東方紫藍談  ~紫と藍の幻想談~   作:カテサミン

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 今回のお話は藍がまたやらかしたお話…シュールと表現すると正しいでしょうか。


 それでは始まります♪




《第11談》藍しゃま鼻血五秒前

 

 

 

 

八雲紫「…」

 

 

八雲藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

 

 

 

 

藍「紫様」

 

 

紫「何よ」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍「お助けください」

 

 

紫「あ~…うん、やっぱりそうくるのね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      【藍様鼻血5秒前】

 

 

 

 

 

 

紫「まずさぁ、藍…この状況はなんなのかしら」

 

 

藍「…見て分かりませんか?」

 

 

紫「はぁ!?」ギロッ

 

 

藍「…! み、見てお分かりになりませんでしょうか…!」

 

 

紫「まぁ、なんとな~く想像はつくわよ? 伊達に何百年もあなたとずっと一緒にいないものね、こんくらいお見通しよ」

 

 

藍「ありがとうございます」

 

 

紫「お礼を言う前に言うことがあるんじゃないの?」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍「申し訳ありません、またご乱心してしまいました」

 

 

紫「ですよねー、あっはっはっ…♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「笑ってる場合じゃないわよね、これ」

 

 

藍「はい…申し訳ありません…」

 

 

紫「はぁ…なんかもう伝統芸と言うかなんというか」

 

 

藍「これが伝統芸だとしたら私は外に出歩けませんよ…大手を振って『ちぇぇぇぇぇぇぇん!!』なんて出来ません、仮に伝統芸だとしてもこの状況の再現はもう不可能ですよ」

 

 

紫「この状況で落ち着いてよくもそんなに淡々と言葉が出せるわね」

 

 

藍「誠に申し訳ございません…」

 

 

紫「ご乱心の時は?」

 

 

藍「橙の前ではやらかさない」

 

 

紫「守られてる?」

 

 

藍「……いえ」

 

 

紫「何回目?」

 

 

藍「…百…いや…」

 

 

紫「数えられない程よね」

 

 

藍「はい…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「藍、私はね? 普通の生活がマヨヒガで出来ればそれで満足なの、だからあなたのことを助けてあげる事は吝かではないし頑張ってみたいとは思うのよ」

 

 

藍「はい」

 

 

紫「先ずは状況整理よ、てか本当に私に感謝なさい」

 

 

藍「はい…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「嘘偽り無く答えなさいよ? こんな状況初めてなんだから」

 

 

藍「もちろんでございます」

 

 

紫「ここは何処?」

 

 

藍「マヨヒガのお台所でございます」

 

 

紫「そうね、いつも見慣れた私たちの家の台所だわね」

 

 

藍「はい」

 

 

紫「…で? あそこにいるのは?」スッ

 

 

 

 

 

 

藍「 」

 

 

橙「 」

 

 

 

 

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「私の本体と橙です…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

 

 

 

紫「はぁ!!?」

 

 

藍「!?」ビクッ

 

 

紫「いや、えぇ!? 何!? 本体って何!?」

 

 

藍「いえ…ですから私の本体なんです…」

 

 

紫「あれが!? あの白目向きかけてるあのバカちんが藍!?」

 

 

藍「はい…」

 

 

紫「じゃああなたはなんなのよ!?」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「その…あれが私の本体ですから…恐らく私は思念体みたいなものなんだと思います」

 

 

紫「はぁ!?」

 

 

藍「本体から抜け出た魂と言うかなんというか…」

 

 

紫「本気で言ってんの?」

 

 

藍「はい…」

 

 

紫「…え? 死んでるの…?」

 

 

藍「あ、いえいえそこは心配なさらないでください、ちゃんと生きてるって実感出来てますし、こんなところで死ぬわけにはいかないですから」

 

 

紫「ふざけてんの?」

 

 

藍「ごめんなさい…割りと本気でマジなんです」

 

 

紫「思念体…? だとしたらなんで本体から抜け出たの?」

 

 

藍「…分かりません」

 

