召喚したらチートだった件   作:uendy

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前回コメントで指摘されましたが、マッハ5で10分は計算ミスしています。
これはうp主のミスであって主人公のミスではありません。

ハハッ、ドヤッて時間とか入れた結果がこれだよ
良いこのみんなは脳内変換でマッハ5000ぐらいに変えとこうね



ただ・・・信じられるか?これでもうp主理系なんだぜ(顔真っ赤)


十二話~  魔王襲来の知らせ

さて、“煌炎の都”上空に到着したわけだが・・・なんぞ?アレ

『十六夜と黒ウサギが追いかけっこをしているようですね』

うん、目の錯覚かな?時計塔が残骸に成り果てたように見えたんだが・・・

『はい、第三宇宙速度で飛んでいきましたね』

下の回廊が崩壊してるけど、あれ誰が直すのかな?

『少なくとも、修繕費は請求されそうですね』

・・・・とりあえず、止めるか

 

 そう言って俺は自由落下しながら魔法を紡ぐ、ちょうど倒壊せんとしている建物も対象に入れて発動する。

 発動した影の精霊魔法によって捕縛した二人の真後ろに降り立ち、二人の頭を両の手で掴んで、即座にぶつける。

 

「――痛ってぇな!何しやがんだ、て・・め・・・・ぇ・・・」

「――痛いのでございますよ!どこのどなた様でございま・・・す・・・か・・・・」

 

 頭をぶつけられたことに憤慨しようとする二人に優しく(・・・)話しかける。

 

「これは一体どういうことかな?説明、できるよね?」

 

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 

 そんなこんなで ―――なぜか震えていた―――“サラマンドラ“の憲兵隊たちに連れられ、彼らの本拠に移動した俺たちはとりあえずは十六夜、黒ウサギ そして、合流してきたジンの三人を正座させた。三人の頭上にはアイスクリーム(たんこぶ)のトッピング付きだ。

 

「―――――つまり、詫びのしるしとして始めたゲームでテンションを上げ過ぎてやっちまったと・・」

「そうだよコンチクショー。・・・なんでこんな目に・・・」

「お前のゲームメイクが情けなかったからだよ。ったく、今回の条件なら主導権を握ってんのは十六夜だろ。それをほとんど気づいていないってのがダメだな」

「あ?どういうことだよ。ゲームのルール的に黒ウサギを見失ったらアウトだろ」

「それ以前の問題だ。お前は黒ウサギからすれば”今日中に捕まえられなければならなかった”。だから時計塔の上で待機してるだけで良かったんだよ」

「あっ」

「・・・そうか、そういえばそうだったのか」

「ってお前も気づいてなかったのかよ、黒ウサギ。巧く組み立てていたから免除していたが、これはトッピングの追加が必要だな」

 

 俺の答えに感心する十六夜と、ハッとする黒ウサギ。 黒ウサギに少しあきれつつ、指を鳴らす。

 

「あの、なんで僕までやられているのでしょうか」

 

 ウサ耳をへにょらせて、頭を押さえる黒ウサギを楽し気に眺めていた俺だったが今のジンの一言に少し気が変わった。

 ・・・・・ここは少し引き締めるとするか。

 

「・・・なんで、だと?お前等本当にわかってないみたいだな

 まず第一にあの招待状がなんで届いたのかわかるかよな?」

「・・・っ」

 

 グッと言葉を詰まらせるジンに言葉を繋げる。

 

「少なくとも、俺たち四人の実力を見込んで白夜叉が送って来たものだろう。

 にもかかわらず、そのことを黙っていた。しかも、その理由が”自分たちの悦楽のためにガキどもに貧困を押し付ける外道”と思われていたときたもんだ。お前等自分たちに前科があることを忘れたんじゃねえだろうな?

