怪獣と骸骨の異世界蹂躙物語   作:きょろりん

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侵略者を撃て

34話で明かせなかった、ナザリックに1500人が攻め込んできたときの話です。ここまで明かせずにすみませんでした!

※誤字報告がありましたので、訂正しました!


52話 守護神と言われた理由

玉座の間での報告会を終えたゾルディオはすぐに自分の部屋に戻り、星人を生み出していた。

 

「上位星人創造『ヤプール』、『バルタン星人』、『ダークバルタン』」

 

そう言うと、ヤプールとセミをモチーフにした人型の宇宙人が二体生み出された。

生み出された三体の宇宙人は跪いた。

 

「何かご用でしょうか?陛下」

 

「これからあなたたちには重要な仕事をしてもらいます」

 

「「「はっ」」」

 

「では、最初にヤプール。貴方には明日、ナザリックの兵を一気に『空間移動』で移動させてほしいのですが・・・できますか?」

 

「数はどれくらいでしょうか?」

 

「六千ほど」

 

「・・少々不安ではありますができるかと」

 

「わかりました。では明日頼みます」

 

「了解しました」

 

「次にバルタンたち」

 

「「はっ」」

 

「貴方達はこれから王都に向かい、セバスたちの周辺の監視を命じます。セバスには事前に私から言っておきましたので、貴方達は王都についたら誰にも見つからずに、セバスたちが滞在している住居に向かってください。何かあればセバスに、もしくは私に《伝言》をしてください」

 

「畏まりました」

 

そう代表してバルタン星人は言った。

 

「では、早速お願いします。ヤプール、彼らを王都の近くまで移動させてください。それが終わったら、ここで明日まで待機」

 

「はっ」

 

「私はこれから別の用がありますので」

 

ゾルディオはそう言うと扉に向かっていった。その後ろ姿に四体の宇宙人は深々とお辞儀をし、見送った。

 

 

 

 

ゾルディオは自分の部屋から出ると、深く深呼吸をした。

 

(・・ふぅ、説明あれで大丈夫だったかな?前回は俺の説明不足で最悪の事態になってしまったしな。今度はそうならないようにしたいな。さてと、俺は俺の用事を済ますかな)

 

そう考え、ゾルディオは一人廊下を歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「♪~」

 

副料理長は鼻歌を歌いながら、グラスを磨いていた。その時、

 

 

カランコロン

 

 

「いらっしゃいませ・・・!」

 

バーに入って来た人物を見て、副料理長は心の中で喜んだ。なぜなら入店したのは、

 

「マスター、約束通り来ましたよ」

 

そう言い、ゾルディオ、デミウルゴス、コキュートスの三人が入ってきた。

 

「お待ちしておりました。どうぞお座りください」

 

デミウルゴス、ゾルディオ、コキュートスの順にカウンターに座った。

 

「何にいたしましょう?」

 

「では、前回と同じものを」

 

「では、私もゾルディオ様と同じものを」

 

「我モダ」

 

「畏まりました」

 

そう言って、副料理長は三人に色鮮やかなカクテルを出した。

 

「では、いただきましょう」

 

「「はい」」

 

三人はまず色を楽しみ、その後カクテルを口に運んだ。

 

「・・・やっぱりおいしいですね。流石はマスター」

 

ゾルディオが褒めると、副料理長は頭を下げ

 

「恐縮でございます」

 

「・・少々気になっていたのですが、その『マスター』と言うのはなんでしょうか?」

 

「ここのバーのマスターをしているので、私はそう呼ばせていただいてます」

 

「そうでしたか。では、私もそう呼ばせていただきます」

 

「ウム、我モソウシヨウ」

 

と、他愛のない会話をしていると突然デミウルゴスの表情が真剣なものに変わり

 

「ところでゾルディオ様。今回、私たちをお呼びしたのは先ほどの失態をしてしまった際の罰だと思うのですが・・・」

 

「ええ、そうですが」

 

「なぜ、バーで一緒に飲むことが罰なのでしょうか。非才な私めにどうかお教え願います」

 

「我ニモドウカ、オ願イシマス」

 

そう言われると、ゾルディオは首を傾げた。

 

「?そんな大した理由じゃないですよ。ただ純粋にあなた達と酒を飲んで他愛のない話がしたいだけですよ。だから、そんなに硬くならなくてもいいですよ」

 

