東方紫藍談  ~紫と藍の幻想談~   作:カテサミン

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 新しく読んでいただく方も、継続して読んでいただいている方も、これからも『東方紫藍談』を宜しくお願いいたします!


 今回は秋がテーマです、でも秋姉妹は…


 それでは始まります♪




《第7談》秋のピクニック道中記

 

 

 【喜怒哀楽の激しい秋】

 

 

 

 《マヨヒガ、縁側、夜19:00》

 

 

 

八雲紫「…」

 

 

八雲藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

藍「紫様…」

 

 

 八雲紫はマヨヒガの縁側でうつ伏せの状態でふてくされていた

 

 

 

紫「らんのバーカ…」

 

 

藍「だから…えと…もう何回も謝ってるじゃないですか…」

 

 

紫「らんのぶぁ~か…」

 

 

藍「もう許してくださいよ…」

 

 

紫「くたばっちまえ…」

 

 

藍「ごめんなさい…」

 

 

紫「ごめんなさいですみゃあ警察はいらないのよ」

 

 

藍「あぁ…はい、外の世界の」

 

 

紫「今はそういう話はしてないでしょ?」

 

 

藍「すいません…」

 

 

紫「謝れ」

 

 

藍「…もう十九回目ですよ?」

 

 

紫「謝れ」

 

 

藍「う…」

 

 

紫「あ~や~ま~れ~」

 

 

藍「…」スッ

 

 

 藍は膝をつき頭を下げた、誠心誠意を込めた土下座

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍「今日の朝に紫様をマヨヒガに置いて橙と私の二人で妖怪の山に秋の遠足と言う名のピクニックに出掛けて申し訳ありませんでしたぁ!」

 

 

 

紫「許すわきゃねえだろうがぁ!」ガバァ!

 

 

藍「えぇ!?」

 

 

紫「あなたねぇ! 私がどん…どんだけ楽しみに…! くうぅおあぁぁ!!」ジタバタ

 

 

藍「だからごめんなさいって言ってるじゃないですか!!」

 

 

紫「だからごめんなさいですみゃあ警察はいらないって言ってんでしょうが!」

 

 

藍「このやりとり何回目だと思ってるんですか!?」

 

 

紫「二十回目だよバカちんがぁ! 私だってもうやりたくないわよ!」

 

 

藍「だったらもう許してくださいよ!」

 

 

紫「ならこの私のピクニックに行けなかった虚しさはどうしてくれんのよ !? えぇ!?」

 

 

藍「だからそこは許容していただくしかないんですよ!! 本当に申し訳ありませんでしたぁぁ!」

 

 

紫「だから許すわきゃねぇだろうがぁぁぁ!!」

 

 

藍「はぁ…! はぁ…!」

 

 

紫「はぁはぁ…ぜぇ…ぜぇ…!」

 

 

藍「まだ…はぁ…許してくれませんか…?」

 

 

紫「あたり…はぁ…まえじゃないのよ…!ぜぇ…」

 

 

藍「では…お言葉を返すようで悪いんですがね紫様…」

 

 

藍「私は今日の朝に何回も何回も何回も! あなたのことを起こそうとしましたよね!?」

 

 

藍「揺すったり声を掛け続けたり! それなのにあなたという人は布団の中から出てきやしなかった!」

 

 

紫「ゆかりんは人じゃないわぁ!」

 

 

藍「論点をずらさないで下さい!」

 

 

紫「だから昨日の夜に殺してでも叩き起こしてって言っておいたでしょうが!!」

 

 

藍「そんなこと出来るわけないでしょうがよぉ!」

 

 

紫「そのせいで私は虚しさの極みを味わってんのよ!? あなたの無慈悲な心のせいでね!」

 

 

藍「何でもかんでも私のせいにしないで下さいよ! 大体十二時間睡眠は当たり前! 三十九度寝は当たり前のあなたを起こせるわけなかったんですよ!」イライラ

 

 

藍「おまけに昨日の朝から霊夢や魔理沙達と酒盛りしていたんでしょう!? 二日酔いの上に睡眠の質が尋常じゃないあなたを起こせるわけがないんですよ!! 起きたのだってさっきなんでしょう!? 私が橙と別れてピクニックから帰って来てからですよね!?」イライラ

 

 

紫「うっ…! で、でも私は!? 私のこの気持ちは!? ピクニック行きたかったこの気持ちは!?」

 

 

藍「そんなもん知るかぁ!!」イライラ

 

 

紫「!?」ビクッ

 

 

藍「あぁ! なんかさっきまで謝ってた自分がアホ臭く思えてきましたよ! 二日酔いで機嫌が悪いであろうあなたと橙を一緒にピクニックに~なんてさせなくて正解でしたねぇ!」

 

 

紫「う…」

 

 

藍「おまけに昨日も私に仕事を押し付けて自分だけ酒盛りとは…! それでピクニックに行こうだなんておこがましい! あなたには恥というものがないんですか!?」

 

 

紫「う、うぅ…」

 

 

藍「サンドイッチやら何やらを用意したのも私ですしね! 本当にあなたという妖怪はぁ! あぁもうちゃんちゃらおかしいですよ!」

 

 

紫「うぅ、うぅぅ…」

 

 

藍「これに懲りたらですね!少しはご自身の生活を改め…て…」

 

 

 

 

 

