東方紫藍談  ~紫と藍の幻想談~   作:カテサミン

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 スキマボックスシリーズの第二段、紫と藍の元に更なる依頼が飛び込んで来ました、タイトルで誰が依頼してきたかは分かってしまいますかね…

 数字が結構多く出てくるので読みやすくしております。


 それでは始まります♪




御依頼その弐 【寺子屋教師を大発掘!】前編

 

 

 

 【マヨヒガ 居間、PM 12:00】

 

 

 紫と藍は珍しく二人でお仕事中の様です。

 

 

 

 

 

八雲紫「…」カリカリ

 

 

八雲藍「…」カリカリ

 

 

紫「…藍」

 

 

藍「…」

 

 

紫「藍、聞いてる?」

 

 

藍「聞こえてますが、今は手と頭を動かしてください」

 

 

紫「動かしてるわよ、喋りつつ計算しつつ数字を紙に書いてるわ」

 

 

藍「本当器用ですよね」

 

 

紫「そういうあなたも器用よね」

 

 

藍「ありがとうございます」

 

 

紫「まぁ、そんなことはどうでもいいのよ」

 

 

藍「良くはないですよ、一つのミスがやり直しに繋がるんですから集中したいんです」

 

 

紫「ほほう、このゆかりんに黙れと」

 

 

藍「集中したいんです、紫様とてそうでしょう?」

 

 

紫「集中のために休憩をください」

 

 

藍「ダメです、休憩は逃げです、あなたが冬眠なさる前にやっておかないとまた私が一人でやるはめになるんですから、幻想郷の主として今年最後の仕事をしてください」

 

 

紫「本当に今年最後なのかしら、またどっかから沸いて出てくるんじゃないの?」

 

 

藍「それなら心配ご無用です、私が…! この私が全て片付けておりますので、本当にこれだけしか残ってません」

 

 

紫「流石ね藍、ゆかりんポイント五点よ」

 

 

藍「そろそろゆかりんポイントが百点貯まりそうですけど何かあるんですか?」

 

 

紫「橙が男の子になります」

 

 

藍「へぇ……!? はぁ!?」ガタッ!

 

 

紫「冗談よ、本気にしないの…ほらほらぁ♪ 手が止まってるわよ?」ニヤニヤ

 

 

藍「…!? くっ…!」

 

 

紫「…」カリカリ

 

 

藍「…」カリカリ

 

 

紫「…休憩をください」

 

 

藍「後もう少しで終りです、もうすぐお昼ですからそこまで頑張りましょう」

 

 

紫「数字とにらめっこして早四時間、これでやっと終わりね…!」カリカリ

 

 

藍「はい、よいしょっと…」スッ

 

 

 

 

 

藍「紫様、読み上げるので足していってください」

 

 

紫「どんと来い八雲家出費事情」

 

 

藍「月への大砲射撃108万2000円…霊夢への十二ヶ月分の仕送り365万115円…純狐、ヘカーティア・ラピスラズリ、クラウンピースへの住居提供3000万円」

 

 

紫「うん」カリカリ

 

 

藍「鬼人正邪の人里への被害額250万5849円」

 

 

紫「あんにゃろう…」カリカリ

 

 

藍「秦こころへの能楽書の提供2万8900円…光の三妖精への家具提供59万8000円…多々良小傘への謝礼金39万3939円…永江衣玖への舞踊入門書提供9万2500円」

 

 

紫「はい」カリカリ

 

 

藍「黒谷ヤマメ、伊吹萃香、星熊勇儀への紅魔館建て直しの謝礼金それぞれ50万円、計150万円…紅魔館修繕費1341万394円」

 

 

紫「これ何でうちが払ってんの?」

 

 

藍「あなたが紅魔館のパーティーで酔っぱらって『紅魔館は爆発してこそ意味があるのよ!』とか訳の分からないこと言って破壊神と化したのを忘れたとは言わせませんよ!?」

 

 

紫「あの時は本当にすまなかったと思っているわ」

 

 

藍「反省してくださいよ?」

 

 

紫「申し訳ないのだ~…でもあの場にいた天人と物部と蓬莱人も悪いのだ~…てか謝礼金高くない?」

 

 

