすまないね〜」
「お兄ちゃん、それは言わない約束だよ〜」
「なあ、小町」
「ん?」
「ポケモンGOってやってるか?」
「そりゃやってるけど、どしたのお兄ちゃん?」
「いや。少し気になってな」
「ふーん」
俺はご飯を食べ終えると風呂に入ってベットの中に潜り込んだ。何故かは分からないがとても眠かったのだ、目を閉じる前に携帯を開き今日捕まえたピカチュウを見た。そしてそのまま眠りにつくのだった。
夢を見た。これが夢だと分かってしまうような夢。何もない殺風景のところに俺はいた、辺りを見回しても誰もいない。ふと体が痺れた気がしたので下を見るとピカチュウがいた。目が合ったとき俺の意識は離れて目が覚めた。
知らない天井だった。
「ここは……」
全く見に覚えのない部屋に困惑していると誰かが部屋に入って来た。
「こら。八幡さんいつまで寝てるの?早くご飯食べてオーキド博士のところに行きなさい!」
「・・・オーキド博士?」
「まだ寝ぼけているの?あなた昨日ようやくポケモントレーナーになるって言ってたじゃないの」
「は?え?・・・」
え?どういう状態なのこれ?
「ほら早く支度しなさい」
「あの…あなたはどなたですか?」
「ほほう。つまりポケモントレーナーになるのがまた嫌になって引きこもりに戻る…と?」
「いやあの…え?」
すごく嫌な予感しかしない…。
「まあいいわ。私はお母さんですから躾をすればいいことだし」
「は?・・・はああああああ!?」
「出て来なさい。サンダース」
俺の母親と名乗った女性は赤いボールを投げたかと思ったらそのボールから黄色い猫みたいなのが出てきた。
「シャー」
だが鳴き声はにゃーではなくシャーだった。
「サンダース、でんじは!」
「シャー!」
サンダースから何やら電流みたいなのが出たと思ったら俺は部屋の冷たいフローリングの上に倒れていた。特に痛みは無いが体が痺れて全く動かなかった。
「それで八幡さん?お母さんに言うことは?」
鬼ババア?うん。殺されるな。
「すいませんでした…」
「よろしい。それじゃ早くご飯食べにいらっしゃい」
と言われても体が痺れて全く動かない。
「あの…体が痺れて動くことが出来ないんですけど」
「・・・ファイト!それじゃ!」
母親は逃げ出した。
「え?え…………」
それから10分程で体の痺れは無くなり現状を考える。
見たことのない母親。見たことのない生き物。そして攻撃。
俺の頭の中で一つだけ繋がることがあった。
「ポケモンGO…まさか携帯ゲームだしな、でも全く関係無いとも言えないな」
自分が寝ていた部屋の中を探したが携帯は勿論財布も俺の荷物は何も無かった。
「この世界で生きて行くしかないのか?」
その時俺の頭に出て来たのは、妹である小町。そして由比ヶ浜と雪ノ下と一色がいる奉仕部だった。一色は奉仕部員ではないが入り浸り過ぎて殆ど奉仕部の一員になっているのだ。
「一色は依頼を解決するんじゃなくて問題という依頼を持ってくるのにな…」
俺はあの場所に帰る方法を探そうと心に誓うのだった。
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