東方紫藍談  ~紫と藍の幻想談~   作:カテサミン

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 続けて読んでいただいている方、そしてこれからお読みになる方もこれからも宜しくお願いします! そしてありがとうございます! 


 今回の主役は、天邪鬼と…?

 オリキャラは出…あれ?


 あなたの好きなキャラが酷い目に合うかもですが救いはあります、そして今回は若干シリアス路線です


 
 それと今回は読み始めたら最後まで一気に読むか、面倒なら最後の真実を読むことをおすすめします。

 途中で読み終わると後味が悪くなると思うので…すいません、こんなに長い物語なのに本当に申し訳ないです


 それでは始まります、ゆっくり読んでいってください!



《第4話》『MUSHA NOTE』

 

 

      【MUSHA NOTE】

 

 

 

 《人里、上空》

 

 

 

 今日も今日とて平和な幻想郷…なのだが人里の上空では小規模の争いが繰り広げられていた

 

 

 

 

 

鬼人正邪「は~っはっはっ! 悔しかったらここまで来てみろ!」

 

 

 

 緑色の唐草風呂敷に大量の本を抱えた正邪が言う

 

 

 

 

霧雨魔理沙「待ちやがれ! この泥棒が!」

 

 

正邪「お前にだけは言われたくねぇよ!」

 

 

二ツ岩マミゾウ「カッカッカッ! 確かにそうじゃのう」

 

 

魔理沙「おい納得すんなよ!」

 

 

マミゾウ「まちごうておらんじゃろうに…まぁ、何はともあれじゃ」

 

 

マミゾウ「その盗んだ大量の本を返せ天邪鬼、それは儂の友人の大切な商品なんじゃ、返さんと痛い目をみるぞい」

 

 

正邪「あぁ? 痛い目だぁ? やれるもんならやってみろよ」

 

 

マミゾウ「天邪鬼のクセによく吠える」

 

 

正邪「ただの狸が偉そうによぉ」

 

 

マミゾウ「…」ニヤッ

 

 

正邪「…」ニタァ

 

 

魔理沙「おいおい私がいんのも忘れんな? てかお前その本どうするつもりなんだよ」

 

 

正邪「はっ! んなもん決まってる!」

 

 

正邪「本はよく燃えるからなぁ…! 暖をとるために家で燃やしつくしてやんだよ!」

 

 

マミゾウ「そんなことのために…薪を割れ薪を」

 

 

正邪「薪だぁ? こっちの方が早いんだよ!」

 

 

マミゾウ「はぁ、くだらんことで盗みを…遊ばせておけばいい気になりおってからに」

 

 

魔理沙「まったくだ、燃やされんのはこの魔理沙さんに読まれてからだぜ!」

 

 

正邪「…」

 

 

マミゾウ「お主…取り返す為にここにおるんじゃよな?」

 

 

魔理沙「お、おうもちろんだ! と、とにかくその本返しやがれ!」

 

 

正邪「返せと言われて返すバカがどこにいんだよ! このバーカ!」

 

 

魔理沙「野郎っ…! マスタースパー…!」カチッ

 

 

マミゾウ「! 待て魔理沙」

 

 

魔理沙「ん!?」

 

 

マミゾウ「落ち着けい、そんなもん奴にフルで当たったら本当に本が燃えるじゃろうがい、弾幕はダメじゃ、別の方法…出来れば奴を捕まえるべきじゃ」

 

 

魔理沙「? どうすんだよ?」

 

 

マミゾウ「ちょいと耳貸してみい」

 

 

魔理沙「…?」

 

 

 

 

正邪「…あん?」

 

 

正邪「おいこらぁ! 何をコソコソと…!」ハッ

 

 

正邪(何か企んでやがんな? ここは保険として…)ゴソゴソ

 

 

 

マミゾウ「良いな?」

 

 

魔理沙「おう、任せときな」

 

 

マミゾウ「ふっ…ヘマするでないぞ?」スッ

 

 

魔理沙「へへっ、お前もな♪」スッ

 

 

正邪「…作戦会議は終わったか?」

 

 

マミゾウ「あぁ観念せい、今捕まえてやる」

 

 

魔理沙「行くぜ!」

 

 

正邪「へっ、来やがれ!」

 

 

魔理沙「星符『サテライトイリュージョン』!」

 

 

 

 魔理沙は自分の周囲に魔法の玉を6個旋回させる

 

 

 

正邪(! スペルカード!)

 

 

マミゾウ「…」スッ

 

 

正邪(! 狸は…)

 

 

マミゾウ「ドロン!」カッ

 

 

 

 ボフン! という音とともに白煙がマミゾウの体から舞う

 

 

 

正邪「うわっ!?」

 

 

正邪「チッ! 目眩ましか!」

 

 

正邪(くそっ! 煙であいつらの姿がわかんねぇ…お、ならここであのアイテムを…)ゴソゴソ

 

 

正邪「出てきやがれ! 卑怯だぞ!」

 

 

 

 ボボン!

 

 

 

魔理沙「お前に言われたかねぇよ!」スッ

 

 

正邪(来たな!)

 

 

魔理沙「彗星『ブレイジングスター』!」

 

 

正邪「なっ!? スペルカード二枚だとぉ!?」

 

 

 

 魔理沙はサテライトイリュージョンで出した七つの玉を自分を中心に旋回させながら、ブレイジングスターの凄まじい速度で正邪に突進していく

 

 

 

魔理沙「うおおおぉ!」ギューン

 

 

正邪(なっ!? 速っ…)

 

 

魔理沙「取った!」

 

 

正邪「うわあぁ…!」

 

 

正邪「なんてなぁ♪」

 

 

魔理沙「!?」

 

 

正邪「ひらり布!」ヒラッ

 

 

 

 スカッ…

 

 

 

魔理沙「くっ!」

 

 

正邪「はっはっは!」

 

 

 

 魔理沙は正邪にぶち当たると思いきや、正邪にヒラリとかわされてしまった

 

 

 

魔理沙「打出の小槌の不思議アイテムか!」

 

 

正邪「そうだ、当たると思ったのか?」

 

 

正邪「この本の為にお得意の弾幕を封印かぁ? そんなんで私を倒せると思うなよ!」

 

 

魔理沙「くっ…! このっ…!」ガシッ

 

 

 

 ブン!

 

 

 

正邪「! おっと…」スッ

 

 

 

 

 魔理沙はサテライトイリュージョンの玉を一個掴んで正邪にぶん投げたが、軽くかわされてしまう

 

 

 

 

正邪「ふん、他のアイテムを使うまでもないな」

 

 

魔理沙「…」フッ

 

 

正邪(スペルカードも時間切れか)

 

 

魔理沙「はぁ、はぁ…」

 

 

正邪「どうした、もう終わりかぁ!?」

 

 

魔理沙「あ、あぁ…残念だけど終わりだな」

 

 

正邪「ははは♪ 大したことないなぁ!? 城で戦った時の威勢はどうしたんだぁ!?」

 

 

魔理沙「だから…終わりだっつってんだろ♪」ニヤッ

 

 

 

 ボフン!

 

 

 

マミゾウ「お主がな♪」ニヤッ

 

 

正邪「なっ…!?」スッ

 

 

 

 突如、正邪の背後から現れたマミゾウは正邪を後ろから羽交い締めにした

 

 

 

マミゾウ「捕まえたぞい、天邪鬼確保じゃ♪」

 

 

正邪「なっ…! なぁ…!? お、お前…!」

 

 

マミゾウ「煙幕と魔理沙に気を取られ過ぎたのう、儂の事も忘れんでほしいもんじゃなぁ♪」

 

 

正邪「!??」

 

 

マミゾウ「何が起きたか分からんか?」

 

 

マミゾウ「魔理沙のサテライトイリュージョンの魔法の玉は最大で六つしか出ん、七つではない、最初に使った時と煙から出てきた時とでは旋回していた玉の数が違ったじゃろう?」

 

 

マミゾウ「では何故七つになったのか…簡単じゃ、儂が煙幕を張った後に儂が玉に化けただけのこと」

 

 

マミゾウ「そして魔理沙をお主に突撃させる、かわされる事も想定住みじゃ、そのことにイライラした魔理沙はお主に玉を投げる…儂が化けた玉をな」

 

 

マミゾウ「当然お主はその玉も避ける、じゃが儂はお主の後ろをとれる…という作戦じゃ」

 

 

正邪「だ、だが…! お前の変化は尻尾が…」

 

 

マミゾウ「儂が完璧に変化出来んと誰が言った、友の為なら頑張って化けたるわい」

 

 

魔理沙「でもお前なぁ、スペルカード二枚使用なんて普通は反則だからな? こんなとこ霊夢に見られたら八つ裂きにされるぜ」

 

 

マミゾウ「ふぉっふぉっ♪ 怖いのう♪ じゃが反則に反則を重ねている奴に反則をしても罰は当たらんて」

 

 

魔理沙「なら良いけどな…うし、年貢の納め時だな天邪鬼」

 

 

正邪「…」

 

 

マミゾウ「本は返してもらうぞい、さて…お主の身柄はどうしようかの」

 

 

魔理沙「なら紫のばあさんに預けようぜ、こいつのこと探してたからな『地獄のスキマ街道を拝ませてやるわぁ!』とか言ってたし」

 

 

マミゾウ「ばあさんて…それになんじゃその地獄のスキマ街道とは」

 

 

魔理沙「知らん、ただ通ったら最後、二度と普通の神経じゃいられないらしい」

 

 

マミゾウ「八雲紫も充分に怖いの」

 

 

正邪「あぁ…」

 

 

マミゾウ「ま、お主の悪行の数々、一つ一つ反省する事じゃ、八雲紫の所でみっちりとしごかれい」

 

 

正邪「ほんと…保険をかけといてホントニヨカッタゼ」

 

 

マミゾウ、魔理沙「ん!?」

 

 

 

 ボフッ! ゴッ!

 

 

 

 

マミゾウ「なんじゃと!?」

 

 

魔理沙「これは…身代わり地蔵か!」

 

 

 

 正邪の姿は身代わり地蔵に変わってしまった

 

 

 

魔理沙「小槌のアイテムを置いていかせるほど追い詰めたってのに…」

 

 

マミゾウ「相変わらず悪運は強い様じゃな…しかし本はこうして無事に取り返した、深追いは無用じゃ」

 

 

魔理沙「むう…この魔理沙さんの名がまた上がると思ったのによ」

 

 

マミゾウ「これ以上名を上げてどうするんじゃお主は」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正邪「はぁはぁ…あ、危なかった…」

 

 

正邪「くっそぉ魔法使いと狸め…味なまねしやがって、お陰でアイテムが一個パーになっちまった」

 

 

正邪「結局今回の戦利品はこれだけか…」

 

 

正邪「…」

 

 

正邪「火の足しにはなるか…」

 

 

 

 

 

 

 

 《鈴奈庵》

 

 

 

本居小鈴「取り返してくれたんですね! 魔理沙さん! マミさん! 本当にありがとうございました!」ペコッ

 

 

マミゾウ「これこれ頭を下げるでない、儂らはここで偶然に泥棒に遭遇し、好き勝手に奴を追い掛けただけじゃよ」

 

 

魔理沙「小鈴の為だってハッキリ言えば良いじゃないか」

 

 

小鈴「私の、為…?」

 

 

マミゾウ「…」

 

 

魔理沙「そうだ、私たちと小鈴は友達だからな、困ってたら助けてやるのが当たり前だろ?」

 

 

マミゾウ「ま、まぁ……うむ…///」

 

 

小鈴「マミさん…!」ジーン

 

 

マミゾウ「! な、何を感じいっておる」

 

 

小鈴「私嬉しいんです…! マミさんが私の事を友達だと思っていてくれていることが…私、友達少ないから」

 

 

マミゾウ「! そう悲観するでない…お主とは儂が幻想郷に来てから長い付き合いになる、長らく一緒に居れば自然とそうなるもんじゃ」プイッ

 

 

小鈴「マミさん、ありがとう♪」ニコッ

 

 

マミゾウ「…///」

 

 

魔理沙「可愛いなお前」

 

 

マミゾウ「な、なんじゃと!?」

 

 

魔理沙「あっははは♪」

 

 

小鈴「ふふふ♪」

 

 

マミゾウ「…! 狸をからかうといつか化かされるぞい?」

 

 

魔理沙「そういうのには慣れてるぜ、いつでも化かしに来てくれ」

 

 

小鈴「あ、もちろん魔理沙さんもですよ、私の事を友達だと思ってくれてありがとうございます」

 

 

魔理沙「おいおい、私はついでか?」

 

 

小鈴「そんなことはないです!」

 

 

魔理沙「! 小鈴、友達ならここの本を借りていっても」

 

 

小鈴「それはダメです、霊夢さんとの約束は破れません」

 

 

魔理沙「くそぉ、霊夢に言われてから言い方が強くなったな小鈴」

 

 

小鈴「魔理沙さんに貸したら戻って来ないんですよね? ならダメです、家も商売ですので」

 

 

マミゾウ「商魂たくましいのう」

 

 

小鈴「ありがとうございます、マミさん!」ニパー

 

 

マミゾウ(何かある度にこちらにその眩しい笑顔で感謝してくるのは止めてくれんかのう、調子が狂う…///)

 

 

魔理沙「死ぬまで借りてるだけだって、でもなんか小鈴のとこから借りるという選択肢があまり出ないのも謎だな」

 

 

マミゾウ「自制心あるんかお主、なら紅魔の館にもその自制を働かせい」

 

 

魔理沙「あそこはまた別なんだよ、私にとっては特別な存在なんだよあの場所は、だから死ぬまで借り尽くすぜ」

 

 

マミゾウ「狩り尽くす、の間違いじゃなかろうか…」

 

 

 

小鈴「ふふっ♪ さて、本を棚に戻そっと♪」

 

 

 

マミゾウ「借りたもんは返さんといつか信頼を失うぞい」

 

 

魔理沙「大丈夫だ、霊夢から物は借りてないからな!」

 

 

マミゾウ「威張る方向が違うわい、回りの事を言っておるんじゃ」

 

 

魔理沙「皆快く貸してくれるぜ♪」

 

 

マミゾウ「あぁもうあれか…諦めてると言うか日常になってると言うか」

 

 

魔理沙「アリスはともかくとして紅魔館も最近はウェルカムな感じだぞ? 行ったら入れてくれるし、次いで地霊殿もな」

 

 

マミゾウ(普通なら嫌われる奴の典型なんじゃが、ここが幻想郷だからか、それとも魔理沙のひたすら前向きな性格と人柄故か)

 

 

マミゾウ「お主も不思議な奴じゃのう」

 

 

魔理沙「魔法使いは不思議ちゃんじゃなきゃやってられんからな」

 

 

マミゾウ「自分で言うなや」

 

 

魔理沙「はっはっは♪」

 

 

マミゾウ(聖もその部類に入っておったら面白いが、なんかコレジャナイ感があるのう……この言い回しも古いか?)

