東方紫藍談  ~紫と藍の幻想談~   作:カテサミン

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 短編スペシャルの第2段目です。


 『東方紫藍談』ではいじられキャラが定着してしまっているレミリア…そんな彼女にスポットを当てたお話で『いじられキャラだけじゃない!!』そんなレミリアを書いてみたかったのです。


 今回はギャグ、コメディ、パロディ、カオス、ほのぼの、のんびりと色々な成分が多いお話となっております。

 あ…冬眠している筈の紫ですが普通に出ちゃってます…


 それでは始まります! バレンタイン遅刻作品ですがゆっくり読んでいってください!






《短編スペシャルその2》レミリアのバレバレバレンタイン

 

 

 【2月13日、紅魔館、キッチン】

 

 

 

 

レミリア・スカーレット「…」

 

 

 

 レミリアは紅魔館のキッチンに一人で皿の上に置かれたチョコレートとにらめっこをしていた

 

 

 

レミリア「よ、よし! 今度は大丈夫、よね? ちゃんと出来てるし見た目も悪くない」

 

 

レミリア「…いただきます」パクッ

 

 

レミリア「…! ん~…」

 

 

レミリア「うっわ…何これ…美味しくない…」

 

 

 

 レミリアはそのチョコレートを口に入れ、むしゃむしゃしたが味には納得していない様子

 

 

 

レミリア「まっず…なにこれ! にっがい…とは違うと言うかなんというかとにかく不快な味!! あぁんもうなんでこうなるのよ!」

 

 

 

 お嬢様!? お嬢様!!

 

 

 

 扉越しに十六夜咲夜の声が聞こえて来た

 

 

 

 

レミリア「! さ、咲夜!?」

 

 

 

 お嬢様、先程のお声は一体! 入っても

 

 

 

レミリア「だ、ダメよ!! 入って来ちゃダメ!」

 

 

 

 し、しかし…

 

 

 

レミリア「私がキッチンから出るまでは誰も入れるなと言ったはずよ! 咲夜とて例外ではないわ!」

 

 

 

 お嬢様…

 

 

 

レミリア「だ、大丈夫よ! 何でもないからほっといてちょうだい!」

 

 

 

 …騒ぎ立ててしまい申し訳ありませんでした

 

 

 

レミリア「…良いのよ咲夜、心配してくれてありがとう」

 

 

 

 …はい

 

 

 

レミリア「…」

 

 

レミリア「はぁ…」

 

 

レミリア(また失敗しちゃったか…咲夜と同じ作り方をしているのにどうしてこうなるのかしら)

 

 

レミリア(もう12時か…今回はここまでね)

 

 

レミリア(片付けて…これもあれも、あぁこれも隠滅しておかないと…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガチャッ

 

 

十六夜咲夜「! お嬢様…」

 

 

レミリア「咲夜、悪かったわね、またキッチン占領して」

 

 

咲夜「いえ、それは全く問題ないのですが…その…」

 

 

レミリア「ん? あぁさっきの? 大丈夫よ、ちょっとつまづいて転けただけだから」

 

 

咲夜「キッチンで、ですか?」

 

 

レミリア「! そ、そうよ!? 悪い? 私だってキッチンで転ける事ぐらいあるわよ」

 

 

咲夜「…」

 

 

レミリア「…余計な詮索は無用よ、咲夜」

 

 

咲夜「はい…申し訳ありません」

 

 

レミリア「…それよりもお腹が空いたわね、お昼にしましょう? 今日はどんな食べ物がテーブルに出てくるのか楽しみだわ、期待してるわよ」

 

 

咲夜「はい、腕に縒りを掛けて作らせていただきますわ」

 

 

レミリア「今日は曇りで太陽出てないからテラスで食べられるわね、出来たらテラスに来てね、先に行って待ってるから」

 

 

咲夜「はい、分かりました」

 

 

レミリア「それじゃあよろしくね」スッ

 

 

 

咲夜「…」スッ

 

 

咲夜「…」

 

 

咲夜(お嬢様は三日前から10時から12時、そして私が夕食の仕度を開始するまでの間キッチンに籠られるようになった)

 

 

咲夜(キッチンには誰も入れるなと命令され、私はその間キッチンの門番をするようになった)

 

 

咲夜(お嬢様はその間キッチンの中で何をなされているのか…詮索は無用であり、パチュリー様や妹様にまで、何をなされているのかを語らない、教えてはいない)

 

 

咲夜(のですが…)

 

 

咲夜(正直に申し上げますと…お嬢様がなさろうとしていることは先のお二人、私、美鈴やこあにまでバレバレなのでございます)

 

 

咲夜(臭いまでも消し、完璧に隠蔽しているおつもりなのでしょうが、この十六夜…紅魔館のキッチンに立ち続け早10年以上…少しの変化も見逃しません)

 

 

咲夜(お嬢様…そのお気持ちだけでも私は…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 【紅魔館、テラス】

 

 

 

レミリア「はぁ~…」

 

 

レミリア(また失敗しちゃった…)

 

 

レミリア「...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

 【4日前、博麗神社】

 

 

 

博麗霊夢『バレンタイン?』

 

 

八雲紫、霧雨魔理沙『その通りぃ!』グッ

 

 

レミリア『ねぇねぇ霊夢は誰に作るの? 作る人とか決めてるの?』

 

 

霊夢『…?』ズズッ

 

 

紫、魔、レミ『!』ワクワク 

 

 

霊夢『…ふぅ』

 

 

紫、魔、レミ『…!』ワクワク

 

 

霊夢『…』スッ

 

 

 

 

 

霊夢『いや、全く興味ないんだけど』

 

 

紫、魔、レミ『えぇぇぇーー!!?』

 

 

霊夢『えぇぇって…』

 

 

魔理沙『うわぁ…おまっ…お前それはねぇわぁ』

 

 

霊夢『あー?』

 

 

魔理沙『女の子だろう!? 女の子ならチョコの一つや二つ作って自分の気持ちを伝えたいとか思うだろう!?』

 

 

霊夢『乙女かっ!』

 

 

魔理沙『魔法少女はいつでも乙女心は持ってるもんだぜ』

 

 

霊夢『部屋が本やらなんやらで散らかり放題の魔法少女に乙女心があるんかい、それにあんた料理苦手じゃない』

 

 

魔理沙『ギクッ!』

 

 

霊夢『それに自分の気持ちて…確か女の子が好きな男の子にあげるんだったわよねバレンタインのチョコって、あんた好きな人でも出来たの?』

 

 

紫『霊夢、世の中には友チョコと呼ばれるものが存在しているのよ』

 

 

霊夢『友チョコ?』

 

 

紫『好きな男はいないけど日頃の感謝、これからも友達でいてくださいねとまじないをかけて友達に渡すのよ、同性でやるのがもっともポピュラーね、大切な人とかでももちろんOKよ、義理チョコよりも嬉しかったりするんだから』

 

 

霊夢『ふーん…で?』

 

 

紫『ゆかりんに霊夢のゆかりんラブが注入されたチョコを作ってほしいの!!』

 

 

霊夢『断るっ!!』

 

 

紫『うええっ!?』

 

 

霊夢『そういうのってサプライズでやるもんなんでしょ!? ほしいって…ただチョコが食べたいだけにしか見えないんだけど』

 

 

紫『霊夢が私のために作ったチョコが食べたいっ!』

 

 

霊夢『ほら、ただ食べたいだけじゃない』

 

 

レミリア『霊夢、それは違うわ』

 

 

レミリア『私のために作っているという事実を知っていたとしてもその気持ちが込められたチョコの味は忘れることが出来ないものになるのよ、もちろん渡す側も渡される側も同じ気持ちであることが大切、そしてお互いにチョコを作ることも大切』

 

 

霊夢『…で? 本音は?』

 

 

レミリア『私も霊夢と友チョコ交換がしたいの!!』

 

 

霊夢『だから?』

 

 

レミリア『私も霊夢のために作るから霊夢も私のために作ってほしいの!!』

 

 

霊夢『断るっっ!!』

 

 

レミリア『えーっ!!?』

 

 

霊夢『…あのねぇ、あんたらに誤解のないよう一応言っとくけど別にあんたらの事が嫌いだからチョコを作りたくない訳じゃないのよ?』 

 

 

霊夢『ほら、なんかさぁ、ほら…バレンタインだからってチョコ作って相手に気持ちを伝えるってのがなんか』

 

 

霊夢『私よく分かんないのよ、その…なんかそういう…雰囲気? それに私あんまりチョコ好きじゃないし』

 

 

魔理沙『霊夢お前、本当に女の子なのか?』

 

 

霊夢『なんなのよさっきから』

 

 

魔理沙『アリスと咲夜から女子力を学んだやつの発言とは思えないぜ』

 

 

霊夢『それとこれとは関係ないでしょうが!』

 

 

魔理沙『大有りだバカヤロー! バレンタインには女子力の半分が詰まっているんだぞ!?』

 

 

霊夢『残りの半分は?』

 

 

魔理沙『乙女心だぜ!』

 

 

霊夢『あんたそればっかりじゃないのよ!』

 

 

魔理沙『へっ…なんとでも言え霊夢、お前覚えとけよ? 私はお前のために日頃の感謝を込めてチョコを必ず作る!』

 

 

霊夢『はぁ!?』

 

 

魔理沙『お前は優しいから私に作らざるをえない…! それは分かってる! だから私の思いに答えてみせろ博麗霊夢!』

 

 

霊夢『さっきからあんた何を勝手なこと言ってんのよ!』

 

 

魔理沙『必ず私ためのチョコ用意しとけよ♪ じゃあな霊夢! 5日後だからな、楽しみに待ってるし楽しみにしとけよ!』スッ

 

 

霊夢『ちょっ…! 待ちなさい魔理沙ぁ!』

 

 

魔理沙『アリスのところでチョコを学んでくるぜ~♪』スイー

 

 

霊夢『…! はぁ~…』

 

 

霊夢『ったく…本当に自分勝手なんだから…』

 

 

霊夢『…』

 

 

霊夢『…/// はぁ、もう…』ポリポリ

 

 

紫『…その手があったか』

 

 

霊夢『なんか言った?』

 

 

紫『霊夢、私も魔理沙と同じ道を歩むわ』

 

 

霊夢『!?』

 

 

紫『私も霊夢のために愛のあるチョコを作る!』

 

 

紫『そうしたら霊夢も私に愛のあるチョコを作ってくれる! 絶対に!』

 

 

霊夢『数分前に乙女心だの気持ちだの言ってたのに私がチョコ作ることが強制になってきてるわよね!』

 

 

紫『霊夢、私は今からスキマ籠りしてあなたに喜んでもらえる愛のチョコを作るから楽しみに待っててね!? ゆかりんもあなたのチョコを楽しみにしているから』スッ

 

 

 ギュオン!

 

 

紫『それじゃあね霊夢! 愛してるわ!』スッ

 

 

 ギュオン!

 

 

 

霊夢『ちょっ、こらぁ! 紫ぃ!』

 

 

 

 

 

霊夢『…はぁ、もうあれか…私に拒否権はないのか…』

 

 

レミリア『…』

 

 

霊夢『しょうがない…か』

 

 

霊夢『てかスキマ籠りて…藍がまた愚痴を言いに来そうね』

 

 

レミリア『れ、霊夢!』

 

 

霊夢『分かってるわよ』

 

 

レミリア『えっ?』

 

 

霊夢『チョコほしいんでしょ? 私の気持ちがチョコに入るかどうかは保障しないけど、作ってあげるわよ…///』カァ

 

 

レミリア『ほ、本当!?』

 

 

霊夢『その代わりあんたも私に作りなさいよ? 友チョコ交換したいんでしょ?』

 

 

レミリア『! 霊夢~♪ ありがとう! ありがとう霊夢! 私頑張ってあなたのためにチョコを作るわ!』

 

 

霊夢『その台詞はあの二人から何度も聞いたわよ、まぁ頑張りなさい』

 

 

レミリア『やったぁ~♪ そうと決まれば私も』

 

 

霊夢『あ、ねぇレミリア』

 

 

レミリア『?』

 

 

霊夢『まぁ…さっきの紫の受け売りになるけどバレンタインの友チョコ? 同性でも大切な人に渡すもんなんでしょ?』

 

 

レミリア『そうよ、だから霊夢にチョコを』

 

 

霊夢『あんた自分家の家族にチョコ作らないの?』

 

 

レミリア『…あ』

 

 

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

 

 

 

 

 【現在】

 

 

 

レミリア(霊夢のことで頭がいっぱいで迂闊だったわ…霊夢のためだけに作るなら咲夜に教えてもらいながらチョコを作ることが出来たけど)

 

 

レミリア(そうよ…家族…私の大切な家族にもチョコを作って渡さないといけないとなると)

 

 

レミリア(友チョコとはわけが違う! 私の家族にはサプライズで渡したいじゃない! 渡したくなるじゃない! フランたちみんなに驚いて、喜んでほしいからみんなに悟られずに作るしかないじゃない…!)

 

 

レミリア(4日前に神社から帰ってきてパチェとこあにバレずに地下図書館でチョコの作り方の本も読んだ、あの二人はあまり図書館から出ないしフランには美鈴を見張る任務という名目で美鈴に遊ばせてる、咲夜には私の口から命令すればなんとか大丈夫…だ、だけど)

 

 

レミリア(肝心のチョコの出来が悪すぎる…!)

 

 

レミリア(なんでよ…! 日頃から咲夜のお菓子を食べ続けて作っているところを良く見ているのに…本まで読んで作り方をバレない様にこそこそと学んだのに何故うまくいかないの?)

 

 

レミリア(何故あんな不快な味に…砂糖と塩を間違えるなんてベタな事はしていない、なのに何がいけないというのか…)

 

 

レミリア(バレンタインは明日…これじゃあ間に合わない…)

 

 

レミリア(…)

 

 

レミリア(こ、こうなったら咲夜にだけでも事情を話して協力を…)

 

 

レミリア(…!)

 

 

レミリア(いやダメよレミリア・スカーレット…! めげてはいけない、皆に喜んでもらうために、驚いてもらうためにも必ずサプライズで渡さなければ…!)

