怪獣と骸骨の異世界蹂躙物語   作:きょろりん

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ゾルディオの誓い

※誤字報告がありましたので、訂正しました!


41話 一騎打ち

ゾルディオは上空からシャルティアを見つめていた。

 

「・・・あまりこういうことはしたくないけど、状況が状況だからな。《トリリオンメテオ》」

 

ゾルディオはシャルティアの頭上に《トリリオンメテオ》を放った。隕石のように振り注がれる火球は、身動き一つしないシャルティアに直撃し、周囲を覆いつくす程の爆発が起こった。

 

「これでいくら食らうかな・・・」

 

しだいに爆発は止み、ゾルディオは地面に降り、シャルティアの姿を確認した。そこには

 

「あははははは!とーっても痛かったですよ!ゾルディオ様!」

 

まるで攻撃が効いていないかのように笑っているシャルティアがいた。

 

「急な攻撃、すみませんね。シャルティア」

 

「とても残念!こんなに強くて優しいゾルディオ様を、この手で殺さなくてはならないなんて!」

 

「・・・シャルティア。なぜ、私に様を付けるのですか?貴方の仕えている主人は?」

 

「何をおかしなことを。至高の御方々に様を付けるのは当然のこと。それに私の主人は・・・・あれ?私の、主人?誰?」

 

シャルティアはきょとんとしながら

 

「それに、なぜ私はゾルディオ様を殺さなきゃいけない・・・攻撃されたから?でもなぜゾルディオ様は私を?」

 

ゾルディオがかろうじて聞こえるくらいの声でぶつぶつと何か言っている。

 

「・・よくわかりませんが、攻撃されたからには全力で滅ぼす必要があります!」

 

「・・・そうですか・・・わかりました」(今の状態はな・・)

 

「ふふふっ、ゾルディオ様ともあろう御方が力を抜いているように見えますが、そんなので私に勝てると?」

 

「思ってませんよ。それにそんなこと言ってる場合ではないのでは?力を抜いている今が攻撃のチャンスじゃないんですかね?」

 

「では、お言葉に甘えて!」

 

そう言うとシャルティアは、地上をランスの穂先を前に向けながら高速で突進してきた。

 

「おっと」

 

ゾルディオはランスが当たる寸前、再び飛行して上空へよけた。だが

 

「逃がしませんよ!ゾルディオ様ぁ!」

 

シャルティアもすぐに羽を羽ばたかせ追いかけてきた。

 

「これでも食らえ!」

 

ゾルディオは「ウルトラブレスレット」に触れた。形状は「ウルトラランス」を小型にしたものだった。それを一直線に追いかけてくるシャルティアにめがけ投げた。

 

「!くっ!」

 

シャルティアは当たる寸前に何とか躱した。すると、躱された小型ランスは地面に落ち大爆発を起こし、クレーターを作った。

 

「ちっ!」

 

ゾルディオは小さく舌打ちをし、シャルティアに向かっていった。

シャルティアはそのままスポイトランスを向けたまま高速で突っ込んだ。ランスがゾルディオに刺さる瞬間、ゾルディオは転移して躱した。

シャルティアは速度を落とし周囲を見渡した。すると

 

「はっ!」

 

ゾルディオの声とともに《一兆度の火球》が飛んできた。

 

「《上位転移(グレーター・テレポーテーション)》!」

 

シャルティアも当たる寸前で地上に転移した。

 

「逃がすか!」

 

ゾルディオは追撃するようにシャルティアに向かって急降下キックを放った。

 

「はぁ!」

 

シャルティアはそのままゾルディオのキックをスポイトランスで受け止めた。そしてゾルディオはすぐさま転移し、

 

「腹ががら空きだぞ!」

 

シャルティアの腹に掌打を放った。

 

「ぐぅ!」

 

掌打を受けたシャルティアは後ろにのけ反った。

怯んでいるシャルティアにゾルディオは続けて頭の触覚から凄まじい電撃を放った。

 

石壁(ウォール・オブ・ストーン)!」

 

シャルティアを覆うほどの石の壁がゾルディオの電撃を防いだ。石の壁はそのまま砕かれたが、電撃も同時に消えた。

 

「《魔法最強化・(マキシマイズマジック・)(ブリリアント)(レイディアンス)》!」

 

石の壁から姿を見せたシャルティアはゾルディオに向けて神聖属性の魔法を放った。その魔法はゾルディオを光に包み込んだ。

 

「ぐぅぅ!」

 

ゾルディオは不意の攻撃に反応できず魔法を受けた。そしてシャルティアは

 

「《清浄投擲槍》!」

 

《清浄投擲槍》を続けて二発連続で放った。躱すことはできないだろうと考えたゾルディオはそのまま槍を受けた。

 

「がっ!ああ!」

 

「あははは!その程度ですか!ゾルディオ様!」

 

「クソ!舐めるな!」

 

ゾルディオは右手に炎を集め、右手を上げ集まった炎を上空に投げた。投げられた炎はまるで太陽のように輝き、そしてゾルディオが腕を振り下ろすと炎は地面に向かって落とされた。シャルティアとゾルディオの周囲に炎が広がり、やがて炎は消える。すると、突然シャルティアの近くの地面から次々と炎が噴き上がった。

 

「こ、これは!?」

 

その炎はゾルディオが手を上げるたびに地面から噴き上げていた。次々と噴き上げられる炎は、シャルティアの逃げ場を無くしていった。

 

「《炎魔地獄》」

 

そう呟き、シャルティアに向かって右手を挙げた。すると、シャルティアの足元から炎が噴き出した。

 

「あああああ!」

 

すると、次第にシャルティアのもとに所々地面から噴き出した炎の柱が近づいていく。それに気づいたシャルティアは体を霧散化させ脱出し、空中で姿を戻した。

 

「はぁ、はぁ、《魔法最強化・(マキシマイズマジック・)大致死(グレーターリーサル)》」

 

シャルティアは傷ついた体を負のエネルギーで回復をした。

 

「流石はゾルディオ様。凄まじい攻撃です」

 

「貴方もなかなかです」

 

「ふふふ、お褒めいただき光栄ですが、それでもゾルディオ様に致命的な攻撃を与えることは出来ません」

 

「だとしても貴方の強さは本物。一対一では今の私と互角なのですから」

 

「でしたら、あのお姿になればよろしいのでは?あれでしたら私を殺すことなど容易いはずです」

 

「まぁ・・そうなんですが・・・・約束しましたから」

 

「約束?」

 

ゾルディオの言葉にシャルティアは虚を突かれ、スポイトランスを持つ手が緩んだ。

 

「貴方と約束しましたから。貴方とはあの姿でもう戦わないと」

 

「そんなことを言っている場合ではないのでは?」

 

「はは、確かにそうですが・・・私はこう見えて一度した約束は必ず守る主義でして」

 

「・・・本当にお優しい方ですね。ですが、その優しさが命取りともなりますよ」

 

 

 

 

 

 

 

「たとえ命取りになろうがなんだろうが、仲間とした約束はたとえ敵になろうと破りません」

 

 

 

 

 

 

 

「!!」

 

ゾルディオの言葉にシャルティアは驚くとともに、その瞳から涙がこぼれた。

 

(なぜ私は涙を?なぜこんなにも胸が苦しいの?私はなぜゾルディオ様と戦っている?わからない・・・でも、戦わなきゃいけない)

 

「さて、お話もここまで。続きと行きましょう」

 

 


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