怪獣と骸骨の異世界蹂躙物語   作:きょろりん

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メフィラス星人応答せよ

今回はほとんど会話のみですので了承ください。

※誤字報告がありましたので、訂正しました!


37話 真相

 

ゾルディオはメフィラス星人の許へ向かうべく、第6階層守護者のマーレ、守護者統括のアルベドを連れて向かっていた。

 

「・・・もう少しですね。二人とも、メフィラス星人も洗脳されている可能性がありますので、警戒を怠らないように」

 

「は、はい!」「承知いたしました」

 

アルベドとマーレに注意をするように促していると、木に寄りかかって立っている

 

 

 

両腕のないメフィラス星人を発見した。

 

 

 

「メフィラス!」

 

ゾルディオが名前を呼んだのに気づいたメフィラス星人は両腕がないにもかかわらず跪き

 

「陛下!申し訳ございません!」

 

「いいですよ。瀕死なのに無理をするものではありません」

 

そう言いながら、「キングブレスレット」を使いメフィラス星人を回復させた。すると、無くなっていたはずの両腕が見る見るうちに再生した。

 

「貴重なアイテムを私に・・・本当に申し訳ございません」

 

「私が創造させたのですからこれくらいは・・・それで、一体何があったのですか?」

 

両腕が再生したメフィラス星人はすぐに跪き

 

「はっ。私とシャルティア様、吸血鬼の花嫁二体は武技を使用する人間を捕えるために、盗賊たちの根城である洞窟へと向かいました」

 

「それで?」

 

「はい。そこには案の定、武技を使用する人間がいました」

 

「なるほど・・・で、その人間は?」

 

「・・・・・」

 

ゾルディオが武技が使える人間をどうしたのか聞くと、メフィラス星人は答えるのを躊躇うかのように黙った。

 

「・・・なぜ黙るのですか?ちゃんと答えてください」

 

「・・・その人間とシャルティア様が戦闘を行っている最中に逃げ出したのです」

 

「・・・」

 

「シャルティア様はその後に《血の狂乱》が発動してしまったようでして・・・」

 

「・・・暴走してしまった、と」

 

「左様でございます」

 

「・・・・・」

 

ゾルディオはその言葉を聞いた瞬間、頭を抱えた。

 

(何てことだ・・これは・・・俺の責任だ・・・・メフィラス星人に言っておけばこんな事態にはならなかったはずだ。まさかシャルティアの《血の狂乱》のことを今の今まで忘れていたなんて・・・)

 

ゾルディオが頭を抱えている姿を見て

 

「だ、だだ、大丈夫ですか!?ゾルディオ様!?」

 

「どうなさいましたか!?」

 

「陛下!?どうされました!?」

 

三人が慌てたように心配して訊いてきた。

 

「・・大丈夫です、心配を掛けました。では、続けてください」

 

「・・そして、私と吸血鬼の花嫁は逃げた人間を追っていったシャルティア様を追いかけたのです。すると、洞窟の奥に、外へ通じる穴があり、そこを抜けるとシャルティア様が盗賊ではない、エ・ランテルから盗賊たちを偵察に来た人間たちを襲っていました」

 

「エ・ランテルから?」

 

「そうです。その内の一人の女、ブリタという人間が陛下から譲って貰ったポーションを持っていました」

 

「何?・・・あの人間ですか」

 

「はい」

 

「なるほど・・・あの人間がそっちに行っていたのですね」

 

二人の会話を理解していないアルベドとマーレは困った表情をしていた。

 

「・・?ああ、お二人には後で詳しく説明しますので。それで、どうなりました?」

 

「はい。その女は私の能力で記憶を読み取り、その場で気絶させておきました。記憶を読み取った情報から、援軍を呼びに行った者がいるとシャルティア様にお伝えし、シャルティア様の眷属で森にいる人間を抹殺し、情報の流出を阻止しようとしたのです。しかし、洞窟内にまだ人間の生き残りがいることが判明しましたので、私の能力で記憶を消そうとしたのです」

 

「何故、その生き残った人間を殺すのではなく、記憶を消すということにしたのかしら?」

 

メフィラス星人の話に疑問を持ったアルベドが訊いてきた。

 

「その生き残った人間は盗賊たちの性処理に使われていた人間なので、無駄に殺す必要はないと判断したのでございます」

 

「その考えを出したのはシャルティアかしら?それともあなた?」

 

「シャルティア様です。私はあくまで補佐ですので」

 

「・・そう。話を止めてごめんなさい、続けて」

 

「記憶を消そうとしたのですが、森に向かわせた眷属が人間たちに倒されたようで、シャルティア様は私に残った人間たちの処分を任せて、その人間たちを始末しようと森の中へ走って行ってしまいました。私は残った人間たちは吸血鬼の花嫁に始末するように命じ、シャルティア様の護衛として即座に後を追いました」

 

「そこまでにシャルティアは支配を受けてはいないようですね」

 

「はい。この後でございます。森へ向かったシャルティア様を飛行しながら追ったのですが、私が見つけた時にはすでにシャルティア様は戦闘をしていました。

 

 

 

 

 

スポイトランスを使って」

 

 

 

 

 

メフィラス星人以外の三人は驚いた。

 

「その相手は人間、なのかしら?」

 

「そうです。恐らく陛下がご創造される中位怪獣を遥かに超えた力を持っているかと」

 

「!・・・ということはプレアデスでは勝てない相手、と見ていいでしょうか?アルベド」

 

「ゾルディオ様がご創造される中位怪獣のレベルが50ほどですので、そうかと思います」

 

「・・・なるほど。それで?その人間がシャルティアを支配したのですか?」

 