 

 

 

小鈴「あ、あれ!?」

 

 

 

 

マミゾウ、魔理沙「ん?」

 

 

小鈴「…」

 

 

魔理沙「どうした小鈴」

 

 

小鈴「あ、いえ…何でもないです」

 

 

マミゾウ「…これ」スッ

 

 

小鈴「あう」ペシッ

 

 

マミゾウ「そんなに大声を出して『何でもないです』はないじゃろう、話せ小鈴」

 

 

小鈴「で、でも…」

 

 

マミゾウ「でもも何もないわ、話さんかい」

 

 

小鈴「う…」

 

 

マミゾウ「……」

 

 

マミゾウ「儂は…お、お主の…ち、力になりたいんじゃよ…///」

 

 

小鈴「!」

 

 

魔理沙「お前可愛いな」

 

 

マミゾウ「なっ…! に、二度も言うなや!」

 

 

魔理沙「ははは! いやだってお前が照れてんのなんて初めて見たしよ」

 

 

マミゾウ「ぬう…」

 

 

魔理沙「まぁ小鈴、そういう訳だから話さない訳にはいかないぜ?」

 

 

小鈴「ありがとう、ございます」

 

 

マミゾウ「して…何事じゃ?」

 

 

小鈴「…あの天邪鬼の妖怪に本を泥棒されて、魔理沙さんとマミさんに取り返してもらって本はこうして戻ってきました」

 

 

魔理沙「あぁ」

 

 

小鈴「戻ってきた…んですけど」

 

 

小鈴「取られた本は全部で十二冊、戻ってきたのは全部で十一冊だったんです…」

 

 

魔理沙、マミゾウ「!?」

 

 

マミゾウ「なんと…」

 

 

魔理沙「まさかあいつどさくさにくすねたのか?」

 

 

マミゾウ「いや、逃避の途中、もしくはあの戦いの最中に何処かに落とした可能性も…いや、この際どっちでもええか」

 

 

魔理沙「だな、よし! 探すか!」

 

 

小鈴「な、なら私も!」

 

 

マミゾウ「お主はここに残れ」

 

 

小鈴「! マミさん…」

 

 

マミゾウ「さっき追っかけた時も言うたがお主は自分の店を守ることだけを考えい、天邪鬼のことは儂らに任せるんじゃ、それから負い目も感じるな、儂らは好きでやっとるんじゃからな」

 

 

魔理沙「そういうこった」

 

 

小鈴「…」

 

 

マミゾウ「ふぉっふぉっ…そんな顔をするな、もう一冊を手土産に必ず戻ってくるからの」

 

 

小鈴「…魔理沙さん! マミさん!」

 

 

マミゾウ、魔理沙「!」

 

 

小鈴「宜しくお願いします…!」ペコッ

 

 

魔理沙「おう!」

 

 

マミゾウ「ふっ…任せておけ」

 

 

魔理沙「小鈴、それでどの本が無いんだ?」

 

 

小鈴「あ、えぇっと、それは…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、正邪は…?

 

 

 

 

 《人里、正邪の隠れ家》

 

 

 

正邪「…」

 

 

正邪「…」

 

 

 

 メラメラ メラメラ

 

 

 

正邪「…」

 

 

 

 正邪は焚き火の火とにらめっこをしていた…いや正確には

 

 

 

正邪「なんだ…この本」

 

 

 

 焚き火の中に入れた鈴奈庵で手に入れた本とだ

 

 

 

正邪「何で…何でこの本は燃えないんだよ!?」

 

 

正邪「火の中につっこんでもう五分は経ってるぞ!? なのに何で…!?」ハッ

 

 

正邪(確かあの店には妖魔本とかって言うもんが置いてあるんだったな、まさか…!)

 

 

正邪(だとしたら不思議アイテムじゃないか!? 取り出して…)パッ

 

 

正邪「あちっ! あちちち!」パッ

 

 

 

 正邪は火を消さない様にして本を火の中から取り出した

 

 

 

正邪「あちちっ! っと、取れた…」

 

 

正邪「少しも燃えてねぇし傷すら着いてねぇ…なんなんだこの本は」

 

 

正邪「やっぱり妖魔本…? いやそれにしては…」

 

 

正邪「何でこんなに表紙がキラキラしてんだよ」

 

 

 

 その本はカバーが無く、表紙は桃色と紫色で色付けされた可愛らしい表紙になっている。

 

 なんかよくわからないピンク髪と金色の髪の可愛いキャラの顔の絵まで描いてある

 

 

 

正邪「なんだこりゃ…」

 

 

 

 表の表紙に何か書いてある

 

 

 

正邪「MUSHA NOTE? これあの吸血鬼の館で見た字と似てるな、なんて読むんだ?」

 

 

正邪「…開いて大丈夫かこれ」

 

 

正邪「ま、いいか」ペラッ

 

 

正邪「…」パララララッ

 

 

正邪「? 何だよ何にも書いてないな、これじゃ日記みたいなもんじゃねぇか」

 

 

正邪「期待して損し…うん?」

 

 

 

 表紙の裏面に何か書かれている

 

 

 

正邪「お、これ普通の文字じゃん、何々…」

 

 

 

 

 

 

 ☆このノートの使い方☆

 

 

 

正邪「……星がウザったいな」

 

 

 

 『このノートに名前を書かれた者は種族に関係なくむしゃむしゃされる』

 

 

 

正邪「……」

 

 

正邪「…」

 

 

正邪「…」

 

 

 

 

 

正邪「は?」

 

 

 

 

 『名前を書かれた者の側に書いた本人がいなければならない、書かれた者を書いた本人がその者を目で見ていないと効果はない、ゆえにその者がむしゃむしゃされるのを見届けなければならない』

 

 

 『名前の後に幻想郷単位で六十四秒以内にむしゃ因を書くとその通りになる』

 

 

 『むしゃ因を書かなければ全てが普通のむしゃむしゃとなる』

 

 

 『むしゃ因を書くと更に四分九秒、詳しいむしゃむしゃの状況を記載する時間が与えられる』

 

 

 『むしゃむしゃする、させるだけのノートです、名前を書き込んだ対象の者の行動云々を操ったりなんて出来ません』

 

 

 

正邪「ふっ…つまり楽にむしゃむしゃさせたり苦しませてむしゃむしゃさせる事ができるってわけか」

 

 

正邪「…」

 

 

正邪「…」

 

 

正邪「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正邪「むしゃむしゃってなんだよ!?」

 

 

正邪「それとむしゃ因ってのも何だよ! 因!? 因って原因とかの因!?」

 

 

正邪「詳しい状況だぁ!? そもそもむしゃむしゃってのは本当になんなんだよぉ!?」

 

 

正邪「はぁはぁ…」

 

 

正邪「まるでガキの…幼稚な奴が書いた馬鹿馬鹿しい落書きノートじゃねぇか、くだらねぇ!」

 

 

正邪「…!」

 

 

正邪「でもこのノートは燃やしても燃えなかった…妖魔本でなくてもマジの不思議アイテムとしてなら…」

 

 

正邪「このノート、やっぱ普通じゃない…よな」

 

 

正邪「…」

 

 

正邪「た、試してみるか…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《人里、裏通り》

 

 

 

正邪(試す…試すつっても誰の名前を書きゃいいんだよ)

 

 

正邪(そいつの側にいて見てなきゃなんないんだよな、めんどくせぇ…)

 

 

正邪(まぁ誰でもいいか、そこら辺の奴を適当に…)

 

 

正邪「おっ」

 

 

赤蛮寄「ん、いい天気だ、平和だな」

 

 

正邪「あいつはあの時のろくろ首…あいつでいいや、確か…ばん」

 

 

正邪(あれ…あいつの名前なんだっけ)

 

 

正邪(…わかんねぇ)

 

 

赤蛮寄「あぁ、今日影狼と姫に会う約束だったな、ええとどこだったか」

 

 

正邪「…ダメ元だな」

 

 

正邪「おい! そこのろくろ首!」

 

 

赤蛮寄「! お前は…」

 

 

正邪「おやおやぁ? あの時みたいに暴走してないんだなぁ? 呑気にしてやがってよぉ!」

 

 

赤蛮寄「あの異変の時は世話になったな、悪い意味で」

 

 

正邪「ふん! 小槌の魔力でいきがっていた時を思い出せ! 弱小妖怪同士、共に下克上をなそうじゃないか!」

 

 

赤蛮寄「お前、まだそんなくだらない事を考えていたのか」

 

 

正邪「くだらないだと?」

 

 

赤蛮寄「弱小妖怪には弱小妖怪なりの生き方がある、私はそれを見つけて満足しているんだ」

 

 

赤蛮寄「お前の様に道を誤り、一人で闇の中に突き進む道は歩まない」

 

 

正邪「なにかっこつけて喋ってんだ野蛮首!」

 

 

赤蛮寄「赤蛮寄だ!」

 

 

正邪(! へっへっへ…! やったぜ、せきばんきか!)ニタァ

 

 

 

 せきば

 

 

 

正邪(あ…これって漢字で書かないとダメなのか…?)ピタッ

 

 

赤蛮寄「…?」

 

 

正邪(せきばんき…)

 

 

正邪(…ダメだ出てこねぇ…! くそ! イライラする!)

 

 

赤蛮寄「おい…何を」

 

 

正邪「おい!」

 

 

赤蛮寄「…?」

 

 

正邪「お前! ええと…せきばんき! お前の名前を教えろ!」

 

 

赤蛮寄「……は?」

 

 

正邪「あ、えと違う…! お、お前の名前の漢字を教えろ!」

 

 

赤蛮寄「…何故そんな事を教えなければならないんだ」

 

 

正邪「いいから教えろ! 教えてくれたら今日のところは大人しく引き下がってやる!」

 

 

赤蛮寄「…せきは赤色の赤、ばんは野蛮の蛮、きは寄付の寄だ」

 

 

正邪「ふ、ふん、そうか!」カキカキ

 

 

 

 赤蛮寄

 

 

 

正邪(よし…! こいつが馬鹿で助かった)

 

 

赤蛮寄(何故名前を…いや、別に名前くらいどうって事はない)

 

 

正邪(六十四秒でむしゃむしゃか…無駄に長いな…)

 

 

正邪(後は見張る…)

 

 

赤蛮寄「…? おい、引き下がるのではなかったのか?」

 

 

正邪「…」ジーッ

 

 

赤蛮寄「…天邪鬼、何か企んでいるのなら今ここで弾幕勝負をしてもいいんだぞ?」

 

 

正邪「61、62、63…」

 

 

赤蛮寄「?」

 

 

正邪「64!」

 

 

正邪「…」

 

 

赤蛮寄「…」

 

 

正邪「…」

 

 

赤蛮寄「…」

 

 

 

 シーン…

 

 

 

正邪「…あぁ!? 何も起こらないじゃないか!」

 

 

赤蛮寄「…?」

 

 

正邪「ふざけやがって! こんなキラッキラなキモいノート持ち歩いているだけでも嫌なのに期待させといてこれかよ! むしゃむしゃってなんなんだよ!」

 

 

赤蛮寄「むしゃ?」

 

 

正邪「あぁもうマジでイライラすんなぁ!」

 

 

赤蛮寄「荒れてるな…まぁお前はいつもの事だろうが」

 

 

 ギュイン!

 

 

 

赤蛮寄「付き合ってられないな、悪いが帰らせてもらうぞ」スッ

 

 

 

 イタダキマース

 

 

 

正邪「こんな本こうしてやる! このっこのっ! 千切れろよ! 無駄に頑丈なノートだなこんちく」

 

 

 ムシャア…

 

 

 

赤蛮寄「ぐあああぁ!!」

 

 

正邪「!?」

 

 

 

 赤蛮寄に背を向け、本を千切ろうとしていた正邪が赤蛮寄の声に振り向くとそこには

 

 

 

赤蛮寄「はぁはぁ…!!? な、なん…」

 

 

???「うへへへ♪ あーん♪」

 

 

 ムシャア…

 

 

 

赤蛮寄「ぐああぁ!! うっ…ぐあぁぁ!!」

 

 

正邪「なっ!?」

 

 

 

 左腕が無くなってる赤蛮寄と、赤蛮寄の残った右腕をむしゃむしゃしている謎の女だった

 

 

 

赤蛮寄「はぁはぁ…! うっ…あうう…!? あ、天邪鬼っ…! 貴様何を…!」

 

 

正邪「は…!? え…!?」

 

 

???「う~んうるさい頭ねぇ…分身されるとあれだし~、頭から下まで一気にいっちゃおうかしらぁ♪」

 

 

正邪(な、なんなんだあの女は!?)