 

 

レミリア(で、でも時間が…)

 

 

咲夜「お嬢様お食事をお持ちいたし」

 

 

レミリア「うわぁびっくりしたぁ!」

 

 

咲夜「えっ!?」

 

 

レミリア「咲夜ぁ! 音も立てずに背後から現れるなっていつもいってるでしょ!? 怖いのよ!」

 

 

咲夜「…申し訳ありませんお嬢様」

 

 

レミリア「全くもう、あなたの能力には助けられてるけど、イタズラ目的では使わないでほしいものだわね」

 

 

咲夜「私、今能力使っていませんけど…」

 

 

レミリア「えっ? そ、そうなの?」

 

 

咲夜「はい」

 

 

レミリア「…とにかくびっくりした」

 

 

咲夜「申し訳ございません」

 

 

レミリア「今日のメニューは?」

 

 

咲夜「和食にしてみました、白米、納豆、東風谷早苗からいただいた魚をバター焼きに、それとお味噌汁でございます」

 

 

レミリア「ほほう、霊夢が喜びそうなメニューね♪ もちろん私も喜んでいただくけど」

 

 

レミリア「…うん、喜んでいただくわ…咲夜」

 

 

咲夜「はい、どうぞお召し上がりくださいませ」

 

 

レミリア「いただきます…」スッ

 

 

咲夜「…」

 

 

レミリア「…」モグモグ

 

 

咲夜(聞きたいけど聞ける状況ではありませんね…ここで私が『何かお悩みがあるのでは?』なんて聞いてしまうのは野暮…誰にも知られたくない、言っていないということは悟られたくないのでしょう、ここは黙ってお嬢様を見守るのが一番の選択…しかし)

 

 

咲夜(こんなにもお悩みになられているお嬢様を放っておくなどメイド長として、従者としてはあるまじき行為…何とかお力添えを…)

 

 

レミリア(咲夜は人を喜ばせられる料理をいつでも作れる…咲夜の人柄もあるけど才能と言ってもいい、なのに私はチョコすらもまともに作れない)

 

 

レミリア(私は…どうなのかしら…霊夢はああ言ってくれたけど)

 

 

レミリア(みんなは…紅魔館のみんなは私が作ったチョコをもらって喜んでくれるのかしら…)

 

 

レミリア(も…もし)

 

 

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

フランドール・スカーレット『うわっまっず! お姉様この暗黒物質はなんなの!?』

 

 

パチュリー・ノーレッジ『むぐっ!? げほっげほっ!! れ、レミィよくもこんなものを…私を殺す気なの!?』

 

 

小悪魔(こあ)『うわぁなんて不快な味…あっ、でもイタズラには使えそうですねぇ、これ』

 

 

紅美鈴『お、美味しいですよ…! お、美味し…ご、ごめんなさいお嬢様やっぱり無理です、うぇ…』

 

 

咲夜『お嬢様、もうキッチンに立つのはお辞めください、材料がもったいないので』

 

 

レミリア『み、みんな…!』

 

 

フラン『これ霊夢にあげようとしてるの? こんなものあげたら霊夢が可哀想だわ』

 

 

フラン『壊れちゃえ♪』

 

 

レミリア『ふ、フラン』

 

 

フラン『きゅっとしてドカーン♪』

 

 

レミリア『うっ、うー☆』

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

 

 

レミリア(なんてことになったらどうしよう…!!)

 

 

レミリア(ふ、フランたちがこんなことするわけないじゃない! で、でもバレンタインのチョコなんて渡すの初めてだし…もしかしたら…)

 

 

レミリア(こ、このままではなりかねないわ…! 何とかしなければ…!)プルプル

 

 

レミリア(! 落ち着きなさいレミリア・スカーレット、そもそもみんなに喜んでもらえないのではと私が思ってしまっている原因はチョコの出来が悪すぎるから…! チョコを美味しく作ることが出来れば良いのよ!)グッ

 

 

レミリア(私に今足りないのは時間と、料理の腕…! 何か手は…)プルプル

 

 

咲夜(あぁ、お嬢様が震えたり急に立ち上がったり…そこまでお悩みになられるとは…! 私たちのためにそこまで…嬉しさのあまり手助けをしてあげたくなります!)ウズウズ

 

 

レミリア(うー……! そうだわ! 私は私なりの、私の手でチョコを作る、そうしないと意味はない、教えを乞うのは魔理沙もしていること…咲夜たちに悟られない方法はこれしかないわね)

 

 

レミリア(咲夜がいつも作っているような美味しいチョコを…!)

 

 

レミリア「…咲夜」

 

 

咲夜「はい! 私十六夜咲夜はお嬢様の手となり足となりお嬢様を…はっ!?」

 

 

レミリア「? 咲夜、どうかしたの?」

 

 

咲夜「あ…い、いえ…な、なんでもありません…///」

 

 

レミリア「そう? ならいいけど…それよりも咲夜、これは…そうね、主としての命になるのだけれども聞いてくれるかしら?」

 

 

咲夜「はい、なんなりとお申し付けくださいませ」

 

 

レミリア「ありがとう、あのね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  【紅魔館、門前】

 

 

 

レミリア「それじゃあ行ってくるわ、17時ぐらいには帰ってくると思うから」

 

 

咲夜「お気をつけて、留守はお任せください」

 

 

美鈴「お嬢様、お気をつけて!」

 

 

フラン「ぶー、お姉様だけズルい!」

 

 

レミリア「あなた前に魔理沙の家に泊まりに行ったでしょ、それに私は直ぐに戻ってくるのよ?」

 

 

フラン「ぶー」

 

 

レミリア「あら、寂しいの?」

 

 

フラン「それは無い」

 

 

レミリア「こらっ! 即答しないの!」

 

 

フラン「あはは! 冗談だよ」

 

 

レミリア「! ふふっ…からかうんじゃないの」

 

 

レミリア「それじゃ、パチェとこあにはよろしく言っといてね」スッ

 

 

 

咲夜、美鈴「行ってらっしゃいませ、お嬢様」

 

 

フラン「言ってらっしゃーい」

 

 

 

 

レミリア(…ふぅ、今日は曇りで助かったわ、雨も降らないみたいだし)スタスタ

 

 

レミリア(後は人里で…)

 

 

 

 

美鈴「? あ、パチュリー様、こあさん」

 

 

こあ「皆様お揃いですね」

 

 

パチュリー「…? レミィは?」

 

 

フラン「パチュリー、お姉様なら人里に散歩しに行ったよ」

 

 

パチュリー「散歩、ね」

 

 

フラン「絶対散歩じゃないよね」

 

 

パチュリー「えぇそう思います、ここにいる者皆気付いてますからね」

 

 

パチュリー「咲夜、どう思う?」

 

 

咲夜「恐らくですが…誰かに助力を求めに出たのだと」

 

 

パチュリー「そうでしょうね、はぁ…図書館でお菓子の作り方の本を持っていった時は何事かと思ったけど予想は当たっていたのね」

 

 

こあ「咲夜さんの証言もありますしね、お嬢様、私達にはバレてないと思っているんですよね? バレンタインのチョコを私達のために作っていること」

 

 

フラン「それと霊夢のため、だよね?」

 

 

パチュリー「はい、神社から帰ってきてから様子がおかしかったですからね…でもそう思い続けているなら、このままにしておく方がかえってちょうどいい」

 

 

美鈴「こういうときは黙って見守るのが一番いい方法ですからね」

 

 

フラン「咲夜は助けたくてウズウズしてるけどね♪」

 

 

咲夜「そ、それは…」

 

 

パチュリー「ふふっ、でも良く耐えたじゃない」

 

 

咲夜「ギリギリでしたがお嬢様のお気持ちを汲み取ってなんとか…」

 

 

パチュリー「そう…でもこの状況は好都合、ね」

 

 

フラン「そうだね」

 

 

こあ「はい♪」

 

 

美鈴「ですね」

 

 

咲夜「えぇ」

 

 

パチュリー「キッチンを占領していたレミィがいなくなった、これで堂々と私達もキッチンが使えるわね、咲夜、材料はまだある?」

 

 

咲夜「お嬢様がキッチンに籠り始めてからこの日のために隠しておいた材料がございます」

 

 

こあ「ほんっと流石ですメイド長様!」

 

 

美鈴「よっ! 咲夜さんのメイド長!」

 

 

咲夜「悪口に聞こえるのは私だけかしら?」スッ

 

 

美鈴「ちょっ!? さささ、咲夜さん!?」

 

 

こあ「ナイフ構えないでくださいよぉ!」

 

 

フラン「あははは、ねぇパチュリー」

 

 

パチュリー「はい?」

 

 

フラン「お姉様のお返しに、私たちもお姉様のためにチョコいっぱい作ろうね♪」

 

 

パチュリー「はいもちろん、レミィが帰ってくる前に…急ぎましょう」ニコッ

 

 

 

 

 

パチュリー(レミィ…)

 

 

パチュリー(私達にバレてないと思えるのが不思議でしょうがないわ、これはカリスマ云々ではなく注意力の問題)

 

 

パチュリー(やっぱり最後にはネタバラシした方がレミィの為になるのかしら…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【そのころ人里では…】

 

 

 

 

レミリア「えっ!? いない!?」

 

 

上白沢慧音「あぁ、ミスティアなら命蓮寺に遊びに行ってるぞ、打ち合わせ…とか言ってたな」

 

 

レミリア(人里で料理上手って言ったらミスティア…まさかいないとは…)

 

 

慧音「しかしレミリアがミスティアに会いたいとは珍しいな、いったいどういう風の吹き回しだ?」

 

 

レミリア「! な、なんでもない! そうなのねいないのね! いないのならそれでいいわ、教えてくれて助かったわ、それじゃあね!」ピューン

 

 

慧音「あ、おい…むぅ、行ってしまった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レミリア「えぇー…うっそぉ…」トボトボ

 

 

レミリア「ミスティアの事しか頭に無かったわ…てっきりいるもんだと…」

 

 

レミリア「他に人里で料理が得意な奴って誰かいたかしら…」

 

 

レミリア「…」

 

 

レミリア「あれ…? いない…?」

 

 

レミリア「いないじゃない…」

 

 

レミリア「人里じゃなくて魔法の森の方が良かったかしら…そしたらアリスに教えてもらえた…でも霊夢の愛あるチョコのライバルである魔理沙と一緒に作るってのもどうかと思うし…」

 

 

レミリア「不味いわね、こうしている間にもどんどん時間が過ぎていく…帰りが遅くなれば咲夜、いえパチェに悟られてしまうのがオチ…」トボトボ

 

 

レミリア「ど、どうしよう…! い、いや考えてる暇はない、もうアリスのところで」

 

 

 ドンッ!

 

 

 

紫「あら、ごめんなさい」

 

 

レミリア「あ、こちらこそぶつかってしまってごめんなさい」スッ

 

 

紫「いえいえ、ごめんあそばせ」スッ

 

 

レミリア「…」スタスタ

 

 

紫「…」スタスタ

 

 

レミリア「…」スタスタ

 

 

紫「…」スタスタ

 

 

八雲藍「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レミリア「ちょっと待てぃ!!」

 

 

紫「え~…」

 

 

藍「やっぱりそうなるよな、うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 【人里、休憩所】

 

 

 

レミリア「何で人里にいるの?」

 

 

紫「橙のためのチョコを作る材料を買いにね」

 

 

レミリア「ふーん…で? 何で他人の振りなんてしたのよ」

 

 

紫「スルースキルを磨こうかなって」

 

 

藍「スルースキルが度を超えていると言うのにまだ磨く気ですか」

 

 

紫「やぁほらぁ、メーターが振り切れたらどうなるのかなって」

 

 

藍「スルーし過ぎて誰にも相手にされなくなるんじゃないですか?」

 

 

紫「言い方にトゲがあるわよ藍、まだ怒ってんの?」

 

 

藍「3日もスキマに籠り続けてチョコ作ってました~なんて言い訳で仕事を押し付けられた私の怒りが収まると思いますか!?」

 

 

レミリア「!」

 

 

紫「あなたねぇ、良く考えてみなさいよ? あなたが私の立場で相手が橙だったらぜーったいに同じ事してるわよ?」

 

 

藍「うっ…! そ、それは…」

 

 

紫「ほらぁ♪ 言い返せないじゃなーい♪」

 

 

藍「ぐぬぬ…」プルプル

 

 

紫「おほほのほ♪」

 

 

レミリア「ゆ、紫!」

 

 

紫「うん?」

 

 

レミリア「あなた…もう霊夢のチョコ作ったの?」

 

 

紫「当然じゃない、ゆかりんの愛が100%も凝縮されたチョコレートが私のスキマチルドの中で眠ってるわ、今日の朝完成したのよ」

 

 

レミリア「スキマチルドって…」

 

 

藍「スキマチルドの中では賞味期限の概念が無いんだ、持ち運べる冷蔵庫のようなものか…しかし普通の冷蔵庫の中に入れて置けばとも思うのだが」

 

 

紫「だって誰にも見られたくないんだもん」

 

 

レミリア「ほんと便利な能力よね」

 

 

紫「褒めてもスキマしか開かないわよ」

 

 

藍「濫用はお辞めください」

 

 

紫「藍なだけに?」

 

 

藍「…紫様、ほんとに一回でいいので平手打ちしてもいいですか?」

 

 

紫「暴力はんたーい♪」

 

 

藍「いきますよ紫様」グッ

 

 

紫「ちょっ…!? あなたそれグーじゃない!」

 

 

藍「もうグーでも許される筈です」

 

 

紫「ふっ…主にグーを向けるのか?」キリッ

 

 

藍「…」ググッ

 

 

紫「ちょっ、こらぁ! そんなに振りかぶるんじゃないわよ!」

 

 

レミリア「ふふっ…! あっはははは!」

 

 

紫、藍「!」

 

 

レミリア「見てて飽きないわあなたたち、本当に仲が良いのね」

 

 

紫「そりゃそうよ家族だし、仲の良さなら霊夢と魔理沙にも負けてないわよ」

 

 

藍「…///」

 

 

紫「照れなくたって良いじゃない」

 

 

藍「照れてません…///」カァ

 

 

レミリア(…)

 

 

紫「あら、そういえばあなた一人なの? 咲夜は一緒じゃないの?」

 

 

藍「言われてみれば…珍しいな」

 

 

レミリア「…!」

 

 

藍「?」

 

 

紫「あら、フランと喧嘩でもした?」

 

 

レミリア「違う、そんなんじゃない…」

 

 

紫「…なんかあったの?」

 

 

レミリア「まぁ、うん」

 

 

紫「じゃ話してみれば?」

 

 

レミリア「…! …誰にも言わない?」

 

 

紫「言わないわよ、ゆかりんお口チャック」

 

 

藍「悩みは話してみれば楽になることもある、話してみるといい」

 

 

レミリア「うん、実は…」

 

 

 

 

 

 

 【カリスマ、説明中…】

 

 

 

紫、藍「…」

 

 

レミリア「そういうことなのよ、だから人里で探して」

 

 

紫「レミリアごめん、ちょ、ちょ~っと待ってくれる?」

 

 

紫「藍、ちょっとこっち来なさい」

 

 

藍「はい」

 

 

レミリア「?」

 

 

 

 

 

紫「ねぇ藍」ヒソヒソ

 

 

藍「はい」ヒソヒソ

 

 

紫「レミリアの行為が咲夜達にバレてないと思う?」ヒソヒソ

 

 

藍「バレて…ますよね、確実に」ヒソヒソ

 

 

紫「そうよねぇ…」ヒソヒソ

 

 

藍「それよりもどうします? 話を聞いた手前このままにしておくのも…」ヒソヒソ

 

 

紫「んー…まぁ野生のレミリア状態にしておいてもそれはそれで面白いからいいんだけども」ヒソヒソ

 

 

藍「面白くはないと思いまけど」ヒソヒソ

 

 

紫「…マヨヒガ連れてっちゃう?」ヒソヒソ

 

 

藍「私は構いませんよ、丁度いいじゃないですか、帰って橙の為のチョコを二人で作る予定でしたし、今チョコの材料を買って帰るところでしたしね」ヒソヒソ

 

 

紫「う~ん、でもねぇ…」ヒソヒソ

 

 

藍「何か?」ヒソヒソ

 

 

紫「霊夢に愛あるチョコを渡すライバルでもあるカリスマに手を貸すのはなぁって」ヒソヒソ

 

 

藍「そういうところは気にするんですか」ヒソヒソ

 

 

 

 

レミリア「長いわね、何をヒソヒソと」

 

 

 

 

 ガララッ

 

 

 休憩所の扉を開けた音に、扉に対して背を向けていたレミリアは振り向いた

 

 

 

 

レミリア「うん?」

 

 

???「ふぅ…やはりお燐にも着いてきてもらうべきでしたね…疲れました」

 

 

レミリア「あ」

 

 

???「? あ…」

 

 

 

 

藍「では私がレミリアに教えますよ、紫様は見ていてください」ヒソヒソ

 

 

紫「まっ! さっきまで橙のために一緒にチョコ作りましょうとか言ってたのに仲間外れにするの!? ゆかりん寂しいわ! 寂しい!」

 

 

藍「ちょっ、声大き…というかそういう事じゃないです! 紫様も一緒に作るんですよ!」

 

 

紫「恋敵と一緒に作るっての!? それが悩ましいところなんだって言ってんのよ!」

 

 

藍「そこは妥協して下さいよ! レミリアは家族にも作るって聞いたでしょう!? それに紫様はもう霊夢の分は作ってあるじゃないですか!」

 

 

紫「レミリア派なのね!? この裏切り者め!」

 

 

藍「はぁ!?」

 

 

 

 ギャーギャー! ギャーギャー!

