召喚したらチートだった件   作:uendy

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初めて、原作よりもオリジナルのほうが多くなったかもしれない(苦笑)





十九話~ まつろわぬもの

 

 

 

 

「申し訳ありません、ご主人様」

 

 その言葉と共に茶々丸は黒い風に飲み込まれた。――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――パチンと、澄んだフィンガースナップが打ち鳴らされ、

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

「「「「――――え?」」」」

 

「あぁ、ロードから与えられた初の命令も満足にこなせないとは、私もまだまだですね」

 

 前髪をかき上げるとともに、ホワイトブルムを外す茶々丸。

 しかし、その瞳は真紅に染まり、その瞳孔は肉食獣を思わせる縦長に変わっていた。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 『悪魔召喚(出てこい)!!』

 

 暗黒の中、声が響いた。

 ただその場を漂うだけの存在だった自らに、否 声の主は誰でもよいのだろう。

 近くにいた有象無象共も我先にと召喚門ゲートに群がる。

 そんな不敬者どもを消し飛ばし、”()()”はゲートを潜る。

 

「お呼びでございますか、我が新しき主よ」

「ん、呼び出した瞬間に来るものと思っていたんだが、僅かに間があったな・・・

 ちょっと雑だったかな?」

「滅相もございません。

 …ただ、私の揺蕩っていた位相との距離が遠かっただけでございます」

「おぉ、遠くからご苦労さん」

「もったいなきお言葉」

 

 恭しく頭を垂れる。

 こうしていても、目の前の存在は矮小な人間に見える。

 しかし、呼び出された”それ”にはわかっていた。

 外部に一切の実力を漏らしていないのだと、それほどの実力者なのだと。

 

 

「うむ。君を呼び出したのは、他でも無い。

 今創っている魔人形(ゴーレム)を君の肉体とし、憑依して貰いたい。

 代償は俺の魔力。期限は…いや、まずは肉体を見てからだよな。

 とりあえず、仕上げするからちょっと待ってて」

 

 そういって、零仁は懐からあるものを取り出す。

 

「それは・・・?」

「ん?あぁ、俺の魔力を馴染ませたただの鋼だよ。《魔鋼》って呼んでるけど」

 

 ”それ”も同じ原理のものならば存在は知っている。

 しかし、零仁の持つ物とは質が格段に違っていた。

 もはや、”星の恩恵”にすら匹敵する代物だった。

 そんなことを一切気にも留めず、零仁は作業を進めている。

 純粋な《魔鋼》は彼が魔力を通すだけで粘土細工のように加工されていく。

 

 ふと、”それ”は机の上に散らばっている体の設計図を覗いてみたが、

 それは間違いなく人間の知識の粋を集めて作ったであろう、機体性能であった。

 ”それ”に驚嘆と歓喜が渦巻く。

 

「さてと、んじゃ、入ってもらっていいか?」

「かしこまりました」

 

 完成した体に”それ”は入り込む

 

「どんな具合かな?」

「‥‥素晴らしい。その辺りの動物や人間に受肉するのとはわけが違います。

 素晴らしい!!これはすごい体ですよ!!」

 

 身体を動かし、具合を確かめながらそう報告してきた。

 悪魔がこの世界に干渉するには、受肉の必要があるのだが、動物や魔物がその受け皿となる。

 一頻り確認を終えると、俺に向かい跪き、

 

「この身体に誓い、お役にたってご覧に入れます!

 どうか、これより先御身の御傍に仕えさて頂きたい」

「お、おう。お前がそうしたいのなら好きにするといいさ。

 そういえば、お前 名前は?俺は 夜刀神 零仁っていうんだけど」

「申し訳ございませんが主よ、自然界に潜む精霊や悪魔に名前などございません。

 名前を持っているのは、神霊が降格したような存在のみでございます」

 

「ん?そんじゃ、呼びずらいな・・・・

 うん、じゃあ名付けてやる」

「何と!それは最大の褒美にございます」

「ん~、とりあえず下は”茶々丸”なのは確定として、上はどうするかな‥‥

 悪魔、鬼…キシン?いや直接過ぎるか・・・?