 

紫「うぅ…グスッ…ヒグッ…うぐっ…ズッ…うぅ…」ポロポロ

 

 

藍「!!?」

 

 

 紫は両手でハンカチを握り締めつつ膝の上に置き、歯を食い縛り、頬を赤く染め、庭の一点を見詰め、両目から涙をボロボロと流していた

 

 

 

紫「そ、そん…うぐっ…そ、そごまで…いば…! いわなぐでも…! 良いじゃ…グスッヒグッ、ズッ! ないぼ!!」ポロポロ

 

 

藍「ゆ、紫さ…!」

 

 

藍(い、いや…騙されるな八雲藍、これは確実にウソ泣き! 紫様の事だから私が謝ったらまたけろっとして手のひらを返されるに決まっている…! 心を鬼にせよ、八雲藍!)

 

 

紫「わだじはだだ…! グズッ! 三人でグスッ…! ビグニックに行きだがっだだけなのに…!」ポロポロ

 

 

藍「…」

 

 

紫「ひ、ひどい…! ひどいよぉ~! うわああぁぁん!」ポロポロ

 

 

藍「…」

 

 

藍(だ、騙されませんよ…)

 

 

紫「うわああぁぁん! グスッウグッ! えぐっひぐっ…! うぐぅ…!」ポロポロ

 

 

藍「…!」

 

 

紫「えぐっひぐっ! おにぃ~! あぐまぁぁあ! グスッ…! えぐっグスッ!」ポロポロ

 

 

藍(あ、あれっ…!?)

 

 

紫「ズズッ…! うえええぇぇん! グスッ!」

 

 

藍(え!? う、嘘!? こ、これは…!?)

 

 

 

 

藍(マジ泣きなのか!?)ドギャーン!

 

 

 

 

藍(よ、妖怪にとって精神的ダメージは致命傷! 妖怪は肉体は強くとも精神は脆い…! こ、これがまさか紫様にまで当てはまるのか!? ピクニックに行けなかっただけで!? し、しかし…)

 

 

紫「グスッ…! うぐぅ! ううぅ!」ポロポロ

 

 

藍(紫様がこんなに泣きわめくなんて……何故だか絵面がキツくならないって違う!)クワッ!

 

 

藍(こ、この始末は私の責任…! だが紫様にも非がある…)

 

 

藍(え、これ誰が悪いんです?)

 

 

紫「うわーん…! ぐっすんえっぐひ、ひどいよぉ…! うぐぅグスッ!」ポロポロ

 

 

藍(何が何だか分からない…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 八雲紫が泣きました、ガチ泣きです

 

 ピクニックに行けなかっただけで? 

 

 それもありますが藍の言葉が止めを指してしまったのです

 

 藍にこれだけ言われたのは初めてなのですから

 

 

 

 

 

 

 彼女が泣き出してから二十分後、紫は漸く落ち着いたようです

 

 

 

紫「くすん…」

 

 

藍「あ、あの…」

 

 

藍(は、話し掛けづらい…)

 

 

紫「グスッ…藍…」

 

 

藍「は、はいぃい!?」

 

 

紫「…何よその返事」

 

 

藍「い、いえ、そ、その…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「紫様…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「藍…」

 

 

藍「ゆ、紫様…」

 

 

紫、藍「…」

 

 

 

 

 

紫、藍「ごめんなさい」

 

 

 

 

 

紫、藍「!」

 

 

 

紫「藍、その、ね…」

 

 

藍「はい…その…えぇと…」

 

 

紫、藍「…///」

 

 

紫「私が悪かったわ…今回ばかりは素直に謝ります、本当にごめんなさい」ペコリ

 

 

藍「!」

 

 

紫「好き勝手にはしゃぎすぎて大切な物を失ってしまったわ…これは私の責任です、後先考えない行動をした罰、そしてあなた達との約束を破った事への罰」

 

 

紫「あなたと橙には本当に申し訳ないと思っています、昨日ピクニックに行きたいなんて私が勝手に言い出して、巻き込んで、挙げ句の果てに自分が馬鹿して行かないなんて…」

 

 

紫「何馬鹿みたいに泣いてんだって話よね…軽率だったわ…本当にごめんなさい」

 

 

藍「紫様…」

 

 

藍「橙、とっても楽しみにしてたんですよ?」

 

 

紫「!」

 

 

藍「『紫様と藍様と三人でお出掛け♪ お出掛け♪』って嬉しそうにはしゃいでいました、私はその姿を見ていたので私自身、必ずピクニックには紫様も含め三人で行きたかったんです」

 

 

藍「ですが昨日のあなたを見ていて…『あぁ、これは起きないな』と思ってしまいました、だから橙に嘘をつきました…紫様はお仕事で疲れているんだよ、と…橙は酒盛りのことは知らないですから」

 

 

藍「行くことを優先してしまったんです、このままあなたを起こし続けて日が暮れるよりかは…橙の楽しみを尊重し、そして優先した」

 

 

藍「これは私のエゴなのかもしれません、橙を楽しませてあげたいという私のエゴ、橙の望みは『三人で』だったのに」

 

 

藍「紫様、私の方こそ申し訳ありませんでした、あなたのこと、そして橙の事を思うならあなたを本気で叩き起こすべきでした」

 

 