「いえ、その人間は違います。確かに戦闘能力は高いですが、ただそれだけです。精神支配を行ったのはその集団にいた人間の一人です」

 

「どのような人間でした?」

 

「人間の、老婆でした」

 

「その人間のレベルはどれくらいだったのかしら?」

 

「恐らくそう高くはないかと・・・ですが・・・」

 

メフィラス星人は悩むように顔を下に向けた

 

「・・・何かあったのですか?」

 

「実は・・

 

 

 

その老婆が身に着けていた物、それがシャルティア様を支配したように見えたのです」

 

 

 

「・・つまり、アイテムの力でシャルティアは支配を受けた」

 

「そういうことだと、私は思っております」

 

「・・・それで、その後は?」

 

「その後、シャルティア様は老婆の精神支配を受けてしまったのですが、支配される瞬間、シャルティア様はスキルを使用し、老婆が命令を下す前に瀕死にさせました。そのおかげで今はあのように命令を待つ待機状態でいる、というわけです」

 

「そういうことでしたか。それで、その人間たちはどうしました?」

 

「申し訳ございません。シャルティア様に異常が発生したため、逃がしてしまいました」

 

「・・・まあ、仕方がないでしょう」

 

「私は、すぐにシャルティア様の支配を解こうと能力を使用したのですが・・・

 

 

 

 

 

 

私の能力では解くことができませんでした」

 

 

 

 

 

 

「そんなバカな!?支配が解けなかった!?ありえない!」

 

ゾルディオは口調が元に戻り、取り乱した。

 

「それは本当なのか!?」

 

「は、はい!本当のことでございます!」

 

「クソったれが!ふざけやがって!だとしたらその老婆が使ったアイテムは―――

 

 

 

 

 

 

 

 

世界級(ワールド)アイテムってことになるじゃねぇか!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「この!クソ!畜生!」

 

そう叫びながら、地面に拳を思いっきり叩き付けた。その威力は物凄い地震が起きているようであった。

 

「も、ももうし、わけ、ご、ございま、せん!」

 

「ゾ、ゾルディオ様、お怒りを、お、お御静め下さい・・・」

 

「へ、陛下!お、お気を、確かに!」

 

三人の言葉にゾルディオは正気に戻る。その間に精神は何度も沈静化した。

 

「・・・すみません、取り乱しました。マーレ、アルベド、恐がらせてしまいすみません」

 

「も、もうし、わけ、ござい、ません!」

 

マーレは泣きながら何度も謝っていた。

 

「本当にすみません。マーレ、私はもう怒っていないので泣かないでください」

 

ゾルディオは泣いているマーレを優しく抱き上げ、背中をさすり落ち着かせた。

 

「うぅ・・ひっぐ・・・」

 

「大丈夫でしたか?どこかケガは?」

 

「だ、大丈夫でございます。ご心配なさらないでください。私なんかよりも、ゾルディオ様は・・・」

 

「私は大丈夫です。・・それにしても、ここまで取り乱してしまうとは・・・情けないですね」

 

「と、とんでもない!ゾルディオ様は情けなくありません!もし私たちの対応に不満があれば――」

 

「いえ、私はあなたたちに不満があって怒っているのではありません。自分の考えの浅はかさに怒っているのです」

 

「そんな!浅はかだなんて・・・」

 

「浅はかですよ。ユグドラシルと似ているこの世界に、何故かアレが無いという前提で考えてしまったことが・・・いえ、まだそうと決まったわけでは無いですね」

 

「アレとは・・・世界級アイテム、ですね」

 

「そうです。ですが、まだそうと決まったわけではありません・・・・このことはアインズさんと合流してから考えましょう。さて、マーレ、もう落ち着きましたか?」

 

「は、はい。もう、大丈夫です」

 

そう言い、ゾルディオはマーレを優しく下した。

 

「も、申し訳ございません!こんな、無礼をしてしまって・・・」

 

「いいんですよ、これは私が原因なんですから。もう謝らないでください」

 

「・・・はい」

 

「さて・・・これから―――」

 

 

(ゾルディオさん)

 

 

「うん?」

 

「どうなさいましたか?」

 

「ああ、いえ、アインズさんから伝言が・・・」

 

 

(はい、なんでしょう?)

 

(今から、そっちに向かうんですが・・その・・・)

 

(どうしました?)

 

(いえ、実は吸血鬼の件はやはりシャルティアだったみたいで・・それで冒険者がシャルティアに接触するのを避けるべく、俺たちのチームだけでの討伐を名乗り出たのですが・・・)

 

(・・・他の呼び出された冒険者チームも一緒に行くことになった、と言うところですか)

 

(・・正解です)

 

(まあ、それくらいは大丈夫でしょう。その冒険者たちは殺っても?)

 

(一応、付いてきたら死ぬことになるとは言ってあるんで大丈夫だと思います)

 

(でしたら、こっちと合流してからまとめて殺りましょう)

 

(わかりました。それで、そちらはどうでしたか?)

 

(・・・)

 

(ゾルディオさん?)

 

(いえ・・・収穫はありました。詳しくは合流してからで)

 

(?わかりました)

 

 

「ふぅ・・・さて、アインズさんたちと合流しますよ」

 

 




ゾルディオ「それで、腕はどうじたのですか?」
メフィラス「支配を受けたシャルティア様に・・」
ゾルディオ「そうですか・・・」
メフィラス「ですが、シャルティア様は・・・」
ゾルディオ「わかっていますよ。正気ではないからこれは仕方がない、と言うのでしょう」
メフィラス「・・はい」
ゾルディオ「大丈夫です。それでシャルティアに失望はしません。まあ、多少は残念ですが・・」



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