そうだ、家庭を作ろう。(修正中)   作:ほたて竜

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※主人公の口調とか、いろいろ修正しました。


第一話

 晴れた朝は良い。

 

 気分を清々しくしてくれるし、何よりもお日様は温かい。現在自分は日向ぼっこを楽しみながら通学していた。

 

 周囲には自分の背丈と変わらない少年少女らが複数人いる。今日は入学式。この日は確か上級生は休日の筈だから、彼らは自分と同じ新一年生とみて間違いない。

 

 自分の様に一人で通学している者もいれば、群れをなして談笑している者たちもいる。そんな彼らに共通しているのは大小あれど緊張しているという事だろう。

 

 そんな時にはぜひ日光浴をお勧めする。

 

 顔を覗かせたばかりの太陽を浴びるのはメンタル面で心地よく、また健康面では身体の中、というよりも皮膚からビタミンDが生成される。これはうつ病の予防や免疫力の上昇、血圧を上げる効果などが期待できる。

 

 至れり尽くせりとは正にこのことを言う。ただ日光を浴びるだけでとりあえず最低限の健康は保証されるのだ。食料が割とカツカツだった海外生活では随分とお世話になったものである。

 

 「あたーらしーいあーさがきたっ」

 

 某国民的音楽を口ずさみながら、歩道を歩く。周囲からは奇異なモノを見る目で見られているような気がするが気にしない。

 

 陽気な音楽は人を明るくさせる。一人でも変に元気な奴が居れば、周囲も気が楽になるというもの。自分が変人のレッテルを張られる事になろうとも、彼らの緊張感が少しでもほぐれたのなら儲けものである。

 

 因みに、話は変わるが前世ではラジオ体操など滅多にしなかった。が、海外生活が長くなるといつの間にかルーティンになっていた。

 

 特別な理由はなかった。ただ恐らくは、朝一番に体を動かすことの素晴らしさに気が付いたからなのだろう。程よく筋肉と筋に刺激を与えることが多大な効果を与えることを実感した自分は、現地の人々にも巻き込む様にラジオ体操を布教したものだ。

 

 閑話休題

 

 ―――これからどう生きようか

 

 あれから色々悩んだが、結論を言えば自分はこの新しい人生を楽しむことにした。神様的な超次元的サムシングが自分に滅茶苦茶かわいい女の子捕まえて、もう誰もが羨むくらい温かい家庭を築きなさいとでも言ってくれたに違いない。というかそう解釈した。思考放棄である。

 

 だからまぁ、自分は素敵な出会いを求めるため、あわよくばその人と結ばれるために頑張ることにした。

 

 そう言う人生も悪くないだろう、うん。言い訳をしてるようで見苦しい事この上ないが、色のない人生を送った身の上としては、やはり理想の女の子と結婚してみたい。そういう当たり前の日常を謳歌してみたいのだ。

 

 だから今、そのためには何をすべきか模索している最中なのである。

 

 (顔が良くて勉強が出来て運動神経も抜群で性格も良いと女の子の方から言い寄って来るそうだが、実際どうなんだろう)

 

 一通り歌い終えて、身の周りの緊張感がほぐれたのを確認してからそんな事を考えてみる。

 

 まずファーストアプローチ。第一印象がその人の個性として記憶に残りやすい。だから最初の立ち回りこそが最も重要である。

 

 では、まず容姿から。客観的に見て、自分の顔は前世に比べたらそこそこ見れたモノであると思う。いや、前世の顔面も少し厳つかっただけでそこまで悪くはなかったと思うのだが、やはり大衆受けはしなかったのだろう。とはいえ、顔面に関しては如何ともしがたいのが事実。この問題は先送りとした方がいいだろう。

 

 勉強は言わずともがな。自分はそれなり以上の頭脳を持っていると自負している。長年培ってきた知識を甘く見てはいけない。予習復習を怠らなければ何の問題もないと言える。

 

 運動神経。これは少し自信がない。スポーツなんて心得もなければ、そもそも意識したことすらなかった。女の子にモテるにはやはり体を鍛えなければならないのかもしれない。いや、別に大勢の女子に言い寄られたいという訳ではないのだが。

 

 次に内面、つまり性格のことだが、これこそどうしようもない。人格など人によって千差万別。良くあろうとするのは美徳であるが、それでもやはり好き嫌いが分かれるのだ。どれだけ友好的接そうとしても、そりの合わない人間と言うのは存在する。

 

 また、そもそもな話。他人に自分の性格を聞くことが、果たして真に良心的な人間のすることなのかどうかも疑問である。故に、周囲から見た自身の性格がどういったモノなのかを把握することは難しい。