 

 

 

 

 

 

???「お隣失礼します、お久し振りですねレミリアさん、そして珍しいですねこんなところで会うなんて」

 

 

レミリア「それはこちらの台詞よ、さとり」

 

 

???→古明地さとり「ふふっ、そうですね、私も人の事言えないです…それとあのお二人は何を」

 

 

レミリア「さぁ…分かんないわ、私の悩みを聞いてもらって話終えたら急にヒソヒソし出してそしたらあんな感じに」

 

 

さとり「悩み?」

 

 

レミリア「えぇ… !! はっ!」

 

 

さとり「…」ジーッ

 

 

レミリア「うっ…」

 

 

さとり「あぁ…把握しました」

 

 

レミリア「はぁ…あなたに隠し事は無理よね」

 

 

さとり「すいませんね、気になると心を読みたくなってしまうので」

 

 

レミリア「まぁ別にいいけどさ」

 

 

さとり「ありがとうございます」

 

 

レミリア「ところで…なんで人里にいるの?」

 

 

さとり「紫さんたちと同じ理由ですよ、私もチョコの材料を買いにここへ、まぁ家族にチョコを作るためという意味ではレミリアさんと同じになりますが」

 

 

レミリア「…? 地底にも材料売ってるんじゃないの?」

 

 

さとり「地底にもバレンタインの荒波が押し寄せてましてね、材料が品薄状態になってるんです」

 

 

さとり「それに地底と地上の交流等が深まったとはいえ、やはり物資は地上の方が品質が良いのです」

 

 

レミリア「あなた一人で?」

 

 

さとり「お燐とお空は忙しい身ですし、こいしは帰ってきていないですし、私は今日は暇でしたから…お燐に材料の買い出しをしてくるって言ったら一緒に行くってせがまれましたけどなんとか宥めてここまで来れました」

 

 

レミリア「…」

 

 

さとり「仕事の邪魔はしたくありませんでしたし、けどこんなにも荷物が多くなるとは想定外でした、不覚です」

 

 

レミリア「あなたは…」

 

 

さとり「?」

 

 

レミリア「あなたは家族に…チョコの事説明してるのね」

 

 

さとり「私がレミリアさんと同じ事をしようとしても隠し通せる自信が無いですから」

 

 

レミリア「…!」

 

 

さとり「素敵ですねレミリアさんは、家族想いで努力家で、家族のためにそこまでするのは主の鑑だと思いますよ、館の主としてではなく家の長として…の方がしっくり来るかもしれませんね」

 

 

さとり「例えあなたの努力を咲夜さんたちが知らなくても、その思いはきっと咲夜さん達に届くと思います」

 

 

レミリア「! さとり…」

 

 

さとり(ですがチョコの事は咲夜さんたちに気付かれているでしょうね、レミリアさんの事を思っての事か…気付いていない振りをしているのでしょう)

 

 

レミリア「で、でも肝心のチョコがまだ作れてなくて」

 

 

紫「だったら作れば良いじゃない」

 

 

レミ、さと「!」

 

 

紫「弄られてカリスマガードするのがあなたの日常だとしても何時までもウジウジ悩んでいるのなんてあなたらしくないじゃない」

 

 

レミリア「そんな日常送ってないわよ! それに悩みをどうにかしようとしたいから人里に来たんじゃない」

 

 

藍「でももう悩む必要なんてないだろう?」

 

 

レミリア「えっ?」

 

 

紫「ここに今、便利屋の私と料理上手のさとりんがいるのよ? それにチョコを作るための材料もある、全て揃っている」

 

 

レミリア「料理上手って…えぇっ!?」

 

 

さとり「いえい」ピース

 

 

紫「レミリア、協力してあげるわ、こういうのはスキマボックスの役目なんだけれどねぇ、まぁここで出会ったのも何かの縁でしょう、あなた的に言えば運命的なってやつかしら」

 

 

紫「さとり、あなたも協力してくれないかしら?」

 

 

さとり「ふふっ、愚問ですね」

 

 

さとり「良いですよ、私は自分の家族にチョコを作れればそれで良いです、レミリアさんも同じ理由ですし、それにレミリアさんとももっと仲良くしたいとも常日頃思っていましたので」

 

 

レミリア「わ、私と?」

 

 

さとり「家の妹がフランさんと遊んだ時の話をよくしてくれるんですよ、とても楽しそうに」

 

 

さとり「間接的ではありますがレミリアさんにお世話になっているのは事実、恩返しも兼ねてです」

 

 

レミリア「…!」

 

 

さとり「それにしても先程まで取っ組み合いをしていたというのに私を見たとたんの状況整理と作戦を思い付くその頭脳、流石ですね」

 

 

紫「まぁねぇ♪ 伊達に大妖怪してないのよ?」

 

 

さとり「ですが…」

 

 

 

 

 

さとり「そんなボロボロの姿でそれを言われても格好がつかないです」

 

 

紫「だって藍が引っ掻くから」ボロッ

 

 

藍「紫様が服を引っ張るから」ボロッ

 

 

 

 

 

紫「藍、さっきも言ったけど勝負よ」

 

 

藍「えぇ、臨むところです」

 

 

紫「私たちが作ったチョコ」メラメラ

 

 

藍「どっちが橙に一番喜んでもらえるか勝負です」メラメラ

 

 

レミリア「えぇ…」

 

 

さとり「取っ組み合いながらそんな会話してたんですね」

 

 

紫「藍、あなたはマヨヒガに帰りなさい、私はさとりとレミリアと一緒に行くわ」

 

 

藍「分かりました」

 

 

紫「レミリア、本題に入るわ」

 

 

レミリア「え? う、うん」

 

 

紫「さっきも言ったけどあなたのチョコ作りに協力してあげるわ、場所は地底にある地霊殿のキッチン」

 

 

紫「チョコ作りはさとりに教えてもらいなさい、こう見えてもさとりの料理の腕は幻想郷の住人の中で10本の指に入る程の腕前を持っているわ」

 

 

レミリア「えぇぇ!? 本当!?」

 

 

さとり「いえ~い」ピース

 

 

紫「時間の事も心配いらない、今はお昼…日が沈み始める辺りに帰れば咲夜たちも安心するでしょう、後四時間ぐらいかしら」

 

 

紫「今から作れば間に合うわ、私のスキマで地霊殿まで一緒に行くわよ」

 

 

さとり「それは私にとってもありがたいですね、重たい荷物は肩が痛くなります」

 

 

紫「それとさとり、私にもキッチンでチョコ作りをさせてもらえるかしら」

 

 

さとり「もちろん構いませんよ」

 

 

紫「ありがと…で、レミリア」

 

 

レミリア「!」

 

 

紫「何か質問、問題はある?」

 

 

レミリア「…無い、無いけど」

 

 

レミリア「どうしてここまでやってくれるのよ、特に紫、あなたは」

 

 

紫「確かに霊夢のチョコの恋敵ではあるけども」

 

 

紫「家族のために…そこは応援してあげたくなるわ」

 

 

レミリア「!」

 

 

さとり「私も同じ気持ちだからこそ協力したいと思ったんです、レミリアさん、チョコ作り頑張りましょう」

 

 

レミリア「! うん! ありがとう!」

 

 

紫「さあってと! スキマオープン!」スッ

 

 

 ギュオン!

 

 

 

紫「付く先は地霊殿の門前で良いか、藍、それじゃあ行ってくるわ」

 

 

藍「はい、行ってらっしゃいませ」

 

 

紫「…負けないからね!」

 

 

藍「えぇ臨むところです、私のチョコが最高だと橙に言ってもらえるようなチョコを作ります」

 

 

紫「こっちの台詞よ」

 

 

紫、藍「…」ニヤッ

 

 

さとり「バレンタインって色々なところで味方が敵になりますよね」

 

 

レミリア「こんなに殺伐としてるものだったかしら…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【地底、地霊殿門前】

 

 

 

 ギュオン!

 

 

 

紫「到着♪」

 

 

レミリア「10秒も経ってないわね…」

 

 

さとり「助かりました、人里からここまで飛んで来るのも楽ではなかったので」

 

 

紫「行きは怖い帰りはよいよいってね♪」

 

 

レミリア「逆よね、それ」

 

 

 

 タッタッタッ

 

 

 

さとり「おや」

 

 

火焔猫燐「さとり様~♪ 早かったですね、お帰りなさいませってうおう!?」

 

 

紫「はぁい♪ おりんりん、おひさ♪」

 

 

レミリア「久し振りね、火車の…確か火焔猫燐」

 

 

お燐「スキマのお姉さんに、紅魔館の吸血鬼じゃないか!」

 

 

さとり「お燐、ただいま」

 

 

お燐「お帰りなさいませ…ってさとり様、この状況は一体…」

 

 

さとり「私の心を読めば一発じゃないですか」

 

 

お燐「あたいはさとり様じゃないんですからね!? ちゃんと説明してくださいよ!」

 

 

さとり「一からですか? 一から説明しないとダメですか?」

 

 

お燐「一からです!」

 

 

レミリア「さとりもボケ担当なの…?」

 

 

紫「さとりんのボケは一流よ、煽りとボケのハーモニーは秀逸…そこに無表情が入るからさらに面白いのよ♪」

 

 

レミリア「芸人かっ!」

 

 

 

 

 

 【さとりん、説明中…】

 

 

 

お燐「ほぇ~…チョコですか」

 

 

紫「そゆこと」

 

 

レミリア「世話になるわ、燐」

 

 

お燐「ちょっ…/// 恥ずかしいからあたいの事はお燐って呼んでおくれよ」カア

 

 

レミリア「分かったわ、お燐」

 

 

さとり「お燐、そういうわけですのでお二人をキッチンへ、私は荷物を置いてから向かいますので」

 

 

お燐「はい分かりました! それではキッチンへってにゃあぁ!?」

 

 

さ、レ、紫「?」

 

 

お燐「あぁ…さ、さとり様」

 

 

さとり「今日はよく大声を出しますねお燐、どうかしましたか?」

 

 

お燐「じ、実はその…せ、先客が…」

 

 

紫、レミリア「先客?」

 

 

さとり「? …」ジーッ

 

 

お燐「うっ…」

 

 

さとり「…えっ? お燐…何故彼女たちを招き入れたのですか?」

 

 

お燐「えと…あははは…」

 

 

さとり「笑って誤魔化す気ですか?」

 

 

お燐「こ、断りづらくて…それにスキマのお姉さんたちと同じ理由でしたし…」

 

 

さとり「まぁ、あの人の頼みは断りづらいのは分かりますけどね」

 

 

さとり「紫さん、レミリアさん、どうやらキッチンに先客がいるようです、四人程」

 

 

レミリア「えっ、四人?」

 

 

紫「…誰だかな~んとなく分かっちゃった」

 

 

さとり「私たちを含めると7人でチョコを作ることになりそうです、まぁ無駄に広いキッチンですからチョコを作れなくなるという心配はありませんが少し窮屈に感じるかも知れません」

 

 

レミリア「別に私は構わないわ、場所まで提供してくれてる身だし文句は言えないもの」

 

 

紫「右に同じよ」

 

 

さとり「助かります、それでは…お燐」

 

 

お燐「はい、ささっこっちですよ、あたいに着いてきてくださいにゃ~」

 

 

 

レミリア「四人って誰なのかしら?」

 

 

紫「退屈しない連中よ? 色んな意味で」

 

 

レミリア「?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【地霊殿、キッチン前】

 

 

 

お燐「ここだよん♪」

 

 

レミリア「…」キョロキョロ

 

 

紫「何をキョロキョロしてるの?」

 

 

レミリア「私の家と…ちょっと似てるなぁと思って」

 

 

お燐「そう言われると…そうなのかねぇ」

 

 

レミリア「えぇ、でも全体的に紅魔館よりちょっと暗いかしら」

 

 

紫「吸血鬼の館が全体的に明るいのはつっこむところ?」

 

 

お燐「あはは、地霊殿の方がレミリア嬢に合ってるのかもねぇ」

 

 

レミリア「ふふっ、かもね、この雰囲気嫌いじゃないわ」

 

 

 ダカラァ! オマエガ!

 

 

 

 

紫「あら、賑やかねぇ」

 

 

お燐「ま~たもめてんのかな?」

 

 

レミリア「本当に誰なのかしら」

 

 

 

 

 

 

 【地霊殿、キッチン】

 

 

 

水橋パルスィ「だから違うって言ってんでしょうが!」

 

 

星熊勇儀「あぁ? こうじゃねぇのか?」

 

 

 バキッ!

 

 

 

黒谷ヤマメ「ありゃりゃ、ま~たやっちゃったよ」

 

 

キスメ「チョコ…真っ二つ…」

 

 

勇儀「おいパルスィ、また割れちまったぞ?」

 

 

パルスィ「力の加減を考えろって何回言えば分かんのよ妬ましいわね!」

 

 

ヤマメ「それは勇儀の力に? それとも割られたチョコに?」

 

 

パルスィ「あぁ!? チョコに妬む奴が何処にいんのよ!」

 

 

ヤマメ、キスメ、勇儀「…」スッ

 

 

パルスィ「一斉に指差すんじゃねぇわよ!」

 

 

ヤマメ「パルパルは今日もパルってるねぇ」

 

 

キスメ「パルちゃんらしい…よね」

 

 

勇儀「パルってるって新しいなぁ、あははは!」

 

 

ヤマメ「今の場合、甘くてパルル…ってやつかい?」

 

 

勇儀「ぷはっ…! おいヤマメ笑わすなっ…! くくく…!」

 

 

キスメ「ふふふっ…パルルって…ふふっ…」

 

 

パルスィ「うがぁぁ!!」

 

 

 

 ガチャ!