 

 

赤蛮寄「う、腕が急に…!! 鬼人正邪っ…! 貴様あぁっ!!」

 

 

正邪「は…!!?」

 

 

正邪(こ、こいつ…! 何で私に…!?)

 

 

???「いただきまーす♪」

 

 

赤蛮寄「一体何をっ…!!?」

 

 

正邪(ま、まさか…)

 

 

正邪(こいつにはこの女が見えてないのか!?)

 

 

 

 ムシャア!

 

 

 

正邪「あ…!!」

 

 

赤蛮寄「!!?」

 

 

???「あぐっんぐっ♪ モグモグ♪」ムシャムシャ

 

 

正邪「…!」

 

 

???「ん~♪ ご馳走様でした~♪」

 

 

 

 赤蛮寄は謎の女にむしゃむしゃされてしまった…

 

 

 

正邪(む、むしゃむしゃ…これが…!? く、食うって事だったのかよ!?)

 

 

???「うへへ♪」

 

 

正邪「ひっ!?」ビクッ

 

 

???「あらあら、何をそんなに驚くのかしら」

 

 

正邪「だ、だっておまっ…お前…!」

 

 

???「ん~?」

 

 

正邪「お前は…! お前は誰だ! 何者だ!」

 

 

???「私? 私は…そのノートの落とし主」

 

 

正邪「ノート!?」

 

 

???「そう♪ そのノート、MUSHA NOTEのね」

 

 

正邪「む、むしゃノート…?」

 

 

???「種族は…まぁ神様でいいや、むしゃ神よ」

 

 

正邪「むしゃ神!?」

 

 

???「名前は…えーっと」

 

 

???→八行ゆかこ「あ、あぁあぁそれ良いわね♪ 八行ゆかこよ♪ 宜しくね♪ 天邪鬼さん♪」

 

 

 

 八行ゆかこと名乗ったむしゃ神は、ふよふよと宙に浮きながら金とピンク色が混じった長髪をかきあげ、楽しそうに自己紹介する

 

 

 

正邪「やぎょうゆかこ…むしゃ神…むしゃノート…」

 

 

ゆかこ「うへへ、その様子だともうそのノートが普通のノートじゃないってわかったみたいね」

 

 

正邪「…お前を含めてな」

 

 

ゆかこ「ま、酷いわぁ♪」

 

 

正邪「ゆかこだったな、色々と聞きたい事がある」

 

 

ゆかこ「良いわよぉ♪ しかし…あなた意外に冷静なのねぇ、伊達に天邪鬼してないってところかしら」

 

 

正邪「…ここじゃダメだな、着いてきてくれ」

 

 

ゆかこ「は~い♪」ススス

 

 

正邪「…」

 

 

 

 

 

 

 

 《人里、正邪の隠れ家》

 

 

 

ゆかこ「まぁ汚い、お掃除ぐらいちゃんとなさいよ、それか引っ越すか」

 

 

正邪「家の事は今どうでもいいんだよ」

 

 

ゆかこ「むう~、天邪鬼さん冷たいわぁ」

 

 

正邪「さっきも言ったけど色々聞きたいことがある、答えろ」

 

 

ゆかこ「答えられる範囲ならね♪」

 

 

正邪「このノートはなんなんだ」

 

 

ゆかこ「なんなんだって…さっきも言ったじゃない、MUSHA NOTEよ」

 

 

正邪「違う、そんなことは分かってるんだ」

 

 

正邪「効力と言うか…ノートに書いてある使い方、これは本当なんだな?」

 

 

ゆかこ「本当もなにもあなたさっき自分で赤蛮寄と名前を書き、その赤蛮寄がむしゃむしゃされたところを見たでしょう?」

 

 

正邪「…むしゃむしゃってのが何だかよく分からなかったから試しにろくろ首の名前を書いたんだ」

 

 

正邪「むしゃむしゃってのは食うって事、そしてこのノートに名前を書かれた奴が64秒後にお前に食われる…そういう認識でいいんだな?」

 

 

ゆかこ「人聞きの悪いこと言わないで」

 

 

正邪「?」

 

 

ゆかこ「食うじゃなくてむしゃむしゃよ♪ むーしゃむ~しゃ♪」

 

 

正邪「…むしゃむしゃされた奴はどうなる」

 

 

ゆかこ「そうねぇ♪ 幻想郷にはもういないわねぇ♪」

 

 

正邪「…死ぬって事か?」

 

 

ゆかこ「むしゃむしゃされた可哀想な者…の方が良くない?」

 

 

正邪「いや私に聞くなよ、質問を質問で返すな」

 

 

ゆかこ「ノリ悪~い♪」

 

 

正邪(コイツ…)イラッ

 

 

正邪「むしゃ因ってのは何だ」

 

 

ゆかこ「むしゃむしゃされる要因、因子…あなたも気付いていると思うけど楽にむしゃむしゃさせたり苦しませてむしゃむしゃさせたり出来るのよ」

 

 

ゆかこ「使い方に書いてあるでしょう? 名前の後に『丸呑み』『踊り食い』『右手から』『左足から』といった具合にむしゃむしゃするやり方…むしゃ因を書けるって感じよ」

 

 

正邪(踊り食いってなんだよ)

 

 

ゆかこ「まぁ、名前を書かれた時点で全身をむしゃむしゃされるのは確定なんだけどねぇ♪」

 

 

正邪「…」

 

 

ゆかこ「MUSHA NOTEに書かれた事は必ず実行されるわ、どんな事があろうとも書かれた者は逃れる事は出来ない、あなたがルールを破らなければね」

 

 

正邪「…このノートはお前のなんだろ? 落としたと言っていたが、取り返しに来たんじゃないのか?」

 

 

ゆかこ「いいえ? 落としたのはわざと、そして名前を書き込んだ時点でもうあなたの物」

 

 

正邪「!」

 

 

ゆかこ「いらない? なら他の人に渡しちゃいなさいな」

 

 

正邪「いや…てか何で落とした」

 

 

ゆかこ「暇潰し」

 

 

正邪「それだけ!?」

 

 

ゆかこ「そーなのよー♪」ビシッ

 

 

正邪「親指立てんな」

 

 

ゆかこ「中指の方がよかった?」

 

 

正邪「お前私のこと馬鹿にしてんだろ」

 

 

ゆかこ「うへへ♪」

 

 

正邪「…お前の事だけどさ」

 

 

ゆかこ「うへへ♪ 気付いていると思うけどあなた以外に私は見えないし声も聞こえないの♪ ノートに名前を書き込んだ者にしか私は見えない、どんな手を使われても絶対に見えない」

 

 

正邪「!」

 

 

ゆかこ「MUSHA NOTEが妖怪天邪鬼、鬼人正邪とむしゃ神、八行ゆかこをつなぐ絆よ♪」

 

 

正邪「絆…」

 

 

ゆかこ「後はね、あなたがノートを使っている限りずっと一緒に着いてなきゃいけないわねぇ」

 

 

正邪「それは…まぁいいよ」

 

 

正邪「…MUSHA NOTEを使った代償はあるのか? どんなもんでも欠点はある、妖器とかでもそういうのはあるからな」

 

 

ゆかこ「ん~、強いて言うなら…」

 

 

ゆかこ「そのノートに名前を書いた時その書かれた者の側にいて見てなきゃならないでしょう? その後にむしゃむしゃされる訳だけど」

 

 

ゆかこ「むしゃむしゃされるその様、残酷な場面ま見届けなければならない…あなたにはその精神力があって?」

 

 

正邪「…」

 

 

正邪「最後に聞くが」

 

 

正邪「ノートは私が自由に使っていいんだな?」

 

 

ゆかこ「もちろんよぉ♪ どんな使い方をしようともあなたの自由、ノートのルールには従ってもらわないとダメだけどね♪」

 

 

正邪「…!」

 

 

ゆかこ「…ここまで聞いてみてどうかしら? 嫌ならノートは私に返してね、暇潰しにならないし」

 

 

正邪「…」

 

 

ゆかこ「…」

 

 

正邪「…」

 

 

ゆかこ「…?」

 

 

 

 

正邪「クククク…ククク! あははは!! あっはっはっはっ!!」

 

 

ゆかこ「…♪」

 

 

正邪「誰が返すもんかよ! このノートさえあればあの魔法使いも! 狸も! あの博麗の巫女でさえも! 私の仕業だと認識させることなく始末できる!」

 

 

正邪「私が! 天邪鬼が! この鬼人正邪様が幻想郷を裏からひっくり返して全てを支配することも出来るってわけだぁ!!」

 

 

ゆかこ「まぁ♪ 怖い怖い♪」

 

 

正邪「クククククク…! 天邪鬼を弱小と言う時代は終わりだ! 今日から全てを覆してやる!! 幻想郷は私の物だ! 幻想郷の頂点に立ってやる!」

 

 

ゆかこ「壮大ねぇ♪」

 

 

正邪「…八行ゆかこ! この私に協力しろ! 嫌とは言わせないぞ!」

 

 

ゆかこ「だからぁ、ノートはもうあなたの物だしぃ~、私はノートの精霊みたいなもんだから協力は惜しまないわぁ♪」

 

 

正邪「…お前むしゃ神なんだろ? 神みたいなもんなんじゃないのか?」

 

 

ゆかこ「ん~、まぁ何でもいいじゃない」

 

 

正邪「色々と安定しないな、お前」

 

 

 

 

 

 

 

 《人里》

 

 

 

魔理沙「いたか!? あったか!?」

 

 

マミゾウ「いもせんしありもせん…やはり天邪鬼の手にあるのかもな」

 

 

魔理沙「あいつ燃やすとか言ってたよな、まずいぜ」

 

 

マミゾウ「…もし燃やしておったら」

 

 

魔理沙「あ?」

 

 

マミゾウ「全力で奴を潰す…!」ゴゴゴ

 

 

魔理沙「!? …お前その顔絶対に小鈴の前でするなよ」

 

 

マミゾウ「するわけなかろうが」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《人里、中心街》

 

 

 

正邪「MUSHA NOTE…ミッション?」

 

 

ゆかこ「そうそう♪ 私が遊び半分で付けたルールでね? 書いた人数に応じて、書いた者に応じて、そこに書いてないルールを私が教えてあげたり、あなたにメリットのある効果をノートに足してあげるから♪」

 

 

正邪「はぁ!? ここに書いてあるのが全てじゃないのかよ」

 

 

ゆかこ「その表紙に書ききれるわけないでしょう? スペース足りないもん」

 

 

正邪「…」

 

 

ゆかこ「大丈夫、あなたにとって不利なルールは無いから安心して良いわよぉ♪ ルールを破っても64秒数え直しになるだけだから」

 

 

正邪「それ充分に不利なルールだな…意外に長いんだよ、1分4秒」

 

 

ゆかこ「まぁそこは妥協してね」

 

 

正邪「んで?ミッションは?」

 

 

ゆかこ「さっき一人書いたから『まずは一人書いてみよう!』は達成ね」

 

 

ゆかこ「新しいルールよ♪」

 

 

 

 『むしゃむしゃさせたい対象が二人以上いて、二人の名前を一気に書いた場合、先に名前を書かれた者がむしゃむしゃされる、その者が全てをむしゃむしゃされるまでは例え書いてから64秒経っていたとしても、一人目がむしゃむしゃされるまで待たなければ効果はない』

 

 

 

正邪「…」

 

 

正邪「このルールには抜け道があるな」

 

 

正邪「一人目の名前を書いた後に丸呑みと書けば、直ぐに二人目の奴も始末できる、二人目は普通にむしゃらせてもいいし、苦しませてむしゃらせてもいい、でもこれ二人目もまた64秒数えないとってか」

 

 

ゆかこ「あらあら、頭のいいことで♪」

 

 

正邪「伊達に天邪鬼してないからな」

 

 

ゆかこ「もっと馬鹿だと思ってた」

 

 

正邪「お前さらっと辛辣だなおい!」

 

 

ゆかこ「うへへ♪」

 

 

正邪「そのうざったい笑いかたなんとかなんないのか?」

 

 

ゆかこ「バレ……最初からこれだから無理~♪」

 

 

正邪「? …まぁ我慢してやるよ、そのぐらい」

 

 

ゆかこ「ところで正ちゃん、どこに向かってるの?」

 

 

正邪「その呼び方はやめろ」

 

 

ゆかこ「うへへ♪」

 

 

正邪「…私は幻想郷の奴等の名前を知らなさすぎる」

 

 

正邪「だからまずはあれを手に入れる」

 

 

ゆかこ「ん~?」

 

 

 

 

 

 

 《人里、稗田邸前》

 

 

 

ゆかこ「あぁ、なるほどなるほど」

 

 

正邪「幻想郷縁起…その他にも幻想郷の住人を記してある書物があるはずだ、それを奪う」

 

 

ゆかこ「怖いわぁ♪ 泥棒さんになっちゃうのね」

 

 

正邪「…ゆかこ、ダメ元で聞くが、お前ここに入って盗んできてくれないか?」

 

 

ゆかこ「それは無理~♪ ってか嫌よ♪」

 

 

正邪「…だろうな」

 

 

ゆかこ「私はむしゃむしゃするだけ、あなたに着いて行くと決めたしあなたの事は嫌いじゃないけど、そういうことは協力しないわぁ♪」

 

 

正邪「…まぁ贅沢は言わねぇよ、なら潜入するしかないか」

 

 

ゆかこ「あら楽しそう♪ 私壁をすり抜けられるから心配しなくて良いわよぉ♪」

 

 

正邪「私はすり抜けられねぇんだよ、てか姿も見えない声も聞こえない…そっちの方が便利な能力じゃないか?」

 

 

ゆかこ「…うへへ♪」

 

 

正邪「ほんと何者だよお前」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《稗田邸 天井裏》

 

 

 

ゆかこ「忍者よ忍者♪ ニンニンニンニン♪」

 

 

正邪「シーっ…!! 静かにしろよ…!」

 

 

ゆかこ「大丈夫よぉ♪ 私の声はあなた以外には聞こえないんだから」

 

 

正邪「忍び込んでんのにそんなにべらべら喋られたらなんかこう…嫌なんだよ…!」

 

 

ゆかこ「正ちゃんの方がべらべら喋ってる♪」

 

 

正邪「…! くっ…!」

 

 

ゆかこ「鬼人正邪…あ♪ 鬼人忍者♪」

 

 

正邪(くだらねぇ!)