 !いや”姫神(ひめがみ)”だ、良し

 そんじゃお前はこれから”姫神 茶々丸”を名乗れ」

 

 次の瞬間、”茶々丸”に変化が起きた。

 髪は美しい紅い長髪が伸び、胸部、頭部、腰部、腕部、足部と繋がっているのだが、その表面を皮膜が覆った。

 さらには、茶々丸 本人の存在がより強大なものとなる、進化したのだ。

 身体との一体化もしっかりと行って、姫神 茶々丸は今この場に生まれたのだった。

 

―――――――――――――――

 

「では、改めまして、”機凱魔公(エクスマキナ・デモンデューク)”姫神茶々丸でございます。

 以後お見知りおきを」

 

 驚愕に包まれる中、茶々丸は一人優雅に名乗りを上げた。

 

「あ、ありえません!!あれほどの存在でありながら聞いたことのない名前を持っているなんて!

 何より、黒ウサギがその存在に気づけないなど・・・」

「黒ウサギさん、いくらあなたの常識からかけ離れていても選択肢が存在しているではないですか」

 

 茶々丸の指摘に黒ウサギはありえざる正解にたどり着く。 

 

「まさか”上位魔将(アークデーモン)”に肉体を与え、名づけを行った?」

「大正解ですよ、黒ウサギさん」

 

 今度こそ、驚愕により沈黙する。

 そもそも、”名づけ”自体 稀有な事例で、名付け親は子の倍以上の霊格が必要で、親の霊格が強ければ強いほど子が進化した時の霊格も跳ね上がる。

 茶々丸は、軽く見ても”上位魔将”の倍以上の霊格を誇っている。

 それは、つまり零仁はその十数倍もの霊格を持っているということになる。

 だからこそ、黒ウサギはありえないと断言した。

 レティシアでさえもその評価が正当なものだと判断しただろう。

 

「最も、ご主人様ロードからは『”後付武装(イコライザ)”だけで十分だろう?』と期待していただいたのにこの力を使うことになるとは、

 私も未熟ですね」

 

 一つ付けてしておくと、零仁はそんな意味では言っていない。

 ただ単に初陣なのでそれだけで十分だろ?と茶化しただけだったりするのだが、茶々丸には冗談は通じなかったようだ。

 

「さあ黒ウサギさん、強烈な一撃をお見舞いするのでしょう?

 生憎と、私は手助けの役割までしかロードに許可されていません。

 十六夜さんは激戦により火力低下中。

 他の方では、火力不足の現状を打破できるのは貴方だけですよ」

 

 こんなことを喋りながらでも、茶々丸はペストと互角の争いを繰り広げていた。

 否、三人合わせてジリ貧だった先ほどと違い、たった一人でかなりの余裕をもってである時点でお察しの状況だろう。

 

「ふざ、けるなぁぁぁ!!!!」

 

 ペストは絶叫と共に黒い風を収束させ、一気に撃ち放つ。

 黒ウサギやサンドラにも相殺どころか、拮抗すら許さないような一撃しかし、

 

「残念ながら、私の領域内で好き勝手出来るほど、貴方は強くはない」

 

 ただ掻き消される。

 十六夜のように砕くわけでもなく、結界などを用いて防ぎきるわけでもない。 

 ただそこに何もなかったかのように、霧散する攻撃。

 ペストの全霊ですら茶々丸からすれば、児戯ですらなかった。

 

(悔しさすら湧かないなんてね)

 

 その圧倒的な差に浮かんだものは、怒りでも怨みでもなく、ただの苦笑いだった。

 それもまた仕方のないのかもしれない。

 

「今です」

「疑似神格解放‥‥‥! 穿て、軍神槍・金剛杵(ヴァジュラ)――――!!!」

 

