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よっす、現在呼び込み中だぜ。リッカたんの経営する宿に泊まれるとかこの世の史上だろ? もう可愛い人間たちを呼び込みまくるしかないよなって思ってな、気合入れて看板作って立ってるんだぜ。
勿論戦闘はなし、手伝ってもらうのは申し訳ないから仲間の三人には今日はオフだということを伝えておいた。給料は出すと言ったら拒否られた。……気のいい奴らだ。明日もちょっと天の方舟が動くかどうか確かめるつもりだし、明後日にルイーダさんの酒場で集合ってわけだ。
……ガトゥーザとメルティーは絶対についてくるって言い張ってたし、マティカもいい笑顔で明日が楽しみだって言ってたし……休みの意味をわかってんのか謎だがな。明日は何が何でもねじ込んで受け取ってもらうしかないようだぜ……。
んなことは今はいいんだよ。俺は散り散りに好きなことをしに行った仲間たちよりリッカたんの笑顔のために今日を消費したいんだからな!
リッカたんが一日寝りゃあ貧血ごときすっかり回復、リッカたんの最高に美味しいご飯を食べて元気どころか脚力で天使界に帰れそうなぐらい絶好調な俺を心配してくれたんだ。その顔もめちゃくちゃぺろかったんだが、ぺろかったんだが! 心配ばかりさせていられねぇぜ、情けない!
俺が宿を繁盛させる手伝いをしたら多分、喜んでくれるだろ? やっぱり人間は幸せで笑ってくれた方が一番嬉しいしな! そのほうがいいだろ?
しかも心配顔のリッカたんは昨日の夜二時までぺろったからしばらく補給しなくてもいい! そもそもリッカたんって存在するだけでぺろぺろだし、なんだろうな!最高に可愛いぜリッカたん! だから、心配なんて体に悪そうなことより健やかに微笑んでいて欲しいっていうのが惚れた側の願うこと、だろ?
「旅の宿? どっちだい嬢ちゃん」
「左手の階段を下りてすぐの大きい建物ですよ。一晩朝夕二食付きです」
「ふぅん、行ってみるか……」
……俺は女顔ではない、客観的に見てもそのはずだ。男らしい顔つきではないのは認めている。なよいホコリ男だからな。ひょろくて筋肉もなく、まゆも太くなく、肌も白く、リッカたんぺろぺろに光る真っ黒の目で、背の丈はそこそこ、全体的に薄い。
服装は利用者が親しみやすいように旅人の服だ。まぁ、宿ってのは旅人を呼び込むんだしな、当然のことだろ。制服があれば着たかったんだが、リッカたんは着慣れたあの服を着ておかないとな!
だから制服なんていらねぇんだよ! この美しく最高な世界でオンリーワンなリッカたんまじぺろ! 何、ウェイトレスやウェイターの制服ならリッカたんの宿屋にもある、だと? 確かに呼び込みはウェイターの仕事の一環としてないわけでもないだろうが……どうだろうか。俺はこれを通したいぜ。
うーん、それにしてもなんでこんな屈辱を受けなければならないのか。百人に一人くらいなら見間違えをしても幼き人間のすることだから仕方ないと思えるんだがなぁ。
あと定期的にセントシュタイン在住のお婆さんたちにお供えされてて完全に今の俺生きてるだけで天使像扱いなんだが、おかしくね? 呼び込みしててもバレるってどんな天使補正だよ、熨斗つけて返してぇ。
つーかさっきから俺は半分くらい「嬢ちゃん」と呼ばれるんだぜ? 訂正は……そうだな、世の中にはいろんな顔の好みの人間がいるだろうから夢を壊さないようにしてないんだが。もしかして……間違えている失礼な奴らはサラダに突っ込む薬草に塩を振らないほどの薄味好きなんだろうか……? ならある程度仕方ない……のか?
おいおいおい、それならよ、貧相な俺を見て女と思うぐらいならルイーダさんの豊満な胸をみたら鼻血噴水モノじゃねぇか? つまり今の兄ちゃんを天国に招待しちまったのか……俺は……。まったく、いい善行をしたもんだぜ! 存分にノータッチで不埒なことをせずに眼福していってくれ、連泊で頼む!
宿に入ると桃源郷だしなぁ、けしからんぜ! まず酒場でルイーダさんの妖艶な美女っぷりを見、胸に見とれ、不埒な視線を振り払う仕草に思わずデレデレとするだろ? それからふと振り返れば銀行受付嬢のレナの颯爽とした街のマドンナっぷりに目尻が下がるだろ? そんでここで押し寄せてくるぺろさはリッカたんだ。
まだまだ二人に比べてみれば年は若いが、可愛らしさには関係ねぇな。さらさらの青いおかっぱ、くりっとした大きな目、ピンク色の唇は見てるだけでぺろいし、昔の病弱さが嘘みたいな健康的な体つきは見守る側として冥利が尽きる。
ささやかな胸元に見とれる危ない奴は俺が守護天使として容赦しねぇが、そうすると俺は俺を罰しなきゃなんねぇな。だが俺は天使、じゃなかった紳士! 一秒以上見てたことはねぇ。セーフだろ?
ついでに言うなら天使界一のリッカたんペロリスト紳士を目指す俺は洗濯物を干すリッカたんに近づかないことで姿が見られない頃なら容易に見れたぱんつの柄も色も形状も知らねぇ。思い出す度惜しいことをしたと思うが後悔はしていない。清く正しくリッカたんをペロらずして紳士ペロリストを名乗れるものか!
リッカたんが健やかに健康に憂いなく過ごし、たまに笑いかけてくれるなら俺……当然ぱんつより笑顔の方をとるんだからな! リッカたんまじぺろ!
「入口すぐの左手の階段を下りてゼロ秒、リッカの宿屋をぜひお使い下さい!」
「……なんてゆーか、アーミアスって案外俗者?」
「?」
俺の奮闘ぶりを眺めていたサンディはぼそっと……俗者?俺ほど天使らしくない天使なんていねぇだろ、呼び込みすることぐらい今更なんてことないんだが。なんだ、金儲けの手助けって感じは天使らしくないとでも?
昔から見守ってる女の子の手伝いぐらいいいだろ!旅人の服で旅人の宿アピールも健全でさっぱりとしたイメージどおりだし、清潔感があるだろ? 俺の髪色以外は! 髪色はどうしようもねぇから!
「そんなワケないか。オツカレね、アタシはちょっと向こうに行ってくるから」
……なんかよくわからんがいってらっしゃい。それにしても……俺に直接話しかける人間は少ないが宿に向かうやつは始める前よりそこそこ増えたように見えるから成功ってことでいいんだろうか?
にしても、だ。駆け抜ける風が足元をスースーさせるもんだなぁ。旅人の服一枚ってのはリッカたんに着てもらいたいやつであって……俺じゃないんだが。ルイーダさんが言うならまぁこれが正しいんだろう……な?
ちなみに男は黙ってフンドシだぜ。
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ガトゥーザ「」
メルティー「鼻血を出して死んでやがりますね、私が僧侶じゃなくて残念ですよ」
ガ「各方面への賄賂の甲斐がありました……」
メ「なんであなたが聖職なんですか?」
どの閑話が読みたいですか?
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幼少期、天使(異変前)時代
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旅の途中(仲間中心)
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旅の途中(主リツ)
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if(「素直になる呪い」系統の与太話)
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その他(メッセージとか活動報告コメントとかください)