紫「! 藍、あなたが謝る必要なんてないのよ、元はといえば私がしっかりしていなかったから」

 

 

藍「はい、それが第一です、ですが私は私自身が許せない」

 

 

紫「だから橙との約束も私が破って」

 

 

藍「私も破ってしまいました…三人でピクニックに行っていませんから」

 

 

紫「!」

 

 

藍「先程の無礼な発言の数々…式として本当に申し訳ありませんでした」

 

 

紫「藍…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「このままじゃ謝り合戦になっちゃうわね…」

 

 

藍「そうですね…」

 

 

紫「藍、私は八雲紫という妖怪、睡眠云々の私の生き方は変えられない」

 

 

藍「はい」

 

 

紫「でも気を付けていくことは出来る、羽目を外しすぎて大切な物を見失わない様にするわ」

 

 

藍「…ありがとうございます」

 

 

紫「どうしてお礼を言うの?」

 

 

藍「橙の為を思っての言葉なんですよね?」

 

 

紫「あなたの事も含まれてるけど…」

 

 

藍「! …///」

 

 

紫「ふふっ、照れないの」

 

 

藍「て、照れてませんよ!」

 

 

紫「…」ニコッ

 

 

藍「! …紫様、明日橙に謝りに行きましょう、私達二人で」

 

 

紫「えぇ、ありがと藍」

 

 

藍「それこそお礼は不要ですよ」

 

 

紫、藍「ふふっ…」ニコッ

 

 

紫「ねぇ、藍」

 

 

藍「はい?」

 

 

紫「こんなこと言える立場じゃないのかもしれないけど…聞かせてくれない? ピクニックで何を見て、何を体験してきたか」

 

 

藍「…! 聞いててまた泣いたりしません?」

 

 

紫「こ~ら~? 意地悪しないの!」

 

 

藍「ふふっ、すいません」

 

 

紫「んもう…♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【気を取り直して…】

 

 

 

藍「紫様を起こすのに二十分ぐらい時間を費やした後に私達はマヨヒガを出発しました」

 

 

紫「本当に申し訳ねぇだ」

 

 

藍(あ、もういつもの感じになってる…でもこの方が話しやすいかな…メソメソしてると紫様らしくないし)

 

 

藍「何で訛ってるんですか」

 

 

紫「だって秋だもん」

 

 

藍「関係あるんですか?」

 

 

紫「もっつろんだぁ♪」

 

 

藍「ふっ、は、話を進めますよ!」

 

 

藍「まず人里に向かいました、その道中の紅魔館の前で少し話をしましたね」

 

 

 

 

 

 

 ホワンホワン…

 

 

紅美鈴『おや、藍さんに橙さん』

 

 

橙『あ! 美鈴さん!』

 

 

藍『やあ、こんにちは』

 

 

美鈴『はいこんにちは! いやぁ今日もいい天気ですねぇ♪』

 

 

藍『そうだな、ポカポカしているからついうたた寝をしてしまいそうだ』

 

 

美鈴『ら、藍さん! それは洒落になりませんよ!』

 

 

橙『あれ? 美鈴さん、今日は眠たくないんですか?』

 

 

美鈴『うう、やっぱり私はそのイメージです?』

 

 

藍『ああ』

橙『はい』

 

 

美鈴『ですよねぇ…あははは…』

 

 

藍『しかしお仕事御苦労様だな、一日中突っ立っているのも苦だろう』

 

 

美鈴『それが私の仕事ですからね』

 

 

橙『美鈴さんは凄いです! 橙には出来そうにないです』

 

 

美鈴『そうですかね? あ、でもお手伝いすることは出来ると思いますよ?』

 

 

橙『お手伝い?』

 

 

美鈴『寝たら私の事を起こして下さい! 咲夜さんの格闘技でたたき起こされたり顔面ナイフはもう嫌なんです!』

 

 

橙、藍『えぇ…』

 

 

美鈴『お二人は知らないでしょうけど咲夜さんを怒らせると本当に恐いんですよ?』

 

 

藍『いや、何となく想像付くが』

 

 

美鈴『その想像の上をいきますよ! 人間なのか疑う時があるぐらいですから』

 

 

レミリア・スカーレット『ほんとよね、咲夜ったら人間以上の強さ、私の従者にぴったりよね!』

 

 

橙『わわっ?』

 

 

美鈴『お、お嬢様いつの間に!?』

 

 

レミリア『たった今よ、美鈴…あなた少し能力が弛んでるんじゃないの? 私の気配すら気付けなくなっちゃったの?』

 

 

美鈴『そ、そんなことありませんよ! お嬢様はオーラに満ち溢れておいでですから能力使うまでもありません!』

 

 

レミリア『ふふっ! 当然よね! あーっはっは♪』

 

 

藍(ちょろいな…これもレミリアの良さだか)

 

 

レミリア『ん? 紫のとこの式達じゃないか』

 

 

橙『こ、こんにちは』

 

 

レミリア『こんにちは…じゃなくって、なんか楽しそうね、二人でそのリュック背負ってどこいくの?』

 

 

藍『あぁ、これから二人で妖怪の山にピクニックに行くんだ』

 

 

レミリア『ピ、ピクニックですって!?』

 

 

橙、藍『?』

 

 

美鈴『お嬢様?』

 

 

レミリア『なんてうらやま…! いや、うらやましい! ちょ、ちょっと待ってなさい!』

 