 紅蓮の炎と神雷の束がペストに向かって投射される。

 収束した紅き稲妻が先端を鋭利に変え、金剛杵すら燃やし尽くして紅槍へ変わる。

 本体を犠牲に、一度限りの神格を解放するギフト。それこそが”疑似神格・金剛杵ヴァジュラ・レプリカ”の真に秘められた一撃だった。

 

(ああ、でも彼に負けたのなら・・・・)

 

『ならば、貴様の身体我が器として再利用してやろう』

「―――――ッ!?」

 

 不意に聞こえた声にペストは警戒を露にするが、

 

「ぐぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 闇がペストにまとわりつく、共に金剛杵も飲み込んで。

 

 

「何だ!?」

「わ、わかりません」

「・・・・・・」

 

 すぐさま、十六夜が警戒し、黒ウサギに尋ねるが、黒ウサギも一切把握できずにいた。

 闇が、晴れる。

 

 するとそこには斑模様のワンピースを着た少女ではなく、

 

 黒いナイトドレスに、黒紫の長髪を着た、切れ長な眼をした女性が立っていた。

 

「『・・・・・ふ、フフフ、フハハハハハ 手に入れたぞ! 力を、肉体を、()()()!!

 どれ、褒美じゃ。妾手ずから葬り去ってくれよう』」

「ッ!」

 

 フッとただ手を向けた。それだけでペストとは比較できないほどの”死”が吹き荒ぶ。

 茶々丸が咄嗟に結界を張っていなければ、皆死に絶えていたことだろう。

 しかし、それを行った本人は全く眼中に入れていなかった。

 

「『ほう、そこの兎と蜥蜴の娘たちは中々有用な様じゃ。 

 どれ、妾が直々に使()()()()()()』」

 

 その言葉はもはや、当たり前のことを述べるかの如く紡がれた。

 それと共に、又もや手を前に掲げ、風を飛ばす。

 

「何度も好き勝手させるとでも?」

 

 しかし、茶々丸がそれを遮ってしまう。

 

「『…不敬だぞ、人形』」

 

 

 

――――――ゾッ と殺意が向けられる。

 彼女からすれば子供の癇癪に苛立ちを覚えた程度のものだったが、常人たちからすればそれだけで戦意を叩き折られた。 

 茶々丸、十六夜、レティシアだけは殺気と共に放たれた”死”を防いでいたが、彼女たち以外の全員を守る必要が出たので、必然的に競り負ける。

 

「『さて、どちらからいただくか、―――――――!』」

 

 黒ウサギとサンドラ二人の頬に女性が手を添えようとした。

 間一髪のところで割り込まれる。

 

「おいおい、横槍どころか配役の乗っ取り、さらには舞台の完全破壊ってオマエ。 

 無粋ってレベルじゃねーぞ」

 

 場違いなセリフ。しかしそれは強者にのみ許された余裕。

 それを纏い、見覚えのある黒いコートと銀髪を靡かせ、

 鍔の無い、波紋のみ紅蓮に染まった黒刀を肩に担ぐように乗せて、

 彼は乱入した。

 

「目には目を、歯には歯を、無粋な乱入者には第三者を、ってか?」

 

 

 

******

 

「悪いな、待たせた」

「申し訳ありません、ロード」

「気にすんなって、いくらお前でもあれは無理だろ。

 俺にも無理だわ」

「いえ、ロードの御力でしたら容易くアレを容易く葬ることが出来るでしょう」

 

 あれ、俺への評価が過大すぎないかな?

 

「お?おう。そ、そうかもな。

 とりあえず、みんなを連れて離れてくれ、余波に巻き込まれたら一溜りもないからね」

「かしこまりました、すぐに準備いたします」

 

 茶々丸にこの空間ごと退去を命令する。

 すぐさま十六夜が噛み付く。

 

「まーた、おいしいところだけ搔っ攫っていくのかよ」

「そういうな。いつもはお前に譲ってるじゃないか、それに今回は――――――」

「『ほう、これは珍しい、降臨して即座に神殺しと出会うとはな』」

「と、まぁ因縁ありでな。今回は皆についていてやってくれ」

「ま、了解した。適材適所ってわけだ」

 