 

 

お燐「ちょっとー? オーブンとか壊してないですよねー?」

 

 

勇儀「おうお燐、それは大丈夫だ、さとりにここ借りてる恩があるからな」 

 

 

パルスィ「どうだか…今にも冷蔵庫とか真っ二つにしそうで見てらんないわね」

 

 

勇儀「パルスィ、私がチョコ作るの見ててくれるって言ったろ? 見ててくれないのか?」

 

 

パルスィ「見るもなにもその前にチョコを破壊しつくすのを止めてくれないかしらねぇ!?」

 

 

ヤマメ「このやり取り何回目だっけねぇ」

 

 

キスメ「四回目…だね…」

 

 

勇儀「だから力の加減を教えてくれって言ってるじゃないか」

 

 

パルスィ「型から取り出すだけなのに力の加減も有ったもんじゃねぇわよ!」

 

 

お燐「あははは、まぁこんな感じだけど大丈夫かい?」

 

 

紫「大丈夫よ、ゆかりん修羅場は潜り抜けて来たもん」スッ

 

 

レミリア「まぁ…大丈夫よ、うん」スッ

 

 

勇儀「お!」

 

 

ヤマメ、キスメ「あ」

 

 

パルスィ「ん!?」

 

 

紫「はぁい地底の四人娘♪ お元気だったかしら?」

 

 

レミリア「勇儀とヤマメ…あの時は世話になったわね」

 

 

勇儀「紫! レミリア! 久し振りだな」

 

 

紫「久し振りねぇ、勇儀」

 

 

勇儀「あぁ一ヶ月振りぐらいか? あ、萃香元気にしてるか?」

 

 

紫「相も変わらず博麗神社で伸び伸びしてるわよ」

 

 

勇儀「そっか、あいつ最近こっち来ないからなぁ」

 

 

レミリア「勇儀、ヤマメ、久し振りね」

 

 

勇儀「おうレミリア、あれから館は壊れてねぇのか?」

 

 

レミリア「お陰様でね、前より頑丈になったって家族の皆が言ってるわよ」

 

 

ヤマメ「そりゃあ私と勇儀と萃香で建て直したからねぇ、半端な仕事は出来ないよ」

 

 

レミリア「ふふっ、大工にでもなったら良いのに」

 

 

ヤマメ「はは、一時考えた事あったよね」

 

 

勇儀「な、あははは!」

 

 

勇儀「うし! せっかく会えたんだし外に出て一緒に運動でも」

 

 

紫、レミリア「しないわよ」

 

 

勇儀「あ?」

 

 

紫「あなたの運動って運動じゃないんだもん」

 

 

レミリア「ストレッチかと思って乗ったら喧嘩だったのには正直驚いたわね」

 

 

勇儀「なんだよー…萎えちまうぜ」

 

 

紫「私たちはチョコを作りに来たのよ、喧嘩してる暇なんてないの」

 

 

ヤマメ「え? あんたたちもかい?」

 

 

紫「色々あってね、さとりも後で来るわよ」

 

 

ヤマメ「あ、帰って来たんだね、ほら勇儀、さっさとチョコ作らないとさとりにどやされちまうよ?」

 

 

勇儀「チョコの残骸見られたらグチグチ言われそうだな、でも隠すってのもなんだかなぁ」

 

 

ヤマメ「鬼の性だねぇ」

 

 

パルスィ「フン! こんなところまで来てチョコ作りに来るとは遠路遙々とご苦労なこったわね!」

 

 

キスメ「パルちゃん…歓迎しますって素直に言えば良いのに…」

 

 

パルスィ「あぁ!? んなこと言えるか!」

 

 

ヤマメ「あ、そう思ってるんだ」

 

 

パルスィ「うぐ…!? う、うるせぇわよ地底のアイドル!」

 

 

ヤマメ「褒められたねぇ♪」ニヤニヤ

 

 

パルスィ「はっ!」

 

 

パルスィ「こ、このチョコ色女ぁ!」

 

 

ヤマメ「? あぁ私の服の色かい? また褒められちまったねぇ♪」ニヤニヤ

 

 

パルスィ「それを褒められたと認識するその頭ん中どうなってんのヤマメぇ! 本当に妬ましい!」

 

 

レミリア「…ねぇ、紫、このうるさいのと桶の妖怪は誰なの?」

 

 

紫「会うの初めて? なら仲良くなるための自己紹介ね」

 

 

紫「この子は釣瓶落としのキスメ、地底の妖怪の中では一番大人しい子ね『鬼火を落とす程度の能力』を持っているわ」

 

 

キスメ「そ、そんな…大人しいだなんて…///」カァ

 

 

パルスィ「何故照れるキスメよ」

 

 

レミリア「へぇ、あなたがあの釣瓶落としなのね、でもそんな風には見えないわね、優しい顔してるもの」

 

 

キスメ「あ、あぅ…///」

 

 

レミリア「紅魔館の主、レミリア・スカーレットよ、よろしくねキスメ」

 

 

キスメ「よ、よろしく…です…レミリアさん」

 

 

ヤマメ「仲良くしてやってね、私が言うのもなんだけどキスメは良い子だからねぇ」

 

 

勇儀「もうちょっと酒に強くなってくれると嬉しいんだけどなぁ」

 

 

パルスィ「鬼の物差しで図るんじゃないわよ、キスメは酒強くないんだから」

 

 

ヤマメ「キスメの事良く分かってるねぇパルパルやっさしー♪」

 

 

パルスィ「ヤマメぇ…!」プルプル

 

 

レミリア「こっちは?」

 

 

紫「水橋パルスィ、橋姫よ『嫉妬心を操る程度の能力』を持っているグリーンアイドルモンスター、ネタマシンガン…まぁ好きに呼んであげるとパルパルと喜ぶ素敵妖怪よ」

 

 

パルスィ「あぁ!?」

 

 

勇儀、ヤマメ「ふはっ…! ふっふふふっ…!」プルプル

 

 

キスメ「ふっ、ふふふふ…!」プルプル

 

 

レミリア「パルパル?」

 

 

パルスィ「ふっざ…! ふざけんじゃないわよあんたぁ! するならちゃんと紹介しなさいよ!」

 

 

紫「えー、ゆかりん何にも間違った事言ってなくない?」

 

 

パルスィ「間違いだらけで妬ましいわぁ!」

 

 

パルスィ「アイドルじゃなくて『グリーンアイド、モンスター』だっつーのよ! アイドルはこいつよ!」ビシッ

 

 

ヤマメ「またまた褒められたねぇ♪」ニヤニヤ

 

 

パルスィ「ネタマシンガンってのもなんなのよ!?」

 

 

紫「妬ましい妬ましいって機関銃の砲撃の如く連呼してるから…ねぇ」

 

 

パルスィ「ねぇじゃねえわよ!」

 

 

紫「妬ましいとネタとマシンガンを掛けてみました♪」

 

 

パルスィ「上手くもねぇわよ! てかましんがんって何なのよ!」

 

 

紫「まぁ簡単に言うと嫉妬深くて他人の幸せが気にくわなくてついつい邪魔をしてしまう橋姫さんよ♪」

 

 

レミリア「し、嫉妬ね…能力の副作用的な感じなのかしら」

 

 

パルスィ「…」

 

 

ヤマメ「ははは、まぁ全部本当の事だけどもこんなパルパルでも良いところがたくさんあってね、誤解しないでほしいんだ」

 

 

パルスィ「…! アイドルでもないし…ましんがんでもないわよ…」

 

 

ヤマメ「そこは置いといて…ほら、地底と地上を繋いでる穴があるだろう? あそこで地底と地上を無事に行き来出来る様に人間や妖怪を見守ってくれる守護神でもあるんだ」

 

 

パルスィ「…!」

 

 

勇儀「それに妬ましい妬ましいと口で言っていても…そういう風に私たちに見せていても…根っこの部分は腐っちゃいねぇんだ」

 

 

キスメ「うん…パルちゃんはとっても優しいの」

 

 

ヤマメ「一度仲良くなってずっと付き合ってるとね? パルパルの良さが分かってるくるもんなのさ、口は悪いけど友達になればそれは素直になれない自分への照れ隠しだってのが分かるんだ」

 

 

パルスィ「!?」

 

 

勇儀「妬むけど人の悪口言わねぇもんな」

 

 

キスメ「前に私が落ち込んでたら励ましてくれたの…」

 

 

ヤマメ「私より落ち込むなんて妬ましいとか言いながらね、あっはっは♪」

 

 

勇儀「あぁ、そこから励ますのかよって笑ったよな」

 

 

ヤマメ「それに何よりさぁ…パルパルって可愛いんだよねぇ」

 

 

パルスィ「ちょっ…!?」

 

 

勇儀「あぁ、可愛いよな」

 

 

キスメ「うん、可愛い」

 

 

パルスィ「はぁ!?」

 

 

ヤマメ「ほら、こうやって照れてるパルパル可愛いでしょ」

 

 

勇儀「大体パルパルってあだ名自体が可愛もんな」

 

 

キスメ「パルちゃん寂しがり屋さんなのも可愛い…」

 

 

パルスィ「っ…///」カァ

 

 

ヤマメ「友達思い」

 

 

勇儀「気配り上手」

 

 

キスメ「優しい」

 

 

ヤマメ「根は素直」

 

 

勇儀「人の心に敏感」

 

 

キスメ「口が上手い」

 

 

ヤマメ「みんなの?」

 

 

勇儀「アイドル」

 

 

キスメ「水橋パルスィ」

 

 

ヤマメ、勇儀、キスメ「うえーい♪」

 

 

パルスィ「やめろぉ!」

 

 

ヤマメ、勇儀「あっはっはっは♪」

 

 

キスメ「ふふっ…」

 

 

パルスィ「言わせておけば有ること無いこと…! 妬ましいったらありゃしない!」

 

 

勇儀「全部有ることじゃねえか」

 

 

パルスィ「うっせぇわよ!」

 

 

勇儀「あっはっはっ!」

 

 

パルスィ「チッ…」

 

 

レミリア「へぇ♪」

 

 

パルスィ「な、何よ」

 

 

レミリア「あなたって友達から愛されてるのね」

 

 

パルスィ「!?」

 

 

レミリア「ちょっと紫、出鱈目を教えるんじゃないわよ、私この橋姫のこと気に入ったわ」

 

 

紫「多少の出鱈目は心の奥底を覗くのに必要な事よ♪」

 

 

ヤマメ「紫も素直じゃないもんねぇ♪」

 

 

紫「えー、ゆかりん超素直よ?」

 

 

ヤマメ「どの口が言うのかねぇ…」

 

 

レミリア「ふふっ、えっと…水橋パルシー?」

 

 

パルスィ「…スィよスィ、スに小さいイ」

 

 

レミリア「パルスィね、私はレミリア・スカーレットよ、よろしくねパルスィ」

 

 

パルスィ「っ…/// な、名前はさっき聞いたわよ」

 

 

レミリア「面と向かって名乗ることに意味があるのよ、仲良くなるための第一歩だもの」

 

 

パルスィ「私と仲良くなっても私に妬まれるだけよ」

 

 

レミリア「カリスマがあると妬まれるのは常…挑むところだわ」ニコッ

 

 

パルスィ「…! ふん…///」

 

 

紫(ほんとレミリアって無意識にカリスマが出るわよねぇ…不思議だわ)

 

 

さとり「そうなんですか?」

 

 

紫「そうよ?」

 

 

さとり「…」

 

 

紫「…」

 

 

紫「読んだわね?」

 

 

さとり「気になったもので、すいませんね」

 

 

紫「いつからいたの?」

 

 

さとり「レミリアさんがパルスィさんに名乗った辺りからです」

 

 

紫「随分と都合の良い登場ねぇ」

 

 

さとり「はてさてなんの事やらです」

 

 

お燐「ではさとり様、あたいはこれで」

 

 

さとり「はい、ご苦労様でしたお燐」

 

 

 

 

勇儀「おうさとり、邪魔してるぞ」

 

 

ヤマメ「キッチンも借りてるよ~♪」

 

 

さとり「はい、私の家に誰かが来るのは良いですし、勇儀さんたちなら大歓迎ですけど」

 

 

さとり「家の家具を壊すのだけはやめて下さいね?」

 

 

勇儀「家に上げてもらってるのにそんなことするわけないだろ」

 

 

さとり「さっきからチョコを砕き割ってダメにしている者の台詞とは思えませんね」

 

 

勇儀「うっ…! 心を読むなよ」

 

 

さとり「それにヤマメさん達の中では『そのうち何かを壊しそう』という思いが巡っているので不安なのです」

 

 

勇儀「おい! お前らな、少しは信用しろよ」

 

 

ヤマメ「酔っ払って私の家の物を壊されたことあったからねぇ」

 

 

キスメ「私も…」

 

 

勇儀「今は酔ってないだろ」

 

 

パルスィ「私の時はシラフだったわよねあんた」

 

 

勇儀「あ~…」

 

 

パルスィ「あ~じゃねぇわよ」

 

 

勇儀「が、頑張って壊さない様にする…うん」

 

 

さとり「そうしてください、チョコ作りは続けていただいて結構ですので」

 

 

レミリア「地底の妖怪は個性的なのばっかりね」

 

 

紫「キャラ濃いもんね」

 

 

さとり「幻想郷に住むもの全員がキャラ濃い気がしますが…まぁそれはさておき」

 

 

さとり「レミリアさんお待たせしました、咲夜さんたちと霊夢さんに喜んでいただけるようなチョコ作り、頑張りましょう」

 

 

レミリア「! えぇ、お願いするわさとり」

 

 

さとり「ではこちらへ」

 

 

紫「さとり、私ここ使うわよ」

 

 

さとり「はい、ボウルとかは好きに使っていただいて結構です」

 

 

紫「はいはい」

 

 

紫(前から思ってたけど本当に無駄に広いわよねぇ、細長いキッチンテーブル三つも並べて…地霊殿の料理人は二人しかいないのに)

 

 

勇儀「お、三チームに分かれて料理対決みたいな構図だな」

 

 

パルスィ「戦ってないから、それに勝負だとしたら負けるのは勇儀、あんたよ」

 

 

勇儀「負けねぇって、料理は根性でなんとかなるだろ?」

 

 

パルスィ「技術と知識だバカやろう」

 

 

 

 

 

 

 【レミリア、さとりチーム】

 

 

 

さとり「レミリアさんの心の奥底を覗いてみたんですけど、形は完璧なのに味が不快なチョコしか作れない様で」

 

 

レミリア「えぇそうなのよ、本読んで勉強して咲夜がやってるように作ってるんだけどどうしても咲夜のお菓子みたいな味に辿り着けなくて」

 

 

さとり(咲夜さんのお菓子みたいな味に…?)

