怪獣と骸骨の異世界蹂躙物語   作:きょろりん

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英雄

※誤字報告がありましたので訂正しました!


32話 凱旋と・・・

クレマンティーヌとの戦闘を終え、俺たちは霊廟に向かった。すると、後ろからどたどたと何かがこっちに向かって走ってくる音が聞こえた。

恐らく、ハムスケが戦闘音が無くなったことに気づいてやって来たのだろう。そんでもって、アインズさんの安否の確認ってところかな。次第に足音は大きくなり、振り返るとハムスケが全速力でこっちに向かっていた。正解だったみたいだ。

 

「殿~~!殿~~~!どこでござるか~~~!ん?もしや、あそこにいるのは!殿~~~~!って、ななな何でござるか!あそこにいる化け物は!」

 

・・・・まさかの主人を化け物呼ばわり。まぁ、この姿で見せてないから当たり前だろうけどさ、ほら、あのー、匂いとかでわかんないのかな?ハムスターってできないっけ?そういうの?

と俺が思っていた時、ハムスケの頭に何かが落ちた。それは

 

「全く、この愚か者が」

 

「アインズ様とゾルディオ様に失礼っすよ」

 

ナーベラルとルプスレギナだ。結構な勢いで落ちたため、ハムスケはぴくぴく動きながら

 

「そ、そうでござったか・・・・し、失礼したでござるよ、殿・・」

 

「あ、ああ。まぁ、こっちも素顔は見せていないわけだ。今回は許すとしよう」

 

「あ、ありがたき幸せでござる・・・」

 

・・・本当に大丈夫か?瀕死まで行ったんじゃないか?そう思いながら見ていたら

 

「アインズ様、このような愚劣な生き物を飼うのはいかがなものかと思いますが」

 

「もしよかったら、焼き尽くしますが?」

 

「よせ。そいつは今後の活動に関わる。生きたまま連れていることに価値がある。それよりナーベラル、ルプスレギナ。私はこれから霊廟の中に入る。その際に、外に転がっている死体から持ち物の回収せよ。街の治安機関に提出を要求される可能性があるため、先に価値を調べる必要がある」

 

「「畏まりました」」

 

「では、私はアインズさんが出てくるまでこの墓地の見張りをしています。その際に、キングジョーにもシルバーブルーメと同様に、空からの監視をさせておきます」

 

「ええ、頼みました」

 

そう言い、俺たちは互いの作業に入った。と言っても、俺は怪獣に監視をさせているわけだからあまりやることはないんだけどな。

 

「うぅ・・痛いでござるよ~」

 

さっきまで倒れていたハムスケが起きた。その姿を見るや、ナーベラルとルプスレギナが

 

「自分の身よりも至高の御方々のお言葉に注意を払いなさい。たとえアインズ様のペットになったからと言っても、あなたは(しもべ)なのだから。(しもべ)である以上これは責務よ。でなければ、即座に殺す」

 

「今度ミスをしたら死なない程度の罰を与えますよー」

 

二人の忠告を聞き、身を震わせながら

 

「わ、わかったでござる。なので、その怖いお顔をやめてほしいでござるよ・・」

 

・・・まるでどっかの下手な漫才を見ているようだった。いや、笑えないけどさ。

 

「・・・しかし、新しい殿達のお姿は驚愕でござる。それで、こちらは・・・その~」

 

・・・ん?まさか俺のことか?まさかわかんないか・・・ちょっと寂しい。

 

「私はザムシャーですよ。まあ、今はゾルディオですが。さきほど霊廟に入ったのはモモンさんで、今はアインズさんです。名前はちゃんと覚えてくださいね?」

 

「なんと!?名前も偽名でござったか!それがし、わからずにいたでござるよ・・・。それで、ゾルディオ殿・・・でよろしいでござるか?」

 

その一言を聞きつけ、二人のメイドが殺さんばかりの視線をハムスケに向けていた・・・怖い。

 

「ひぇぇぇぇぇ!し、失礼したでござる!ゾルディオ様!」

 

「あ、あー。言いづらかったら殿で構いませんよ。無理してまで様をつける必要はないですし」

 

「ゾルディオ様!?」

 

「よろしいんですか!?」

 

「まあ、これくらいはいいでしょう。アインズさんのことも殿と呼んでいるわけですし、私だけ様で呼ばれるのは不公平ですしね」

 

