※誤字報告がありましたので、訂正しました!
33話 シャルティアの務め
時は少し戻り、俺たちが冒険者になる一日前のことだ―――――
~冒険者になる一日前~
「・・・・次の報告はなんだ?」
「はい。こちらでございます」
今、俺とアインズさんはこの世界に来て、活動をしている下部部下?たちの活動報告に目を通していた。ちなみに、アルベドも一緒にいる。
こういうのはアインズさんと二人だけのほうが気楽でいいんだが、どうもこういう事務系はあまり得意じゃないためアルベドも一緒なのだ。
俺たちが作業をしていると、突然扉にノックが数回叩かれた。誰かが来たみたいだ。アルベドはアインズさんに顔を向け、一礼をして扉に向かった。扉を開け、来客者を確認したアルベドは
「シャルティアが面会を求めています」
「そうか。構わん、入れ」
そう言うとシャルティアは優雅に入ってきた。
「アインズ様、ゾルディオ様。ご機嫌麗しゅう存じんす」
「こちらこそ、シャルティア」
「お前もな。それで、ここに来た理由はなんだ?」
「至高の御方々のお姿を目にするためでありんすぇ」
・・・・マジか?こんな骸骨と怪獣を見て何が・・・ってそういえば、シャルティアはアインズさんの容姿が好きなんだっけか。ということは俺よりもアインズさん狙いか。シャルティアは俺のことも見た後、アインズさんを見つめていると何やら黒いオーラが出てきた。その出所は・・・言うまでもなくアルベドだ。めっちゃ黒いオーラ出しとる・・・・・俺じゃなくて良かったぁ。
「もういいでしょ?それだけが目的なら、私と至高の御方々の相談を邪魔しないでくれるかしら」
「これだからオバさんは・・・気が短くて仕方ないでありんすねぇ。そんなんだから、老け込むのが早いんじゃなくて?それに、本題に入る前にも挨拶をするのが基本でありんす」
「・・あら、大人の体の前ではお子様の体と段違いに差が出るものよ」
「・・・賞味期限切れが」
「・・・食品ディスプレイが」
「・・・・殺すぞ」
「・・・・やってみろよ」
二人の女の間に激しい火花が飛び交っている・・・そろそろ止めたほうがいいな。この二人はいつも喧嘩してるなぁ。仲良くなれないもんかねぇ・・・・・・無理か。
「二人ともそこまでです。アインズさんの前ですよ」
「そうだ、二人ともやめよ」
そう言うと、二人はすぐに嫌悪な雰囲気を消し、満面の笑みを俺たちに向けた。このままなら普通に美女なんだけどなー。
「それで、シャルティア。本当の用件は何だ」
「はい。これよりセバスたちと合流をしようと思っており、今後ナザリックに帰還することが難しくなると思いまして、ご挨拶にまいりんした」
なるほど、そういう事か。
「わかった。シャルティア、気を付けて務めを果たせ。油断はするなよ。そして、必ず無事に帰ってこい」
「はっ!」
「あ、シャルティア。行く前に少し私に付き合ってくれませんか?」
「え?」
(何をするんですか?)
(丁度良いので新たな星人を生み出し、同行させようかと。シャルティアの護衛も兼ねて)
(なるほど。いいですよ)
(ありがとうございます)
(いえいえ、それくらい全然いいですよ)
「いいですか?アインズさん」
「ええ、構いません」
「では、行きましょう。失礼します、アインズさん」
「え、あ、はいでありんす。ではこれで私も失礼するでありんす」
そう言い俺とシャルティアは部屋を出て、氷結牢獄に向かった。
~~~~~~~
「ゾルディオ様?なぜここに来たんでありんすか?」
「ええ、ここには人間の死体を冷凍保存できるかの実験をしていたのですが、それがうまくいきましてね」
「人間の死体の保存・・でありんすか?」
「はい。私の創造する星人のために数体ほど残しておいたんですが、死体の保存実験もしてみようということになりましてね。それで保存していたんですが、使わないと勿体ないと思いましてね」
「と、いうことは・・・・・まさか!私にゾルディオ様がご創造さられる怪獣をお預けいただけるのでありんすか!」
そんなに嬉しいことなのかな?でも、喜んでくれるならこっちも嬉しいし、いいか。
「ええ、そういうことです。ですが、今回創造するのは星人ですね。シャルティアの連れている
「・・・心配してくださるんでありんすか?」
「?何を当たり前なことを言っているんですか?心配しないわけがないでしょう。たとえ守護者であろうと、女性だけで向かわせるのは不安ですので」
「ゾルディオ様・・・・・ありがとうございます!」
「いいんです。では、作り出しますね」
そう言い、俺は死体に近づき
「上位星人創造、メフィラス星人」
すると、黒いずんぐりとした体型で、デミウルゴスのような耳の尖った悪魔のような顔が特徴の星人が現れた。
メフィラス星人は創造されるや、すぐさま俺にひざまずき
「これはこれは創造主ゾルディオ皇帝陛下。お久しぶりでございます」
「ええ、久しぶりですね。メフィラス星人」
「はい。私を含め数多くの星人、怪獣は陛下の帰還を心待ちにしておりました」
「・・そうですね。すみません、突然いなくなり」
「いえ、私たちは陛下に創造され初めて意味を持つ存在。誰も陛下に恨むものなどおりません」
「ありがとうございます」
「いえ、これくらい当然でございます」
・・・まさかこれほどとは。流石はメフィラス星人。紳士的態度かつ、完璧なまでの忠誠心だ・・・・・まあ忠誠心高いのは当たり前だけど。
だけど、メフィラス星人ならシャルティアの護衛を任せても大丈夫だろう。暴力での解決は極力求めない珍しい星人だしな。なおかつ知力は高いし、完璧にこなせるだろう。
「それで皇帝陛下。そちらの吸血鬼の女性は・・・」
「ああ、そういえば教えていませんでしたね。彼女はシャルティア・ブラッドフォールン。ナザリック地下大墳墓第一、第二、第三階層の守護者です」
「おお、そうでしたか。お初にお目にかかります。私はメフィラス星人。以後、お見知りおきを」
そう言い、メフィラス星人はシャルティアにお辞儀をした。
「こちらこそ。ナザリック地下大墳墓の守護者の一人、シャルティア・ブラッドフォールンでありんす」
シャルティアも答えるようにお辞儀をした。
「それで陛下。私を創造した理由は・・」
「ええ、あなたにはこれからシャルティアの護衛をしつつ、その任務の補佐をしてもらいたいのです」
「なるほど、わかりました」
「頼みましたよ。任務の内容はシャルティアから確認してください」
「はっ」
「では、シャルティア。気を付けて行ってきてください」
「はいでありんす!必ずや成功させて御覧に入れるでありんす!」
「はい、期待していますよ」
そう言い、シャルティアはメフィラス星人と吸血鬼の花嫁を連れ、ナザリックを出た。
シャルティア「あの、一つ質問をよろしいでありんすか?」
ゾルディオ「なんでしょう?」
シャルティア「なぜ、メフィラス星人はゾルディオ様のことを皇帝陛下と呼ぶんでありんすか?」
ゾルディオ「ああ、それは私の職業に『エンペラー』が含まれているからですよ」
シャルティア「そうだったんでありんすか!」