召喚したらチートだった件   作:uendy

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はい、エタってませんよ~

大変お待たせしました。

ちょっとリアルでいろいろとありましてね、筆が完全に止まっていました。

というわけで本編どーぞ!


二十三話~ 第一宴舞『陰鬼』

 

 

 

 日の陰る夕刻、逢魔が時。人と魔が入り混じるこの時こそ宴の本祭を行うのに相応しい。

 

 昨夜の特設会場には客席や櫓が組み立てられ、早くも賑わっている。

 その喧騒を肴に、零仁たちは選手用の櫓の上から酒を煽る。

 

「こういったものを見るとやはり五桁クラスのコミュニティなんだと実感するな」

「まぁ、こういう言い方は好みじゃないけど”ノーネーム”だとこの規模は難しいだろうね」

「実力云々ではなく集客力がなぁ‥‥ところで月夜(つくよ)殿、こんなところにいていいのかね?」

 

 選手用というよりコミュニティ単位で割り当てられた櫓の座席には月夜も同席しており、昨夜の礼として零仁の秘蔵している酒を煽っていた。

 

「あぁ、その辺は問題ないよ。私の仕事は主に治安維持だからね、なによりこんな上等な酒を振舞ってもらっているんだ途中で席を立つ方が失礼ってものさ」

「…なんていうか、お前も妖孤だってことを再確認したよ」

「あはは、そう言わないでくれよ。…さぁそろそろ始まるよ」

 

『さて!皆様お待たせいたしました!!”百鬼夜行(ひゃっきやぎょう)”主催、【童子狂宴(わらべのうたげ)】本祭を開催いたします!!!』

 

 主催者用に作られた一際大きな櫓にて、開催の合図がなされる。

 

『実況は私 氷華(ひょうか)が、解説は我らが頭目の出雲縁(いづも ゆかり)様が執り行います』

『よろしくお願いいたしますわ』

 

 紺色のストレートの髪を揺らしながら、雪女の氷華がはきはきとした様子で進行する。

 縁も昨晩の姿が嘘のように、解説席から威厳と美貌を振りまいている。

 

『改めて今回の宴の大まかな概要を説明いたしますわ。

 本日から6日間ミニゲームを開催し、その合計得点で勝者を決定いたします。

 プレイヤーには1チーム三名、控えに一名。

 舞台は我が「百鬼京(なきりきょう)」、そのゲームごとに範囲を指定いたしますわ。

 では皆さま、宴をお楽しみくださいませ』

 

 美貌という武器を余すところなく使いこなす縁に、観客たちは男女問わず心を奪われていく。

 もはや”魅了(チャーム)”にすら比肩しそうな効果を見せるソレに零仁はあきれ返ったように呟いた。

 

「…彼女リリスとかサキュバス的な妖怪じゃないよな?」

「あー、確かにそういう風に考えるのはわかるんだけど半分くらい素だあれは。

 残りの半分も『こうすればかわいく見えるかしら?』ってな具合の浅知恵ってだけなんだよ」

「あれで天然だと?あざといな…いやらしい」

「ははは、本人には言わないでやってくれ。なんだかんだでショックは受けるから」

 

 からからと茶化す零仁たちを他所に司会は進行していく。

 

『では!早速、第一の宴を開いていきましょう!

 早速プレイヤーの紹介と参ります!!』

 

 明瞭な氷華の声が響き渡り宴の熱気をさらに煽る。

 

『まずはこの方、我ら”百鬼夜行”所属、「愛宕 楓(あたご かえで)」!!』

 

 名を呼ばれ、それに応えるように一陣の風が吹き抜ける。その中にいつの間にやら楓の姿があった。

 昨日の少女相応の雰囲気はどこへやら、その鋭い視線に余裕を湛えた微笑はまさしく一流のプレイヤーが纏うソレであった。

 

『お次はこの方、ゲスト参加のコミュニティ”ノーネーム”所属、「ペスト」!!』

 

 今度は黒い風が一瞬逆巻いたかと思うとペストが優雅に佇んだ。

 ”ノーネーム”の名が呼ばれ、ブーイングが飛んではいるがどちらかと言えば発破をかける意味合いの方が強そうなものが多い。

 これらはあくまで宴の一幕、華の”喧嘩”といえどどうせ見るならば盛り上がりが欲しいためだ。

 

 だが、ペストの表情を見るとそれらは蛇足と言えるだろう。

 楓に負けず劣らずの覇気を纏い不敵に笑んで見せていた。

 

「勝ちを譲るなんてことはありませんよ、ペストさん」

「安心するといいわ、力づくで奪い去るわよ、楓」

 

 早くも火花を散らす両者。

 しかし、参加者は二人だけではない。

 

『さぁさぁ、御二人だけではありませんよ。新進気鋭の2つのコミュニティが参戦です!

