東方後日譚   作:ガンアーク弐式

1 / 2
注意事項

東方の二次創作です
以下の要素が苦手な方はすぐに戻ってください

オリキャラが登場し、メインになることがあります
独自解釈があります
原作から改変した箇所が所々あります
残酷描写や残酷な展開が時々でてきます


第0章 後日談開始
後日譚の始まり


 妖怪や神等の存在と少数の人間が住む世界である幻想郷に春の訪れを告げる春告げ精の声が響く三月の初めのある日の深夜、幻想郷で人間がもっとも多く住んでいる人里と外を区切る門の前に一台のトラックが止まっていた。トラックは宅配業者が使うような大型の物で、荷台にはカラスのマークが描かれている。

 いずれにしろ、その機械がほとんど存在しない幻想郷では異物であるトラックの運転席に、ツナギを来た男が不機嫌そうに雑誌を読んでいた。

 

「約束の時間をとうに過ぎているぞ。まだ、寝ているんじゃないのか?」

 男は吐き捨てるように言うと右手に付けた腕時計を見ると時計の針は午前六時を指していた。それを見て、トラックを降りるとトラックの周囲を歩き、人がいないかを確認し始めた。

 幸いにも周りに誰もいないことを確認すると男は再びトラックに乗り込んだ。

 

「人里の住人や妖怪達がトラックを見つけられるといろいろと面倒だから、早く来て欲しいんだがな。特に、今回は時間厳守と言っておいたはずなんだがな」

「ごめんなさい、ちょっと遅くなったわ」

「!?」

 

 突然、誰もいないはずの助手席から女性の声が聞こえ、驚いた男はとっさに助手席の方を振り向いた。ついさっきまで、誰も座っていなかった助手席に紫色のワンピースをきた妙齢の女性が座っているのが男の目に映った。彼は、彼女が自分の取引相手だと分かると溜めていた苛立ちを放出するように怒気を込めて言い放つ。

 

「八雲、今回は時間厳守だと言っておいたはずだぞ!!」

「だって、冬眠から覚めたばかり時に言わないでよ。それにこんな遅くに取引だなんて、私にとって拷問よ」

「今回の品物は裏の見張りにバレたら、ヤバイ代物なんだぞ。奴らにばれずにここまで輸送するのに、どれだけ苦労したか……分かっているのか!?」

 

 八雲と呼んだ女性の態度に、男は我慢できずに、声を張り上げた。

 外で仕入れてきた様々な物を幻想郷に運んでた。そのほとんどが幻想郷では自給できない海産物や塩、稀に外の世界の道具や酒等を運んでくる際、彼女は彼の取引をする際の常連なので、取引時間に遅れる事が多いのは知っていた。

 だが、彼が運んできた物は、本来彼が取り扱っていい物ではなく、露呈すると非常にまずい事になるから、彼は怒ったのだ。

 

「分かっているわよ。荷物を確認するわよ」

 

 八雲は怒っている彼の言葉を聞き流しつつ、白魚のようなきれいな指を突き出した。彼女の前に両端がリボンが結ばれた不気味な裂け目が現れ、彼女は。紫一色の空間に無数の目玉が蠢くそれは見た者すべてを発狂させようとしているかのようだった。それを間近で見た男は、すぐに顔をそむけた。いくら裏の世界との取引も取り扱っているとはいえ、男は特殊な力をもっていない<ただの人間>であり、彼女が作る裂け目を直視できなかった。 だが、普通の人間なら退こうとする不気味な裂け目の中に彼女は入っていった。

 勘弁してくれよと男がぼやくとすぐに裂け目から八雲の顔を出した。

 

「注文通りの品よ、ご苦労様。お代は明日、藍に振り込ませるわ」

「了解、荷物はここで降ろしてもかまわないか?」

「ええ、お願いするわ。受け入れ用のスキマは開けておいたから」

 

 男の問いかけに、八雲は了承する裂け目の中に顔を引っ込めるとそれと同時に男は運転席から降り、トラックの後ろへ移動すると先ほど見た物と同じ裂け目はトラックのすぐ側に出来ていた。

 男はそれを見るとトラックの後ろにある荷台のドアを開いた。荷台の中には、大人ぐらいの大きさのコンテナが三個ほど入っており、男が荷台の扉が開くと同時に、中のコンテナが一人で浮き上がり、次々と裂け目に入っていく。他人からすると運んでいる透明人間がコンテナが運んでいるように見える。