その答えを聞いた二人は一秒ほど上の空になった後、正気に戻ったのか少し慌てて

 

「そ、そうでしたか。であれば、余計な考えは不敬に当たるもの。この度は、私どものためにこのような場を設けてくださり、ありがとうございます」

 

「ミスヲ犯シ、無礼ナコトヲ申シタタニモカカワラズ、我々ニ多大ナマデノ慈悲ヲオ与エクダサリ、感謝シテモシキレマセン」

 

「いいんですよ。いままでコキュートスのそう言う我儘を聞くことは無かったので、私もアインズさんもそれが嬉しかっただけですよ」

 

「「おお・・・」」

 

ゾルディオの言葉に二人は感動していた。

 

「さ、それよりも二人は何か私に聞きたいことは無いですか?いまならどんなことでも答えましょう」

 

そう言われ二人は顎に手を当て考え出した。そして、最初に口を開いたのはコキュートスだった。

 

「無礼ヲ承知デオ聞キシテモヨロシイデショウカ?」

 

「構いませんよ。なんですか?」

 

 

 

 

 

「デハ・・・アインズ様トゾルディオ様デハ、ドチラガオ強イノデショウカ?」

 

 

 

 

 

「っ!」

 

コキュートスの問いに、デミウルゴスの頭にまるで雷が落ちたかのような衝撃が走った・・・ような表情になった。

 

「うーん、そうですねぇ・・・」

 

そう言い、ゾルディオは顎に手を当て考えた。その間、答えを待っている二人はゴクリと喉を鳴らした。

 

「・・真向勝負でしたら私が勝ちます」

 

その答えに、二人は納得の表情でいた。

 

 

 

 

 

 

 

「まあ、あくまで真向の場合は、ですけどね」

 

 

 

 

 

 

 

「「!」」

 

「ソレハドウイウコトデショウカ?」

 

「そのままの意味です。アインズさんが何も対策をしていなければ普通に勝てると思います。ですが、もし対策をしていた場合私の例えば勝率は8:2だったものが6:4まで下がりますね」

 

「なんと・・・あそこまでお強いゾルディオ様が・・・」

 

「ええ、ってそう言えば守護者たちは知らないのでしたか。アインズさん、PVPでの勝率は五割を超えているんですよ。言い方が悪くなりますけど、戦闘にあまり向いていないのによく勝てると思いますよ」

 

それを聞き、二人の守護者は改めて「アインズ・ウール・ゴウン(モモンガ)」という自分たちの頂点に立つ者の凄さを感じていた。

 

「ま、実際私も一回負けてるんですけどね」

 

「!アレホドオ強イゾルディオ様ガデスカ!?」

 

「それは負けますよ。アインズさんは相手の動き、性格、戦略を充分知った上で、戦う前から大まかな戦略を立て、その戦略通りに事を運ぶ人なんですから」

 

ゾルディオの話に、守護者二人はまるでハトが豆鉄砲を食らったような表情をしていた(コキュートスはなんとなく)。

 

「・・いやはや、アインズ様は本当に私たちを驚かせてくれます。アインズ様は至高の御方々のまとめ役であり、膨大な知識をお持ちな上に、戦いにおいても超一流の才をお持ちになられている・・・不敬ですが、私は無意識にアインズ様を過小評価していたのやもしれません」

 

デミウルゴスに同意するようにコキュートスも頷いていた。

 

「無礼ナ質問ニオ答エイタダキ、アリガトウゴザイマス」

 

「いえ、これくらい別にいいですよ」

 

「では、次は私が・・・」

 

 

 

「ゾルディオ様は・・・このナザリックに人間の愚か者どもが攻め込んできた日、何をしておられたのでしょうか?」

 

 

 

デミウルゴスがその質問をした瞬間、ゾルディオの雰囲気が暗くなった。

 

「・・・それはどういう意味ですか?」

 

「そのままの意味です。あの日、ゾルディオ様以外の至高の御方々はナザリックにおりませんでした。そして、ゾルディオ様がナザリックから地上に向かっていくところをお見掛けしたと、シャルティアが言っておりました。そして、ゾルディオ様がナザリックから外にお出になられた数時間後、愚かな人間どもがナザリックに攻めてきたのです。つまり――」

 

