Sideユキネ
「ユキネ、何やっているのよ!あんたのせいでまた、怒られたんじゃない!」
「だいたいね。私よりできるからって、偉そうにしてムカつくのよ!」
「そうよ、そうよ!あんたさ、自分が子供だからって甘いって思っているなら止めてしまえ!」
また、怒られた。なんで、怒るの?私何かやった?わからないわからないよ。
「あんたはここにいなさい!このブスが!」
先輩達が部屋から出ていった。泣きたくなってきた。厳しいのは知っているのに。ほとんど、いいがりだし、私が何をしたのかわからないよ。なんで、こうなったんだろ?
数日前、私がギルド職員の試験を合格し、研修をしている時にそれは起きた。
その日は研修最後の日、その日は宴会を開いてもらっていた。私の他に同期の子が五人、先輩と教官の八人で飲んでいた。私は未成年だから、ジュースを飲んでいたんだけど、先輩の一人が一夏さんのお話をしていた。一夏さんの武勇伝を聞かされていて、つい私はいなくんのことを話してしまった。それだけなら、まだよかった。次の言葉が原因だった。
一夏さんとの交遊関係。簡単に言えば、私が賄賂を払って一夏さんにギルド職員の合格をもらったという虚言。さすがに、それに対しての誤解は教官が解いてくれた。
その話が捩れてしまった結果、私が一夏さんのお相手と言う、見も蓋もない噂がロックラックのギルドに伝わっていた。とばっちりなのに、先輩達は私が悪いの一点張り。
「ユキネ、大丈夫?」
「うん」
ロックラックのギルドで一緒の子に心配されたけど、大丈夫。人の噂は八百日って言うし、なんとかる。と思っていた。だけど、甘かった。人の悪いところをそんなに受けたことがなかったので、精神的に舞ってしまった。
日に日にエスカレートしていって、しまいには暴力を振るわれる始末。痛かったけど、泣かなかった。心配はされたくなかったから。
だから、なんでいるの。体は大きくなっていてもその顔はあった。どうしているのいなくん。
SideOut
Side稲妻
荷物を宿屋に下ろし、ロックラックのギルドへ向かっていた。その途中、父さんおすすめの食事処へより昼食を食べた。
ギルドの中に入ると、様々な鎧を来た人たちが、酒やツマミを食べて、どんちゃん騒ぎをしていた。僕はハンター登録を済ませて、ギルドの書庫へ向かっていった。向かっている途中喧騒が聞こえたので、そこへ向かって歩いていった。歩いて幾度喧騒はなくなったが、気になったんでそのまま歩いていった。僕はある扉の前に立ったとき、知っている気配を感じた。僕は嬉しくなって開けたら、そこにいたのは泣きそうな顔をして、虚ろな目をしていたユキネだった。声をかけようとした時、僕を押し退けて、出ていった。僕は急いでその背中を追いかけた。どうして逃げたのかわからなかった。けど、全てが最悪の事態しか想像できなかった。日差しが西に指してきたとき、ロックラックの入り口で止まった。
「ユキネ」
「なんでいるの?」
「父さんを探しに来たんだ。それと、おめでとう」
「……ありがとう」
会話が続かない。まあ、連絡とかここ一年取っていなかったからね。さて、どう聞こうかな?
「いなくん私ね。私は何をしたんだろ?」
「どう言うこと?ユキネは何かしたの?」
「わからない、わからない、わからない!?私は何をしたの!」
「ユキネ」
「ねえ、私どうすればいいの?」
どうすればいいのか、僕にはわからなかった。そもそも、どうしてこうなったのかを聞いていないから何を言えばいいのかがわからない。だけど、僕は気休めだけど、ユキネに抱きついた。離そうと押し退けようとしていたけど、力は強いので、思っていることをしゃべった。
「理由はあとで聞く。だから、泣いていいよ。僕が同情したって意味がない。それでユキネの心を救えるならやるけど、救えないとわかっている。だから、泣いてよ。貯まっているものを吐いて」
僕はそういうと、静かに鳴き始めた。嗚咽の中に私は悪くない、どうしていじめるのと、聞こえた。だけど、これを聞いて、自分の中にある竜としての人としての怒りの感情が、ふつふつと沸いてきた。
SideOut