そう言うと、ハムスケは涙目になりながら

 

「なんと・・・なんとお優しい。それがし!一生殿たちについていくでござるよ!」

 

「・・そっすか」

 

「と、殿~!それがしの誓いを軽く流さないで欲しいでござるよ~!」

 

「分かりましたから声を落としてください」

 

「うぅ・・・わかったでござる」

 

はぁ・・・・これは苦労するな。頭は悪すぎないが、微妙に残念な部分があるな。

 

「ゾルディオ様」

 

「どうしました?ナーベラル」

 

「はい、先ほど私たちが相手をしていた下等種族(ノミ虫)が大切に扱っていたものなのですが、どういった効果があるかわからず・・・」

 

そう言い、渡してきたのは黒いオーブだった。

 

「ほう。確かに気になりますが、私では確認できませんのでアインズさんが戻ってきたときに頼んでみましょう」

 

俺はナーベラルからそのオーブを受け取り、見張りを続けた。

 

 

 

 

しばらくして、アインズさんがンフィーレアさんを抱えて帰ってきた。どうやら命の別状はなかったみたいだ。戻ってきたアインズさんにさっきのオーブの確認を頼んでみたところ、どうやらこのアイテム自体が自意志を持っているようだった。

とはいえ、効力はさほど魅力を感じるものでもなかった。そのせいか、アインズさんはそのオーブをハムスケにあげた。・・・まさか獣に渡されるとは思ってもいなかったろうなー、あのオーブ。アインズからアイテムを受け取り、俺たちはもとの冒険者の格好に戻った。

 

「アイテムの回収も済んだことだ。では――

 

 

 

 

 

 

 

凱旋だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

「はぁ・・・・」

 

俺たちは街に戻り、事件の聴取を組合でされ、今ボロい宿屋に戻ってきたところだ。今回の事件を解決したことにより、俺たちの冒険者のランクは上がったのだが・・・

 

「まさかこの程度とはな・・・」

 

「・・ですね。まさかミスリルまでとは・・・・てっきりオリハルコンまで行くと思っていましたよ」

 

「同じく・・・」

 

そう。俺たちは確かに銅のプレートから上がったが、まさかのミスリル止まり。・・・・まぁ、妥当と言えば妥当なんだが、せめて俺たちだけで解決したんだからオリハルコンくらいにして欲しかった。

そう思っていたら、ルプスレギナが

 

「モモンさん、あの二人どうするんすか?報酬は追って連絡をするって事っすけど」

 

「あの二人にはカルネ村に向かってもらう。そこでポーションを作らせる。その際にゾルディオさんの創造した星人に監視を置き、定期的に報告してもらう予定だ」

 

「ポーションを作らせるっすか?でもナザリックにはポーションを作れる方は他にもいますよ?」

 

「確かにナザリックでもポーションを作れる者はいる。だが将来材料がなくなり、作れなくなる可能性がある。その時のために、あの二人には別のポーションの生産方法を開発してもらうのだ。それに、ユグドラシルの技術とこの世界の技術が融合し、新たな力となる可能性もあるかもしれんし、こういったことはやっておいて損はないだろう」

 

「ですが、あの人間が作り出したポーションを持ち出す可能性もあるかと・・・」

 

「それも考えて、カルネ村に移住させ監視させるのだ。恐らくだが・・あの様子ならそのようなことはないだろう」

 

アインズさんの言葉に二人とも納得したようだ。・・・何となくだが、ルプスレギナはわかってない気がするな。少し不安だな。

 

「まあ、そのことは後だ。今は先にやることがある」

 

そう言い、アインズさんは昨夜エントマから報告したいことがあるとのことで、アルベドに伝言(メッセージ)を使って訊かねばならないのだ。一体なんだろうか・・・

 

 

(・・アルベド。昨夜、エントマから報告したいことがあるとのことだが、何かあったのか?)

 

(はい、アインズ様。実は―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャルティア・ブラッドフォールンが反旗を翻しました)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・は?」

 

 

 

 

 




街に戻る時――
アインズ「あ、そう言えばゾルディオさん。その創造した怪獣たちはどうします?」
ゾルディオ「シルバーブルーメは先にカルネ村の上空に行かせておきます。キングジョーは後でですね」
アインズ「そうですか。では、監視役の星人は決まってるんですか?」
ゾルディオ「ええ、もう決まっています」

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