藍「一晩で元通りにしてくれたんですからあのぐらい妥当です…次いきますよ」

 

 

紫「はい」カリカリ

 

 

藍「比那名居天子の地霊殿襲撃事件後の交通整備費20万円…守矢家とのお鍋パーティー3万円…河城にとりへのクリスマスプレゼント作成依頼の費用35万9966円」

 

 

紫「はいはい」カリカリ

 

 

藍「古明地さとりのスキマ通信による買い物費用3万5000円…永遠亭への薬代200万2500円」

 

 

紫「月の賢者様め…足元見やがって」カリカリ

 

 

藍「私も高すぎるとは正直思いましたが効果は折り紙つきですし…次いきます、これで最後です」

 

 

紫「は~い♪」

 

 

藍「その他、八雲家の飲食代及び流行りの言葉のみんなへの謝礼物の代金…幽々子殿への満腹代金諸々が…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「計、8999万8989円」

 

 

紫「!?」

 

 

藍「…」

 

 

紫「そ、その8900万円分は…?」

 

 

藍「幽々子殿の満腹代金です」

 

 

紫「うわぁぁ…」orz

 

 

藍「終りです…計?」

 

 

紫「1億4549万4213円」orz

 

 

藍「流石計算がお早い、これで幻想郷の財政申告書全て書き終わりました、お疲れ様でした紫様」

 

 

紫「お疲れ様でした~♪ じゃないわよ!」ガバッ

 

 

藍「!?」

 

 

紫「八雲家の出費が尋常じゃないわ! 由々しき事態よ!」

 

 

藍「確かに億いったのは初めてですよね」

 

 

紫「お馬鹿たちのやらかした修繕費やら何やらは分かるんだけど…億って…億…」orz

 

 

藍「幽々子殿の満腹代が群を抜いてますからね…」

 

 

紫「スキマ貯金が無くなりかけるなんて夢にも思わなかったわ…」

 

 

藍「…紫様」

 

 

紫「……何?」

 

 

藍「主であるあなたにこんなことを言うのはアレかもしれませんが、もう少し他の出費を抑えていただけませんか?」

 

 

紫「はぁ?」

 

 

藍「まず月への大砲射撃はいらないでしょう!? 何で毎年一発放つんですか!」

 

 

紫「だってゆかりんあいつら嫌い!」

 

 

藍「だからって100万円かけるほどの大砲を作らないでくださいよ!」

 

 

紫「にとりたちに作らせてるからそのぐらいかかるのよ!」

 

 

藍「スキマで大砲ぐらいぶっぱなせばいいでしょう!?」

 

 

紫「幻想郷の技術力を見せてやるわぁ!」

 

 

藍「あぁもう!」

 

 

紫「譲れないわね、大砲作りは」

 

 

藍「霊夢への仕送りを少し減らす…のは?」

 

 

紫「ダメ、この金額じゃないとダメ」

 

 

藍「何故です? 大体この半端な115円はなん」

 

 

紫「ゆかりんお口チャック! ジジジーっ!」

 

 

藍「ぬっ!」イラッ

 

 

藍(くそぉ、霊夢はお金をあんまり使わないんだよなぁ、少しだけ減らせばいいのに…)

 

 

藍「……紫様、この際だから言わせてもらいますけど今年はあなたのせいで出費が増えてます」

 

 

紫「…!? なにぃ!? 私のせい!?」

 

 

藍「だってそうでしょう!? 紅魔館然り! 幽々子殿の事然り!」

 

 

紫「ぐっ…!」

 

 

藍「紅魔館のことはもう良いです! レミリアも許してくれましたしね、でも幽々子殿の事は話が別です!」

 

 

紫「はぁ!? 私は悪くないじゃない! あれは幽々子が満腹を知りたいとか言うから」

 

 

藍「満腹を知れる要因を作ったのはあなたでしょう!? 口は災いの元とはこの事ですね!」

 

 

紫「あのときはああ言うしかないでしょうが! むしゃむしゃされたら誰だってああなるわよ!」

 

 

藍「なりませんよ!」

 

 

紫「むしゃむしゃされてもないくせに知った気でいるんじゃないわよ! このバカちんがぁ!」

 