 ”黒い猟犬(カニス・ニゲル)"より、「カゲタロウ」!

 ”解放の剣(グラディウス・リーべラティオ―)”より、「カイト」!』

 

「その通りだ。我々もいることを忘れないでもらおうか」

「そいつと意見が合うのは癪だがまったくもってその通りだなぁ!」

 

 一人は影の中から浮き出すように、一人は櫓の中から飛び降り派手に着地を決め、その二名は場に姿を現した。

 「カゲタロウ」の方は黒装束にどこか道化のような模様の仮面を、

 「カイト」はバンダナに上半身は上着を羽織るだけで己の筋肉を惜しげもなくさらしている。

 

「『おいおい、”ノーネーム”かよ』なんて三流は言うんだろうが、この祭りに呼ばれている時点でタダモンじゃねぇだろうな。

 何より向かい合えばよく分かる、間違いなく強敵だな」

「愛宕楓、ゲームでの参加は珍しいがその武勇しかと聞き及んでいる。全力で当たらせてもらおう」

 

 流石は新進気鋭の五桁コミュニティ。

 何人にも油断しないという姿勢、何より全力でゲームを”楽しむ”姿勢というのは一流のプレイヤーには必須となってくる。

 

 舞台の中央で覇気をぶつけ合う四人に会場の熱気はなおも高まる。

 

『では、ゲームのルール説明へと参りましょう。

 ルールはこちらですわ』

 

 手持ちの扇子で口元を隠していた縁はそう告げるとともに扇子をパチリと閉じ、勢いよく開いた。

 するとそれまでは黒地に桜の模様だった絵柄が、

 無地に変化しておりそこには達筆に【陰鬼】と書かれていた。

 

 それとともに輝く羊皮紙”契約書類(ギアスロール)”が生成される。

 それを受け取った氷華が書面の内容を読み上げる。

 

『ギフトゲーム名”陰鬼”

 ・勝利条件

  一、プレイヤーが己の”影”を捕らえる。

  二、対戦プレイヤー全員が勝利条件を満たせなくなった場合。(降参含む)

 

 ・敗北条件

  一、他のプレイヤー全員が己の”影”を捕らえた場合。

  二、一番に勝利条件を満たせなくなった場合。

 

 ・特殊条項

  一、勝利条件を満たせた順に順位付けされ総合成績に加算される。

  二、”影”は攻撃された場合、”影”がランダムな位置に再出現する。』

 

 ゲームのルールが読み上げられると共に四人の足元が盛り上がり、自分たちと同じ形の真っ黒な”影”が姿を現した。

 

『今回の区画は大通りを挟んだ南西の区画とさせて頂きます。

 では皆様方、好き宴のほどを』

 

 そう言って縁は 又もやパチリと扇子を打ち鳴らすと、四人と”影”はそれぞれの場所へ転移した。

 

 

 ――――――――――――――――

 

 

 

 ペストが転移したのは昨日の屋台通りから一本奥へ入った路地の一つだった。

 

(さて、始まったのはいいけどどうしようかしら)

 

 取りあえずノープランなりに周囲の状況を把握するため角に身を潜めて大通りを見渡す。

 すると向かい側の路地の陰に、どこか見覚えのあるゴスロリ調の戦闘服に身を包んだ”影”が…

 

(み、見つけたぁぁ!!)

 

 その姿かたちは己の影そのものであった。

 脱兎のごとくその”影”に襲い掛からんとしたペストだったが、大通りに飛び出た瞬間感じた寒気を頼りに全身に停止命令を送る。

 瞬間――――――――

 

  ―――――破砕音が鳴り響く。

 ペストの前髪を数本散らしながら腕が振り下ろされる。

 石畳が砕け散り、その場に着地する大柄な白の毛並みがペストの目に映った。

 

「…完全な奇襲だったんだがな」

「その程度、御主人様(マスター)にメイド術を叩き込まれた私には無意味よ。

 それよりも、その姿はイメチェン?お似合いですわよ?」

 

 流れる冷や汗を悟られぬようポーカーフェイスと共に嘯くペストに、

 白毛の襲撃者――――カイトはカラカラと笑いながらも油断なく構えを取る。

 

「いんや?むしろこいつが本来の姿だぜ」

「…人狼(ワーウルフ)ね」

 

 ペストも手に黒風を纏わせ、戦闘態勢へ移る。

 そもそも、ペストの能力は『”死”を運ぶ風』であり、黒死病の空気感染が大本としてきている。

 ならばその能力も運び込むのは《死》だけではないはずだと思われた。

 