 

 すべてのコンテナが裂け目の中に入ったのを確認すると男は荷台のドアを閉め、トラックに乗り込むとすぐにエンジンをかけ、アクセルを踏んだ。

 トラックのライトが勝手につき、軽快なエンジン音を残して、闇の中へと消えていった。

 

 

 

 

 

 

  幻想郷の最東端に位置する丘にある一つの神社がある。外の世界と幻想郷を隔てる結界、博麗結界の管理者である博麗の巫女が住む博麗神社である 博麗の巫女は 結界の保持と管理をしながら、妖怪退治や異変解決をしているために、人間から信頼も厚い。 通常なら参拝客が多くてもおかしくないのだが、神社が妖怪の溜まり場と化しているために人間の参拝者は少ない。人里、性格には人里の住人が妖怪を異常な程に恐れているのが理由なのだが、彼女はそれを理解していない。 そんな博麗神社の縁側で白いフサフサの毛が生え、顔がついた球体がフワフワと浮いていた。

 その隣に脇が丸出しの巫女服を着た少女、博麗の巫女こと博麗霊夢がお茶を飲みながら、つまらなさそうに見ていた。

 珍妙な毛玉は満足げに小さく呟く。

 

「今年度は異変もなく、平和に終わったな」

「そうね、これで参拝客が来ればもっといいのに」

 

 巫女は投げやりに言うと湯飲みに入ったお茶をすする。

 

「それは、あんたの努力が足らないせいだろう」

「妖怪ばかりがよってくるのよ。しかも、妖怪はお賽銭をくれないし、人間を呼び込もうとしても失敗ばかりだし……あら?」

「ほいほい、分かったから……お!?」

 

 霊夢の愚痴を毛玉は、聞き流すと縁側から見える森の方からなにかがこっちに向かって飛んできたことに気が付いた。

 毛玉がよく見ているとそれは、箒にレトロな魔女装束に身を包んだ少女だった。手には大きな袋を持っており、毛玉がよく知っている人物だった。

 箒に乗った少女は、二人がいる縁側の前まで近づくと箒から降り、縁側の二人(性格には一人と一つ)に元気よく声をかけた。

 

「霊夢、遊びに来たぜ。お、ウィルもいっしょか、ちょうどいいぜ」

「あら、魔理沙じゃない。今日はどうしたの?」

「なんか、面白い物でもみつけたのか?」

 

 霊夢とウィルと呼ばれた毛玉の質問に、魔理沙とよばれた少女は興奮ぎみに言った。

 

 「ああ、昨日の夜、森でこれを拾ってな。ウィルにみてもらいたいだよ」

 

 魔理沙はそういうと持っていた袋の中から一丁の拳銃を取り出すと二人にそれを見せた。

 魔理沙が取り出した拳銃は、一言で表すなら土にまみれた鈍色の大きな拳銃であった。

 長く重厚な銃身と大きな銃口が威力の強さをアピールしているかのように見え、引き金の上部にある筒型の弾倉もその銃口を合わせた弾丸を入れるために大きく、そして太かった。

 もはや、拳銃というよりも拳銃サイズの大砲のような大きな銃だった

 霊夢とウィルはそれを見て、驚きを隠せなかった。特にウィルは死んだ家族と対面したかのように、それを凝視した。

 

「これ……もしかして、あいつの銃?」

「霊夢もそう思うか? 私もオーランドの物じゃないかと思ってさ。オーランドの事を一番知っているウィルにみてもらったんだが、どう思う?」

 

 魔理沙の問いかけにウィルは、ハッと正気に戻るとこう答えた

 

「確かに、相棒の銃にそっくりだが、ちょっと貸してくれ」

「いいぜ」

 

 魔理沙は言うとおりに、拳銃をウィルに渡すとウィルは、身体の右側面から半透明の腕を出して、拳銃を受け取ると部撃鉄の前についているレバーを後ろ引き、弾倉を横に引き出す。弾倉には、弾丸を装填するために五つの穴が開いており、弾丸は入っていなかった

 それを見て、ウィルはため息をついた。

 

「これは相棒の銃じゃない。相棒の銃は弾倉に赤と金のラインが入っているがこれは何の飾りもついていない。それにグリップに焼き印が入っていない。よく似ているが、あいつの銃じゃない」

「そうか……それは残念だな」

 

 ウィルは残念そうにいうと持っていた拳銃を魔理沙に返した。

 