 

 

さとり「…」

 

 

レミリア「…? さとり?」

 

 

さとり「レミリアさん、そのチョコはあなたしか味をみてないんですよね?」

 

 

レミリア「え? えぇそうよ」

 

 

さとり「…レミリアさん、最初私のアドバイスも何も無しで自分の思う通りのチョコを作ってみてくれませんか?」

 

 

レミリア「えっ?」

 

 

さとり「渡すレベルの物じゃなくて簡単な物でいいので作ってみてください、ただこれなら味は完璧だと思う物でお願いします」

 

 

レミリア「わ、分かったわ」スッ

 

 

さとり(レミリアさんは恐らく…いえ、一回レミリアさんの腕前を拝見する意味でも作らせてみましょう)

 

 

 

 

 【お一人様ゆかりんチーム】

 

 

 

紫「何でこっちのテーブルに来るの?」

 

 

ヤマメ「いやぁ、だって暇だしさ」

 

 

キスメ「暇です…」

 

 

紫「いやいや、だったら何でここにいるの? そもそもあなたたち何でチョコ作りに来たのかしら」

 

 

ヤマメ「それは勇儀が酒のチョコがあるって旧都で聞いたらしくて『自分で作ってみたい』って私の家で言い出したからなのさ」

 

 

紫「酒? あぁ、ボンボンのことね」

 

 

キスメ「そうです…『それを作ってお前らに食わせてやるから待ってろ』って言って地霊殿に向かって行ったんですけど」

 

 

ヤマメ「それを黙って見送ったらさ、パルパルが『あいつが一人でまともなチョコを作って来るなんて想像出来ないし信用も出来ない』って言い出してさ」

 

 

紫「んでそれに納得したあなたたちは勇儀追っ掛けて地霊殿入りしたわけね」

 

 

キスメ「はい…」

 

 

紫「勇儀って料理下手だっけ」

 

 

ヤマメ「ドが着くほどね」

 

 

キスメ「前に勇儀さんが作ってくれた地獄カレーなるものをいただいたんですけど…」

 

 

ヤマメ「もう見事にね、焦げだらけで食えたもんじゃなかった」

 

 

紫「色々な意味で地獄ね、それ」

 

 

キスメ「だから『私たちの胃袋を破壊するチョコを食わされる前に勇儀にまともなチョコを作らせる』ってパルちゃん意気込んでたよね」

 

 

紫「パルスィもお節介焼きねぇ」

 

 

ヤマメ「あははは、そうだね」

 

 

キスメ「パルちゃん私たちの中で一番お料理上手なんです」

 

 

紫「へぇ女子力高いんだ、ちょっと意外」

 

 

ヤマメ「そこもパルパルの魅力だよねぇ♪」

 

 

紫「でもいいのかしらね」

 

 

ヤマメ、キスメ「え?」

 

 

紫「自分の女子力が高かったら『あんたの女子力の高さが妬ましい』とか言えなくなるんじゃない?」

 

 

ヤマメ、キスメ「…」

 

 

ヤマメ「紫、それパルパルに言わないであげておくれよ?」

 

 

キスメ「たぶんすっごく落ち込むと思います…」

 

 

紫「自分のスキルと能力の両立で難儀するのってパルスィだけの様な気がするわね…」

 

 

 

 

 

 【勇パルチーム】

 

 

 

パルスィ「あんたが作るチョコ…いや料理全般に言えることだけど必要な物ってなんだかわかる?」

 

 

勇儀「だから根性」

 

 

パルスィ「ちげぇわよ! 何でもかんでも入れすぎないって事よ」

 

 

勇儀「力は入ってるな」

 

 

パルスィ「力も入れない、調味料も入れすぎない、火も入れすぎない…分かるでしょ?」

 

 

勇儀「なぁパルスィよぉ」

 

 

パルスィ「あ?」

 

 

勇儀「おにぎりあるだろ? おにぎり」

 

 

パルスィ「それが?」

 

 

勇儀「おにぎりの具がいっぱい入ってたらうめぇだろうが!」

 

 

パルスィ「物によるってのよ!! 作ってる料理の物にぃ!!」

 

 

 

紫「おにぎりの話しないでくれないかしらねぇ…」イライラ

 

 

 

さとり「そういえば紫さんおにぎり大嫌いでしたね」

 

 

レミリア「え? 何で?」

 

 

さとり「それは…」

 

 

さとり「いえ、やめておきましょう」

 

 

レミリア「…?」

 

 

 

 

 【1時間後…】

 

 

 

紫「よっし、出来たわ♪ 後は冷やして固めるのみ」

 

 

ヤマメ、キスメ「…」

 

 

紫「ふふっ、橙喜んでくれるかしら」

 

 

キスメ「ヤマメちゃん…紫さんって…」ヒソヒソ

 

 

ヤマメ「うん、紫は女子力とかそういうんじゃないの、ただただ料理が上手いのさ」ヒソヒソ

 

 

キスメ「見ているだけで勉強になるね…」ヒソヒソ

 

 

 

 

 

パルスィ「はぁ…やっと型から取り出せた…」

 

 

勇儀「後はこれを冷やせば良いんだろ? ラクショーだったな」

 

 

パルスィ「ここまでくるのに5回も失敗した奴がよく言うわ…」

 

 

勇儀「失敗は成功のもとって言うだろ?」

 

 

パルスィ「そういう言葉を身に付ける前に料理の腕を付けなさいよ、まだ味見もしてないのに」

 

 

勇儀「大丈夫だっての、絶対美味いから」

 

 

パルスィ「その楽観的思考が妬ましい」

 

 

 

 

紫「あのチョコ酒の匂いがキツいわね」

 

 

ヤマメ「純米大吟醸使って作ったんだよ」

 

 

紫「高級品になり得るわね、外の世界なら余計に」

 

 

 

 

 

 

 

さとり「…」パクッ

 

 

さとり「ん~…」モグモグ

 

 

レミリア「どう? さとり」

 

 

さとり「どうもなにも…」モグモグ

 

 

さとり(やはりレミリアさんは気付いていないようですね)

 

 

レミリア「あ、やっぱりダメだった? もう…どうしても不快な味になるのね…ねぇさとり、私何処で間違えた? 何をどこでどう間違えたのかはっきり言って?」

 

 

さとり「…レミリアさん」ズイッ

 

 

レミリア「…!」

 

 

さとり「…」ジーッ

 

 

レミリア「う…」

 

 

さとり「…」

 

 

 

 

 

 

さとり「このチョコレート凄く美味しいです」

 

 

レミリア「……」

 

 

 

 

 

 

 

レミリア「えぇっ!!?」

 

 

さとり「チョコ作りの工程、砂糖等の分量計算などなど…全てにおいて完璧でした」

 

 

さとり「料理が得意な方が『初めてだけど作ってみようかな』の精神で作って成功したみたいな感じでしょうか、それにしては手際が良い…私が教える事は特に無いです」

 

 

さとり「レミリアさんの努力が稔ってると思います、本で勉強した事も咲夜さんのお菓子作りを間近で見ていた事も無駄ではなかった、ほろ苦い甘さが食欲をそそりますね」

 

 

レミリア「う、嘘よ! だってこんな」ヒョイ

 

 

 パクッ!

 

 

レミリア「…! ほら! 味も何もあったもんじゃない、不快な味よ! さとり、私の事を思っての評価だったとしてもこれは」

 

 

さとり「その不快な味…というのが引っ掛かってたんですけど」

 

 

さとり「何を思っての不快、なのですか?」

 

 

レミリア「だから…! だから咲夜のお菓子みたいな味がしないから」

 

 

さとり「このチョコレートを作ったのは誰ですか?」

 

 

レミリア「…!」

 

 

さとり「レミリアさんが一から勉強して作り上げたチョコレートですよね? 家族のため、霊夢さんのためにと…」

 

 

さとり「咲夜さんの作ったチョコレートと完璧に同じ味がするものをレミリアさんが作ってどうするんですか?」

 

 

さとり「確かに美味しいチョコレートを貰う、自信作の物をあげれば双方喜ぶでしょう…しかし」

 

 

さとり「レミリアさんが作ったという事実と、レミリアさんのこれが美味しいと思った味のチョコを作りあげたという確たる事実があって初めて自分の真心を込めたチョコを皆さんに渡せるのではないですか?」

 

 

レミリア「…!!」

 

 

さとり「咲夜さんたちはレミリアさんがチョコを作っているという努力は知らないでしょう、だからこそ」

 

 

さとり「咲夜さんの作るお菓子の味を真似したレミリアさんのチョコレートではなく、レミリアさんが作り上げたオリジナルのチョコレートを渡すんです」

 

 

さとり「咲夜さんと同じ様な物を作って『これ咲夜さんの作るお菓子と同じ様な味がする』という感想をレミリアさんは欲していますか? そんな感想を言われたらレミリアさんが傷付いてしまう可能性もあるんですよ?」

 

 

さとり「初めてのことですから不安になる気持ちも分かります、ですがもっと自信を持ってください」

 

 

さとり「レミリアさんが自分の思う心のままに作ればそのチョコにはレミリアさんの思いが込められるのですから」ニコッ

 

 

レミリア「…! さとり」フルフル

 

 

レミリア「さとりぃ!」スッ

 

 

 ガシッ!

 

 

さとり「うっ…! れ、レミリアさん…!?」

 

 

レミリア「ありがと…! ありがとうさとり!」

 

 

さとり「あ、あの…/// きゅ、急に抱き着くのは、そのえっと…///」カア

 

 

レミリア「私、大切なものを失いかけていたわ」

 

 

さとり「!」

 

 

レミリア「そうよね、私のチョコじゃないと意味がないのよね…そうじゃないと私の気持ちが、思いが伝わらない」

 

 

レミリア「『いつもありがとう、これからもよろしくね』って…言葉は簡単に出せるけど、これをチョコに乗せるのって難しいわね」

 

 

さとり「…! …そこまで考えられているのなら答えはもう出てますね」

 

 

レミリア「えぇ、咲夜のを真似た物ではなく私のオリジナルのチョコレートを作るわ! 皆に喜んでもらえる様な最高のチョコをね!」

 

 

さとり「ふふっ…♪」

 

 

 

 

 

紫(カリスマも一皮剥けたかしら♪)

 

 

紫(…あ、剥けたらダメよね)

 

 

 

 

レミリア「でもさとり、味に関してはこれ私には本当に不快で…」

 

 

さとり「私は美味しいと思いますけど、現に美味しかったですし」

 

 

レミリア「…う~ん」

 

 

さとり「それに関してもレミリアさんに自信を持って貰うために協力してもらいましょうか」

 

 

さとり「皆さん、少しよろしいですか?」

 

 

 

 

紫「うん?」

 

 

ヤマメ「どったの?」

 

 

勇儀「何だ?」

 

 

 

さとり「レミリアさんに試験的に作っていただいたチョコなんですけど味見をしてもらえませんか?」

 

 

さとり「このチョコ、レミリアさんには私の手解き無しで作っていただいたものです」

 

 

紫「あら、これ本当にあなた一人で作ったの?」

 

 

レミリア「え、えぇそうよ」

 

 

さとり「食べて率直な感想をお願いします」

 

 

キスメ「美味しそう…」

 

 

パルスィ「見た目は…普通ね、毒味にならなきゃ良いけど」

 

 

ヤマメ「そんなこと言っちゃダメだよパルパル!」

 

 

パルスィ「わ、悪かったわね…」

 

 

勇儀「んじゃ食うぞ? 私は不味いか美味いかはっきり言うからな?」

 

 

さとり「そうでないと困ります」

 

 

紫「それじゃいただくわ」

 

 

 スッ パクッ パクッ

 

 

 

レミリア「…!」

 

 

さとり「…」

 

 

 モグモグ モグモグ

 

 

さとり「いかがです?」

 

 

ヤマメ「おっ! 美味しいじゃん♪」

 

 

キスメ「うん、凄く美味しい」

 

 

レミリア「!」

 

 

ヤマメ「比べちゃ悪いけどさ、そこらで売ってるやつよりちょっと上って感じじゃないかい?」

 

 

キスメ「あはは…でも、そうだね…ほんとに美味しい」

 

 

紫「ば、バカなっ…!」

 

 

レミリア「え!?」

 

 

紫「カリスマのチョコレートが美味い…だと!?」

 

 

さとり「普通に感想が言えないんですかあなたは」

 

 

紫「だってぇ! 一応恋敵だし!」

 

 

さとり「大人気無いです、子供に聞かせる台詞ではありませんね」

 

 

レミリア「さ、さとり、これでも私一応500年は…」

 

 

ヤマメ「パルパルは?」

 

 

パルスィ「…」

 

 

パルスィ「ほろ苦い甘さ、口溶けも程良い…カカオブレンドのビターな味…あー…」

 

 

 

 

パルスィ「妬ましい」

 

 

キスメ「最終的にそれなんだ…」

 

 

ヤマメ「美味しいってさ、良かったね♪」

 

 

レミリア「…!」

 

 

パルスィ「んなこと言ってねぇわよ!」

 

 

ヤマメ「じゃあ不味いの?」

 

 

パルスィ「別に不味かねぇわよ、寧ろおいち…!!」

 

 

ヤマメ「ぶふっ…!? お、おいちいの…? パルスィちゃん?」プルプル

 

 

キスメ「ふはっ…! ふっ…ふふふふっ…」プルプル

 

 

ヤマメ「よかったぁ♪ ほらお母さんがもう一個食べさせてあげるからね♪ はい、あーん♪」

 

 

パルスィ「ぶっ飛ばすわよヤマメぇ!!」

 

 

ヤマメ「うははは♪」

 

 

勇儀「…」

 

 

さとり「勇儀さんはどうですか?」

 

 

勇儀「…うめぇ」

 

 

レミリア「!」

 

 

勇儀「美味いじゃんか、これ」

 

 

レミリア「へっ…?」

 

 

勇儀「おいおい、これにさとりの手が加わるのか? もう加えなくても充分過ぎるだろ」

 

 

レミリア「!」

 

 

勇儀「なぁもう一個食っていいか?」

 

 

レミリア「そ、そんな…だ、だって」

 

 

勇儀「あん?」

 

 

さとり「自分で食べて美味しくないそうなんです」

 

 

勇儀「あぁ? こんなに美味いのにか?」

 

 

紫(あぁそういうこと、か♪)

 

 

レミリア「勇儀、気を使って言ってくれてるのならそれは」

 

 

勇儀「お前…萃香のダチなんだろ? だったら私の事も分かるよな?」

 

 

勇儀「鬼は嘘付かないんだぜ?」

 

 

レミリア「…!」

 

 

紫「勇儀まで美味いと言ってるのにまだ納得出来ないのかしら?」

 

 

レミリア「…」

 

 

紫「あなたがそれを不味いと思う原因はあなたにあるのよレミリア」

 

 

レミリア「!?」

 

 

紫「料理の腕前とかそういうレベルのお話じゃないのよレミリア…あなたさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「咲夜のお菓子の味を基準として舌が機能してるからちょっとした味音痴なんじゃないの?」

 

 

レミリア「……」

 

 

レミリア「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レミリア「はぁぁぁぁ!!?」

 

 

レミリア「わ、私が!? この私が味音痴ですって!?」

 

 

さとり「あ、やはりそうでしたか」

 

 

紫「そうとしか考えられないんだけど」

 

 

レミリア「さとりまで!?」

 

 

さとり「レミリアさん、その、そうとしか…はい、考えられません、はい…」

 

 

レミリア「気を使わないでよさとりぃ!」

 

 

勇儀「わかんねぇな、味音痴って感覚が」

 

 

ヤマメ「まさかの味音痴とはね」

 

 

パルスィ「でも音痴だとしても不快な味としてとらえるのはどうかしてると思うわ」

 

 

キスメ「どうしてそうなるんですか?」

 

 

紫「ん~、まぁ簡単に言っちゃうとねぇ」

 

 

紫「咲夜のお菓子は一度食べたら忘れられないほど美味い、それを毎日食べる…これを基準に考えるでしょ?」

 

 

紫「加えてレミリアの食べてきたお菓子遍歴を考えるとアリスに始まり妖夢、霊夢、ミスティア、恐らく鈴仙やうちの藍のお菓子も食べたことあるでしょう」

 

 

紫「どれも料理に定評のある者たちばかり…そしてレミリアは人里とかの出店のお菓子は食べない」

 

 

紫「ヤマメとキスメのレミリアへのチョコレートへの評価が的を得ていて『そこらで売ってるやつよりちょっと上って感じ』この評価事態は悪い評価ではないし寧ろ好意的な評価なんだけどね、作った本人は喜ぶレベルなのにね」

 

 

パルスィ「! あぁ、それか」

 

 

紫「そうそれが原因、つまり」

 

 

 

 

紫「あなたはお菓子に対して舌が肥えすぎているのよ!!」

 

 

 

 

レミリア「うえぇぇ!?」ガビーン

 

 

さとり「お菓子に対してだけは贅沢をし過ぎて高級品以外舌が認めないと言ったところでしょうか、それが自分の作ったお菓子やチョコにも発動してしまった」

 

 

パルスィ「物凄い妬ましいじゃない! ほら、私に妬まれなさい! 庶民のお菓子食いなさい!」

 

 

ヤマメ「妬ましいと言うか羨ましいと言うか…あのメイドさんのお菓子が食べたくなるねぇ」

 

 

キスメ「ね、でもこんなことってあるんだ…」

 

 

勇儀「う~ん、あぁ駄目だ! 味音痴の感覚がわかんねぇ」

 

 

さとり「レミリアさんは最初から美味しいチョコを作れていた…ということになりますね」

 

 

紫「そうなっちゃうわねぇ」

 

 

紫「あなた他の食べ物に関しては庶民派なのにね、納豆とかさ」

 

 

レミリア「そ、そんな…私が味音痴だなんて」orz

 

 

