怪獣と骸骨の異世界蹂躙物語   作:きょろりん

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アンデッド墓場

※誤字報告がありましたので訂正しました!


29話 突破

俺たちは門を乗り越え、今アンデッドの軍勢と戦っている。とは言っても実際にはナーベラルとルプスレギナは《飛行(フライ)》を使ってハムスケを抱えており、アンデッドと戦ってるのは俺とアインズさんのみだ。

 

「も、申し訳ないでござるよ・・・」

 

「それはいいから、動かないでもらえる。もこもこしてて持ちにくいから」

 

「落としてもいいんだったら別っすけどねー」

 

「そ、それは勘弁してほしいでござる」

 

などと、言いながら移動していた。なぜ、ハムスケを抱えているかというと、ハムスケは図体が大きくさらにアンデッドにも狙われやすいため、二人に抱えてもらっているというわけだ。

 

「それにしても、これだけ多いといくら一撃で吹き飛ぶと言っても、時間がかかりますね」

 

「そうですねー。こっちも斬りまくってるんですが、数が多くて困っちゃいますね。しかも、私はアンデッドじゃないんでより狙われますし」

 

「そうですね、私は中身がアンデッドなのであまり寄ってこないですね」

 

アンデッドであるアインズさんはどうやら同類と思われているらしく、あまり寄ってこない。それと対照的に、俺は生命を持っているからよく狙われている。

 

「・・このままでは時間が無いな」

 

すると上のほうからルプスレギナが

 

「でしたら、ナザリックから応援をお呼びしたほうがいいじゃないですか?」

 

確かにそれならあっという間に片付くだろう。だが

 

「それは駄目ですよ。それでは私たちがここに来た意味がなくなります」

 

「でしたら、あの門が破壊され、街の人間が襲われたところを救えばよいのでは?」

 

「そしたら、他の者に手柄を横取りされてしまう可能性が出てしまう。そうなっては、モモンの名声は薄くなるだろう」

 

「なるほど、お見事でございます」

 

「はぁー、そういうことですか」

 

「それで・・失礼ですが、この愚かな私にお教えください。八肢の暗殺蟲(エイトエッジ・アサシン)影の悪魔(シャドウ・デーモン)など隠密能力にたけた下部を送り込み、大きな変化が現れるまで高みの見物をし、完璧なタイミングで出ればよろしかったのではないでしょうか?」

 

・・その手があったか。時間がないと思って焦ってたわ・・・。

 

「・・・そ、それくらい、自分で考えるんだ!いつまでも私に教わっては成長できないぞ!」

 

「も、申し訳ございません!」

 

・・ごまかしたな。アインズさんも同じような考えだったみたいだな。

 

「そ、それよりも!今はこの状況を早急に打破しなければな。これでは時間が無くなる」

 

そう言いながら、アインズさんはアンデッドを作成した。

 

「中位アンデッド作成、切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)屍収集家(コープスコレクター)

 

そう言うと、アインズさんの目の前に、二体のアンデッドが現れた。

一体は、笑っているような仮面を付け、ぼろぼろのトレンチコートに身を包み、指には鋭利なメスになっているアンデッド。

もう一体は、全身の腐食した肉体を包帯が包み、体には(かぎ)が何本も所々に刺さり、伸びた鎖の先が頭蓋骨につながったアンデッド。

 

「・・やれ」

 

そう二体のアンデッドに告げると、すぐさま動き出し、周囲のアンデッドを倒し始めた。中位とはいえ、この世界ではかなり強い部類に入るアンデッドだ。さっきまでいた無数のアンデッドは次々に倒されていった。

 

「では、私も」

 

そう言い、俺は

 

「中位怪獣創造、円盤怪獣シルバーブルーメ」

 

そう言うと、白く透き通ったようなクラゲのような姿で、頭の部分には上前後左右に大きな突起が出て、円盤の底には赤い触手が動いている生物が現れた。

 

「では、シルバーブルーメ。あなたは、この墓地に侵入する者がいたら追い返してください。冒険者は捕食して構いませんが、衛兵はダメですよ」

 