「そう都合良く、あいつが戻ってくる訳がないじゃないの……あら、スキマ?」

 

 その時、三人の後ろで両端をリボンで結んだ裂け目が開いた事に霊夢は気づき、声を上げた。そして、そこから緑色の箱が出てきて、三人の前に着地する。

 

「なにかしらこれ?」

「スキマから出てきたということは、紫が送ってきたのか?」

「紫の奴、なんのつもり……!?」

 

 スキマと呼んだ裂け目から現れた箱の前に興味を閉める二人と一つ。

 その時、スキマから紫色の導師服に身を包んだ女性が上半身を出し、霊夢に声をかけた。

 

「それは、あなたへのプレゼントよ。今までの異変解決へのお礼よ」

「紫、あなたがそういうと余計に怪しいわ。何を企んでいるの?」

 

 目の前の箱に疑問を抱く霊夢を見ながら、紫と呼ばれた美女は「別に何も企んでいないわよ。ただのご褒美よ」というとそのまま、スキマの中へ消えた。それと同時にスキマも閉じて消えた。

 

「けっ何がご褒美よ。俺にとっちゃ異変は災難の何者でもないのに、いい迷惑だぜ。だいたい……」

 

 それを見て、毛玉は不機嫌そうに吐き捨てた。毛玉にとって、異変とは災厄の代名詞であり、ろく目にあった記憶がなかった。

 例に上げると「倒れてきた本棚の下敷きになる」、「半人前の剣士に斬られそうになった」、「怪力を誇る幼女に投げ飛ばされる」、「背中に矢が突き刺さる」等、とにかく災難の連続としか言いようのないほどであった。

 

 

 ふてくされる毛玉のことなんか、お構いなしに置かれた箱を興味津々に見ている魔理沙が霊夢の方を振り向いて言う。

 

「霊夢、これ開けてみようぜ」

「そうね、別に開けても問題ないと思うから……え?」

「霊夢がそういうなら、問題ないと思うぜ」

 

 霊夢がそういうと魔理沙が箱に手を触れると箱が一人で開き、箱の中に入っていたモノが二人と一つの前に姿を現した。

 

「箱が勝手に……え!?」

「これはいったいどういうことだ?」

「な……なんだと!?」

 

 それを見た瞬間、魔理沙と霊夢は驚きを隠せず、唖然と箱の中身を見ていた。

 ウィルに至っては、ギャグ漫画の演出のように鼻血を吹き出しながら、地面に倒れてしまった。

 

 紫が届けた箱に入っていたモノ、それはリボンを身体に巻いた以外は一糸も纏わず長い銅色の髪をした少女だった。少女は、唖然とする二人を金線でつくったような金色の瞳でじっとみていた。

 

「ウィル、大丈夫か!?」

「女性の裸体が……ああ、行けるはずがない天国と地獄が交互に見える」

「しっかりしろ!!」

 

 あっけに取られた二人だったが、正気に戻ると魔理沙は鼻血を流しながら、地面に倒れているウィルに駆け寄り、声をかけるが、ウィルは片言のようにしかしゃべらなかった。

 そんな一人と一つのやりとりを無視して、霊夢は少女に近寄り、声をかけた。

 

「あなた、名前はなんていうの?」

 

 霊夢の質問に、少女は鈴のような透き通った声で答えた。

 

「90式妖戦車00型です。愛称はありません」

「90式妖戦車00型?? よく分からないけど、それが名前ね?」

 

 少女の聞き覚えのない単語に混乱しつつも、それが彼女の名前がいうことは理解できた。

 

「はい、これからよろしくお願いします。戦車長殿!!」

「戦車長……殿?」

 

 自分をへんな呼び方で呼ぶ少女に、霊夢は戸惑いを隠せなかった。

 

 

 

 これは異変嫌いの毛玉、ウィルと妖戦車と名乗る少女を主軸とした正史とは微妙に違う東方projectの後日譚である。




後書き
地雷のレッテルを貼られないような作品を目指して、これからも頑張ります感想、ツッコミ、指摘待っています。

それと最後にひとつだけ
それと強弱記の世界観では、”死は不可避”、”死とは消滅と同異議である”、”外の世界にも裏がある”という独自解釈があります
死は絶対であり、どんな手段を使っても避けられない現象であり、死=消滅という価値観で書いています
外の世界にもマミゾウのような妖怪が数多く存在しており、人間の世界でいい意味でも悪意味でもホクホクと生きています

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。