投稿が遅くなり申し訳ございません!
アイデアがまとまらずにいたらこんなに遅くなってしまいました!
その代わりと言ってはなんですが、今回は少し長めに書かせていただきました!
※誤字報告がありましたので訂正しました!
暗い森の中をシャルティアとメフィラス星人、吸血鬼の花嫁二体は走る。
途中ベアトラップが仕掛けられていたが、メフィラス星人により即座に発見し回避した。
「お気をつけください。罠が仕掛けられていますので」
「申し訳ございません。助かりました」
「いえいえ。シャルティア様をがっかりさせたくはないだけですので。そして、このような罠があるということはもう少しで目的の場所へ着く頃でしょう」
そう言い、再び森を進んだ。
しばらく進むと先ほどの野盗たちの本拠地らしき洞窟にたどり着いた。
「どうやらここみたいでありんすね」
「では参りましょう。この先も罠がありますので、お気をつけて」
そのまま洞窟を進んでいった。
道中、何人か野盗がいたが吸血鬼の花嫁を先行させていたため、何事もなく先へ進んだ。
その何もせずただ武技を使う人間を探すだけの任務にシャルティアは退屈していた。その時
「おいおい、楽しそうだな」
男の声がし、声のするほうに全員顔を向けるとそこには刀を携えた青い髪の男がゆっくりと奥から現れた。
「そう見えるでありんすかぇ?」
「少なくとも俺にはそう見えるね・・・」
「それにしても勇敢でありんすねぇ。他のお友達をお呼びになられても構いんせんよ?」
「そんなもんいらねーよ。かえって邪魔になるだけだ」
シャルティアは一瞬驚いたように目を大きく開き、次第に手を口に当て嘲笑うように
「本当に勇敢でありんすねぇ・・・ではいきなんし」
そう言うと、吸血鬼の花嫁は男に襲い掛かった。
「―そら!」
男は刀を上から大きく振り下ろし、吸血鬼の花嫁の肩から胸にかけて斬り付けた。
「ぐああ!」
「・・・?」
吸血鬼の花嫁の傷口からは血は噴き出ず、見る見るうちに塞がっていった。その様子を見て
「・・
吸血鬼の花嫁は歯を見せ威嚇をする。その時
「――交代」
そうシャルティアが言うと吸血鬼の花嫁は身を震わせ、後ろに引いた。
「シャルティア様。私が出ても構いませんが・・」
「悪いでありんすけど、ここは私にお相手させてもらうでありんすぇ。武技の使い手というなら、一度は相手をしたほうが良いと思うでありんす」
「・・・わかりました」
そうメフィラス星人に言うと、シャルティアは男の前に出た。
「・・・ブレイン・アングラウスだ」
「・・・・・・?」
「・・・お前の名前は?」
「ああ!名前を聞いていたでありんすね」
シャルティアはスカートを摘み、小さく礼をしながら
「シャルティア・ブラッドフォールンでありんす。一方的に楽しませてもらいんす」
ブレインは刀を納刀し、居合の構えを取った。
「そろそろ準備はできんしたかぇ?」
そうシャルティアが問うがブレインは答えなかった。
「――では蹂躙を開始しんす」
そう言いシャルティアは一歩一歩ゆっくりとブレインのもとに歩き出した。
そしてブレインの刀が届く範囲に達したとき、刀が空を切りながらシャルティアの首めがけ伸びる―――――が
「――な!?」
刀はシャルティアの首を飛ばさず、その手前で摘ままれた。
「そ・・そんな・・・・馬鹿な・・・・」
「・・・使い手が違うとこうも容易いもんでありんすねぇ。ゾルディオ様やコキュートスも持っていたけど、全然警戒心が違うでありんす」
そう言いながらシャルティアはブレインの刀を摘みながらまじまじと見つめていた。
「ば・・化け物」
「そうでありんす。私は残酷で冷酷で非道で可憐な化け物でありんす」
そうシャルティアは答えると、ふわりと後ろに飛び
「そろそろ準備はできんしたかぇ?
最初と同じ言葉をブレインに言った。まるでさっきまでの行動がなかったかのように。
「くそっ!」
そう言いつつ刀を構えるが、構えた手が震えていた。
「・・・もしかして、武技が使えんでありんすか?」
「!・・・そう見えるか・・・・・うわあぁぁぁぁぁ!!」
突然ブレインは錯乱し、刀を闇雲に振り回しながらシャルティアに向かっていった。
(・・あの人間が放った最初の一撃が陛下の言う武技というものだろう。普通の人間では到底できるはずもない速度での居合・・・興味深い。陛下が気になるのも無理はない・・・)
メフィラス星人はブレインとシャルティアの戦闘(?)を見て、武技に興味を抱いていた。
(しかし、相手がシャルティア様では意味が無いようだ。この世界に我々に通用する武技は存在するのだろうか・・・ん?)