 十六夜も馬鹿ではない。こういう時はしっかりと空気を読んでくれる。

   

 すると、その場から俺とアイツを除く全員が消えた。

 茶々丸の恩恵《幽幻の王(アル・シャイターン)》の能力の一つ「幽幻世界」の能力であった。

 その空間内であるならば、茶々丸が”出来る”と思ったことはどれほど困難なことでも可能となる。

 それを用いて全員で飛んだのであろう。

 

 

「…お前、冥府の神の類だな」

「『いかにも‥よくわかったではないか、神殺し』」

 

 その言葉と共に、放たれた。()()()

 

「何!?」

「『ハハハハ、では、妾も名乗りを上げようか。

  我が名はエレシュキガル!冥界の女王である!!」

 

 

 

―――――――――――――

 

 

 

 控えめに言って、俺は混乱していた。

 ”エレシュキガル”はメソポタミア神話に登場する神であり、その名はアッカド語で「冥府の女王」を意味する。

 彼女の統治では、他の神格ですら勝手が出来ないと言われたほどの冥府の国における絶対権力者であった。

 

 でが、なぜ俺が混乱しているのか、それは今の状況に起因する。

 

「『そぉら、これならばどうじゃ』」

「うぉぅ!!」

 

 その言葉と共に無数の雷が降り注ぐ。

 そう、彼女は冥府の神であるため、元々死神の力でもあったペストの疫病を操るのも、頷ける。 

 ではあれども、雷を操る神格では無いからだ。

 

一体全体どういうことだってばよ?

『推測不能、事例が少なすぎます。こんなことはなかったのに!』

ああ、全くだ。とりあえず相殺すんのに手数を増やすぞ。

 

 心強い相棒ですら、前代未聞のことに戸惑っている。

 まずは時間稼ぎと推論のために手数を増やす。

 

「”数々の偉業は我が轍の上に存在す”

 来たれ、数々の難敵を打ち破りし、英雄の弓よ。

 その武勇再び、撃ち轟かすときぞ!

 〈汝が敵たる、”蛇”、”智慧”の末裔が我が前を遮らん、

  さぁ今一度彼奴らを討ち果さん〉」

 

 《栄光》の聖句を紡ぎ、弓を召喚する。

 この弓は本来であれば、”蛇”、”智慧”、”鋼”のいずれかを持つ神格と相対した時にのみ召喚可能で、それぞれの神格を複数所持すればするほど、その力を倍増させる弓なのだが、ラフィーさんは恐ろしいことに気づいてしまった。

 『この制限緩めれるのでは?』ということに。

 

 そもそも、同じ神から権能を簒奪しても、”カンピオーネ”の性格次第で全く反対の権能を取得するのだが、

 ラフィーさんはこのシステムに目を付けた。

 つまり、権能ごとに能力が複数存在しているが、カンピオーネの”容量”ごとにその能力を取捨選択しているのではないかということだ。

 

 この弓の場合は【射出物に”蛇・英雄殺し(A++)”や”神格すら蝕む毒(A++)”を付与する】という強力な能力があり、

それを発動可能とするために、発動対象を三種に絞ることで、その強力さを保っているのではないかということだ。

 

 今回の場合は発動対象を緩める代わりに【”幻想殺し(B)”を付与する】に変更したというわけだ。

 

 まあ、それでもかなり無茶を言っているため、俺は(ラフィーが)ある能力を利用した。

 それこそが《覇王》に内包された《誓約》である。

 この力音本来の使い方とはかけ離れているが不可能ではなかったようで、要約すると言葉遊びのようなものだ。

 

 例えば、”疫病”は身体に”邪”な気を入れる。これは牙から毒を流し込む”蛇”と同じである。

  元々”智慧”ある者とはたいそう魅力的なもので、これは英語のGrammar(文法)延いてはGlamor(魅力)に起因する”女神”と同じである。

 といった具合に頓知とも取れる方法で発動させた。

 

 しかし、手数を増やすために、さらなるトンチ(イカサマ)を加える。

 

