悪魔の店   作:執筆使い

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第51話

 

 

 

カランと鳴るはドアの音

コロンと鳴るはベルの音

 

 

悪魔の店には何でもあります

お客様の願いや要望を必ず叶えて差し上げます

 

 

 

はてさて、今日のお客様は?

 

 

 

〜ep51 愛〜

 

 

「本日はどういったご用件ですか?お客様。」

 

 

「夫と別れたいの。」

 

 

「でしたら離婚届けと一緒に役所に行ってください。」

 

 

「それが出来れば苦労しないわ!あの人ったらしつこいんだもの!!口を開けば愛してるよ〇〇。それが20年間も!!」

 

 

「...つまりお客様は愛に飽きたという訳ですか。」

 

 

「そうよ!何か悪いかしら?!」

 

 

「いえ...お客様のお気持ちは大変わかります。そして丁度いい事にソレにぴったりな商品がございます。少々お待ちを。」

 

 

..................................

 

....................

 

............

 

 

「こちらでございます。」

 

 

「藁人形?これで呪い殺せとでも言うのかしら?」

 

 

「こちらに旦那様の名前を書いて、心臓のあたりに釘をコンッとすればあら不思議!旦那様は愛に冷める様になります。」

 

 

「...へぇ〜。俄かには信じがたいけど、ここへ訪れた友人が実際に物凄い幸運になってたし...良いわ。幾らで売るのかしら?」

 

 

「お代は結構ですよ。忠告を聞いてさえくれれば。」

 

 

「忠告?何かしら?」

 

 

「決して、夫を愛さない事です。」

 

 

 

 

 

SideC

 

 

「えーと、名前を書いて...」

 

 

カキカキカキ...

 

 

「心臓の辺りに釘を打ち込めば...」

 

 

コンコンコン...

 

 

「...」

 

 

思えばいつからこんな風になってしまったのだろうか...昔は...

 

 

『ぼ、僕と...結婚して下さい!!』

 

 

『まぁ...///どうして私なんか...』

 

 

『きっかけは一目惚れですが...職場での貴方のその人柄が極め付けだったんです!!』

 

 

『...ありがとう。私嬉しい...//』

 

 

あの時は純粋に愛を持っていた。この人だったらいつまでも一緒に居られると思った。

 

 

コンコンコン

 

 

『〇〇っ!』

 

 

『...何かしら?』

 

 

『なんでもないよ。呼んでみただけ。』

 

 

この頃もまだあった...ほんの少しだけれど。多分時間と共に何かが磨り減っていたのね...

 

 

コンコンコン

 

 

『どうしたんだい?そんなに荒れて...』

 

 

『煩い!何時も何時も...何時も何時も何時も何時も何時も何時も何時も何時も何時も何時も『大好き、愛してる!』偶には他の事を言ってごらんなさいよ!!』

 

 

『お前...一体どうしたんだい...?』

 

 

『私はねぇ!もう冷めたのよ!!あんたなんか...あんたなんかもう愛してないのよ!!それぐらいわかってるでしょ!!なのにどうしてそんな笑顔が出来るのよ!!!』

 

 

コンコンコン

 

 

「...これで良し。」

 

 

貴方...私は...

 

 

..................................

 

....................

 

............

 

 

「愛は人を惑わし暴走させる。そしてそれは途轍もない苦痛をもたらす。私が考えうる中で最も強力な呪いです。所で...」

 

 

悪魔は笑い出す

 

 

「藁人形には裏表がありますので、2人分名前を書く事が出来ます。」

 

 

今日も彼は店を営む

あらゆる商品が並ぶ悪魔の店を営む...

 

 


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