 

 

正邪「…! いたな、下見ろ…!」

 

 

ゆかこ「ん~?」

 

 

 

 

 

 

稗田阿求「ん…んーー!! んあぁ!! くたびれた!」

 

 

阿求「私一日何万文字書いてんだろ…はぁ、紫さんが羨ましい…私も仕事サボって地底の温泉行きたい」

 

 

 

 

ゆかこ「言動がおっさんのそれねぇ」

 

 

正邪「ふっ、安心しろ…! もう文字を書く必要もない」カキカキ

 

 

 

 

 稗田 阿求 丸呑み

 

 

 

 

ゆかこ「あら、名前を知ってたの? なんで丸呑み?」

 

 

正邪「コイツは人里では有名な奴だからな、それにここには使用人がいるんだよ…っと、後は見てないとな」

 

 

 

 

阿求「ふぅ、あ~小鈴誘って地底の温泉行きたい…」

 

 

阿求「温泉…卵…あっ、今日の夜ご飯卵料理にしよう」

 

 

 

正邪(…64秒!)

 

 

 

ゆかこ「いただきまーす♪」

 

 

 

阿求「あれ? 料理本どこ行っ…!」

 

 

 

 ムッシャア…

 

 

 

ゆかこ「あぐあぐ♪」

 

 

阿求「…!!? !?」ジタバタ

 

 

ゆかこ「んぐんぐ…♪」

 

 

正邪(…エグいな、丸呑み)

 

 

正邪(頭から胴まで半分以上を先に丸呑みして、次に下半身全体か…丸呑みっても二口か、足がじたばたしてんのが余計に…)

 

 

正邪(てかあいつの口はどうなってんだよ)

 

 

 

 むしゃむしゃ…

 

 

 

ゆかこ「ふぅ、ごちそうさまでした♪」

 

 

正邪「よっと…よし、良くやったゆかこ、さて幻想郷縁起と名前の資料は…」

 

 

ゆかこ「ミッション成功! 『二人目を書いてみよう!』」

 

 

正邪「ん? 今かよ、探してるからなるべく手短に話せよ?」

 

 

ゆかこ「ルール追加よ♪」

 

 

正邪「?」

 

 

 

『ノートに名前を書き込んでからその書かれた者を目で見てもノートの効果はある』

 

 

 

正邪「つまり…例えばだが、私がこの家の外で稗田の名前を書いて天井裏で奴を発見した瞬間から64秒は始まるんだな?」

 

 

ゆかこ「正ちゃん頭いいわねぇ♪」

 

 

正邪「予約みたいなもんか、側にいなきゃなんないのは変わらないから別にって感じだな」

 

 

ゆかこ「知ることに意味があるのよ」

 

 

正邪「まぁ良いけど… お! これだ! あったぞ! よしこれで…」

 

 

ゆかこ「あらあら、本当に泥棒さんね♪」

 

 

正邪「なんとでも言え、撤収するぞ」

 

 

ゆかこ「は~い♪」

 

 

 

 

 

 

 

 《人里、中心街》

 

 

 

正邪「しかし…こうして見てみると複雑な漢字の奴とシンプルな名前の奴との差が激しいな」

 

 

ゆかこ「正ちゃん人のこと言えるの?」

 

 

正邪「私はシンプルな方だろ」

 

 

ゆかこ「え~、鬼の人で正しい邪なんてド直球じゃない」

 

 

正邪「そういうのをシンプルって言うんだよ!」

 

 

ゆかこ「うへへ♪」

 

 

正邪「…? ん?」

 

 

ゆかこ「どったの?」

 

 

正邪「パラパラっとめくってみたけど…これお前の名前が書いてないぞ?」

 

 

ゆかこ「そりゃあねぇ、ごく最近幻想郷に生まれたから」

 

 

正邪「ふーん…別にいいけどよ」

 

 

ゆかこ「私の漢字知りたい? あ、知ったらノートに書いちゃう?」

 

 

正邪「書かねぇよ、まだまだ協力してもらうんだからな」

 

 

ゆかこ「うへへ♪ 正ちゃん優しい」

 

 

正邪「!! やめろ!? 私を褒めるとかそういうのだけはやめろ! 蕁麻疹が出てくるんだからな!?」

 

 

ゆかこ「天邪鬼の性ねぇ♪ うへへ♪」

 

 

正邪「笑ってんじゃねぇっ!」

 

 

 

 見つけたぞ!!

 

 

 

正邪「!」

 

 

マミゾウ「漸く見つけたぞ、天邪鬼よ」

 

 

魔理沙「よう、堂々とよくこんなとこ歩いてられんな、ふてぶてしさは一流だな」

 

 

正邪「お前ら…!」

 

 

マミゾウ「今まで何処に隠れていたのかは聞かんでおこう…して天邪鬼」

 

 

マミゾウ「小鈴から奪った本は何処にあるんじゃ、あぁ?」ゴゴゴゴ

 

 

正邪「!?」

 

 

魔理沙(すげぇ気迫だな、伊達に狸の親分やってないってか?)

 

 

正邪「…あぁ、これのことか?」スッ

 

 

マミゾウ、魔理沙「!」

 

 

魔理沙「小鈴の言った通りの本だな、表紙がキラキラなやつ! 燃やされてなかったみたいだな」

 

 

正邪「ふん! お前らあの時気付かなかったのか? 私がこれを取った事によぉ?」

 

 

魔理沙「あぁ流石だぜ正邪、ほんと感服したよ、すげぇなお前」

 

 

正邪「! てめっ…! 褒めんじゃねぇよ! クソッ! 蕁麻疹がぁ!」

 

 

魔理沙「おー効いてる効いてる、このまま褒めあげて」

 

 

マミゾウ「いや…」

 

 

魔理沙「ん?」

 

 

マミゾウ「あやつにはお灸を据えてやらねばならん」

 

 

魔理沙「おいおい、あいつを締め上げるのは取り返してからでいいじゃないか、燃やされてもなかったことだしよ」

 

 

マミゾウ「不思議アイテムでまた逃げられたらどうする、儂は儂のやり方で奴を捕まえ、本は必ず取り返してみせる、お主は見とれ」

 

 

魔理沙「お前も結構熱い奴だなぁ…友達の為だもんな」

 

 

マミゾウ「奴もお尋ね者じゃ、どんなにキツイ灸でも許されるじゃろうて」

 

 

魔理沙「んー、じゃ見届けさせてもらうぜ」

 

 

 

正邪(コイツらぁ…! さっきから好き勝手言いやがって! さっさと書いて始末してやる…!)スッ

 

 

ゆかこ「あらあら正ちゃん、良いの?」

 

 

正邪「あ? なんだよ?」

 

 

ゆかこ「こんな人通りの多いところでむしゃむしゃしたら大変じゃない?」

 

 

正邪「…!?」

 

 

 

魔理沙、マミゾウ「…?」

 

 

 

正邪(そうか…! 私にはゆかこが見えてて他の奴等には見えていない! 二人の名前をノートに書いて同時に始末する時、一人目に書いた奴が二人目の近くにいても何が起きたか分からないまま直ぐにむしゃむしゃされるだろうけど)

 

 

正邪(回りの奴等…人里の住人からしてみれば『鬼人正邪の目の前でいきなり人が消え失せた』となる)

 

 

正邪(そんなことが立て続けに起きていたと天狗の新聞かなんかに載せられたら真っ先に私が何かしていると疑われる…幻想郷を裏から支配するという夢が遠退いちまう…!)

 

 

正邪(そもそも三人以上の名前を同時に書くときもこれに気を付けていなければ悟られる奴には悟られる事は確かだ…!)

 

 

正邪(…ならば!)スッ

 

 

 

 霧雨 魔理沙 一口で一気に一瞬で丸呑み

 

 

 二ツ岩 マミゾウ 両足から頭に向かってむしゃむしゃされる

 

 

 

 

魔理沙「ん? あいつ本に何してんだ?」

 

 

マミゾウ「この期に及んでイタズラを…!」

 

 

ゆかこ「あらら、書いちゃった」

 

 

正邪(後は…)スッ

 

 

正邪「…!」ギューン

 

 

 

魔理沙「なっ!?」

 

 

マミゾウ「ぬっ!」

 

 

 

ゆかこ「え~? 逃げちゃうの?」

 

 

正邪「戦略的撤退と言え!」

 

 

 

マミゾウ「待つんじゃ! もう絶対に逃がさんぞい!」

 

 

魔理沙「あ、おい! 待てって!」

 

 

魔理沙(何も言わないで逃げるとかあいつらしくないな)

 

 

 

 

 《人里、正邪の隠れ家》

 

 

 

正邪「はぁ、はぁ…」

 

 

マミゾウ「はぁ…はぁ…追い詰めたぞい」

 

 

魔理沙「つかお前…はぁはぁ…どこまで逃げんだよ、ここどこだ?」

 

 

正邪「ここはなぁ、私の隠れ家だ…! はぁ、はぁ」

 

 

マミゾウ「…自分の土俵で戦うために退いたのか」

 

 

魔理沙「まんまと乗せられて来ちまったが、お前の逃げ場がなくなった事は確かだな」

 

 

正邪「…」

 

 

正邪(馬鹿め!! 逃げ場なんて作らなくたっていいんだよ! ここなら思う存分むしゃらせられる! まずは霧雨、お前からだ!)

 

 

マミゾウ「…天邪鬼、聞くだけ無駄だとは思うが大人しく本を返す気はないんじゃな?」

 

 

正邪「はっ! 誰が返すか! 無駄なことすんな!」

 

 

マミゾウ「じゃあもう聞かんわい、覚悟せぇよ貴様」ゴゴゴゴ

 

 

正邪(うっ…! クソッ、後何秒だよ! 早くしてくれ!)

 

 

魔理沙(やる気…いや、殺る気満々だなぁマミゾウのやつ、なら私は隙を見てあの本を奪ってやるか、今回は裏方にまわ)

 

 

 

ゆかこ「いただきまーす♪」

 

 

 

 ムッシャア…!

 

 

 

正邪「!」

 

 

マミゾウ「魔理沙、お主は少し下がっておれ! ここは儂から仕掛ける!」

 

 

 

ゆかこ「ん~、ごちそうさまでしたー♪」

 

 

正邪(い、一瞬で…! あ、あの魔法使いがこうもあっさりと……)

 

 

正邪「ククク…!」ニタァ

 

 

マミゾウ「何を笑っておる貴様!」

 

 

正邪「魔理沙ぁ? ククククク…! 誰に向かって喋ってんだお前」

 

 

マミゾウ「何!?」クルッ

 

 

 

 マミゾウが後ろを振り返るとさっきまでいた魔理沙がいなくなっていた

 

 

 

マミゾウ「なっ…!? なん…じゃと…!?」

 

 

マミゾウ「魔理沙! 魔理沙何処に…ま、まさか貴様が…!?」

 

 

正邪(あぁ、もういないさ…次は狸、お前だ…!)

 

 

マミゾウ「魔理沙に何をした!」

 

 

正邪「あぁ? 私は何もしてないぞ? お前だって私の事をずっと見てたじゃないかよ」  

 

 

マミゾウ「…!」

 

 

正邪「まぁそうだな、何をしたって聞かれたら」

 

 

正邪「あいつの名前をこれに書いたぐらいか?」

 

 

マミゾウ「何を戯けた事を…!」

 

 

正邪「事実なんだからしょうがないだろ」

 

 

マミゾウ(こやつほんとに何を…人を一瞬で消すなどまずあり得ん、魔理沙をどうやって…)

 

 

正邪「ククククク…!」ニタニタ

 

 

マミゾウ(この天邪鬼が何かした気配は微塵もなかった、妖術の類いでも何でもないとしたら何かの道具…妖器)

 

 

正邪「おいどうした? かかってこないのか?」

 

 

マミゾウ(…! いや、考えている場合ではない、今はこやつを取っ捕まえて)

 

 

正邪「あぁ…悪いな狸」

 

 

マミゾウ「!」

 

 

正邪「時間切れだ」ニタァ

 

 

 

ゆかこ「いただきまーす♪」

 

 

 

 ムッシャア…!

 

 

 

マミゾウ「…? 何じゃ…? 何…!?」ゾクッ

 

 

マミゾウ「ぬあっ!? ぐっ!? な、なんじゃこれはぁ…!?」ドサッ

 

 

正邪「おいおい…自分の両足が無いことに漸く気づいたのか? 正確には無くなった、か?」

 

 

 

 むしゃむしゃ

 

 

 

マミゾウ(足がどんどんなくなってきておる…! なんじゃこれは!)