 

橙『え!?』

 

 

美鈴『お嬢様!? 一体どうしたんですか!?』

 

 

レミリア『決まってるでしょ!? 私も行くのよ! 八雲藍、それから…橙! 私も連れてって!』

 

 

藍『いや待てレミリア! 急すぎるぞ!』

 

 

レミリア『当たり前でしょ! 今私が決めたんだから!』

 

 

美鈴『お嬢様! 勝手に出歩いては咲夜さんに』

 

 

レミリア『美鈴から言っといて! 私は優雅なピクニックに出掛けたとね!』

 

 

美鈴『ええ!?』

 

 

藍『う~ん、橙、どうしようか?』

 

 

橙『橙は、レミリアさんと一緒に行きたいです! 大勢の方が楽しいですよ♪』

 

 

藍『そうか、うんそうだね、レミリア、待っててあげるからそんなに急がなくていいぞ』

 

 

レミリア『やったー♪ そうと決まれば準備準備! この日傘と、それから』

 

 

 フッ!

 

 

十六夜咲夜『お嬢様』

 

 

レミリア『 』ピシッ

 

 

藍、橙、美鈴『あ』

 

 

レミリア『さ、ささささ咲夜!?』

 

 

咲夜『はい、咲夜でございます』ペコリ

 

 

レミリア『う…と、止めても無駄よ咲夜! 私は』

 

 

咲夜『ピクニックに行くのは構いませんがその前にパチュリー様がお嬢様に用があるそうです、お会いになって下さいませ』

 

 

レミリア『!? ぱ、ぱぱパチェが、わわわ私に!?』

 

 

咲夜『はい、なんでも『暇だからって私の大事な本達をドミノ倒しに利用した私の素敵な親友に会いたいの、咲夜、探してきて』だそうです』

 

 

レミリア『!?』ダラダラ

 

 

橙『レミリアさん、汗が…』

 

 

藍『橙、残念だがレミリアはピクニックに行けそうにないようだ』

 

 

美鈴『あはは…』

 

 

 咲夜はレミリアの首の後ろを掴んで持ち上げた、その光景はまるで飼い猫と飼い主の様だった

 

 

レミリア『は、離しなさい咲夜ぁ!』

 

 

咲夜『申し訳ありません、パチュリー様のご命令ですので』

 

 

レミリア『! 咲夜、これは命令よ! この手を離しなさい』

 

 

咲夜『…』スタスタ

 

 

レミリア『ちょっ!? えぇ!? 咲夜ぁ! 咲夜聞いてる!? これは命令よ!?』

 

 

咲夜『状況判断の結果、パチュリー様の命令を先に片付けなければ事態は悪化すると判断いたしました、ご容赦ください』

 

 

レミリア『さっすが咲夜ね! ってう~☆ いーやー! はーなーせー!』ジタバタ

 

 

 咲夜とレミリアは館の中に消えていった

 

 

藍『レミリアは何をしてるんだ…』

 

 

美鈴『パチュリー様きっと怒ってるんだろうなぁ』

 

 

橙『一緒に行けなくなっちゃいましたね、残念です~…』

 

 

 

  レミィ!!!   う~☆

 

 

藍、橙、美鈴『!!?』ビクッ

 

 

 パチュリーの怒号で紅魔館がちょっと揺れました

 

 

 

 

 ホワンホワン…

 

 

 

 

 

紫「カリスマぁ…最近フランの方がしっかりしてるんじゃないかしら」

 

 

藍「それは…」

 

 

紫「こりゃ館の主が交代する日も近いかな?」ニヤニヤ

 

 

藍「そうなりそうで反論出来ない自分がいます」

 

 

紫「そうなったら野生のレミリアが現れるわね」

 

 

藍「捨てられちゃってる!?」

 

 

紫「戦闘する間もなく仲間になりたそうにこっち見るわよ、きっと」

 

 

藍「もうモンスター扱いじゃないですか!」

 

 

紫「そしたら上から目線でこう言うの」

 

 

紫「こっち見んな、と…ふはは♪」

 

 

藍(鬼か…)

 

 

 

 

 

 

 

紫「その後は人里に?」

 

 

藍「はい、そこで少し休憩を…と思いまして茶屋でお茶をいただいたんですけど」

 

 

紫「けど?」

 

 

藍「その茶屋に珍しい組み合わせの先客が言い争いをしてまして…遭遇してしまったと言うべきか」

 

 

紫「?」

 

 

 

 

 

 

 

 ホワンホワン…

 

 

藤原妹紅『譲れないね!』

 

 

茨木華扇『私とて譲れませんね!』

 

 

 ガヤガヤ… ガヤガヤ…

 

 

藍『お、おいおい』

 

 

橙『ら、藍様』

 

 

藍『大丈夫だよ橙、ここは私に任せなさい』

 

 

妹紅『仙人って人に優しい筈なんだがな、ここは譲ってほしいね』

 

 

華扇『あなたは蓬莱人では? 人ではないでしょう?』

 

 

妹紅『…! 悪いけど私は人である誇りを捨てたことは一度たりともないんだ』

 

 

華扇『それは失礼しました、ですがそれとこれとは話が別です』

 

 

妹紅『あぁ、そうだな』ニッコリ

 

 

華扇『はい、そうです』ニッコリ

 

 