 

紫「分からないんかい」

 

 

紫「……まぁ良いわ、本当は良くないけど…まぁ本体と紛らわしいからあなたの事は藍の思念体…らんし…そう『藍思』と呼ぶわね」

 

 

藍→藍思「そ、そんな馬鹿みたいな名前を…! ふざけてる場合じゃ」

 

 

紫「あぁん?」

 

 

藍思「……藍思でございます、はい…」

 

 

紫「で? なんで本体のあなたは白目を向きかけているのかしら」

 

 

藍思「あぁそれは橙がですね、料理をしている私のところに来て『藍様…その…ご、ごめんなさい! 橙おねしょをしてしまいました! ごめんなさい! ごめんなさい藍様!!』と言ってきてスカートの裾を捲って下着を見せつけてきたからです、その…ふふっ♪ 不覚にも鼻血が出そうになりましてですね」

 

 

紫「へぇ~♪ ふふっ♪ 橙もまだまだ子供ねぇ」

 

 

藍思「えぇ、本当に可愛いですよね!」

 

 

紫「うん可愛いわね♪」

 

 

藍思「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「あなたマジでぶつわよ」

 

 

藍思「申し訳ございません!!」

 

 

紫「あぁなんとなく分かってきたわ、耐えられなくなって鼻血とか…マジなの?」

 

 

藍思「はい…橙がスカートを捲って私に下着を見せつけるという素晴らし…!? いや! 突然の行為に度肝を抜かれてしまいまして…」

 

 

紫「変態じゃない」

 

 

藍思「返す言葉もございません…」

 

 

紫「うっわぁ引くわ~…なんかなんとなく橙のせいにしてるのも引くわ~…」

 

 

藍思「そんなことはございません…」

 

 

紫「う~ん、橙…あなたなら藍がこうなるって分かっていた筈なのに何故…寝て起きたらおねしょしてたから適切な状況判断が出来なくなったのかしら…寝ぼけてたの…? 『絶対に橙はおねしょなんかしないもん』的な物があの子の中にあったから? でも…そうね水…水だからパニックになってもおかしくはないか」

 

 

藍思「そうなんですかね?」

 

 

紫「そうなんじゃないの? たぶん」

 

 

藍思「そーなのかー?」

 

 

紫「そーなんじゃないのかー?」

 

 

紫、藍思「わはー♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「ぶっとばされたいの!? 藍思!!」

 

 

藍思「申し訳ございませんでしたぁ!!」orz

 

 

紫「頭のネジまで抜け出てんのかしらぁ!? あぁ!?」

 

 

藍思「申し訳ございません!! 申し訳ございません!!」orz

 

 

紫「何が申し訳ござらないのか言ってみなさいよ!!」

 

 

藍思「少々…その、ふざけてしまいまして」

 

 

紫「この状況でふざけましただぁ!?」

 

 

藍思「いっ!?」

 

 

紫「許さん! 喰らえ、ゆかりんパンチ!!」スッ

 

 

藍思「いったぁ!!?」バシッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍思「い、痛い…」ヒリヒリ

 

 

紫「絶対頭のネジまで抜け出てるわ、あなた…」

 

 

藍思「申し訳ございません…」

 

 

紫「その申し訳程度の申し訳ございませんはもういいわよ」

 

 

藍思「…ごめんなさい」

 

 

紫「…最後の質問よ」

 

 

紫「この台所だけ白黒に…いえ灰色かしら、モノトーンになっていて」

 

 

紫「恐らくだけど時間が停止しているわよね? この空間、台所だけ切り取られたみたいに…それは何故?」

 

 

藍思「……」

 

 

紫「…」

 

 

藍思「分かりません…」

 

 

紫「分からないことだらけでよくもまぁ助けてくださいなんて言えたものね」

 

 

藍思「申し訳」

 

 

紫「それはもういいから」

 

 

藍思「…はい」

 

 

紫「藍思、橙がスカートを捲る前あなたは何をしてたの? それは覚えてるんでしょう?」

 