 

藍「はぁはぁ…!」

 

 

紫「はぁ、はぁ…」

 

 

藍、紫「はぁ…」グテン

 

 

 

 

 二人は疲れたのか大の字に寝転がり、目を瞑った

 

 

 

 

紫「藍…分かった、分かったわよ…今年は私が悪かったわ」

 

 

藍「…はい、分かっていただけて何よりです」

 

 

紫「だから…朝から頭フル回転で計算してた私に休憩をください…」

 

 

藍「もう休んでくださって結構ですよ、本当にお疲れ様でした…」

 

 

紫「うん…」

 

 

紫、藍「はぁ…」

 

 

紫「幽々子の満腹に1億かからないのは正直安堵したわ…なんかわからないけど安心したのよ」

 

 

藍「ミスティアの屋台で私と妖夢はリタイアしましたけど…その後二十軒以上でしたっけ?」

 

 

紫「もう地獄を見たわ、焼けつくような揚げ物と焼き物の匂い、溢れ出る飲み物、鼻をつんざく甘味の匂い」

 

 

藍「…」

 

 

紫「つれぇわ…」

 

 

藍「なんかごめんなさい、さっき出費が紫様のせいだとか…」

 

 

紫「もう良いわ…その話はしないの、もう終わったことなんだから…あ~……こうして大の字で寝てるともう何にも考えたくないわね」

 

 

藍(幽々子殿の事で嫌な思い出ができるとは…)

 

 

紫「はぁ…なんかこう冬眠前に楽しめる面白い事起きないかしら」

 

 

藍「クリスマスのことは?」

 

 

紫「毎年やってる事じゃない、やったことのない面白い事よ」

 

 

藍「そんな都合よく起きるわけないじゃないですか」

 

 

紫「む~、神にでも祈ろうかしら」

 

 

紫「おお神よ、ゆかりんに大人しく、無理のない面白い事を提供しておくんなまし~」

 

 

藍「…都合がいい様な」

 

 

 

 ギュオン ヒラッ…

 

 

 

紫「それくらい許してくれるわよ、ゆかりん今年頑張ったってぬおっ」パサッ

 

 

藍「? 紫様どうし…あ」

 

 

紫「神じゃなくて紙が降ってきたわ、私の顔面に」

 

 

藍「これスキマボックス専用の紙じゃないですか」

 

 

紫「……まさかまた満腹を知りたいだなんて幽々子からの依頼じゃないでしょうね」

 

 

藍「そこまで幽々子殿は鬼じゃないと思いますが」

 

 

紫「食の事なら…流石に無いか」

 

 

紫「この疲れたゆかりんに依頼してきたのは誰かしら…藍、読んで」

 

 

藍「はい、こちら『P.N.白沢の上からハクタクさん』『燃え尽きろ月の厄介女さん』からいただきました」

 

 

紫「また二人なのね…って一枚に二人で書くとか夫婦かっ!」

 

 

藍「…? あぁこれあの二人ですか、仲が良いですよね」

 

 

紫「…依頼は?」

 

 

藍「あぁはい、えーっと」

 

 

 

 

 

P.N 白沢の上からハクタク『いきなりですまないが私は寺子屋の教師を探している、教師探しに力を貸してくれないだろうか? 詳細は私の口から話したい、依頼を受けてくれるのなら人里の寺子屋に来てほしい』

 

 

P.N 燃え尽きろ月の厄介女『慧音の頼みを聞いてやってくれ、頼む』

 

 

 

 

藍「慧音って書いちゃってる! P.Nの意味を理解してくれ!」

 

 

紫「…」

 

 

藍「紫様、霊夢と魔理沙以来の依頼ですが…どうします?」

 

 

紫「…藍」

 

 

藍「はい」

 

 

紫「直ぐにお昼ご飯の準備をなさい、食べたら出掛けるわよ!」

 

 

藍「!」

 

 

紫「神は…いや、紙は私を見捨てていなかった! このご依頼受けてやるわ!」

 

 

藍「さっき神頼みしてたのはどこのどなたですか!」

 

 

紫「うっさい! 早く準備しなさい!」

 

 

藍「は、はい! わかりました!」スッ

 

 

