怪獣と骸骨の異世界蹂躙物語   作:きょろりん

40 / 60
精神支配の謎を追え!

※誤字報告がありましたので、訂正しました!毎回毎回、申し訳ございません!


38話 最悪の結果

アインズは冒険者組合で、吸血鬼の偵察及び討伐を引き受け、冒険者の姿でルプスレギナ、ナーベラル、ハムスケを連れて森へ向かっていた。しかし、それに同行するもう一つの冒険者チームがあった。

それはチーム「ユグドラシル」と同じミスリルのプレートを持つ、チーム「クラルグラ」であった。

 

(付いてきたら確実に死ぬといったのに・・・お前たちに恨みはないが、恨むなら忠告を聞き入れなかった自分たちのリーダーを恨むんだな)

 

「おい!何ボサッとしている!先頭に立つならちゃんと警戒しろ!」

 

そう叫んだのは、「クラルグラ」のリーダー、イグヴァルジだ。イグヴァルジは武器を構え戦闘態勢に入っていた。他のメンバーも同様に武器を構えていた。

 

「おい!そこに隠れている奴!ゆっくりと姿を現せ!」

 

イグヴァルジが、人間が一人隠れられる木に向かって声を掛けた。

周囲が殺気で満ちている中、アインズは平然とその木に向かって歩いていった。その後ろから「ユグドラシル」のメンバーも当然のようにつき従う。

すると、ゆっくりと木から一人は青の鎧武者、もう一人はアインズと同じ色の鎧に身を包んだ二人組が姿を現した。

その二人組にアインズは近づき、

 

「ゾルディオさん、待たせました。それとご苦労だ、アルベド」

 

「いえ、こちらも今来たところなので。そちらもご苦労様です、アインズさん」

 

「ありがとうございます、アインズ様」

 

そう言い、アルベドは臣下の礼を取る。

 

「うむ。それで―――」

 

「待て!一体誰なんだそいつらは!?それに、貴様の名はモモンじゃなかったのか!?説明してもらおうか!」

 

アインズの後ろから大声で質問が投げかけられる。

臣下の礼を取っているアルベドは、その質問をしたイグヴァルジを物凄い殺気を纏いながら睨みつけた。殺気を向けられた

 

「クラルグラ」のメンバーは全員顔から血の気が引き、足をガタガタと震わせている。

 

「紹介しよう。私の友人のゾルディオさん。そして私の仲間のアルベドだ」

 

「アインズ様、私ごときを仲間と仰っていただき、ありがたき幸せでございます。ですが、私は貴方様の忠実な臣下でございます」

 

「ああ、そうだったな。前言撤回だ。彼女は私の臣下だ。それで質問の答えは満足かな?ではアルベド。連絡した通りに次に移れ」

 

そう言うと、アルベドは男たちに向かっていった。

 

「そういえば忘れていたな。彼は私のチームの副リーダーでもあるのだ。あと、私の名前はモモンではなくアインズと言う」

 

「ま、覚えてももう仕方のないことですがね」

 

「さてアルベド、そいつらを始末しろ。捕縛するのは・・・・二人だな。魔法的な手段での交信に対する心配はいらん。もうすでに手は打ってある。ああ、死体はナザリックに回収しておいてくれ。あとで、上位アンデッドの媒介になるかの実験に使用する」

 

「畏まりました」

 

「私はゾルディオさんと話すことがある。終わったら《伝言》で頼む」

 

「承知しました」

 

そうアルベドに伝えると、アインズとゾルディオは森の奥へ向かった。

その後、男たちの悲鳴が森に鳴り響いた。

 

 

 

 

アインズとゾルディオはアルベドたちと別れて、会話が聞こえないくらいの距離まで離れた森の中にいた。

 

「さて、メフィラスは何か情報を持っていましたか?」

 

「・・・」

 

「?ゾルディオさん?」

 

「実は、メフィラスの情報で、ある可能性が出てきました」

 

「ある・・可能性?」

 