 三人は冗談交じりにしたようだが、黙って脱退されても文句は言えねぇぞ?」

 

 沈鬱な表情で黙り込む二人。しかし、声は後ろからかけられた。

 

「その辺にしておいてやれ、零仁」

 

 二人に助け船を出したのは俺たちを呼びに来た白夜叉だった。そんな白夜叉の介入により、俺はため息とともに熱を冷ましつつ答える。

 

「・・・・ちょいと無様なとこを見られちまったみたいだな」

「かまわんよ。それに、もう一人のホストも待たせているしの」

 

 そう言ってニッと笑う白夜叉に適度に毒気を抜かれつつ、項垂れる黒ウサギとジンを一瞥する。

 俺は二人に振り向かずただ声を発した。

 

「人が初対面の他人を評価するとき、一番初めに量るのは相手の実績 即ち”過去”だ。

 ―――――昨日とて今日だった。

      今日とて明日だった。

      明日とて過去となる。ただ・・・・それだけだ」

 

 はい、言うだけ言ってとんずらですよ。あとのこと?知らんな。

 そんな俺の言葉に白夜叉がククッと笑みを浮かべ、ジンに聞こえないように話しかけてくる。

 

「随分と強く言ったじゃないか。ジンには少し言い過ぎじゃないかの?」

「・・・・ジンが自分の理想を吐くだけの子供なら俺もここまで言わなかったさ。

 ただ、あいつはもうやっちまった、()()()()()()()()()()()()()()()()

 それならもう途中退場は許されない。それに、今アイツが項垂れているのは、自身の怠慢が原因だ。”子供だから” ”力がないから”と言い訳をして、何の努力もしなかった、な。ここから先はそんなことでは残れない。無能な上司のせいで真っ先に死ぬのは、実行する下っ端なんだからな」

「そうか。だが無理はするでないぞ?どれだけ濃密な経験をしていようとも、おんしとて子供の範疇だからのう」

 

 そう言って、優しく微笑んでくる白夜叉に感謝を述べる。

 

「別に好き好んでヘイトを稼いではいないんだけどな。だが、正直言ってありがたいよ 困ったときは頼らせてもらうぜ?」

「ああ、任せておけ。それにしても随分と素直に受け入れるのだな」

「意地張ってもいいことないだろ。それに俺もガキってのは十分に理解しているしな・・・

 そんなことより、さっさと行こうぜ ”サラマンドラ”のリーダー様を待たせているんだろ?」

 

 とりあえず照れ隠しのために、待たせ人の話を引き合いに出しておこう。

 

――――――――――――――――――

 

 運営本陣営の謁見の間に入った零仁たちに白夜叉が問いかけてくる。

 

「それにしても、随分と派手にやったようじゃの、おんしら」

「ああ。ご要望通り祭りを盛り上げてやったぜ」

「胸を張って言わないで下さいこのおバカ様!!」

 

 

 スパァーン!と黒ウサギのハリセンが直撃する。

 そんな二人に白夜叉は笑いを噛み殺しつつ、なるべく真面目な姿勢を見せる。その隣にいる幼い少女―――今回の誕生祭の主催であるサンドラ嬢がそばに控えているためだろう。

 彼女の傍にいる側近らしき軍服姿の男が鋭い目つきで前にでて、高圧的に見下してくる。

 

「ふん!”ノーネーム”分際で我々のゲームに騒ぎを持ち込むとはな!相応の厳罰は覚悟しているか!?」

「これマンドラ。それを決めるのはおんしではなくおんしらの頭首、サンドラであろ?」

 

白夜叉がマンドラと呼ばれた男を窘める。

サンドラは上座にある豪奢な玉座から立ち上がり、口を開いた。

 

「”箱庭の貴族”とその盟友の方。此度は”火龍誕生祭”に足を運んでいただきありがとうございます。負傷者は奇跡的になかったようなので、この件に関しては不問とさしてもらいます」

 

 チッと舌打ちをしたマンドラ。意外そうに十六夜が声を上げた。

 

「へぇ、いいのか?お咎め無しで」

「うむ。おんしらは私が直々要請したのだからの。何より零仁がうまく崩壊を止めたようだからの」

 

 ほっと胸を撫で下ろす黒ウサギだったが、十六夜は軽く肩をすくませる程度だった。

 

「ふむ、いい機会だしこの場で昼の続きを話しておこうかの」

 

 そう言って白夜叉が目配せをしサンドラが側近を下げさせる・・・・・・マンドラは残ってるが。

 この場に残ったのは俺と黒ウサギ、ジンと3人だけだ。

 人が居なくなるとサンドラはジンに駆け寄り固い表情と口調を崩す。

 浮べる笑みは歳相応の少女らしく愛らしい。

 

「ジン、久しぶり!コミュニティが襲われたと聞いて心配していた!」

「ありがとう。サンドラも元気そうでよかった」

 

 やはり友人関係だったらしく、嬉しそうに笑顔で会話をする2人だが―――――

 