 タタタタ

 

 

紫「ふふっ、面白くなってきたわ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《人里、寺子屋、PM 13:00》

 

 

 

上白沢慧音「ふぅ…」

 

 

慧音(今…13時か…んんっ、はぁ…今日は午前の授業だけで助かったな)

 

 

慧音(少し遅い昼食になってしまった…これを食べたら歴史書の整理と、阿求に頼んでいた書物の確認)

 

 

 オーイ

 

 

慧音(命蓮寺、紅魔館、地霊殿へ行って報告、戻って来たら宿題とテストの答え合わせ) 

 

 

 おーい

 

 

慧音(後…後はなんだったか…あぁそうだ、本居小鈴に借りていた本を)

 

 

 おーい! 慧音

 

 

慧音「!!」ハッ!

 

 

藤原妹紅「慧音…?」

 

 

慧音「……あぁ、も、妹紅…来てたのか」

 

 

妹紅「『来てたのか』じゃないだろ、大丈夫か?」

 

 

慧音「な、何がだ?」

 

 

妹紅「さっきから呼び掛けてたんだぞ? それなのに反応しないからさ、こう…なんていうか、遠くを見て考え事している感じで誰も視界に入らない様な感じだ」

 

 

慧音「…妙に的確だな」

 

 

妹紅「現にそうだったろ」

 

 

慧音「…」

 

 

妹紅「今から昼飯か?」

 

 

慧音「あぁ」

 

 

妹紅「そうか♪ ほら、私も弁当持ってきたんだ、一緒に食べようよ」

 

 

慧音「あぁ、そうだな」

 

 

妹紅「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

慧音、妹紅「ご馳走さまでした」

 

 

妹紅「くそっ、まだ腹が痛い…悪いな慧音、おかずわけてもらっちゃってさ」

 

 

慧音「そのぐらい気にするな、だがよかったのか? おかずとて昨日の夜の残り物だぞ?」

 

 

妹紅「何言ってんだ、凄く美味しかったぞ? しかし永遠亭で弁当なんて作るもんじゃないな、私の弁当のおかずに隙を見てカミソリと毒物を混入しやがるとは…輝夜のやつめ…慧音の家でリザレクションするのは初めての経験だ」

 

 

慧音「何故永遠亭で作った」

 

 

妹紅「鈴仙ちゃんが一緒に作ろうって言うからさ、仕方なく敵地で作る事になったんだ、人参わけてくれるって言うからさ、しかし案の定だったなぁ…」

 

 

慧音「因幡てゐの仕業ではないのか?」

 

 

妹紅「てゐなら毒で終わりだけどカミソリは輝夜の仕業だよ、今度から一緒に弁当を作る時は私の家に鈴仙ちゃんを呼ぼう、うんそうしよう」

 

 

慧音「ふっ、してやられたな」

 

 

妹紅「ほんとな…って笑い事じゃないぞ!?」

 

 

慧音「すまない、いつもの光景だからつい…」

 

 

妹紅「まぁ私だから笑い事になるんだよなぁ、カミソリだの毒だの食っても死なないし」

 

 

慧音「それはそれでどうなんだ」

 

 

妹紅「いいの、もう慣れたから」

 

 

慧音「少しは自分を大切にしてくれ」

 

 

妹紅「…」

 

 

妹紅「慧音がそれを言うか?」

 

 

慧音「…?」

 

 

妹紅「前はこんな時間に昼なんか食ってなかっただろ、それにさっきも私の声が届かない程考え事してたもんな」

 

 

慧音「…!」

 

 

妹紅「疲れてんだろ? 最近」

 

 

慧音「…そう見えるか?」

 

 

妹紅「見えるよ、寺子屋の仕事忙しいんだろう? それに歴史書の整理とかさ…几帳面な慧音ことだから新しく入った生徒の送り迎えとか保護者の人に挨拶とかしに行く…とかしてそうだ」

 

 

慧音「……お見通しか、超能力でも身に付けたか?」

 

 

妹紅「それは菫子の能力だろ」

 

 

妹紅「とにかく慧音、少し寺子屋の仕事を減らすか休むかした方がいい、そのうち体壊すぞ?」

 

 