 そのため”黒風”も、零仁の特訓により見た目を変えずに様々な効果を上乗せすることに成功した。

 ”黒死斑の魔王(ブラックパーチャー)”時代よりも格が下がったが、《死》の恩恵はもちろんのこと《病魔》、《毒》、《腐食》等

 場合によっては複数個上乗せ出来るようになった。

 

 そんなペストが今回扱っているのはそれらのどれでもない《質量》である。

 むしろ、先の奇襲などを鑑みて、目の前の相手には《質量》の効果がなければ相当に厳しいものと確信している。

 

 ―――――まぁもう少し本音を言うと、他の効果が祭りや宴と言った余興目的には少々えげつないため、使用を控えているという理由もあったりする。

 

「くらえ!」

 

 予備動作なし、ノ―タイムの奇襲。

 ペストが右腕を突き出すと纏っていた黒風が帯のようにうなり、翻りながらカイトに殺到する。

 見た目の軽やかさとは裏腹にその内に込めた《質量》という牙があらわになる。

 常人―――飛鳥くらいならば頭部をトマト的にブッコロリしてしまうような威力のそれが突き刺さる。

 

 

 

 破砕音と共に砕け、礫となり飛び散る街路、そこにカイトの姿は無く。

 

 

「とったぜ」

「―――っ!!」

 

 地を這うように獲物に接敵する狼のごとく、自身より背の低いペストよりさらに下から逆袈裟に爪を振るおうとするカイトの動きに、

 半ば反射的に残った左腕を上げる。

 本来であればただただ風を纏うだけの腕は、その凶爪に容易く引き裂かれることになっていただろう。

 

 しかし結果は全くの逆、爪は黒風に阻まれ、弾かれる。

 ペストはその衝撃を利用して距離をとる。

 これこそ《質量》を込めることの利点、質量とはただそれだけで武器にも防具にもなるためだ。

 

「ヒュウ♪やるじゃねぇか嬢ちゃん」

「お生憎様、その歩法 あなたよりも巧い人を知ってるの、よ!」

 

 言葉と共に先程の攻撃より更に速度を上げた一撃を見舞う、今度は両の手である。 

 

 先程カイトはこともなげに踏み込んで見せたが、本来この攻撃はそんな簡単なものではない。

 なぜなら、見た目では黒い帯ではあるが そもそもが()()()()()である。

 つまりは帯そのものが攻撃のため、先端だけでなく腹の部分もすべてが同威力の攻撃なのだ。

 

 そのため先端を躱し、油断しきって踏み込んだ相手の横っ面を張り飛ばす二段構えこそこの攻撃法の()()であるにもかかわらず、

 それをを完全に見切り、文字通り針を通すかの如くその身をペストに接敵させたカイトの眼と迅さには驚嘆させられる。

 

(何よりあれだけの『瞬動』が使えるんだもの間違いなくアレも使えるわね)

 

 そんな戦況判断を冷静に頭の片隅で行いながらも二つの帯の動きを緩めない。

 時間差で複雑に絡まりながら襲い来る連撃に、カイトは着実に見切りながら回避していく。

 

 そんな連撃の中生まれるほんの少しの隙間、息継ぎのように逃れえぬ間隙。

 瞬間カイトと目が合い――――――――――

 

(来るっ!!) 

 

 生まれた隙間を見逃すはずがなく、即座にカイトの姿が掻き消える。

 視覚強化を行ってなんとかその影を視界の端に捉えたペストが見たものは

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()姿()

 

(やっぱり使えた!『虚空瞬動』)

「この!!」

 

 来るとわかっていたならば迎撃の動きも想定していたのだが、何分早すぎる。

 ペストが攻撃を行おうと腕を振り上げた瞬間には背後に回り込まれる。

 

「そぉら!!」

「―――ぐっ!」

 

 背後から振るわれる攻撃に対応して右腕でガードを行うがその腕から鮮血が舞う。

 攻撃に回していた分、黒風が薄くなり防御が甘くなる。

 

 そもそもペストに《質量》を扱う恩恵(ギフト)なんて持っていない。

 零仁から与えられたガントレットにそれらの術式が組み込まれており、その効果を上乗せするために一旦腕に風を纏う必要があるのだ。

 

 これを好機と見たのか、なおも猛攻を仕掛けるカイトだったが、ペストが風を一気に解き放つことで距離を開けさせられた。

 それを成した当の本人は風を靡かせながらも、己の腕から滴り落ちる血液を舌で軽く拭い、笑んで見せた。

 

 その笑みに釣られ、思わずカイトの頬も歪む。

 

「来いやぁ!!」

「もちろん!!」

 

 

 

 

 **********

 

 

 

 片方が盛り上がっているならば、もう片方も大いにもりあがっていた。

 