「はい・・・シャルティアを支配したのは人間の老婆なんですが・・・」

 

「人間の老婆ですか・・・となるとやはり俺たちが知らない、この世界の魔法ですか?」

 

「いえ、魔法ではないんですよ・・・」

 

ゾルディオは先ほどの自分に対する怒りが再びこみ上げてくるが、ぐっと堪えて体を震わせていた。

その様子を見たアインズは心配するように

 

「大丈夫ですか?・・・そんなに重大なことでしたか?」

 

「・・すみません。また自分に腹が立ってしまいました」

 

「自分に?」

 

「ええ・・・もう大丈夫です。落ち着きました。それで・・・シャルティアを支配した術ですが・・・」

 

アインズは喉がないが、心の中で喉を鳴らした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この世界の・・・・・世界級アイテムだと思います」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!?まさか!?いや、ありえるのか・・だが・・・しかし・・・」

 

「その証明にはあまりなりませんが、メフィラスは自分の能力で一度シャルティアの支配を解こうとしました」

 

「・・・・結果は?」

 

アインズは最悪の結果が来ないことを祈った。

 

「見事に・・・失敗しました」

 

「そんな!?・・・い、いや、まだそうと決まったわけではないんですよね?」

 

アインズはこの世界に来て初めて焦っていた。無理もない。ゾルディオもアインズも、この世界にまさか世界級アイテムが存在しているとは思ってもいなかったのだから。

 

「はい。メフィラスでも解けないとすると、超位魔法の可能性もあります」

 

「そ、そうか!その可能性もありますね!だとしたら《星に願いを》〈ウィッシュ・アポン・ア・スター〉で解けるかも――」

 

「しかし・・もし超位魔法でも解けなかった場合は・・・世界級アイテムと確定です」

 

アインズとゾルディオの間に少しの沈黙が流れた。やがてアインズが口を開いた。

 

「・・・最悪の状況にならないように祈りましょう」

 

「・・そうですね。いつまでもこんな状態じゃ、至高の存在として示しがつきませんね」

 

「そうですよ。それで、他には何かありましたか?」

 

アインズが空気を換えようと他の情報はないか聞いた。

 

「ええ、ありますよ。他には・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(アインズ様、すべて終了しました)

 

「ああ、わかった。ではアルベドはこちらに向かってくれ。他の者はナザリックに死体を運び次第、ナザリックにて待機と伝えてくれ」

 

(畏まりました)

 

「今からアルベドがこっちに来ます。それまで待つとしましょう。それにしても、プレアデスを超えるほどのレベルを持った人間ですか・・・」

 

「ええ、俺も最初は驚きましたよ。まさかいるとは・・・」

 

「そうですね・・・これは後で対策を考えなければなりませんね」

 

「一番いいのはすぐにでも始末することなんですが・・・細かいところまでは判明してませんしね」

 

 

 

 

 

 

 

アルベドと合流したアインズたちはシャルティアのもとに向かった。

 

「・・・いたな」

 

森の大きく開けた場所に、不自然に立ち尽くしている真紅の鎧。手には神器級アイテム、スポイトランスが握られてる。

間違いない、シャルティアだ。

 

「・・シャルティア」

 

アインズさんが声を掛ける。しかし、シャルティアは返事がないどころか目もくれないで、ただ意識のない人形のように呆然としている。

やっぱり駄目か・・・わかってはいたけど・・・・

そんなシャルティアの姿に我慢ができなかったアルベドは、憤怒の表情で

 

「シャルティア!言い訳の言葉どころか、至高の御方々に無礼では―――」

 

「アルベド!静かにしろ!シャルティアに不用意に近づくな!」

 

シャルティアに歩きかけたアルベドをアインズさんは、乱暴な口調で止めた。

やっぱりイライラしてる・・・気持ちはわかるけど、今は冷静でいなくちゃいけない。

 

「・・・やはり使うしかないか」

 

そう言ってアインズさんは指を動かした。指には三つの流れ星が描かれた銀の指輪がはめられていた。

 

「それは・・・なんでしょうか?」

 