慧音「そういう訳にはいかないさ、私から仕事を取ったら何が残るんだ」

 

 

慧音「それに生徒達の笑顔のため生きていくと決めたんだ、休む訳にはいかない」

 

 

妹紅「…! だ、だから体壊したらそれも…!」

 

 

慧音「妹紅…♪」ニコッ

 

 

妹紅「…! ……心配なんだよ…」

 

 

慧音「その気持ちを私に向けてくれるだけで充分だ、本当にありがとうな」ニコッ

 

 

妹紅(……何の解決にもなってないぞ慧音、やっぱ教師探しを急がせた方が良いな)

 

 

慧音「さてと…妹紅に元気ももらった事だしな、これから先は頑張れそうだ、良し、まずは歴史書の整理からだな♪」

 

 

妹紅(絶対空元気だろ…! 何か私も…)

 

 

妹紅「慧音、私も何か手伝わせ」

 

 

 

 

 クルァ! 幻想郷一番の先生なのに無理すんなぁ!

 

 

 

 

慧音、妹紅「!?」

 

 

 

 ギュオン! ドッ!

 

 

 

藍「いったぁ!?」ドサッ

 

 

紫「宣誓! わたくしゆかりんは慧音先生を助ける事をここに誓いまーす♪ 先生なだけに宣誓しまーす♪」

 

 

妹紅「なっ!?」

 

 

慧音「八雲藍!? 八雲紫!?」

 

 

藍「こ、腰打った…いたたた」

 

 

紫「自分のことを大切に出来ない奴が生徒を大切に出来ると思ってるんですかぁ? このバカちんがぁ!」

 

 

妹紅、慧音「!?」

 

 

紫「この紫先生はそんなことは許しませ~ん! 許すわけがなぁーい♪」

 

 

妹紅「お前先生じゃないだろ!?」

 

 

紫「だから私に助けられなさい上白沢慧音! あなたの依頼、八雲紫は受諾します!」

 

 

妹紅「依頼…!? って、まさか!」

 

 

慧音「あのスキマボックスに書いた便りを読んでくれたのか!?」

 

 

紫「そうよ♪ ふふっ、運がいいわねぇ♪ あなた…いえ、あなたたちの二人の願いは絶対に叶えるわ」

 

 

藍「まぁ、お前たち二人からしか依頼来てないんだけどな」

 

 

紫「お黙り! そういう悲しい事を言うんじゃないの!」

 

 

藍「事実じゃないですか!」

 

 

紫「口は災いの元だとか言ってたのはどこの狐かしらねぇ! 尻尾蹂躙するわよ!?」

 

 

藍「えぇ!? 根にもってたんですかってぬぁっ!!?」

 

 

 

 ウラァ!

 

 ウアーッ!

 

 

 

慧音「まさか読んでくれていたとは」

 

 

妹紅「ははは、ダメ元で書いてみるもんだな、あんまり期待してなかったけどさ」

 

 

妹紅「慧音、紫がしつこいのは有名だから大人しく助けられなよ?」

 

 

慧音「む…」

 

 

慧音(妹紅に悩みがあるなら何か書いてみなよと言われ書いたのだが…あの時はまだ一人で頑張れると思っていたから冗談半分で書いた等とはもう言えまい)

 

 

慧音(……妹紅の気持ち、紫の気持ちを無下には出来ない…せっかくの機会だ、ここは助けてくれるという気持ちを受け取ろう)

 

 

妹紅「慧音に力を貸してくれてありがとな、感謝するよ」

 

 

紫「あら、それは依頼を完遂してから言う言葉よ、もこたん」モフモフ

 

 

妹紅「もこたん言うなこらぁ!」

 

 

藍「その前に私を助けてくれぇ…!」ワシャワシャ

 

 

慧音(……少し、不安だがな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《けーね、説明中…》

 

 

 

 紫と藍は慧音に出されたお茶を飲みながら、二人の話をゆっくりと聞いていた

 

 

 

藍「つまり『自分の仕事が忙しく、生徒達の事に手が回らなくなりそうになった、だから臨時でも良いから子供達の面倒を見てくれる教師を探している』ということか」

 

 

慧音「そうだ」

 

 