 

藍思「はい」

 

 

紫「聞かせて」

 

 

藍思「はい…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《思念体、説明中…》

 

 

 

 

紫「…」

 

 

藍思「…」

 

 

紫「…」チラッ

 

 

 

藍「 」

 

 

橙「 」

 

 

 

 

紫「分かった、謎は全て解けたわ」

 

 

藍思「え…?」

 

 

紫「愛が故の力の暴走、防衛本能よ防衛本能」

 

 

藍思「ぼ、防衛本能!?」

 

 

紫「あの白目狐のまん前にスカートを捲った橙がいるのよ? そしてあなた…まぁこのまま時が動き始めたらあの白目狐から鼻血が飛び出る事を前提に置くとそれしか考えられない」

 

 

紫「橙に鼻血をぶっかけたくない…橙に鼻血を吹き出すまたは吹き出る瞬間を見られたくない…橙にまた白い目で見られたくないとか橙を傷付けたくないとか悲しませたくないとかその他諸々よ」

 

 

紫「橙がスカートを捲った瞬間あなたの脳内で物凄いスピードで電流が走った…さっき言った事柄とそれ以上の感情があなたの精神を駆け巡る」

 

 

紫「そしてそれと同時にあなたの外側である身体は限界だった、あまりの衝撃的な光景に鼻血を出さざるをえなかった…その気持ちは全然微塵も分かんないけどそうなってしまった」

 

 

紫「精神と身体が限界を迎えたあなたは自分の思いを誰かに伝えたいがため、思念体として自分の中から思念を出した、そしてそのパワーは時をも止めてしまうものだった…こんなところかしら」

 

 

藍思「!? な、なんと!」

 

 

紫「ま、簡単に言うと…」

 

 

紫「夕飯の準備をしていたあなたの元に橙がやって来る、橙はおねしょをしてしまい混乱していた、ごめんなさいとスカートを捲って状況を説明、その突然の行為と光景にド変態のあなたは精神と身体にダメージ、そしてとっさの防衛本能、橙を思う余りに思念体が分離、それが時をも止めてしまうほどの凄まじいエネルギーだった…」

 

 

藍思「…」

 

 

紫「…」

 

 

藍思「…」

 

 

紫「何か言いたい事は?」

 

 

藍思「…」

 

 

藍思「そ、そんなことがあり得るのでしょうか…?」

 

 

紫「あぁん!!?」

 

 

藍思「!?」ビクッ

 

 

紫「現に起こっているでしょうが! これ以上の説明はないわよ!」

 

 

藍思「う、受け入れがたいですよ!! 私が時を止めただなんて…」

 

 

紫「そこに関してはほんと驚いてるわ、伊達に九尾の狐じゃないってところかしら、凄い妖力ねぇ、溺愛している物から下着を見せつけられたらそうなるの?」

 

 

藍思「うぅ…」

 

 

紫「でもこれっぽっちも…ほっんとうにこれ~っぽっちも凄いとか嬉しいとかないわね、だって時を止めた要因がアホ丸出しなんだもん、大興奮したド変態狐の鼻血事件よ!?」

 

 

藍思「もう…本当にごめんなさい…」

 

 

紫「あなた今日謝ってばっかりね」

 

 

藍思「謝る以外に何も言えないんですよ…なんか自分が情けなさすぎて…」

 

 

紫「…そこまで考えられているのなら大丈夫よ、それにこの状況をなんとかする手立てもあるわ」

 

 

藍思「え…」

 

 

紫「あなたが自分の身体に戻ればこの止まった空間も動き始めるでしょう、そしてあなたが身体に戻った瞬間、私と話していた出来事は本体に蓄積される」

 

 

紫「私の話を聞き、冷静さを取り戻せている今のあなたなら鼻血を我慢して耐えることが出来る筈よ、私はあなたを信じるわ」

 

 

藍思「紫様…」

 

 

紫「大丈夫よ藍思…自分を信じなさい」

 

 