妹紅『…』バチバチ

 

 

華扇『…』バチバチ

 

 

藍『喧嘩したり納得したり火花を散らしたり、茶屋の外で何をやっているんだ…人の注目を浴びているぞ?』

 

 

妹紅『! あんたは…お!』スッ

 

 

華扇『! 八雲藍、暫く振りですね』

 

 

妹紅『よっ、橙!』

 

 

橙『もこたんさん、今日は!』

 

 

妹紅『もこたんさん…橙、もこたんはやめてくれ…』

 

 

橙『でも、もこたんさんはもこたんさんです』ニパッ

 

 

妹紅『!? まったく…そんな顔されると何にも言えなくなるな…まぁ良くないけどチルノ達よりさん付けなだけましなのか?』

 

 

橙『この前皆でやった『もこたん将軍ごっこ』は楽しかったですね♪』

 

 

妹紅『あ、あははー…そ、そうだな』

 

 

妹紅(慧音が見ているから断れなかったんだよなぁ…)

 

 

華扇『八雲藍、考えていただきましたか? この前の話』

 

 

藍『お断りした筈だが? 私は八雲紫様の式だ、これからもそれは変わらん、当然私の式である橙も同様にな』

 

 

華扇『そうですか…残念です、ん~これは諦めるしかありませんね』

 

 

華扇(この二人を私のペットにして尻尾をモフモフしていたい、撫で回したいという夢は散りましたか…だって九尾と化け猫ですよ? 珍しいじゃないですか飼いたいじゃないですか)

 

 

華扇『橙ですね、初めまして…仙人の茨華扇と申します』

 

 

橙『ひっ、こ、今日は…は、初めまして』

 

 

妹紅『おい、怖がらせんな』

 

 

華扇『え!? そ、そんなつもりは…』

 

 

藍『邪な考えを察知したのかもな、橙、大丈夫だよ』

 

 

妹紅『お前邪仙だったのか…そんなんでよく説教だのなんだの出来るな、恥ずかしくないのか?』

 

 

華扇『私は邪仙ではありません! それに、せんに…!?』

 

 

藍、橙、妹紅『?』

 

 

華扇『い、いえ! 何でもありません!』

 

 

華扇(あ、危ない危ない…)

 

 

橙『あ、あの…お二人は何故喧嘩をしていたのですか?』

 

 

妹紅『! そうだった…おい仙人!』ゴゴゴ

 

 

華扇『! そうでしたね、決着を着けましょう!』ゴゴゴ

 

 

華扇『この茶屋の秋の季節一日限定二十個の紅葉饅頭』

 

 

妹紅『渡す訳にはいかないな!』

 

 

藍、橙『え!?』

 

 

藍『そ、そんなことで喧嘩していたのか!?』

 

 

妹紅『そんなこと!? 食べ物の怨みは蓬莱の薬よりも恐ろしいんだぞ!?』

 

 

藍『そんなにか!?』

 

 

華扇『失望しましたよ八雲藍、貴女とて油揚げが人の手に渡るのならば奪ってでも食べたい筈です!』

 

 

藍『生憎油揚げには困ってないんだよ! 気持ちは分かるけどな!』

 

 

藍(…他に食べる人があんまりいないからな)

 

 

妹紅『私は二十番目の客だったんだよ! 私が先だ!』

 

 

華扇『ほぼ同時に滑り込んでいましたが、私の方が速かったです!』

 

 

妹紅『私が先だ!』

華扇『私が先です!』

 

 

妹紅、華扇『ぬぬぬ…!』

 

 

藍『…橙、休憩出来たから妖怪の山に向かおうか』

 

 

橙『は、はい…! あっ!』

 

 

藍『ん?』

 

 

 ありがとうございましたー♪

 

 

妹紅、華扇『!?』

 

 

稗田阿求『いやぁ、最後に残ってて良かったー♪ 秋の仕事の前にはこれだよねぇ♪』

 

 

妹紅、華扇『あぁー!?』

 

 

阿求『!? な、何ですか!? ってあなた達は…』

 

 

華扇『ひ、稗田阿求! ま、まさか貴方最後の紅葉饅頭を…』

 

 

阿求『え? か、買いましたけど?』

 

 

妹紅『な!? お、おい! それは私が並んで買おうとしてたんだぞ!?』

 

 

阿求『並んでなかったのでは?』

 

 

華扇『藤原妹紅、それは私の台詞です! 阿求! 値段の倍の額を支払います! その饅頭を譲っていただけませんか?』

 

 

妹紅『あ、汚いぞ!』

 

 

阿求『! ほほーう…倍の…』

 

 

妹紅『阿求! それを譲ってくれたら今度筍料理をご馳走してやるぞ!?』

 

 

阿求『ほう、筍料理…』

 

 

華扇『んなっ!?』

 

 

阿求『ん~どちらも魅力的なお誘いですねぇ』

 

 

華扇、妹紅『さあ、どっち!?』

 

 

阿求『……』

 

 

阿求『あの、さっきから気になっていたんですけどあなたたちの後ろにある物は一体…』

 

 

妹紅、華扇『へ!?』クルッ

 

 

 シーン…

 

 

妹紅『何も…』

 

 

華扇『無いけど…』

 

 

 ムシャムシャ

 

 

妹紅、華扇『!?』クルッ 

 

 