 

「これならどうです!?」

「何の!!」

 

 こちらは大通りを挟んで空中(屋根の上)で火蓋も切って落とされていた。

 楓が天狗の技で空からかまいたちを放てば、カゲタロウは己の足元―――影を布のように眼前に広げ、盾とする。

 

 今度はお返しとばかりに先程までの盾が解け、槍として楓に殺到する。

 それを楓は風で()()()様に受け流す。

 

 しかし、これはただの槍ではない。布地のごとく滑らかに、しなやかに翻り背後から楓を狙う。

 だが、これも危なげなく躱される。

 それも当然だろう風神とも呼ばれる天狗が()()()()()()()()()()()、空気の動きだけで察知してのけるなどお手の物だろう。

 

 すべて危なげなく躱して見せた楓は己の羽団扇で口元を隠しながらも称賛を述べる。

 

「”影の魔法”とは見事なものですね、なにより厄介です」

「そなたも見事なものだ、その武勇と席次に偽りはないようだ」

 

 楓はその言葉通り忌々しそうに賛辞を贈る。

 何より厄介なのは相手の攻撃手段であった。

 

 中華の腰帯剣のようにしなやかながらも鋭い。

 何よりリーチはほぼ無制限に加え、加減速に方向転換もお手の物ときた。

 先程も囲まれ 巻き付かれて輪切りになりかけたし、地面に刺さったと思ったら横薙ぎに薙がれ一刀両断になりかけた。

 既に二件ほど建物が真っ二つにされている。

 

 見た目よりもかなりギリギリの試合展開となっていた。

 

 それでも楓が優勢を保っているのは、ひとえにその術技のためであると言えよう。

 先のように風を用いたものはまだ序の口、変わり身に隠れ身などを用いながら持ち前の機動力と合わせてカゲタロウを翻弄する。

 楓もただ逃げ回るばかりでなく、 竜巻を用いて影槍を封じ込めてたり、カゲタロウの周囲様々な方向からかまいたちを発生させ死角を突いたり

 さらには空気塊をぶつけて、攻撃と共に障害物とするなど一進一退の攻防を繰り広げていた。

 

「良い、そうでなくてはな」

 

 カゲタロウがそう呟くとともに影槍が大量に射出される。その数、先程までの倍では効かない。

 一本一本の精密さは欠けてしまうがやはり数がある。

 それまでと同じ様に振り切ろうにも面の攻撃には対応し難い。

 そのため楓は”躱すこと”から”防ぐこと”へと切り替えることにした。

 

 素早くに団扇を構え、瞬時に妖力を溜め団扇を一扇ぎした。

 すると、一陣の風が壁のように逆巻き、彼女と影槍の間に滑り込む。

 妖力を多分に含んだ風は重厚な防壁にも匹敵し、殺到する影槍を全て弾き飛ばす。

 

 

「ほう‥‥だが、これは防ぎきれまい!」

 

 それに感心したような声を上げるが、その動きに動揺は無い。

 

 カゲタロウが指を動かすと、弾かれた槍が上空で集まりだす。

 大槍となった影槍は、収束した瞬間急加速と共に音の壁を穿ち、そのままの勢いで楓の体を障壁ごと貫かんと強襲する。

 

「―――――っ!!」

「‥‥なんと!?」

 

 渾身とも言えるその攻撃もむなしく空を切る。

 今度こそカゲタロウが驚愕する番だった。

 彼の瞳には一瞬で楓が転移したように写った。

 しかし、その実態は全く異なっていた。

 彼女は己を包む空気の繭を作り、それより一回り太い真空のチューブを作って、その中を一瞬で移動したのだ。 

 

 空気抵抗の無い中を天狗の機動力で加速すれば、”目にも止まらぬ”という事象が出来上がるが、

 もちろん容易なことではないし、あの一瞬で行うには相当な修練が必要となる。

 

 何より楓はそれだけで終わってはいなかった。

 

「――ムゥ!!」

 

 カゲタロウが片腕を抑えながら短く呻く。

 その腕には黒い羽が一片刺さっていた。

 

「妖力をしっかりと練りこみましたので、痺れるでしょう?

 しばらくその腕は封じさせてもらいますよ」

 

 彼女は風の障壁を張った瞬間、ソレを目くらましにして己の羽を数枚撒いていたのだ。

 妖力に強い耐性を持たない人間の身に有効な手段であった。 

 

「心得た、だが片腕だけでも勝利させてもらうぞ」

「良いでしょう、来なさい」

 

 宴はまだ始まったばかり・・・・

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

『さぁさぁ、天井知らずの盛り上がりを見せております!