藍思「! は、はい! やってみます」

 

 

紫「ふふっ…」

 

 

紫(まぁぶっちゃけると根拠はないのよね、今回は摩訶不思議過ぎて私も思考がおかしくなってるのかも)

 

 

藍思「よ、よし…こう…自分の身体に飛び込む感じで…」

 

 

紫(家に帰ってきて藍を探してたらモノトーン空間に遭遇してしまった私の身にもなってほしいわね…てかなんで私は時の影響を受けないのかしら、まぁでもこれで解決よね)

 

 

紫(様は藍が元に戻って鼻血を我慢すれば良いだけの話、藍も突然の思念体離脱に混乱していたのかもね)

 

 

藍思「紫様! 行きます!」スッ

 

 

紫「はいはい、ガンバガンバ♪」

 

 

紫(さぁてどうなるかしら、上向いて手で鼻を押さえるのかしらね)

 

 

 

 

 

 ズズッ! ニュルン!

 

 

 思念体は藍の身体に飛び込んだ!

 

 

 

 

 

橙「藍さ」

 

 

藍「…!!?」フッ

 

 

 

 ズズッ! ニュルン!

 

 

 

 

 

 

 

紫「は!?」

 

 

藍思「はぁ! はぁ…!!」

 

 

紫「ちょっ…!? えぇ!? な、なんでまた出てくるのよ! また時が止まっちゃってるし!」

 

 

藍思「ゆ、紫様…!」

 

 

紫「な、何よ」

 

 

藍思「て…手遅れでした」ガタガタブルブル

 

 

紫「!?」

 

 

藍思「もう手遅れなんですよ! 元に戻ってなんとか踏ん張ってみたんですけど頭がもう橙の事で一杯で鼻血を耐えるどころか気絶の一歩手前の状態でした!!」

 

 

紫「な、なんですって…!?」

 

 

藍思「お…」

 

 

藍思「お助けください!!」

 

 

紫「知るかぁ!!」

 

 

 

 おしまい!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍思「いやいやいやいや!! 終わらせないでくださいよ!!」

 

 

紫「もう終わりでいいでしょうが! 何とか橙に鼻血が当たらないように首を横に振って鼻血発射すればいいじゃないのよ!」

 

 

藍思「嫌ですよ! 橙には当たらなくとも橙の前で鼻血を発射したという黒歴史は残るんですよ!?」

 

 

紫「残ってもいいじゃないのよめんどくさいわねえ!!」

 

 

藍思「頑張って助けてあげると言ったのは何処の誰ですか!?」

 

 

紫「それが助けられる者の態度なのかしらねぇ!? ふざけるのも大概にしなさいよ!?」

 

 

紫、藍思「はぁはぁ… はぁ…!」

 

 

藍思「うぅ…ゆ、紫様…」 

 

 

紫「…」

 

 

藍思「お、お願いです…最後までた、助けてください…」

 

 

紫「……」

 

 

紫「はぁ~…」

 

 

紫「分かった…分かったからそのウルウルした眼で私を見ないの」

 

 

藍思「!」

 

 

紫「まったくもう…」

 

 

紫「藍…いえ藍思、少し自分の身体に戻ってみた感想は?」

 

 

藍思「…手遅れの一言です」

 

 

紫「聞いたわよ」

 

 

藍思「正直こうしてまた思念体として出てこれたのが奇跡に近いです、危なかった…後少しでも遅ければ私は鼻血を橙に発射していた事でしょう」

 

 

紫「…」

 

 

藍思「やはり橙の下着を目の当たりにしてしまうともうアウトです…理性なんて効きゃあしないです」

 

 

紫「ド変態じゃない」

 

 

藍思「はい…」

 

 

紫「鼻血五秒前と言ったところね…藍、分かってるとは思うけど」

 

 

藍思「…やはり、避けられませんか…」

 

 

紫「だって手遅れなんだもん、もう本体も白目剥き出してるし鼻血もちらっと見えてるし」

 

 

藍思「…」

 

 