阿求『立ち食い饅頭も、モグモグ…んん~♪ 美味しいですねー♪』ムシャムシャ

 

 

妹紅、華扇『ああぁぁぁあ!!?』

 

 

阿求『誰が渡すものですか! ムグムグ、んっ♪ これは買った瞬間から私の物なのですよ! ふふん、お金!? 筍料理!? どっちも間に合ってますよ! あっはっは♪』ムシャムシャ

 

 

妹紅、華扇『ああぁぁぁ…』orz

 

 

藍、橙『…』

 

 

藍『橙、ああいう大人になってはいけないよ?』

 

 

橙『はい…藍様』

 

 

 

 

 ホワンホワン…

 

 

 

 

 

紫「阿求ってさぁ…たまに性格悪いのよねぇ、知ってる? 毒舌阿求の伝説」

 

 

藍「何ですかそれは!?」

 

 

紫「ちらほら聞くのよ、阿求にブチブチ言われて心折られた妖怪の話」

 

 

藍「幻想郷の記録係の名は何処へ…」

 

 

紫「それでもちゃんと仕事してるから文句も言えないのよねぇ、ゆかりんとは大違い♪」

 

 

藍(自分で言うんですか…)

 

 

紫「それよりも藍、あの似非仙人から勧誘されてたの?」

 

 

藍「! えぇ、最初から断っていましたしその時にも断りましたから、もう勧誘はしてこないでしょう」

 

 

紫「そう…」

 

 

藍「橙もきっと同じ気持ちです、私達の主は紫様だけですから」

 

 

紫「…! …///」

 

 

藍「照れてます…?」

 

 

紫「う、うっさい! ゆかりん照れてない!」

 

 

藍「ふふっ」

 

 

紫「ふん…でもあの似非仙人にはまだまだ注意が必要よ? ゆかりんのブラックリストに入ってるんだからね?」

 

 

藍「ブラックリスト?」

 

 

紫「『霊夢に近付き過ぎな奴リスト』魔理沙は除外してるけど」

 

 

藍「あぁ…なるほど…ま、まぁ気を付けておきます」

 

 

紫「説教と称して霊夢に構ってもらいたいんじゃないか問題、これは調べておかないとね」

 

 

藍(似非仙人…まぁいいか)

 

 

 

 

 

 

 

紫「そんで人里を後にして妖怪の山に着いたわけね」

 

 

藍「はい、妖怪の山の麓でピクニックを満喫しました」

 

 

紫「あら? 登ってないの?」

 

 

藍「それだとハイキングになってしまいますから、それに辿り着く迄に結構歩いてますからね、簡単な所で済ませたかったんです」

 

 

藍「山の秋の紅葉を麓から見上げて楽しめる絶景スポットがあるのを橙から聞きましてね、高原で目の前に川を挟んで山が見えるんです、そこに行くことにしたんです」

 

 

紫「へぇ…ふふっ、橙はもう妖怪の山を知り尽くしているのかもね」

 

 

藍「えぇ、本当にそう思います、ですが…」

 

 

紫「?」

 

 

藍「橙が知っているということは当然、山の妖怪達も知っているわけでして」

 

 

紫「あ、やっぱり? ん~、私が考えている通りで良いのかしら?」

 

 

藍「はい、他の妖怪達の憩いの場にもなっていました」

 

 

 

 

 

 

 

 ホワンホワン…

 

 

 

河城にとり『あ、橙じゃん♪ おーっす!』

 

 

鍵山雛『橙ちゃん、こんにちは!』

 

 

犬走椛『橙さん、こんにちは』

 

 

東風谷早苗『橙さん! こんにちは~♪』

 

 

橙『あ! にとりさん、雛さん、椛さん、守矢さん、こんにちは!』

 

 

藍『! なるほど、ここは皆の憩いの場所にもなっているようだな』

 

 

にとり『おや、今日は保護者連れかい?』

 

 

橙『保護者…!? え、えとら、藍様は…///』

 

 

早苗『橙さん照れてます? 可愛いですね♪』

 

 

雛『ふふっ、端から見たら親子の様にも見えるわよ?』

 

 

橙『お!? おや…///』カァ

 

 

椛『顔が赤い、照れてますね』

 

 

橙『う~…///』

 

 

藍『おいおい、あまり橙を困らせないでくれ』

 

 

にとり『困ってんじゃなくて照れてんだっての、あ、そういや久しぶりだね藍』

 

 

藍『久しぶりだな、にとり』

 

 

雛『私は初めましてですね♪ 鍵山雛、厄神をしております、よろしくお願いしますね』

 

 

藍『厄神…いつも人の厄を払ってくれているあの厄神か、私は八雲藍だ、よろしく頼む』

 

 

椛『お久しぶりです藍さん、最近八雲紫が大天狗様…いえ、天魔様にお会いしてないそうですが…天魔様は八雲紫に話があるそうですよ?』

 

 

藍『!? はぁ、まったくあの人は…またサボってるな…帰ったら伝えておくよ、ありがとう椛』

 

 

早苗『博麗神社の宴会以来ですね! さあ! 今日こそはその尻尾をモフモフさせていただきましょう!』ワキワキ

 

 

藍『やめろと断ったはずだが!?』

 

 

早苗『私は常識には囚われません! いざっ! モフモフの幻想へ!』ダッ

 

 

藍『ぬあっ!? 飛び掛かってくるなぁ!』

 

 

橙『ら、藍様ー!?』

 

 

 

 ヌワー!  ココカ?ココガエエンノカ? ランサマー!