「英雄の弓よ、汝は森の賢者より教わったもの。

 彼の者は、星に上り、天に煌めく大蠍に対して 常に弓を番え、

 その心臓を狙っている、汝とて、常に敵に狙いを定めることなど容易いはずだ」

 

 またもや改造を行う。前世の知識というイカサマをして、【矢を自ら用意する代わりに、狙いを定めることで自動射出する】能力も付与する。

 俺の手にあった長弓は形を変え、腕輪へと変貌した。

 さらにダメ出しだ。

 

「光灯る街に背を向け、我が歩むは果て無き荒野

 奇跡も無く標も無く、ただ夜が広がるのみ

 揺るぎない意志を糧として、我が目指すは遥かな頂なり」

 

 《偉業》の権能の力を引き出す。

 この権能はいわば”流派:射殺す百頭”という技術そのものが権能化したもので、

 弓術の場合はありとあらゆる角度から最大九発の矢を同時発射するというものだった。

 

「『何!?』」

 

 その効果は甚大だった。

 おれの《胃袋》の内部にある無数の剣戟の数々が、タイムラグなしで様々な角度から最大で九発同時に放たれる。

 しかも、その刃には須らく”幻想殺し”が付与されていた。

 

 勿論、某王さまの"宝物庫"のように<胃袋>の口を開き、放射を行うことも出きるのだが、

 それを行うには、《胃袋》の口を開き続ける必要があり、《覇王》のタネがバレてしまうため、この方法を取っていた。

 

 少なくとも、この方法でも、射手の技量が高ければそのぶん発射間隔も縮めることが可能で、俺の技量があれば、それこそ、矢がある限り放ち続けることごできる。

 

「『は、はははははは!

随分と楽しませるではないか!ほれ、これならどうじゃ?』」

 

笑いながらエレシュキガルは、雷や、病魔の塊を矢のように放って対抗してきた。

 

「こん、にゃろッ!」

 

その量足るや まさしく、雨あられ、それに対抗するために魔法も併用して

 一気に撃ち落していく。

 

 しかしそれでは、防戦一方になってしまうため、矢の何本かは攻撃に使っていた。

 そうするともちろん撃ち漏らして、こちらに飛んでくるのだが・・・・

 

「『ほう、良き剣じゃ。妾の”死”を切り払うなどただの剣では不可能じゃからのう』」

 

 俺は手に持っていた”旭刀・残火”を振るう。

 この刀は、俺の持っている「太陽」の神格の力を魔鋼に宿らせ、魔術などを用いながら《鉄火場》で鍛え上げた物だ。

 最大の利点は、ただ焼き尽くすのではなく、その熱量全てを刃紋に収束させることによって生まれる類稀なる切れ味である。

 もちろん、「太陽」の力のため、焼き切るといった方が正しいだろうか。

 

 そんな、”残火”を用いて疫病の矢は焼き切り、雷の矢は感電する前に掻き消していく。

 

しかし、何故だ?

『雷と疫病と来ると、西セム民族の信仰する"レシェフ"が、思い付つきますが・・ 』

確かに、アッカド人もセム民族も地域が重なっているからな。

ったく、これだから"まつろわぬ神"は・・・ーーー!

そうか、そうだよ!

『何か攻略方が見つかったのですね?』

ああ、奴さんも"まつろわぬ"ことに必死らしいな。

さぁ、反撃といこうか!