先ほどまで戦闘をしていたかと思えば、いつの間にかブレインは洞窟の奥へ行き逃げたようだった。
「シャルティア様、あの人間が奥へ―――」
そうメフィラス星人がその場に立ち尽くしているシャルティアに声を掛けた。しかし
「うふふ・・今度は鬼ごっこ?私を楽しませてくれるのね?ふふふふ・・・」
シャルティアは、まるで子供が楽しそうにおもちゃで遊んでいるかのように無邪気に笑っていた。しかし、その笑い声は狂気に満ちたものだった。
「シャルティア様!どうか落ち着い――」
そんなシャルティアに恐怖を感じたメフィラス星人はシャルティアを抑えようと声を掛ける。しかし
「あはははははははははははは!!」
シャルティアはメフィラスと吸血鬼の花嫁二体を置いて洞窟の奥へと走って行ってしまった。
「お、お待ちください!!――二人とも!あれはなんですか!?」
「あ、あれはシャルティア様の特殊能力《血の狂乱》と言いまして、血を浴びると暴走してしまうという・・・」
「!でしたらすぐに追いますよ!」
「「は、はい!」」
メフィラス星人と吸血鬼の花嫁は洞窟の奥に向かった。その道中、人間の血や内臓、手や足がそこら中に転がっていた。どうやらシャルティアが殺しながら後を追っていったようだ。
(このままでは使命が果たせなくなる!急がねば!)
メフィラス星人は心中焦りつつ進んだ。
すると、突然風が吹き抜けてきた。
メフィラス星人はその風に違和感を覚え、風のするほうへ向かった。そこは外へと続く穴があった。
「・・どうやらこの穴を抜けて行ったようですね。ここから先は私が見てきます。あなたたちはこの洞窟に生き残りがいないか調べてください」
「「わかりました」」
メフィラス星人は吸血鬼の花嫁に命令をし、穴に向かった。メフィラス星人は穴を慎重に抜けた。
そこには《血の狂乱》により姿が醜くなってしまったシャルティアが人間を襲っているところだった。だが、その人間たちはさっきまでの盗賊とは違う別の集団であった。
その集団は盗賊たちとは違い隊列を組んでいることや、魔法詠唱者や女がいることから恐らくは盗賊を偵察にでも来た者たちだろうと
メフィラス星人は考えた。
「あははははははははぁぁぁぁああああ!」
「うわああああぁぁ!?」「な、なんだこいつ!?」「て、撤退だ!!」
「あははははは!逃がさないわよおぉぉぉぉぉ!!」
メフィラス星人が考えている間に人間たちは次々と殺されていった。そして、シャルティアは最後に残った女に手を掛けようとしていた。
「さいごのおおぉぉぉおお!!でざあぁぁぁとおおぉぉぉおおお!!」
(!まずい!せめて一人は捕らえなければ情報が得られない!!)
「シャルティア様!お待ちください!!」
そう叫んだがもはやシャルティアを止めることはできない。
その時、女は手に持っていた瓶をシャルティアに投げつけた。シャルティアは当然、そんな瓶による投擲などでダメージを負うはずもない。そう思って瓶を爪で割った。瓶からは赤い液体が飛び散り、シャルティアの顔に付着した。その時、
シャルティアはわずかながらの痛みを負った。
「な!?これは!?」
シャルティアはそのわずかな痛みにより、正気を取り戻した。
「馬鹿な!!なぜこれが!?」
シャルティアは自分が割った瓶を調べた。それはユグドラシルで使われていた
「その女をむk―――」
シャルティアが言うよりも早く、メフィラス星人はポーションを投げた女を気絶させていた。
「シャルティア様、今からこの人間の記憶を探りますので少々お待ちください」
「・・・わかりんした」
そう言うと、メフィラス星人は女の頭に手を置いて記憶を読み取り始めた。
数分もかからずに終わり、
「シャルティア様、終わりました」
「それで?」
「どうやらエ・ランテルの宿屋で陛下たちに会い、このポーションを譲ってもらったみたいです」
「まさかとは思ったけど・・・そうでありんすか」
「ええ。それと、どうやらエ・ランテルに救援を求めに向かった者がいるようです」
「何!?クソッ!!眷属よ!!」
シャルティアの影が蠢き、を呼び出した。
「この森にいる人間を殺せ!!」
怒号に近い叫び声の命令に、
「ああーー!アインズ様に叱られる!」
悲しんでいるシャルティアをよそに、メフィラス星人は洞窟から出てきた吸血鬼の花嫁二人と話していた。
「今、シャルティア様は少々錯乱しておられるため私が報告を聞きましょう。で、どうでしたか?」
「はい、洞窟内には盗賊たちの性欲処理に使われていた女が数人いました」
「ふむ、そうですねぇ・・余計な情報が洩れると色々と面倒なので全員私が記憶を消しましょう。殺す程でもないでしょうし」
そう言い洞窟内に戻ろうとした時、ふとメフィラス星人がシャルティアのほうへ目を向けると――
そこにはすでに森へ走っていったシャルティアの姿が見えた。
「――指示を変更します!私はシャルティア様を追います!あなたたちは中の人間たちを全員始末してから追ってきてください!」
そう言うとメフィラス星人は空へ飛び、シャルティアの後を追った。
(出来れば一言言ってから向かってもらいたいものですね。このままでは陛下の面目が立ちません・・・・ん?)