 

 

 

雛『早苗ちゃんのあれ口癖なのかしら…』

 

 

にとり『「それ言えば何でも許されると思うな!」って霊夢に言われたばかりじゃないか』パチン

 

 

椛『彼女は悪い人…いえ現人神ではありませんが少し自省の念を持つべきです』パチン

 

 

にとり『だよね~、王手っと』パチン

 

 

椛『あっ!?』

 

 

雛『にとりの勝ち、これで今日は三勝無敗ね』

 

 

にとり『椛は勝負運を持つべきだーね♪』

 

 

椛『くっ! にとりさん! もう一勝負しましょう!』

 

 

にとり『良いよ、今日は皆お休みだからね♪ とことんやろうじゃないか』

 

 

にとり『あ…雛、たまには雛も将棋指してみたら?』

 

 

雛『え? 私?』

 

 

にとり『ルールは知ってるだろう? 椛相手にやってみなよ』

 

 

椛『私は構いませんよ、ですが初心者とはいえ手加減はしないのでそのつもりでお願いします』

 

 

雛『う~ん…せっかくだからやってみようかしら、でも今日は厄を集めてないから調子がでないかも』

 

 

椛『言い訳は聞きません、勝負は勝負です』

 

 

雛『あら、バレちゃった?』テヘペロ

 

 

にとり(雛が勝つに一万…なんてね、さて…)スッ

 

 

藍『おぉ…おぁ…』ピクピク

 

 

早苗『やってやりました♪』ツヤツヤ

 

 

橙『藍様!? 大丈夫ですか!?』

 

 

にとり『派手にやられたね、ボッサボサじゃん』

 

 

藍『くっ…早苗…よくも…!』

 

 

早苗『モフられるような尻尾をしてるのが悪いんです!』

 

 

にとり『気持ちは分からんでもないね』

 

 

早苗『でしょう? あ、そういえばお二人は何故ここに?』

 

 

橙『ピクニックです♪ 本当なら紫様も一緒に来るはずだったんですけど…』

 

 

にとり『へーってひゅい!? 紫が!?』

 

 

早苗『ピクニック…紫さんがですか、珍しいですね』

 

 

橙『はい、でも昨日のお仕事が忙しかったみたいで

今日は来れなくなってしまったんです…』

 

 

にとり(紫が仕事? 怪しいね)

 

 

早苗(あれ? 霊夢さんの話だと紫さんはお仕事しないタイプの人じゃ…?)

 

 

藍『…』

 

 

にとり『ま良いさ、一緒に来れなかったのは残念だろうけどせっかく来たんだ、ゆっくりしていきなよ』

 

 

早苗『そうですよ? 楽しまなきゃ損です! 橙さん、ピクニックは楽しまなきゃ損なんです!』

 

 

にとり『何故二回言った』

 

 

早苗『大事な事だからです!』

 

 

藍『尻尾を弄るのは楽しまないでほしいな…』

 

 

早苗『それだと私が損します!』

 

 

藍『おい!』

 

 

橙『ふふっ…』

 

 

藍、早苗、にとり『!』

 

 

橙『はい! 今日は紫様の分まで楽しみます! 藍様も楽しみましょう! それで紫様にここで合ったことたくさんお話ししてあげるんです♪』

 

 

藍『橙…』

 

 

早苗、にとり(なんて良い子なんだ!)

 

 

藍『あぁ、そうだな! 今日は思いっきり遊ぼう!』

 

 

橙『はい!』

 

 

にとり『いやぁ良いね、心打たれたよ♪ こういう話は好きなんだ、ホッコリさせてもらった礼に良いことしてあげよう』スッ

 

 ポチっ グイーン カチャカチャ!

 

 

橙、早苗『おぉー!』キラキラ

 

 

藍『お、おい、なんだそのリュックから出てる鉄のアーム達は』

 

 

にとり『私が作ったケサキトトノエール君! 一号機さ!』

 

 

早苗、橙『ロボだー♪』キラキラ

 

 

藍『ケサキ? !? ケサキって毛先か!?』

 

 

にとり『それ以外に何があんのさ、これは元々妖怪とかの髪を切るために作ったんだけど創作意欲が湧いちゃってね』

 

 

藍『湧きすぎだろう、アーム六本もいらんだろうし…それ私にやる気か? 大丈夫なんだろうな?』

 

 

にとり『大丈夫大丈夫、椛と影狼で実験済みだし人里で噂の高級ブラシとハサミを使ってるし、マッサージ付きだぞ?』

 

 

椛(あれ凄かったなぁ…思わず体が…ううん)パチン

 

 

雛『あの時の椛の顔忘れられないわ、まるで』パチン

 

 

椛『わっ!? わーわー! 聞こえないー!』

 

 

早苗『そう、その効果足るや!』

 

 

早苗、にとり『お値段以上! にとりん!』

 

 

橙『おぉー』キラキラ

 

 

藍『なんだそれは……! まさか金を取るんじゃないだろうな』

 

 

にとり『とらないよ、でも下心あるんだよね…』

 

 

藍『?』

 

 

 グゥー

 

 

橙『あ』

 

