大変長らくお待たせしすぎて誠にすいませんでしたリクエストスペシャル。
今回はある小説(漫画やら、アニメやらがあるみたいですが)からのキャラクターが登場します。多分タイトルから察する人もいると思いますが。
ただ...今回ばかりははっきり言って、史上最も出来の悪い話となっています(じゃあ何で投稿したかって? 楽しみにしている読者を待たせる訳にはいかんでしょ)。
「全然違うしつまらん。原作読み直せや
照らすは陽の光
もし光無くなれば、何も残らず
あえて言うならば、灰は黒へ、半は新へと変わり果てよう
『...何の本を読んでいるんだい?』
「小さい頃読んでいた、絵本だよ」
本をしまい、二輪に跨り旅人は次の場所へと向かうのだった。
「旅人の話が描かれていた、ね」
カランと鳴るはドアの音
コロンと鳴るはベルの音
ようこそ、 デザイアへ
お客様の願いや要望は必ず叶えて差し上げます
さてさて、5番目のお客様は一体どういった方でしょうか?
〜SP45 ■■の旅〜
「雨雨降れ降れ小悪魔が...っと。まだ噂を流していないにもかかわらず、こんなすぐに人が来るとは思いませんでしたねぇ」
「少し、森を迷っていたら雨が降ってしまったので...雨宿りしても構いませんか? 店には入りませんので」
先程の旅人のお願いに、ええと頷く
「なんでしたら、
そう言って、ドアを開けながら手を差し伸べる伯爵。それに少しばかり迷った旅人であるが、折角の親切を無碍にするたちではないのでその手を掴むのであった。
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「どうぞ、これでお拭きになってください。ずぶ濡れのままでは風邪をひいてしまう」
ペコリと礼をしながら、タオルを2つ受け取る旅人。自分を拭いたのち、もう1つの方でバイクにも同じことをする。
「しかし、旅人ですか...懐かしいですねぇ」
「懐かしい...とは?」
「店を営む前...今となっては遠い昔に私も貴方の様に色々な場所を渡り歩いてました」
『遠い昔...あれ? でもさっき店を開いたのは最近って言って』
「少しばかりある国に滞在してた際、何でも屋をやってたんですよ。それで今はこうやってウェイターをやっているんです」
『ウェイターって事は、店長じゃないって事?』
「ええ。誤解されがちですがねぇ...私は店員であって店主じゃない」
『それじゃあ店主はどんな人なんだい? それともひょっとして「エルメス」
「大丈夫ですよ。気にもなるでしょう、この様な場所で営んでいる店の従業員ですから」
そう言ってその問いに対する答えを言う伯爵。
「店主がどんな人という問いですが...誰よりも純粋で、誰よりも笑顔が素敵で誰よりも優しくて...一言でいうのであれば...」
そこまで言って、伯爵は少し言い淀む。
「っと、これ以上言うとちょっと恥ずかしいのでここまでにしときましょう」
『ふーん。つまり、君はその店主が好きだったって事?「エルメス」...だってそういうことじゃないか』
「はっはっは、それはお二方のご想像にお任せします...さて、私ばかり質問に答えるのもあれですので、私からもよろしいですか? その、懐にある本の事ですが...」
伯爵は質問をする。
「これですか?」
旅人はそれに答える。
「ふむ...やはり、その本でしたか」
懐かしそう見つめるその表情は、どこか寂しげで、どこか忌々しげで、どこか悲しげである。
「復讐を誓った悪魔が旅人として世界を周り、様々な出会いと別れを体験し、いつしか心の闇が少しづつ消えていく話...懐かしいですねぇ」
「知ってるんですか?」
「ええ...最初から最後まで、全部知っています。何せ、旅人でしたから...」
伯爵は、目を瞑りながら二の句を言う。
──はは...何でって顔してんな、ミロク...
「...」
──所詮、俺は過去に縛られたままの復讐者なんだよ...お前とは似てる様で違う...なぁ...
「だからこそ...わからないんですよ...」
──今の俺は
「最後の主人公の顔は」
──何に見える?
「一体どんな心持ちで、どんな表情をしていたのかが、それだけがわからないんですよね...笑っていたのか、泣いていたのか、何も思わなかったのか、悲しんでいたのか...」
「...」
「何も感じず、ただ笑っていたのですかね...」
「ボクはその旅人ではないから、正解は言えないけど...もしボクがその旅人だったら、同じ事をしてたと思います」
「ふむ...その心は?」
「誰だって過去を完全に忘れる事なんて出来ない...苦しんで、苦しんで、苦しみから逃れる様に...きっと、涙を流しながらあの旅人みたいに...」
「そうですか...っと。どうやら、雨がやんだみたいですねぇ」
雨音が止み、窓から明かりが照らされている。恐らく、外は雲一つない晴天なのだろう。それと同時に、旅人は席を立つ。
「おやおや、もう行ってしまうのですか?」
「ボクは旅人だからね...いつまでも此処にいる訳にはいかない。それは貴方も同じですよね」
「ええ。愚問でしたね...ああ、そうでした最後に一言だけ」
「?」
伯爵はいつも通りの笑みを浮かべる。
「出会いがあれば 必ず 別れは 訪れるもの。
ですが、その別れは永遠ではないはず…
別れが 永遠になるか 一時になるか…それはアナタしだい。
それを決して、忘れないでください。【先輩】からのアドバイスです」
それを聞き旅人は返事をせず、帽子を被ってもう一度こちらを向いて笑みを浮かべた。
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『結局僕は置いてきぼりだったけど、あの絵本の最後ってどういう内容なの?』
モトラドは質問する。
「...旅人はある日、一緒に旅をして来た仲間達を全員殺してしまう。そして、1人でそのまま復讐を誓った相手の元へ向かって行って...その後どうなったかは...」
旅人は答える。
『ご想像にお任せするって奴?』
「そう。彼が死んだか、生きたかはわからない」
『だからあの店員は聞いたのか。ファンであるからこそ、何で旅人がこんな事をしたのか...』
「嫌、多分知ってたんだと思う。ボクがどう答えるのかを聞いてる風だったから」
『? 仮にそうだとして、何でそんな回りくどい事...』
「さぁね...ただ、一つだけわかっているのは...」
「あの店員は、僕等の大先輩だって事だけだ」
今日も彼等は旅を続ける
〇〇の旅という物語は続いている...
本編に関係ない至極どうでもいい裏設定(今更)
読者のほぼ全員が勘違いしているだろうが悪魔の店の店主は欠番扱い。つまり厳密に言えば、悪魔店員はウェイターではあるが、オーナーではない。だけど実質店を営んでいるのは店員なので、店主や店長と呼んでも...まぁ...一応は...うん、合ってはいる? 因みに知っている人もいると思うが、一応『店を建ち上げた』のは悪魔である。
伯爵の最後のセリフについて(勘のいい人は知ってるだろうな...うん)
「行商人として、最初に売り出したのはお面です。最初の場所で手に入れた石の仮面を元に沢山のソレが出来ましたし、道中曰く付きが手に入りましたしねぇ...」