 

 

正邪「なぁ? 私は何もしてないだろう? 何かしていると言うんなら教えてくれよ、なぁ?」

 

 

マミゾウ「…! 鬼人…正邪っ…!」

 

 

正邪「あばよ、邪魔者が」

 

 

マミゾウ「ぐっ…! ぬ…ぁ…」

 

 

 

 むしゃむしゃぁ…!

 

 

 

ゆかこ「ごちそうさまでしたー♪」

 

 

正邪「…」

 

 

ゆかこ「ふぅ…なーんだぁ、正ちゃん逃げたかと思ってたけど本当に戦略的撤退だったのねぇ」

 

 

ゆかこ「ノートに名前を書いてから人目につかないところに誘導、で…むしゃむしゃと」

 

 

正邪「まったく不便だな、MUSHA NOTEってのは…ゆかこが見えていなかろうが消える瞬間ってのは他人に見えちまうからな」

 

 

ゆかこ「じゃあノート返す?」

 

 

正邪「返すわけないだろ、返すとしても幻想郷を支配してからだ」

 

 

ゆかこ「あぁ良かった♪ 返されたらつまらないもの」

 

 

正邪「じゃ、聞くなよ……」

 

 

ゆかこ「ん~? 正ちゃんどうかした?」

 

 

正邪「…あの二人を消すことが出来たのが少し実感できなくてな」

 

 

ゆかこ「でも間違いなくむしゃむしゃされた、あなたが手を下した…覆らない事実よ」

 

 

正邪「そうだな…あぁ…そうなんだ」

 

 

正邪「もうあの魔法使いも狸もいない、これは事実、私が手を下した、幻想郷を裏から支配するのに奴等は邪魔だったからだ」

 

 

ゆかこ「そう、それが事実、あなたの野望」

 

 

正邪「…ククククク、あぁ野望が現実となる日が見えて来たぞ…もう躊躇わないでいける」

 

 

ゆかこ「♪」

 

 

正邪「…よし、なら次だ」

 

 

ゆかこ「?」

 

 

正邪「このノートの存在を知るものを全て消す必要がある…それで野望にぐっと近くなる」カキカキ

 

 

 

 本居 小鈴 頭から丸呑み

 

 

 

 

 

 《鈴奈庵》

 

 

小鈴「あ、いらっしゃいま…!?」

 

 

正邪「よぉ」

 

 

小鈴「なっ!? あ、天邪鬼! 何でここに」

 

 

正邪「なんだ、ここに来ちゃいけないのか?」スッ

 

 

小鈴「! そ、その本は」

 

 

正邪「本? これはノートだ、最高のな」

 

 

小鈴「か、返して! 返してよ!」

 

 

正邪「お前も同じことを…聞き飽きたな、ほんとに」

 

 

小鈴「同じ…? 魔理沙さんとマミさんのこと?」

 

 

正邪「あぁそうだ、このノートを返せ返せとしつこかったぜ…まぁでも」

 

 

正邪「もうこの幻想郷にはいないがな」ニタァ

 

 

小鈴「!? ど、どういう意味…!?」

 

 

正邪「そのままの意味だ」

 

 

小鈴「あ、あなたあの二人に何かしたの!?」

 

 

正邪「あぁしたな、もう影も形も残ってない」

 

 

正邪「だけどな、安心しろよ♪」

 

 

小鈴「ひっ…!? な、何を」

 

 

正邪「お前もあいつらとおんなじところに送ってやるからよ」

 

 

小鈴「!!?」ゾクッ

 

 

 

ゆかこ「いただきまーす♪」

 

 

 

正邪「さようなら、本居小鈴」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆかこ「これであなたの思う邪魔者はむしゃむしゃされたわねぇ♪」

 

 

正邪「あぁ、これで行動に移せる」

 

 

ゆかこ「これからどうするの?」

 

 

正邪「決まってるだろ」

 

 

正邪「幻想郷を裏からひっくり返す…その計画の第一歩だ」

 

 

ゆかこ「あらあら、そんな計画があなたの中にもう出来てたのね」

 

 

正邪「あぁ、あの魔法使いと狸を消した時から考えてたんだ、情報が出回ると動き辛くなる…先ずはそういうところから潰していく」

 

 

ゆかこ「きゃ~こわ~い♪ でも退屈しないですみそうねぇ」

 

 

正邪「今日から…幻想郷は変わる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《三日後 人里 寺子屋》

 

 

 

博麗 霊夢「いったいどうなってるの…」

 

 

アリス・マーガトロイド「まさか慧音もいないなんて…」

 

 

豊聡耳 神子「これは今だかつてない異変になりそうだな」

 

 

霊夢「なりそうじゃなくてなってるのよ、大異変だわ」

 

 

神子「確認出来ているだけで『紅魔館』『命蓮寺』『地底、地霊殿』『妖怪の山』『永遠亭』『人里の住人』及びその周辺の者が消えたか」

 

 

アリス「…魔理沙もよ」

 

 

霊夢「…」

 

 

神子「あの魔法使いが消えるなど、信じられ」

 

 

霊夢「魔理沙は消えてなんかいないわよ!」

 

 

アリス、神子「!」

 

 

霊夢「…! ……ごめん」

 

 

アリス「霊夢…」

 

 

神子「…」

 

 

霊夢「…」

 

 

神子(霊夢、やつれているな…無理もないか)

 

 

伊吹萃香「おーい、霊夢ー!」

 

 

霊夢「! 萃香…」

 

 

霊夢「どうだった?」

 

 

萃香「ダメだ、霧になって幻想郷中を探しまわってみたけど消えたっていう連中の影も形もないよ」

 

 

霊夢「! そう…ありがと萃香、手間かけたわね」

 

 

萃香「それと…」

 

 

アリス「どうしたの?」

 

 

萃香「消えた奴がまた増えたよ…八雲家と白玉楼、それから妖精達とその遊び仲間の子供たち、寺子屋に通ってた子供」

 

 

霊夢「! ……」

 

 

アリス「子供達…それにあの紫まで」

 

 

神子「亡霊までも消すとは…犯人はいったい何者なのだ」

 

 

萃香「それが分かれば苦労しないよ」

 

 

神子「…霊夢、今こんなこと言うことではないと思っていたが言わせてもらおう」

 

 

霊夢「…」

 

 

神子「これは神隠しの類いだ、そう思えるほど静かに、どんどん幻想郷の住人が消えていっている、だから私は神隠しに縁のある八雲紫の仕業ではないかと睨んでいる」

 

 

萃香「おいおい、紫がそんなことするわけないだろ! 現に紫と藍と橙も消えてるんだぞ?」

 

 

神子「私はお前たちの様に八雲紫を特別視していない、だからこそ八雲紫が犯人の線でこの異変を」

 

 

アリス「ちょっと待ちなさいよ! 少しは霊夢の気持ちを考えて…」

 

 

神子「他に手掛かりがあるというのか? 訳も分からずこのまま我らも消されていくというのか? 私は御免だ」

 

 

アリス「っ…!」

 

 

霊夢「…」

 

 

神子「……手分けをしてこの異変を解決した方が良いのかも知れんな、私は私の考えで動く…失礼する」

 

 

萃香「待ちなよ」

 

 

神子「…」

 

 

萃香「これだけは覚えときな、紫は霊夢を深く傷付ける事だけはしない」

 

 

神子「…分かった、覚えておこう…」スッ

 

 

 

霊夢「…」

 

 

アリス「…霊夢」

 

 

萃香「霊夢、あの」

 

 

霊夢「大丈夫よ」

 

 

霊夢「そのうちけろっとして魔理沙も紫も出てくるわよ『私がこいつを捕まえたんだぜ!』とか『霊夢~!犯人捕まえたわよ~!』とか言いながらさ、あいつらもうこの異変の犯人を突き止めてるかも知れないし」

 

 

萃香、アリス「…」

 

 

霊夢「あぁ、なんかそう考えると心配してる自分がアホらしく思えて来たわ! この異変、なんとしてもあいつらより先に犯人見つけ出してさっさと宴よ!」

 

 

霊夢「ほら、行くわよアリス、萃香! この異変、私たちで解決するんだからね」

 

 

アリス「え、えぇ…分かったわ」

 

 

アリス「……無理して笑うんじゃないわよ、霊夢のバカ」

 

 

萃香「アリス、霊夢のこと全力でサポートしよう、そうすることが今私たちに出来る最大限の事だよ」

 

 

アリス「うん…!」

 

 

 

 

 霊夢たちが寺子屋で話しているのを聞いている一つの影と、見えない何者かの姿に霊夢たちは気づいていなかった

 

 

 

正邪「よし、着々と幻想郷を裏から完全に支配する準備は整って来ている…!」

 

 

ゆかこ「……」

 

 

正邪「先ずは辺りの奴等を一掃することで異変が起きていると奴等に認知させる、そうすることで幻想郷に居ながらも他の空間にいる奴等を誘き出す事が出来るからな、後は私の仕業だと気付かれない様に順々に消していくだけだ! あはははは!」

 

 

ゆかこ「…」

 

 

正邪「ゆかこ、お前がノートに色々とルールを追加してくれたお陰でより消すことが楽になった! 礼を言う…いや、礼を言うのは変か? 元々あった様なもんだったし、ミッション達成の褒美だしな」

 

 

 

 『偽名を貫通するようになる、その名、呼称で呼ばれた事があれば本名でなくてもその文字を書けばむしゃむしゃすることが出来る』

 

 

 『むしゃ神から『むしゃ神の目』をもらうことができる、むしゃ神の目は目を閉じ、念じる事でむしゃ神との視界を繋げさせ視野を繋げる事が出来る、ただむしゃむしゃするという感覚を自分で体験するかの様な苦痛を伴う』

 

 

 

正邪「むしゃ神の目にも不自由ないしな、最初は気持ち悪かったけど慣れちまえばこっちのもんだ…つーか、これ目は関係あるのか? 便利だから良いけどよ」

 

 

正邪「お前を部屋の中央に残して私はその部屋の何処かに隠れればもういつでも消せるからな、名前を書いて潜むだけ…これがなかったら古明地さとりはやれなかったな、あはは!」

 

 

正邪(もうすぐだ…もうすぐで幻想郷を裏から支配出来る…! そう遠くはない!)

 

 

正邪(博麗の巫女、そうやって苦しんでいろ…! 悩んで悩んで悩み続けていろ…!)

 

 

正邪(お前は最後に楽にしてやる)

 

 

ゆかこ「……霊夢…」

 

 

正邪「しかし私は八雲紫とあの幽々子とかいうやつは書いてないぞ…? まぁ消えてるなら手間が省けるけどな、どのみち消すつもりだし…あ、今書いとくか? 保険としても有効だもんな…うん? 何か言ったかゆかこ」

 

 

ゆかこ「…! え? べ、別に何も…」

 

 

正邪「…? お前らしくないじゃないか、まだまだ退屈はさせないぞ? もっとこの状況を楽しめよ」

 

 

ゆかこ「あ~、うんそうね~、そうだといいわね~♪」

 

 

正邪「なんだそりゃ…」

 

 

ゆかこ「それより良いのかしら?」

 

 

正邪「あん?」

 

 

ゆかこ「一人でべらべら喋ってると、おかしな人だと思われるわよ?」

 

 

正邪「あ? だからそれはいつも気を付けて」

 

 

少名 針妙丸「ねぇ正邪、さっきから何を独り言を喋っているの?」

 

 

正邪「え」

 

 

針妙丸「うん?」

 

 

正邪「…」

 

 

針妙丸「…」

 

 

 

 

 

 

正邪「うわっ!? びっくりした!」

 

 

針妙丸「えぇー! 遅くない!?」

 

 

針妙丸「気づいていなかったの!?」

 

 

正邪「急に現れんなよお前はいつもいつもよぉ!」

 

 

針妙丸「またぁ!? いつも普通に会おうとしてるのにいつもいつもそうじゃない!」

 

 

正邪「ちっちぇから気配が分かりづらいんだよ!」

 

 

針妙丸「あー! ちっちぇって言ったなぁ! 小人をバカにすると」

 

 

正邪「…?」

 

 

針妙丸「ば、バカにすると…」

 

 

正邪「…考えてないんだろ」

 

 

針妙丸「うっ…」

 

 

針妙丸「こ、この針でお前の傷口を縫うぞ!」

 

 

正邪「処置じゃねぇか」

 

 

 

 

 

 

 

針妙丸「ねぇ知ってる? 最近神隠しが多いって」

 

 

正邪「あぁ、知ってる」

 

 

針妙丸「霊夢から聞いたんだけど幻想郷の半分以上の実力者達が消えていってるんだって」

 

 

正邪「…実力者、ねぇ」

 

 

針妙丸「……私も神隠しにあっちゃうのかな…?」

 

 

正邪「…」

 

 

針妙丸「怖いよね…急にいなくなっちゃうんだもん、皆の前から突然にさ」

 

 

針妙丸「さよならも言わないでさ…消えちゃうんだって」

 

 

正邪「…」

 

 

針妙丸「嫌だなぁ、そんなの」

 

 

正邪「…お前は大丈夫だろ」

 

 

針妙丸「えっ…?」

 

 

正邪「大した実力もないし? いなくなったかどうかも分からないぐらいにちんちくりんだし? お前は大丈夫だよ」

 

 

針妙丸「…? あっ! 正邪私のことスッゴくバカにしてる!」

 

 

正邪「バカにしたって処置が待ってるんだろ? ほら、早く縫ってくれよ、ん?」

 

 