そう命令すると、シルバーブルーメは浮かびながらお辞儀をし、空高く上がり監視を始めた。

 

「では、行くか」

 

俺たちは、アインズさんが生み出したアンデッドたちが開けた道を歩き出した。

 

 

 

 

「と、殿~!こんなところに置いていかないで欲しいでござるよ~!」

 

途中、ハムスケをアンデッドたちに襲われないように木の上に降ろした。それはこれから敵のところに行くんだ。そんなもこもこを抱えながらでは格好がつかないだろ。

 

「安心しろ、ザムシャーさんが出した怪獣がいる。万が一に何かあったら助けてもらえ」

 

そう言って、俺たちはずんずん前に進んだ。・・・シルバーブルーメであの巨体を支えられるのかな。

 

 

 

それから少し歩いたところで、目的の場所付近についた。そこは墓地の最奥にある霊廟だった。その霊廟の前に全身をローブで隠している男の集団が、何かの儀式の準備のように円陣を組んでいた。その集団は真ん中にいるやせ細った老人を除いて全員黒いローブで顔まで隠していた。その真ん中にいる老人だけは、身なりが他の者より立派で、手には黒い水晶のような石を持って集中していた。

そんな集団の前に堂々と俺たちは歩いて姿を見せた。

 

「カジット様、来ました」

 

そう黒いローブの男は石を持っている老人に伝えた。はい、馬鹿乙。

 

「今夜はいい夜だな、カジット」

 

そうアインズさんが言うとカジットと思われる老人は、さっき名前を言った男を睨み、

 

「ふん・・・お主らは何者だ?あれだけのアンデッドの群れをどうやって掻い潜ってきた?」

 

「私たちはある人物に依頼されてな・・・言わなくても分かると思うが、ある少年を捜しているんだ」

 

そうアインズさんが言うと、カジットの周りの者は身構えた。・・どうやら、確定みたいだな。その時、カジットは周りをキョロキョロ見渡し始めた。

 

「・・・お主らだけで来たのか?」

 

・・そんな質問を直球に聞くのか?俺たちが銅だからか?なめられてんのか?

 

「いえ、私達だけですよ?飛行の魔法でね」

 

「嘘だな。そんな筈がない」

 

「信じるも信じないもそちらの自由です」

 

「それで?少年を素直に無事に返せば死なずに済むぞ?」

 

「―お主の名は?」

 

「その前に、お前らの他に刺突武器を持つ仲間がいるはずだ。そいつを出してもらおうか。それとも、私たちに恐れをなして逃げたのかな?」

 

そうアインズさんが分かりやすい挑発をすると、霊廟の中から

 

「へぇ、あの死体調べたんだぁ。なかなかやるねぇ」

 

そう言いながら女がゆっくりと出てきた。

 

「おぬし、なぜ出てきた?」

 

「だってぇ、バレてたみたいだしぃ、隠れても仕方ないじゃん。あ、私はクレマンティーヌ。よろしくー」

 

「・・・それで、お主の名は?」

 

「・・・・モモンだ。まあ、聞いても仕方ないと思うが」

 

「・・聞いたことがないな」

 

「私もないねー。一応この街の高位冒険者はあらかた調べたけどぉ、そんな冒険者いなかったよ?それと、どうやってここ調べたの?そんなヘマはしてないんだけどなー」

 

「答えはそのマントの中にある」

 

「見せてもらえますか?」

 

「いやぁーん、変態ー、スケベー。なんてね」

 

そう言いながら、クレマンティーヌはマントの中を見せた。そこには冒険者のプレートが集まってできたビキニ状の鱗鎧(スケイルアーマー)だった。中には白銀、金、銀、鉄、銅と様々なプレートが見えた。中にはミスリル、オリハルコンのものもあった。そのプレートの数々はクレマンティーヌが冒険者たちから狩った戦利品のようだ。

 

「それが居場所を教えてくれたのさ」

 

頭にはてなマークを浮かべていそうなクレマンティーヌに、アインズさんはそれ以上の説明をせず

 

「・・ナーベ、ルプー。そこのカジットを含めた者たちを相手しろ。私とザムシャーさんはあの女をやる」

 

 

(いいですよね?ゾルディオさん)

 

(いいですよ。俺もその気でしたから)

 

 

俺はアインズさんに頷き

 

「では二人とも、頼みましたよ」

 

「・・・二人とも、上に注意しておけ」

 

そうアインズさんは小声で警告した。

 

「「畏まりました」」

 

すると、カジットは微笑していた。・・何が面白いんだ?二対一なのに・・・そこまでの余裕があるのか?