「ツマリ、アノ日ゾルディオ様ハナザリックニ至高ノ御方々ガオラレナイコトヲ見計ライ、人間ドモガ容易ニ攻メ込メルヨウ手筈ヲ整エタ。ソウ言イタイノカ、デミウルゴス」

 

そう言い、コキュートスは殺気を露わにしデミウルゴスに訊いた。

 

「・・・はぁ、そんなわけがないでしょう。私は、ただあの日の出来事とゾルディオ様の行動が何故か一致しているように感じ、純粋に訊いただけだ。そのようなことを考えるはずがないでしょう」

 

「ダガ、ソノ訊キ方ハソウデアルト言ッテ――」

 

「いいですよ、コキュートス」

 

「シカシ――」

 

「いいんです。あの日、ナザリックに侵入者を入れ込んでしまったのは、

 

 

 

 

 

私のせいですから」

 

 

 

 

 

「「!?」」

 

ゾルディオのその発言に、デミウルゴスとコキュートスは驚愕の表情になった。

 

「ゾ、ゾルディオ様、それは一体・・・」

 

「・・・実はあの日、他のメンバーはモンスターを狩りにナザリックの外に出ていたのですが、私はその時一人準備に少し手間が掛かっておりましてね。準備を整え、私も他のメンバーの後を追おうと外に出た時にはもう、このナザリックに1500人ほどの人間たちが攻め込もうとしていたところでした」

 

「・・その時、他の至高の御方々に連絡を取ることはできなかったのしょうか?」

 

「私はすぐに《伝言》を使おうと試みましたが、それはできませんでした。どうやら人間たちの妨害により、ナザリック周辺に《伝言》等の連絡系が使用することができない魔法が、すでに施されていたようでした。私はこのままでは、ナザリックが危険だと判断し、一人でその多くの人間たちの相手をしました。結果は知っての通り、私はその人間たちに敗北し、ナザリックへの侵入を許してしまいました」

 

「・・・そうでしたか」

 

ゾルディオが人間たちに敗北したと聞き、デミウルゴスとこんなことを聞いてしまった自分を責めた。

 

「・・まあ、一人と言うのは間違いでしたね。私の創造した怪獣・星人たちとともに、相手をした結果、

 

 

 

 

敵を半分ほどしか減らせませんでした」

 

 

 

 

「「!?」」

 

「出来ることならせめて3分の2は削りたかったのですが・・・」

 

デミウルゴスとコキュートスは言葉を失った。ゾルディオの強さは、シャルティアとの戦いで十分にわかっていたつもりだった。

だが、それは早計であったと気づいた。あの時、自分たちはゾルディオが残した半分の数だけで愚かな人間どもを第8階層までの侵入を許してしまった。つまり、ゾルディオが本当に力を振るおうと思えば、守護者全員がそろわなければ勝つことは無いほどだと思い知った。

 

「・・・申し訳ございません、ゾルディオ様」

 

「ん?」

 

「私は、いえ、私達はゾルディオ様の御力なしではナザリックをお守りすることはできなかったでしょう。守護者という大切な役職に就きながら、あの時私たちは第8階層までの侵入を愚かな人間どもに許してしまいました。私達にもっと力があれば、このようなことにはならなかったはずです。ゾルディオ様、本当に謝罪すべきは私たちです。あの時は、私たちの力が及ばず、申し訳ございません」

 

そう言い、デミウルゴスは立ち上がりゾルディオに向かって深く頭を下げた。それに続くようにコキュートスも立ち上がり、

 

「我モ、守護者ノ身デアリナガラナザリックヲオ守リスルコトガデキズ、申シ訳ゴザイマセン。我ラガ不甲斐ナイバカリニ・・・」

 

そう言ってコキュートスも頭を深く下げた。

 

「頭を上げてください」

 

「しかし・・・」

 

「頭を上げてくだい」

 

「「・・・」」

 

そう言われ、二人は頭をゆっくりと上げた。

 

「あれはあなたたちの責任ではありません。なので、謝る必要はないんですよ。それに、結果ナザリックは守られた。それでいいじゃないですか」

 

「「ゾルディオ様・・・」」

 

「さ、暗い話は無しです。もっと飲んで、もっと話しましょう!今回は親睦を深めるために呼んだんですから!」

 

「「・・・はい!」」

 

 

 

その後、ゾルディオたちは次の日の朝まで話が盛り上がったという・・・

 

 

 

 


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