紫「時を巻き戻すことは不可能! よってあなたは鼻血を出し気絶する! これは確定している運命なのよ!」

 

 

藍思「うわぁぁ…!」orz

 

 

紫「藍思、辛いと思うけど受け入れないと…」

 

 

藍思「…」

 

 

紫「…」

 

 

藍思「…前には進めない、ですね…」

 

 

紫「えぇ、このめんどくさい物語に幕は降ろされない」

 

 

藍思「…し、しかし橙の前で鼻血は…」

 

 

紫「…なんとかしてみせるわよ」

 

 

藍思「え…?」

 

 

紫「八雲のゆかりん舐めんじゃないわよ? そんじょそこらの妖怪とは一味も二味も違うんだから」

 

 

藍思「…紫様」

 

 

紫「…藍思」

 

 

藍思「…はい」

 

 

紫「…骨は拾ってあげるわよ」

 

 

藍思「ありがとうございます」

 

 

紫「あなたが鋼の精神で鼻血を耐えることが一番良い解決策だった…でもそれはもう無理なんだからこの作戦しかないわね」

 

 

藍思「も、もう解決策が…?」

 

 

紫「いい藍思、よく聞きなさい、作戦はこうよ」

 

 

紫「あなたが自分の身体に飛び込んだ瞬間、時が進み始める訳だからその隙に私が橙をスキマで私のスキマ空間に送るわ、そうすれば鼻血を見られる事も浴びせかけることもない、そこで橙のケアをした後ここに戻って来てあげる…いい? 勝負は一瞬よ」

 

 

藍思「…」

 

 

紫「覚悟は出来てる?」

 

 

藍思「はい…あの、紫様」

 

 

藍思「紫様…ここまで付き合ってくださってありがとうございました…」

 

 

紫「…何よ、最後のお別れみたいな言い方して」

 

 

藍思「ははっ…そうですね、最後のお別れなんて」

 

 

紫「…生きなさい、藍」

 

 

藍思「!」

 

 

紫「生きてまた縁側でお話するの、その日常は八雲家にはなくてはならない物なの…だから生きて、生きてまた会いましょう」

 

 

藍思「…! はい!」

 

 

紫「…行くわよ! 藍!」スッ

 

 

藍思「はい!」スッ

 

 

 

 ダッ!

 

 

 

 

 

 

 

紫、藍思「うおおぉぉぉ!!」スッ

 

 

 

 ズズッ! ニュルン!

 

 

 

紫「スキマオープン!」スッ

 

 

 

 ギュオン!

 

 

 

橙「ま、ごめんなさ…えっ!?」

 

 

紫「橙!! ごめんなさいね!!」スッ

 

 

橙「紫さ…きゃあ!?」スッ

 

 

 

 

 

 ギュオン!

 

 

 

 

 

 

 

藍「…」

 

 

藍(あぁ作戦は無事に成功した様だ…本当に良かった…)

 

 

 四

 

 

藍(ふふっ、九尾が時を止める、か…新聞になったらさぞや一面を飾るのだろうな)

 

 

藍(咲夜や輝夜が聞いたらどんな反応をするのだろうな…驚いてくれるだろうか『まさか妖怪が時を止めるとは…』とか、ふふっ♪ 話の種にはちょうどいいのかもな)

 

 

 三

 

 

藍(橙、ごめんな…不甲斐ない主で本当にごめんなぁ…)

 

 

藍(紫様…)

 

 

 二

 

 

藍(私も…私も縁側でお話する八雲家の日常は大好きです、だから例え全身の穴から橙の下着を見たという興奮による鼻血が流れようとも)

 

 

藍(生き抜いてみせますとも、あなたの為に…そして)

 

 

 一

 

 

藍(橙の為にも…)

 

 

藍(…)ニコッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 0…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍「ちぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!!」ググッ

 

 

 

 

 ドッバァ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日、幻想郷に一つの悲鳴が響いた

 

 マヨヒガと呼ばれる場所、大妖怪八雲紫の住みかで悲鳴が響いたのだ

 