「あまり使いたくはなかったが、状況が状況だからな。これは超位魔法《星に願いを》を―――」

 

アインズさんがアルベドに自慢するかのように説明をしだした。

 

自慢できるのが嬉しいのね・・・まあ、ギルド内じゃ課金しまくって当てたアインズさんにみんなある意味の尊敬をしていたけど、その後にすぐやまいこさんが一発で当てちゃったときは、アインズさんには悪いけど思わず爆笑しちゃったな~。

っと、説明が終わったようだな。

 

「さぁ指輪よ!俺は願う〈I WISH〉!」

 

・・・何故に最後英語で言ったのかな?まあ、それだけ願掛けしてるってことかな。

 

「シャルティアにかけられた魔法を全て消せ!」

 

いよいよか・・うまくいけばいいけど・・・

 

「な・・なんだと」

 

アインズさんの動揺にアルベドは慌てていた。

 

「ど、どうされましたか!?アインズ様!」

 

俺はアインズさんが動揺している理由が分かった。いや、正確には分かりたくはなかった。もっとも恐れていたことになるからだ。

 

「撤収だ!アルベド、こい!ゾルディオさんも!」

 

「はい!」

 

「・・・」

 

アルベドは素早くアインズさんの懐に入り、俺は肩を触れた。その瞬間、俺たちはアインズさんの魔法により、我が家に転移した。

ここなら安全であるが、アインズさんは余裕がないように

 

「アルベド!追跡者がいないか警戒しろ!」

 

「はい!」

 

アルベドは武器を構え、アインズさんの前に立った。俺とアインズさんもいつでも戦闘が行えるように周囲を警戒した。

しばらく時間が経って、ようやく俺たちは警戒を解いた。

 

「・・アインズさん」

 

俺が声を掛けるが返事はなかった。すると、アインズさんは俺たちに背を向けて

 

「畜生!」

 

怒りに身を任せて、地面を蹴り上げた。

 

「畜生!畜生!」

 

アインズさんが蹴り上げるたびに土煙が舞い上がる。昨日雨が降っていたら、もっとヤバかったな・・・なんて呑気に考えてるけど、正直気持ちは痛いほどわかる。俺も最初同じようなことをしていたからな。でも・・・

 

「ア、アインズ様・・お、お怒りを・・・」

 

そろそろ止めないとアルベドが泣きそうだな。

 

「アインズさん、落ち着いて」

 

そう言いながら、俺はアインズさんの肩を後ろから揺すった。

 

「!・・・すみません、ゾルディオさん」

 

ふぅ、落ち着いたみたいだ。

 

「私ではなく、他に言う方がいますよ」

 

「そうですね・・すまん、アルベド。少々取り乱した。今見たことは忘れろ」

 

「は、はい。アインズ様が忘れろとおっしゃるなら、私は全て忘れます。しかし、何かお怒りにさせることがございましたか?もし、私共にできることがありましたら、何でもおっしゃってください!どんな問題も対処いたします!」

 

「いや、お前たちに不満があるわけでない。指輪を使ったが、私の願いは聞き届けられなかったとわかったからだ」

 

「と、言うことは・・・」

 

「ええ、つまりそういうことです。シャルティアの精神支配は

 

 

 

 

 

 

世界級アイテムによるものだ」

 

 

 

 

 

 

「・・・やはりですか」

 

「そんな・・・」

 

最悪の結果だ・・・だが、これは想定内。メフィラスのおかげで相手の大まかな情報は手に入ったし、敵の対処は容易だろう。問題は、どうやってシャルティアを救うか。

俺が考えている間にアインズさんはアルベドに指示を出していた。

 

「アルベド、外にいる全階層守護者を呼び戻すのだ。他の守護者が支配を受けていないか調べる必要がある」

 

「では、玉座に向かいましょう」

 

 




アインズ(ゾルディオさん)
ゾルディオ(はい)
アインズ(確認が終わったら、俺の部屋に来てください)
ゾルディオ(?わかりました)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。