針妙丸「うぅー! うがぁー! 正邪のバカー!」

 

 

正邪「ふははは♪」

 

 

ゆかこ「…」

 

 

正邪「相変わらずからかいがいがあるやつだなぁ」

 

 

針妙丸「むぅ~…」

 

 

正邪「……お前はあの小槌を使える実力者…神隠しをされてもおかしくはないかもな」

 

 

針妙丸「!」

 

 

正邪「でもな、そんなもんにビビるお前じゃないだろう? 共にレジスタンスとして活躍していた時を思い出せよ」

 

 

正邪「神隠しなんて跳ね返せ、お前なら出来るさ」

 

 

針妙丸「! 正邪…!」

 

 

正邪「…たぶん」

 

 

針妙丸「たぶん!?」

 

 

正邪「まぁ気楽に生きろってこった、消されるのにビクビクしてたら何にも出来ねぇぞ? じゃあな、姫」スタスタ

 

 

針妙丸「えぇちょっとー! 何にも解決してないと思うんだけどー!」

 

 

針妙丸「……でも」

 

 

針妙丸「ちょっと元気でたかも…」

 

 

針妙丸「ありがと正邪♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆかこ「あなたらしくないセリフの数々…面白かったわよ♪」

 

 

正邪「面白がるんじゃねぇよ」

 

 

ゆかこ「でもあの子もいずれは書くんでしょう?」

 

 

正邪「…いずれな」

 

 

ゆかこ「まぁ♪ 容赦のないことで」

 

 

正邪「うっせぇ…」

 

 

正邪「…」

 

 

正邪(私は天邪鬼、そして幻想郷をひっくり返す者)

 

 

正邪(分かってくれるよな…? 姫)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《そしてさらに四日後… 博麗神社》

 

 

 

霊夢「…」

 

 

萃香「…」

 

 

霊夢「探しに…行ってくるわ」

 

 

萃香「! 霊夢ダメだよ! もう二日も寝てないじゃないか!」

 

 

霊夢「うるさいわね…離しなさいよ…」

 

 

萃香「探すのは私に任せろって言ったろ! 霊夢は休んでてくれよ! それに離れたらダメだ、相手は神隠しなんだぞ!」

 

 

霊夢「神隠し…? 違うわよこんな…」

 

 

萃香「…?」

 

 

霊夢「神隠しと偽って異変の首謀者は好き勝手やっているのよ!? 博麗の巫女がこれを見過ごせると思うの!? もう残っているのは私達と針妙丸しかいない!」

 

 

霊夢「アリスも、神子たちも、地獄の女神たちも! 幽香も天子もみんな消された…! 私が平和ボケしてまたいつもの異変解決だなんて思ってたばっかりに…!」

 

 

萃香「霊夢のせいじゃないだろ! 落ち着いてくれよ!」

 

 

霊夢「! …萃香」

 

 

萃香「霊夢、霊夢は今とにかく休むんだ、その状態で異変の首謀者がここに来たら倒せる相手も倒せない、だから…」

 

 

霊夢「…」

 

 

萃香「霊夢…」

 

 

霊夢「…萃香、ありがとう…」

 

 

萃香「ふん、今更じゃないか霊夢」

 

 

霊夢「ふふっ…」

 

 

萃香「…大丈夫、霧になっても本体だけ私のとこに置いておけばいつでもいられるからさ、心配いらないよ」

 

 

霊夢「うん…頼んだわ、萃香」

 

 

萃香「おう、任しとけ」

 

 

 

 フワッ

 

 

 

霊夢「うん?」

 

 

萃香「?」

 

 

古明地 こいし「わったたた…! 到着到着♪」

 

 

萃香「お前…さとりの妹」

 

 

霊夢「こいし、あんた消えてなかったのね…」

 

 

こいし「消える? うーん、気配はいつでも消せますよー♪」

 

 

霊夢「そういうことじゃないんだけど、でも無事で良かったわ」

 

 

こいし「無事? あ、そうそう、霊夢に聞きたいことがあるの」

 

 

こいし「お姉ちゃんとお燐とお空が何処にもいないの、それとフランちゃんも命蓮寺の皆も、みんなみんないなくなっちゃってるんだけど何処に行ったか知らない?」

 

 

霊夢「あんた…この一週間何処にいたのよ」

 

 

こいし「幻想郷の果てまで旅行を♪」

 

 

萃香「気楽だねぇ、あっはっは♪」

 

 

こいし「そんなことよりさ、知らない?」

 

 

霊夢「今ね…幻想郷の危機なの、異変の真っ只中なのよ」

 

 

こいし「ほぇ?」

 

 

萃香「説明してあげるよ」

 

 

 

 

 

 《鬼、説明中…》

 

 

こいし「…ふーん、そうなんだねー」

 

 

霊夢「そうなのよ…だからあんたも気を付け」

 

 

こいし「じゃあ私がそいつのこと消してあげるよ」

 

 

霊夢「あんた…!」

 

 

萃香「お、おい待て待て! まだ犯人の事も分かってないんだぞ?」

 

 

こいし「いいよ私が消えながらそいつのこと探すから、そしたら私に何にも出来ないじゃん」

 

 

こいし「自分だけ消えないなんて不公平じゃない、私が消す、消す消す消す…」ブツブツ

 

 

霊夢「こいし…」

 

 

萃香(大好きな姉ちゃんとかが消えたって知ったから自我が崩壊しかかってるぞ…! 大丈夫か!?)

 

 

こいし「消してやる…消して、消して消して消してやる…消し」

 

 

 

 ムッシャア…!

 

 

 

霊夢、萃香「!?」

 

 

 

 シーン…

 

 

 

霊夢「萃香…今こいし能力使った?」 

 

 

萃香「たぶん…」

 

 

霊夢「いつもの消えかたと違った様な…」

 

 

萃香「分かんないけど消えたんじゃないかな…自分の能力で」

 

 

霊夢「そう、よね」

 

 

霊夢、萃香「…」

 

 

 

 ザッザッザッ…!

 

 

 

霊夢、萃香「!」

 

 

正邪「…よぉ博麗の巫女」

 

 

霊夢「あんたは…」

 

 

萃香「ん? なんだ天邪鬼か」

 

 

正邪「なんだとはなんだ、随分なご挨拶じゃないか、えぇ?」

 

 

霊夢「あんたも消えてなかったのね」

 

 

萃香「消す必要がないと判断されたのかも」

 

 

正邪「…あぁ、最近流行りの神隠しか」

 

 

萃香「そうだ…悪いけど今お前に構ってる暇ないんだよ、これから私は霧になって」

 

 

正邪「ちょっと待てよ、神隠しの事だろ? えっと…なんだったかなぁ…♪」

 

 

霊夢「…?」

 

 

萃香「なんだよ、邪魔するなら」

 

 

正邪「邪魔なんかしないって、むしろ逆だって」

 

 

萃香「…逆?」

 

 

正邪「えっと…あぁ思い出した! 私さ、一週間前に白黒の魔法使いの奴と会ってるんだよ」

 

 

霊夢「!? 魔理沙と!?」

 

 

萃香「何っ!?」

 

 

正邪「その時さぁ弾幕勝負をしたんだよ、盗人とか因縁付けられてさぁ、まったく参ったよ」

 

 

正邪「んでさぁ、その勝負をしながらなんだけどさ、あの白黒の魔法使いのやついきなり…」

 

 

霊夢、萃香「…」

 

 

霊夢「…? いきなり?」

 

 

萃香「いきなり何なんだよ、ハッキリし」

 

 

 

 ムッシャア…!

 

 

 

霊夢「…えっ…」

 

 

正邪「…」ニタァ

 

 

霊夢「え…す、すい…か…?」

 

 

正邪「そう! こんな感じでさぁ! パッと消えたんだよねぇ私の目の前でさぁ! まるで神隠しの様にさぁ!! あははは!!」

 

 

霊夢「…!!」

 

 

正邪「誰にも知られずにさぁ!? こうパッと消えたんだよぉ! 面白過ぎて笑いがとまんねぇのなんのって」

 

 

 

 ゴォォ!!

 

 

 

正邪「!!?」

 

 

霊夢「お前の仕業かぁぁぁぁぁ!!」スッ

 

 

正邪(なっ!? 早っ…)

 

 

 

 凄まじい霊力を放ちながら霊夢は目にも止まらぬ速さで正邪に突撃し、正邪を地面に叩きつけた

 

 

 

正邪「ぐはっ!!」ドサッ

 

 

霊夢「鬼人正邪ぁぁ!!」

 

 

正邪「ぐあっ…! お、穏やかじゃねぇなぁ博麗の巫女よぉ!! いつもの弾幕勝負はどうしぐあぁ!!」

 

 

 

 霊夢はお払い棒を正邪の胸にくい込ませる

 

 

 

霊夢「みんなを…! みんなを返せこのクソやろうが!!」

 

 

正邪「ぐうっ…うぐっ…!」

 

 

霊夢「お前だけは…! お前だけは絶対に許さ」

 

 

 ムッシャア…!

 

 

 

霊夢「っ…!?」

 

 

正邪「ぐっ! げほっげほっ! くっ…ったく痛ってぇなぁ…♪ 博麗の巫女のさんよぉ♪」

 

 

 

 ゴッ!

 

 

 

霊夢「うぐっ…!? がっ…!」

 

 

 

 霊夢は地面にいきなり倒れ込んでしまう

 

 

 

霊夢(な、何よこれ…!! 力が入らない…!)

 

 

霊夢「えっ…!?」

 

 

 霊夢は自分の右手に違和感を覚え、目をやる

 

 

霊夢「!!?」ゾクッ

 

 

 

 霊夢の右腕の間接辺りから先が消滅していた

 

 

 

霊夢「あああぁぁ!! あ、ぐぅ! うぁ…!」

 

 

正邪「ククク…! ククククク…ははは! あはははははは!!」

 

 

霊夢「お前…!! はぁ、はぁ…何を…!?」

 

 

正邪「何が起きたか分かんないか? 博麗の巫女」

 

 

正邪「冥土の土産に教えといてやる、一連の神隠しの異変、あれは全部私の仕業だ!」

 

 

霊夢「!!」

 

 

正邪「だが何故、こんな力をいきなりこの私が手にしたのか…気になるだろう? 答えはこれだ」ペラッ

 

 

霊夢「!!?」

 

 

正邪「信じられないかもしれないがな、このノートに名前を書かれた奴はむしゃ…いや、体の隅から隅まで食い尽くされた挙げ句あの世に逝く!」

 

 

正邪「お前には見えてないだろうが私にはお前の事を食い尽くす神の姿がハッキリと見えてるんだ!」

 

 

霊夢「神…ですって…!?」

 

 

正邪「あぁそうさ、これは私に与えられた力、幻想郷を裏から支配することの出来る神の力だ!」

 

 

正邪「その神の力の前ではお前と言えども無力なんだよぉ! 自分の無力さを呪い! 地面に這いつくばりながらゆっくりと逝け!!」

 

 

霊夢「くっ…! くそぉ…!」ギリッ

 

 

正邪「安心しろよ、探してたみんなとおんなじとこに行けるんだぞ? だからさっさとぉ…♪」ニヤァ

 

 

正邪「くたばれ! 博麗霊夢!」

 

 

霊夢「はぁ、はぁ…! ぐっ! うおおぉぉ!!」

 

 

正邪「!」

 

 

霊夢「お前なんかに…お前、なんかに…!」

 

 

霊夢「幻想郷を…みんなを…!」

 

 

霊夢「お前…なんかに…!」ズズズッ

 

 

正邪「…」

 

 

霊夢「ちくしょう…」

 

 

霊夢(ごめん)

 

 

霊夢(私…みんなの…)

 

 

 

 

 

 

 

 むしゃむしゃムッシャア!