「その様に気安く呼ぶな、名無しの小僧!!!」

 

 マンドラが帯刀していた剣をジンに向かって抜いたのを見て、俺は目の前まで移動し振り下ろされた剣を親指と人差し指でつまむ。

 押しても引いてもビクともしない剣に驚愕するマンドラに尋ねる。

 

「・・・・北側の挨拶は随分と熱烈なのだな。ここまで歓待する必要はないんだぞ?」

「当たり前だ!サンドラはもう北のマスターになったのだぞ!誕生祭も兼ねたこの共同祭典に”名無し”風情を招き入れ、恩情を掛けた挙げ句、馴れ馴れしく接されたのでは”サラマンドラ”の威厳に関わるわ!この”名無し”のクズが!」

 

 睨み付けるマンドラの視線を、真摯な笑みで受け止めているとサンドラ嬢が慌てて止めに入って来た。

 

「マ、マンドラ兄様!彼らはかつての”サラマンドラ”の盟友!此方から一方的に盟約を切った挙句にその様な態度を取られては、我らの礼節に反する」

「礼節より誇りだ!その様なことを口にするから周囲から見下されるのだと――」

「これマンドラ。いい加減に下がれ」

 

 呆れた口調で諫める白夜叉。しかしなおも食って掛かり、睨み返すマンドラ。

 

「”サウザンドアイズ”も余計な事をしてくれたものだ。同じフロアマスターとはいえ、越権行為にもほどがある。『南の幻獣・北の精霊東の落ち目』とはよく言ったもの。此度の噂も、東が北を妬んで仕組んだ事ではないのか?」

「マンドラ兄様ッ!!いい加減に――――――」

「及第点どころか落第だな」

「何!?」

 

 零仁の一言に青筋を立てるマンドラ。しかし零仁は続ける。

 

「”マナーが、人を作るんだ”

 礼節により己を律し、他者を重んじる高潔な人物。そんな人物を人は誇り高いと称するのだ。

 あなた方が重んじる誇りが野の獣のものであるなら止めはしませんが、そうではないのだろう?」

「っ、当たり前だ!」

「ならば、あんたはもう少し下がるべきだ。先ほどの口調も、少なくとも紳士が女性に向けるものではない。

 何より彼女は階層支配者(フロアマスター)としての仕事をしたまでだろう。”最悪の場合を想定して動け”とよく言うが、本当の最悪は想定しきれないのだからな。

 他者の命も守る階層支配者(フロアマスター)ならばとれる手はすべて取るべきなのは明白だろう」

 

 白夜叉は零仁の言葉に得心がいったように笑いながら、懐から一枚の封書を取り出した。

 

「やはり気づいておったか」

「と言うよりそれ以外見当たらんぞ?」

「おい、お前等だけで話を進めるなよ。俺たちに協力して欲しいことと関係あんのか?」

 

 うむ、と白夜叉は全員の顔を一度見まわした後、取り出した封書を十六夜に渡す。

 

「この封書におんしらを呼び出した理由が書いてある。・・・・己の目で確かめるがいい」

 

 怪訝な表情のまま十六夜は手紙を受け取り、内容に眼を通す。

 

「・・・・・・・」

 

 内容を確認した十六夜の表情からは、普段の軽薄な笑みが完全に消えていた。

 それを不思議に思った黒ウサギは、ピョンと跳ねて十六夜の後ろに立つ。

 

「十六夜さん・・・・?何が書かれているのです?」

「自分で確かめな」

 

 珍しく抑揚のない声音の十六夜は、背中越しに手紙を渡す。

 其処には只一文、こう書かれていた。

 

『火龍誕生祭にて、"魔王襲来"の兆しあり』

 

「・・・・なっ、」

 

 黒ウサギは絶句した後、呻き声の様な声を漏らす。次に確認したジンも同様だ。

 ただ、視線を投げかけた零仁と、視線の意味を理解した白夜叉だけは苦笑していた。

 

「だからこそ貴様ら”名無し”に何ができるというのだ。居ても居なくても大して変わらんだろう」

 

 なおも苦言を呈すマンドラに零仁は反論する。

 

「”名無し”だからこそ、だよ。俺たちは”打倒魔王”を掲げたコミュニティだ。だからこそ、魔王が出てきても怖気づくことはない しからば、たかが”名無し”が奮闘しているのに”名有り”の連中が怖気づくなんて()()()()()

