※誤字報告がありましたので、訂正しました!
セバスはツアレを連れ部屋を出た数分後、何故かセバスは顔を真っ赤にして戻ってきた。
「どうしました?セバス。熱でもあるのですか?」
そう心配そうにゾルディオが訊くと、セバスは一瞬慌ててすぐに呼吸を整えた。
「い、いえ、何でもありません。あのような失態をしてしまった私ごときに、ご心配してくださりありがとうございます」
「いえいえ、そんな感謝されるようなことはしていません。それに、何もなければそれでいいです」
「・・・では、そろそろ話をするぞ。セバスよ、ツアレの処分についてだが・・・」
「はっ」
「私の考えとしては、記憶を弄り金でも与えてどこかに放り出そうと考えているんだが・・・私の今の案より、良い案を考えている者はいるか?」
そうアインズが言うと、横にいたデミウルゴスが一歩前に出て
「私の意見をよろしいでしょうか?」
「うむ、なんだ?」
「はい、そのようなことをせずとも殺してしまえばよいのではないかと・・・」
デミウルゴスの意見に、アインズは考えるそぶりをした。
そして、同時にセバスの内心は慌てていた。このままではツアレは殺されてしまう。そう思い別の意見を言おうとした時、
「デミウルゴスには悪いですが、その案は私としては止めて欲しいですね。あまり無駄な殺生は好きではありません。それよりも、何か他に利用価値がないかを考えたほうが良いかと」
ゾルディオが手を上げ発言した。
「私もそう思っていたところです。すまないな、デミウルゴス」
「いえ、至高の御方々のお考えこそ優先すべき案です。お気になさる必要はございません」
殺すという案が消え、セバスは心の中で安堵した。
するとデミウルゴスは新たな案として、デミウルゴスが管理している混合魔獣(キマイラ)の牧場で働かせるという案を出した。
そこから少し話がずれて、混合魔獣の新たな利用方法や餌の話になった。そして、アインズとゾルディオははデミウルゴスの良い働きに満足しつつ、話を戻しその案を候補として考えた。
すると、セバスがまた違った案を出した。
それは、ツアレをナザリックで働かせるというものであった。
その案に、アインズはどのような利益をもたらすかを聞いたところ、ツアレは一般的な家庭料理することができ、今後の指導によってはナザリックに出せるレベルになると言った。
だが、その案にデミルゴスは反対気味に意見を言い、セバスと口論となった。
そして、その様子をただただ見ているアインズとゾルディオは
(ゾルディオさん)
(はい)
(なんか、あの二人を見ていると懐かしく感じますね)
(ええ、本当に。セバスがたっちさんで、デミウルゴスがウルベルトさん)
(そういえば、よくどっちのモンスターを狩るかで喧嘩してましたね)
(そうそう。しかも、何故か他の所でも戦闘が勃発しそうにもなりましたね)
(ありましたね!それでもって、最終的には多数決で決めてましたね)
(・・・ふふふ)
(はははっ)
「イイ加減ニシロ!至高ノ御二方ノ御前ダゾ!」
コキュートスの怒りを含んだ声に、デミウルゴスとセバスは我に返った。すぐに二人は、アインズとゾルディオの方に振り返り頭を下げた。
「至高の御二方の前で、失礼いたしました!」
「大変愚かな行為をお見せしてしまい、申し訳ございません!」
二人の謝罪に、アインズとゾルディオは
「あっはははは!」
「あははははは!」
今まで聞いたことのないような大きな笑い声を上げ、楽しそうにしていた。
その様子に、シモベたちは何が起きたのかわからない状態でいた。
「ははははは!構わん!構わんぞ!二人とも!そうやって喧嘩をしないとな!」
「くっくくく・・・ははははは!」
一体何が二人の琴線に触れたのかわからないが、とりあえず何とかなるかもしれないとセバスは思った。
「ははははは・・・あ、抑制されてしまいました」
「ちっ、こっちもです。まあ、仕方ないですね」
そう言って、名残惜しそうにしていた。
「それで、セバスよ。ツアレを私の前に連れてきてくれ。それから決めよう」
「!はっ。畏まりました」
セバスはすぐに部屋を出て、ツアレを連れてきた。
「アインズ様、連れてきました」
「ああ」
そう言うと、アインズとゾルディオはツアレをじっと見つめた。
「・・・似てますね」
「ええ・・・よく来たな、ツアレ。最初に言っておくが、私は通常警告は一度しかしない。理由は、私はその者の選択を尊重するからだ。たとえ、その選択をした結果がその者に不幸をもたらすとしてもな。今のを踏まえたうえで、お前にいくつか質問をする。この質問に嘘、または偽りを言った場合はそこで終了、私が望む答えを言わなくても終了だ」
ツアレはアインズの話を聞いて唾を飲み込んだ。それもそのはず、アインズが言っていることは脅しに近いものなのだから。
「では質問だ。お前のフルネームは?」
セバスは何故そんなことを聞くのか疑問に思った。そんなことを聞いてどうするというのか、主人の意図を掴めずにいた。そして、心の中でツアレが正直に答えてくれることを祈った。
ツアレはしばらく沈黙し、ぽつりと小さな声で答えた。
「ツ・・・ツアレ・・・ツアレニーニャです」
「下の名は?」
「・・ツアレニーニャ・ベイロンです・・・」
「・・・なるほど。では聞こう。お前はこれからナザリック地下大墳墓に行き、そこで暮らすという事でいいのか?ナザリックには人間がいない地だ。だから、お前に適した場所かどうかは不明だ。それでもいいのか?私の財を与え、遠く離れた人のいる地で暮らすという選択もあるが・・・」
アインズの誘いに、ツアレは一切の迷いなく答えた。
「セバス様と・・・一緒がいいです」
「・・・良いだろう。ゾルディオさんは・・・聞かなくてもいいですね」
そう言うと、ゾルディオは小さくサムズアップして答えた。
「・・・では、これよりツアレニーニャ・ベイロンは、私アインズ・ウール・ゴウンの名のもとに保護される。ナザリック地下大墳墓の客人扱いとして―――」
その後、ツアレは正式にナザリック地下大墳墓の一員となり、セバス直轄のメイド(仮)となっり、プレアデスの一人になった。そのため、
そしてそのままアインズ達はナザリックへ帰還し、セバスたちは撤収準備をし明日帰還となった・・・のはずだった。