メフィラス星人がシャルティアに追いついた時には、すでにまた《血の狂乱》の姿で別の集団に襲い掛かっているところであった。
(今度はなん・・・!なんだあの人間は・・ここまで見てきた人間の中では一番に強い・・・・)
メフィラス星人はその集団の中で、槍を持つ人間に注目していた。そして、
(・・なぜだかあの老婆の装備が危険で仕方がない・・・シャルティア様が負けるとは思えないが・・・)
そう考えている間にシャルティアは一番強い、槍を持った人間を吹き飛ばしてその危険と感じた老婆に向かっていった。その時、
「ぎいいいぃぃぃぃ!!」
シャルティアの悲痛の叫びが聞こえた。
(!?何!?どういうことだ!?)
シャルティアが老婆にあともう少しで攻撃が当たるという距離で急に動きが止まった。
シャルティアは何かに抗うかのように左手に《清浄投擲槍》を持ち、老婆へ投げた。槍は老婆に命中し、瀕死を負わせたがシャルティアは目からは血の涙を流して呆然と立ち尽くしていた。
「!!クソッ!」
メフィラス星人は早急にシャルティアの下に向かった。その姿に気づいた人間がいた。恐らく探知系に優れた人間がいたのだろう。そう思い、メフィラス星人は気にせずにシャルティアの下に向かった。
「!上空から何かが来ます!」
「なんだあれは!」
空から飛んでくる何者かにその集団は驚いていると、先ほどの槍を持った人間が
「狼狽えるな!今は撤退を優先しろ!」
と叫びながら撤退を指示していた。
(本来なら追うところだが、今はシャルティア様が最優先だ)
撤退していく人間たちを尻目にシャルティアの前に立ち
「シャルティア様!ご無事ですか!?」
そう言うがシャルティアは反応しなかった。
(一体何が起こったんだ!?戦闘ではシャルティア様は守護者の中で恐ろしく強いと聞いていた・・・まさかとは思うが・・・・・)
するとメフィラス星人はシャルティアの頭に手を置いた。
(・・・!?やはり精神支配を受けている・・・)
メフィラス星人は戸惑っていた。アンデッドは精神支配を受けるはずがないのだから。
(・・考えるのは後だ。今は支配を解かなくては・・・!?なんだと!?そんなバカな!?)
メフィラス星人がシャルティアの支配を解こうとしたが
解けることはなかった。
(そんな・・・私の力で解けないとすると・・・・まさか―――)
メフィラス星人がシャルティアの頭から手を放した瞬間―――
両手が引きちぎられた。
「ぐわあああああああ!!ぐうぅ・・・・はぁ・・・はぁ・・・」
引きちぎられた腕は襲撃者が投げ捨ていた。その襲撃者は
さっきまで立っていたシャルティアであった。
シャルティアは虚ろな目でメフィラス星人を見ていた。
メフィラス星人は自分に襲い掛かってくると思い、警戒していたがシャルティアは一向に動く素振りを見せなかった。
(・・・何もしてこない?・・・・恐らく支配を行った者、あの老婆が命令を下す前に瀕死に陥ったため、敵対行動をする者に対する防衛機能のみを残した待機状態となった・・・と言うところか。そして、まだ完全に支配されていない状態。もし、完全に支配されていたら私が死ぬまで襲ってくるはず・・・・とにかく、今はこの場から撤退しなくては・・・)
メフィラス星人は瀕死の状態でシャルティアから離れ、見失わない程度の距離を取り森の中へ隠れた。
(・・クソ・・・いまの状態では《テレポート》どころか《伝言》すら使えない・・・陛下に申し訳が立たない・・・ナザリックの誰かが気づいてくれるのを待つのみ、か。ならばせめてシャルティア様を監視しておかなければ・・・・)
メフィラス星人は瀕死の状態でシャルティアの監視を行い、ナザリックの誰かが来るのを待つことにした・・・・
――その後、吸血鬼の花嫁はシャルティアに近づいてしまい、殺されてしまった。メフィラス星人はその様子をただ見つめるしかなかった。
そして、その夜ナザリックで異変に気付いたアルベドはエントマに連絡を取らせた・・・
メフィラス星人 説明
メフィラス星人は他の怪獣や星人とは違い超能力を使って《伝言》や《テレポート》、《記憶操作》など使います。これはMPを消費するのではなくHPを消費して使用するため、今回の最後に《伝言》が使用できない理由です。
《グリップビーム》や《ペアハンド光線》などはMPを消費するものとなります。