 ですが未だ序章の内、試合展開はまだまだ波乱が起こりそうです!!』

『流石は百戦錬磨の皆様方ですわ。

 ゲームを勝利することは勿論ですが、観客を”魅せる”ことも忘れていないようですね』

 

 氷華はノリノリで言葉を紡ぐ。

 それに合わせて縁も解説としてそれらしい言葉を添える。

 

 ゲーム風景は(月見曰く)縁の能力で投影しているらしく、様々な角度から映っている。

 勿論投影者が女性なので”そういった部分”には期待するだけ無駄というものだ。

 また音声も何とか拾われており、会話程度の音は拾えないものの 大声や激しくぶつかり合う戦闘音などは明瞭に会場に響いている。

 

 そんな解説を聞きながらも、零仁たちはすでに一升瓶を乾しており グラスに洋酒が注がれている。

 

「一人ばかり理解できていない者がいるようですがねぇ?」

「再教育が必要そうですね」

「ッハハハ、勘弁してあげなよ。

 能力も使い慣れていないみたいじゃないか」

 

 カラリと笑う零仁に、真剣に思案する茶々丸。

 そんな二人を宥めながら月見はグラスを煽る。

 

「何よりこの状況でコソコソするなんてそれこそ興が醒めるよ」

「違いないな」

 

 零仁は月見の言葉を肯定しながら空いたグラスに酒を注ぐ。

 チロリと舐めるように酒を舌で味わいながら、ふと気づいたように零仁は声に出す。

 

「陰ねぇ?あいつ、このゲームのルール理解してんのかね?

 てか、カゲタロウが滅茶苦茶有利だなコレ」

「影使いだからで・・・・いやそういうことですか」

「おや、気づいたみたいだね」

「まぁ、露骨って程でもないけど何んとない違和感があったからn―――――」

 

『おぉ~っと!?ここで均衡が崩れたーーっ!!』

 

 一際大きい実況の声でゲームに目を戻された三人。

 

 

 そこに映ったのは大量の影槍を展開させ、楓を追い詰めるカゲタロウの姿だった。

 

先程と同じように槍を束ねて攻撃するのは同じだったがそのあとが明確に異なっていた。

楓の移動先を完全に狙い撃ちしていたのだ。

 

「ん~?フム、なるほど。気流を読んだか」

「うん、やっぱりバレちゃうか。

 そう細かい説明は必要なさそうだから省くけどさ、真空の筒を作り出すときに中の空気を押し出す必要があるから移動先が判っちゃうんだよね」

「随分としっかりとした術式使ってんのな。

 まぁ、天狗の速度なら0から一気にMaxにするだけでも驚異になるけどな」

 そんな話の中でも楓は徐々に追い詰められ浅い傷を作っていた。

 

「ジリ貧だねぇ。つーかカゲタロウ(アイツ)優秀だなぁ

 ”影槍”をあの量と制度で使えるって中々居ねぇなぁ」

「すごい鋭さと精度だよねぇ」

「それでいいのか?」

「いいんだよ。宴だしね」

 

『さぁ、もう片方も一気に展開が動いたぁ!!』

 

 実況の言う通りもう片方の膠着状態も解除されていた。

 

 カイトは瞬動術で揺るがしながら、持ち前の格闘術でペストを圧倒する。

 

「あっちはあっちでやるもんだなぁ、瞬動の迅さは俺以上だな」

「そうですね、どちらかと言えば御主人様(ロード)の瞬動は捉え辛いことに重きを置いているようですからね」

「よく見ているな、まぁそれは相手さんもか」

 

 そう言った零仁の視線の先では、自らの弱点を突かれているペストの姿が映る。

 詰められた距離を開けようと飛んだ瞬間に合わせて真横に踏み込まれ、鋭い蹴りが撃ち込まれる。

 

 そもそもペストの得意距離が中遠距離。

 だが、彼女の攻撃方法は楓とは違い速度の変化がほぼ出来ない、なので近づかせないことが第一になる。

 にも関わらず、カイトの瞬動術はその差を一気に埋める。

 

「相手の方が一枚上手だね、コレは」

「やはり経験が足りませんね」

「こればっかりは仕方ねぇな。

 ま、いい経験になんだろ」

 

 そんな話をしていると追い詰められた楓とペストがお互いに背中合わせになってしまう。

 それでもなお二人の瞳から闘志が消えることはなかった。

 

 

 

 

 そんな二人に感化されたのかカゲタロウとカイトも本領を発揮する。

 

 カゲタロウはそれまで編んでいた槍ではなく大剣を生成し、次ごう三本 一息に振り下ろす。

 絶妙な時間差で迫りくるそれらを躱すことだけでなく、大剣にしたことにより重さを得た攻撃を防ぐことすらも容易ではない。

 さらには、カゲタロウの背にはまだ二本の大剣が控えていた。

 これにより《抜け道》を作って回避することもままならなくなった。

 

