怪獣と骸骨の異世界蹂躙物語   作:きょろりん

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恐怖のゾルディオ

※誤字報告がありましたので訂正しました!


6話 恐怖と絶望の神

・・・よし。ここまでは《簡易転移(イージーテレポーテーション)》でやれたな。でも連続発動はやっぱ酔いそうだな・・久しぶりだからかな。・・・早く慣らしとこ。

 

地獄の猟犬(ヘル・ハウンド)を潰した次に悪魔たちがぞろぞろ出てきた。それを見て

 

 

「さあ、恐怖と絶望に飲まれろ・・・」

 

 

そう呟いた。

 

ゾルディオは両手を横に伸ばし、胸の中央に指先を集め、そのまま前に出した。そしたら、目の前に太陽と見間違えるほどの光を放った球は一直線に悪魔たちに向かった。

 

 

 

あれは・・・《火球(ファイヤーボール)》でしょうか?そうデミウルゴスは疑問に思った。しかし《火球(ファイヤーボール)》にしては出も速く、あそこまでの輝きをしない。いったい何なのでしょう。

 

そう他のNPCたちも思っただろう。しかし、あの球をただの《火球(ファイヤーボール)》と同じと思ったものは後悔するだろう。

 

 

ゾルディオが放った光の玉は悪魔に命中した。その瞬間ものすごい爆発音とともにその場にいた悪魔は一体残さず消えていた。

 

 

「な!?」

 

その光景を見た者は恐怖した。たった一撃で半分の悪魔が消滅したのだ。

 

「まさか・・たった一撃で・・・あれほどの威力なんて・・」

 

「アノ攻撃ヲ食ラッタラ・・・甲殻装甲ハスベテ破壊サレルヤモシレン」

 

なんと恐ろしい攻撃をお持ちなんだ!!デミウルゴスは恐怖を感じるとともに喜びを感じていた。流石は至高の御方の中で「滅亡の邪神」と恐れられていた御方だ。その戦い方はまさに「邪神」。恐れ入りました。

 

 

 

(・・・やべ。あんなに威力出んのか・・・・)

 

ゾルディオが出した特殊攻撃《一兆度の火球》は魔法《火球(ファイヤーボール)》を無理やり第8位階魔法にしたようなものだった。本人もまさかここまでの威力が出るとは思ってもいなかった。

 

 

 

半分程残った悪魔は決死の覚悟でゾルディオに襲い掛かった。だがそれはむなしくも《簡易転移(イージーテレポーテーション)》で躱され、

 

「・・!?」

 

攻撃を躱された悪魔たちの3分の1が謎のカプセルに閉じ込められた。閉じ込められなかった悪魔は仲間のカプセルを破壊しようと試みるが、カプセルには傷一つつけられなかった。

 

 

「?・・・あのカプセルはなんでありんしょうか?」

 

「フム、敵ヲ捕ラエル罠ト思ウノガ妥当ダガ・・」

 

「ですが、それだけのために使うとは考えにくいですね・・・」(恐らく捕らえたカプセルごと破壊するのでしょうか?)

 

そう思っていたが、そんな思いはすぐに壊された。

 

悪魔たちが捕らえられたカプセルの中からガスのようなのが噴き出ており。しばらくするとガスは充満し、悪魔は叫んでいた。そして叫びがなくなるとカプセルは開かれ、中には・・・

 

 

「ふむ、よくできているな」

 

 

石像になった悪魔の姿があった。会場はその無残な光景を見て絶句した。

 

「!?こ・・これは!?」

 

「ナント!?」

 

「なんと・・・なんと恐ろしい・・・」

 

 

デミウルゴスは自分の考えを恥じた。ただ捕まえるだけのカプセルと思っていた自分を。捕まえたのではなく石像にしたことに恐怖を感じないものはいないだろう。

 

しかし配下たちは石像を見てこう思った。ここまで美しい石像はないと。そう。彼らは恐怖しながらもその像を美しいと思い、尊敬した。

 

「恐ろしい中にも美を感じられるでありんす」

 

「まったくだ。我々も見習わなければならないね」

 

「戦イノ中ニモ美ヲ追求スルトハ・・・感服イタシマシタ」

 

そう思い、さらなる忠誠を誓った。

 

 

カプセルを瞬時に相手の真横に出現させ、閉じ込め像にする特殊攻撃。「ヒッポリトカプセル」は閉じ込めた相手を容赦なく像に変える即死スキルだった。しかしこのスキルも使用制限があり、1日2回までのものだった。このスキルのおかげでゾルディオは一時期、他プレイヤーから嫌われていた。このスキルの対応策専用の掲示板が作られるほどに。

ついたあだ名が「初見殺し」、「人間ホイホイ」だった。

 

 

 

(さて、そろそろフィニッシュだな)

 

ゾルディオは上空に飛び、悪魔たちを見下ろした。

 

 

「消え去るがいい」

 

 

そう呟き、真下にいる悪魔たちに《一兆度の火球》を上回る火炎の隕石が降り注いだ。その瞬間、闘技場が光に包まれた。

 

《トリリオンメテオ》

その特殊攻撃は《一兆度の火球》を超えた破壊力を持ち、それがまるで隕石のように降り注ぎ、敵を塵と化す。まさに破壊の象徴たる攻撃だ。

だがその破壊力と引き換えにMPもかなり使う。これを3回ほど使ったらMPはそこを尽きるだろう。

 

 

光が消えると、そこには燃えつくされクレーターになった大地と、塵一つ残さない闘技場があった。

 

ゾルディオはその闘技場の真ん中に静かに降り、観客席に向かって

 

 

「みなさん、私の戦いはいかがでしたか?」

 

 

そういうと、NPCたちは一斉に立ち上がり、

 

「ゾルディオ様、万歳!!ゾルディオ様、万歳!!」

 

歓声が響き渡った。ゾルディオは手で歓声を止めた。

 

「ありがとうございます。それではこれより、守護者シャルティアとの模擬戦を行います」

 

そう言うとすかさずアウラとマーレが出てきて、

 

「それでは闘技場を直しますので!」

 

「えっと、ゾ、ゾルディオ様は、どうぞ休憩してください」

 

「すみません、お二人に迷惑かけてしまい・・」

 

「!い、いいんです!いいんです!ゾルディオ様の戦うお姿が見れただけで満足です!」

 

「そ、そうです!これくらい!ぜ、全然!大丈夫!です!」

 

「そうですか・・・ではよろしくお願いします」

 

「「はい!」」

 

 




モモンガ(あまり派手にやらないでくれって言ったのに・・・)ゴゴゴゴ・・・
ゾルディオ(・・なぜか寒気が・・)

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