 

 

 

ゆかこ「…」

 

 

正邪「…」

 

 

正邪「…」

 

 

ゆかこ「…」

 

 

正邪「フフ…フフフ! フフフフフフ!」

 

 

正邪「ふははははははは!! あははははは!! ふはは! あっははははははは!!!」

 

 

正邪「どうだぁ!! 思い知ったかぁ!! 博麗の巫女ぉ!! 私の勝ちだぁ!!」

 

 

正邪「これで私が幻想郷のぉ!! 支配者だぁ!!」

 

 

正邪「ふははははは! あっははははははは!!」

 

 

ゆかこ「楽しそうね、正ちゃん」

 

 

正邪「当たり前だろ! これが笑わずにいられるかぁ!? もう邪魔する者なんか誰一人いない! ここから私が幻想郷を支配していくんだからなぁ!」

 

 

ゆかこ「そっかぁ~、そうよねぇ」

 

 

ゆかこ「じゃあそんなおめでたい正ちゃんに私から新たにルールのプレゼントよ、ミッション成功『博麗霊夢の名前を書いてみよう』よ」

 

 

正邪「ん? おい、これからこのノートはお前に返すんだぞ?」

 

 

ゆかこ「まぁまぁ、見るだけみてみなさいな」

 

 

 

 

 

 

 『るゆれりさゃしむゆゃしゆむが者だりん込ゆき書り、合場だんゆ込き書にりトーノをゆ前名のゆ者たっ思ゆもで度1ゆといりなりくたき書りが分自にトゆーノのこり、しゆも』

 

 

 

 

 

 

正邪「……は?」

 

 

ゆかこ「どうかしら」

 

 

正邪「いや…どうと言われてもな」

 

 

ゆかこ「分かんない?」

 

 

正邪「いやわかんねぇよ、何だよこの意味の分からん文字の羅列!」

 

 

ゆかこ「簡単なのに、私から抜け出てる物とあなたの能力があればラクショーなのに」

 

 

正邪「余計わかんねぇよ…てかもうこのノートはいらん、お前に返す」

 

 

ゆかこ「え~、散々扱き使っといて用事が済めばハイさよならなの?」

 

 

正邪「元々そうしようと思ってたんだよ」

 

 

ゆかこ「はっ!? これがリストラ!?」

 

 

正邪「また訳の分からないことを…ほら早く持って帰れっての」

 

 

 

 セイジャー

 

 

 

ゆかこ「嫌よ!」

 

 

正邪「お前のなんだろこれ、返すって言ってんだろうが!」

 

 

ゆかこ「いらないです」

 

 

正邪「言い方の問題でもねぇよ! てかお前いらないなら私に返してって最初に言ったよな!?」

 

 

針妙丸「正邪ー!」スーッ

 

 

正邪「! お前…」

 

 

針妙丸「正邪! どうしてここにいるの? …ってあれ? 霊夢と萃香は?」

 

 

正邪「…」

 

 

針妙丸「…? 霊夢ー! 萃香ー!」

 

 

 シーン…

 

 

 

針妙丸「あれ、いないの? 出掛けてるのかな…? !? ま、まさか神隠しに…!?」

 

 

正邪「…」

 

 

針妙丸「ど、どうしよう正邪! あの霊夢も神隠しにあっちゃったよ! わ、私達も神隠しに…」

 

 

正邪「大丈夫だって前に言ったよな、私」

 

 

針妙丸「で、でも…」

 

 

正邪「何で大丈夫だって言ったか分かるか?」

 

 

針妙丸「…え? どういう…事?」

 

 

正邪「それはな…」

 

 

 

 

 

正邪「神隠しの異変を起こしているのは他でもないこの私だからだよ」

 

 

 

 

 

 

針妙丸「え…?」

 

 

正邪「ほら、このノート見てみろ」

 

 

 

 古明地 こいし 抗う隙もなく丸呑みにされる

 

 伊吹 萃香 抗う隙もなく丸呑みにされる

 

 博麗 霊夢 地面に這いつくばらせてゆっくりとむしゃむしゃされる

 

 

 

針妙丸「!? な、なにこれ…!?」

 

 

正邪「このノートに名前を書かれるとな? 見えない神みたいな奴に全身を食い尽くされた後にあの世に逝くんだよ」

 

 

針妙丸「!?」

 

 

正邪「信じられないか? ほらよく見ろよ」ペラッ

 

 

正邪「私とお前の名前だけ書かれてないだろ? 他の奴等は神隠しにあったと騒がれていた奴等ばかり…これが答えなんだよ」

 

 

針妙丸「そ、そんな…! じゃ、じゃあ正邪が…!」

 

 

正邪「あぁ全部私の仕業だ、神隠しの正体は私が幻想郷を支配するために邪魔者を消していた、このMUSHA NOTEでな、ただそれだけの事だ」

 

 

針妙丸「…!!」

 

 

正邪「どうしてお前の名前を書いてないか、分かるか?」

 

 

針妙丸「…!?」

 

 

正邪「一度は共にレジスタンスとして戦った、ただそれだけだが…私としてはとても意味のある戦いだったんだ」

 

 

正邪「なぁ針妙丸、これから私とこの幻想郷を…いや、今日から始まる新世界の幻想郷を共に支配していかないか?」

 

 

正邪「邪魔者は全て消えた、最早私たちに背く実力者ももういない、現れない」

 

 

正邪「どうだ? この私と共にこの世界の頂点に君臨し… 」

 

 

 チャキッ…

 

 

針妙丸「…」

 

 

正邪「? どうして刀を構えるんだ? 針妙丸、よく考え」

 

 

針妙丸「考えるまでもないよ…! 鬼人正邪!」

 

 

正邪「!」

 

 

針妙丸「霊夢を…みんなを…! いったいどうしたらそんな酷い事が出来るんだ!」

 

 

正邪「…」

 

 

針妙丸「あの日常が! 霊夢や魔理沙たちがいた幻想郷の日常を! お前はそれを私利私欲のために奪ったんだ!」

 

 

針妙丸「みんなを! みんなを返せ正邪! それが出来なければ私が責任を持ってお前を地獄に連れていく!」

 

 

針妙丸「友達として!!」

 

 

正邪「! …お前はもっと利口な奴だと思ってたよ」

 

 

正邪「出来れば書きたくなかった…言っても分からんバカだったとはなぁ!」

 

 

 

 少名 針妙丸 

 

 

 

正邪「ほら見ろ、これでお前も終わりだ! 後1分4秒で消え去る!」

 

 

針妙丸(1分…? 時間制限みたいなのがあるのか? ならその間に!)チャキッ

 

 

正邪「ふははははは! そんななまくらが当たるか!!」

 

 

針妙丸「くっ!」

 

 

 

 

 正邪『なぁお前、一緒にこの世界をひっくり返さないか?』

 

 

 

 

針妙丸「!」

 

 

 

 

 正邪『へぇすげぇな、あの打出の小槌を使えるのか! そのちんちくりんの体で?』

 

 

 針妙丸『ち、ちんちくりんって言うなぁ~!』

 

 

 正邪『あははは♪』

 

 

 

 

針妙丸(な、何でこんな時に…!)

 

 

正邪「…? ははは! こんな時になんで泣いてんだぁ?」

 

 

針妙丸「お前が私の友達だからだ!」

 

 

正邪「まだそれを言うかぁ!」

 

 

正邪「裏切り者のお前は私からしてみればもう友達でもなんでもねぇ!! さっさとくたばれ!」

 

 

針妙丸「うっ…うわああぁぁぁ!!」スッ

 

 

正邪「よっと…!」

 

 

針妙丸「うぅ…!」

 

 

正邪「涙に濡れた目で敵を捕らえられるのか? あぁ!?」

 

 

針妙丸(も、もうダメ…)

 

 

針妙丸(悔しいのか悲しいのか怖いのか…もうわからない…)

 

 

正邪「後10秒だ!」

 

 

針妙丸(だ、誰か…! 誰か正邪を止めて…! 助けて…!)

 

 

正邪「5、4、3、2、1ぃ!」

 

 

正邪「64秒! さらばだ! 針妙丸!」

 

 

針妙丸「くぅぅ…!!」

 

 

正邪「…」

 

 

針妙丸「…」

 

 

正邪「…」

 

 

針妙丸「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正邪「…!?」

 

 

針妙丸「…! あ、あれ?」

 

 

正邪「お、おいゆかこ!」

 

 

ゆかこ「…」ニコニコ

 

 

正邪「お前! まだノートは私のものだ! ノートに書いたぞ!? 何故針妙丸を始末しない!」

 

 

正邪「ノートは絶対なんだろうが! 私はルールを破ってもいないぞ!? どうしてコイツを」

 

 

ゆかこ「…」スタスタ

 

 

 ポン

 

 

針妙丸「!? え…」

 

 

ゆかこ「針妙丸、私が見える?」

 

 

針妙丸「え、え!? あ、あなたはいったい…」

 

 

ゆかこ「私は八行ゆかこ、むしゃ神って設定の神様みたいなもんよ…安心して、あなたをむしゃむしゃする事はないから」

 

 

針妙丸「む、むしゃ…?」

 

 

正邪「!? ゆかこお前何してんだよ!!」

 

 

正邪(ゆかこと会話が出来ているだと…!? 何がどうなってる…)

 

 

ゆかこ「正ちゃん…いえ鬼人正邪、お遊びはここまでよ」

 

 

正邪「!?」

 

 

ゆかこ「あなたは確かにノートのルールは破ってないわね、ノートのルールに従い過ぎてた感はあったけど」

 

 

ゆかこ「ノートは絶対、ルールも絶対、だからお遊びはここまで」

 

 

正邪「何を言ってんだお前は! ちゃんと説明しろ!!」

 

 

ゆかこ「…これよ」

 

 

 

 

 『るゆれりさゃしむゆゃしゆむが者だりん込ゆき書り、合場だんゆ込き書にりトーノをゆ前名のゆ者たっ思ゆもで度1ゆといりなりくたき書りが分自にトゆーノのこり、しゆも』

 

 

 

 

正邪「! さっきの…」

 

 

ゆかこ「私から抜け出ているものと、あなたの能力を使えばラクショー…」

 

 

ゆかこ「ゆかこ…この名前は名ばかり、八行ゆかこは私の真実の名前ではない」

 

 

ゆかこ「あなたは幻想郷の実力者の名前を全て書いたけどむしゃむしゃされたのを見届けていない二人はだぁれ? 都合よく消えていた二人はだぁれだ♪」

 

 

正邪「!?」

 

 

ゆかこ「その二人の下の名前を私の名前にくっ付けると…ほら『ゆ、り』が余るでしょう?」

 

 

ゆかこ「抜け出た…つまりこの文から『ゆ、り』を抜いてあなたの能力の『なんでもひっくり返す程度の能力』を使うの、ひっくり返す、つまりは逆、逆から読むと…?」

 

 

正邪「…!?」

 

 

 『もし、このノートに自分が書きたくないと一度でも思った者の名前を書き込んだ場合、書き込んだ者がむしゃむしゃされる』

 

 

ゆかこ「あなたはルールに従い針妙丸の名前を書いた、だから私もノートのルールに従いあなたをむしゃむしゃする、これは絶対なのよ」

 

 

正邪「なん…なんだと!!?」

 

 

ゆかこ「もう退屈しのぎにもなったし…みんながいない幻想郷なんてつまらないもんね」スッ

 

 

正邪「あっ!」スパッ

 

 

正邪(ノートがゆかこのところに…!)

 

 

ゆかこ「あなたといた一週間、色々と楽しかったけど…もう終わりにしましょう」カキカキ

 

 

 

 鬼人 正邪 全身をむしゃむしゃされる

 

 

 

ゆかこ「はい♪ 書きました~♪」

 

 

正邪「なっ…!?」

 

 

ゆかこ「逃がさないわよ~♪ ノートは絶対だもんね♪」スッ

 

 

 ギュオン!

 

 

正邪「な、なんだこれは! い、いきなり空間にスキマが…!」

 

 

正邪(ば、バカな…! ここまで来て…せっかくここまでやったのに…! ここで…!?)

 

 

正邪「し…死ぬのか!? 私は死ぬのか!!」

 

 

ゆかこ「あのねぇ、むしゃむしゃだって最初から言ってるでしょう? それなのにあなたは始末だの食い尽くされるだのあの世に逝くだの死ぬだのと…ルールを自分で足さないでもらいたいものねぇ♪」

 

 

ゆかこ「てかあなたが一番知っているでしょう? ノートに名前を書かれたら64秒でむしゃむしゃ、もう決まりなの」

 

 

正邪「い、や…やだ むしゃむしゃされたくない!」プルプル

 

 

正邪「むしゃむしゃされたくない! ふざけるな! 嫌だ! 嫌だ! 嫌だ!」

 

 

ゆかこ「いやぁねぇだらしない、天下の天邪鬼様が嫌だ嫌だと…プライドは何処に」

 

 

正邪「お前最初に言ってたじゃないか! 私とお前の絆がどうとかよぉ! それなのに」

 

 

ゆかこ「え~、たった今平気で友達の絆をぶち破った奴に言われたくな~い♪」

 

 

正邪「!」

 

 

針妙丸「…」

 

 

針妙丸「正邪…」

 

 

ゆかこ「優しいわねぇあなたは…こんなやつの心配するの?」

 

 

針妙丸「…」

 

 

ゆかこ「その優しさでこれからも霊夢と仲良くしてね♪」

 

 

針妙丸「え…!?」

 

 

ゆかこ「さて、そろそろさよならよ鬼人正邪」

 

 

ゆかこ「紫ぃ~♪ 私にやらせて? むしゃ神の本気をこのおバカさんにみせてやるわぁ♪」

 

 

ゆかこ「はぁ…むしゃむしゃはあなたの担当でしょ、私は能力を使うだけ」

 

 

ゆかこ「一回やってみればいいのに、この体なら出来ると思うけど」

 

 

ゆかこ「それこそ嫌だ! よ♪」

 

 

ゆかこ「ぶ~♪」

 

 

正邪「く、来るなぁ! や、止めろぉ!」

 

 

ゆかこ「嫌だ! よ、うふふ♪」

 

 

正邪(ここまでの努力が…! 私の幻想郷を支配する夢がこんなところで…!)

 

 

正邪(最初からこの女の掌の上だったのか!? だとしたら私は…!)

 

 

ゆかこ「大丈夫、むしゃむしゃされた者がいくところは平等なの」

 

 

ゆかこ「それではぁ♪ むしゃ神としての最後のお仕事よぉ♪」

 

 

正邪「や、止めろぉぉーー!!」

 

 

ゆかこ「いただきま~す♪」

 

 

正邪「!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 ムッシャア…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

針妙丸「…!」

 

 

ゆかこ「ん~♪ ゴチになりましたぁ♪」

 

 

ゆかこ「ゴチて」

 

 

ゆかこ「あ、ゴチで思い出したんだけどねぇ? この言葉を妖夢のご飯を食べた後に言ったら怒られたの」

 

 

ゆかこ「なんて?」

 

 

ゆかこ「『そんな男の人みたいな言い方止めてください』って」

 

 

ゆかこ「ふふっ、妖夢らしいわね」

 

 

針妙丸「あ、あの!」

 

 

ゆかこ「ん~?」

 

 

針妙丸「あなたは全てを知っているんですよね!? 神隠しの事とかあのノートの事とか全部…! それに霊夢と仲良くってことは…」

 

 

ゆかこ「……大抵真実は間近にあるもの、答えは私の中にある」スッ

 

 

 ギュオン!