 

 整理をした結果、課題はいくつもあることが分かる。その中でも特にやるべきことは決まった。

 

 「よし、部活をしよう」

 

 現在、自分は中学校に通う少年の一人である。前世では中学校に入学してからも勉強に勉強を重ねた生活を送っていたため、あまり中学校生活というモノを味わっていなかった。有体に言えば常に受験態勢だったとでもいえばいいか。

 

 だから実は密かに学校生活というものを楽しみにしている自分がいる。多感な時期である少年少女らと交友を深めるというのは、中々新鮮だろうし。

 

 それに今世の両親は何と言うべきか、放任主義のきらいがある。だから基本気ままにさせてもらっている。部活に入りたいと言えば好きにさせてくれるだろうし、仮に道具を使うスポーツを選択したとしても、恐らく両親はお金を出し惜しみすることはないだろう。

 

 前世の両親にも頭は上がらないが、無論今世の両親にも感謝している。前世今世共に、本当に良い両親に恵まれた物だ。

 

 とはいえ、一体どんな部活に……

 

 

 「……あの子」

 

 

 ―――――――ふと、ある少女が目についた。

 

 

 別に容姿が優れているからとか特段そんな理由ではない。……訂正、顔面偏差値は高い方だ。だがそのことに目を奪われた訳ではない。

 

 黒縁の眼鏡をかけ髪を短くそろえながらも、もみあげは肩に軽く触れる程度に伸ばしている少女。第一印象としては、少しばかりドライな感じ。自分と同様の制服を身に着け、またこの時間帯に登校している事から恐らく少女も自分と同じ新入生になると予測できる。

 

 何より自分に強い印象を持たせたのは、彼女の醸し出す雰囲気だ。それも前世にて、自分が海外で活動していた頃に頻繁に見ていたモノに近い。

 

 言うならば陰気。ただならぬ暗い感情が見え隠れする。

 

 

 「……少し、様子を見るか」

 

 女子にモテるなどという目標は後回しだ。

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 「来ないな」

 

 校門の前で一人。自分は件の少女を待っていた。

 

 入学式は滞りなく進められ、校長の話が終わると教室に案内された。担任となる教師の話は申し訳ないが軽く聞き流し、その間は少女を具体的にはどう話しかけようかと模索していた。

 

 そうして考え耽っている内にHRは終わっていた。解散の号令がかけられると自分はすぐさま教室を飛び出ては、この校門に張り付いたという次第である。

 

 ここに居座れば、どんなに時間が掛かっても少女を見つけることが出来る。彼女がどのクラスに編入されたか分からない以上、自分はこの手が一番確実だと考えたのだ。

 

 「しかし、思っていたよりも遅いな。入学当初からやることなんてそうないだろうに」

 

 顔も幼いながらも整っていたし、もしかしたら入学早々口説かれたりして。

 

 ……だとしたら、それは、何か凄いな。羨ましいというかなんというか。自分も女の子からモテたいものだ。

 

 「……ああ、全く何を考えているんだ」

 

 はぁ、と白い息を吐く。しょうもない事を考えているなと思いつつも、目だけは下校していく生徒たちから少女を見つけるため忙しなく動いていた。見過ごすことだけは絶対に頂けない。

 

 なんせ少女のあの目と雰囲気は、あまりにもこの国にそぐわない暗いモノだった。

 

 放っておける訳ない。自分は前世であんな目をした人たちを、自分の手の届く範囲内で何とかしてきたつもりだ。彼女だけを例外にする訳にもいかない。どうにかできるかもしれない人間がどうもしないのは、それは嘘だ。

 

 「……いた」

 

 見つけた。

 

 例の少女が校門から出て、登校時と全く同じ道を歩いていく。その後ろ姿はやはりどこか陰気さを感じさせ、また人を寄り付かせない寂しいものだった。

 

 ますます何とかしなければと思った。どれだけ後ろ暗い過去があるのかは分からない。ひょっとすれば自分はただ悪戯に彼女の抱える悩みをかき乱すだけに終わるかもしれない。

 

 だが、何もしないのは【自分】ではない。

 

 「待ってくれ、そこの君」

 

 自分の生き方を変えるだなんて、そうそう出来ることではないのだ。

 

 

 




Q:キリト君についてどう思いますか?

A:リア充爆発しろ。つーか女性の口説き方教えてください。

Q:SAOのヒロインで一番好きな子はだれですか?

A:シノン。というか、キリト君女の子囲い過ぎじゃない? 一人くらい、別に良いよね?

以上が、作者がこの作品を作ろうと思った経緯です。

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