 その悲鳴の場所には

 

 

 

 鼻から大量の血を流し、床を血の海で染めながら幸せそうに眠る九尾の妖狐の姿がありました

 

 

 

 

 

 おしまい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【オマケ】

 

 

 

 《永遠亭、治療室》

 

 

 

 

八意永琳「ん~…てゐ、輸血パックもう二つよ」

 

 

因幡てゐ「は~い」タタタ

 

 

永琳「脈拍安定、心拍数異常なし」

 

 

てゐ「お師匠様、持ってきたよ」

 

 

永琳「ありがとう……よし、これで後は安静にしていれば大丈夫ね」

 

 

藍「スー…スー…」zzZ

 

 

てゐ「ねぇお師匠様」

 

 

永琳「何?」

 

 

てゐ「この狐さぁ、出血多量でここ来たんでしょ?」

 

 

永琳「えぇ、それがどうかしたの?」

 

 

てゐ「なのになんで外傷がないの? 身体の何処にも傷一つありゃしないのに何でなのかなって」

 

 

永琳「それ私も気になったから調べてみたの、で答えが出たわ」

 

 

てゐ「おっ! で? 答えは?」

 

 

永琳「…てゐ」

 

 

てゐ「ん?」

 

 

永琳「あなた瀕死になるまで鼻血を出し続ける事って出来る? それも身体の中にある四十%以上もの大量の血を」

 

 

てゐ「……は!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《永遠亭、客間》

 

 

 

紫「…」

 

 

蓬莱山輝夜「紫、次あなたの番よ?」

 

 

紫「えっ、あぁ…ほい」

 

 

輝夜「あらら、んじゃここっと」

 

 

輝夜「ふふっ、オセロって奥が深いわよね、角をとれば勝ちって訳でもないのがまた…中々面白いゲームよ、プレゼントしてくれてありがとうね紫」

 

 

紫「うん…」

 

 

鈴仙・優曇華院・イナバ「お茶が入りましたよ~♪」

 

 

輝夜「あら、ありがとう鈴仙、いただくわ」

 

 

鈴仙「いえいえ、はい、紫もどうぞ」

 

 

紫「ありがと、鈴仙」

 

 

鈴仙「あ、オセロですか」

 

 

輝夜「えぇ♪ いやぁやっぱり紫は強いわね、鈴仙とは大違い」

 

 

鈴仙「わ、私はこれ苦手なんですよぉ!」

 

 

輝夜「角をとれば勝ちの風潮があなたの負けを後押ししていると何度言わせれば分かるのかしらねぇ♪」

 

 

鈴仙「む~…角は正義です…正義なんです」

 

 

輝夜「あはは、何それ…って紫?」

 

 

紫「…」

 

 

鈴仙「? 紫、どうしたの?」

 

 

輝夜「藍が心配? 大丈夫よ、永琳は暗黒治療モードじゃなきゃ幻想郷一の医者なんだから」

 

 

鈴仙「さっき見てきたけど藍さんの容体は安定の方向よ、一日安静にしてなきゃだけどね」

 

 

紫「ねぇ…輝夜、鈴仙」

 

 

輝夜、鈴仙「?」

 

 

紫「あなたたちって鼻血出したことある?」

 

 

鈴仙「え? は、鼻血?」

 

 

紫「うん」

 

 

輝夜「鼻血ねぇ…う~ん、妹紅と殺り合ってる時はしょっちゅう出るわね」

 

 

鈴仙「…ぼぉーっと歩いてて竹にぶつかって出たことなら…///」

 

 

輝夜「理由が可愛いわよね、あなたは」

 

 

鈴仙「ど、どこがですか!?」

 

 

輝夜「パンダみたいで」

 

 

鈴仙「パンダァ!? いやいや、パンダは竹にぶつかって鼻血なんか出しませんって!」

 

 

輝夜「みたいなって言ってるでしょ、そうやって一々ツッコミしてくるところも可愛いわね♪ なんというか律儀でさ」

 