 

にとり『実はお腹空いちゃってさぁ…あはは』

 

 

早苗『あ、そういえば私も…///』グゥー

 

 

雛『あ///』グゥー

 

 

椛『!』グゥー

 

 

藍『…なるほどな』

 

 

橙『! 藍様、お昼皆で食べませんか? 皆さんと一緒に食べた方がもっと美味しいと思います!』

 

 

藍『…そうだね、そうしようか』

 

 

にとり、早苗、雛、椛(良い子…)ホッコリ

 

 

藍『私のリュックにランチが入っている、好きに食べてくれ』

 

 

早苗、椛、雛『いただきます!』

 

 

橙『えへへ…』

 

 

にとり『そんじゃ私も…てか、本当に尻尾蹂躙されると動けないんだね』

 

 

藍『こればっかりはどうもな…にとり、頼むぞ』

 

 

にとり『あいよー、食べながら出来るから楽なんだよねこれ、あ、あんまり動いちゃダメだよ?』

 

 

橙『藍様が全部作ってくれたんですよ!』

 

 

雛、椛(り、量が多い!)

 

 

早苗『わぁ! 凄いサンドウィッチの山ですね! でも私としては和食派なのでおにぎりを所望します!』

 

 

椛『ここで贅沢言います? ご馳走してくれてるんですよ?』

 

 

雛『厄いわよ?』

 

 

早苗『じょ、常識に囚われては』

 

 

にとり『はいはい、分かったからいただこうね』

 

 

早苗『む~』

 

 

橙『あはは♪』

 

 

藍(妖怪の山は相変わらず騒がしい所だ、でも)

 

 

藍(…私は橙が楽しいなら何よりだよ)ニコッ

 

 

 

 

 ホワンホワン…

 

 

 

 

 

紫「…」

 

 

藍「その後は皆で対岸で暴れていた秋姉妹の喧嘩と木々の紅葉を楽しみながらランチを食べて、河原で石を見つけて水切りしたり、将棋を指したり、紅葉狩りをしたりして過ごしました」

 

 

藍「とても楽しかったです、橙はもちろんのこと私も時間を忘れてはしゃいでしまいました、あそこにあの四人が居てくれて良かったと今では思います」

 

 

藍「何より橙の笑顔がとても自然な形で出ていたことがとても印象深かったですね、とても楽しそうでした…」

 

 

藍「日が沈むころまで遊んで現地解散、にとり、雛、椛はそのまま住処へと帰り、橙は早苗が送ってくれるとの事でしたので彼女に橙を任せました」

 

 

藍「…別れ際に、橙が私に言ってきた言葉があるんです」

 

 

紫「?」

 

 

藍「『藍様! 今日はありがとうございました! 橙はとっても楽しかったです! 今度は紫様も一緒に、三人で一緒にピクニックがしたいです!』と」

 

 

紫「…!」

 

 

藍「橙は貴方の真相を知りません、ですが知っていたとしても紫様を責める事は無いでしょう、橙はとても優しい子ですから」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「藍」

 

 

藍「はい」

 

 

紫「今度は予定をちゃんと構築してから橙と…いえ三人で一緒にピクニックに行きましょうね」

 

 

藍「! はい、もちろんです!」

 

 

紫「その前に橙に謝らないと、ケジメは着けなくちゃ」

 

 

藍「お供しますよ」

 

 

紫「! 私だけが悪いのに」

 

 

藍「私も謝らなければなりませんしね、それに私はあなたの式なんです、どんな理由であれ何処までもお供します」

 

 

紫「…藍」

 

 

藍「紫様…」

 

 

 

 

紫「今日の晩ごはん私が作ってあげるわ」

 

 

藍「はい …はい!?」

 

 

紫「疲れてるんでしょ? 好意は受け取っておきなさい、それじゃ作ってくるから」スッ

 

 

 スタスタ

 

 

藍「あ…」

 

 

藍「紫様の手料理なんて何年振りだろうか、意外に料理が得意だからなぁあの人は」ブンブン

 

 

藍「!? お、落ち着け我が九本の尻尾達よ! 荒ぶるな!」ブンブン

 

 

藍「…」ブンブン

 

 

藍「今日は楽しかったな、ピクニックのことも紫様の以外な一面を見れたことも…全て…」

 

 

藍「橙、ありがとう…いや、これも明日謝る時に一緒に言うべきだな」

 

 

藍「ふふっ♪」

 

 

 

 

 

 【マヨヒガ、台所】

 

 

紫「にとり、雛、椛、早苗…個人的にお礼がしたいわね」

 

 

紫「橙、私達の知らないところで見聞を広め、数々の妖怪や人間達と友になり、遊び、学び、成長していってるのね」

 

 

紫「橙、貴方ならいずれ必ず八雲の…」

 

 

紫「…それにしても早苗め、橙を送ってくれるとは中々面倒見がいいのね、こりゃサービスしちゃおうかな?」

 

 

紫「さってと! 藍、覚悟しなさい、物理的に貴方のほっぺを落としてやるような料理作ってやるわ! このゆかりんがね! あーっはっは♪」

 

 

 

 

  おしまい!

 

 

 






 本当は秋姉妹たちにも動いてほしかったのですが…話の関係上カットしました…


 お疲れ様でした、ここまで読んでいただいてありがとうございました!


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