 

 また、カイトも攻撃に移ろうとしていた。

 それまで以上に威圧感の増した肉体に、爪はより硬度に、貫手のまま正拳突きに近い構えを取り力を溜めている。

 その姿から察せられるのは己の爪を鏃として引き絞った弓のようだ。

 しかし、カイトの得意技を考えるとおのずとその攻撃の形態が見えてくる。

 

 

 

 そんな攻撃にさらされても双方は怯まない。

 むしろ前へと踏み出した。

 

 

 

 楓はあえて大剣の前に身を乗り出した。

 次の瞬間 楓は宙を舞った。

 しかしそれは大剣に引き裂かれてではない、文字通り羽毛や木の葉のように舞ったのだ。

 

 彼女は己の周りに空気の膜を張った。

 しかし、その次からが異なっていたのだ。

 さらにもう一枚空気の膜を張ったことで、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()に押し出されるようにして大剣を回避したのだ。

 

 

 ペストも負けてはいなかった。

 

 腕に黒風を巻き付けて踏み込んだ瞬間にカイトは動いた。

 大地を踏み砕いた轟音すら置き去りにして一つの矢が、むしろ大槍が放たれた。

 光にすら比肩しそうなその大槍を前に、ペストは己の両腕で渦巻く黒風にて活路を切り開いた。

 ―――否、()()()()()()()

 

 黒風をトンネルの様にすることで槍の進路を上へとずらしたのだ。

 

 双方ともに試合での成長を感じさせる見事な技の冴えで相対した相手の攻撃を躱して見せた。

 

 

 

 

 

 

 

 そう、()()()()()()()である。

 

「「「「「「「「「「あっ」」」」」」」」」」

 

 

 楓を切り裂かんと迫った大剣のうちの一本が、空を切ったそのままの勢いで

 ()()()()()()()()()()()()()()

 

 また、ペストが逸らしたカイトの渾身の一撃は楓の術と共に

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。 

 

 

 縁の厚意で即座に視点を移し替えたため、観衆に痴態を晒しだすことを防げた二人だったが、

 当の本人たちはそんなこと知らないし、晒されたことには変わることがなく、

 切り替わることで離れた視点からでも分かるくらい顔を真っ赤にしていた。

 

『『ぶっ飛べッ!!!!///////』』

 

 質量を持った黒風と大天狗の大竜巻。

 その二つの合わせ技に曝されて、男子二名はその規模に顔を青くさせながらも仕方なさげに吹き飛ばされ、戦闘不能(リタイア)が確定した。

 

 そんな風景に会場は二つの意味で盛り上がりを見せ、

 零仁と縁は哀れな少女二名に代えの服を送り込むのだった。

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 ペストと楓は送り込まれた服に着替えて相対しなおしていた。

 着替え中は映像を切り替えているという主催者側の厚意に甘えることにした。

 

「さてと、やっと殺り合えるわね」

「えぇ、ホントに」

 

 そう言いながら闘志を滾らせ合う二人。

 

 少々頬が赤いのはご愛嬌というものだろう。

 

「では」

「ええ」

 

「「勝負!!」」

 

 双方、同時に動く。

 

 ペストは質量を乗せた帯状の黒風を叩きつけつつ、周囲に黒風を展開する。

 楓は複数のかまいたちで牽制しながら空気の繭で躱しきる。

 

 ペストの攻撃はその特性故に障壁を無理やり押し切れた。

 しかし、攻めきれないのは楓の技の精密性によるものが大きかった。

 

 ペストは展開した黒風でかまいたちを防ごうとすると、一発が抜けてくる。

 ただでさえ視認の難しい複数のかまいたちだったが、うち一つが妖力を込められて威力を上げたものが襲い掛かる。

 

 すんでのところで体を捻って回避する。

 だが、戦闘そのものの優勢はペストに偏っていた。

 ペストが能力の応用に慣れてきたのだ。

 

 さり気なく黒風で囲み逃げ場を奪いながら、黒帯を叩きつける。

 さらには囲んだ黒風が犇めき、圧し合う。

 

 そんなペストに楓はさらに札を切っていく。

 楓が右手を突き出すとともにペストの近くで空気が集まり、圧縮され ――――――

 

 ―――――――楓が手を勢いよく開いた瞬間――――――――――

 

 

 ――――――――――パァァァァァンッ!!!――――――――――

 

 破裂音が響き、その衝撃がペストを強かに打ち据える。

 限界以上に圧縮された空気が一気に弾けることで衝撃波が放たれたためだ。

 

