2月2日 第三十五話・AA出航直前…伊豆基地防空戦 に出てきたガルーダ1をアンタレス1に変更してます。
理由としては、今後出てくる予定のパイロットと被ってしまい、混乱を招く可能性があるためで…正直に言えば、アンタレスとガルーダを間違えて書いていたという、エスコン好きにとって致命的な間違えに気づき、修正した次第です。
申し訳ありません。
CE71 5月10日 大西洋を進む艦隊の姿があった。
スカンジナビア王国海軍 空母マックス・マヌスを旗艦とした、空母1、巡洋艦2、駆逐艦7、強襲揚陸艦4隻からなる総数14隻の遣リクセント公国救援艦隊である。
そして、その艦隊は現在、緊張感に包まれていた。
「本艦隊前方に大西洋連邦海軍大西洋艦隊28隻、本艦隊の進路を塞ぐ形で展開しております」
レーダー要員の報告を受け、司令官と艦長、艦隊参謀はより険しい表情で言葉を交わす。
「…奴らの狙いはやはり…」
「我が艦隊のリクセント公国救援の阻止…既に東アジアと同類かそれ以下に成り下がったか、大西洋連邦は…」
「…大西洋連邦と東アジアは何らかの取引、又は協力関係にあるのでしょう…幾ら地球連合といえど、1主権国家を攻略するのですから大義名分も必要でしょうし、賛同する国も無いと体面が悪い…という事もあるのですかね…」
参謀が呆れた様にそう口にすると、司令と呼ばれた壮年の男は、苦笑しながら だろうな… と呟く。
その直後である…通信士が大西洋連邦海軍艦隊からの入電に気がついたのは。
「司令……大西洋連邦海軍艦隊より入電です」
司令は通信士の表情に、その電文の内容を粗方予想して、より険しき表情になりながら、その電文を読む様通信士へ促す。
通信士の額には青筋が見えるほど憤怒が見えていた。
「…読みます。『スカンジナビア王国海軍艦隊ニ告グ、タダチニ武装ヲ解除シ、当方ノ臨検ヲ受ケ、以降当方ノ指示ニ従ウヨウ命ズル』です」
それを聞いた司令官を含む艦橋要員達は皆一様に口には出さないが怒りを露わにした。
そして、怒りのあまり逆に冷静になった司令官は、通信士にこう伝えた。
「大西洋連邦海軍艦隊へ返信『当方、貴艦隊ノ指示ニ従ウ理由無シ、又、大西洋連邦海軍艦隊へ告グ、海賊ノ如キ行為ヲ即刻ヤメ、母国へ帰レ』だ」
「了解しました!」
通信士が電文を打つと、数分して返信が来たが、それには全員が呆れた。
「大西洋連邦海軍艦隊より返信『スカンジナビア王国海軍艦隊ハ、タダチニ武装ヲ解除シ、降伏ノ意思ヲ示セ、サモナクバ殲滅ス』…と」
「ふっ……大西洋連邦海軍艦隊へ返信『海賊ニ降伏スル海軍モ、海賊カラ逃ゲル海軍モイナイ、バカメ』だ」
「……了解です!…ふっ」
鼻で笑いながら司令官は返信の内容を通信士へと伝え、その電文を入力しながら通信士も軽く笑ってしまう。
電文が送信されるとすぐに動きがあった。
「
「対水上戦闘用意!対空戦闘、迎撃ミサイル発射準備、航空隊は発進始め!」
司令官は次々と指示を出し、その指示に部下は迅速に行動する、この一連の動作に彼らの練度の高さが見て取れる。
航空隊の発進完了と、迎撃ミサイルの発射、そしてミサイル迎撃は成功した。
それが火蓋となり、戦闘が始まった。
しかし、数の優位に立つ大西洋連邦海軍艦隊に対し、スカンジナビア王国海軍艦隊は苦戦を強いられる
スカンジナビア王国海軍艦隊の空母航空隊は36機、それに対して大西洋連邦海軍艦隊は、200機を越す空母航空隊がいた。
しかも、その200機は戦闘機だけで100機は越している。
対して、スカンジナビア王国海軍の航空隊は、戦闘機は32機、あとは、対潜哨戒機などであり、戦力差は明らかだった。
「航空隊、敵戦闘機部隊と戦闘中!劣勢で…っ!」
オペレーターが報告している最中、凄まじい衝撃が艦橋を襲う。
「左舷第3ブロック付近に被弾!損害報告…左舷に3ブロック大破、火災発生!第5、第6ブロックより浸水!ダメコン急げ!消火班は格納庫への延焼を防げ!!!」
幸い、艦橋要員の戦死は無かったが、被害は甚大である。
喫水線に命中し、浸水が発生したのだが、辛うじて対処に成功…ただし、速力の低下を招いてしまった。
「くそ!駆逐戦隊を前面に出し、敵艦隊を突破するか…だが…無謀か…」
「駆逐艦 ザルバン にミサイル命中!!轟沈!!!クリストラ、マローに敵戦闘機の対艦ミサイルが接近、迎撃中!!!我が航空隊被害甚大!残存部隊僅か8機!!!…マローに対艦ミサイル命中、航行不能に陥った模様!!!クリストラは迎撃成功もCIWS故障!!対空戦能力低下!!!」