『Yes,マスター』

 

 まずは奴の力を削ぐために火力が必要である。

 使い勝手も火力も高いある権能の《聖句》を紡いだ。

 

「運命の審判を告げる銅鑼にも似て衝撃をもって世界を揺るがすもの。

 我は障碍を打ち砕く者、汝、神の打ち鳴らししもの。

 こなた天光満つる所より、かなた黄泉の門開くところへ生じて滅ぼさん」

 

 《雷》の権能が魔法によって作られた雲に貯まる。

 蓄電に肉体を用いた場合ならば、貯めた分を一気に放出する必要がある。

 が、雲を用いた場合ならば、断続的に雷をためながら、小出し出来る。

 

落雷が、エレシュキガルを襲う。

 雷の牢獄が彼女を覆いつくす。

「『妾に雷は効かぬぞ!神殺しよ』」

「ああ、()()()()()()、だろう?」

「『何!?』」

 

即座に背後に回り込み、”残火”に《誓約》の力を込める。

 

「エレシュキガル、お前は冥府の女王だ 。それ故に貴様には優秀な 副官がいた 60の病魔を操る疫病神 ネルガルだ。

お前はぺストをネルガルに据え置くことで、 その力を自らの中に取り込んだ」

 

「『我が秘め事を曝すとは、無礼だぞ!神殺し!!』」

「しかしそれだけじゃ足りない この箱庭においては 伝承がある。

 つまりは 神話的拘束力が強ければ強いほど その強さが保証されていく」

 

 この箱庭において、"神"とは、伝承が存在し、それゆえに強い恩恵を振るう存在なのだ。

 にもかかわらず、"まつろわぬ神"はその伝承から抜け出してきた存在であるがゆえに、

 何らかの、”まつろわぬ神(自ら)”であるための”まつろう神()”とは異なる必要があった。

 

「その、欠けた力を補完するために、お前は黒ウサギの雷槍を利用することによって補完してみせた。

レシェフだ。彼こそが お前がまつろわぬために使った神の名だ!」

 

「『黙れ!黙れェェェぇ!』」

 

「レシェフは”矢の王”とも呼ばれる、矢や死を司り、稲妻と悪疫をばら撒く。

 矢とは古代では〈毒を塗り、飛ばすための道具〉という側面のほうが強かったとも言える。

 それゆえに、矢を司るレシェフやアポロンは疫病神の側面を持っていた。 

 その側面より、彼は後にネルガルやナムタルと結び付けられていく。

 この二柱は貴様とも縁を持っている。

 その縁から、今回の無茶を行った。

 これだけそろっていれば確かに”まつろわぬ”といっても差し支えないがね。」

 

 いくら、神格とは言え、全く縁も所縁もない力をいきなり呼び出すことはもちろん、操ることすら至難の業である。

 

「”疫病”と”雷”、この二つを矢のように用いることで貴様は自らの持つ縁から力を引き出した。

 それが貴様の正体だ!”まつろわぬエレシュキガル”よ!!」

 

 元々神話とは、言葉から始まった。

 それゆえに、言葉を用いて縛る《誓約》の力は”まつろわぬ神”に対する強力な手札足りえた。

 

「そんじゃ、返してもらうぜ」

 

 そういって、”残火”の切り口に手を突っ込みペストと、金剛杵を奪い取る。

 

「『逃がすと思うてか!!』」 

「ハッ、俺が何のために一瞬で来れるところを遅れて出てきたと思ってんだよ。

 さぁて、てめえの罪。てめぇで清算しな!!

  〖復讐を指し示す万象(アヴェンジ・ダムナティオ)〗!!」」

 

 その文言と共に、足元の街並みから巨大な陣浮かび、光り出す。

 この陣を描かれた物体を破壊した時、その攻撃をそのまま記憶し、攻撃者にそっくりそのまま返す。

 ―――あの”黒王子”の切り札のうちの一つを、俺の記憶にある似通った技などを用いて(ラフィーさんが)魔改造したものだった。―――― 

 たったそれだけの術式だが、今回は運がよかった。

 

「あんだけ、雨あられと打ち出してくれたんだ。

 自分で味わってみたらどうだ?」

「『神殺しぃぃぃぃ!!』」

 

 そう言い残して、俺は発動結果を気にも留めず、とんずらを決め込んだ。 

 

 

 

 

 

 

 




説明むずいな(汗)

まあ、特に難しく考えず、

R(ラフィーさんの)
T(力って)
S(すげー)
って思っておいてください。

ホント、うP主ですら躊躇うことを平然とやってのける、そこに痺れる憧れる~っ!!

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