「――グゥッ」

「まだまだ行きますよ!!」

 

 その言葉と共に今度はペストの周辺に五つまばらに空気塊が圧縮される。

 

「ッ!ハァッ!!!」

 

 咄嗟にペストは反応する。

 共に振るわれた黒風はそれまでとは違い、細く 薄く刃の様に空気塊を切り裂いた。

 

 

 目に見えて成長していくペストの楓は称賛を贈る。

 

「ふふ、素晴らしい。

 ならば!!」

 

 そう叫びながらもついに楓は切り札を見せた。

 

 瞬間、楓の姿が変化する。

 翼は赤く朱く熱を佩び、瞳は火のように煌めく。

 

「それがあなたの奥の手?」

「はい、これで全てです。

 さあ、始めましょうか!!」

「ええ!もちろん!!!」

 

 炎熱を纏った風と質量を持った黒風が激しくぶつかり合った。

 

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「『愛宕太郎坊』は予想してたけど『愛宕様』の方まであんのかよ!!?」

 

 風と共に炎も操る楓を見て、零仁が思わずと言った風に叫ぶ。

 それを涼やかに月見が茶化す。

 

「おや?《太郎坊》はしっかりとカグツチの化身だよ?」

「いやいや本人は、だろ?後継か実子かは聞かねぇけどまさか神格を継いでると‥は‥…。

 ‥…いやアレ《権能》だな神格はねぇわ」

「そうなのですか?ロード」

「うん、多分《カグツチの炎》を操れる、いや召喚できる程度かな?

 神格だと楓嬢本人の能力も強化されるからな」

「‥いや、うん。えー?一目でそこまで見破れるのかい?

 困ったなコレは」

 

 彼女の奥の手を一瞬で看破してのける零仁に、

 月見は苦笑しながら言う。

 

「彼女、うちの最大火力なんだよ。

 正確には広範囲殲滅ではって付くけどね」

「なるほど、納得した。

 五行的にも風と火は相性いいからな」

「ああ、だから役割的に大雑把になっちゃってね」

「確かに、風と比べると格段に精度が落ちてるものな。

 使い慣れてたらペストの奴詰んでたな」

 

 画面に映る楓とペストの戦闘は、戦況が一変していた。

 ペストの出す黒風のことごとくが炎に焼き尽くされていく。

 

「う~ん?いくら何でもあんな簡単に溶けるのはおかしいよね?

 あ~そうか、彼女の能力の根本が《黒死病》だからか」

「あんたもいい目してんね、流石は参謀役ってところかい?」

「いや、これに関してはモロバレでしょ、特に名前」

「まぁその通りだけどな。

 一応ブラフで重さあったし」

「本当に一応だよね、ソレ」

 

 実に楽し気に互いの考察を話し合いながら楓とペストの戦闘を眺める二人。

 そんな二人を少し下がったところから眺める茶々丸は

 

 ――――――――――(()()()()()())――――――――――

 

 畏怖をもって見つめる。

 勿論その智謀のほどは畏敬に値するものだ。

 だがそれ以上に彼女が恐れたのは両人が共にそれらの情報を()()()()()()()()()と断じた上で語り合っている点だ。

 それこそ、そのあたりのコミュニティならば必死に秘匿しようとするレベルの情報を、だ。

 

「うん、流石に相性差がありすぎてペストが戦闘から確保に重点を置くようにしたみたいだな。

 すっげぇ悔しそうだけど」

「この場合は正解だね。

 恥を捨ててでも勝ちに行くのも大事だよね」

「まぁ、一番問題なのはこのゲームの趣旨を理解していない点だけど」

「でも、その辺は得手不得手のものだからねぇ

 下手な考え休むに似たりってね」

 

 そんな茶々丸の視線を知ってか知らずか、零仁と月夜の二人は観戦を楽しんでいる。

 

 零仁が言ったようにペストは苦虫を嚙み潰したようなしかめっ面と共に反転して己の”影”の後を追っていく。

 実際この手は有効な手と言えた。

 現状ペストが楓に行える友好的な攻撃は全く無い。

 だが、”影”の確保というもう一つのクリア条件を前提に置いた場合、ペストの黒風の方が勝っていた。

 

「確保つってんのに、炭に変えちまうもんな楓嬢じゃあ」

「そうなんだよねぇ~

 楓の恩恵(ギフト)って解除後に負荷がかかるタイプだから一瞬だけ解除することは出来ないんだよね」

 

 現に先程 楓が炎風で”影”を囲った瞬間、”影”が別位置に再出現したのだ。

 ペストの場合は囲ってしまえばそれで終わりなのだからその難易度が一目瞭然と言えるだろう。

 