 そうとは思わんか?」  

 

 そんな零仁の言葉に黙り込むマンドラ。

 その間にも十六夜は白夜叉に食って掛かる。

 

「まさかこんな理由だったとはな」

「謝りはせんぞ。内容を聞かずに引き受けてのはおんしらだからな」

「違いねえ。・・・・それで、俺達に何をさせたいんだ?魔王の首を取れっていうなら喜んでやるぜ?つーかこの封書はなんだ?」

「うむ。まずそこから説明しようかの」

 

 白夜叉がサンドラに目配せをする。機密を話す合意が欲しかったのだろう。

 サンドラが頷き、白夜叉は神妙な面持ちで語り始めた。

 

「まずこの封書だが、これは”サウザンドアイズ”の幹部の一人が未来を予知した代物での」

「未来予知?」

「うむ。知っての通り、我々”サウザンドアイズ”は特殊な瞳を持つギフト保持者が多い。様々な観測者の中には未来の情報をギフトとして与えておる者もおる。そやつから誕生祭のプレゼントとして送られたのがこの”魔王襲来”という予言だったわけだ」

「なるほど。予言という名の贈り物ってことか。それで、この予言の信憑性は?」

「上に投げれば下に落ちる、という程度だな」

 

 白夜叉の例えに、一瞬だけ疑わしそうに顔を歪ませる十六夜。

 だが、その答えに納得がいかなかったのか零仁が問いただす。

 

「少し正確性に欠ける回答だな。もう少し詳しく頼む」

 

「うむ、其奴の予言は”誰が投げた”も”どうやって投げた”も”何故投げた”も分かっている奴での。ならば必然的に”何処におちてくるのか”を推理することができるだろ?これはそういう類の予言書なのだ」

 

 はい?と俺と十六夜は呆れた声を上げる。黒ウサギ達も周囲の人間もその事実に言葉を失っている。マンドラに至っては顎が外れるほどに愕然としていた。しかし、零仁だけは得心がいったように反応した。

 

「なるほどな。つまり”何を投げた”とか”どこで投げた”とか”どんな時に投げた”とかのイレギュラーな介入で軽々しく破綻する程度には信憑性のある予言なのか」

「・・・・・それは予言なのか?上に投げ上げといたら下に落ちてくるのは当然だろ」

「いや、”どこに落ちてくるか”は推理の域を出ないんだよ。だからこそ、さっき言った三つも見通せなければ確実じゃなくなる。ものの例えとして宇宙空間で物を投げ上げても落ちてこねぇだろ?そんなもんだよ」

 

 そんな三人の会話にマンドラは顔を真っ赤にし、怒鳴り声を上げた。

 

「ふ、ふざけるな!!それだけ分かっていながら魔王の襲来しか教えぬだと!?戯言で我々を翻弄しようという狂言だ!!今すぐにでも棲み処に帰れッ!!」

 

「さて、事件の発端に一石投じた主犯は既に分かっている。・・・・だが、その人物の名前を出すことはできないんだな?」

 

「うむ・・・・」

 

 歯切れの悪い返事をする白夜叉。

 十六夜はニュアンスを変えてもう一度強く問い直す。

 

「今回の一件で、魔王が火龍誕生祭に現れる為、策を弄した人物が他にいる。その人物は口に出すことが出来ない立場の相手ってことなのか?」

 

 ハッとジンが声を漏らし、サンドラを見る。

きた側に来る際、白夜叉は言っていた『幼い権力者をよく思わない組織が在る』と。

 もしもその人物が『口に出すことも憚られる人物』だというのなら、それは…

 

「まさか・・・・他のフロアマスターが、魔王と結託して”火龍誕生祭”を襲撃すると!?」

 

 ジンの叫び声が謁見の間に響く。それは想像するのも恐ろしいことだ。秩序の守護者たる”階層支配者”が、その秩序を乱すという。

 白夜叉は哀しげに深く嘆息した後、首を左右に振った。

 

「まだわからん。この一件はボスから直接の命令でな。内容は預言者の胸の内一つに留めておくように厳命が下っておる。ゆえに私自身はまだ核心には至っていない。・・・しかし、サンドラの誕生祭に北のマスター達が非協力的だった事は認めねばなるまいよ。なにせ共同主催の候補が、東のマスターである私にお鉢が回ってきたほどだ。北のマスターが非協力的さだった理由が”魔王襲来”に深く関与しているのであれば・・・・これは大事件だ」