 

「クレマンティーヌ、私達は別の場所で殺り合わないか?」

 

そう言うと、あちらも同意したように後ろについてきた。・・こっちも余裕みたいだな。

 

 

 

 

 

 

少し歩くと、さっきいた場所。霊廟のほうから光が見えたと同時に爆発音がした。早速やり始めたみたいだな。それを合図に、俺たちとクレマンティーヌは睨み合う。

 

「そーいえばさー、あのお店にいたのってもしかしてお仲間?だとしたら、もしかして仲間殺されて怒っちゃったのぉ?ぷぷぷ、面白かったよぉー、あの魔法詠唱者(マジックキャスター)。最後まで助けが来てくれると信じてたみたいだしぃー、もしかしてぇ・・・その助けってあなたたちのことぉ?ふふふ、だとしたらごめんねぇー」

 

「別に謝る必要はない。彼らとはただ依頼を共にしただけに過ぎない」

 

「そう?残念だなぁ。仲間が殺されて怒りに我を忘れた奴を完膚なきまでにねじ伏せるのが最っ高に面白いのにぃ・・・」

 

そう言うと、少し残念そうにしていた。

 

「だが、あいつらは私の名声のための道具だった。それを潰したお前の存在は、非常に不愉快だ」

 

そう言いながらアインズさんはグレートソードをクレマンティーヌに向けた。

 

「へぇー、私嫌われてるんだぁ。可哀想、私。でもぉ、見たところ二人とも戦士みたいじゃん?どっちか片方は向こうにいたほうが良かったのに。あっちの二人は両方とも魔法詠唱者(マジックキャスター)でしょ?それじゃあ、カジッちゃんには勝てないよー。まあ、もしそうなってもあんた達に勝ち目は無いけどねー。せめて、うまく分ければいいのに」

 

「たとえ、ナーベとルプーがこっちに来たとしても、あなた程度たとえ一人であっても勝てるでしょう」

 

「あなた馬鹿だなー。魔法詠唱者(マジックキャスター)が私に勝てるわけないじゃん。そんなのスッといってガッで終わりだよ」

 

「なるほど。あなたはそれほど自分の腕に自信があると」

 

「もちのろーん。この街には私にかなう奴なんかいないよー。あ、殆どいないよー」

 

「ほう、それはいいことを聞いた」

 

「でしたら、私はここで見物させていただきます。ここはモモンさんお一人で十分です」

 

「ええ、それとハンデとして私たちは一切本気を出さない」

 

そう言うと、見て分かるようにクレマンティーヌは明らかに不快感を出した。

 

「・・この国で私とまともに戦えるのは、ガゼフ・ストロノーフと、蒼の薔薇のガガーラン。朱の雫のルイセンベルグ・アルべリオン。あとブレイン・アングラウスと、引退したヴェスチャー・クロフ・ディ・ローファのみ。そんな私にあんた達みたいな銅の冒険者が勝てるわけねーよ・・・この、クレマンティーヌ様が負けるはずがねぇんだよ!!」

 

 

 

 

「だからこそのハンデです」

 

「私は・・いや、私たちは一切の本気を出さない」

 

 

 

 

 




ゾルディオ(シルバーブルーメ出しちゃったけどどうしようかな・・・・出した以上は三日はいるんだし、何もさせないわけには・・・そうだ!しばらくカルネ村の警備をさせよう!それで、後で監視役を送ればいいのか!これで解決だな!)

こうしてカルネ村はしばらくの間、上空に常にシルバーブルーメがいる状態が続いた・・・


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