己を探す者たち   作:葵・Rain

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二章 繋がる道
稲妻、旅に出る


 この事件は僕の父さんが残した手掛かりが引き起こす日記。

 そして、稲妻、ユキネ、ツキヨ、僕たち三人を引き寄せ、人と竜たちを争う、第二次人竜大戦が始まる大きな事件。

 物語は僕がベルナ村で見習い調査員として、初めての大仕事を終えたところまで遡る。

 僕の一日の流れは、先輩調査員が調査したモンスターの生態やその地域の生態系のまとめて、資料及び報告書をつくること。それが終わったら村やギルドで一人でも行えるクエストをする。それを繰り返す毎日でつい最近、調査の方にも行ってきたので、少しずつ調査員としての働きを出来ているのではないかと思います。

 

「稲妻今いいか?」

「はい。どうしたのですか?」

 

 ギルシュ兄さんが僕を呼びました。あ、そうでした。僕はギルシュ兄さんの部下で他に五名で働いています。話しは逸れましたが、僕を呼ぶことは資料などのミスなのだが、今日出したときは何も言わなかったから、問題は何もないはずだけど。

 

「まあ、そこに座ってくれ。これを見てくれ」

「これは……日記ですか?」

「ああ、この日記は一夏があるクエストに行く前に見つけた物だ。読んでみろ」

 

 日記をパラパラっと見ていくと気になるページを見つけた。

 

 ○月○日 晴れ

 E.D.Wの稼働実験前日。この日のために多くの子供を殺してきた。それは今回で終わりだ。コアとなる被験者の様子は良好。しかし、普通の子と特殊な子でこんなにも性能に差があるとはな。明日は早い、寝るとするか。

 

 ○月×日 雨天

 E.D.Wの稼働実験当日。被験者を指揮竜機に乗せる際、暴れられたが問題ない。稼働率は九割となかなかいい。専用武器の扱いもよし。そして、私の命令に忠実だ。これで我らはあの忌々しい悪魔たちを倒せる。戦いは五年後。楽しみでしょうがないくらい騒いでしまった。

 

 ××月×日 雨天

 なぜだ!なぜ、ここがバレた!?最新の注意を払い、尚且つ絶対にバレまいと思っていた研究所が悪魔たちにバレたのだ!?私はここで終わるわけには()()()()

 

 これはなんだ!?実験ってなんだよ?E.D.Wの日記は製造から結果まで書き残している。しかも、とんでもないくらいヤバイものだって僕はわかってしまった。思えば読めないページの黒いところって血だ。しかも、ところどころにこの人物の性格がわかる。血で潰されたところを見てみると、”雷竜の胴体に火竜の翼を縫い合わす”や”電気で心臓が”など狂気がわかる。

 

「この日記は今から千年前の代物。それは捨てるべきものだ。俺も一夏も。しかし、これは歴史的資料のひとつにもなる。だから、ヤバい。ところどころ、破れたページがあっただろ?一夏よりも早く見つけたやつがいるかもしれない。だから、稲妻お前にこれを託す」

「ま、待ってください!?こんなもの受け取れません!」

「俺だと判断が鈍ってしまう。頼むそれをなんとかしてくれないか?」

 

 こんな狂気の日記、僕でも捨てたい。けど、捨てるとまた起こるんだ昔の大戦が。

 なんだこのページは?”特殊な子は竜”竜?

 

「ギルシュ兄さん。休みをもらってもいいですか?」

「なぜだ?」

「ツキヨ、僕の友人が行方不明になったんです。その子、竜に関係するかもしれません」

「ふむ、意味がわからん。わからないが、とても大事なことだな?」

「はい。もしかしたら、利用されているかもしれません。今回ばかりは大事になりそうだからな」

「……いいだろう。ただし、俺も着いていく」

「ありがとうございます!」

 

 僕は急いで旅支度をしに家に帰ることにした。

 

 SideOut


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