紫「教師ねぇ…あれ? もこたんは手伝ってないの?」

 

 

妹紅「もこたん言うな、もちろん私も手伝ってるさ、だけど私だって毎日手伝える訳じゃない、人里の人を永遠亭に送り迎えしたり、人里の警備だってあるからな」

 

 

紫「もこたんも案外忙しいのねぇ、輝夜と喧嘩してるだけじゃないものね」

 

 

妹紅「もこたん言うなっての…それと輝夜と私がいつも喧嘩してると思うなよ」

 

 

藍「しかし前までは今まで通りにやってこれたんだろう? 何故急に忙しくなったんだ?」

 

 

慧音「そ、それは…」

 

 

紫、藍「?」

 

 

妹紅「慧音の悪い癖が出たんだよ」

 

 

藍「癖?」

 

 

紫「満月の夜に変身するやつ?」

 

 

妹紅「それは癖じゃないだろ! ったく…取り合えずこれを見てもらえれば分かるよ」スッ

 

 

 ペラッ

 

 

藍「? これは?」

 

 

妹紅「生徒の名簿表だ」

 

 

紫「ん? あらら」

 

 

藍「これは…」

 

 

 

 

 

 

 チルノ

 大妖精

 ミスティア・ローレライ

 リグル・ナイトバグ

 橙

 ルーミア

 フランドール・スカーレット

 古明地こいし

 封獣ぬえ

 秦こころ

 クラウンピース

 サニーミルク

 ルナチャイルド

 スターサファイア

 

 他、人里の子供たち十七人

 

 

 

 

藍「増えてるな!? めっちゃ増えてるじゃないか!」

 

 

妹紅「だろ? 慧音は子供を見ると寺子屋に誘いたがるからな」

 

 

慧音「きょ、強制はしていないぞ!?」

 

 

藍「それは当たり前だろう! そうかそうだよな! これだけ生徒が多ければ先生の負担も増えるよ!」

 

 

妹紅「そこだ、そこなんだよ問題なのは」

 

 

藍「この名簿だとチルノからルーミアまでしか最近までいなかったのによくここま」

 

 

紫「えぇっ!?」

 

 

藍「紫様?」

 

 

妹紅「どうした?」

 

 

紫「なんで…! なんでレミリアがいないのよぉ!?」

 

 

藍、妹紅「えぇ!? そこぉ!?」

 

 

慧音「彼女にも声を掛けたんだが断られた」

 

 

藍、妹紅「勧誘済みなのか!?」

 

 

紫「どうせ『カリスマの権化の私が人里のがきんちょと戯れる事なんて有り得ないわ!』とか言ったんじゃない?」

 

 

慧音「よくわかったな」

 

 

紫「ちんちくりんなのは己だと自覚しないのも…まぁ、面白いからいいか♪」

 

 

妹紅「いいのかよ」

 

 

藍「レミリアはそういう星のもとに生まれてるから仕方ないんだよ」

 

 

妹紅「なんだそりゃ…」

 

 

紫「ま、そんなことは置いといて本題に入ろうかしら」

 

 

慧音、妹紅「…」コク

 

 

紫「様は慧音、あなたの仕事の負担を減らすことが出来ればいいのよね、そのために子供たちの面倒をみてくれる教師を探すと」

 

 

紫「あなたももこたんも共に忙しい身、だから私と藍を頼ったのね」

 

 

慧音「そうだ」

 

 

妹紅「もこたん言う…あぁ、そうだよ」

 

 

紫「歴史書の整理はあなたしか出来ないだろうから、そこは無理ね」

 

 

慧音「そうなる…私がやらなければならない義務、阿求と同じ様な物だ」

 

 

紫「なら私達のお仕事は先生を探すことに絞ればいいわけか」

 

 

紫「聞くけど教科とか、教師に望むものはある?」

 

 

慧音「教科は特に気にしてはいない『子供たちが楽しく学び、遊べる場』を寺子屋だと私は思っているから適任だと私が判断出来ればその者に是非ともお願いしたい」

 

 

紫「色々と各々が好き勝手やってる事が多い幻想郷だから、臨時教師になるかもしれないけどそこはいいかしら?」

 

 