紫「悪魔でもお菓子だけよ? あ♪ あなた悪魔じゃない♪ 良かったわね」

 

 

レミリア「良くないわよ…それじゃあなんのために今まで悩んでたんだってなるじゃない…」

 

 

紫「でもそうやって悩んだからこそ今ここにこうしているんでしょ?」

 

 

レミリア「…!」

 

 

紫「人里で私と藍に会ったのも、さとりに会ったのも、勇儀たちと会ったのも…そしてお菓子作りのなんたるかをさとりから学んだことも」

 

 

さとり「…」

 

 

紫「あなたにとってはどんな感じなのかしら?」

 

 

レミリア「…」

 

 

レミリア「ふっ…なによ、またいつもみたいに回りくどい言い方してさ」

 

 

紫「ふふっ」

 

 

レミリア「悩んで良かった…なんて言い方は変だけどお陰で得たものが沢山あったわ」

 

 

レミリア「皆、色々とありがとう」

 

 

ヤマメ「あはは、私たちはお菓子の感想言っただけなのにねぇ」

 

 

レミリア「私の悩み解決に協力してくれた事は確か、感謝してるわ」

 

 

パルスィ「…」

 

 

勇儀、キスメ「…」ジッ

 

 

勇儀「あれ、パルらねぇな」ヒソヒソ

 

 

キスメ「パルパルしないね…ん?」ヒソヒソ

 

 

パルスィ「ネタマシイ…」ブツブツ

 

 

キスメ「小声で言ってる」ヒソヒソ

 

 

勇儀「空気読めるようになったか」ヒソヒソ

 

 

さとり(元からパルスィさんは空気が読めるタイプだと思うのですが…)

 

 

レミリア「さとり」

 

 

さとり「! はい?」

 

 

レミリア「あなたには本当に感謝してるわ」

 

 

レミリア「あなたの言葉のお陰で大切なものを取り戻す事が出来たんですもの…改めてお礼を言わせて? ありがとう、さとり」ニコッ

 

 

さとり「! …///」カア

 

 

紫「あらさとり、顔が赤いわよ?」

 

 

さとり「め、面と向かってこういうことを言われるのに慣れてないだけです…」

 

 

レミリア「ふふっ」ニコッ

 

 

さとり「! ふふっ…」ニコッ

 

 

紫「さて! レミリア、もう何も心配要らないわね、チョコ作り頑張りなさい」

 

 

レミリア「! えぇ、やってやるわ!」

 

 

さとり「ふふっ、私のサポートはもう必要なさそうですね、なら私もこいしたちのために作るとします」

 

 

レミリア「お互い頑張りましょ、さとり」

 

 

さとり「はい、ふふっ」

 

 

 

紫「あ~あ、恋敵を応援しちゃったわ」

 

 

勇儀「の割には嬉しそうな顔してるな」

 

 

紫「そう見えちゃう?」

 

 

勇儀「清々しいってやつだな」

 

 

紫「あらあらうふふ♪」

 

 

勇儀「誤魔化すなっての」

 

 

紫「あ、ねぇ、あなたたちは互いにチョコ作らないの?」

 

 

ヤマメ「あぁ、ほら…いつも一緒にいるからなんか小っ恥ずかしくて」

 

 

キスメ「う、うん…///」

 

 

勇儀「だから私のチョコでバレンタイン気分味わうんだろ?」

 

 

パルスィ「私が手伝ったチョコでね!」

 

 

勇儀「まぁ細かいことは気にしないで明日を楽しもうぜ」

 

 

パルスィ「あぁん!?」

 

 

紫「明日はパルスィ書き入れ時よね」

 

 

ヤマメ「明日の地底はパルパルにはご用心だからねぇ」

 

 

キスメ「特にカップルさんたちはご用心です…」

 

 

ヤマメ「人間でも妖怪でも関係なし、家の中で渡しても乗り込んで妬む事があるから注意してね♪」

 

 

紫「なんか精神攻撃するなまはげみたいね」

 

 

 

 

 

 

 【そしてさらに1時間後…】

 

 

 

レミリア「出来た~!」

 

 

さとり「こちらも出来ました、お疲れ様でしたレミリアさん」

 

 

レミリア「さとりもね、ふぅ~…」

 

 

紫「どれも違った形で個性出てるわね」

 

 

レミリア「でしょ? これが咲夜ので…これがフランのよ」

 

 

紫「霊夢のは?」

 

 

レミリア「それはこ…!」

 

 

紫「うん?」

 

 

レミリア「教えたら『恋敵撲滅!』とか言って砕こうとか考えてない!?」

 

 

紫「恋敵とは言えそこまでゆかりん腐っちゃいないわぁ! このバカちんがぁ!」

 

 

レミリア「そ、そうよね…ほら、この一番小さいやつよ」

 

 

さとり「流石の紫さんとてそこまでしたら嫌われるのが目に見えてるのでやらないでしょう」

 

 

紫「なんかその言い方だと嫌われない範疇だったら私がやるみたいな感じなんですけど」

 

 

さとり「え? やらないんですか?」

 

 

紫「…」メソラシ

 

 

レミリア「やるんかい!」

 

 

紫「非常事態の時だけよ、もしも…もしもよ? 月の綿月が霊夢にチョコを作ったら叩き割ってやるわ」

 

 

レミリア「うげっ、何であいつらが出てくんのよ」

 

 

紫「妹の方は霊夢の事気に入ってるから…イラッとするから砕いてやるわ、まぁあり得ないけど」

 

 

さとり「…」ジーッ

 

 

さとり(紫さんの月の民嫌いは直りそうにないですね、レミリアさんはその妹さんに少しトラウマありですか)

 

 

さとり(鈴仙さんや輝夜さん、永琳さんの事は嫌ってる訳ではないみたいですね、何故…?)

 

 

さとり(おや、これ以上は結界が張られていて覗けませんね、残念…)

 

 

紫「…レミリア」

 

 

レミリア「うん?」

 

 

紫「チョコは完成したけど何か足りないわよね?」

 

 

レミリア「えっ?」

 

 

紫「バレンタインのチョコとして渡すんだから包装しなきゃでしょ?」

 

 

レミリア「あっ…! そうだった…」 

 

 

さとり「プレゼントですからね」

 

 

紫「サービスしてあげるわ」スッ

 

 

 

 ギュオン!

 

 

 紫はスキマの中から何枚かの包装紙とリボンを取り出した

 

 

 

紫「はい、どれでも好きなの使っていいから」

 

 

レミリア「! いいの?」

 

 

紫「えぇ、どうぞ?」

 

 

レミリア「あ、ありがとう…助かるわ」

 

 

レミリア「…今日の紫っていつもの紫じゃないみたいね」

 

 

紫「そう?」

 

 

レミリア「だっていつになく優しいし」

 

 

紫「ゆかりんいつも優しいじゃない」

 

 

レミリア「太っ腹だし」 

 

 

紫「幻想の少女に太ってる奴などおらぬわぁ」

 

 

さとり(少女…? …いや、やめておきましょう)

 

 

レミリア「私の事もいじらないし」

 

 

紫「いじってほしいならカリスマガードさせるほどいじるけど?」ニタァ

 

 

レミリア「や、やめなさいよ!」

 

 

紫「ふふっ、ほら早く包装しちゃいなさいな」

 

 

レミリア「分かってるわよ…」

 

 

レミリア(やっぱりいつもの紫か…むむむ)

 

 

さとり「…」ジーッ

 

 

紫「…さとり」

 

 

さとり「ふふっ、言いませんよ、そこまで野暮じゃないですから」

 

 

紫「そ…」

 

 

紫「…」チラッ

 

 

 

勇儀「また明日さとりん家にこれ取りに来て私の家でバレンタインパーティーするって計画なんだが」

 

 

ヤマメ「いいけどバレンタインパーティーという名の飲み会にならないか不安だよあたしゃ」

 

 

キスメ「同じく…」

 

 

パルスィ「行けたら行くわ」

 

 

勇儀「その便利な言葉やめろっての、チョコの刻参りが済んだら家に来てくれな」

 

 

パルスィ「ふん、まぁ私が作ったチョコの味もみたいから行ってもいいけどね」

 

 

勇儀「私が作ったんだろうが」

 

 

パルスィ「7割は私のお陰でしょうが!」

 

 

 

 

紫「賑やかねぇ地底は」

 

 

さとり「賑やかになった…が正解ですよ」

 

 

さとり「地底と地上の交流が進んで得たものが大きかったですからね、主に守矢さんたちの影響でです」

 

 

紫「まぁちょーっと? 好き勝手し過ぎじゃないかと思う今日この頃」

 

 

さとり「でも守矢さんたちには感謝してるんですよね? 地底がこうなった事については」

 

 

紫「…あなたも今日おしゃべりが過ぎるんじゃないの?」

 

 

さとり「睨まないでくださいよ」

 

 

紫「ゆかりん睨んでない」

 

 

紫「…」

 

 

さとり「…」

 

 

紫「地底の事はこれからもあなたに任せるわ」

 

 

さとり「何百年か前にも聞きましたねそれ」

 

 

紫「…」

 

 

さとり「おっと、さとりんお口チャックです、ジジジジジ~」

 

 

紫「さらっと人の芸パクるのやめて」

 

 

さとり「芸だったんですかこれ」

 

 

 

レミリア「えと、これはフランのチョコにしましょう♪ 紅いからスカーレットの名に相応しい色合いだわ」

 

 

紫「…レミリア」

 

 

レミリア「なに?」

 

 

紫「もうすぐ16時になるけどそろそろ帰る?」

 

 

レミリア「あら、もうそんな時間なのね、でも後ちょっと待って、包装はちゃんとしたいのよ」

 

 

レミリア「あれ? さとり、あなたは包装しないの?」

 

 

さとり「私は家にずっといますから夜にでもやります、お燐たちが眠ったぐらいにこそこそと♪」ニコッ

 

 

レミリア「そっか…!」

 

 

紫「むぅ、包装し終わるまで暇ねぇ」

 

 

さとり「勇儀さんとバトルしてくればいいじゃないですか」

 

 

紫「嫌よ勇儀って本気でやるから」

 

 

さとり「暇潰しでは済まないですね」

 

 

紫「はぁ… ! さとり、バトルといえば」

 

 

さとり「…! えぇ…ここでやるんですか?」

 

 

レミリア「?」

 

 

紫「キッチンルールでやったらすぐ終わらない?」

 

 

さとり「まぁ、はい、そうですけど…」

 

 

レミリア「は…? えっ!? キッチン!?」

 

 

 

 

さとり「○○りんバトル…」

 

 

紫「○○りんとあだ名を付けられる、もしくは名前に入っている者しか挑戦することが出来ない幻想郷の伝統勝負」

 

 

さとり「弾幕ごっこに絶対に勝ることはない、女と女の伝統勝負」

 

 

 

レミリア「はい!?」

 

 

紫「さっきも言ったけどキッチンルールよ!」

 

 

さとり「はい、今度は私が勝ちます」

 

 

紫「勝負よ! 古明地さとり!」

 

 

さとり「捩じ伏せてあげますからかかってきなさい!」

 

 

レミリア「なんか始まったー!?」

 

 

 

 

 

 

 【地霊殿、廊下】

 

 

 

霊烏路空「あのカリスマさんも来てるんだぁ♪」

 

 

お燐「そうだよ、皆でチョコ作りに励んでいるのさ」

 

 

お空「わぁ…♪」キラキラ

 

 

お燐「どったのお空?」

 

 

お空「私あのカリスマさんとは仲良くしてみたかったんだよー!」

 

 

お燐「え? お空が? 何でさ」

 

 

お空「こいし様が『カリスマさんってとっても面白くて優しい人』だって言ってたから仲良く出来たらなぁって♪」

 

 

お燐「お…う~ん、大丈夫かなぁ」

 

 

お空「うにゅ? 何が?」

 

 

お燐「だってお空、あんたは仮にも太陽なんだよ?」

 

 

お空「そんなこと分かってるよ~♪」

 

 

お燐「…分かってないねこりゃ」

 

 

お空「ほぇ?」

 

 

お燐(太陽と吸血鬼が仲良しとか…う~ん、有り?)

 

 

 オルァ! クッ!

 

 ドカーン!

 

 

お燐、お空「!?」

 

 

お燐「え!? な、何事だい!?」

 

 

お空「キッチンの方から聞こえたよ!」

 

 

お燐「えぇぇキッチン!? やっぱり!? 空耳で有ってほしかったけどもさぁ!」

 

 

お空「行こうお燐!」スッ

 

 

お燐「あっ、待ちなよお空!」スッ

 

 

 

 

 

 

 【地霊殿、キッチン】

 

 

 

お空「さとり様!」

 

 

お燐「さとり様! さっきの音はなんですかってえぇぇ!?」

 

 

 

紫「はぁ、はぁ…!」

 

 

さとり「ふぅ…ふぅ…」

 

 

 キッチンに入ったお燐とお空が見たものはキッチンにはとても似つかわしくない光景だった、それもそのはず。

 

 

 

さとり「あぁ、お燐…! お空、お仕事お疲れ様で」

 

 

紫「余所見してんじゃないわよさとりぃ!」

 

 

さとり「!」スッ

 

 

 ボゴォン!

 

 

 

 キッチンの部屋半分を覆っている結界の中で乱闘しているさとりと紫を見たら誰しもがここで何をしてるんだと思うからだ。

 

 

 

レミリア「何をし出してんのよ二人して!」

 

 

紫「○○りんバトルだって言ってるでしょうが!」

 

 

レミリア「何じゃそりゃぁ!」

 

 

お燐「いぃ!? こ、ここでやってんの!?」

 

 

紫「レミリア! さっさと包装なさい! さとり倒してさっさと帰るんだからね!」

 

 

レミリア「気になって集中出来るかぁ!」

 

 

 

勇儀「どういう形式なんだ…? 何をしたら勝ちなんだ?」

 

 

ヤマメ「考察してる場合かい!?」

 

 

キスメ「紫さんとさとりさんが何をしているのかさっぱりです…」

 

 

パルスィ「カオスだわ…理解が及ばない」

 

 

 

 

 

紫「キッチンペーパーを初手で使うなんて汚いわよさとりぃ!」

 

 

さとり「前にパン屋さんルールでチョコクロワッサンを使った人の台詞とは思えませんね」

 

 

紫「あなただってメロンパン使ったでしょう!?」

 

 

さとり「ふっ…そのメロンパンをチョコクロワッサンで潰された私の気持ちが分かりますか!?」

 

 

さとり「私は許しませんよ! あの時の勝負!」

 

 

紫「根に持ってたんかい!」

 

 

さとり「サラダ油!」

 

 

紫「ぬぁ!?」

 

 

さとり「ふふふ、これであのパンの袋をとめるアレとティースプーンのシナジーコンボは使えませんよ!」

 

 

紫「炊飯器! スポンジ!」

 

 

さとり「! あなたはいつもそうだ!」

 

 

さとり「守りに守って最終的に相手の隙を付く戦法、古いんですよ!」

 

 

紫「誰がババァだクルァ!」ズズズ

 

 

さとり「そんなこと言ってませんよ!」スッ

 

 

 ゴッ、ボゴッ!