 

鈴仙「も、もう…/// 姫様やめてくださいよ…///」

 

 

紫「あぁ違う違う、そういう鼻血じゃなくてさ」

 

 

紫「興奮による鼻血よ、ある?」

 

 

輝夜「あ、そっち? う~ん…ないわね」

 

 

鈴仙「私もそれはないなぁ」

 

 

紫「…鈴仙、あなた咲夜と仲良かったわよね」

 

 

鈴仙「えっ、まぁ、うん」

 

 

紫「咲夜からそういう話聞いてない?」

 

 

鈴仙「え…咲夜?」

 

 

紫「うん」

 

 

輝夜(鼻血の話引っ張るわね紫、何かあるのかしら)

 

 

鈴仙「えっと……あ」

 

 

紫「あ、あるんだ?」

 

 

鈴仙「うっ…だ、誰にも言わないでよ?」

 

 

紫「もちろん」

 

 

鈴仙「自分の主の話になってね? 『出したことは無いんだけど、気を抜いてるとお嬢様の前で出しそうで恐い、突拍子もなく無自覚に私の心にダイレクトアタックなさる事があるから』って言ってたわね」

 

 

輝夜「咲夜はレミリアの事大好きだもんね、鈴仙も私の事好きなら鼻血出してもいいのよ?」

 

 

鈴仙「出しませんよ!」

 

 

輝夜「うわぁ…それって私のこと嫌いってことじゃない…? 辛い…」

 

 

鈴仙「ちょっ…! そ、そんなこと言ってないじゃないですか!」

 

 

輝夜「あ、じゃあ好きなの?」

 

 

鈴仙「うぇ…!? そ、それは…///」

 

 

輝夜「あ~っ♪ 照れてる♪ そっかそっか鈴仙私の事好きなのね♪」

 

 

鈴仙「あうぅ…/// ひ、姫様ぁ…///」

 

 

輝夜「ふふっ…♪」クスクス

 

 

紫「はぁ…」

 

 

輝夜、鈴仙「?」

 

 

紫「家だけかぁ…」

 

 

輝夜、鈴仙「え?」

 

 

紫「幻想郷で上下関係間の事で鼻血出すの家だけなのかぁ…」ダラーン

 

 

鈴仙「えぇ…」

 

 

輝夜(…? ほうほう、ここに来たのはそういうことか)

 

 

紫「個性と取るか、それとも愚と判断するか果たして…いや鼻血を出そうとした時点で負け、か」

 

 

鈴仙(藍さん…)

 

 

輝夜「紫」

 

 

紫「…?」

 

 

輝夜「お互い家族の事になると色々と大変よね」

 

 

紫「…分かっちゃった?」

 

 

輝夜「うん」

 

 

紫「…」

 

 

輝夜「…あ♪ 今日泊まってく? 橙もここに呼んで安心させてあげましょうよ、なんの説明もしてないのでしょう?」

 

 

紫「…! …相変わらず目敏いわね」

 

 

輝夜「ふふっ♪」

 

 

紫「ならお言葉に甘えさせてもらおうかしら」

 

 

輝夜「やった♪ じゃあ今日はとことんゲームよ! あなたぐらいじゃないと張り合いがなくてつまらないんだもん」

 

 

鈴仙(ゆ、紫が家に泊まる……な、何よこの気持ち、ぜ、全然嬉しくなんか…///)

 

 

紫「…橙に藍のこと説明しないとダメかしら」

 

 

輝夜「それは…あなたに任せるとしか言えないわね」

 

 

紫「はぁ…」

 

 

紫「…」

 

 

 

紫「藍のバ~カ…」

 

 

 

 

 

 

 本当におしまい!

 

 

 

 





 興奮して鼻血出すってことを私はあんまり聞かないですね…

 説明不足で申し訳ないのですが『ゆかりんとうどんげのクリスマス』にて、紫と鈴仙は友達以上親友未満になっております。 


 それではここまで読んでいただき、ありがとうございました! 



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