 

 唸る白夜叉と、絶句する黒ウサギとジン。

 しかし、十六夜と零仁は得心がいかないように首を傾げた。

 そして、十六夜が言った。

 

「それ、そんなに珍しいことなのか?」

「へ!?」

「お、おかしなことも何も、最悪ですよ!フロアマスターは魔王から下位のコミュニティを守る、秩序の守護者!魔王という天災に対抗できる、数少ない防波堤なんですよ!?」

「けど所詮は脳みそのある何某だろ?妬みもあるし、野心もある。それに秩序を預かる者が謀をしないなんてのは幻想だ」

 

 十六夜は冷めた目で言った。少なくとも十六夜や零仁がいた世界ではそんな事珍しくもなかった。

 それに白夜叉は静かに目を閉じて首を振る。

 

「なるほど、一理ある。しかしなればこそ、我々は秩序の守護者として正しくその何某を裁かねばならん」

「けど目下の敵は予言の魔王。ジン達には魔王のゲーム攻略に協力して欲しいんだ」

 

 サンドラの言葉に、合点がいったのいう顔で一同は頷く。

 魔王襲来の予言があった以上、これは新生”ノーネーム”の初仕事でもある。

 ジンはことの重大さを受け止めるように重々しく承諾した。

 

「分かりました。”魔王襲来”に備え、”ノーネーム”は両コミュニティに協力します」

「うむ、すまんな。協力する側のおんしらにすれば、敵の詳細がわからぬまま戦うことは不本意であろう。・・・だがわかって欲しい。今回の一件は、魔王を退ければよいというだけのものではない。これは箱話の秩序を守るために必要な、一時の秘匿。主犯には何れ相応の制裁を加えると、我らの双女神の紋に誓おう」

「”サラマンドラ”も同じく。ジン、頑張って。期待してる」

「わ、分かったよ」

 

 ジンは緊張しながら頷く。白夜叉は硬い表情を一変させ、哄笑を上げた。

 

「そう緊張せんでも良い良い!おんしらには最強のフロアマスターが付いておるのだ!魔王は我が相手をする故な!おんしらはサンドラと露払いをしてくれればそれで良い。大船に乗った気でおれ!」

 

 双女神の紋が入った扇を広げ、呵々大笑する白夜叉。

 

「魔王がどの程度から知るにはいい機会だしな。今回は露払いでいいが――――――――

別に、()()()()()()()()()()魔王を倒しても、問題はないよな?」

「よかろう。隙あらば魔王を首を狙え。私が許す」

 

 こうして交渉は成立したのだったが、急に零仁が何かを思い出したような声をあげ、苦笑しながらサンドラに近づき、懐から一輪のハイビスカスの花を彼女の耳元に添えた。

 

「え!?えっとこれは!?」

「・・・・・あぁ、やはりあなたには赤い花がよく映えるようだ」

 

 急なことに慌て、赤面するサンドラに零仁は優しく微笑みかけ、また懐から取り出した。

 だが今度は、ハイビスカスやサルビア、ノウゼンカズラ、ガーベラなど様々な赤い花の花束だった。

 

「礼節だなんだと語っておきながら一番大切なことを忘れておりました。サンドラ=ドルトレイク様 此の度の”階層支配者(フロアマスター)”並びに”火龍”襲名 心よりお祝い申し上げます。”ノーネーム”を代表して祝辞を述べさせていただきます。

 改めて、おめでとうございます」

「あ、ありがとうございます」

 

 そう言って恭しく頭を下げる零仁に続き、初めは小首をかしげていた黒ウサギとジンも頭を下げる。 サンドラは一瞬目を丸くしながらも、少女らしい笑顔で反応した。

 ここで少々意外だが十六夜も空気を読んで会釈程度であるが頭を下げた。

 これにより、マンドラが態度の問題で”ノーネーム”に突っかかる事が出来ず――――しぶしぶではあるが―――――すんなりと協力を受け入れられるのであった。

 

 

 




うむ、つい先日「キングスマン」という映画をレンタルして見たんだけど、
カッチョ良いな あれ、スタイリッシュという言葉が似あう作品でした。レンタルなら一見の価値はあると思う


ただ、バイオレンスな描写があるから見るのは注意が必要だぞ。

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