 

 

 

 

お空「な、なんかさとり様楽しそう!」

 

 

お燐「楽しく無いよあんなもん!」

 

 

勇儀「おいお燐、お前アレがなんだか知ってんのか?」

 

 

お燐「え!? えっと~…」

 

 

勇儀「知ってるなら教えてくれ、私は知りたいんだ」

 

 

お燐「えぇぇ…」

 

 

ヤマメ「バトルオタクが出てるね」ヒソヒソ

 

 

キスメ「うん」

 

 

パルスィ「いや、こんなもん知ってどうすんのよ」ヒソヒソ

 

 

 

お燐「知ってるというか…やったことがあるというか…」

 

 

レミ、ヤマ、キス「えぇ!?」

 

 

パルスィ「あんたが? アレを?」

 

 

勇儀「教えてくれ、お燐」

 

 

お燐「アレは…」

 

 

お燐「ただのノリだよ」

 

 

ヤマメ「の、ノリ?」

 

 

お燐「○○りんとあだ名を付けられる、もしくはそう呼ばれる者しか挑戦することは出来ない、弾幕勝負には勝ることはない遊戯」

 

 

お燐「毎年一回、スキマのお姉さんのスキマの中で大会が開かれる」

 

 

ヤマメ、パルスィ、レミリア「はぁ!?」

 

 

お燐「ルールは簡単、先に場所ルールを決める、今はキッチンになってるね」

 

 

お燐「後は自分のノリを頼りにしながらその場所にあるものを召喚していきながらハジケていって、相手に負けと宣言させる…これだけ」

 

 

お燐「大切なのは場の雰囲気にノリノリになってハジケること、これだけ」

 

 

ヤマメ「いやまっったく分かんない」

 

 

お燐「さとり様がシナジーコンボとか言ったらそれはシナジーコンボになっちゃうのさ、そんな感じだよ」

 

 

勇儀「…奥が深いぜ」

 

 

パルスィ「あんたそれマジで言ってるんだったら医者に行った方がいいわよ」

 

 

勇儀「私に言ってんのか?」

 

 

パルスィ「あんたに言ってんのよ!」

 

 

お燐「ちなみにね」

 

 

レ、パ、勇、ヤ、キ「?」

 

 

お燐「さとり様は第3回、第8回大会のチャンピオンだから」

 

 

レ、パ、勇、ヤ、キ「!?」

 

 

お燐「あたいは…第5回チャンピオン…」

 

 

パルスィ「優勝してんのあんた!?」

 

 

お燐「か、勝ちたくなかったよ!? あたいだってこんな訳の分かんない大会出たくなかったけどさとり様が出ろって言うから…」

 

 

キスメ「そのハジケるって言うのは…」

 

 

お燐「まぁ…簡単に言っちゃうとね」

 

 

お燐「ただのバカのバカ騒ぎだよ」

 

 

 

お空「いけー! さとり様ー! ガンバレー!」

 

 

 

さとり「! ふふっ、本当に負けられませんね」

 

 

紫「これで最後よさとりぃ…」

 

 

さとり「えぇ、これで決めます」

 

 

紫「フライ返し…!」

 

 

さとり「お玉、ふわふわミトン!」

 

 

紫、さとり「うおおおぉぉぉ!!」

 

 

 

 ドゴーン!!

 

 

 

お空「うっひょー! さとり様かっこいい!」

 

 

パルスィ、ヤマメ「もう勝手にやってろぉ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【16時40分、地霊殿ロビー】

 

 

 

紫「くっそぉ…まさか負けるとは…」

 

 

さとり「勝ちました、いえい」ピース

 

 

お空「流石ですさとり様!」

 

 

お燐「何が流石なのか小一時間問い詰めたい」

 

 

レミリア「てか何でぶっ倒れるのよ、アレで」

 

 

さとり「体力使いますから」

紫「体力使うから」

 

 

レミリア「アレが!?」

 

 

お燐「ダメですよ、ツッコミは余計に頭を痛くするんです」

 

 

紫「…? あら? 勇儀たちは?」

 

 

お燐「帰りましたよ、もうチョコは作ったしこれ以上あなたたちのバトルを見てたら頭が痛くなるからって、勇儀姐さんはもっと居たかったみたいですけど」

 

 

紫「サヨナラも言わないとか」

 

 

さとり「主の立場が…」

 

 

お空「私サヨナラ言われました!」

 

 

レミリア「私も言われた」

 

 

お燐「あたいも…」

 

 

紫、さとり「…」

 

 

さとり「ふっ、別に寂しくなんかないですよ」

 

 

紫「ゆかりんお別れ言われなくても泣かないもん」

 

 

お燐「じゃあそれ言わなくても良いじゃないですか」

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「レミリア、包装し終わった?」

 

 

レミリア「えぇ、ほらこれ…あなたたちが倒れてる間に終わったわ」

 

 

紫「観戦しながらやりなさいよ」

 

 

レミリア「出来るわけがない」

 

 

紫「んじゃ帰りましょっか、時間もちょうどいいみたいだしね」

 

 

レミリア「何がじゃなのか分かんないけどそれは賛成だわ」

 

 

さとり「お見送りします」

 

 

レミリア「えぇ、ありがとうさと…」

 

 

さとり「…?」

 

 

レミリア「…」

 

 

お燐「レミリア嬢?」

 

 

お空「どうしたの?」

 

 

レミリア「紫、お燐と…」

 

 

お空「! お空だよー」

 

 

レミリア「お空ね…あなたたち先に地霊殿の門前に行っててくれる? さとりと二人で話したい事があるの」

 

 

お空「うにゅ? 何を?」

 

 

お燐「こら、詮索無用だよお空」

 

 

紫「じゃあ先に行ってるわ、長くならないようにね」

 

 

レミリア「えぇ」

 

 

紫「…」

 

 

紫(またカリスマ発動かしら♪)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さとり「あの、レミリアさん、お話と言うのは?」

 

 

レミリア「あら、心を読めば一発のはずじゃない」

 

 

さとり「疲れてて読む気にならなくて…すいませんね」

 

 

レミリア「ふふっ、アレでね」

 

 

さとり「はい、アレで、です」

 

 

さとり、レミリア「ふふっ」

 

 

 

レミリア「さとり、本当にありがとう、あなたと人里で会っていなかったらここにも来れなかったしチョコを作ることは出来なかったわ」

 

 

レミリア「それに…楽しかったわ」

 

 

さとり「レミリアさん…」

 

 

レミリア「ここに来たのも初めてで新鮮だった、勇儀たちとも会えて良かったわ、アレなバトルも見れたしね」

 

 

レミリア「一つ一つが私の中で思い出になったの、大切な思い出に…感謝しても仕切れないわ」

 

 

さとり「ふふっ、感謝ならもうお腹一杯ですよレミリアさん、私も楽しかったです」

 

 

さとり「こいしの事で感謝を返そうとしたのに…なんか申し訳ないです、レミリアさんにばかりお礼を言わせてしまって」

 

 

レミリア「だって感謝しかないんだもの」

 

 

レミリア「! ふふっ、なんか」

 

 

さとり「えぇ、感謝のしあいですね、これは止まらなくなりそうです」

 

 

レミリア「ふふっ、そうね♪」ニコッ

 

 

さとり「はい♪」ニコッ

 

 

 

レミリア「…ねぇさとり」

 

 

さとり「はい?」

 

 

レミリア「私はあなたに恩が出来てしまったわけよね?」

 

 

さとり「恩だなんてそんな…」

 

 

レミリア「いいえ、これは恩なの、だからその恩を返したいの」

 

 

レミリア「だからさとり、正直に答えてほしいんだけど」

 

 

レミリア「あなたバレンタインデーの日にこいしにチョコを渡せたことってある?」

 

 

さとり「!!」

 

 

レミリア「…」

 

 

さとり「…」

 

 

レミリア「ないのね」

 

 

さとり「そうですね…ない、ですね」

 

 

レミリア「フランからこいしの話をよく聞くからもしかして…とは思ったんだけど」

 

 

さとり「あの子はあの能力故に神出鬼没ですからね…決まった時に帰って来る事なんてないんです」

 

 

さとり「帰って来るのが3日後か、はたまた1週間後か…バレンタインデーの日に狙って帰って来てくれたら嬉しいんですけどね」

 

 

さとり「こっちが帰って来てほしいときに限って帰って来ないですよねこういうのって…あはは、本当に困った子です…こいしは…」

 

 

レミリア「…」

 

 

さとり「…」

 

 

レミリア「…大丈夫よさとり」

 

 

さとり「えっ?」

 

 

レミリア「私が何とかしてあげるから」

 

 

さとり「レミリアさん…?」

 

 

レミリア「本当に困った妹ね、お姉ちゃんの気持ちも知らないで…こいしにはお姉ちゃんの気持ちを知る義務があるわ」

 

 

さとり「何とかって…レミリアさん何を」

 

 

レミリア「私の能力…知らないはずないわよね」

 

 

さとり「!」

 

 

レミリア「はあぁぁ…!」グググ

 

 

 

 レミリアは手のひらに魔力を込めた

 

 

 

レミリア「はぁ!」スッ

 

 

 地霊殿のロビーに解き放った

 

 

 

 

 

 

レミリア「古明地こいしがバレンタインデーの日に帰って来る…! そういう運命よ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【地霊殿、門前】

 

 

 ギュオン!

 

 

さとり「…」

 

 

お燐「帰っちゃいましたねぇ」

 

 

お空「ねー♪ ってあー!?」

 

 

お燐「な、何だいお空」

 

 

お空「カリスマさんと仲良くなるの忘れてたよー!」

 

 

お燐「え、もう仲良くなってたと思ってたんだけど」

 

 

お空「お友達になろーって言ってないもん…」 

 

 

お燐「言わなくてもなることだってあると思うよ? レミリア嬢はそう思ってるかもだし」

 

 

お空「うにゅーん…」

 

 

お燐「うにゅーんって…」

 

 

さとり「お燐、お空…」

 

 

お燐、お空「は、はい?」

 

 

さとり「明日…」

 

 

お燐、お空「あ、明日…?」

 

 

さとり「明日こいしが帰って来ると思います」

 

 

お空「え!? ほ、ほんとですか!?」

 

 

さとり「えぇ」ニコッ

 

 

お空「やったー♪ こいし様と遊べるぞー♪」

 

 

お燐「お気楽な…でもさとり様、どうして分かるんですか? こいし様が帰って来るって」

 

 

さとり「ふふっ、そうですねぇ…」

 

 

さとり「そういう運命だから、ですかね」ニコッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【スキマ空間】

 

 

 

紫「カリスマさんカリスマさん、どうしてあなたは今カリスマに満ち溢れているの?」

 

 

レミリア「そりゃあ私がカリスマの権化だからよ」

 

 

紫「うわぁなんだぁ、いつものレミリアさんじゃないですかやだー」

 

 

レミリア「なんなのよさっきからぁ!」

 

 

紫「だって今のあなたカリスマオーラが半端ないんだもん」

 

 

レミリア「だってそれが私だもの」

 

 

紫「ほらこれだ、いつものスカーレットなんとかさんですよ」

 

 

レミリア「スカーレットデビルよ!」

 

 

紫「あなたさとりと何話したの?」

 

 

レミリア「! ふふっ」

 

 

レミリア「秘密よ♪」

 

 

紫「…そ」ニコッ

 

 

レミリア「そうよ♪ ふふふっ」

 

 

紫「レミリア、そのチョコ貸しなさいな」

 

 

紫「明日の朝スキマ便で届けてあげるわ、冷蔵庫に入れといたら咲夜たちにバレるかも知れないでしょ?」

 

 

レミリア「あ、そっか…じゃあ…」スッ

 

 

レミリア「…」

 

 

紫「ん? 渡しなさいよ」

 

 

レミリア「砕こ」

 

 

紫「砕こうとしないから大丈夫よ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【紅魔館、門、17時】

 

 

 

 

紫「それじゃあね、また明日♪」

 

 

レミリア「えぇ…紫、あなたも色々とありがとう」

 

 

紫「ふふん、もっと感謝してもいいのよ?」

 

 

レミリア「今日は感謝し過ぎて疲れてるのよ」

 

 

紫「あらそ、そんじゃバイビー♪」スッ

 

 

 ギュオン

 

 

レミリア「ばいびー?」

 

 

レミリア「…」

 

 

レミリア「帰ってきた、か…」

 

 

レミリア「…」チラッ

 

 

美鈴「スー スー」zzZ

 

 

レミリア「…はぁ」

 

 

レミリア「おーい美鈴、おきなさーい」

 

 

美鈴「さ、咲夜さん…あぁ…そ、それ以上は…」

 

 

レミリア「……」

 

 

美鈴「た、食べられ…ま、ましぇん…ムニャムニャ」zzZ

 

 

レミリア「…」イラッ

 

 

レミリア「ミニミニスピア・ザ・グングニル」スッ

 

 

レミリア「ていやぁ!」

 

 

 プスッ!

 

 

美鈴「痛いっ!?」

 

 

レミリア「あら、起きた?」

 

 

美鈴「はっ!? えっ!? お、お嬢様!?」

 

 

レミリア「美鈴、ただいま」

 

 

美鈴「お、お帰りなさいませお嬢様!」

 

 

レミリア「ただーいま♪ あなたまた居眠りして…咲夜に八つ裂きにされても知らないわよ?」

 

 

美鈴「あぁえと、それは勘弁してください」

 

 

レミリア「私に言われても困るのよねそれ」

 

 

美鈴「えぇ…ではどうすれば私は助かるんでしょうか…」

 

 

レミリア「…無理」

 

 

美鈴「ですよねぇ…」

 

 

レミリア「ふふっ」

 

 

レミリア(あぁ、我が家だわ…短いようで長い一日だったわね)

 

 

 パチン!

 

 

咲夜「お嬢様!」

 

 

レミリア「咲夜」

 

 

咲夜「お嬢様、お帰りなさいませ!」

 

 

レミリア「ただいま、咲夜」

 

 

咲夜「お帰りが遅いのでこの咲夜、心配で胸が張り裂けそうでしたわ」

 

 

レミリア「大袈裟ねぇ、それに17時には帰るって言ったじゃない」

 

 

咲夜「ですが…」

 

 

レミリア「ふふっ心配してくれてありがとうね、咲夜」

 

 

レミリア「でもほら、ちゃんと帰って来てるから、ね?」

 

 

咲夜「! はい!」

 

 

レミリア「はぁ、なんか帰って来たら安心してお腹が空いちゃったわね、早いけど夕飯食べちゃおうかしら、咲夜用意してくれる?」

 

 

咲夜「はい、もちろんですわ」

 

 

レミリア「それじゃあよろしくね♪」スッ

 

 

レミリア「こあー、パチェー、フラーン、ただいまー♪」スタスタ

 

 

咲夜、美鈴「…」

 

 

美鈴「咲夜さん、お嬢様チョコ持ってませんでしたね、一体どこに」

 

 

咲夜「ねぇ、美鈴」

 

 

美鈴「はい?」

 

 

咲夜「お嬢様、なんか代わられたと思わない?」

 

 

美鈴「え? そうですか? 確かにお出掛けになる前と帰って来られた時とでは気の大きさが違うなとは思いましたけど」

 

 

咲夜「そういうのを代わったって言うんでしょ?」

 

 

美鈴「あ、はい…」

 

 

咲夜「お嬢様…今まで一体どこにいたのかしら…」

 

 

美鈴「お嬢様のみぞ知る、ですね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 【そして…夜も更け…】

 

 

 

 

 【レミリアの部屋 22時】

 

 

 

レミリア「いよいよ明日かぁ…」

 

 

レミリア「あ…渡すときなんて言えば良いのかしら…」

 

 

レミリア「…」

 

 

レミリア「ふっ、それこそ運命に任せてみましょうか」

 

 

レミリア「出たとこ勝負よ」バフッ

 

 

レミリア「…」

 

 

レミリア「お休みなさい」

 

 

レミリア「…」

 

 

レミリア「…」

 

 

レミリア「スースー」zzZ

 

 

 

 

 

 

 

 

パチュリー「…寝た?」

 

 

咲夜「はい」

 

 

パチュリー「おかしいわね…満面の笑みで帰って来たから私たちへのチョコは恐らく作られているはずなのに」

 

 

咲夜「お嬢様が持っていなかった…」

 

 

パチュリー「ふむ…」

 

 

咲夜「パチュリー様、あまり詮索なさるのは」

 

 

パチュリー「だって気になるじゃない」

 

 

咲夜「まぁ…はい」

 

 

パチュリー「どこに行っていたか夕飯の時に聞いたんだけど言わなかったし…謎だわ」

 

 

咲夜(気になって調べたがるのは魔法使いとしての性なのでしょうか…)

 

 

パチュリー「むぅ…」

 

 

咲夜(あぁ、眠たい…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【2月14日、バレンタインデー当日の朝】

 

 

 

レミリア「んっ…」

 

 

レミリア「…」ボー

 

 

レミリア「朝…」

 

 

レミリア「…」

 

 

レミリア「すっごい夢見たわね…」

 

 

レミリア「何よあれ、魔理沙とアリスとパチェと命蓮寺の聖? あの四人が槍投げで世界記録目指す夢とか…」

 

 

レミリア「何であんな夢を…さとりと紫のバトルを見たせいかしら」

 

 

レミリア「ふふっ、変なの」

 

 

レミリア「…いつ渡そうかしら」

 

 

レミリア「7時か…早いけど、渡しちゃおうかしら」

 

 

レミリア「ん~、えっと…」

 

 

レミリア「ゆかりんゆかりんゆかりんりーん♪」

 

 

 

 フッ ギュオン…!