 

 

ゆかこ「着いてきなさいな、あなたは今回の茶番の生き残り…真実を知る覚悟はある?」

 

 

針妙丸「は、はい!」

 

 

ゆかこ「じゃあおいでなさいな、真実のスキマへ」

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆかこ「紫、茶番は酷いわぁ」

 

 

ゆかこ「これは誰がどうみても茶番よ、幽々子」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《真実のスキマ空間》

 

 

 

八雲紫「発端はね、幽々子が私のあげた漫画を読んで興味を持ったからなの」

 

 

西行寺幽々子「暇で仕方なかったから私がこの漫画の真似して私なりのノートを作ってみたの♪」

 

 

紫「もちろんムシャノートの全てのルールはでっち上げよ、ただの自由帳だもんそれ」

 

 

幽々子「天邪鬼の思う通りに演技したのよ、書かれた子を片っ端からむしゃむしゃしてやったの♪」

 

 

紫「え? あぁノートのルール? これは…」

 

 

幽々子「紫がノリノリで書きました~♪」

 

 

紫「だ、だってあなたが書いてって言うから!」

 

 

幽々子「私のせいばかりにしないでほしいわぁ♪」

 

 

紫「つい筆が進んだのよ! ついよ、つい!」

 

 

幽々子「うふふ♪ ん? あぁ八行ゆかこ? あれはねぇ」

 

 

幽々子「気付いてる人も多いと思うけど私と紫が合体した姿よ、紫の能力で私と紫のスキマをなくして繋げるの、八行ゆかこは八雲紫であり、西行寺幽々子でもあるのよ」

 

 

紫「最後にむしゃむしゃのトリックね、あれは八行ゆかこの程度の能力で説明出来るわね」

 

 

紫「『むしゃむしゃした者をこのスキマ空間へ転送する程度の能力』」

 

 

幽々子「八行ゆかこの口の中にスキマを作って本当に食べ…いえ、むしゃむしゃしているように見せていただけよ」

 

 

紫「これをあなたの口から聞いたときは耳を疑ったわ、私はむしゃむしゃにトラウマありなのに」

 

 

幽々子「でもやってくれる紫が大好き♪」

 

 

紫「…ありがと」

 

 

紫「はい、これが全ての真実よ、神隠しだの異変だのは存在しないの」

 

 

幽々子「みんな、分かってくれたかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢「あんたらのやったことは全部把握したわ」

 

 

紫「流石! 私の霊夢ね♪」

 

 

幽々子「さっすがぁ♪」

 

 

霊夢「で?」

 

 

霊夢「何か私たちに言うことはないの?」

 

 

紫「…幽々子」

 

 

幽々子「そうね、今がその時なのね、MUSHA NOTEを作った時から練習したあの技を今からやるのね」

 

 

紫「行くわよ」

 

 

幽々子「えぇ」

 

 

紫、幽々子「せーっの!」

 

 

 ピョイーん

 

 

 

 

紫、幽々子「悪ふざけをしてしまって誠に! 誠に申し訳ありませんでしたぁ!!」

 

 

 紫と幽々子はそれはそれは見事なジャンピング土下座を決めてみせた!

 

 

 

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢「みんなぁ! せーっの!」

 

 

幻想郷の皆さん「許すわけないだろうがぁ!!」

 

 

 

幽々子、紫「えぇーーー!!?」ガビーン

 

 

霊夢「紫ぃ!! 歯ぁ食いしばれ! 割りとマジでよ! この大馬鹿もんがぁ!」

 

 

魔理沙「お前らぁ! マスタースパーク十本いっとく覚悟は出来てんだろうなぁ!?」

 

 

風見幽香「手伝ってあげるわ魔理沙、マスパ二十本よ」

 

 

紫「えぇー!? さ、流石にそれは死んでしまうわよ!」

 

 

幽香「死んで償えこの害悪女どもがぁ!」

 

 

幽々子「ゆうかりんこわーい♪」

 

 

萃香「あっはっはっ! なんだそういうことかぁ♪ あっはっはっ!」

 

 

アリス「笑い事じゃないと思うわよ、これは流石に…うん、私も参加してこようかしら」

 

 

小鈴「でも、ここ一週間皆さんとお話出来て楽しかったです!」

 

 

マミゾウ「小鈴よ、間違ってもあの阿呆どもに感謝なぞするでないぞ?」

 

 

小鈴「それは分かってます!」

 

 

阿求「紫さんと幽々子さんに近づくべからずの立て札を幻想郷中に立ててやろうかしら」

 

 

 

神子「あっはっはっ! 私の読みが全て当たっていたとはな! あっはっはっ! 愉快愉快!」

 

 

物部 布都「お見事です太子様!」

 

 

蘇我屠自古「…もうどうにでもなれだ」

 

 

 

八雲藍「スキマぁ…今日という今日は許しませんよ…!」

 

 

紫「ま!? 藍! その言葉遣いはなんなのよ!」

 

 

藍「ウダウダ言ってないで反省をしろやぁ!」

 

 

紫「ひぃ!?」

 

 

魂魄妖夢「…」チャキッ

 

 

幽々子「よ、妖夢!? そ、その構えは」

 

 

妖夢「動かないで下さい、殺さない程度に仕留めるので」

 

 

幽々子「殺る気満々じゃないですかやだー!」

 

 

妖夢「皆の思いをこの刀に乗せて…切らせていただきます」

 

 

 

 

 

 

古明地さとり「こ、こいし…は、離れなさい」

 

 

こいし「いや」

 

 

さとり「ひ、人が多くて恥ずかしいから…///」

 

 

こいし「もう離さない」

 

 

さとり「え、えぇ…」

 

 

火焔猫燐「いいねぇ♪ いい光景ですよ、さとり様」

 

 

霊烏路空「こいし様羨ましいなぁ…」

 

 

さとり「み、見てないで助けなさい、お燐、お空」

 

 

お燐「助ける? 困ってないのにですか?」

 

 

お空「嫌です! なんでかわかんないけど嫌です!」

 

 

さとり「んもう…///」

 

 

こいし「…♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正邪「 」ブクブク

 

 

 

 正邪は白目を向いて泡を吹いて倒れていた

 

 

 

八意永琳「あら、この薬じゃダメだったかしら…それじゃこっちを」プス

 

 

正邪「!!?」ビクン!

 

 

永琳「ふふっ、あぁこれ痛みが増す薬だったわね、今度はこっちを…」

 

 

鈴仙・優曇華院・イナバ「師匠もうよくないですか? 私の能力でありとあらゆる生物からむしゃむしゃされる幻覚を見せてるんですから…」

 

 

永琳「足りないわ、月人としてのプライドが許さないのウフフ♪」

 

 

鈴仙(目が笑ってない…)

 

 

 

 

わかさぎ姫「赤蛮寄ちゃんが最初の犠牲者なんだよね」

 

 

今泉影狼「なんというか…おめでとう?」

 

 

赤蛮寄「嬉しくない、止めてくれ…止めてくれ!」

 

 

わかさぎ姫「何で二回も言うの?」

 

 

赤蛮寄「最初の犠牲者おめでとうと何回言われたと思ってるんだ! この気持ちが分かるか!?」

 

 

わかさぎ姫、影狼「…ごめん、全然分からない」

 

 

赤蛮寄「何がおめでとうなんだ! 何が! く、くそぉ… !」シクシク

 

 

 

 

針妙丸「…」

 

 

鈴仙「…友達、なのよね」

 

 

針妙丸「! うん…」

 

 

鈴仙「大丈夫よ、紫がさっき私にこそっと言ってきたんだけどね?」

 

 

鈴仙「『ありとあらゆる生物からむしゃむしゃされる幻覚を一日分みせてくれる? その後私がこいつのノートに関する記憶を消すから、鈴仙、よろしくね♪』って」

 

 

針妙丸「えっ…!」

 

 

鈴仙「こいつがしたことは許される事じゃないけど…紫なりにやり直すチャンスは与えてくれてるのかもね」

 

 

針妙丸「…そっか」

 

 

正邪「ウゲェァ」ビクンビクン

 

 

永琳「あら、また間違えた♪」ニコニコ

 

 

因幡てゐ「わざとだ、絶対わざとだ」

 

 

藤原妹紅「うげぇぁ、って言ったぞあいつ」

 

 

蓬莱山輝夜「あれよ! あれが永琳の薬物治療『実験』の顔よ!」

 

 

針妙丸「…」

 

 

針妙丸(正邪…また一からやり直そう? そしたらまた)

 

 

針妙丸(一緒に笑ってくれるよね)

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「裁判長! お慈悲を!」

 

 

幽々子「お慈悲を~!」

 

 

四季映姫・ヤマザナドゥ「…」

 

 

小野塚小町(この期に及んで慈悲をねだるのかい、録な死に方しないねぇこの二人…あぁ、一人は亡霊だったねぇ)

 

 

映姫「この期に及んで慈悲をねだるその愚考! 恥を知りなさい!」

 

 

小町(同じこと言ってくれた! よっ!四季様ナイス!)

 

 

紫、幽々子「そんな~」

 

 

映姫「反省をしなさい! その気持ちすらもないのですかあなた方は! 能力を使うまでもない! 陪審員たちも同じ気持ちでしょう! 黒です、どす黒い黒です!」

 

 

映姫「天邪鬼、鬼人正邪への罰は既に永遠亭の者に任せています、よってあなた方への罰はこの者たちにお任せします!」

 

 

紫、幽々子「え?」

 

 

霊夢「これで思う存分やれるわね」ニタァ

 

 

魔理沙「あぁ、閻魔様から期待されてるしな」

 

 

幽香「私は最初から殺るつもりで待ってたけどねぇ」

 

 

藍「すいませんねぇ紫様…これも閻魔様からの指示ですので」

 

 

妖夢「えぇ、本当に申し訳ありません幽々子様、これも閻魔様の指示です」

 

 

紫、幽々子「いぃ!?」

 

 

霊夢「改めて……おらぁ! 紫ぃ! 幽々子ぉ! 歯ぁ食いしばりなさい!!」

 

 

紫、幽々子「ひぃぃ!!」

 

 

 

霊夢「八方龍殺陣!!」

 

 

魔理沙、幽香「ダブルマスタースパーク!!」

 

 

藍「ユーニラタルコンタクト!!」

 

 

妖夢「六根清浄斬!!」

 

 

 

紫「い、いかん! これはいかんよ!? 幽々子! 逃げないと…」

 

 

幽々子「紫…」

 

 

紫「えっ、な、何!?」

 

 

幽々子「…」

 

 

紫「…?」

 

 

幽々子「死ぬときは一緒よ♪」

 

 

紫「! 幽々子…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「いや、あなた死んでるじゃない」

 

 

幽々子「あ、そうでした♪」

 

 

 

 ゴォォォ!

 

 

紫、幽々子「って言ってる場合じゃないぃ!!」

 

 

霊夢「おらぁー!!」

 

 

紫、幽々子「いっ…!?」

 

 

紫、幽々子「いやあああぁぁぁぁぁ…!!」

 

 

 

 

 チュドーン!!

 

 

 

 

 

小鈴「うわぁ…紫さんと幽々子さん大丈夫かなぁ…」

 

 

阿求「生きてるわよ、あの二人ってしつこい所があるから」

 

 

マミゾウ(儂も混ざってくればよかったかのう)

 

 

 

 

 

比那名居天子「…」

 

 

永江衣玖「…」

 

 

天子「いいなぁ、紫と幽々子」

 

 

衣玖「仰ると思いましたよ、えぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 おしまい!

 

 

 

 





 お疲れ様でございました! ここまで読んでいただいてありがとうございました、なんか…こんな作品に付き合っていただいて本当に感謝です、ありがとうございます






 マミゾウは『東方紫藍談』では小鈴に自分が妖怪であることをバラしています、姿を変えて偽りたくないんだとか…でも小鈴は人間に変化したマミゾウを素敵なお姉さんだと思っている様です



 また正邪の、ゲスが半端ないですがこれはノートを手にしてしまったから出た感情だと思います、新世界の神になろうとした何処かの人もまたノートの魔力に溺れていましたし、正邪もノートの魔力に溺れてしまいました、ただ紫も鬼ではないので記憶を消してあげてます、今後の正邪にも救いはあるでしょう。 今回は全部紫と幽々子が悪いんですけどね





 さてMUSHA NOTEについての補足…という名の蛇足ですが


 ノートを拾ったのが正邪だったのは偶然です、幽々子が人の出入りが頻繁且つ、ノートを興味本意で使う人が多そうなところ…妖魔本が沢山置いてある鈴奈庵ならばと思い、ノートを鈴奈庵の商品棚に潜り込ませました。


 むしゃむしゃされた時点で転送が始まってますので例え左腕が消えた様に見えてもその左腕はもうスキマに転送されてます、どこでもドアみたいな感じです。


 「ぐあぁ」とかのセリフで痛がってる様に感じますが実際痛くないんです、いきなり腕とかが訳の分からないうちに消えたら幻想郷のみなさんとて普通の神経じゃいられないと思うのです『腕を見る、なくなってる、あ、これは痛いな』と脳が錯覚してるんです、思い込みの力で本当に痛くなる事が現実ではあるぐらいですので…





 八行ゆかこについて


 オリジナルキャラではなく、二人の能力で紫と幽々子がフュージョンした姿です、髪の色と名前だけで感の鋭い者なら正体が一発で分かります。

 他の人に見えなくする、物体をすり抜ける能力を持ってます、紫と幽々子なら造作もない事でしょう。


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