『ゴオォォォォン!』
イビルジョーが咆哮を発しながら再びクロたちに突撃してきた。
クロはサイドステップでよけ、足を斬りつけた。
シロは少し後ろに下がり、物陰に隠れながらLevel2毒弾を射つ。
トウジは高く飛び上がり、大車輪のような動きでイビルジョーの背中を切り裂く。
イビルジョーには効いてないのか、動きが変わらない。その場で何度も踏みつけや回転をする。
避けたり受け流したりと一進一退の攻防が続く。
「はあはあ、まだ倒れないのか!」
「一気に斬るにも隙がない」
「……クロ、トウジ次で決めましょう」
クロとトウジが突撃しようとしたとき、イビルジョーが頭をあげて口に何かを貯めていた。嫌な予感がした。三人は野生の勘が騒ぎ、自分等が用いる最善の手を出した。
貯め終えたイビルジョーの口から今まで以上の竜ブレスが発射された。
通常の赤黒い竜ブレスではなく黒紫の竜ブレスだった。
「これでも食らいなさい!」
シロは急いで装填した弾丸を発射した。
発射された弾丸はボウガンの先から青白い光線が無数に発生した。
青白い光線対黒紫の竜ブレス、相討ちのように見えたが、煙の中から数本の光線がイビルジョーに当たった、いや貫通したのだ。
「流星弾の威力は?」
悲鳴をあげるイビルジョーへクロが抜刀の構えで走ってきた。
「決める!」
イビルジョーの足に抜刀を決め、鞘に戻しながらもう片方の足へ抜刀を決めた。さらに鬼神斬りを決め、その場で回転し、両足を連続で斬りつけた。
「緋天御剣流龍翔閃・惨!」
その場で回転し刀を上にあげて錐揉みしながら上へ飛び上がり、龍槌閃・惨を決めた。
着地と共にシロのところへ向かい、二度目の流星弾対黒紫の竜ブレスのぶつかり合いが生じた。この爆風で二人は吹き飛ばされてしまった。
「「あとは頼んだ!」」
黄色の物体がイビルジョーに衝突し、イビルジョーの体中回り始めた。黄色の物体が這いずり回ったあとに切り裂いた後が残っていた。その様子は雷のように見えた。
黄色の物体がイビルジョーの顔へ来ると突進した。イビルジョーは顔から血を出しながら倒れ、起き上がろうとした。
「止め!」
黄色の物体は顔へ、クロは胴体へ鬼神斬りからの龍巣閃・咬を決め、シロはある弾を装填しイビルジョーへ撃ち込んだ。
イビルジョーは体中から龍属性のオーラを吐き出しながら倒れた。
「ふー、どう?龍裂弾のお味は?」
黄色の物体は動きを止め、出てきたのはトウジだった。
「お疲れ」
「そっちこそ紅の抜刀齋、緑の実験姫」
「あんたが雷電とは知らなかった」
イビルジョーの確認をしてから三人はユキネがいる場所へ帰ろうとしたとき、地面が揺れた。
そこから現れたのはどす黒い体色のイビルジョー。通常サイズと同じだが、出てきたのが問題だった。
「ぼ、暴食!」
「っち!」
暴食と呼ばれるイビルジョーは普通のイビルジョーとは違い、何でも食べるのだ。石や草、武器や防具も。
暴食は死んだイビルジョーを加え、呑み込んだ。自分の数倍はある体格の相手を呑み込んだのだ。
暴食は何もせず、この場から離れていった。