 

 

 パサッ、パサッ!

 

 

 

レミリア「…呪文の語呂っ!」

 

 

レミリア「スキマ便…便利だけどこの呪文は絶対おかしいわ、これさとりも使ってるって言ってたけど」

 

 

レミリア「…」

 

 

レミリア「うん、考えるのやめなさいレミリア・スカーレット、友達が恥ずかしがってる姿なんて想像するのは愚よ、愚」

 

 

レミリア「チョコは…よし、全員分あるわね、ん?」

 

 

レミリア「手紙?」スッ

 

 

 

 『レミリアへ、家族に渡したら博麗神社に集合よ♪ 来ないと霊夢のハートは私のものよ♪ 八雲紫』

 

 

 

レミリア「ふふん、甘いわね紫! 霊夢のハートは私にハートブレイクされるのよ!」

 

 

レミリア「…あ、ブレイクしたらいけないわ…危ない危ない」

 

 

レミリア「ん? あら?」

 

 

 

 『PS. 最近お風呂に入ると烏の行水なんだけどこれって私が年寄りだってことを暗にお風呂に訴えかけられてるみたいで不快なんだけどどうしたらいいと思う?』

 

 

レミリア「ぬあぁぁ知るかぁ!」バンッ

 

 

レミリア「PSでお悩み相談するんじゃないわよ!」

 

 

 

 

 お、お嬢様!?

 

 

 

レミリア「さ、咲夜!?」

 

 

 

 どうかなさいましたか!? 今の大声は一体…

 

 

レミリア「だ、大丈夫だから! 何でもないから!」

 

 

 

 ほ、本当でございますか?

 

 

 

レミリア「も、もちろん!」

 

 

 

 ならよいのですが…何かあれば直ぐに駆け付けますので

 

 

 

レミリア「えぇ、ありがとう」

 

 

レミリア「……咲夜」

 

 

 

 はい?

 

 

レミリア「フランたち起きてる?」

 

 

 

 はい、お目覚めになっております

 

 

 

レミリア「そう、ならみんなをリビングに集めてくれないかしら」

 

 

 

 は、はい! 分かりました!

 

 

 

レミリア「急がなくていいからね、特にパチェは朝不機嫌だからって言わなくても分かるわよね」

 

 

レミリア「咲夜、そういうことだからお願いね」

 

 

レミリア「咲夜?」

 

 

レミリア「?」スタスタ

 

 

 

 がちゃっ

 

 

 

レミリア「あら? いない…」

 

 

レミリア「急がなくていいのに…」

 

 

レミリア「着替えよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

咲夜「パチュリー様、起きてください!」

 

 

パチュリー「あぁ…?」

 

 

こあ「お嬢様がチョコを私たちに渡す時が来たんですよ! 私たちも準備しないと!」

 

 

パチュリー「……しばくぞ貴様らぁ」

 

 

咲夜、こあ「いっ…!?」

 

 

パチュリー「 」スッ

 

 

 バタン!

 

 

 

パチュリー「スースー」zzZ

 

 

咲夜、こあ「えぇ!? 寝たぁ!?」

 

 

咲夜「早く起こしてよ!」

 

 

こあ「嫌ですよ! しばかれたくないですもん!」

 

 

フラン「おはよ♪ あれ? パチュリーまだ寝てたの?」

 

 

美鈴「おはようございまーす!」

 

 

咲夜「妹様! お願いがございます!」

 

 

こあ「パチュリー様をなんとかして起こしてください!」

 

 

フラン「うん、いいよ」

 

 

フラン「パチュリー、起きてー」

 

 

パチュリー「ん…んあぁ?」

 

 

フラン「朝だよー、お姉様にチョコ渡しにいかないと♪」

 

 

パチュリー「お、おぉ…あぁんん…んあぁ…」

 

 

パチュリー「そうだった…おうおう…そうだったなぁ…」

 

 

フラン「うん、だから起きてよ」

 

 

パチュリー「はぁぁんんん…ふぅ…」プルプル

 

 

パチュリー「はぁ…おはようみんな」

 

 

咲夜「お、おはよう…ございます」

 

 

こあ「しばきますか?」

 

 

咲夜「ちょっ…!」

 

 

パチュリー「しばく? 何をかしら」

 

 

こあ「あぁ良かった、パチュリー様だ」

 

 

パチュリー「何? なんなの?」

 

 

美鈴「な、何でもないと思いますよ!」

 

 

パチュリー「? 気になるわね、一体なに」

 

 

フラン「ほらほらパチュリー、お姉様に見つかる前に隠し冷蔵庫からチョコ取り出さないと」

 

 

パチュリー「あっ…い、妹様押さないで…」

 

 

咲夜、こあ、美鈴「…」

 

 

咲夜「どうしてパチュリー様は寝起きの30秒はああなるのかしら」

 

 

こあ「恐らく魔法の副作用です」

 

 

美鈴「副作用なんですか、あれ」

 

 

咲夜「魔法使いはしばくぞ~なんて言わないと思うの」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【紅魔館、リビング】

 

 

 

レミリア「みんな、おはよう」

 

 

パチュリー「レミィ、おはよう」

 

 

咲夜、こあ、美鈴「おはようございます、お嬢様」 

 

 

フラン「おはよ、お姉様♪」

 

 

レミリア「…」

 

 

レミリア(うっ、き、緊張するわね…///)

 

 

パチュリー(緊張と照れかしら、レミィらしいわね)

 

 

美鈴(お嬢様…)

 

 

咲夜(あぁ、お嬢様の照れてるお顔が可愛すぎて思わず見惚れてしまいますわ)

 

 

こあ(お嬢様のチョコレート、気になりますね♪)

 

 

フラン「…」

 

 

フラン「ねぇ、お姉様」

 

 

レミリア「! な、何かしらフラン」

 

 

フラン「朝から私たちを呼び出してどうしたの? 何かあるの?」

 

 

レミリア「!」

 

 

咲夜(妹様ナイスですわ!)

 

 

レミリア「そ、そう! そうなのよ! だだっだ大事な話がね、あるのよ、うん」

 

 

フラン「話? お話なの?」

 

 

レミリア「そ、そうよ! お話よ!」

 

 

フラン「へぇ、何のお話をしてくれるの?」

 

 

レミリア「それは…! その…」

 

 

レミリア(頑張れスカーレットデビル! くじけるなぁ…!)

 

 

レミリア「きょ、今日はなーんの日でしょうか!!」

 

 

フラン「…」

 

 

咲夜、こあ、美鈴(えぇ…か、可愛いですけど…)

 

 

パチュリー(ふふふ…あ、危ない…笑いそうになったわ)プルプル

 

 

レミリア「…あ、えと…」

 

 

パチュリー(仕方ないわね)

 

 

パチュリー「レミィ、2×7は?」

 

 

レミリア「はっ!? えと、14!」

 

 

パチュリー「そう、今日は14日よね」

 

 

レミリア「そ、そうよね!」

 

 

パチュリー「えぇ、そうよ」

 

 

レミリア「…」

 

 

パチュリー「…」

 

 

レミリア「えっ、意味は?」

 

 

パチュリー「特に無いわ」 

 

 

レミリア「ないんかい!」

 

 

フラン「あはは!」

 

 

咲夜「ふっ、ふふふ」

 

 

こあ「ふははっ…! ふふ」

 

 

美鈴「あははは!」

 

 

レミリア「今日は2月14日ぁ! バレンタインデーでしょうが!」

 

 

パチュリー「へぇ、バレンタインデーなのね」

 

 

レミリア「そうよ! チョコを自分の大切な人に思いを込めて渡すあのバレンタインデー…はっ!?」

 

 

パチュリー「…」ニヤリ

 

 

フラン、美鈴、咲夜、こあ「…」

 

 

レミリア「…!」

 

 

レミリア(…はぁ、ドジね…パチェに悟られてしまったわ)

 

 

レミリア(でも話しやすくなった…かな♪)

 

 

レミリア「そう、今日は2月14日バレンタインデー、自分の大切な人にチョコを思いを込めて渡すあのバレンタインデー」

 

 

レミリア「実は私ね? みんなのために日頃の感謝を込めてチョコを…作ったの」

 

 

レミリア「この4日間キッチンを占領してたのもそのためよ、咲夜、迷惑を掛けちゃったわね」

 

 

咲夜「迷惑だなんて…そんなこと思ってませんわ」

 

 

レミリア「ありがとう、そして昨日人里に行ったのもチョコを作るためなの」

 

 

レミリア「みんなにサプライズとしてチョコを渡したくて…内緒で作ってたの」

 

 

パチュリー「そうだったのね…」

 

 

美鈴「お、お嬢様…私達のためにそこまで…!」

 

 

こあ「嬉しさの極みでございますわ!」

 

 

咲夜「お嬢様…!」キラキラ

 

 

パチュリー(皆オーバーリアクション過ぎよ…でも)

 

 

パチュリー(レミィの口から感謝を込めてなんて…素直に嬉しいわね…///)

 

 

フラン「お姉様」

 

 

レミリア「フラン…!」

 

 

フラン「そっかぁ♪ 私達のために頑張ってくれてたんだね♪」

 

 

フラン「お姉様のその気持ち、ちゃんと届いてるよ」

 

 

レミリア「!」

 

 

フラン「ありがとう、お姉様♪」

 

 

レミリア「フラン…それはこちらのセリフなのよ」

 

 

レミリア「あなたたちには本当に感謝してるんだもの」

 

 

レミリア「パチェ、咲夜、こあ、美鈴、フラン…私の大好きで…大切な家族」

 

 

レミリア「いつも、いつも私を支えてくれてありがとうね…! そしてこれからも…よろしくね!」

 

 

咲夜「お嬢様…!」グスッ

 

 

レミリア「あはは、泣かないで咲夜…はいこれ咲夜のチョコよ」

 

 

レミリア「こあと、はい美鈴」

 

 

レミリア「パチェ、これはあなたのよ」

 

 

レミリア「フランにはこれよ」

 

 

咲夜「お嬢様ぁ! 有り難き幸せです!」

 

 

咲夜「食べません! 一生大事にします! 部屋に飾っておきます!」

 

 

レミリア「いやいや食べてよぉ! ほら、包装紙開けて、ね?」

 

 

美鈴「ありがとうございます! お嬢様」

 

 

こあ「ありがとうございます!」

 

 

レミリア「いつもお仕事頑張ってくれてありがとうね、あなたたちにはこれからも紅魔館を私と共に支えていってほしいの」

 

 

レミリア「これからもよろしくね」

 

 

咲夜、こあ、美鈴「はい!」

 

 

レミリア「ふふっ」

 

 

パチュリー「まさかレミィがチョコレート作りとはね」

 

 

レミリア「ふふふ、意外?」

 

 

パチュリー「意外過ぎるわ、あなたがまともに料理しているだなんて考えられなかったから」

 

 

レミリア「パチェ…それは酷いわ」

 

 

パチュリー「ふふっ、冗談よ」

 

 

レミリア「! ふふっ、ねぇパチェ」

 

 

パチュリー「なに?」

 

 

レミリア「これからも私の親友でいてくれる?」

 

 

パチュリー「…! 愚問ね」

 

 

パチュリー「こちらの方こそよろしくお願いするわ、レミィ」

 

 

パチュリー「あなたが親友じゃないと私は色々と困るんだから」

 

 

パチュリー「あなたに支えられてるところがたくさんあるの、言葉で表現出来ないほどに、ね」

 

 

レミリア「パチェ…」

 

 

パチュリー「…/// あなたと親友になれて本当に良かった…///」ボソッ

 

 

レミリア「えっ?」

 

 

パチュリー「な、何でもない」

 

 

パチュリー(あぁんもう…///)

 

 

フラン「お姉様…」

 

 

レミリア「! フラン」

 

 

フラン「今こんなこと言いたくないけど私…昔はお姉様のこと嫌いだった」

 

 

レミリア「!」

 

 

フラン「地下に閉じ込められたりしたから…お姉様のこといっぱいいっぱい憎んだりしたけど…」

 

 

フラン「でも今は全然そんなこと思ってない…その逆、すっごく大好き」

 

 

フラン「お姉様は私のことを一番に考えて行動してくれてたんだなぁって…思えるようになったんだそれは幻想郷でいろんな人と関わったからだと思うの、その切っ掛けをくれたのはお姉様だもんね」

 

 

フラン「幻想郷に来て私も変わったけどお姉様も変わっていったんだよね」

 

 

フラン「お姉様、これからもよろしくね…? 妹として、姉として」

 

 

レミリア「フラン…」

 

 

フラン「大好きだよ、お姉様」

 

 

レミリア「! …私だって、あなたのこと大好きよフラン…!」

 

 

フラン「! えへへ…!」

 

 

レミリア「ふふっ…!」

 

 

フラン「…あっ! そうだお姉様!」

 

 

レミリア「? なぁにフラン」

 

 

フラン「みんな!」

 

 

パチュリー「えぇ」

 

 

咲夜「はい!」

 

 

美鈴「えへへ!」

 

 

こあ「ふふっ!」

 

 

レミリア「へっ…? えっ!?」

 

 

 

咲夜「お嬢様」

 

 

こあ「お嬢様♪」

 

 

美鈴「お嬢様!」

 

 

パチュリー「レミィ」

 

 

フラン「お姉様」

 

 

咲夜、こあ、美鈴、パチュリー、フラン「いつもありがとう!」

 

 

レミリア「!」

 

 

 ハッピーバレンタイン♪ レミリア・スカーレット

 

 

 

 

 

 

 

 この後、レミリアは感激のあまり涙を流しながらフランたちの作ったチョコレートを一つずつ食べていき、一人ずつ、出会った頃から今までの思い出を語り尽くすのだが…

 

 

 それもまた紅魔館の住人のみぞ知る…大切な思い出の一つとなったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 おしまい!

 

 

 

 

 

 

 






 実は書ききれなかったオマケがあるのでそちらもどうぞ…本編に組み込みたかったのですが…長くなってしまったので分割しました。



 それではここまで読んでいただいてありがとうございました!




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