 そんなわけでペストは追いついた”影”を覆い囲もうと黒風を延ばすが、そんなこと楓が許さない。

 炎を佩びたかまいたちが黒風ごと”影”を真っ二つに焼き切る。

 

「だからこそ、このゲームの攻略法は”影”出現位置の特定なんだな」

「なるほどこういったゲームの種類もあるのですね」

「さて、ソレを楓は理解してるかな?」

 

 そんな会話と共に宴は終局へと移っていく。

 

 

 

 

 

 ―――――――――――――――――――

 

 

 

 ”影”を焼き切った後に取って返す刃でペストを攻撃する。

 しかし、ペストも慣れたように黒風を足場にして効果範囲外に素早く逃げる。

 逃げるペストを追撃しながらも楓の顔色は優れなかった。

 

(どうしたものか)

 

 戦況は優勢、しかし戦局を見れば完全にジリ貧であった。

 元々己の恩恵とたゆまぬ努力によって”百鬼夜行”の中でも一際若輩ながら、第九席にまで上り詰めたのだ。

 こういったゲームでの経験は少ないがそれでも己の実力に強い自負があった。

 

 だが、蓋を開けてみれば二度にわたる劣勢。

 

(本当、世界は広いですね)

 

 心の中で独り言ちる。序盤のカゲタロウ然り、目前の少女然り。

 当然上には上がいるということは理解していた。現に己より上に八人はいるのだし己より下の席次でも直接戦闘の面では負かされる者がいるからだ。

 だが、目の前の少女はそれらとは全く別だ。――――――――――――

 ――――――――――――彼女には、彼女だけには負けたくない!

 

(あぁ、なるほど。

 これがライバルというやつですか)

 

 それまでの彼女には超えるべき目標はあれども、鎬を削る相手は居なかった。

 

(ならば、尚更勝ちにいかなきゃいけませんね!)

 

 そんなことを考えていると、丁度斜め後ろの路地裏に自身の”影”を発見する。

 即座に炎で加速して捕らえようとするもペストが”影”を攻撃して阻止される。

 

 お返しとばかりに近くの路地裏から飛び出して逃げようとするペストの”影”を真っ二つにする。

 反撃として彼女は先程の黒風の刃を放つ。

 夕日の陽射しに紛れて放たれたそれは、楓の眼を晦ませはするがその身にたどり着く前に 放った炎にて焼き尽くされる。

 だが、この攻撃が楓の攻略への最後のピースを埋めることとなった。

 

(夕陽‥‥影………陰‥?‥…!そうか!)

 

 いきなり楓は真上に腕を振り上げ、上空に空気塊を作り出した。

 

「――?」

 

 ペストは訝し気に上に視線を釣られるが、即座に楓に戻し、バックステップと共に油断なく構える。

 だが、その一瞬の隙が勝敗を決する。

 

 楓が腕に炎を纏いながら加速して踏み込んできたのだ。

 

「――ッチィッ!?」

 

 咄嗟に黒帯を延ばして牽制しながら、距離を開ける。 

 しかし、それこそが楓の思惑だった。

 

 次の瞬間起こった現象にペストは本当の意味で驚愕することになった。

 

 何とか帯の下に潜り込んだ楓は()()()()()()()()()

 さらには、斜め後ろに再出現していた()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ペストが驚愕によって停止した瞬間、

 上空の空気塊に炎が燈り、燦爛と周囲を照らした。

 

 

 そう、その一瞬だけ夕陽によって延びる影が消え去り、その場に残ったのはペストと楓の影と

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 ――――――そもそも「影」と「陰」の違いは何か?

 「影」とは、光が物体によって遮られることでできる黒い部分である。

 「陰」とは、日光や雨風の当たらない場所のことであり、それと共に目の届かない場所のことでもある。

 

 では、このゲームの趣旨とは?

 『陰鬼』という題でありながら”影”を捕らえるということは?

 

 

 ――――――――――――ペストの黒帯の陰と楓の影が交わった瞬間、

 ()()()()()()()()()()()()()()

 ソレを彼女が見逃すはずもなく。

 

 

 

 

 

 

『勝者、”百鬼夜行”愛宕楓!!!!』

 

 

 

 勝者を確定する声が会場に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 





うん、惚れ惚れするくらいの長さだ。
解説、説明したいこといっぱいあったからシカタナイネ。

いや、言い訳を入れるとこんな厨二前回な小説家書くにはそれなりのモチベが必要な訳で、リアルで嫌なこととか凹むことが続くと筆を進められんのです、ハイ。

いや、少なくともこのシリーズは完結はさせる気だから本当に気長にお待ちください。

後、今回は書いてたらこんな感じに延びただけで次はこんなに長くないと思うからそのつもりで。

では、また次回に。



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