次々と報告される自軍の損害に司令官は歯を食いしばり、悔しげに前方を睨みつけている。
「くそが!全艦へ告ぐ!直ちに……っ!?」
「敵機接近!!!対艦ミサイル発射されました!!!迎撃不可!!!!命中します!!!」
「なっ!?」
司令官が何かを決意し、命じようとした瞬間、オペレーターが叫ぶ、直後に艦橋が眩い閃光と凄まじい衝撃に襲われ、司令官は何が起きたか分からないまま意識を刈り取られる。
大西洋連邦海軍艦隊の航空隊が放った対艦ミサイルが艦橋と、艦橋直下の二箇所に命中、その威力を発揮してマックス・マヌスの艦橋を崩壊させ、艦橋直下の喫水線に巨大な破口を作り出し、マックス・マヌスに致命傷となる損害を与えたのである。
その光景は、随伴していた巡洋艦 ストックホルム からも確認されていた。
そして更に最悪な事に、既にこの時点でスカンジナビア王国海軍艦隊は大西洋連邦海軍艦隊に包囲されもいた。
艦隊の次席指揮官でもあるストックホルム艦長 ウィリー・バーン大佐はその光景に一瞬言葉を失う。
「……ば、バカな……ま、マックス・マヌスが…我がスカンジナビア王国の至宝が沈んで行く…」
「艦長!しっかりして下さい!貴方は次席指揮官であり、艦隊を指揮する義務がある!!!」
しかし、呆然とする彼は、副官の一喝で我に返り、即座に思考を切り替える。
「…済まない副長……全艦に伝達、旗艦撃沈に伴い、これより私が艦隊指揮を執る!全艦、敵艦隊に対し対艦ミサイル発射準備!合図と同時に攻撃開始、
残存航空隊へ、燃料の続く限り…出来るだけでいい、艦隊を援護してくれ!全艦ミサイル発射次第敵艦隊の突破を図る………死中に活を見出すのだ」
「艦長!各艦より了解との返信です」
「…では、攻撃開始!!!」
スカンジナビア王国海軍艦隊の残存艦から対艦ミサイルが発射され、大西洋連邦海軍艦隊へと向かって行く。
それと同時にスカンジナビア王国海軍艦隊も突撃を敢行、大西洋連邦海軍艦隊の包囲の突破を図ろうとした。
「対艦ミサイル全弾迎撃されました!航空隊全滅、敵艦隊より対艦ミサイル接近!」
「回避運動!取舵30!迎撃しろ!」
「本艦へ接近していた敵対艦ミサイル迎撃成功!」
「巡洋艦オスロ、対艦ミサイル被弾!!!二発命中し沈みつつあり!更に揚陸艦マイローにも被弾轟沈!本艦隊の被害は甚大です!」
スカンジナビア王国海軍艦隊は、既に甚大な被害を受けながらも必死に戦っていた。
突撃もやめていない。
「速射砲、敵艦に向け撃ち方始め!」
各艦も巡洋艦ストックホルムに続いて速射砲を撃ちながら突撃を続ける。
もはやヤケクソとも取れるその攻勢に、大西洋連邦海軍艦隊も怯む。
「あんなボロ雑巾の様な艦隊に怯む事などない!!!叩き潰せ!!!」
だが、この艦隊司令の一喝でそれもすぐに立て直し、凄まじい猛攻がスカンジナビア王国海軍艦隊を襲う。
「駆逐艦タロス大破、ジル、コーフィン轟沈!!!揚陸艦ロズに被弾、速力低下!」
「本艦左舷より敵艦!敵艦より発砲!!!」
「回避!!!」
「間に合いません!!!」
直後、ストックホルムの艦橋を衝撃が襲い、その衝撃でバーン大佐は額をコンソールに強打し、出血。他にも数名の負傷者が出た。
「…ぐ…ひ、被害状況知らせ」
「…て、敵砲撃により後部甲板大破、ヘリ格納庫火災発生! また、機関室より機関室第2ブロックより浸水、第2エンジン停止、速力14ktまで低下…」
「僚艦も被害甚大…大佐…最早…本艦隊の戦闘継続は…」
バーン大佐は、悔しさのあまり歯を食いしばり過ぎて奥歯を噛み砕く。
「…敵艦の主砲、本艦に再度照準!……艦長!」
「……最早、これまでか…」
それを聞いたバーン大佐が絞り出す様にして呟いた直後である。
突如として彼の艦を攻撃しようとしていた敵艦が爆発したのは…。
そして、通信が入る。
『こちらは、栄えあるユーラシア海軍ミサイル駆逐艦グムラク、本日より貴官らの友軍となった。我がユーラシア海軍西方艦隊はこれより、貴艦隊を援護し、友軍を攻撃する
大西洋の激闘はかくして新たな幕を開ける。
【戦場に現れた彼らの姿は、まるで幼い頃憧れたヒーローに見えた】
後にスカンジナビア王国海軍司令長官となる士官の残した言葉である。
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先日、うちの母が車に轢かれまして、怪我は軽く済み、命に関わることは無かったのが幸いでしたが、皆さんも道路を歩く時などはお気を付けてください。
車を運転する時は安全運転でお願いします。