慧音「そこまで贅沢は言わないよ、少しの間手伝ってくれるだけでもありがたい」

 

 

紫「う~ん…あなた本人が判断したいって言ったから……あ、そうだわ! 子供たちを前にどんな授業をやるか実践してもらいましょう、それを私たち四人で見るのよ♪ 公開審査…オーディションみたいな感じかしらね」

 

 

藍「ならスキマボックスを逆に利用しましょう、皆にこの事を伝えるメモを書いて渡すんです」

 

 

紫「それ採用よ♪ スキマボックス便利ねぇ」

 

 

藍「あなたが作ったんでしょう?」

 

 

紫「ゆかりんすげぇ~♪ ふふっ♪ これでどうかしら、慧音先生?」

 

 

慧音「あ、あぁ…そうだな」

 

 

妹紅「な、なんか…すごいな、そこまで考えてくれるとは」

 

 

慧音「あぁ、本当にな」

 

 

慧音「紫、藍…その提案で頼む、改めて依頼をお願いするよ、そして依頼を受けてくれてありがとう」

 

 

紫「いいのよ♪ ねぇ、藍?」

 

 

藍「そうですね、橙もここでお世話になっていますからその恩を返す絶好の機会でもありますしね」

 

 

紫「今からメモを作れば…まあ15:00ぐらいには終わるでしょう、慧音、あなたはあなたの仕事を今はしてなさい、メモ作りは私と藍ともこたんでやるから」

 

 

慧音「そこまで…いいのか?」

 

 

妹紅「慧音、今回は甘えてくれよ? 私も色々と手伝うからさ♪ な?」

 

 

慧音「妹紅…」

 

 

紫「…旦那はどっちかしら、どっちもいけるわよね」ヒソヒソ

 

 

藍「二人とも女性ですよ」ヒソヒソ

 

 

紫「暴走してるアリスの前でそれ言える?」ヒソヒソ

 

 

藍「この二人とは方向性が違うような気がします…」ヒソヒソ

 

 

慧音「頼んだぞ…♪ 妹紅、紫、藍」

 

 

紫「えぇ♪ あ、オーディションは明日になるでしょうから明日の朝に子供たちが来たらその項を説明なさいな」

 

 

慧音「あぁ、分かった」

 

 

慧音「こちらは任せるぞ…では、行ってくる」スッ

 

 

紫「行ってらっしゃーい♪」

 

 

藍「さて、メモ作りしますか」

 

 

紫「そうね、んん~♪ なんか今まで疲れてた自分がどっか行ったわ」

 

 

藍「どこいったんでしょうねぇ…」

 

 

紫「あなたの尻尾をモフッたからかしら」

 

 

藍「!?」

 

 

紫「ふふふ、ら~ん」

 

 

藍「やめなさいよ!? 今はメモ作りに集中してくださいね!」

 

 

紫「ケチ狐」

 

 

藍「なんですって!?」

 

 

 ギャー ギャー

 

 

妹紅「…」

 

 

妹紅「な、なぁ」

 

 

紫、藍「?」

 

 

妹紅「そ、そのさ…/// あ、ありがと…/// 慧音のためにここまでやってくれて…///」カァッ

 

 

紫、藍「…」

 

 

紫「もこたんがデレたわ」

 

 

藍「妖怪の山が噴火しなければいいんですがね」

 

 

紫「デレたんじゃない♪ 可愛いわ♪」

 

 

妹紅「な、なんだよお前ら!」

 

 

紫「ほらほら、デレたんも座ってメモ作りしなさいよ♪」

 

 

妹紅「だからもこたん言う…!? 違うデレたん言うなぁ!」

 

 

藍「ふふっ…♪」

 

 

 

 

 

 

 

慧音「…」

 

 

慧音(感謝しても仕切れない事になりそうだな、ふふっ)

 

 

慧音(さて、私は私の仕事を片付けるか!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 続く!

 

 







 前編はここまでです、次回は寺子屋の先生をやりたい、やってみたい方々が大集合します。


 霊夢への仕送り金額ですが365日、良いご縁がありますようにと願いを込めて紫は仕送りをしています。


 次回は中編です!

 ここまで読んでいただきありがとうございました、お疲れ様でした♪



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